JP4448123B2 - ゴルフボール - Google Patents

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Description

本発明は、ゴルフボールに関する。詳細には、本発明は、センター、中間層及びカバーを備えたマルチピースゴルフボールに関する。
ゴルフボールは、その表面に多数のディンプルを備えている。ディンプルは、飛行時のゴルフボール周りの空気の流れを乱し、乱流剥離を起こさせる。乱流剥離によって空気のゴルフボールからの剥離点が後方にシフトし、抗力が低減される。乱流剥離によってバックスピンに起因するゴルフボールの上側剥離点と下側剥離点とのズレが助長され、ゴルフボールに作用する揚力が高められる。抗力の低減及び揚力の向上は、「ディンプル効果」と称される。優れたディンプルは、よりよく空気の流れを乱す。優れたディンプルは、大きな飛距離を生む。
ゴルフボールの成形型は、上型と下型とからなる。上型及び下型は、それぞれ半球状のキャビティ面を備えている。上型と下型とが合わされると、球状のキャビティが形成される。この成形型は、上型と下型との間にパーティングラインを備えている。パーティングラインは、大円である。ゴルフボールの表面において、パーティングラインに相当する箇所は、赤道(又はシーム)と称されている。赤道は、大円である。この赤道の近傍は、ゴルフボールの表面において特異な領域である。赤道の近傍では、ディンプルが整然と並ぶ傾向がある。ディンプルが整然と並ぶことにより、ディンプル効果が阻害される。赤道近傍領域の特異性の解消を目的とした提案が、特開2000−93556公報に開示されている。
ゴルフボールの飛行性能は、その反発性能にも大きく依存する。特開平10−179799号公報には、コアにホウ酸アルミニウムからなるウィスカーが配合されたゴルフボールが開示されている。このゴルフボールは、反発性能に優れる。
ゴルフボールにとって、飛行性能と共に、打球感も重要である。特開2000−70412公報には、圧縮変形量が適正化されたゴルフボールが開示されている。このゴルフボールは、打球感に優れる。
さらにゴルフボールにとって、耐久性も重要である。特開2002−239033公報には、カバーが2層からなるゴルフボールが開示されている。このゴルフボールは、打球感及び耐久性に優れる。
特開2000−93556公報 特開平10−179799号公報 特開2000−70412公報 特開2002−239033公報
ゴルファーは、ゴルフボールの諸性能のさらなる向上を望んでいる。本発明の目的は、飛行性能、打球感及び耐久性に優れたゴルフボールの提供にある。
本発明に係るゴルフボールは、球状のコアとこのコアの外側に位置するカバーとを備える。このコアは、球状のセンターとこのセンターの外側に位置する中間層とを備える。中間層は、三次元形状を呈する金属酸化物を含有するポリマー組成物からなる。中間層のD硬度は、32以上39以下である。センターの圧縮変形量C1とコアの圧縮変形量C2との比(C1/C2)は、1.09未満である。センターの圧縮変形量C1とゴルフボールの圧縮変形量C3との比(C1/C3)は、1.18以上である。このゴルフボールは、その表面に、互いに直径の異なる3種以上のディンプルを備える。このディンプルの総数は、300個以上である。この総数に対するその直径が3.40mm以上であるディンプルの数の比率Pnは、90%以上である。ディンプルの種類数NL及びNHは、下記数式(I)を満たす。
NL−NH ≧ 0 (I)
この数式(I)において、NLはその緯度が0°以上30°未満である低緯度領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表し、NHはその緯度が30°以上90°以下である高緯度領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表す。ディンプルの種類数NL、NHm及びNHpは、下記数式(II)を満たす。
NL > NHm ≧ NHp (II)
この数式(II)において、NLはその緯度が0°以上30°未満である低緯度領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表し、NHmはその緯度が30°以上60°未満である中間領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表し、NHpはその緯度が60°以上90°以下である極領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表す。
好ましくは、ゴルフボールの圧縮変形量C3は、3.2mm以上3.8mm以下である。
好ましくは、ディンプルの種類数NL、NHm及びNHpは、下記数式(III)を満たす。
NL > NHm > NHp (III)
好ましくは、ディンプルの種類数N1からN9は、下記数式(IV)を満たす。
N1 ≧ N2 ≧ N3 > N4 ≧ N5 ≧ N6 ≧ N7 ≧ N8 ≧ N9 (IV)
この数式(III)において、N1はその緯度が0°以上10°未満である第一領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表し、N2はその緯度が10°以上20°未満である第二領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表し、N3はその緯度が20°以上30°未満である第三領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表し、N4はその緯度が30°以上40°未満である第四領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表し、N5はその緯度が40°以上50°未満である第五領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表し、N6はその緯度が50°以上60°未満である第六領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表し、N7はその緯度が60°以上70°未満である第七領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表し、N8はその緯度が70°以上80°未満である第八領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表し、N9はその緯度が80°以上90°以下である第九領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表す。
このゴルフボールでは、低緯度領域(すなわち赤道近傍)に存在するディンプルの種類数が多いことにより、この低緯度領域におけるディンプル効果が促進される。このゴルフボールでは、三次元形状を呈する金属酸化物を含む中間層が、反発性能に寄与する。大きなディンプル効果と大きな反発性能とにより、大きな飛距離が得られる。この金属酸化物は、打球感及び耐久性を阻害しない。このゴルフボールは、飛行性能、打球感及び耐久性の全てに優れる。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボール2が示された模式的断面図である。このゴルフボール2は、球状のコア4と、このコア4を覆うカバー6とを備えている。コア4は、球状のセンター8と、このセンター8を覆う中間層10とからなる。カバー6の表面には、多数のディンプル12が形成されている。ゴルフボール2の表面のうちディンプル12以外の部分は、ランド14である。このゴルフボール2は、カバー6の外側にペイント層及びマーク層を備えているが、これらの層の図示は省略されている。センター8と中間層10との間に、他の層が形成されてもよい。中間層10とカバー6との間に、他の層が設けられてもよい。
このゴルフボール2の直径は、40mm以上45mm以下である。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上がより好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。このゴルフボール2の質量は、40g以上50g以下である。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下がより好ましい。
センター8は、ゴム組成物が架橋されることで得られる。好ましい基材ゴムとして、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体及び天然ゴムが例示される。反発性能の観点から、ポリブタジエンが好ましい。ポリブタジエンと他のゴムとが併用される場合は、ポリブタジエンが主成分とされるのが好ましい。具体的には、全基材ゴムに占めるポリブタジエンの比率が50質量%以上、特には80質量%以上とされるのが好ましい。シス−1,4結合の比率が40%以上、特には80%以上であるポリブタジエンが好ましい。
