JP4449259B2 - Afc回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はAFC(自動周波数制御)回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、無線受信装置のディジタル復調器において、周波数引き込みを行うAFC(自動周波数制御)回路が知られている。
【0003】
従来のAFC回路では、一定のサンプリング周波数で同期用データを検出する場合、位相誤差が180度に近づくと遅れと進みを判断できなくなり、そこが引き込み限界となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
その対応策としては精度の高い基準発振器を持つことが考えられるが、このように精度の高い基準発振器を持つようにすると、装置全体としての小型化、低価格化が困難になるという問題点があった。
【0005】
本発明は上記の点にかんがみてなされたもので、引き込み可能周波数範囲を広げることができ、基準発信器の精度が低くてもよく、これによって装置全体の小型化、低価格化を実現することができるAFC回路を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するために、基地局周波数から推定される自装置内基準発振器の周波数誤差量に応じて、検波回路に入力するサンプリング周波数を変化させることにより、引き込み可能な周波数誤差範囲を拡大することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0008】
図1は、本発明によるAFC回路の一実施の形態を適用した無線受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【0009】
なお、本実施の形態では、この無線受信装置が、移動体通信における移動局装置であるものとして説明する。
【0010】
図1に示すように、本実施の形態を適用した移動局装置は、基地局から信号受信を行うアンテナ1と、無線機2と、復調器3と、検波回路4と、周波数誤差判定回路5と、周波数誤差から基準発振器(TCXO)7の制御電圧を発生する周波数誤差→制御電圧変換回路6と、基準発振器7と、周波数誤差から検波周波数を算出しPLL回路10への制御データを算出する検波周波数算出回路8と、検波用発振器9と、PLL回路10と、制御タイミング回路11とを有して構成される。
【0011】
次に、本実施の形態の動作について説明する。
【0012】
基地局からはAFC動作の為に同期用既知データが送出され、移動局装置において同データを復調することによって自装置内の基準信号ずれを補正する。
【0013】
ここで、既知データのスロット内配置例を、PDC方式とCDMA方式について記す。
【0014】
図2は、既知データのスロット内配置例を示す図であり、(a)は、時分割多重通信方式の場合の図であり、(b)は符号分割多重通信方式の場合の図である。
【0015】
PDC方式のように時分割多重の場合は、図2(a)に示すように、既知データすなわち同期用データが定期的にスロット内の所定位置に存在する。
【0016】
また、CDMA方式のようにコード多重の場合は、図2(b)に示すように、同期用チャネルが常に送出されているので、スロット内のすべてを同期用データとすることが可能である。
【0017】
次に無線機動作について説明する。
【0018】
アンテナ1で受信した電波は、無線機2でIF信号にダウンコンバートされ、復調機3にてベースバンド信号となる。直交変調を使用する時はここでI信号、Q信号に分配される。
【0019】
次に、検波回路4では、I、Q信号の振幅を検波用発振器9のタイミングでサンプリングする。この振幅情報は周波数誤差判定回路5において周波数情報に変換される。その変換方法としてはCORDIC方法が一例として挙げられる。周波数誤差判定回路5で周波数情報に変換し、I、Q平面上に展開したものが図3である。
【0020】
図3は、I、Q平面上に表されたサンプリング点を示す図である。
【0021】
図3に示す点Aは発振器9で発生したクロックタイミングでサンプリングした点である。
【0022】
なお、これ以降に記述する0゜(I=1,Q=0)の定義は、前回のサンプリング点である。
【0023】
基準発振器7と基地局との同期が取れている場合は、常に0゜の位置でサンプリングされる。
【0024】
なお、点Aと0゜の間に生じる角度を周波数誤差Δθとする。
【0025】
図4は、図1に示した基準発振器7における制御電圧対発振周波数特性を示す図である。
【0026】
発振周波数は制御電圧に対し、単調に増加しなければならない。また、単調に減少の場合もある。
【0027】
周波数誤差→制御電圧発生回路6では、周波数誤差判定回路5で算出した周波数誤差Δθから基準発振器7の制御電圧値を算出し、制御する電圧を発生する。この算出値の制御割合はシステムによって異なる設計ができるようにユーザーが設定できるものとする。
【0028】
周波数誤差判定回路5の周波数誤差値を検波周波数制御回路8に入力し、検波用発振周波数制御値を決定し、PLLIC10へデータを送出する。
【0029】
検波周波数制御回路8〜PLLIC10の動作を以下に示す。
【0030】
図5は、I、Q平面上において本願発明を説明する図であり、(a)は周波数誤差が大きい場合のシンボル点を示す図であり、(b)はクロックスピードを2倍にした場合のシンボル点を示す図である。
【0031】
図5(a)中のB点は、I、Q平面上で周波数誤差が180゜付近に位置するため、正規の(周波数誤差が存在しない場合の)シンボル点Aに対して進み、遅れ両方の可能性が存在するため基準発振子7の周波数を上げる、下げるの判断を誤った場合、周波数を正しく引き込めない可能性がある。
【0032】
シンボルの回転方向を図5(a)中に示す。
【0033】
ここで簡単な例としてサンプリング周波数を2倍にした場合を示す。
【0034】
図5(a)中のB点が遅れならばdに、B点が進みならばCでサンプリングされるようになるため、
例) B点 170゜に位置する時
C点 (360+170)/2=265゜ 進みであることがわかる
D点 170/2=85゜ 遅れであることがわかる
