JP4446585B2 - 樹脂複合体及びこれを用いた放射雑音抑制基板 - Google Patents

樹脂複合体及びこれを用いた放射雑音抑制基板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品、電子回路基板から発生する放射雑音を抑止することを目的とする使用に適した樹脂複合体及びこれを用いた放射雑音抑制基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器はますます高性能化・高密度化・デジタル化が進み、小型・多機能化も加速傾向にある。これに伴って、電子機器に搭載実装される半導体装置や混成集積回路装置も高速駆動が行われノイズの影響を極めて受けやすいものになってきた。従来の配線基板は、有機樹脂絶縁層に設けた銅やアルミニウム等の金属材料からなる配線導体層が高調波のノイズを伝搬させ易いこと等から配線導体層に外部電気回路から高調波のノイズが入り込んだ場合、このノイズがそのまま配線導体層を伝搬して半導体素子等の電子部品に入り込み、半導体素子等電子部品を誤動作させてしまうという欠点を有していた。
【0003】
また、半導体素子から発生する妨害波により、線間結合の増大や放射ノイズによる電磁干渉に起因する性能劣化や異常共振等が誘起され、電磁波障害が発生するという問題もある。
【0004】
従来このようないわゆる電磁波障害に対しては、回路にノイズフィルタを挿入したり、金属板や導電メッキ等の導電体で囲むといったシールディングを行ったりしているが、動作周波数の高周波化に伴い、この対策のみでは十分な効果が得られなくなってきている。そこで、回路基板をなす樹脂中に磁性体を混合し、基板自身で放射雑音を直接抑制することが効果的である。
【0005】
例えば、特開昭58−158813号公報には、「磁性と電気絶縁性を併せ持つ金属酸化物を含有する積層板用樹脂を、積層板用基材に含浸してなる電気用積層板」が開示されている。
【0006】
また、特開平11−192620号公報には、「ガラスクロスに、フェライト粉とエポキシ樹脂とを溶剤に混練してスラリー化したペーストを含浸し、乾燥して得られたプリプレグ」が開示されている。
【0007】
さらに、特開2000−13086号公報には、「軟磁性金属をゴムまたは合成樹脂マトリクス中に混合したものを板状に成形し、粉末の偏平な面が板の面に並行に配列されるように分散させてなり、表面に信号ライン、裏面にGnd電位の導体層を有する電磁波吸収能の高い電子回路基板、または、表面に信号ラインとGndライン、裏面に電源ラインの導体層を有する電磁波吸収能の高い電子回路基板」が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭58−158813号公報に記載されたものは、フェライト粉などの金属酸化物の割合が全体の50重量%を下回るため、放射雑音抑制回路基板として要求される減衰量が充分に得られないものであった。また、フェノール樹脂などの積層基板用樹脂とクラフト紙などの積層基板用基材との組み合わせであるため、薄肉化の際に必要とされる強度や、耐熱性の点でも問題があった。
【0009】
また、特開平11−192620号公報に記載されたものは、基板の複素比誘電率実数部ε′、複素比透磁率実数部μ′が6以下の場合、減衰量が2dB/cm以上にはならないことから、放射雑音抑制回路基板として充分な効果が得られないものであった。また、積層基板用基材としてガラスクロスを用いているため、加工性に問題があった。
【0010】
さらに、特開2000−13086号公報に記載されたものは、ゴムまたは合成樹脂等の絶縁物中に、軟磁性金属の粉末を分散させた構造であり、放射雑音の抑制はできるが、複素比誘電率実数部εr′が高くなるため、高周波での信号の波形品質が問題となり、回路基板として使用できないといった問題があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者は、上記課題を解消するために鋭意研究を繰り返したところ、合成樹脂に磁性体を含有した樹脂複合体において、前記磁性体として40体積%乃至80体積%のNi−Znフェライト粉末と、30体積%以下の絶縁体からなる補強材と、残部が合成樹脂からなり、前記補強材は不織布からなり、その目開きが10μm乃至1000μmであって、周波数200MHz乃至10GHzの帯域における複素比誘電率実数部εr′と複素比透磁率実数部μr′を6以下、且つ減衰量を2dB/cm以上とすることによって、電子部品、電子回路基板から発生する放射雑音を抑止することに適した樹脂複合体と出来るとともに、レーザー加工、ドリル加工、打ち抜き加工等が容易に出来ることを見出した。
