JP4445330B2 - スポイラーの保持構造 - Google Patents
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Description
ところで、自動車のルーフの前縁部分(フロントウインドウ上縁又はそれに近接する部分を包含する)又は後縁部分(リアウインドウ上縁又はそれに近接する部分を包含する)には、スポイラーを取付けるのに適当な隙間や引っ掛かり部が無い。このため、かかる部位にスポイラーを取付ける場合には、従来、車体(パネル)側に穴あけ加工等によって所定の取付け穴を設けておき、その取付け穴を利用してスポイラーをボルト止めすることが一般的であった。例えば特許文献1には、車体ルーフ部の所定の部位に予め取付け穴(ボルト貫通孔)と溶接ナットを設けておき、そこにルーフスポイラーをボルト止めして成るスポイラー保持構造が記載されている。かかるボルト止め手段によると、走行時に相当な風圧や震動を受けた場合にも、所定の位置に当該ルーフスポイラーを保持することができる。
あるいは、かかる穴あけ加工等を施すボルト止め手段に代えて、両面テープ等の接着手段によって、スポイラーを車体(ルーフ)上面に貼り付けていた。かかる接着手段によると、きわめて簡便にスポイラーを所定位置に装着することができる。
その一方で、上記両面テープ等の安易な接着手段によると、過度の風圧や震動或いは長期使用による粘着剤の劣化によって、スポイラーが装着部位から剥離する可能性が皆無とは言いきれない。従って、かかる接着手段によってスポイラーを装着する場合には、スポイラー保持に関する潜在的な不具合を解消し得る固定手段を別途設ける必要があった。
すなわち、本発明によって提供されるスポイラー保持構造は、自動車のルーフ前縁部分又はルーフ後縁部分にスポイラーを保持するスポイラーの保持構造であって、そのスポイラーは、上記ルーフの前縁又は後縁に沿う方向(典型的には車両の前後方向に対する左右(横)方向をいう。)に伸びる本体部と、その本体部に固定的に結合する取付部とを有している。そして、その取付部が上記ルーフの前縁又は後縁の近傍に固定されている車体外装品と固定的に結合していることによって上記スポイラーが車体に保持されている。
なお、本明細書において「スポイラー」とは、空力特性及び/又は装飾の観点から車体上面部に装備される典型的には扁平形状の車体外装品をいう。また、本明細書において「車体外装品」とは、車体の外面に取付けられる備品又はそれを構成する少なくとも一つのパーツをいい、車体(パネル)自体を含まない。
この構成の本発明のスポイラー保持構造では、既存の車体外装品であるアンテナの装着部を利用して、スポイラーを所定の部位に保持することができる。このため、車体自体に別途特別な加工処理を施すことなく、スポイラーを保持することが実現される。
本発明のスポイラー(本体部)は、一般的には、ABS樹脂、AES樹脂、PC/AESアロイ等の耐候性に優れる合成樹脂材料から成形されるプラスチック製品である。特に限定するものではないが、典型的には、所望する形状に対応する金型を用いた射出成形法によって当該形状のスポイラーを製造することができる。また、中空体のスポイラーを製造する場合には、一般的なブロー成形法が採用され得る。
このような取付部は、金属又は合成樹脂から成る一つの部材で構成されるものでもよく、二以上の部材を組み合わせて成るものでもよい。その場合には、かかる二以上の部材の何れか一つが本体部に固定的に結合される。すなわち、取付部を構成する一つの構成部材が本体部に結合され、別の構成部材が上記他の車体外装品の一部と固定的に結合する。そして、これら構成部材が所定の形状で相互に連結し合うことによって、本発明に係る取付部が構成され得る。
また、かかる取付部をスポイラー本体部に固定的に結合する手段は、特に限定されない。予め成形された本体部にビス等の締着手段によって、所定の形状の取付部材を取付けてもよい。あるいは所望する形状の取付部材をインサートとして予め金型にセットして射出成形(インサート成形)を行うことによって、本体部の一部に取付部の一部が埋設されたスポイラーを一体に製造してもよい。
