JP4445647B2 - 対物レンズ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物体側から順に、負の第1レンズと、明るさ絞りと、正の第2レンズと、正レンズと負レンズを接合した正の接合レンズとを含む、3群4枚構成の対物レンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記の対物レンズに関する従来の構成は、特開昭55−55308号公報,特開昭58−86513号公報,特開平2−90118号公報,特開平3−229210号公報,特開平4−1713号公報,特開平4−276711号公報,特開平5−288985号公報,特開平5−307139号公報,特開平7−84179号公報,特開平7−174966号公報,特開平8−5908号公報,特開平8−304710号公報,特開平9−33802号公報,特開平10−260347号公報,特開平11−14902号公報,特開平11−109223号公報等によって良く知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
最近は、小型光学系の需要が急速に伸びていて、収差性能の良い広角の対物レンズに対する要求も極めて大きいものがある。しかしながら、上記のような、3群4枚構成の小型の対物レンズにおいては、その要求に対して十分に応えられるものが見当たらない。即ち、上記の特開昭55−55308号公報に記載の実施例1の場合には、正の第2レンズの焦点距離が小さく、特に、ここで発生する球面収差が大きいという問題がある。その上、画角が小さいという問題もある。また、同公報に記載の実施例2の場合には、正の第2レンズの焦点距離が大きく、画角を大きくできないという問題がある。また、特開昭58−86513号公報に記載の実施例1の場合には、後群の焦点距離が大きく、正の第2レンズと正の接合レンズとの間隔が大きいため、対物レンズ系の全長が大きくなるという問題がある。しかも、画角が小さいという問題もある。
【0004】
特開平2−90118号公報に記載の実施例2の場合は、後群の焦点距離が大きくて、正の第2レンズが厚く、かつ正の第2レンズと正の接合レンズとの間隔も大きいため、対物レンズ系の全長が大きくなるという問題がある。また、特開平3−229210号公報に記載の実施例1〜4の場合には、いずれも、後群の焦点距離が大きいため、対物レンズ系の全長が大きくなるという問題がある。また、特開平4−1713号公報に記載の実施例4の場合には、正の第2レンズと正の接合レンズとの間隔が大きいため、対物レンズ系の全長が大きくなるという問題がある。しかも、そのように、正の第2レンズと正の接合レンズとの間隔が大きくなると、テレセントリックに近くなって、正の接合レンズの外径が大きくなってしまうという問題がある。更に、正の第2レンズの厚さが薄いため、レンズのコバが小さくなり、加工が難しいという問題もある。
【0005】
特開平4−276711号公報に記載の実施例4の場合は、正の第2レンズが厚く、かつ正の第2レンズと正の接合レンズとの間隔が大きいため、対物レンズ系の全長が大きくなるという問題がある。また、特開平5−288985号公報に記載の実施例1,3の場合には、正の第2レンズの焦点距離が大きいため、画角を大きくしようとすると、負の第1レンズと正の第2レンズとの間隔が大きくなってしまい、対物レンズ系の全長が大きくなるという問題がある。また、同公報に記載の実施例4の場合には、正の第2レンズと正の接合レンズとの間隔が大きいため、対物レンズ系の全長が大きくなるという問題がある。
【0006】
特開平5−307139号公報に記載の実施例8,10の場合には、正の第2レンズが厚く、かつ正の第2レンズと正の接合レンズとの間隔が大きいため、対物レンズ系の全長が大きくなるという問題がある。しかも、正の接合レンズの物体側の面の曲率半径が像側の面のそれに対して小さすぎるため、軸外の諸収差が悪化するという問題がある。そのため、この実施例においては、非球面を採用してまで収差補正を行なうようにしている。また、特開平7−84179号公報に記載の実施例7の場合には、正の第2レンズの焦点距離が小さく、特に、ここで発生する球面収差が大きいという問題がある。
【0007】