【0013】
また、本発明は、前記Ni−Znフェライト粉末の平均粒子径を100μm以下にしたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記樹脂複合体からなる基板の片面または両面に導体層を有する放射雑音抑制基板としたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記樹脂複合体からなる層と導体層とを交互に積層するとともに、各導体層を電気的に接続して放射雑音抑制基板としたことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
本発明の樹脂複合体は、例えば、合成樹脂として用いるエポキシ樹脂等を適当な溶媒で希釈させ、表面をカップリング剤で処理されたNi−Znフェライト等の磁性体を混練してスラリー化したペーストをガラス不織布、アラミド不織布等に含浸し、乾燥、熱硬化して得られたものである。また、ガラス不織布、アラミド不織布等を用いない場合は、ドクターブレード成形、ロール成形等により、シート形状にし、乾燥、熱硬化して得られる。このような構成とすることによって、期待する複素比誘電率εr(=εr′−jεr″)、複素比透磁率μr(=μr′−jμr″)が得られ、また、厚さが薄く、高強度の樹脂複合体が得られる。
【0019】
また、このような樹脂複合体を用いて放射雑音抑制基板を形成する場合、非磁性層や接着剤を用いることなく、銅箔との接着やパターニングが実現でき、かつ多層化を実現することができる。こうしたパターニングや多層化処理は、公知の基板製造工程と同じ工程で製造できる。
【0020】
また、本発明の樹脂複合体は、磁性体として40体積%乃至80体積%のNi−Znフェライト粉末と、30体積%以下の絶縁体からなる補強材と、残部が合成樹脂からなり、前記絶縁体からなる補強材は、複素比誘電率実数部εr′が前記Ni−Znフェライトのεr′より小さいものを用い、周波数200MHz乃至10GHzの帯域において該樹脂複合体の複素比誘電率実数部εr′と複素比透磁率実数部μr′が6以下、且つ減衰量が2dB/cm以上であることが重要である。磁性体としてNi−Znフェライト粉末を用い、その配合比を40体積%乃至80体積%、好ましくは50体積%乃至60体積%とするのは、Ni−Znフェライト粉末が40体積%未満では、減衰量が小さくなり、放射雑音の抑制効果が得られないため実用的ではない。逆にNi−Znフェライト粉末の配合量が80体積%より多くなると、マトリックスである残部の樹脂が少なくなりすぎて、樹脂複合体の強度が著しく低下する。また、εr′が大きくなるため実用的ではない。但し、ここで用いられるNi−Znフェライト粉末は、焼結温度よりも著しく高い温度で焼成したものであることが重要である。例を挙げれば約10℃/分程度で昇温し、焼結温度1200℃乃至1300℃で、約2時間乃至3時間保持した後、700℃までは急冷を避けるよう冷却速度約5℃/分以内で冷却する。このようにして得られたNi−Znフェライト粉末は、磁気損失、抵抗値が高いため、これを用いて樹脂複合体を構成することによってεr′を6以下と低くし、かつ減衰量を2dB/cm以上と大きくすることが出来る。さらにNi−Znフェライト粉末の表面をカップリング剤で処理することによって、樹脂複合体の抵抗率が高くなり、さらに誘電率を下げることが出来る。また、Ni−Znフェライトの焼結温度より低い温度において液状化するような金属酸化物、例えば、B 、Bi 、SnO 、CuO、PbO、PdO、MoO のうち少なくとも1種をNi−Znフェライトに加えることにより、Ni−Znフェライト結晶粒の粒界に前記金属酸化物が拡散後、部分的に偏析することで、磁気損失を高めることができ、減衰量を2dB/cm以上とすることができる。このような樹脂複合体をコア材として用いて回路基板を形成する場合、εr′とμr′が6より大きくなると、高速信号ラインの信号波形品質すなわち立ち上がり波形の遅れやクロストークが問題となり好ましくない。さらに、減衰量が2dB/cm未満であると、該樹脂複合体に接している導電層に流れる高周波電流を減衰させることができず、共振現象が現れるため、放射雑音を抑制することが困難となる。
【0021】