以下、本発明のスポイラー保持構造ならびにそれを構築するためのスポイラーおよび取付部材についての詳細な実施例を説明する。なお、本発明を以下の説明および関連する図面に示す形状に限定することを意図したものではない。先ず、第一実施例として、ルーフモールを本発明に係る他の車体外装品として構築したスポイラー保持構造の一例を説明する。
而して、図1及び図3に示すように、この車体ルーフ部1の後縁部分であってリアウインドウ2との境界部分には、両サイドのルーフモール10に架け渡されたような状態でルーフ部1の後縁に沿う方向に伸びた形状(即ち横長形状)の本スポイラー20が装着されている。これにより、車体ルーフ部1とリアウインドウ2との境界にあるサイドモール3が遮蔽されている。すなわち、図3に示すように、本スポイラー20は、本体部21の後方に張り出した部分(以下「伸張部23」という。)がリアウインドウ2の上方に配置される状態で装着されている。
図1〜図3に示すように、本スポイラー20の本体部21は、AES等の成形材料をブロー成形することによって製造された中空・扁平形状の成形品である。図2に示すように、この本体部21の装着面22は上記車体ルーフ部1とリアウインドウ2との境界部分(以下単に「所定装着位置」という。)に密着し得る面形状をしており、その後方にはリアウインドウ2方向に張り出した伸張部23が形成されている(図3)。
図2に示すように、この装着面22には、所定装着位置に本スポイラー20を配置した際に、車体ルーフ部1に本スポイラー20を密着させて貼り付けるための両面テープ25a,25b,26a,26bおよびパッキン28a,28b,29が予め固着されている。而して、かかる両面テープ25a,25b,26a,26bの粘着力によって、所定装着位置に本スポイラー20を簡便に装着することができる。
図4に示すように、本スポイラー20の取付部は、金属製の第一取付部材30、第二取付部材35および第三取付部材40並びに合成樹脂製の連結クリップ45から構成されている。以下、これら構成部材の構造ならびに各部材の相互関係について説明する。
すなわち、図4及び図6に示すように、この第二取付部材35を構成するプレート36には、所定位置に配置された際に上記第一係合孔31aに重なり合う連結孔36aが形成されている。この連結孔36aの直径は後述する連結クリップ45のテーパー部48の最大直径よりも僅かに小さくなるように形成されている。また、図6に示すように、そのプレート36の一部には、所定位置に配置された際にルーフモール10の頂部に当たる当接部37が形成されている。また、その当接部37寄りの端部にはフック状の係合片38が形成されている。
他方、図4及び図5に示すように、第三取付部材40を構成するプレート41には嵌合部42が形成されている。この嵌合部42は、所定位置に配置された際の上記第一係合孔31aおよび連結孔36aに対応する位置において後述する連結クリップ45を嵌合するためのものである。このため、連結クリップ45の頭部46を横方向から嵌め込み得る隙間42bとその際に連結クリップ45の軸部47が入り込める切り欠き42cとが形成されている(図4,図5)。この嵌合部42の背面(即ち車体ルーフ部1に接触する面)側にはパッキン42aが取り付けられている。また、図6に示すように、そのプレート41の一部には、所定位置に配置された際に凹部9内でルーフモール10と車体ルーフ部1との間に配置されてルーフモール10の幹部10bを載せ得る形状の載置部43が形成されている。また、その当接部37寄りの端部には上記第二取付部材35の係合片38と係合し得る係合溝44が形成されている。
このようにして、凹部9近くの所定の位置に第三取付部材40及び連結クリップ45を配置した後、図6に示すように、ルーフモール10を凹部9に嵌め込み装着する。このとき、載置部43の上面にルーフモール10の幹部10bを載せる状態即ち第三取付部材40の一部(載置部43)がルーフモール10と車体ルーフ部1に挟まれた状態となるようにしてルーフモール10を凹部9に装着する。
