JP2006076954A - 抗肥満剤、血中コレステロール上昇抑制剤及び飲食品 - Google Patents

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隆章 矢内
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Abstract

【課題】高い抗肥満作用あるいは血中コレステロール上昇抑制作用を有する新たな食品素材及びこの食品素材を用いた飲食品を提供する。
【解決手段】カシス果実に含まれる成分を有効成分とする抗肥満剤。カシス果実に含まれる成分を含有し、抗肥満作用を有するものであって、肥満の抑制または予防のために用いられるものである旨の表示を付した飲食品。カシス果実に含まれる成分を有効成分とする血中コレステロール上昇抑制剤。カシス果実に含まれる成分を含有し、血中コレステロール量の抑制作用を有するものであって、血中コレステロール量の抑制のために用いられるものである旨の表示を付した飲食品。
【選択図】なし

Description

本発明は、カシス果実に含まれる成分、例えば、カシス果実から抽出した抽出物を有効成分として含有する抗肥満剤、血中コレステロール上昇抑制剤及び飲食品に関する。
近年、糖尿病や癌などの生活習慣病が増えつづけており、これらの疾病を予防するための対策が報じられている。生活習慣病のうち、高脂血症、高血圧症及び糖尿病などの最大の誘因として肥満が挙げられており、これらの疾病を予防するために肥満の予防・改善の必要性が唱えられている。一方、肥満を容姿、美容にとっては好ましくないとする風潮があり、これは時として拒食症や過食症を引き起こし、医療が必要となる場合が生じることも多い。
肥満を測るパラメーターとして、体重の増加の他にいくつかのパラメーターがある。肥満ホルモンと呼ばれるレプチンもその1つである。レプチンは脂肪細胞から分泌され、中枢神経の視床下部に働き、摂食の抑制、エネルギー代謝の亢進の役割を担うと言われている。肥満とともに、レプチンレセプターあるいはレプチンそのものに異常をきたし、食欲の抑制が効かなくなり、さらに、血中のレセプター濃度が上昇するために、レプチンは肥満のパラメーターとして近年注目されている。
一方、肥満には、脂質代謝異常をはじめとして、高血圧、耐糖能障害など多くの危険因子を合併することが知られている。内臓脂肪の蓄積量が増加するほど総コレステロール、中性脂肪は増加し、HDLは減少する。また、LDLの質的な異常が起こり、内臓脂肪蓄積により量的、質的に脂質代謝に影響を与える。肥満者では、脂質代謝異常が高い頻度で見られ、特に血中総コレステロール量の増加、血中中性脂肪の増加などが認められる。総コレステロール、中性脂肪が高値となる高脂血症と、肥満の合併は動脈硬化の誘因となるが、これらの予防には、食生活の改善が重要な役割を担う。食事の基本は低エネルギー・バランス食であるが、食事は本能に関わることであり、なおかつ現代日本のような飽食の時代において、個々人がエネルギーバランスをいつも適正にコントロールすることは困難になってきていることは事実である。
そのようななかで、食物繊維は従来から注目されてきた素材である。食物繊維は柔らかな排便を促すことで、おなかの調子を整えるだけでなく、胃のなかでの膨らみの良さによって、満腹感が得られやすくなり、その上、吸収されにくく低カロリーであるため、直接的に肥満の予防・解消に役に立つ。さらに、食物繊維は、小腸でゲル状になって余分な糖分、コレステロールやナトリウムなどの吸収を抑制したり、吸着して排出することにより、血糖値、コレステロール値や血圧の上昇を抑制する働きがあることが分かっている。これらの効果も抗肥満効果に関与している。