尚、ここでいうεr′とは、樹脂複合体の複素比誘電率実数部のことで、μr′とは複素比透磁率実数部のことである。これらの測定は、周波数200MHz乃至1GHzまでは高周波電流電圧法、周波数1GHz乃至10GHzでは同軸サンプルホルダ法により測定することができる。以下詳細に説明すると、高周波電流電圧法で測定する場合は、例えば、インピーダンスアナライザーHP4291A(アジレントテクノロジー社製)からなるシステムを用いる。複素比誘電率εrは厚さ1.0mm±0.2mm、外径φ60mm±2mmの試料を用い、複素比透磁率μrは厚さ3mm±1mm、外径16mm±1mm、内径9mm±1mmのトロイダル形状の試料を用いて測定する。また、同軸サンプルホルダ法で測定する場合は、同軸サンプルホルダとネットワークアナライザ8510C(アジレントテクノロジー社製)からなるシステムを用いる。試料は厚さ3.0mm±0.2mm、外径3.05mm(+0.01mm −0mm)、内径6.99mm(+0mm −0.01mm)のトロイダル形状の試料を用いて測定する。尚、本発明の樹脂複合体の厚さが測定に必要な試料厚さより薄いときは、該樹脂複合体を所定の厚さになるように積層し、加熱した状態で、荷重を加え、樹脂複合体層間の隙間が無くなるように熱圧着を行い作製する。また、本発明の樹脂複合体の厚さが試料厚さより厚いときは、該樹脂複合体を所定の厚さまで研削を行い作製する。測定条件は、温度16℃乃至26℃、湿度30%乃至70%である。
【0022】
また、前記減衰量とは、高周波電流電圧法、同軸サンプルホルダ法で測定した複素比誘電率εr、および複素比透磁率μrより、伝搬定数を求め、数1により算出することができる。
【0023】
【数1】
Figure 0004446585
【0025】
但し、ここで用いられるNi−Znフェライト粉末は、焼結温度よりも著しく高い温度で焼成したものであることが重要である。例を挙げれば約10℃/分程度で昇温し、焼結温度1200℃乃至1300℃で、約2時間乃至3時間保持した後、700℃までは急冷を避けるよう冷却速度約5℃/分以内で冷却する。このようにして得られたNi−Znフェライト粉末は、磁気損失、抵抗値が高いため、これを用いて樹脂複合体を構成することによってεr′を6以下と低くし、かつ減衰量を2dB/cm以上と大きくすることが出来る。さらにNi−Znフェライト粉末の表面をカップリング剤で処理することによって、樹脂複合体の抵抗率が高くなり、さらに誘電率を下げることが出来る。また、Ni−Znフェライトの焼結温度より低い温度において液状化するような金属酸化物、例えば、B23、Bi23、SnO2、CuO、PbO、PdO、MoO3のうち少なくとも1種をNi−Znフェライトに加えることにより、Ni−Znフェライト結晶粒の粒界に前記金属酸化物が拡散後、部分的に偏析することで、磁気損失を高めることができ、減衰量を2dB/cm以上とすることができる。
【0026】
以上のように、本発明の樹脂複合体に充填される磁性体はNi−Znフェライト粉末であることが重要である。Ni−Znフェライト以外の磁性体、例えば、センダスト、Moパーマロイ、スーパーマロイ、ミューメタル、アモルファス合金等を合成樹脂中に分散した構造では、減衰量は大きいが、複素比誘電率実数部εr′が高くなるため、実用的ではない。
【0027】
Ni−Znフェライト粉末としては、例えば、Ni−Zn系フェライト、Ni−Zn−Cu系フェライト等が用いられる。本発明においてはこれらの磁性体のうち少なくとも1種類以上混合して用いることが出来るが、特にNi−Zn−Cu系フェライトは減衰量が大きく好結果が得られる。
【0028】
また、本発明の樹脂複合体において機械的強度を増すために、絶縁体からなる補強材を充填することが重要である。補強材の配合比としては、磁性体としてNi−Znフェライト粉末40体積%乃至80体積%、補強材30体積%以下、好ましくはNi−Znフェライト粉末50体積%乃至60体積%、補強材10体積%乃至25体積%であり、残部を合成樹脂とすることが好ましい。補強材が30体積%より多くなると、Ni−Znフェライト粉末を分散するマトリックスである残部の樹脂が少なくなりすぎて、成形体の機械的強度が著しく低下するため実用的ではない。さらに、補強材表面はカップリング剤で表面改質することが好ましい。
【0029】
また、前記磁性体をなすNi−Znフェライト、補強材の含有率(体積%)は、樹脂複合体の断面を反射電子像の画像分析をするか、その写真をトレースし、Ni−Znフェライト、補強材の面積占有率を測定し、この面積占有率をNi−Znフェライト、補強材の含有率とする。但し、前記断面は、図1に示すように、互いに直交する3方向a、b、cの断面からなり、それぞれの断面について、少なくとも10箇所測定し、各断面a、b、cの平均値で表している。
【0030】