センター8の架橋には、好ましくは、共架橋剤が用いられる。反発性能の観点から好ましい共架橋剤は、炭素数が2から8であるα,β−不飽和カルボン酸の、1価又は2価の金属塩である。好ましい共架橋剤の具体例としては、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸亜鉛及びメタクリル酸マグネシウムが挙げられる。高い反発性能が得られるという理由から、アクリル酸亜鉛及びメタクリル酸亜鉛が特に好ましい。
共架橋剤として、炭素数が2から8であるα,β−不飽和カルボン酸と酸化金属とが配合されてもよい。両者はゴム組成物中で反応し、塩が得られる。この塩が、架橋反応に寄与する。好ましいα,β−不飽和カルボン酸としては、アクリル酸及びメタクリル酸が挙げられる。好ましい酸化金属としては、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムが挙げられる。
ゴルフボール2の反発性能の観点から、共架橋剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上が好ましく、15質量部以上がより好ましい。ソフトな打球感の観点から、共架橋剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して50質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましい。
好ましくは、センター8のゴム組成物は、共架橋剤と共に有機過酸化物を含む。有機過酸化物は、架橋開始剤として機能する。有機過酸化物は、、ゴルフボール2の反発性能に寄与する。好適な有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びジ−t−ブチルパーオキサイドが挙げられる。特に汎用性の高い有機過酸化物は、ジクミルパーオキサイドである。
ゴルフボール2の反発性能の観点から、有機過酸化物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上が特に好ましい。ソフトな打球感の観点から、有機過酸化物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して3.0質量部以下が好ましく、2.8質量部以下がより好ましく、2.5質量部以下が特に好ましい。
好ましくは、センター8のゴム組成物は、有機硫黄化合物を含む。好ましい有機硫黄化合物としては、ジフェニルジスルフィド、ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(4−フルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(4−シアノフェニル)ジスルフィド等のモノ置換体;ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−クロロ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド等のジ置換体;ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−4−クロロ−6−ブロモフェニル)ジスルフィド等のトリ置換体;ビス(2,3,5,6−テトラクロロフェニル)ジスルフィド等のテトラ置換体;及びビス(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)ジスルフィド等のペンタ置換体が例示される。有機硫黄化合物は、反発性能に寄与する。特に好ましい有機硫黄化合物は、ジフェニルジスルフィド及びビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィドである。
ゴルフボール2の反発性能の観点から、有機硫黄化合物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましい。ソフトな打球感の観点から、有機硫黄化合物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して1.50質量部以下が好ましく、1.0質量部以下がより好ましく、0.8質量部以下が特に好ましい。
センター8に、比重調整等の目的で充填剤が配合されてもよい。好適な充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムが例示される。充填剤として、高比重金属からなる粉末が配合されてもよい。高比重金属の具体例としては、タングステン及びモリブデンが挙げられる。充填剤の配合量は、センター8の意図した比重が達成されるように適宜決定される。特に好ましい充填剤は、酸化亜鉛である。酸化亜鉛は、単なる比重調整のみならず架橋助剤としても機能する。センター8には、硫黄、硫黄化合物、老化防止剤、着色剤、可塑剤、分散剤等の各種添加剤が、必要に応じて適量配合される。センター8に、架橋ゴム粉末又は合成樹脂粉末が配合されてもよい。
センター8の直径は、30.0mm以上41.0mm以下が好ましい。直径が30.0mm以上であるセンター8は、反発性能に寄与する。この観点から、直径は33.0mm以上がより好ましい。直径が41.0mm以下に設定されることにより、中間層10及びカバー6が耐久性に寄与しうる。この観点から、直径は40.5mm以下がより好ましい。センター8が、2以上の層を備えてもよい。
センター8の圧縮変形量C1は、3.6mm以上5.0mm以下が好ましい。圧縮変形量C1が3.6mm以上であるセンター8は、ソフトな打球感に寄与する。この観点から、圧縮変形量C1は3.7mm以上がより好ましく、3.8mm以上が特に好ましい。圧縮変形量C1が5.0mm以下であるセンター8は、ゴルフボール2の反発性能及び耐久性に寄与する。この観点から、圧縮変形量C1は4.9mm以下がより好ましく、4.8mm以下が特に好ましい。
圧縮変形量の測定では、まず球体(すなわちセンター8、コア4又はゴルフボール2)が金属製の剛板の上に置かれる。次に、球体に向かって金属製の円柱が徐々に降下する。この円柱の底面と剛板との間に挟まれた球体は、変形する。球体に98Nの初荷重がかかった状態から1274Nの終荷重がかかった状態までの円柱の移動距離が、圧縮変形量である。
センター8の表面硬度は、45以上65以下が好ましい。表面硬度が45以上であるセンター8は、反発性能に寄与する。この観点から、表面硬度は47以上がより好ましく、50以上が特に好ましい。表面硬度が65以下であるセンター8は、打球感に寄与する。さらに、表面硬度が65以下であるセンター8は、スピンの抑制にも寄与する。この観点から、表面硬度は63以下がより好ましく、60以下が特に好ましい。表面硬度は、自動ゴム硬度測定装置(高分子計器社の商品名「LA1」)に取り付けられたショアD型スプリング式硬度計がセンター8の表面に押しつけられることで測定される。
センター8の質量は、25g以上42g以下が好ましい。センター8の架橋温度は、通常は140℃以上180℃以下である。センター8の架橋時間は、通常は10分以上60分以下である。センターが2以上の層から形成されてもよい。
中間層10は、樹脂組成物からなる。樹脂組成物の好ましい基材樹脂は、スチレンブロック含有熱可塑性エラストマー及びアイオノマー樹脂である。スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーは、ゴルフボール2の打球感に寄与する。アイオノマー樹脂は、ゴルフボール2の反発性能に寄与する。スチレンブロック含有熱可塑性エラストマー及びアイオノマー樹脂が併用されることが、好ましい。
スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしてのポリスチレンブロックと、ソフトセグメントとを備えている。典型的なソフトセグメントは、ジエンブロックである。スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーには、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、SBSの水添物、SISの水添物及びSIBSの水添物が含まれる。SBSの水添物としては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)が挙げられる。SISの水添物としては、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)が挙げられる。SIBSの水添物としては、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)が挙げられる。