食物繊維としては、例えば、ポリデキストロース、サイリウム種皮由来の食物繊維、難消化性デキストリン、グアーガム分解物、小麦ふすま、低分子化アルギン酸ナトリウム、ビール酵母由来の食物繊維、寒天由来の食物繊維、水溶性コーンファイバーなどがある。これらは、特定保健用食品に使用されている。
食物繊維である酵母細胞壁成分β−グルカンを食餌中に含有させてSprague-Dawlayラットに20日間摂取させたところ、食物繊維を含まない食餌を摂取させたラットと比較して体重増加を有意に減少させたことが報告されている。つまり、食物繊維の摂取は抗肥満効果をもたらすことを示している。(特表平4-505997号公報、特許文献1)
また、ビール酵母細胞壁成分であるβ−グルカンをヒトに7〜12週間摂取させたところ、総コレステロール値がβ−グルカンを摂取しないときと比較して有意に低下した。(FOOD Style 21(2002年)6巻、5号、p.79-85、非特許文献1)
特表平4-505997号公報 FOOD Style 21(2002年)6巻、5号、p.79-85
しかし、消費者のニーズは多様化しており、上記食物繊維では対応できない種類の飲食品もあり、抗肥満作用あるいは血中コレステロール上昇抑制作用を有する新たな飲食品用の素材の出現が待たれていた。
そこで、本発明の目的は、高い抗肥満作用あるいは血中コレステロール上昇抑制作用を有する新たな食品素材及びこの食品素材を用いた飲食品を提供することにある。
本発明者らが検討したところ、これまでの特定保健用食品に利用されている食物繊維のなかには、果実由来の食物繊維が含まれていないことが分かった。その上で、果実由来の食物繊維であれば、イメージはより明るく手軽で、しかも香味はより美味しいものであり、新たな飲食品用の素材として期待できると考えられた。そこで、本発明者らは、果実のなかから高い抗肥満作用あるいは血中コレステロール上昇抑制作用を有する成分を含む果実を探索した。
その結果、本発明者らは、ユキノシタ科スグリ属に属するカシス(英名ブラックカラント)の含有する成分が、優れた抗肥満作用および血中コレステロール上昇抑制作用を有することを見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下の通りである。
[請求項1]カシス果実に含まれる成分を有効成分とする抗肥満剤。
[請求項2]カシス果実に含まれる成分がカシス果汁の有機溶媒沈殿画分である請求項1記載の抗肥満剤。
[請求項3]有機溶媒沈殿画分がエタノール沈殿画分である請求項2記載の抗肥満剤。
[請求項4]エタノール沈殿画分が70%(v/v)エタノール沈殿画分である請求項3記載の抗肥満剤。
[請求項5]カシス果実に含まれる成分を含有し、抗肥満作用を有するものであって、肥満の抑制または予防のために用いられるものである旨の表示を付した飲食品。
[請求項6]カシス果実に含まれる成分を有効成分とする血中コレステロール上昇抑制剤。
[請求項7]カシス果実に含まれる成分がカシス果汁の有機溶媒沈殿画分である請求項6記載の血中コレステロール上昇抑制剤。
[請求項8]有機溶媒沈殿画分がエタノール沈殿画分である請求項7記載の血中コレステロール上昇抑制剤。
[請求項9]エタノール沈殿画分が70%(v/v)エタノール沈殿画分である請求項8記載の血中コレステロール上昇抑制剤。
[請求項10]カシス果実に含まれる成分を含有し、血中コレステロール量の抑制作用を有するものであって、血中コレステロール量の抑制のために用いられるものである旨の表示を付した飲食品。
本発明によれば、高い抗肥満作用あるいは血中コレステロール上昇抑制作用を有する成分を含む抗肥満剤及び血中コレステロール上昇抑制剤を提供できる。さらに本発明は、この成分を含み、抗肥満作用あるいは血中コレステロール上昇抑制作用を有する飲食品を提供できる。
[抗肥満剤]
本発明の抗肥満剤は、カシス果実に含まれる成分を有効成分とする。