また、磁性体をなすNi−Znフェライト粉末、補強材の平均粒径としては、100μm以下、好ましくは1μm乃至50μmとすることが好ましい。1μm未満では、フェライト粉末、補強材の表面積が大きくなることから、所定の量を充填すると該フェライト粉末、該補強材の表面の樹脂層が薄く、樹脂複合体の強度が著しく低下する。一方、100μmを超えると樹脂複合体の表面粗さが粗くなるため、その表面に均一な配線導体を形成することが困難となる。また、樹脂複合体の厚さを薄くすることが困難となる。
【0031】
このような樹脂複合体を構成する合成樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、フッ素樹脂、液晶ポリマー、ポリベンゾイミダゾール、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド等の1種以上を使用し、例えば、エポキシ樹脂から成る場合、ビスフェノール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、多官能性グリシジルアミン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等にアミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、酸無水物系硬化剤等の硬化剤を添加混合してペースト状のエポキシ樹脂前駆体を得るとともに該エポキシ樹脂前駆体をMEK(メチルエチルケトン)、アセトニトリル、メチルセロソルブ、エチルアルコール、メチルアルコール、アセトン、トルエン、2−プロパノール、エチレングリコール、キシレン、シクロヘキサン、Nメチルピロドリン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド等の溶剤で希釈し、適当な粘度のスラリーを作製し使用する。これらの中でもエポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂が特に好適である。
【0032】
絶縁体からなる補強材としては、複素比誘電率実数部εr′がNi−Znフェライトのεr′より小さいものを用い、特に、ケイ酸塩ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、リンケイ酸塩ガラス、シリカ、石英、アルミナ、マグネシア、ムライト、フォルステライト、ステアタイト、コーディエライト、セルジアン、アノーサイト、ジルコン、ムライト、スピネル、シラス、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の粒子、繊維、中空粒子、または合成繊維として、ポリエステル繊維、耐熱ナイロン繊維、PPTA型アラミド繊維、共重合型アラミド繊維、ポリオレフィン繊維、ビニロン繊維、フッ素系繊維、PBO繊維、ポリアリレート繊維、ポリエチエンテフタレート繊維、ナイロン繊維、ポリベンザゾール繊維、または天然繊維として、木綿、麻、絹等のものを1種以上用いる。
【0033】
さらに、前記繊維については、不織布として用いてもよい。不織布とは、所定の長さに切断した繊維をランダム方向に分散させて均一な厚みにし、それを結合剤により薄いマット状に成形したものである。
【0034】
また、補強材として前記不織布を用いる場合、その目開きを10μm乃至1000μm、好ましくは50μm乃至300μmとすること好ましい。目開きが10μm未満であると、フェライト粉末もしくは無機絶縁体粉末と合成樹脂の混練したペーストの樹脂分のみが不織布に染み込むことから、不織布とペーストの接着性が劣る。一方、目開きを1000μmより大きくすると、補強効果が得られないため、基板として好適に使用できない。ここで、目開きとは、不織布を反射電子像の画像分析をするか、その写真をトレースし、不織布の隙間の長さを少なくとも10箇所測定し、この平均値とする。
【0035】
Ni−Znフェライト粉末や補強材の表面改質に用いられるカップリング剤としては、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が使用でき、特にN−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランでは好結果が得られる。
【0036】
また、本発明の樹脂複合体を基板状とし、片面又は両面の少なくとも一部に導体層を備えて放射雑音抑制基板とできる。ここで、導体層は、銅箔、アルミニウム箔等の1種以上を使用できる。例えば、図2に示すように本発明の樹脂複合体12を未硬化の状態で導電層11と重ねて加熱加圧して成形することにより、放射雑音抑制基板1を形成することが出来る。この場合の導電層11は厚さ5μm〜40μm程度である。このような放射雑音抑制基板1を用いて、片面または両面パターニングを施すことによって、プリンター、テレビ、複写機等の電子回路のメインボードとして用いることができる。このような構成にすることによって、信号層、グランド層、電源層を流れる高周波電流を減衰させることができるため、共振現象、クロストーク等が無くなり、放射雑音を抑制することができる。