ゴルフボール2の反発性能の観点から、熱可塑性エラストマーにおけるスチレン成分の含有率は10質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましく、15質量%以上が特に好ましい。ゴルフボール2の打球感の観点から、含有率は50質量%以下が好ましく、47質量%以下がより好ましく、45質量%以下が特に好ましい。
本発明において、スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーには、SBS、SIS、SIBS、SEBS、SEPS及びSEEPS並びにこれらの水添物からなる群から選択された1種又は2種以上と、オレフィンとのアロイが含まれる。このアロイ中のオレフィン成分は、他の基材ポリマーとの相溶性向上に寄与すると推測される。このアロイが用いられることにより、ゴルフボール2の反発性能が向上する。好ましくは、炭素数が2以上10以下のオレフィンが用いられる。好適なオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン及びペンテンが例示される。エチレン及びプロピレンが特に好ましい。
ポリマーアロイの具体例としては、三菱化学社の商品名「ラバロンT3221C」、「ラバロンT3339C」、「ラバロンSJ4400N」、「ラバロンSJ5400N」、「ラバロンSJ6400N」、「ラバロンSJ7400N」、「ラバロンSJ8400N」、「ラバロンSJ9400N」及び「ラバロンSR04」が挙げられる。スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーの他の具体例としては、ダイセル化学工業社の商品名「エポフレンドA1010」及びクラレ社の商品名「セプトンHG−252」が挙げられる。
打球感の観点から、スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーの材料硬度は8未満が好ましく、6未満がより好ましく、5未満が特に好ましい。材料硬度の測定では、スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーからなるスラブが用いられる。本発明では、特に断りのない限り、「ASTM−D 2240−68」の規定に準拠して、自動ゴム硬度測定装置(高分子計器社の商品名「LA1」)に取り付けられたショアD型スプリング式硬度計によって、硬度が測定される。測定には、熱プレスで成形された厚みが約2mmであるスラブが用いられる。測定に先立ち、スラブは23℃の温度下に2週間保管される。測定時には、3枚のスラブが重ね合わされる。スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーの材料硬度の測定には、スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーのみからなるスラブが用いられる。なお、JIS−A型スプリング式硬度計で測定された材料硬度は、60未満が好ましく、40未満がより好ましく、30未満が特に好ましい。
好ましいアイオノマー樹脂としては、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体が挙げられる。好ましい他のアイオノマー樹脂としては、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸と炭素数が2以上22以下のα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体が挙げられる。二元共重合体及び三元共重合体において、好ましいα−オレフィンはエチレン及びプロピレンであり、好ましいα,β−不飽和カルボン酸はアクリル酸及びメタクリル酸である。二元共重合体及び三元共重合体において、カルボキシル基の一部は金属イオンで中和されている。中和のための金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン及びネオジムイオンが例示される。中和が、2種以上の金属イオンでなされてもよい。ゴルフボール2の反発性能及び耐久性の観点から特に好適な金属イオンは、ナトリウムイオン、亜鉛イオン、リチウムイオン及びマグネシウムイオンである。
好ましい二元共重合体は、80質量%以上90質量%以下のα−オレフィンと、10質量%以上20質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸とを含む。この二元共重合体は、反発性能に優れる。好ましい三元共重合体は、70質量%以上85質量%以下のα−オレフィンと、5質量%以上30質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸と、1質量%以上25質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸エステルとを含む。この三元共重合体は、反発性能に優れる。特に好ましいアイオノマー樹脂は、エチレンと、アクリル酸又はメタクリル酸との共重合体である。
アイオノマー樹脂の具体例としては、三井デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミラン1555」、「ハイミラン1557」、「ハイミラン1605」、「ハイミラン1706」、「ハイミラン1707」、「ハイミラン1856」、「ハイミラン1855」、「ハイミランAM7311」、「ハイミランAM7315」、「ハイミランAM7317」、「ハイミランAM7318」及び「ハイミランMK7320」;デュポン社の商品名「サーリン6120」、「サーリン6910」、「サーリン7930」、「サーリン7940」、「サーリン8140」、「サーリン8150」、「サーリン8940」、「サーリン8945」、「サーリン9120」、「サーリン9150」、「サーリン9910」、「サーリン9945」及び「サーリンAD8546」;並びにエクソンモービル化学社の商品名「IOTEK7010」、「IOTEK7030」、「IOTEK7510」、「IOTEK7520」、「IOTEK8000」及び「IOTEK8030」が挙げられる。2種以上のアイオノマー樹脂が併用されてもよい。1価の金属イオンで中和されたアイオノマー樹脂と2価の金属イオンで中和されたアイオノマー樹脂とが併用されてもよい。
反発性能の観点から、アイオノマー樹脂の材料硬度は50以上が好ましく、53以上がより好ましく、55以上が特に好ましい。打球感の観点から、アイオノマー樹脂の材料硬度は70以下が好ましく、67以下がより好ましく、65以下が特に好ましい。アイオノマー樹脂の材料硬度の測定には、アイオノマー樹脂のみからなるスラブが用いられる。
スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーとアイオノマー樹脂とが併用される場合、スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーの全基材樹脂に対する比率は20質量%以上60質量%以下が好ましい。比率が20質量%以上に設定されることにより、良好な打球感が得られる。この観点から、比率は25質量%以上がより好ましく、30質量%以上が特に好ましい。比率が60質量%以下である中間層10は、反発性能を阻害しない。この観点から、比率は55質量%以下がより好ましく、50質量%以下が特に好ましい。
スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーとアイオノマー樹脂とが併用される場合、アイオノマー樹脂の全基材樹脂に対する比率は40質量%以上80質量%以下が好ましい。比率が40質量%以上に設定されることにより、良好な反発性能が得られる。この観点から、比率は45質量%以上がより好ましく、50質量%以上が特に好ましい。比率が80質量%以下である中間層10は、打球感を阻害しない。この観点から、比率は75質量%以下がより好ましく、70質量%以下が特に好ましい。
スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーとアイオノマー樹脂とが併用される場合、両者の合計量の全基材樹脂に対する比率は90質量%以上が好ましい。この比率は、理想的には100%である。
中間層10に、スチレンブロック含有熱可塑性エラストマー又はアイオノマー樹脂と共に、他の樹脂が用いられてもよい。他の樹脂としては、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー及び熱可塑性ポリオレフィンエラストマーが例示される。
中間層10の樹脂組成物は、三次元形状を呈する金属酸化物を含有する。この金属酸化物は、3以上の針状部を備えている。三次元形状とは、第一針状部の軸及び第二針状部の軸を含む平面に、第三針状部の軸が含まれない形状を意味する。