カシスは、ユキノシタ科スグリ属に属し、英名、ブラックカラントと呼ばれる。欧州からアジアの寒冷地に生息し、広く栽培されている。カシスの果実は、独特の良い香りがあり、直径1cm弱の濃い紫色の実である。
「カシス果実に含まれる成分」は、例えば、カシス果汁の有機溶媒沈殿画分であることができる。カシス果汁は、カシスピューレ(カシス果実の圧搾物)を遠心し、固形分を分離することで得ることができる。上記有機溶媒は、例えば、水と相溶性を有する有機溶媒であることが、カシス果汁に含まれる有効成分をより確実に沈殿させることができるという観点から好ましい。水と相溶性を有する有機溶媒としては、例えば、アルコール、アセトン、アセトニトリル等を挙げることができる。アルコールとしては、例えば、エタノールを挙げることができる。即ち、本発明において、有機溶媒沈殿画分は、エタノール沈殿画分であることができる。さらに、沈殿画分を得るために用いるエタノールは、例えば、70%(v/v)エタノールであることが好ましい。70%(v/v)あるいはそれ以上の濃度のエタノールであることで、カシス果汁由来の有効成分を、十分に沈殿させることができ、回収することが可能であるという利点がある。
カシス果汁からの沈殿画分の作製は、具体的には、例えば、以下のように行うことができる。すなわち、市販のカシスピューレを遠心分離して、上清のカシスジュース(カシス果汁)を回収する。遠心分離の条件は、例えば、固形分の分離の程度等を考慮して適宜決定できる。例えば、3000〜10,000xg、1〜20分間の範囲とすることができる。
得られたカシスジュースに、例えば、終濃度が70%となるようにエタノールを加える。次いで、遠心分離により沈殿した画分を回収する。遠心分離の条件は、上記カシスピューレを遠心分離する条件と同様とすることができる。遠心分離以外に濾過等により沈殿画分を回収することもできる。得られた沈殿画分は、ウェットのままで用いても良いが、適宜、凍結乾燥等して、乾燥物とすることもできる。
本発明の抗肥満剤は、上記沈殿画分またはその乾燥物を、抗肥満効果を有する有効成分として含有する。さらに、本発明の抗肥満剤は、この有効成分以外に、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、アミノ酸類、色素、香料、保存料等を含有することもできる。本発明の抗肥満剤が、有効成分以外の成分を含む場合、有効成分の含有量は、例えば、0.01〜100mg/gの範囲とすることが適当である。
本発明の抗肥満剤は、体重増加を有意に抑制し、肥満ホルモンであるレプチンの血中濃度も有意に減少させることができる。本発明の抗肥満剤は、1日あたり0.1〜100gを1回あるいは数回に分けて摂取すれば良い。好ましくは、食事とともに摂取することが望ましい。
[血中コレステロール上昇抑制剤]
本発明の血中コレステロール上昇抑制剤は、カシス果実に含まれる成分を有効成分とするものであり、カシス果実に含まれる成分とは、前記本発明の抗肥満剤において説明したものと同様のものであることができる。
本発明の血中コレステロール上昇抑制剤は、上記沈殿画分またはその乾燥物を、血中コレステロール上昇抑制効果を有する有効成分として含有する。さらに、本発明の血中コレステロール上昇抑制剤は、この有効成分以外に、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、アミノ酸類、色素、香料、保存料等を含有することもできる。本発明の血中コレステロール上昇抑制剤が、有効成分以外の成分を含む場合、有効成分の含有量は、例えば、0.01〜100mg/gの範囲とすることが適当である。
本発明の血中コレステロール上昇抑制剤は、血中のコレステロール濃度の上昇を有意に抑制する効果を有する。本発明の血中コレステロール上昇抑制剤は、1日あたり0.1〜100gを1回あるいは数回に分けて摂取すれば良い。好ましくは、食事とともに摂取することが望ましい。