特開平7―174966号公報に記載の実施例9の場合には、正の第2レンズの焦点距離が小さく、特に、ここで発生する球面収差が大きいという問題がある。また、特開平8―5908号公報に記載の実施例1の場合には、後群の焦点距離が大きく、明るさ絞りと正の第2レンズとの間隔が大きいため、画角が小さいという問題がある。また、特開平8―304710号公報に記載の実施例3の場合には、正の第2レンズの焦点距離が小さく、特に、ここで発生する球面収差が大きいという問題がある。また、正の接合レンズの特に像側の面の曲率半径が適切でなく、その面で発生するコマ収差や非点収差等の軸外の諸収差が大きいという問題がある。更に、特開平9―33802号公報に記載の実施例1の場合には、後群の焦点距離が大きく、明るさ絞りと正の第2レンズとの間隔が大きいため、画角が小さいという問題がある。
【0008】
特開平10―260347号公報に記載の実施例1の場合には、後群の焦点距離が大きく、画角を大きくするためには負の第1レンズと正の第2レンズとの間隔が大きくなり、またバックフォーカスも大きいため、対物レンズ系の全長が大きくなるという問題がある。また、特開平11―14902号公報に記載の実施例1の場合には、正の第2レンズの焦点距離が小さく、特に、ここで発生する球面収差が大きいという問題がある。しかも、正の接合レンズの像側の面の曲率半径が大きく、軸外の諸収差が悪化するという問題がある。更に、特開平11―109223号公報に記載の実施例1の場合には、正の第2レンズの焦点距離が小さく、特に、ここで発生する球面収差が大きいという問題がある。その上、後群の焦点距離が大きくて、明るさ絞りと正の第2レンズとの間隔が大きいため、画角が小さいという問題がある。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、画角を100°以上にすることが可能であって、外径,全長が小さく、かつ収差性能の良い3群4枚構成の対物レンズを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の対物レンズは、物体側から順に、前群、明るさ絞り、後群と配置されていて、前群は負の第1レンズを含む第1群からなり、後群は、正の第2レンズを含み物体側に配置された第2群と、正レンズと負レンズとを接合した正の接合レンズを含み像側に配置された第3群とからなる、3群4枚構成の対物レンズであって、次の条件(1),(2),(3),(6)を同時に満足していることを特徴とする。
条件(1) 1.50<f2/f<3.00
条件(2) 0.65<IH/fB<0.9
条件(3) 0.7<d3/f<1.35
条件(6) −2.7<r5/r7<−0.5
ただし、
f:全対物レンズ系の焦点距離
f2:正の第2レンズの焦点距離
IH:最大像高
fB:後群の焦点距離
d3:正の第2レンズの厚さ
r5:正の接合レンズの物体側の面の曲率半径
r7:正の接合レンズの像側の面の曲率半径
【0011】
また、本発明の対物レンズにおいては、上記の条件(1)〜(3)のほかに、次の条件(4)を満足しているようにしてもよいし、次の条件(5),(8)を同時に満足しているようにしてもよいし、(9´)を満足するようにしてもよい
条件(4) 0.8<IH/f<1.2
条件(5) 0.01<d4/f<0.2
件(8) −6<r7/f<−1.8
条件(9´) 0.9<Lexp/(r7−bf)<1.8
ただし、
d4:正の第2レンズと正の接合レンズとの間隔(空気換算長)
r5:正の接合レンズの物体側の面の曲率半径
r7:正の接合レンズの像側の面の曲率半
f:正の接合レンズの像側の面から像面までの距離(空気換算長
exp:像面から射出瞳位置までの距離(射出瞳位置が像面の物体側にあるときを
負とする)
【0012】
【発明の実施の形態】
上記の請求項1に係る発明の対物レンズは、条件(1)〜(3)の全てを満足しているため、画角を100°以上にすることが可能となるだけでなく、レンズの外径,全長を小さくすることもでき、その上、良好な収差性能をも確保することが可能となっているが、さらに、上記の条件(1)〜(3)のほかに、次の条件(4)〜(14)、及び(5′),(6′),(8′)〜(12′),(14′)のいずれか一つ以上を満足するようにさせると、性能上又は製造上から一層好ましい構成が得られる。
【0013】
条件(4) 0.8<IH/f<1.2
条件(5) 0.01<d4/f<0.27
条件(5′) 0.01<d4/f<0.15
条件(6) −2.7<r5/r7<−0.5
条件(6′) −2.0<r5/r7<−0.7
条件(7) 2<r5/f<7