以下、かかる保持構造についてルーフモール10の取付け構造と関連させて説明する。なお、図9及び図10は、それぞれ図1におけるIX−IX線断面図及びX−X線断面図である。
このようにルーフモール10自体が凹部9に固定された状態で装着されている結果、そのモール10の一部に取付部を介して結合している本スポイラー20もまたその装着位置で保持されることとなる。
以上のように、本実施例に係るスポイラー20およびその保持構造によると、スポイラー20を保持するために車体ルーフ部1自体に別途特別な加工処理(例えば従来行われていた穴あけ加工)を施す必要がない。従って、本実施例のスポイラー保持構造によると、スポイラー装着作業を煩雑化することなくルーフモールの装着部位を利用して所定位置から動かないようにスポイラーを保持することができる。
図12に示すように、この装着面52には、アンテナ近傍位置に本スポイラー50を配置した際に、車体ルーフ部1に本スポイラー50を密着させて貼り付けるための両面テープ55a,55bが予め固着されている。而して、図13に示すように、かかる両面テープ55a,55bの粘着力によってアンテナ近傍位置に本スポイラー50を簡便に貼り付けることができる。
そして、かかるルーフアンテナ15の締着・固定時に、本スポイラー50の係合プレート61を一緒に締着することによって、本スポイラー50をアンテナ近傍位置に保持(固定)することが実現される。すなわち、図14及び図15に示すように、上記ボルト締めの際、車体ルーフ部1の上面に係合プレート61を配置し、その係合孔62にボルト18を通した後、上記ナット19との間で締着を行う。このことによって、取付部60(係合プレート61)とルーフアンテナ15との固定的な結合が実現される。その結果、本スポイラー50がその装着位置で保持される。
2 リアウインドウ
9 凹部
10 ルーフモール
15 ルーフアンテナ
20,50 スポイラー
30 第一取付部材
35 第二取付部材
40 第三取付部材
45 連結クリップ
60 取付部
Claims (6)
- 自動車のルーフ前縁部分又はルーフ後縁部分にスポイラーを保持するスポイラー保持構造であって、
そのスポイラーは、前記ルーフの前縁又は後縁に沿う方向に伸びた本体部と、その本体部に固定的に結合する取付部とを有しており、
その取付部が前記ルーフの側縁に沿って形成された凹部に装着されているモールの一部を挟み込むことにより該モールと固定的に結合していることによって前記スポイラーが車体に保持されているスポイラー保持構造。 - 前記取付部は、前記本体部に固定的に結合された構成部材と、前記モールの一部を挟み込むことにより該モールと結合する他の構成部材とが相互に連結し合うことによって構成されている、請求項1に記載のスポイラー保持構造。
- 前記取付部は、前記本体部に固定的に結合された第一取付部材と、前記モールの一部を上下から挟み込むことにより該モールと結合する第二取付部材および第三取付部材とが相互に連結し合うことによって構成されている、請求項1に記載のスポイラー保持構造。
- 前記連結は、前記第三取付部材に嵌め込まれるとともに前記第二取付部材の孔および前記第一取付部材の孔を貫通する連結クリップにより実現される、請求項3に記載のスポイラー保持構造。
- 前記連結クリップは、前記第三取付部材に嵌め込まれる頭部と、前記ルーフの上方に突き出して前記第二取付部材の孔および前記第一取付部材の孔を貫通するテーパ部とを有する、請求項4に記載のスポイラー保持構造。
- 前記第二取付部材は前記モールを車体上方から押さえ込む形状に形成されており、前記連結クリップは前記モールからの反発によって前記第二取付部材と前記第三取付部材との結合状態が解除されることを防止して前記モールを挟み込む、請求項4または5に記載のスポイラー保持構造。
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