【0037】
また、本発明の樹脂複合体からなる層と導体層とを交互に積層すると共に、導体層を電気的に接続して放射雑音抑制基板とすることができる。ここで、導体層は、銅箔、アルミニウム箔等の1種以上を使用できる。例えば、図3に示す放射雑音抑制基板2は次に説明する工程で作製することができる。まず、本発明の樹脂複合体21を未硬化の状態で導体層22と重ねて加熱加圧後、両面にパターニングを施す。さらに、両面に本発明の樹脂複合体23と導体層24を重ねて加熱加圧後、両面にパターニングを施すことによって放射雑音抑制基板2を得ることが出来る。また、導体層22、導体層24はスルーホール内のメッキ膜25、ビアホール内の導電性ペースト26を介して電気的に接続されている。メッキ膜25は、放射雑音抑制基板2にドリル加工、レーザー加工、打ち抜き加工のいずれかの方法で形成されたスルーホールにメッキ膜25を形成し得ることが出来る。また、ビアホール内に充填された導電性ペースト26は、未硬化の樹脂複合体21又は23にドリル加工、レーザー加工、打ち抜き加工のいずれかの方法で形成したビアホール内に導電性ペーストを充填することにより得られる。尚、メッキ膜25は、Cuメッキ、Niメッキ、Auメッキ、Pdメッキの1種以上を用いることが出来る。また、導電性ペースト26は、合成樹脂中に金属粉末、金属箔、鱗片状黒鉛、球状化黒鉛カーボンファイバー等を充填したものを用いることが出来る。
【0038】
このような構成にすることで、積層プリント基板として、高密度実装が可能となり、携帯電話、PHS、パソコン、デジタルカメラ、GPSアンテナモジュール、光伝送装置、BS/CSチューナー、ゲーム機器等の電子回路のメインボードとして用いることができる。
【0039】
【実施例】
以下本発明の具体的実施例を説明する。
実施例1
磁性体の充填量を変えることによって、複素比誘電率実数部εr′、複素比透磁率実数部μr′、減衰量が異なる試料を作製し、200MHz〜3GHzまでの放射電界強度を調べる実験を行った。本実験にあたり、合成樹脂にはエポキシ樹脂、フェライトにはNi−Zn−Cuフェライト、補強材にはガラス繊維を用いた。試料は、エポキシ樹脂、Ni−Znフェライト、ガラス繊維をトルエンで希釈させ、これを混練してスラリー化したペーストをドクターブレード成形により、シートにし、乾燥させた後、両面に電解銅箔(厚さ18μm)を積層、熱圧着し、熱硬化することによって、外径70mm×70mm、厚さ1mmとし、放射電界強度測定時には、前記両面銅箔付き試料に疑似信号を流した状態にした。
【0040】
また、得られた合成樹脂について200MHz〜10GHzまでのεr、μrを測定し、また、これらの測定結果をもとに数1によって減衰量を算出した。尚、放射電界強度の測定は、VCCI3m法に準拠して行った。周波数200MHz〜3GHzまでの放射電界強度が、ガラスフッ素基板(εr′=2.6、μr′=1)を用いた場合と比較して最大20dBμV/m減衰したときを○、それ以外のときを×とした。
【0041】
その結果を表1に示す。
【0042】
表1によれば、εr′、μr′が6以下、且つ減衰量が2dB/cm以上であり、40乃至80体積%のNi−Znフェライトと30体積%以下のガラス繊維からなる本発明実施例(No.1〜No.4)については、放射雑音抑制効果が得られたが、本発明の範囲外(No.5〜No.7)のものは、放射雑音抑制効果が得られなかった。
【0043】
【表1】
Figure 0004446585
【0044】
実施例2
次に、含有する磁性体が異なる試料を作製し、200MHz〜3GHzまでの放射電界強度を調べる実験を行った。本実験にあたり、該合成樹脂にはエポキシ樹脂、補強材にはアラミド不織布、そして磁性体にはNi−Znフェライト、Ni−Zn−Cuフェライト、Mo−パーマロイ、センダスト、フェロシリコンを用いた。配合比は、エポキシ樹脂30体積%、アラミド不織布10体積%、磁性体60体積%である。試料は、該エポキシ樹脂、各種磁性体をトルエンで希釈させ、これを混練してスラリー化したペーストを、アラミド不織布に含浸し、乾燥、両面に電解銅箔(厚さ18μm)を積層、熱圧着し、熱硬化することによって、外径70mm×70mm、厚さ1mmとし、放射電界強度測定時には、前記両面銅箔付き試料に疑似信号を流した状態にした。得られた試料について、実施例1と同様にεr、μrを測定し、これらの測定結果をもとに減衰量を算出した。また、放射電界強度の測定も、実施例1と同様の方法で評価した。その結果を表2に示す。