条件(8) −6<r7/f<−1.8
条件(8′) −4.5<r7/f<−2.3
条件(9) 0.9<Lexp/(r7−bf)<2.4
条件(9′) 0.9<Lexp/(r7−bf)<1.8
条件(10) −1.6<r4/f<−0.9
条件(10′)−1.3<r4/f<−0.9
条件(11) 2.5<LD/f<5
条件(11′)2.5<LD/f<4
条件(12) 0.5<d2/f<1.5
条件(12′)0.5<d2/f<1.0
条件(13) 0≦ds/f≦0.1
条件(14) r3/f<−1
条件(14′)−10<r3/f<−1
ただし、
d4:正の第2レンズと正の接合レンズとの間隔(空気換算長)
r5:正の接合レンズの物体側の面の曲率半径
r7:正の接合レンズの像側の面の曲率半径
Lexp:像面から射出瞳位置までの距離(射出瞳位置が像面の物体側にあるときを負とする)
bf:正の接合レンズの像側の面から像面までの距離(空気換算長)
r4:正の接合レンズの接合面の曲率半径
LD:負の第1レンズの物体側の面から正の接合レンズの像側の面までの距離
d2:負の第1レンズと正の第2レンズとの間隔(空気換算長)
ds:明るさ絞りから正の第2レンズの物体側の面までの距離(空気換算長)
r3:正の第2レンズの物体側の面の曲率半径
【0014】
そこで、次に、これらの各条件について説明する。先ず、条件(1)は、正の第2レンズの焦点距離の範囲を限定したものであって、収差性能を良くし、かつ、画角を大きくするための条件である。そして、この条件(1)の下限を超えた場合には、正の第2レンズで発生する球面収差が増大してしまうことになる。また、逆に、上限を超えた場合には、対物レンズの全長が大きくなってしまうか、画角が小さくなってしまうかのどちらかとなってしまう。
【0015】
条件(2)は、像高に対する後群の焦点距離の範囲を限定したものであって、対物レンズの全長を小さくし、かつ、画角を大きくして諸収差を良好にするための条件である。そして、この条件(1)の下限を超えた場合には、画角が小さくなり、また、画角を確保しようとすると対物レンズの全長が大きくなってしまうことになる。また、逆に、上限を超えた場合には、特に正の第2レンズの焦点距離が小さくなり、収差性能が悪化してしまう。
【0016】
条件(3)は、正の第2レンズの厚さの範囲を限定したものであって、正の第2レンズの加工性を良くし、かつ、対物レンズの全長を小さくするための条件である。そして、この条件(3)の下限を超えた場合には、正の第2レンズのコバが小さくなって加工が困難となる。また、逆に、上限を超えた場合には、対物レンズの全長が大きくなってしまう。
【0017】
条件(4)は、像高に対する全対物レンズ系の焦点距離の範囲を限定したものであって、画角を大きくし、かつ、諸収差を確保するための条件である。そして、この条件(4)の下限を超えた場合には、画角が小さくなってしまう。また、逆に、上限を超えた場合には、特に正の第2レンズの焦点距離が小さくなり、収差性能が悪化してしまう。
【0018】
条件(5)は、正の第2レンズと正の接合レンズとの間隔の範囲を限定したものであって、対物レンズの全長を小さくするための条件である。そして、この条件(5)の上限を超えた場合には、対物レンズの全長が大きくなってしまい、かつ、正の接合レンズの外径が大きくなってしまう、また、逆に、下限を超えた場合には、正の第2レンズと正の接合レンズとが接近し、製作上のバラツキによって両者が接触してしまう可能性が生じる。なお、この条件(5)を、条件(5′)のように厳しく限定すると、対物レンズの全長を一層小さくすることが可能となる。
【0019】
条件(6)は、正の接合レンズの像側の面の曲率半径に対する物体側の面の曲率半径の範囲を限定したものであって、軸外の諸収差を補正するための条件である。そして、この条件(6)の上限及び下限を超えた場合には、各々の面で打ち消し合っていた、特にコマ収差等の軸外の諸収差が悪化してしまうことになる。なお、この条件(6)を、条件(6′)のようにすると、軸外の諸収差を一層小さくすることができて好適となる。
【0020】
条件(7)は、正の接合レンズの物体側の面の曲率半径の範囲を限定したものであって、軸外の諸収差を補正するための条件である。そして、この条件(7)の上限及び下限を超えた場合には、特に非点収差等の軸外の諸収差が悪化してしまうことになる。
【0021】