図2に、好ましい金属酸化物16が示されている。この金属酸化物16は、三角錐18の4つの頂点20をそれぞれ一端とする4つの針状部22を備える。これら4つの針状部22の他端は全て、三角錐の内部に存在する点に位置している。この点から、4つの軸が、三角錐の4つの頂点20に向かって伸びている。この金属酸化物16は、テトラポッド(登録商標)に類似の形状を呈する。好ましくは、この金属酸化物16は、針状結晶である。好ましくは、三角錐18は正四面体であり、針状部22の他端はこの正四面体の中心に位置する。4つの針状部22の長さは、実質的に同一である。
三次元形状を呈しうる金属酸化物16としては、酸化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム及びタルクが例示される。好ましい金属酸化物16は、酸化亜鉛である。好ましい金属酸化物16の具体例としては、松下電器産業社の酸化亜鉛(商品名「パナテトラ(登録商標)」が挙げられる。この酸化亜鉛は、図2に示された形状を呈する。
三次元形状を呈する金属酸化物16が基材樹脂中に分散することにより、中間層10が補強される。中間層10の成形時には、樹脂組成物が流動する。特に、中間層10が射出成形されるときは、樹脂組成物が大幅に流動する。金属酸化物16が三次元形状であれば、樹脂組成物が流動しても、この金属酸化物16が配向しない。この中間層10では、配向による耐久性の低下が生じない。この中間層10は、ゴルフボール2の耐久性に寄与する。カバー6又は中間層10が薄いゴルフボール2は、繰り返しの打撃により破損しやすい。三次元形状を呈する金属酸化物16が中間層10に分散することにより、カバー6又は中間層10が薄いゴルフボール2であっても、破損が抑制される。
金属酸化物16の針状部22の平均長さは、5μm以上50μm以下が好ましい。平均長さが5μm以上の金属酸化物16は、中間層10の剛性に寄与する。この観点から、平均長さは7μm以上がより好ましい。平均長さが50μm以下である金属酸化物16は、分散性に優れる。この観点から、平均長さは40μm以下が特に好ましい。
金属酸化物16の配合量が過小である場合、補強効果が不十分であり、耐久性が不十分である。配合量が過大である場合、中間層10が脆いことに起因して、やはり耐久性が不十分である。耐久性の観点から、三次元形状を呈する金属酸化物16の配合量は、基材樹脂100質量部に対して0.3質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、5質量部以上が特に好ましい。耐久性の観点から、配合量は20質量部以下が好ましく、17質量部以下がより好ましく、15質量部以下が特に好ましい。
一般的な充填材の配合は、中間層10の剛性を高め、同時に中間層10の硬度を高める。剛性の上昇は、反発性能に寄与する。一方、硬度の上昇により、打球感が阻害される。三次元形状を呈する金属酸化物16は補強効果が大きいので、この金属酸化物16の配合により剛性が十分に上昇する。この金属酸化物16の配合量が少ない場合でも、大きな反発性能が得られる。少ない配合量は、中間層10の硬度を大幅には上昇させない。この金属酸化物16の配合により、反発性能と打球感とが両立されうる。低い硬度は、スピンの抑制にも寄与する。
下記数式(V)によって算出される比Rは、1.05以上が好ましい。
R=((Ym/Xm)/(Yo/Xo)) (V)
この数式(V)において、Ymは中間層10の樹脂組成物の曲げ剛性(MPa)を表し、Xmはこの樹脂組成物のD硬度を表し、Yoは中間層10の基材樹脂の曲げ剛性(MPa)を表し、Xoはこの基材樹脂のD硬度を表す。硬度Xm及び曲げ剛性Ymの測定には、中間層10の樹脂組成物と同一の樹脂組成物からなるスラブが用いられる。硬度Xo及び曲げ剛性Yoの測定には、中間層10に用いられた基材樹脂からなるスラブが用いられる。中間層10に2以上の基材樹脂が併用された場合は、これらの樹脂のブレンドからなるスラブが用いられる。比Rが1.05以上である中間層10は、高い反発性能とソフトな打球感とに寄与する。この観点から、比Rは1.06以上がより好ましく、1.07以上が特に好ましい。比Rは、1.30以下が好ましい。
中間層10のD硬度Xmは、32以上39以下である。D硬度が32以上である中間層10は、反発性能を阻害しない。この観点から、D硬度は33以上がより好ましく、34以上が特に好ましい。D硬度が39以下である中間層10は、ソフトな打球感に寄与する。さらに、D硬度が39以下である中間層10は、スピンを抑制する。この観点から、D硬度は38以下がより好ましい。
反発性能の観点から、中間層10の曲げ剛性Ymは30MPa以上が好ましく、35MPa以上が特に好ましい。曲げ剛性は、60MPa以下が好ましい。曲げ剛性は、「JIS K7106」の既定に準拠して測定される。測定には、前述の通り、中間層10の樹脂組成物と同一の樹脂組成物からなるスラブが用いられる。このスラブは、熱プレスによって得られる。スラブの厚みは、2mmである。23℃の環境下に2週間保持されたスラブが、測定に用いられる。
中間層10の厚みは、0.6mm以上1.4mm以下が好ましい。厚みTmが0.6mm以上である中間層10は、ソフトな打球感に寄与しうる。この観点から、厚みTmは0.7mm以上がより好ましく、0.8mm以上が特に好ましい。厚みが1.4mm以下である中間層10は、反発性能を阻害しない。この観点から、厚みTmは1.2mm以下がより好ましく、1.0mm以下が特に好ましい。
中間層10の樹脂組成物に、比重調整等の目的で充填剤が配合されてもよい。好適な充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムが例示される。充填剤として、高比重金属からなる粉末が配合されてもよい。高比重金属の具体例としては、タングステン及びモリブデンが挙げられる。充填剤の配合量は、中間層10の意図した比重が達成されるように適宜決定される。中間層10に、着色剤、架橋ゴム粉末又は合成樹脂粉末が配合されてもよい。
カバー6は、樹脂組成物からなる。樹脂組成物の好ましい基材樹脂は、アイオノマー樹脂である。中間層10と同等のアイオノマー樹脂が、カバー6に用いられうる。アイオノマー樹脂は、ゴルフボール2の反発性能に寄与する。カバー6に、スチレンブロック含有熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー又は熱可塑性ポリオレフィンエラストマーが用いられてもよい。アイオノマー樹脂と他の樹脂とが併用されてもよい。併用される場合、反発性能の観点から、アイオノマー樹脂が主成分であることが好ましい。基材樹脂全量に対するアイオノマー樹脂の比率は70質量部以上が好ましく、80質量部以下が好ましい。
カバー6のD硬度は、57以上が好ましい。このカバー6は、反発性能に寄与する。反発性能の観点から、D硬度は58以上がより好ましく、59以上が特に好ましい。打球感の観点から、D硬度は70以下が好ましく、67以下がより好ましい。D硬度の測定には、カバー6の樹脂組成物と同一の樹脂組成物からなるスラブが用いられる。測定方法の詳細は、前述の通りである。
カバー6の厚みは、0.3mm以上1.6mm以下が好ましい。厚みが0.3mm以上であるカバー6は、飛行性能及び耐久性に寄与する。この観点から、厚みは0.5mm以上がより好ましい。厚みが1.6mm以下であるカバー6は、打球感及び反発性能を阻害しない。この観点から、厚みは1.5mm以下がより好ましく、1.3mm以下が特に好ましい。カバーが2以上の層を備えてもよい。
カバー6には、必要に応じ、二酸化チタンのような着色剤、硫酸バリウムのような充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等が適量配合される。比重調整の目的で、カバー6にタングステン、モリブデン等の高比重金属の粉末が配合されてもよい。
ゴルフボール2の圧縮変形量C3は、3.2mm以上3.8mm以下が好ましい。圧縮変形量C3が3.2mm以上であるゴルフボール2は、打球感に優れる。この観点から、圧縮変形量C3は3.3mm以上がより好ましく、3.4mm以上が特に好ましい。圧縮変形量C3が3.8mm以下であるゴルフボール2は、耐久性に優れる。この観点から、圧縮変形量C3は3.7mm以下がより好ましい。
センター8の圧縮変形量C1とコア4の圧縮変形量C2との比(C1/C2)は、1.09未満が好ましい。比(C1/C2)が上記範囲であるゴルフボール2では、中間層10が比較的柔らかい。このゴルフボール2は、打球感に優れる。打球感の観点から、比(C1/C2)は1.08未満がより好ましい。比(C1/C2)は、1.03以上が好ましい。なお、コア4の圧縮変形量C2は3.4mm以上4.8mm以下が好ましい。