【0045】
表2によれば、磁性体にNi−Znフェライト、Ni−Zn−Cuフェライトを用いた本発明実施例(No.8〜No.9)については、信号の波形品質、放射雑音抑制効果ともに良好であったが、磁性体にMo−パーマロイ、センダスト、フェロシリコンを用いた試料(No.10〜No.12)については、εr′が非常に高いため、信号の波形品質が悪い結果となった。
【0046】
【表2】
Figure 0004446585
【0047】
実施例3
次に、Ni−Znフェライトの平均粒子径、補強材の種類、補強材の平均粒子径が異なる試料を作製し、加工性、成形体の表面平滑性、3点曲げ強度を調べる実験を行った。本実験にあたり、樹脂複合体には合成樹脂にはエポキシ樹脂、補強材にはシリカ、ガラス繊維、ガラス不織布、アラミド不織布、そしてカップリング剤にはN−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを用いた。また、前記樹脂複合体のεr′、μr′が6以下、減衰量の最小値が2dB以上になるようにエポキシ樹脂、Ni−Znフェライト、補強材の配合比を調整した。試料は、実施例1、2と同様の方法で作製し、得られた試料について、加工性、表面の平滑性、3点曲げ強度を測定した。加工性の評価は、打ち抜き加工、ドリル加工、レーザー加工後に割れ、欠け、寸法バラツキ、溶融等が発生したものを×、それ以外のものを○とした。表面の平滑性の評価は、面粗さを測定しRa=3μm以上のものを×、それ以外のものを○とした。また、3点曲げ強度の測定はJIS K 6911に準拠して行った。その結果を表3に示す。
【0048】
表3によれば、Ni−Znフェライト粒子径、補強材粒子径が100μm以下の試料(No.13、14)は、すべて加工性、表面の平滑性が良好で、3点曲げ強度も150MPa以上得られたが、Ni−Znフェライトの平均粒子径が100μmを超える試料(No.17、No.20)、補強材の平均粒子径が100μmを超える試料(No.18、No.19)は、加工性、表面の平滑性が悪く、3点曲げ強度も低い結果となった。また、補強材にアラミド不織布を用いた試料について、不織布の目開きが10μmより小さい試料(No.21)では、加工性、表面の平滑性が悪く、3点曲げ強度についても低い結果となった。逆に不織布の目開きが1000μmより大きい試料(No.22)では、3点曲げ強度が著しく低い結果となった。
【0049】
【表3】
Figure 0004446585
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、周波数200MHz乃至10GHzの帯域において、樹脂複合体のεr′、μr′が6以下、且つ減衰量が2dB/cm以上の樹脂複合体を電子回路基板として用いることによって、基板からの放射雑音を効果的に抑制できる電子部品、電子回路基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂複合体におけるフェライト粉末と補強材の充填率を測定する位置を示す概略図である。
【図2】本発明の放射雑音抑制基板を示す断面図である。
【図3】本発明の放射雑音抑制基板を示す断面図である。
【符号の説明】
1、2:放射雑音抑制基板
12、21、23:樹脂複合体
11、22、24:導体層
25:メッキ膜
26:導電性ペースト

Claims (4)

  1. 合成樹脂に磁性体を含有した樹脂複合体において、前記磁性体として40体積%乃至80体積%のNi−Znフェライト粉末と、30体積%以下の絶縁体からなる補強材と、残部が合成樹脂からなり、前記補強材は不織布からなり、その目開きが10μm乃至1000μmであって、周波数200MHz乃至10GHzの帯域における複素比誘電率実数部εr′と複素比透磁率実数部μr′が6以下であり、かつ減衰量が2dB/cm以上であることを特徴とする樹脂複合体。
  2. 前記Ni−Znフェライト粉末の平均粒子径が100μm以下であることを特徴とする請求項記載の樹脂複合体。
  3. 請求項1または2に記載の樹脂複合体からなる基板の片面または両面に導体層を有することを特徴とする放射雑音抑制基板。
  4. 請求項1または2に記載の樹脂複合体からなる層と導体層とを交互に積層するとともに、各導体層を電気的に接続して成る放射雑音抑制基板。
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