JP4446542B2 - 水解紙の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水解紙及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年水解紙を用いたウェットシートは、清掃用清拭シートのように対物用をはじめとして、ベビーのおしりの清拭を目的とする対人用清拭材として幅広く使われるようになり、その性能に対する要求も高いレベルとなってきた。従来の水解紙、特に対人用の水解紙は、「使用感・風合い」を重視するあまりに湿潤時の破断強度が低く、使用時(清拭時)あるいはシート収納容器からの引き出し時にシートが破れることがあった。「破断強度」と「使用感・風合い」との両立を図ろうとすると、水解紙の本来の特徴である「水解性」が悪くなり、「破断強度」、「使用感・風合い」、「水解性」のすべての機能を満たす水解性シートを得ることは困難である。
【0003】
それを解決する技術として特開平5−179548号公報のように特殊なバインダを用い強度アップと水解性との両立を試みた例がある。しかし、バインダの増量と共に使用感の低下がみられる。また特開平9−228214号公報のようにウォータージェットを用い、繊維を高水圧で絡合させ水解紙の破断強度をアップさせる試みもある。しかし、水解性能が著しく低下し、トイレ詰まりの原因となる可能性があり品質上不充分であった。
【0004】
従って、本発明は、水解性、湿潤時の破断強度及び使用感のすべての条件を満たす水解紙及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、パルプ80〜99重量%及び平均繊維長2〜7mmのセルロース系繊維1〜20重量%を含む繊維成分を含有するスラリーを調製し、次いで該スラリーに水溶性アニオン性バインダ及び水溶性カチオン性ポリマーを、それぞれの濃度が1〜5重量%及び1〜3重量%となるように添加して抄紙原料を調製し、その後、該抄紙原料を抄紙して湿潤した繊維ウエブを形成し、続いて該繊維ウエブに、該繊維ウエブの幅方向に亘り0.5〜5mm間隔で配列されている、孔径0.05〜0.2mmの噴射ノズルから高圧水流を噴射して該繊維ウエブを構成する繊維を絡合させた後、該繊維ウエブを乾燥させ、然る後、乾燥された該繊維ウエブに所定の清浄薬液を含浸させる水解紙の製造方法を提供するものである。
【0007】
本発明によれば、湿潤した水解紙に所定の破断伸長を付与することにより、使用時または容器からの引き出し時に加わる破断の原因となる力を伸びで緩和させ、容易に破れにくく且つ水解性が損なわれにくい水解紙が提供される。また、この水解紙の伸びは、ベビーのおしりなど湾曲した部分の清拭性の向上にも寄与する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の水解紙はウエットタイプのものであり、パルプ80〜99重量%及び平均繊維長2〜7mmのセルロース系繊維1〜20重量%を含む繊維成分と、水溶性アニオン性バインダと、水溶性カチオン性ポリマーとを含有し、該水溶性アニオン性バインダと該水溶性カチオン性ポリマーとが内添されており、下記一般式(1)で表される湿潤時の破断に要する仕事量が10〜30N・mmであることを特徴とするものである。
【数1】
Figure 0004446542
【0010】
前記仕事量を前記範囲内とすることで、水解性、使用感、風合いという機能すべてが高いレベルで実現される。前記仕事量が10N・mm未満では、湿潤状態で使用した時に破れやすく、例えば本発明の水解紙を清拭シートとして用いる場合に満足できるレベルとならない。一方、前記仕事量が30N・mmを超えると、風合いが悪くなるか、或いは水解性が悪化する。前記仕事量は、15〜25N・mmであることが好ましい。前記仕事量は、前記一般式(1)で定義されるように、水解紙の幅方向における湿潤時破断伸長と、水解紙の幅方向における湿潤時破断強度との積で表される。その理由として、紙は一般に幅方向の方が流れ方向よりも湿潤時破断強度が低く、清拭時の破れの基準とできるためであり、また積層されて容器に収納された状態で1枚ずつ容器から取り出される場合、一般に紙の幅方向での引き出しが多く、引き出し時の破れの目安となるためである。
【0011】