センターの圧縮変形量C1とゴルフボールの圧縮変形量C3との比(C1/C3)は、1.18以上が好ましい。比(C1/C3)が上記範囲であるゴルフボール2では、打撃時のエネルギーがセンター8に十分に伝わる。さらに、比(C1/C3)が上記範囲であるゴルフボール2は、打球感に優れる。この観点から、比(C1/C3)は1.19以上がより好ましく、1.20以上が特に好ましい。
図3は、図1のゴルフボール2が示された拡大平面図である。この図3では、ゴルフボール2の表面が4つに区画されて得られる1つのユニットに関し、符号AからHによりディンプル12の種類が示されている。このゴルフボール2は、直径が4.60mmであるディンプルAと、直径が4.45mmであるディンプルBと、直径が4.30mmであるディンプルCと、直径が4.20mmであるディンプルDと、直径が4.10mmであるディンプルEと、直径が3.90mmであるディンプルFと、直径が3.20mmであるディンプルGと、直径が3.00mmであるディンプルHとを備えている。ディンプルAの個数は70個であり、ディンプルBの個数は88個であり、ディンプルCの個数は56個であり、ディンプルDの個数は26個であり、ディンプルEの個数は42個であり、ディンプルFの個数は20個であり、ディンプルGの個数は18個であり、ディンプルHの個数は8個である。ディンプル12の総数は、328個である。
図4は、図3のゴルフボール2が示された正面図である。この図4には、第一緯線L1が画かれている。この第一緯線L1の緯度は、0°である。この第一緯線L1は、赤道でもある。この図4から明らかなように、第一緯線L1はディンプル12と交差している。このゴルフボール2は、上型と下型とのパーティングラインがジグザグ状である成形型によって得られうる。第一緯線L1がディンプルと交差することにより、赤道近傍のディンプル効果が高められうる。第一緯線L1がディンプル12と交差しなくてもよい。ゴルフボール2の表面は、第一緯線L1を境界として、北半球24と南半球26とに区画されている。この図4において符号Pで示されているのは、極点である。一方の極点Pから他方の極点Pへ向かう方向は、成形型の開閉方向である。
図5は、図4のゴルフボール2の一部が示された拡大図である。この図5には、北半球24が示されている。この図5には、第一緯線L1、第二緯線L2、第三緯線L3、第四緯線L4、第五緯線L5、第六緯線L6、第七緯線L7、第八緯線L8及び第九緯線L9が示されている。第一緯線L1の緯度は0°であり、第二緯線L2の緯度は10°であり、第三緯線L3の緯度は20°であり、第四緯線L4の緯度は30°であり、第五緯線L5の緯度は40°であり、第六緯線L6の緯度は50°であり、第七緯線L7の緯度は60°であり、第八緯線L8の緯度は70°であり、そして、第九緯線L9の緯度は80°である。
第一緯線L1と第二緯線L2とに囲まれた領域は、第一領域Z1である。第二緯線L2の線上は、第一領域Z1には含まれない。第一領域Z1の緯度は、0°以上10°未満である。第二緯線L2と第三緯線L3とに囲まれた領域は、第二領域Z2である。第三緯線L3の線上は、第二領域Z2には含まれない。第二領域Z2の緯度は、10°以上20°未満である。第三緯線L3と第四緯線L4とに囲まれた領域は、第三領域Z3である。第四緯線L4の線上は、第三領域Z3には含まれない。第三領域Z3の緯度は、20°以上30°未満である。第四緯線L4と第五緯線L5とに囲まれた領域は、第四領域Z4である。第五緯線L5の線上は、第四領域Z4には含まれない。第四領域Z4の緯度は、30°以上40°未満である。第五緯線L5と第六緯線L6とに囲まれた領域は、第五領域Z5である。第六緯線L6の線上は、第五領域Z5には含まれない。第五領域Z5の緯度は、40°以上50°未満である。第六緯線L6と第七緯線L7とに囲まれた領域は、第六領域Z6である。第七緯線L7の線上は、第六領域Z6には含まれない。第六領域Z6の緯度は、50°以上°60未満である。第七緯線L7と第八緯線L8とに囲まれた領域は、第七領域Z7である。第八緯線L8の線上は、第七領域Z7には含まれない。第七領域Z7の緯度は、60°以上70°未満である。第八緯線L8と第九緯線L9とに囲まれた領域は、第八領域Z8である。第九緯線L9の線上は、第八領域Z8には含まれない。第八領域Z8の緯度は、70°以上80°未満である。第九緯線L9に囲まれた領域は、第九領域Z9である。第九領域Z9の緯度は、80°以上90°以下である。図示されていないが、南半球26も、北半球24と同様に第一から第九の領域を備えている。
北半球24は、低緯度領域ZLと高緯度領域ZHとに区画されうる。低緯度領域ZLと高緯度領域ZHの区画線は、第四緯線L4である。低緯度領域ZLには、第一領域Z1、第二領域Z2及び第三領域Z3が含まれる。低緯度領域ZLの緯度は、0°以上30°未満である。高緯度領域ZHには、第四領域Z4、第五領域Z5、第六領域Z6、第七領域Z7、第八領域Z8及び第九領域Z9が含まれる。高緯度領域ZHの緯度は、30°以上90°以下である。仮想球において、低緯度領域ZLの表面積は高緯度領域ZHの表面積に等しい。図示されていないが、南半球26も、北半球24と同様に、低緯度領域ZL及び高緯度領域ZHを備えている。
高緯度領域ZHは、中間領域ZHmと極領域ZHpとに区画されうる。中間領域ZHmと極領域ZHpとの区画線は、第七緯線L7である。中間領域ZHmには、第四領域Z4、第五領域Z5及び第六領域Z6が含まれる。中間領域ZHmの緯度は、30°以上60°未満である。極領域ZHpには、第七領域Z7、第八領域Z8及び第九領域Z9が含まれる。極領域ZHpの緯度は、60°以上90°以下である。図示されていないが、南半球26も、北半球24と同様に、中間領域ZHm及び極領域ZHpを備えている。
図6は、図1のゴルフボール2の一部が示された拡大断面図である。この図6には、ディンプル12の最深部及びゴルフボール2の中心を通過する平面に沿った断面が示されている。図6における上下方向は、ディンプル12の深さ方向である。図6において二点鎖線28で示されているのは、仮想球である。ディンプル12は、仮想球28から凹陥している。ランド14は、仮想球28と一致している。
図6において両矢印Diで示されているのは、ディンプル12の直径である。この直径Diは、ディンプル12の両側に共通の接線Tが画かれたときの、一方の接点Edと他方の接点Edとの距離である。接点Edは、ディンプル12のエッジでもある。エッジEdは、ディンプル12の輪郭を画定する。非円形ディンプルの場合、その輪郭形状の面積と同一の面積を有する円が想定され、その円の直径が非円形ディンプルの直径とされる。
以下に、ディンプル12の種類数が定義される。
N1:第一領域Z1に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプル12の 種類数
N2:第二領域Z2に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプル12の 種類数
N3:第三領域Z3に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプル12の 種類数
N4:第四領域Z4に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプル12の 種類数
N5:第五領域Z5に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプル12の 種類数
N6:第六領域Z6に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプル12の 種類数
N7:第七領域Z7に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプル12の 種類数
N8:第八領域Z8に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプル12の 種類数
N9:第九領域Z9に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプル12の 種類数
NL:低緯度領域ZLに存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプル12 の種類数
NH:高緯度領域ZHに存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプル12 の種類数
NHm:中間領域ZHmに存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプル1 2の種類数
NHp:極領域ZHpに存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプル12 の種類数