[飲食品]
本発明は、カシス果実に含まれる成分を含有し、抗肥満作用を有するものであって、肥満の抑制または予防のために用いられるものである旨の表示を付した飲食品を包含する。
カシス果実に含まれる成分は、上記本発明の抗肥満剤において説明したものと同様のものであることができる。また、抗肥満作用も、上記抗肥満剤についての説明と同様である。
本発明において「肥満の抑制または予防」とは、肥満になりやすい環境下においても内臓脂肪や皮下脂肪の蓄積を低減させ、体重の増加を抑制することを言う。
本発明の上記飲食品は、「肥満の抑制または予防のために用いられるである旨の表示」を付した飲食品である。ここで「表示」とは、例えば、飲食品の容器や取り扱い説明書における表示のみならず、紙媒体上及びウエブ上に掲載された飲食品についての広告文や音声による広告等も包含する。
また、「表示を付した飲食品」とは、飲食品の容器や取り扱い説明書に表示を付した飲食品のみならず、容器や取り扱い説明書に表示を付していなくても、この飲食品の紙媒体上及びウエブ上に掲載されたこの飲食品についての広告文や音声による広告等により、同様の表示をしている場合も含む。
さらに本発明は、カシス果実に含まれる成分を含有し、血中コレステロール量の上昇抑制作用を有するものであって、血中コレステロール量の上昇抑制のために用いられるものである旨の表示を付した飲食品を包含する。
カシス果実に含まれる成分は、上記本発明の抗肥満剤において説明したものと同様のものであることができる。また、血中コレステロール量の上昇抑制作用も、上記血中コレステロール上昇抑制剤についての説明と同様である。
「血中コレステロール量の上昇抑制のために用いられるものである旨の表示」における「表示」及び「表示を付した飲食品」は、上記と同様である。
本発明の飲食品は、上記の抗肥満剤あるいは血中コレステロール上昇抑制剤を常法に従って飲食品に配合したものであり、それを摂取する対象は、ヒトに限定するものでなく、イヌ、ネコをはじめとするペットやあらゆる動物にも適応される。即ち、本発明において、飲食品には、動物用の飼料も包含する。
本発明の飲食品としては上記の肥満の抑制または予防もしくは血中コレステロール量の上昇を抑制させることを目的としてカシス果実からその有効成分を抽出した抽出物または、その抽出物を他の成分と混合して調製されたものをあげることができる。食品の形態としては、固形食品、クリーム状などの半流動食品、ゲル状食品、飲料等のあらゆる形態が可能である。または、粉状、顆粒状、カプセル状、タブレット状、液状等の形態でも良い。
カシス果実から抽出された有効成分とともに飲食品に配合される各種成分は特に制限はなく、通常使用される各種成分がいずれも使用可能である。このような成分としては、例えばブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、アミノ酸類、色素、香料、保存料等が挙げられる。
本発明にかかる飲食品の具体例としては、清涼飲料、ジュース、ジャム、菓子類、乳製品等が挙げられる。カシス果実からの抽出物の有効成分の含有量は、0.01〜100mg/gの範囲が適当であるが、この範囲よりも多量に配合しても問題ない。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1:カシス成分(沈殿画分)を含有する高脂肪食飼料を用いた肥満モデル動物による抗肥満作用および血中コレステロール上昇抑制作用の確認
(カシス成分(沈殿画分)の調製)
市販のカシスピューレを遠心(9000xg, 10 min)し、固形分を分離することで、12Lのカシスジュースを得た。これに終濃度が70%となるようにエタノールを加えた。遠心(9000xg, 10 min)により沈殿したカシス成分(沈殿画分)を回収し、凍結乾燥することで約210gの乾燥物を得た。