正しく遅れ、進みを判断できることになり、結果として周波数の引き込みが可能となる。
【0035】
なお、この動作をおこなうための周波数誤差スレショルドは図6のようにユーザが任意に設定可能である。
【0036】
図6は、サンプリングクロックの可変を決める、ユーザー設定スレショルドを示す図である。
【0037】
図6中の斜線を付した範囲にサンプリング点が存在するときにサンプリング周波数を変化させる。
【0038】
図7は、図1に示した検波用発信器9における制御電圧対発信周波数特性を示す図である。
【0039】
図7に示すように、発振周波数は制御電圧に対し、単調に増加しなければならない。また、単調に減少の場合もある。
【0040】
すなわち、本実施の形態によれば、通信機装置内に基準発振器を持ち、基準局(基地局)からの受信波を利用して該基準発振器の周波数誤差を修正する無線機において、検波信号から周波数誤差を算出し、その結果から基準発振子を制御する手段を有し、この周波数誤差の計算値によってサンプリング周波数を変化させることができる。
【0041】
また、基準発振器の周波数誤差を制御する割合はユーザーが任意に設定することができる。
【0042】
次に、本発明の別の実施の形態について説明する。
【0043】
図8は、検波タイミングの切り替えについて説明する図である。
【0044】
単純に検波クロックを2倍する場合は、図8に示すように、検波回路4のクロック検出を立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジの一方だけではなく、両エッジで検出できるような切り替え機能を持たせておくことで実現可能である。
【0045】
すなわち、本実施の形態では、前記のようにサンプリング周波数を変化させる際に、検波回路入力のクロックの立ち上がりまたは立ち下がりエッジのみの検波から両エッジ検波に変えるよって検波スピードを2倍にすることが可能である。
【0046】
図9は、検波タイミングとクロック周波数の切り替えについて説明する図である。
【0047】
検波用発振器9の周波数を変化させるとき、図9に示すように、目標とする周波数に切り替わるまでの遷移時間を要する。遷移期間中のサンプリング点は信頼できるものではないため、このサンプリング点から周波数誤差を計算して制御してはならない。
【0048】
これを防ぐ手段として、本実施の形態では、制御タイミング回路11で周波数変化幅から遷移時間を算出し、その間は周波数誤差→制御電圧変換回路6からの制御電圧を固定する。
【0049】
すなわち、本実施の形態では、検波用発振器を制御する際、周波数遷移時間(ロック時間)を予め記憶しておき、遷移中は引き込み制御を行わないようにしている。
【0050】
【発明の効果】
本発明を適用することにより、AFC回路引き込み可能周波数範囲を広げることができる。
【0051】
これにより基準発振器精度が低減でき、小型化、低価格化の実現が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるAFC回路の一実施の形態を適用した無線受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】既知データのスロット内配置例を示す図であり、(a)は、時分割多重通信方式の場合の図であり、(b)は符号分割多重通信方式の場合の図である。
【図3】I、Q平面上に表されたサンプリング点を示す図である。
【図4】図1に示した基準発振器における制御電圧対発振周波数特性を示す図である。
【図5】I、Q平面上において本願発明を説明する図であり、(a)は周波数誤差が大きい場合のシンボル点を示す図であり、(b)はクロックスピードを2倍にした場合のシンボル点を示す図である。
【図6】サンプリングクロックの可変を決める、ユーザー設定スレショルドを示す図である。
【図7】図1に示した検波用発信器における制御電圧対発信周波数特性を示す図である。
【図8】検波タイミングの切り替えについて説明する図である。
【図9】検波タイミングとクロック周波数の切り替えについて説明する図である。
【符号の説明】
1 アンテナ
2 無線機
3 復調器
4 検波回路
5 周波数誤差判定回路
6 周波数誤差→制御電圧変換回路
7 基準発振器(TCXO)
8 検波周波数算出回路
9 検波用発振器
10 PLL回路
11 制御タイミング回路
Claims (7)
- 受信信号を検波する検波回路からの検波信号に基づいて、検波用発振器の発振周波数の誤差を修正する際に、前記検波信号から周波数誤差を算出し、該算出結果に基づいて前記検波用発振器の発振周波数を制御する制御手段を有し、
該制御手段が、前記検波回路に入力するサンプリング周波数が第1のサンプリング周波数であるときの前記算出結果が所定範囲にある場合に、前記検波回路に入力するサンプリング周波数を前記第1のサンプリング周波数から第2のサンプリング周波数へと切り替えることによって該算出結果が遅れによるものであるか進みによるものであるかを判断する
ことを特徴とするAFC回路。 - 前記受信信号の変調方式はI、Q平面に展開できる直交方式であり、前記周波数誤差をI、Q信号の振幅から算出することを特徴とする請求項1に記載のAFC回路。
- 前記検波用発振器の発振周波数が、前記検波用発振器に入力される制御電圧によって制御可能であることを特徴とする請求項1に記載のAFC回路。
- 前記検波回路が、入力されるクロックの、立ち上がりまたは立ち下がりエッジのみの検波から、両エッジ検波に変えることによって、検波スピードを2倍にすることが可能であることを特徴とする請求項1に記載のAFC回路。
- 前記検波用発振器の発振周波数の誤差を制御する割合をユーザーが任意に設定できるできることを特徴とする請求項1に記載のAFC回路。
- 前記サンプリング周波数を変化させるか否かを、周波数誤差が予め定めた周波数誤差スレショルドよりも大きいかどうかで判断し、該周波数誤差スレショルドをユーザが任意に設定できることを特徴とする請求項1に記載のAFC回路。
- 前記検波用発振器を制御する際、周波数遷移時間(ロック時間)を予め記憶しておき、遷移中は引き込み制御を行わないことを特徴とする請求項1に記載のAFC回路。
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