種類数の決定において、直径が3.40mm未満のディンプル12は考慮されない。その理由は、直径が小さなディンプル12がディンプル効果に与える影響が小さいからである。
北半球24の第一領域Z1及び南半球26の第一領域Z1のそれぞれは、12個のディンプルBと、9個のディンプルCと、3個のディンプルDと、6個のディンプルFとを含んでいる。第一領域Z1の種類数N1は、4である。
北半球24の第二領域Z2及び南半球26の第二領域Z2のそれぞれは、6個のディンプルBと、12個のディンプルCと、8個のディンプルDと、4個のディンプルFを含んでいる。第二領域Z2の種類数N2は、4である。
北半球24の第三領域Z3及び南半球26の第三領域Z3はそれぞれ、6個のディンプルBと、7個のディンプルCと、2個のディンプルDと、6個のディンプルEと、4個のディンプルGと、3個のディンプルHとを含んでいる。第三領域Z3の種類数N3は、4である。種類数N3のカウントにおいて、ディンプルG及びディンプルHは考慮されない。
北半球24の第四領域Z4及び南半球26の第四領域Z4はそれぞれ、20個のディンプルBと、5個のディンプルEとを含んでいる。第四領域Z4の種類数N4は、2である。
北半球24の第五領域Z5及び南半球26の第五領域Z5はそれぞれ、15個のディンプルAを含んでいる。第五領域Z5の種類数N5は、1である。
北半球24の第六領域Z6及び南半球26の第六領域Z6はそれぞれ、10個のディンプルAを含んでいる。第六領域Z6の種類数N6は、1である。
北半球24の第七領域Z7及び南半球26の第七領域Z7はそれぞれ、10個のディンプルAを含んでいる。第七領域Z7の種類数N7は、1である。
北半球24の第八領域Z8及び南半球26の第八領域Z8はそれぞれ、10個のディンプルEを含んでいる。第八領域Z8の種類数N8は、1である。
北半球24の第九領域Z9及び南半球26の第九領域Z9はそれぞれ、5個のディンプルGと、1個のディンプルHとを含んでいる。第九領域Z9の種類数N9は、0である。種類数N9のカウントにおいて、ディンプルG及びディンプルHは考慮されない。
北半球24の低緯度領域ZL及び南半球26の低緯度領域ZLはそれぞれ、24個のディンプルBと、28個のディンプルCと、13個のディンプルDと、6個のディンプルEと、10個のディンプルFと、4個のディンプルGと、3個のディンプルHとを含んでいる。低緯度領域ZLの種類数NLは、5である。種類数NLのカウントにおいて、ディンプルG及びディンプルHは考慮されない。
北半球24の高緯度領域ZH及び南半球26の高緯度領域ZHはそれぞれ、35個のディンプルAと、20個のディンプルBと、15個のディンプルEと、5個のディンプルHと、1個のディンプルGを含んでいる。高緯度領域ZHの種類数NHは、3である。種類数NHのカウントにおいて、ディンプルG及びディンプルHは考慮されない。
北半球24の中間領域ZHm及び南半球26の中間領域ZHmはそれぞれ、25個のディンプルAと、20個のディンプルBと、5個のディンプルEを含んでいる。中間領域ZHmの種類数NHmは、3である。
北半球24の極領域ZHp及び南半球26の極領域ZHpはそれぞれ、10個のディンプルAと、10個のディンプルEと、5個のディンプルGと、1個のディンプルHとを含んでいる。極領域ZHpの種類数NHpは、2である。種類数NHpのカウントにおいて、ディンプルG及びディンプルHは考慮されない。
本発明では、境界線を跨いで存在するディンプル12の帰属は、その中心(面積重心)の位置によって決定される。例えば、第二緯線L2と交差し、かつ中心の緯度が0°以上10°未満であるディンプル12は、第二領域Z2ではなく、第一領域Z1に帰属する。
このゴルフボール2は、上記数式(I)を満たす。換言すれば、低緯度領域ZLの種類数NLは、高緯度領域ZHの種類数NHと同一か、又は種類数NHよりも大きい。このゴルフボール2は、上記数式(II)を満たす。換言すれば、低緯度領域ZLの種類数NLは、中間領域ZHmの種類数NHmよりも大きく、かつ極領域ZHpの種類数NHpよりも大きい。さらに、中間領域ZHmの種類数NHmは、極領域ZHpの種類数NHpと同一か、又は種類数NHpよりも大きい。このゴルフボール2では、種類数に偏りが存在する。このゴルフボール2では、赤道の近傍において、種類数が大きい。赤道の近傍は、ディンプルが整然と並びやすい。整然とした配置は、ディンプル効果を阻害する。本発明に係るゴルフボール2では、多数の種類のディンプル12が赤道の近傍に配置されるので、ディンプル12が整然と並びにくい。しかもこのゴルフボール2では、ディンプル12の中心が直線上に並んだときでも、その輪郭は整然と並ばない。種類数が多いことは、赤道近傍のディンプル効果を補う。このゴルフボール2では、大きな飛距離が得られる。
ディンプル効果の観点から、種類数NLと種類数NHとの差(NL−NH)は1以上がより好ましく、2以上が特に好ましい。図3から図5に示されたゴルフボール2では、種類数NLは5であり、種類数NHは3である。従って、差(NL−NH)は2である。
ディンプル効果の観点から、種類数NLと種類数NHmとの差(NL−NHm)は2以上がより好ましい。図3から図5に示されたゴルフボール2では、種類数NLは5であり、種類数NHmは3である。従って、差(NL−NHm)は2である。
ディンプル効果の観点から、種類数NLと種類数NHpとの差(NL−NHp)は2以上がより好ましく、3以上が特に好ましい。図3から図5に示されたゴルフボール2では、種類数NLは5であり、種類数NHpは2である。従って、差(NL−NHp)は3である。
ディンプル効果の観点から、ゴルフボール2が上記数式(III)を満たすことが好ましい。換言すれば、種類数NHmと種類数NHpの差(NHm−NHp)は1以上が好ましい。図3から図5に示されたゴルフボール2では、種類数NHmは3であり、種類数NHpは2である。従って、差(NHm−NHp)は1である。
ディンプル効果の観点から、ゴルフボール2が上記数式(IV)を満たすことが好ましい。図3から図5に示されたゴルフボール2では、種類数N1は4であり、種類数N2は4であり、種類数N3は4であり、種類数N4は2であり、種類数N5は1であり、種類数N6は1であり、種類数N7は1であり、種類数N8は1であり、種類数N9は0である。このゴルフボール2は、下記数式(VI)を満たす。
N1 = N2 = N3 > N4 > N5 = N6 = N7 = N8 = N9 (VI)
従って、このゴルフボール2は上記数式(IV)を満たす。ゴルフボール2が下記数式(VII)を満たすことがより好ましい。
N1 ≧ N2 ≧ N3 > N4 ≧ N5 ≧ N6 > N7 ≧ N8 ≧ N9 (VII)
低緯度領域ZLのディンプル12の数は、88個である。低緯度領域ZLにおいて、ディンプルBの数は24個であり、このディンプルBの数比率は27.3%である。ディンプルCの数は28個であり、このディンプルCの数比率は31.8%である。ディンプルDの数は13個であり、このディンプルDの数比率は14.8%である。ディンプルEの数は6個であり、このディンプルEの数比率は6.8%である。ディンプルFの数は10個であり、このディンプルFの数比率は11.4%である。ディンプル効果の観点から、低緯度領域ZLに含まれかつ直径が3.40mm以上であるディンプル12の、種類毎の数比率は、いずれも5%以上が好ましい。
高緯度領域ZHのディンプル12の数は、76個である。高緯度領域ZHにおいて、ディンプルAの数は35個であり、このディンプルAの数比率は46.1%である。ディンプルBの数は20個であり、このディンプルBの数比率は26.3%である。ディンプルEの数は15個であり、このディンプルEの数比率は19.7%である。ディンプル効果の観点から、高緯度領域ZHに含まれかつ直径が3.40mm以上であるディンプル12の、種類毎の数比率は、いずれも5%以上が好ましい。
中間領域ZHmのディンプル12の数は、50個である。中間領域ZHmにおいて、ディンプルAの数は25個であり、このディンプルAの数比率は50.0%である。ディンプルBの数は20個であり、このディンプルBの数比率は40.0%である。ディンプルEの数は5個であり、このディンプルEの数比率は10.0%である。ディンプル効果の観点から、中間領域ZHmに含まれかつ直径が3.40mm以上であるディンプル12の、種類毎の数比率は、いずれも5%以上が好ましい。
極領域ZHpのディンプル12の数は、26個である。極領域ZHpにおいて、ディンプルAの数は10個であり、このディンプルAの数比率は38.5%である。ディンプルEの数は10個であり、このディンプルEの数比率は38.5%である。ディンプル効果の観点から、極領域ZHpに含まれかつ直径が3.40mm以上であるディンプル12の、種類毎の数比率は、いずれも5%以上が好ましい。