(高脂肪飼料の調製)
肥満モデルマウスの飼料1kgあたりの組成を下表に示した。カシス成分(沈殿画分)は、飼料中に5%重量混合し、混合した量はカゼイン量を減量した。
(実験動物)
試験に用いた雄性C57BL/6J系マウス(SPF)は、日本チャールズリバーより購入した。マウスは4週齢で搬入後、8日間予備飼育して実験に供した。マウスは予備飼育期間および実験期間を通して室温24±3℃、相対湿度55±15%のSPFバリア飼育室(照明時間8時〜18時、換気回数18回/時)で飼育した。
マウスは3あるいは4匹/ケージとし、予備飼育期間中は普通粉末飼料(MF,オリエンタル酵母工業株式会社)を、また実験期間中は普通粉末飼料または上記高脂肪飼料をマウス用粉末給餌器(CL-0920、日本クレア)にて、それぞれ与えた。飼料の補充は週2回(毎週月曜日、木曜日)行った。飲料水は滅菌蒸留水を給水瓶で自由に与えた。また、マウスの個体識別には耳パンチ法を用いた。
(肥満モデル試験)
8日間の予備飼育後、マウスの体重を測定し群間に有意な差が出ないように1群10匹の3群に分けた。それぞれの群を、普通飼料群、高脂肪食飼料群、カシス成分(沈殿画分)含有高脂肪食飼料群とし、89日間、飼料を自由摂取させた。週に1回体重計にて体重を測定し、週に2回(月曜日、木曜日)飼料摂取量を測定した。一般状態を毎日観察した。
(体重変化)
普通飼料群、高脂肪食飼料群、カシス成分(沈殿画分)含有高脂肪食飼料群のマウスの体重の平均値の推移を図1に示した。高脂肪食飼料摂取群は、普通飼料食摂取群と比較すると試験開始14日後から有意に体重が増加した。一方、カシス成分(沈殿画分)含有高脂肪食飼料摂取群は摂取後49日後ぐらいから高脂肪食摂取群と比較すると有意に体重増加が抑制された。これより、カシス成分(沈殿画分)摂取は、高脂肪食摂取による体重増加を抑制する効果を有することが認められた。
(脂肪重量)
実験開始後89日目に体重、摂餌量を測定後、一晩マウスを絶食させた。翌日(実験開始後90日目)に、心臓採血して個体ごとに解剖し、鼠径部脂肪組織、生殖器周囲脂肪組織、腎臓周囲脂肪組織および背部皮下脂肪組織を採取し、重量を測定した。図2に各群における各組織重量の平均値を示した。生殖器周囲脂肪重量は、高脂肪食飼料群で普通食飼料群と比較すると有意に脂肪の蓄積増加が見られ、カシス成分(沈殿画分)含有高脂肪食飼料群では高脂肪食飼料群と比較すると脂肪の蓄積抑制効果が認められた。腎臓周囲脂肪、鼠径部脂肪、背部皮下脂肪も同様に、高脂肪食飼料群では普通食飼料群と比較すると有意に脂肪の蓄積が見られたが、カシス成分(沈殿画分)含有高脂肪食飼料群では高脂肪食飼料群と比較すると脂肪の蓄積増加が有意に抑制された。
これより、カシス成分(沈殿画分)摂取は高脂肪食摂取による脂肪蓄積を抑制・低減させる効果を有することが認められた。
(脂肪率)
上記で求めた脂肪組織重量を、内臓脂肪(生殖器周囲脂肪組織+腎臓周囲脂肪組織)と皮下脂肪(鼠径部脂肪組織+背部皮下脂肪組織)とに分類して体重に対する割合を求めた。各群における平均値を求めたものを図3に示した。内臓脂肪率および皮下脂肪率ともに、高脂肪食飼料群では普通脂肪食群と比較して有意に脂肪率が増大した。カシス成分(沈殿画分)含有高脂肪食飼料群では、高脂肪食飼料群と比較して有意に低下した。これより、カシス成分(沈殿画分)摂取は高脂肪食摂取による脂肪蓄積を抑制・低減させる効果を有することが認められた。
(血漿の生化学的分析)
マウス解剖時にヘパリンナトリウム添加の注射筒を用いて心臓から採血した。採血後直ちに、遠心分離により血漿を分離し−80℃にて凍結保存した。この血漿中の総コレステロール、トリグリセリド、遊離脂肪酸(NEFA)の定量を市販のキット(コレステロールE-テストワコー、トリグリセライド E-テストワコー、NEFA C-テストワコー 、いずれも和光純薬工業株式会社)を用いて行った。各個体ごとに測定し、各群での平均値を図4に示した。