繊維成分については、十分な湿潤時破断強度を保つことを目的として、パルプの量を75重量%よりも少くすると、水解性が悪くなり、逆に水解性を改善しようとすれば湿潤時破断強度が不十分となるため、結局湿潤時破断強度と水解性との両立ができない。
【0012】
更に、繊維成分に関し、セルロース系繊維として平均繊維長が2mmより短いものを使用すると、繊維どうしの交絡が困難になるので、水解紙の風合い及び湿潤時破断強度ともに不十分となる。
【0013】
本発明の水解紙に含有される繊維成分には、パルプ及び前記セルロース系繊維がある。パルプとしては種々のものが使用でき、具体的には架橋もしくは非架橋の木材パルプ、非木材パルプ及び古紙パルプなどが挙げられる。パルプの量は前述の通り、繊維成分の全量に対して75重量%以上である。パルプの更に好ましい含有量は80重量%以上である。パルプの量の上限値は99重量%が好ましい。
【0014】
セルロース系繊維としてはレーヨンを用いることが好ましい。勿論、これ以外のセルロース系繊維を用いることもできる。セルロース系繊維は、繊維成分の全量に対して、好ましくは25重量%以下、更に好ましくは20重量%以下含有される。セルロース系繊維の量の下限値は、1重量%が好ましい。セルロース系繊維は、その平均繊維長が2mm以上であり、好ましくは2〜7mm、更に好ましくは3〜5mmである。平均繊維長とは、長さ加重平均繊維長を意味する。尚、ここでいうセルロース系繊維には前述のパルプは包含されない。
【0015】
繊維成分として、前述のパルプ及びセルロース系繊維に加えて、他の繊維を、本発明の効果を損なわない範囲で用いてもよい。
【0016】
水溶性バインダは、アニオン性バインダからなる。アニオン性バインダと、後述する水溶性カチオン性ポリマーとの併用によって湿潤時破断強度及び良好な使用感が高いレベルで両立されるので好ましい。アニオン性バインダとして具体的には、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン及びポリアクリル酸等から選ばれる1種又は2種以上を使用できる。特に水解紙の加工性及びコスト面から、カルボキシメチルセルロースが好ましい。水溶性アニオン性バインダは、パルプ及びセルロース系繊維の合計量に対して0.5〜20重量%、特に1〜5重量%含有されることが水解紙の使用感の面から好ましい。
【0017】
本発明においては前述の通り水溶性アニオン性バインダと水溶性カチオン性ポリマーを併用す。特に、水溶性カチオン性ポリマーとして、20℃での20重量%水溶液の粘度が9〜300mPa・s、特に9〜200mPa・sとなるような分子量のものを使用すると、水解紙の歩留まりを向上させ得る点から好ましい。更に、下記式(2)で表される繰り返し単位を有する構造の水溶性カチオン性ポリマーを使用すると、湿潤時破断伸長を適度な範囲に制御しやすくなり、かつ後述するように水溶性アニオン性バインダを水解紙の抄紙原料中に内添することが可能となるので、本発明の効果を得やすくなり好ましい。
【0018】
【化1】
Figure 0004446542
【0019】
前記水溶性カチオン性ポリマーを構成する前記式(2)で表される繰り返し単位において、X- で表される陰イオンとしてはハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン及びアルキル基を有するアルキル硫酸イオン等が挙げられる。
【0020】
前記式(2)で表される繰り返し単位を有する前記水溶性カチオン性ポリマーとしては、該繰り返し単位のみで構成されているものを用いてもよい。特に、繰り返し単位として他のビニル系単量体を前記水溶性カチオン性ポリマー重量の1〜70重量%、特に1〜50重量%含むものを用いることが、歩留まり向上のために好ましい。具体的には、特開平3−193996号公報の第3頁右上欄6〜10行に記載のものが使用できる。
【0021】
水溶性カチオン性ポリマーは、繊維成分の全量に対して0.5〜20重量%、特に1〜5重量%含有されることが、アニオン性バインダのパルプへの定着が効果的に行われる点から好ましい。
【0022】