条件(8)は、正の接合レンズの像側の面の曲率半径の範囲を限定したものであって、軸外の諸収差を補正するための条件である。そして、この条件(8)の上限及び下限を超えた場合には、コマ収差や非点収差等の軸外の諸収差が悪化してしまうことになる。なお、この条件(8)を、条件(8′)のようにすると、軸外の諸収差を一層小さくすることができて好適となる。
【0022】
条件(9)は、正の接合レンズの像側の面に入射する光線の入射角度を制限したものであって、軸外の諸収差を補正するための条件である。そして、この条件(9)の上限及び下限を超えた場合には、その面の法線に対する入射光線の角度が大きくなり、特にコマ収差等の軸外の諸収差が悪化してしまうことになる。なお、この条件(9)を、条件(9′)のようにすると、軸外の諸収差を一層小さくすることができて好適となる。
【0023】
条件(10)は、正の第2レンズの像側の面の曲率半径の範囲を限定したものであって、対物レンズの全長を小さくし、かつ、画角を大きくして諸収差を良好にするための条件である。そして、この条件(10)の下限を超えた場合には、画角が小さくなり、また、画角を確保しようとすると対物レンズの全長が大きくなってしまうことになる。また、逆に、上限を超えた場合には、正の第2レンズの焦点距離が小さくなり、収差性能が悪化してしまう。なお、この条件(10)を、条件(10′)のように厳しくすると、対物レンズの全長を一層小さくすることができて好適となる。
【0024】
条件(11)は、負の第1レンズの物体側の面から正の接合レンズの像側の面までの距離の範囲を限定したものであって、画角を100°以上にすることを可能にし、かつ、十分な収差性能を確保しながら対物レンズの外径と全長を小さくするための条件である。そして、この条件(11)の上限を超えた場合には、対物レンズの全長が大きくなってしまう。また、逆に、下限を超えた場合には、特に正の第2レンズの焦点距離が小さくなり、正の第2レンズで発生する球面収差が増大して、十分な収差性能を確保するのが困難になる。なお、この条件(11)を、条件(11′)のように厳しくすると、対物レンズの全長を一層小さくすることが可能となる。
【0025】
条件(12)は、負の第1レンズと正の第2レンズとの間隔の範囲を限定したものであって、収差性能を確保しつつ画角を大きくするとともに、対物レンズの全長と負の第1レンズの外径とを小さくするための条件である。そして、この条件(12)の下限を超えた場合には、収差性能を確保しつつ画角を大きくすることが困難となってしまう。何故なら、画角を大きくするためには、正の第2レンズのパワーが大きくなり、正の第2レンズで発生する球面収差が増大してしまうからである。また、逆に、上限を超えた場合には、対物レンズの全長が大きくなり、かつ、負の第1レンズの外径が大きくなってしまう。なお、この条件(12)を、条件(12′)のように厳しくすると、対物レンズの全長と負の第1レンズの外径とを一層小さくすることが可能になる。
【0026】
条件(13)は、明るさ絞りと正の第2レンズとの間隔の範囲を限定したものであって、対物レンズの全長を小さくするための条件である。そして、この条件(13)の上限を超えた場合には、対物レンズの全長が大きくなるとともに、負の第1レンズの外径が大きくなってしまう。
【0027】
条件(14)は、正の第2レンズがメニスカスレンズの場合における物体側の面の曲率半径の範囲を限定したものである。対物レンズの全長を小さくし、かつ、特に非点収差等の軸外の諸収差を良好に補正するためには、正の第2レンズをメニスカスレンズにすることが好ましい。そして、この条件(14)の上限を超えた場合には、非点収差等の軸外の諸収差に対して補正過剰となってしまう。なお、この条件(14)を、条件(14′)のようにすると、非点収差等の軸外の諸収差をさらに良好に補正することが可能となる。
【0028】
また、本発明で対象としている3群4枚構成の対物レンズにおいては、上記の条件(4),(6),(9′)を同時に満足するようにするだけでも、画角を100°以上にし、外径,全長を小さくし、十分な収差性能を確保できるようにすることが可能である。
【0029】
次に、本発明の実施例1〜16を説明する。それらのうち、実施例1〜15については、レンズ構成の断面図を図1〜図15に順に示してある。そして、実施例1の諸収差図を図16に示してある。また、実施例1〜16のレンズデータを下記するが、各レンズデータに用いられている記号は、rがレンズ各面の曲率半径、dがレンズ厚又はレンズ間隔、nが各レンズのd線での屈折率、νが各レンズのアッベ数である。
