JP4445145B2

JP4445145B2 - 経口組成物

Info

Publication number: JP4445145B2
Application number: JP2001073537A
Authority: JP
Inventors: 典宏重松
Original assignee: Fancl Corp
Current assignee: Fancl Corp
Priority date: 2001-03-15
Filing date: 2001-03-15
Publication date: 2010-04-07
Anticipated expiration: 2021-03-15
Also published as: JP2002272415A

Description

【０００１】
【発明が属する技術分野】
本発明は、抗肥満、肝臓脂質蓄積予防、および血中コレステロールの改善機能を持つ、経口組成物を提供するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年、食事の欧米化に伴い、高脂肪摂取による肥満が増加している。このため、肥満による生活習慣病の増加が指摘されている。また、体重と身長の相関からもとめた肥満指数（ＢＭＩ）において、肥満の範疇ではないとされる人々においても、高脂肪食を日常的に摂取することによる高脂血症や脂肪肝などに罹患している人々は大変多いことが指摘されている。近年、このような傾向は、インスタント食品やジャンクフードと称される簡易スナック菓子の消費の増加に伴い、成人だけでなく、未成年、幼児にまで拡大しており大きな社会問題となっている。これらは、生活習慣病に発症する前の段階で予防的な措置が重要であるとの認識から、通常の食生活の中で改善する試みがなされてきた。しかしながら、食習慣を早期に改善することは嗜好性からいって安易なことではなく、長期、習慣的に改善することは著しく困難であるとされている。
【０００３】
このような背景から、様々な機能性を持った食品を普段の食生活に取り入れ、栄養バランスを改善する試みがされてきた。一例では、植物性蛋白質や、トウガラシに含有されるカプサイシンを一定量、摂取することにより基礎代謝量を増加させることによって抗肥満作用を期待するもの、食物繊維を摂取することにより消化管内で、摂取した脂質と胆汁酸のミセル形成阻害を起こし脂質の吸収を抑制するもの、および胆汁酸の体外排泄を促進することにより脂質吸収を阻害するものである。なかでもキトサンは、消化管内における物性変化が胆汁酸の体外排泄促進効果に最も適していることから、特に近年、注目されてきた天然素材である。近年の研究では、キトサンの消化管内での胆汁酸の体外排泄促進作用を強めるため、キトサンの物性変化を調整するような物質と合わせて摂取させる発明がなされてきた。たとえば分子量分布を特定したキトサンにより胆汁酸排泄をさらに促進させるとか、アスコルビン酸とキトサンを併用することによる胆汁酸排泄を相乗的に促進させる、などである。これらは様々な形態で健康食品に応用されてきた。
【０００４】
キトサンの分子量分布を調整することによって胆汁酸排泄を促進させて、脂質代謝を改善する試みは、多くの追試研究により否定的な見解が多く、必ずしも一般化させて実用的に実現させるには問題があるとされている。また、キトサンとアスコルビン酸と併用することによる胆汁酸の体外排泄促進効果については、カゼインやコール酸を一定量配合した実験食的な高脂肪食を摂取している状況において、血中コレステロールの低下には一定の効果を認めるが、一般的な高脂肪食を日常的に摂取した場合の改善効果、および、その結果、発生する肝臓脂質の蓄積予防には効果が認められていない。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、キトサンの脂質代謝改善効果を、一般的な高脂肪食においても発現させ、肝臓脂質の蓄積予防効果を有する経口組成物を提供することをその課題とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、キトサンの脂質代謝改善効果を、一般的な高脂肪食においても発現させ、また血中脂質のみならず、肝臓脂質の蓄積予防効果をももたせることを課題とし鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
【０００７】
すなわち、本発明は、
製剤1500重量部あたりキトサン500重量部、ギムネマシルベスタの葉抽出エキスが800重量部、カルボキシメチルセルロース200重量部であることを特徴とする肝臓脂質の蓄積予防及び／又は防止経口組成物、
に関する。
【０００８】
【発明の実施の形態】
本発明においては、キトサンにギムネマシルベスタを含有させることにより、日常的な高脂肪食摂取における肥満をキトサン単独では見られないレベルで抑制することを見出した。また、日常的な高脂肪食摂取において、発生する肝臓脂質の蓄積を予防することを見出した。さらには、ギムネマシルベスタ単独では血中コレステロールの改善効果は、みられないものの、キトサンとギムネマシルベスタを併用することにより、キトサンが持つ、血中コレステロールの改善効果を、さらに強めることが見出された。
【０００９】
これらの原因は不明であるが、ギムネマシルベスタに含有される糖質吸収阻害物質の有無、または含有量に関係なく認められることから、新規な化合物の存在、特に肝臓脂質への改善効果が高いことから、ギムネマシルベスタの未消化成分の中に、血中へ移行し肝臓の脂質合成酵素へ影響する未確認成分の存在が示唆される。また、肝臓から血中への合成脂質の分泌促進、血中脂質の肝臓への取り込み阻害、肝臓中での胆汁酸合成促進、脂質の酸化分解促進効果などが想定される。
【００１０】
また、ギムネマシルベスタは、偏性嫌気性菌、嫌気性菌の成長に影響しないが代謝に影響することが認められていることから、腸内細菌の代謝に影響し、腸内のｐＨを変化させることにより、消化管内におけるキトサンの物性が極めて特異的に変化した結果、キトサンの胆汁酸排泄効果を促進したことなどが想定されるが詳細は不明である。
【００１１】
本発明で用いるギムネマシルベスタは、学名Gymnema sylvestre であり、ガガイモ科に属するインド原産の植物である。岩が多い丘陵地において樹木に絡み付くようにして生えているつる性植物である。その葉には、アミノ酸の３５配列を持ち抗甘味作用を示すグルマリン、トリテルペン系サポニンのギムネマ酸およびテトラヒドロキシヘキセン構造を持つコンズリトールＡといった糖質吸収阻害物質が含有されていることが確認されている。これらの成分の存在、含有量にかかわらず、本発明において使用することができる。
【００１２】
ギムネマシルベスタは、好ましくは葉の抽出エキスを使用することが、食品加工適性上、適切である。抽出エキスは、概ね、乾燥葉から、含水アルコール中で６０℃程度に加温しつつ３時間抽出され、その抽出液を適時、酸沈殿させ、沈殿物を除去した後、乾燥濃縮するか、または抽出液をそのまま、賦形剤と共にスプレードライさせることにより製造されるが、必ずしも、この方法に限定されるものではない。
【００１３】
キトサンは、新鮮なズワイガニの殻などに含まれている動物性繊維質キチンを脱アセチル化することにより製造される。本発明で用いるキトサンは、従来食品素材として使用される規格の物を、全て使用することができる。
【００１４】
本発明では、キトサンとギムネマシルベスタを混合し経口組成物とするが、混合量は、経口組成物として１食の目安量あたり、キトサンは、３００ｍｇ以上７００ｍｇ以下であり、ギムネマシルベスタは、５００ｍｇ以上１０００ｍｇ以下が好ましく配合される。
【００１５】
これら規定量以下であると、相乗効果はあるものの栄養摂取状態においては充分な効果を期待できない場合もありえる。規定量以上の配合は、効果は期待できるものの、味質に影響するため配合した場合、経口組成物として不都合となることがある。
【００１６】
経口組成物の摂取用形状は、特に限定されるものではなく、一般的な食品、カプセル、錠剤、粉末など、いずれでもよい。医薬、食品の製剤化において、普通に採用されている技術を用いて、これらの形態にすることができる。
【００１７】
本発明組成物は、賦形剤、吸収促進剤、滑沢剤、流動促進剤、安定剤、香料、香味剤などの通常の製剤化成分を含むことができ、でんぷん、ショ糖などの糖類、植物油などの油脂、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体又はその塩、ミツロウのようなロウなどを配合することができる。
【００１８】
本発明組成物は、トウガラシ、クローブエキス、桑の葉エキスなどその他の有効成分を配合することができる。
【００１９】
【実施例】
実施例
［錠剤の製造］
キトサン（Cと略記）とギムネマシルベスタの葉抽出エキス（Gと略記）を表１に示す処方で配合し、錠剤を作成した。ＣＭＣは、カルボキシメチルセルロースを表わす。
【００２０】
【表１】