本発明の水解紙は、清浄薬液等の液体が含浸されているウエットタイプのものである。ウエットタイプである本発明の水解紙は、その破断伸長(湿潤時破断伸長)が好ましくは5〜15mm、更に好ましくは7.5〜12.5mmとなされている。斯かる範囲の破断伸長であることによって、水解紙の使用中に破れが生じる場合、水解紙が突然破れることが防止され、次第に伸びて破れることになる。つまり、本発明の水解紙は、伸びに対する「粘り」があり、その結果、柔らかく、風合いの良い感触を使用者に与え、また長時間の使用が可能となる。水解紙の破断伸長を前記範囲内とするには、前記水溶性アニオン性バインダ及び前記水溶性カチオン性ポリマーが内添された抄紙原料を用いてを抄紙した後、得られた繊維ウエブに高圧水流を噴射することによって水解紙を製造すればよい。湿潤時破断伸長は、水解紙の幅方向において前記範囲内であればよく、特に好ましくは流れ方向及び幅方向の双方において前記範囲内となっている。
【0023】
前記湿潤時破断伸長と同様の理由により、本発明の水解紙は、その破断伸度(湿潤時破断伸度)が好ましくは10〜30%、更に好ましくは15〜25%となされている。
【0024】
前記湿潤時破断伸長及び前記湿潤時破断伸度は以下の方法で測定される。
即ち、水解紙を幅25mm×長さ150mmにカットし、水解紙の重量の2倍の清浄薬液を含浸させる。この清浄薬液としては、後述する実施例の配合組成を有するものが用いられる。テンシロン試験機を用い、含浸後の水解紙を、チャック間隔100mm、引張速度100mm/minで引っ張り、破断時の引張伸度(%)を求める。この値を湿潤時破断伸度とする。この湿潤時破断伸度の値をもとに、水解紙の長さを50mmに換算したときの破断臨界時の伸び(=破断臨界時長さ−元の長さ)を、湿潤時破断伸長とする。
【0025】
本発明の水解紙は、その破断強度(湿潤時破断強度)が1〜5N/25mm、特に1〜3N/25mmとなされていることが好ましい。斯かる範囲の破断強度であることによって、本発明の水解紙は使用時の強度が十分に保たれる。そして、本発明の水解紙は、湿潤時破断強度が前記範囲内となされると共に、前述した湿潤時破断伸長が前記範囲内となされることによって、柔らかく風合いが良いにもかかわらず使用時に十分な強度が発現して破れ難く、また破れる場合にも次第に伸びて破れるという、従来の水解紙にない顕著な特徴を有するものになる。水解紙の湿潤時破断強度を前記範囲内とするには、例えば、前述した湿潤時破断伸長を前記範囲内にする手段と同様の手段を用いることができる。湿潤時破断強度は、水解紙の幅方向において前記範囲内であればよく、特に好ましくは流れ方向及び幅方向の双方において前記範囲内となっている。
【0026】
前記湿潤時破断強度は、前述の湿潤時破断伸長及び湿潤時破断伸度と同様の装置及び条件にて測定される。
【0027】
前記清浄薬液が含浸される前の水解紙は、その坪量が10〜100g/m2 、特に40〜60g/m2 であることが、使用感の面の点から好ましい。
【0028】
本発明に用いられる前記清浄薬液としては、水溶性溶剤、金属イオン及び水を含有するものが好ましく用いられる。清浄薬液は、乾燥状態(即ち、該清浄薬液を含浸させる前)の水解紙の重量に対して100〜300重量%、特に200〜250重量%含浸されることが、十分な洗浄効果が発現し、また使用時の操作性が良好となる点から好ましい。
【0029】
前記水溶性溶剤としては、例えば特開平3−193996号公報の第4頁右上欄16行〜左下欄8行に記載の水溶性有機溶剤が挙げられ、特に使用感や安全性の面から、グリコール類を用いることが好ましい。前記水溶性溶剤は、前記洗浄薬液中に5〜50重量%、特に8〜30重量%含有されることが、使用感の点から好ましい。
【0030】
前記金属イオンとしては、例えば特開平3−193996号公報の第4頁左上欄10〜15行に記載のものが挙げられ、具体的にはアルカリ土類金属、マンガン、亜鉛、コバルト及びニッケルから選ばれる1種類又は2種類以上の金属イオンが用いられる。特にコストの点から、アルカリ土類金属を用いることが好ましい。前記金属イオンは、例えば水酸化物、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、蟻酸塩、酢酸塩等の水溶性金属塩の形で供給される。前記金属イオンは、水解紙中において、前記水溶性アニオン性バインダ中のアニオン基1モルに対して1/4モル以上、好ましくは1/2モル以上存在するように前記洗浄薬液中に添加される。
【0031】
水は、前記洗浄薬液中に50〜95重量%、特に70〜92重量%含有されることが、使用感の点から好ましい。
【0032】