【0030】
Figure 0004445647
【0031】
Figure 0004445647
【0032】
Figure 0004445647
【0033】
Figure 0004445647
【0034】
Figure 0004445647
【0035】
Figure 0004445647
【0036】
Figure 0004445647
【0037】
Figure 0004445647
【0038】
Figure 0004445647
【0039】
Figure 0004445647
【0040】
Figure 0004445647
【0041】
Figure 0004445647
【0042】
Figure 0004445647
【0043】
Figure 0004445647
【0044】
Figure 0004445647
【0045】
Figure 0004445647
【0046】
次に、上記の各実施例のレンズデータ以外の数値データ、即ち上記の条件(1)〜(14)に該当する数値を表1に示す。なお、この表1には、上記した各従来例との比較を可能にするため、それらの従来例の数値データも示してある。また、表中で用いられている記号2ωは画角である。
【表1】
Figure 0004445647
【0047】
なお、上記の各実施例においては、平行平面板が配置されているが、本発明の対物レンズを、CCDやCMD等の固体撮像素子とともに用いる場合には、それらを、赤外カットフィルタなどの色補正フィルタで構成すればよいし、ビデオスコープなどに用いる場合には、YAGレーザ等の光をカットするレーザカットフィルタ等で構成すればよい。また、それらの場合、フィルタを単独で配置しても構わないし、接合したフィルタ群として配置しても構わない。本発明は、小型の光学系でありながら、このようなフィルタ類の配置も十分に考慮したものであるが、このようなフィルタの配置が不要な場合には、平行平面板の部分を等価な空気換算長に置き換えればよく、それによって、対物レンズの全長を更に短くすることも可能である。
【0048】
また、特に、上記の実施例のうち、実施例1は、負の第1レンズと正の第2レンズとを同径にし、正の接合レンズよりも小径とすることによって、内視鏡の対物レンズに使用した場合、先端部の径を小さくするうえで好ましい構成となっている。また、実施例4と実施例16の場合は、最も像側に配置されているのがCCDカバーガラスであって、その前に配置されていてCCDカバーガラスに接着されているのがカバーガラスである。そして、各々の負の第1レンズとカバーガラスの材質は、実施例4の場合がサファイヤであり、実施例16の場合が合成石英であるが、CCDカバーガラスについても同じ材質にして差し支えない。
【0049】
また、前記のサファイヤや合成石英のほかにも、スピネル,YAG(yttrium aluminium garnet),ALON(aluminium oxynitride)等は、硼珪酸ガラスや硼珪クラウンガラス等の光学材料に比べて化学的安定性が高い。したがって、これらの材料を負の第1レンズ、CCDカバーガラス、CCDカバーガラスに接着される光学部品(実施例4の場合はカバーガラス)に使用すると、本発明の対物レンズを例えば内視鏡の対物レンズに適用した場合、消毒や高圧蒸気滅菌などの滅菌処理等に対する充分な耐久性を発揮できて好適となる。
【0050】
次に、図17〜図21を用いて、本発明における対物レンズの枠構成例を説明する。先ず、図17は実施例1の対物レンズについての第1の枠構成例を示したものであって、物体側から順に、負の第1レンズ1,赤外光反射フィルタ2,正の第2レンズ3,負レンズ4と正レンズ5を接合した正の接合レンズ6,赤外光吸収フィルタ7,CCDカバーガラス8から構成されている。そして、負の第1レンズ1と、正の第2レンズ3と、正の接合レンズ6の外径は同じになっている。
【0051】
この構成例の組立は次のようにして行われる。即ち、枠13に対しては、像側から明るさ絞り10,正の第2レンズ3,間隔環11,正の接合レンズ6の順で落し込み、接着剤16で固定する。また、枠13の物体側からは、赤外光反射フィルタ2,フレア絞り9,負の第1レンズ1の順で落とし込み、接着剤15で固定する。
【0052】