低緯度領域ZLに存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプル12が直径の大きい順に列べられたときの、上位10%のディンプル12の平均直径Dxと下位10%のディンプル12の平均直径Dnとの比(Dx/Dn)は、1.10以上が好ましい。比(Dx/Dn)が1.10以上に設定されることにより、赤道近傍において大きなディンプル効果が得られる。この観点から、比(Dx/Dn)は1.12以上がより好ましく1.14以上が特に好ましい。比(Dx/Dn)は、1.80以下が好ましい。図3から図5に示されたゴルフボール2では、低緯度領域ZLは、24個のディンプルBと10個のディンプルFとを備えている。低緯度領域ZLにおける直径が3.40mm以上のディンプル12の数は81個なので、8個のディンプルBが上位10%のディンプル12に相当し、8個のディンプルFが下位10%のディンプル12に相当する。従って、比(Dx/Dn)は1.14である。
十分なディンプル効果が得られるとの観点から、ディンプル12の総数は300個以上が好ましく、310個以上がより好ましく、320個以上が特に好ましい。個々のディンプル12が十分な直径を備えうるとの観点から、総数は500個以下が好ましく、480個以下がより好ましく、460個以下が特に好ましい。
ディンプル効果の観点から、ディンプル12の総数に対するその直径が3.40mm以上であるディンプル12の数の比率Pnは、90%以上が好ましく、92%以上が特に好ましい。この比率Pnは、理想的には100%である。図3から図5に示されたゴルフボール2では、この比率Pnは92.1%である。
本発明に係るゴルフボール2は、互いに直径の異なる3種以上のディンプル12を備えている。種類数が3以上に設定されることにより、大きなディンプル効果が得られる。この観点から、種類数は4以上が好ましく、5以上が特に好ましい。製造の容易の観点から、種類数は16以下が好ましい。図3から図5に示されたゴルフボール2は、AからHの8種類のディンプル12を備えている。
ディンプル効果の観点から、直径が3.40mm以上であるディンプル12の種類数は3以上が好ましく、4以上がより好ましく、5以上が特に好ましい。製造の容易の観点から、直径が3.40mm以上であるディンプル12の種類数は16以下が好ましい。図3から図5に示されたゴルフボール2は、AからFの6種類の、直径が3.40mm以上であるディンプル12を備えている。
一方のディンプル12の直径が他方のディンプル12の直径と同等であり、一方のディンプル12の深さが他方のディンプル12の深さと異なる場合、両者は同一種類である。一方のディンプル12の直径が他方のディンプル12の直径と同等であり、一方のディンプル12の断面形状が他方のディンプル12の断面形状と異なる場合、両者は同一種類である。
製造誤差及び測定誤差に起因して、直径の実測値はばらつく。本発明では、直径の実測値と設計値との差が±0.05mm未満であるディンプル12は、設計値の直径を備えたディンプル12とされる。本発明では、ディンプル12の直径は、塗料が塗布されていないゴルフボール2において測定される。塗装層が除去された後のゴルフボール2において、直径が測定されてもよい。
ディンプル効果の観点から、直径が3.40mm未満であるディンプル12の直径は2.0mm以上が好ましく、2.50mm以上がより好ましく、3.00mm以上が特に好ましい。ディンプル効果の観点から、直径が3.40mm以上であるディンプル12の直径は3.60mm以上が好ましく、3.8mm以上がより好ましい。直径は、6.00mm以下が好ましい。直径が6.00mm以下に設定されることにより、実質的に球であるというゴルフボール2の本来的特徴が維持される。この観点から、直径は5.80mm以下がより好ましく、5.60mm以下が特に好ましい。
ディンプル12の面積sは、無限遠からゴルフボール2の中心を見た場合の、輪郭線に囲まれた領域の面積である。円形ディンプル12の場合、面積sは下記数式によって算出される。
s = (Di / 2) ・ π
図3から図5に示されたゴルフボール2では、ディンプルAの面積は16.62mmであり、ディンプルBの面積は15.55mmであり、ディンプルCの面積は14.52mmであり、ディンプルDの面積は13.85mmであり、ディンプルEの面積は13.20mmであり、ディンプルFの面積は11.95mmであり、ディンプルGの面積は8.04mmであり、ディンプルHの面積は7.07mmである。
本発明では、全てのディンプル12の面積sの合計の、仮想球28の表面積に対する比率は、占有率と称される。十分なディンプル効果が得られるとの観点から、占有率は70%以上が好ましく、72%以上がより好ましく、74%以上が特に好ましい。占有率は、88%以下が好ましく、86%以下がより好ましい。図3から図5に示されたゴルフボール2では、ディンプル12の合計面積は4700.2mmである。このゴルフボール2の仮想球28の表面積は5728.0mmなので、占有率は82.1%である。
本発明において「ディンプルの容積」とは、ディンプル12の輪郭を含む平面とディンプル12の表面とに囲まれた部分の容積を意味する。ゴルフボール2のホップが抑制されるとの観点から、ディンプル12の総容積は250mm以上が好ましく、260mm以上がより好ましく、270mm以上が特に好ましい。ゴルフボール2のドロップが抑制されるとの観点から、総容積は400mm以下が好ましく、390mm以下がより好ましく、380mm以下が特に好ましい。
ゴルフボール2のホップが抑制されるとの観点から、ディンプル12の深さは0.05mm以上が好ましく、0.08mm以上がより好ましく、0.10mm以上が特に好ましい。ゴルフボール2のドロップが抑制されるとの観点から、深さは0.60mm以下が好ましく、0.45mm以下がより好ましく、0.40mm以下が特に好ましい。深さは、接線Tとディンプル12の最深部との距離である。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
100質量部のハイシスポリブタジエン(ジェイエスアール社の商品名「BR−730」)、24.0質量部のアクリル酸亜鉛、10質量部の酸化亜鉛、適量の硫酸バリウム、0.5質量部のジフェニルジスルフィド(住友精化社)及び0.8質量部のジクミルパーオキサイド(日本油脂社)を混練し、ゴム組成物(a)を得た。このゴム組成物(a)を共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、170℃で20分間加熱して、直径が38.0mmのセンターを得た。一方、28質量部のアイオノマー樹脂(デュポン社の商品名「サーリン8945」)、27質量部の他のアイオノマー樹脂(デュポン社の商品名「サーリン9945」)、45質量部のスチレンブロック含有熱可塑性エラストマー(三菱化学社の商品名「ラバロンT3221C」)、1.0質量部の三次元形状を呈する酸化亜鉛(松下電器産業社の商品名「パナテトラWZ−0501」)、3.0質量部の二酸化チタン及び0.04質量部のウルトラマリンブルーを二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物(f)を得た。この酸化亜鉛は、図2に示された形状を呈する。この酸化亜鉛の針状部の平均長さは、10μmである。この樹脂組成物(f)を射出成形法にてセンターの周りに被覆し、センター及び中間層からなるコアを得た。中間層の厚みは、1.4mmであった。さらに、52質量部のアイオノマー樹脂(前述の商品名「サーリン8945」)、40質量部の他のアイオノマー樹脂(前述の商品名「サーリン9945」)、8質量部のスチレンブロック含有熱可塑性エラストマー(前述の商品名「ラバロンT3221C」)、2質量部の二酸化チタン及び0.04質量部のウルトラマリンブルーを二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物(j)を得た。上記コアを、内周面に多数のピンプルを備えたファイナル金型に投入し、コアの周囲に上記樹脂組成物(j)を射出成形法により注入して、カバーを成形した。カバーの厚みは、1.4mmであった。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状のディンプルが多数形成された。このカバーに、二液硬化型ポリウレタンを基材とするクリアー塗料を塗装し、直径が42.8mmであり質量が約45.4gである実施例1のゴルフボールを得た。このゴルフボールは、図3から図5に示されたディンプルパターンを有する。ディンプルの仕様の詳細が、下記の表4に示されている。ディンプルの分布が、下記の表6に示されている。
[実施例2から3]
センターの仕様を下記の表8に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2から3のゴルフボールを得た。センターの仕様の詳細が、下記の表1に示されている。
[比較例1]