前記洗浄薬液には、必要に応じて各種界面活性剤、殺菌剤、消臭剤等を添加することもできる。
【0033】
洗浄薬液が含浸されてなる本発明の水解紙は、その水解性(JIS P 4501−1993)が好ましくは80秒以下、更に好ましくは20〜40秒となる。
【0034】
本発明の水解紙は、例えば対人・対物用の清拭シートとして好適に用いられる。
【0035】
次に、本発明の水解紙の好ましい製造方法を、図1を参照しながら説明する。図1には、本発明の水解紙の製造に好ましく用いられる製造装置が示されている。この製造装置1は、大別して、原料供給部2,抄紙部3、水流絡合部4、乾燥部5及び巻取部6から構成されている。
【0036】
原料供給部2は、抄紙原料の貯蔵タンク21及び貯蔵タンク21中の抄紙原料を抄紙部3に供給する供給ヘッド22を備えている。抄紙部3は、ワイヤーメッシュからなり所定方向に回動する無端縁ベルト31及び無端縁ベルト31の回動軌道内において無端縁ベルト31に隣接して設置された吸引ボックス32を備えている。水流絡合部4は、高圧水流の噴射ノズル41を備えている。噴射ノズル41は、抄紙部3において形成された繊維ウエブの幅方向に亘って複数個が所定間隔を置いて配列されている。乾燥部5はヤンキードライヤー51から構成されている。
【0037】
図1に示す製造装置を用いた本発明の水解紙の製造方法について説明すると、先ず、パルプ及び前記セルロース系繊維を含有するスラリーを調製し、このスラリーに前記水溶性アニオン性バインダ及び前記水溶性カチオン性ポリマーを添加して両者を均一に混合する。これによって抄紙原料が得られる。抄紙原料中の、パルプの濃度は固形分基準で75重量%以上とする。抄紙原料中の前記水溶性アニオン性バインダ及び前記水溶性カチオン性ポリマーの濃度は、それぞれ1〜5重量%、1〜3重量%であることが、コスト、使用感の点から好ましい。
【0038】
このようにして得られた抄紙原料は貯蔵タンク21中に貯蔵され、供給ヘッド22を通じて無端縁ベルト31上に供給される。供給された抄紙原料は無端縁ベルト31上で漉き取られ、無端縁ベルト31上にはパルプ及び前記セルロース系繊維を主体とする湿潤した繊維ウエブ10が形成される。繊維ウエブ10は、吸引ボックス32によって所定の含水率まで脱水される。この場合、抄紙原料中に前記水溶性カチオン性ポリマーが含有されているので、抄紙に際して前記水溶性アニオン性バインダが水と共に流出してしまうことはない。
【0039】
次いで、繊維ウエブ10は噴射ノズル41から噴射された高圧水流によって、その構成繊維が絡合される。水解紙の製造において繊維ウエブに高圧水流を噴射することは従来行われていたが、その場合、バインダは、高圧水流を噴射した後に噴霧等によって外添されていた。これに対して、本製造方法においては、バインダは内添されている。その結果、外添法に比してバインダの使用量のコントロールが容易となり、またバインダの使用量も低減できる。また、高圧水流を噴射した後にバインダを添加しないことから、片面に極端にバインダが付着せず均一に分散される。また2層又は3層にプライ加工する必要がないので、柔らかな風合いが維持され、嵩高な水解紙となる。更に、前記湿潤時破断伸長及び前記湿潤時破断強度が前記範囲内となる水解紙が容易に得られる。特に前記絡合が起こることによって、従来よりも少量のバインダを用いても水解紙の強度が十分に保たれ、得られる水解紙が硬くなることが効果的に防止されて風合いが一層良好となる。
【0040】
高圧水流を噴射する噴射ノズル41は、その孔径が0.05〜0.2mm、特に0.1〜0.125mmであることが、風合いの点から好ましい。また、噴射ノズル41は、繊維ウエブ10の幅方向に亘り0.5〜5mm、特に0.5〜2mm間隔で配列されていることが、風合いの点から好ましい。尚、図示していないが、繊維ウエブ10における噴射ノズル41と対向する面と反対側の面には、該繊維ウエブ10を支持するためのワイヤーメッシュが配されている。
【0041】
高圧水流が噴射された繊維ウエブ10は、次いでヤンキードライヤー51によって乾燥され、引き続き巻き取り部5において巻き取られる。その後、別工程において、所定間隔で幅方向にミシン目が入れられるか又は裁断され、更に前記洗浄薬液が所定量含浸されて本発明の水解紙が得られる。
【0042】
【実施例】