他方、枠14側の場合には、予めCCDカバーガラス8に赤外光吸収フィルタ7を接合しておく。その際、赤外光吸収フィルタ7の外径中心が、CCD撮像エリアの出画される範囲の中心に略一致するようにしておく。また、赤外光吸収フィルタ7の物体側の面には、フレア絞り12を、接着,蒸着,印刷等の手段によって設けておく。このようにしておいた後、枠14の像側から、側面に接着剤を付けた赤外光吸収フィルタ7を、CCDカバーガラス8の物体側の面の一部が枠14に突き当たる位置まで挿入して固定する。そして、最後に、外周に接着剤を付けた枠13を枠14内に挿入し、正の接合レンズ6と赤外光吸収フィルタ7との間隔を変えることによってピント調整をし、固定する。
【0053】
図18は実施例1の対物レンズについての第2の枠構成例を示したものであって、上記した第1の枠構成例に比べて、部品点数の少ないことが特徴である。即ち、この枠構成例の場合には、間隔環11がなく、また、明るさ絞り10は正の第2レンズ3の物体側の面に、蒸着,印刷等の手段によって一体的に設けられている。また、フレア絞り9も、赤外光反射フィルタ2の物体側の面に、蒸着,印刷等の手段によって設けられている。そして、枠13に対しては、像側から正の接合レンズ6を落し込み、接着剤16で固定し、物体側からは、正の第2レンズ3,赤外光反射フィルタ2,負の第1レンズ1の順に落し込み、接着剤15で固定している。枠14に関連する事項については、第1の枠構成例の場合と同じである。
【0054】
図19は実施例1の対物レンズについての第3の枠構成例を示したものであって、上記した第1の枠構成例に比べて、枠14を不要とて部品点数を少なくし、接着剤16による接着作業も省くようにしたのが特徴である。そして、この枠構成例の場合には、枠13の物体側から、正の接合レンズ6,間隔環11,正の第2レンズ3,赤外光反射フィルタ2,負の第1レンズ1の順で落し込み、接着剤15で固定している。また、CCDカバーガラス8と接合した赤外光吸収フィルタ7は、外周に接着剤を付けた状態で枠13内に挿入され、正の接合レンズ6と赤外光吸収フィルタ7との間隔でピント調整を行い、固定されている。この場合、フレア絞り9と明るさ絞り10とは、赤外光反射フィルタ2の両面に、蒸着,印刷等の手段によって一体的に設けられている。
【0055】
図20は実施例1の対物レンズについての第4の枠構成例を示したものであって、上記した第1の枠構成例に比べて、第3の枠構成例の場合と同様に、枠14を不要とて部品点数を少なくし、接着剤16による接着作業も省くようにしているほか、ピント調整も省けるようにしたのが特徴である。
【0056】
そして、この枠構成例の場合には、CCDカバーガラス8と接合した赤外光吸収フィルタ7を、外周に接着剤を付けた状態で枠13の像側から挿入し、CCDカバーガラス8の物体側の面の一部が枠13に突き当たる位置で固定する。その後、物体側から間隔環17,正の接合レンズ6,間隔環11,正の第2レンズ3,赤外光反射フィルタ2,負の第1レンズ1の順に落し込み、接着剤15で固定する。また、フレア絞り9は、赤外光反射フィルタ2の物体側の面に蒸着され、明るさ絞り10は、赤外光反射フィルタ2の像側の面又は正の第2レンズ3の物体側に蒸着されている。このように、各光学部品を極力同径にすると、光学部品を落し込む枠形状を簡単な筒形状として構成することが可能になるため、組立上だけではなく、部品加工上においても一段と有利になる。
【0057】
図21は、実施例4の対物レンズを、内視鏡の対物レンズに適用したものであって、高圧蒸気滅菌対応の枠構成例を示したものである。この枠構成例は、負の第1レンズ1を枠13にハンダ付けし、CCDカバーガラス8に接着されるカバーガラス9を枠14にハンダ付けし、枠13,14を溶接することによって枠内を機密構造としている。そして、正の第2レンズ3と正の接合レンズ6とを同径にすることによって,枠13の加工を簡略化している。
【0058】
また、この枠構成例の場合には、負の第1レンズ1と正の第2レンズ3の間に赤外光カットフィルタ2を配置しているが、その赤外光カットフィルタ2の外径φfが次の条件(15)を満足するようにさせると、前記のように負の第1レンズ1を枠13にハンダ付けした後、赤外カットフィルタ2,正の第2レンズ3,間隔環11,正の接合レンズ6,間隔間7,赤外光吸収フィルタ7の順に落し込むだけで、正の第2レンズ3の位置決めが可能となり、組立が簡単となる。このことは、赤外光カットフィルタ2の代わりにレーザーカットフィルタや間隔環を配置した場合も同じである。