中間層の仕様を下記の表8に示される通りとした他は実施例1と同様にして、比較例1のゴルフボールを得た。中間層の仕様の詳細が、下記の表2に示されている。
[比較例2から7]
ディンプルの仕様を下記の表8から10に示される通りとした他は実施例1と同様にして、比較例2から7のゴルフボールを得た。ディンプルの仕様の詳細が、下記の表4及び5に示されている。ディンプルの分布が、下記の表6及び7に示されている。
[比較例8]
センター及びカバーの仕様を下記の表10に示される通りとした他は実施例1と同様にして、比較例8のゴルフボールを得た。センターの仕様の詳細が、下記の表1に示されている。カバーの仕様の詳細が、下記の表3に示されている。
[比較例9から10]
センター及び中間層の仕様を下記の表10に示される通りとした他は実施例1と同様にして、比較例9から10のゴルフボールを得た。センターの仕様の詳細が、下記の表1に示されている。中間層の仕様の詳細が、下記の表2に示されている。
Figure 0004448123
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[打球感の評価]
ゴルファーにドライバーでゴルフボールを打撃させ、打球感について下記の通りに格付けさせた。
A:極めて良好
B:良好
C:不良
この結果が、下記の表8から10に示されている。
[飛距離テスト]
ツルテンパー社のスイングマシンに、チタンヘッドを備えたドライバー(SRIスポーツ社の商品名「XXIO」、シャフト硬度:S、ロフト角:10°)を装着した。ヘッド速度が45m/secである条件でゴルフボールを打撃して、発射地点から静止地点までの距離を測定した。10回測定されて得られたデータの平均値が、下記の表8から10に示されている。
Figure 0004448123
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Figure 0004448123
表8から10に示されるように、実施例のゴルフボールは、打球感及び飛行性能の両方に優れている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係るゴルフボールは、ゴルフ場でのプレーや、ドライビングレンジにおける練習に用いられうる。
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された模式的断面図である。 図2は、図1のゴルフボールの中間層に配合された金属酸化物が示された斜視図である。 図3は、図1のゴルフボールが示された拡大平面図である。 図4は、図3のゴルフボールが示された正面図である。 図5は、図4のゴルフボールの一部が示された拡大図である。 図6は、図1のゴルフボールの一部が示された拡大断面図である。 図7は、比較例2のゴルフボールが示された平面図である。 図8は、比較例3のゴルフボールが示された平面図である。 図9は、比較例4のゴルフボールが示された平面図である。 図10は、比較例5のゴルフボールが示された平面図である。 図11は、比較例6のゴルフボールが示された平面図である。 図12は、比較例7のゴルフボールが示された平面図である。
符号の説明
2・・・ゴルフボール
4・・・コア
6・・・カバー
8・・・センター
10・・・中間層
12・・・ディンプル
14・・・ランド
16・・・金属酸化物
22・・・針状部
24・・・北半球
26・・・南半球
28・・・仮想球
L1・・・第一緯線
L2・・・第二緯線
L3・・・第三緯線
L4・・・第四緯線
L5・・・第五緯線
L6・・・第六緯線
L7・・・第七緯線
L8・・・第八緯線
L9・・・第九緯線
P・・・極点
Z1・・・第一領域
Z2・・・第二領域
Z3・・・第三領域
Z4・・・第四領域
Z5・・・第五領域
Z6・・・第六領域
Z7・・・第七領域
Z8・・・第八領域
Z9・・・第九領域
ZL・・・低緯度領域
ZH・・・高緯度領域
ZHm・・・中間領域
ZHp・・・極領域

Claims (5)

  1. 球状のコアとこのコアの外側に位置するカバーとを備えており、このコアが球状のセンターとこのセンターの外側に位置する中間層とを備えたゴルフボールであって、
    中間層が、金属酸化物を含有するポリマー組成物からなり、
    この金属酸化物が、第一針状部、第二針状部及び第三針状部を備え、かつ、第一針状部の軸及び第二針状部の軸を含む平面に、第三針状部の軸が含まれない形状を呈しており、
    中間層のショアD硬度が32以上39以下であり、
    センターの圧縮変形量C1とコアの圧縮変形量C2との比(C1/C2)が1.09未満であり、
    センターの圧縮変形量C1とゴルフボールの圧縮変形量C3との比(C1/C3)が1.18以上であり、
    その表面に、互いに直径の異なる3種以上のディンプルを備えており、
    このディンプルの総数が300個以上であり、
    この総数に対するその直径が3.40mm以上であるディンプルの数の比率Pnが90%以上であり、
    ディンプルの種類数NL及びNHが下記数式(I)を満たし、
    ディンプルの種類数NL、NHm及びNHpが下記数式(II)を満たすゴルフボール。
    NL−NH ≧ 0 (I)
    (この数式(I)において、NLはその緯度が0°以上30°未満である低緯度領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表し、NHはその緯度が30°以上90°以下である高緯度領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表す。)
    NL > NHm ≧ NHp (II)
    (この数式(II)において、NLはその緯度が0°以上30°未満である低緯度領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表し、NHmはその緯度が30°以上60°未満である中間領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表し、NHpはその緯度が60°以上90°以下である極領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表す。)
  2. 上記圧縮変形量C3が3.2mm以上3.8mm以下である請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 上記ディンプルの種類数NL、NHm及びNHpが下記数式(III)を満たす請求項1又は2に記載のゴルフボール。
    NL > NHm > NHp (III)
  4. 上記ディンプルの種類数N1からN9が、下記数式(IV)を満たす請求項1から3のいずれかに記載のゴルフボール。
    N1 ≧ N2 ≧ N3 > N4 ≧ N5 ≧ N6 ≧ N7 ≧ N8 ≧ N9 (IV)
    (この数式(IV)において、N1はその緯度が0°以上10°未満である第一領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表し、N2はその緯度が10°以上20°未満である第二領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表し、N3はその緯度が20°以上30°未満である第三領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表し、N4はその緯度が30°以上40°未満である第四領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表し、N5はその緯度が40°以上50°未満である第五領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表し、N6はその緯度が50°以上60°未満である第六領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表し、N7はその緯度が60°以上70°未満である第七領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表し、N8はその緯度が70°以上80°未満である第八領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表し、N9はその緯度が80°以上90°以下である第九領域に存在しかつその直径が3.40mm以上であるディンプルの種類数を表す。)
  5. 上記金属酸化物が、三角錐の4つの頂点をそれぞれ一端とする4つの針状部を備え、これら4つの針状部の他端全てがこの三角錐の内部に存在する一点に位置している請求項1から4のいずれかに記載のゴルフボール。
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