以下の例中、特に断らない限り「%」及び「部」はそれぞれ「重量%」及び「重量部」を意味する。
【0043】
〔実施例1〕
NBKP80部及び平均繊維長5mmのレーヨン繊維20部を水に分散させて濃度7.5%のスラリーを得た。このスラリーに、下記式(3)で表される繰り返し単位を有する水溶性カチオン性ポリマー(20℃における20%水溶液の粘度35mPa・s)及びカルボキシメチルセルロースを、NBKP及びレーヨン繊維の合計量100部に対して、それぞれ表1に示す値となるように添加し均一に混合して抄紙原料を得た。
【0044】
【化2】
Figure 0004446542
【0045】
この抄紙原料を用いて抄紙を行い湿潤した繊維ウエブを形成した。この繊維ウエブに、表1に示す条件で高圧水流を噴射して繊維ウエブを構成する繊維を絡合させた。絡合後の繊維ウエブをヤンキードライヤーで乾燥させて表1に示す坪量の紙を得た。この紙に、塩化カルシウム/1,3−ブタンジオール水=3/18/79(重量比)からなる清浄薬液を、紙の重量に対して200%含浸させて水解紙を得た。
【0046】
〔実施例2〕
実施例1における水溶性カチオン性ポリマーに代えて、下記式(4)で表される繰り返し単位を有する水溶性カチオン性ポリマー(20℃における20%水溶液の粘度35mPa・s)を用いた。また、紙の組成及び高圧水流を噴射を表1に示す通りとした。それ以外は実施例1と同様にして水解紙を得た。
【0047】
【化3】
Figure 0004446542
【0048】
〔比較例1〜4〕
実施例1において、紙の組成及び高圧水流の噴射条件を表1に示す通りとする以外は実施例1と同様にしてそれぞれ水解紙を得た。
【0049】
〔性能評価〕
実施例及び比較例で得られた水解紙について、前述の方法で湿潤時破断伸長及び湿潤時破断強度を測定した。また、水解性(JIS P 4501−1993)を測定した。更に、以下に述べる方法で清拭時破れ率及び風合いを評価した。これらの結果を表1に示す。
【0050】
〔清拭時破れ率〕
10名のパネラーに、各水解紙100枚をあかちゃんの清拭に使用してもらい、100枚中破れた水解紙の割合を清拭時破れ率とした。
【0051】
〔風合い〕
水解紙を150mm(幅方向)×200mm(流れ方向)にカットし、10名のパネラーに対して手触りテストを行い評価した。評価段階は以下の通りである。
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
【0052】
【表1】
Figure 0004446542
【0053】
表1に示す結果から明らかなように、本発明の水解紙は、水中での崩壊分散性及び強度を損なうことなく優れた風合いを有するものであることが判る。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、水解性、湿潤時の破断強度及び使用感のすべての条件を満たす水解紙及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水解紙の製造に好ましく用いられる製造装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1 製造装置
2 原料供給部
3 抄紙部
4 水流絡合部
41噴射ノズル
5 乾燥部
6 巻取部

Claims (2)

  1. パルプ80〜99重量%及び平均繊維長2〜7mmのセルロース系繊維1〜20重量%を含む繊維成分を含有するスラリーを調製し、次いで該スラリーに水溶性アニオン性バインダ及び水溶性カチオン性ポリマーを、それぞれの濃度が1〜5重量%及び1〜3重量%となるように添加して抄紙原料を調製し、その後、該抄紙原料を抄紙して湿潤した繊維ウエブを形成し、続いて該繊維ウエブに、該繊維ウエブの幅方向に亘り0.5〜5mm間隔で配列されている、孔径0.05〜0.2mmの噴射ノズルから高圧水流を噴射して該繊維ウエブを構成する繊維を絡合させた後、該繊維ウエブを乾燥させ、然る後、乾燥された該繊維ウエブに所定の清浄薬液を含浸させる水解紙の製造方法。
  2. 前記清浄薬液が、アルカリ土類金属、マンガン、亜鉛、コバルト及びニッケルから選ばれる1種類又は2種類以上の金属イオンと水溶性有機溶剤と水とを含有する請求項1記載の製造方法。
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