条件(15) φsd≦φf≦φ2
ただし、
φsd:負の第1レンズ1の球欠直径
φ2:正の第2レンズの外径
【0070】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、上記諸条件を満足するように構成することにより、従来にない小型で性能の優れた対物レンズを得ることができる。特に、画角が100°以上と広角でありながら、外径及び全長が小さく、しかも良好な収差性能の得られる点に特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のレンズ構成を示す断面図である。
【図2】実施例2のレンズ構成を示す断面図である。
【図3】実施例3のレンズ構成を示す断面図である。
【図4】実施例4のレンズ構成を示す断面図である。
【図5】実施例5のレンズ構成を示す断面図である。
【図6】実施例6のレンズ構成を示す断面図である。
【図7】実施例7のレンズ構成を示す断面図である。
【図8】実施例8のレンズ構成を示す断面図である。
【図9】実施例9のレンズ構成を示す断面図である。
【図10】実施例10のレンズ構成を示す断面図である。
【図11】実施例11のレンズ構成を示す断面図である。
【図12】実施例12のレンズ構成を示す断面図である。
【図13】実施例13のレンズ構成を示す断面図である。
【図14】実施例14のレンズ構成を示す断面図である。
【図15】実施例15のレンズ構成を示す断面図である。
【図16】実施例1の諸収差を示す図である。
【図17】実施例1の対物レンズ系の第1の枠構成例を示す断面図である。
【図18】実施例1の対物レンズ系の第2の枠構成例を示す断面図である。
【図19】実施例1の対物レンズ系の第3の枠構成例を示す断面図である。
【図20】実施例1の対物レンズ系の第4の枠構成例を示す断面図である。
【図21】実施例4の対物レンズ系を内視鏡に使った場合の、高圧蒸気滅菌対応の枠構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 負の第1レンズ
2 赤外光反射フィルタ
3 正の第2レンズ
4 負レンズ
5 正レンズ
6 正の接合レンズ
7 赤外光吸収フィルタ
8 CCDカバーガラス
9,12 フレア絞り
10 明るさ絞り
11,17 間隔環
13,14 枠
15,16 接着剤
18 カバーガラス

Claims (4)

  1. 物体側から順に、前群、明るさ絞り、後群と配置されていて、前群は負の第1レンズを含む第1群からなり、後群は、正の第2レンズを含み物体側に配置された第2群と、正レンズと負レンズとを接合した正の接合レンズを含み像側に配置された第3群とからなる、3群4枚構成の対物レンズであって、次の条件(1),(2),(3),(6)を同時に満足していることを特徴とする対物レンズ。
    条件(1) 1.50<f2/f<3.00
    条件(2) 0.65<IH/fB<0.9
    条件(3) 0.7<d3/f<1.35
    条件(6) −2.7<r5/r7<−0.5
    ただし、
    f:全対物レンズ系の焦点距離
    f2:正の第2レンズの焦点距離
    IH:最大像高
    fB:後群の焦点距離
    d3:正の第2レンズの厚さ
    r5:正の接合レンズの物体側の面の曲率半径
    r7:正の接合レンズの像側の面の曲率半径
  2. 次の条件(4)を満足していることを特徴とする請求項1に記載の対物レンズ。
    条件(4) 0.8<IH/f<1.2
  3. 次の条件(5),(8)を同時に満足していることを特徴とする請求項1又は2に記載の対物レンズ。
    条件(5) 0.01<d4/f<0.2
    件(8) −6<r7/f<−1.8
    ただし、
    d4:正の第2レンズと正の接合レンズとの間隔(空気換算長
  4. の条件(9´)を満足していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の対物レンズ
    件(9´) 0.9<Lexp/(r7−bf)<1.8
    ただし
    f:正の接合レンズの像側の面から像面までの距離(空気換算長
    exp:像面から射出瞳位置までの距離(射出瞳位置が像面の物体側にあるときを
    負とする)
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