錠剤の製法
【００２１】
原材料を混合し、通常の方法で打錠した。錠剤は１粒５００ｍｇとして、３粒を目安摂取量として設定した。
［ＢＭＩ、血中コレステロール及び脂肪肝に対する影響］
試験方法
【００２２】
医師の管理下において、飲酒僻がなく服薬していない男性、年齢４５歳前後、ＢＭＩ２５前後、血中コレステロール１８０ｍｇ／ｄｌ前後、脂肪肝判定＋＋［脂肪肝判定は、スキャナー診断により肝臓肥大状態と、血中の肝機能パラメータ（γ−ＧＴＰ、ＧＯＴ、ＧＰＴ）を、専門医が総合的に判断し評価し、重篤度の低い順に、−、＋、＋、＋＋、＋＋＋の５段階で示される．］のモニター５名に高脂肪食（１日総カロリー３０００Kcal）を１週間にわたって摂取させた。その間、表１に示す処方の錠剤型食品である、錠剤１（モニターＡ）、錠剤２（モニターＢ）、錠剤３（モニターＣ）、錠剤４（モニターＤ）、錠剤５（モニターＥ）を１日３粒づつ摂取させた。その後、ＢＭＩ変動、血中コレステロール変化、脂肪肝判定変化を調べた。
【００２３】
結果を表２に示す。
【００２４】
【表２】

【００２５】
表２の結果からわかるように、錠剤２、３、４を摂取したモニターＢ、Ｃ、ＤはいずれもＢＭＩ、血中コレステロール、脂肪肝が、改善された。特に、錠剤３を摂取したモニターＣは著しく、ＢＭＩ、血中コレステロール、脂肪肝の改善効果が認められた。
【００２６】
【発明の効果】
本発明によるキトサンとギムネマシルベスタを含有した経口組成物は、キトサン単独では見られないレベルで、高脂肪食摂取状態における体重増加抑制、血中コレステロール低下、脂肪肝改善効果を示し、それらの用途の食品として有用である。

Claims

製剤1500重量部あたりキトサン500重量部、ギムネマシルベスタの葉抽出エキスが800重量部、カルボキシメチルセルロース200重量部であることを特徴とする肝臓脂質の蓄積予防及び／又は防止経口組成物。