総コレステロールは、普通食飼料と比較して高脂肪食飼料で有意に増加していた。カシス成分(沈殿画分)含有高脂肪食飼料群では高脂肪食飼料群と比較して有意に総コレステロールが抑制された。トリグリセリドは、高脂肪食飼料群では普通食飼料群と比較して有意に低下しており、カシス成分(沈殿画分)含有高脂肪食飼料群では高脂肪食飼料群と比較してさらに低下した。遊離脂肪酸は、普通食飼料群と比較して、高脂肪食飼料群およびカシス成分(沈殿画分)含有高脂肪食飼料群で有意に低下した。これより、カシス成分(沈殿画分)摂取は高脂肪食摂取による血中総コレステロール量上昇を低下させる効果を有することが認められた。
(血中レプチン値の測定)
マウス解剖時にヘパリンナトリウム添加の注射筒を用いて心臓から採血した。採血後直ちに、遠心分離により血漿を分離し-80℃にて凍結保存した。この血漿中のレプチン濃度を市販のレプチン測定用ELISAキット(株式会社森永生科学研究所)を用いて測定した。各群の各個体の血漿中レプチン濃度を測定後、各群の平均値を求めたものを図5に示した。高脂肪食飼料群では、普通食飼料群と比較して血漿レプチン値は有意に上昇した。カシス成分(沈殿画分)含有高脂肪食飼料群では、高脂肪食飼料群と比較して血漿中レプチン値は有意に低下した。これより、カシス成分(沈殿画分)は高脂肪食摂取による血中レプチン濃度上昇を抑制させる作用を有することが認められた。
(統計処理)
得られた各種データは群ごとの平均値±標準誤差で示した。高脂肪食群に対してカシス成分(沈殿画分)含有高脂肪食群の統計学的有意差を検定するために解析ソフト(Stat View, Abacus Inc., USA)を用いて多重比較検定(ANOVA)を行い等分散であることを確認した後、Fisher's PLSD法である多重比較検定を行い群間の比較を行った。統計的有意差は*:p<0.05、**:p<0.01、***:p<0.001の場合を有意であるとした。
上記結果において、高脂肪食飼料を摂取すると普通食飼料摂取と比較すると体重は有意に増加するが、本発明のカシス成分(沈殿画分)含有高脂肪食飼料摂取では有意に体重増加が抑制されることが見出された。また、本発明のカシス成分(沈殿画分)含有高脂肪食飼料を摂取することで、脂肪組織重量の増加が有意に抑制された。血漿中の総コレステロールの増加も有意に抑制された。血中レプチン濃度も本発明のカシス成分(沈殿画分)含有高脂肪食飼料摂取で有意に上昇が抑制されることが見出された。これらの結果から、本発明のカシス成分(沈殿画分)を摂取することで、肥満を回避し、血中の総コレステロール値が上昇することを抑えることが示された。
本発明は、医薬品及び飲食品等の分野に利用可能である。
実施例におけるマウスの体重増加抑制作用を示すグラフである。 実施例におけるマウスの脂肪蓄積抑制作用(各脂肪組織重量)を示すグラフである。 実施例におけるマウスの脂肪蓄積抑制作用(脂肪率)を示すグラフである。 実施例における血中総コレステロール低減作用を示すグラフである。 実施例における血中レプチン低減作用を示すグラフである。

Claims (10)

  1. カシス果実に含まれる成分を有効成分とする抗肥満剤。
  2. カシス果実に含まれる成分がカシス果汁の有機溶媒沈殿画分である請求項1記載の抗肥満剤。
  3. 有機溶媒沈殿画分がエタノール沈殿画分である請求項2記載の抗肥満剤。
  4. エタノール沈殿画分が70%(v/v)エタノール沈殿画分である請求項3記載の抗肥満剤。
  5. カシス果実に含まれる成分を含有し、抗肥満作用を有するものであって、肥満の抑制または予防のために用いられるものである旨の表示を付した飲食品。
  6. カシス果実に含まれる成分を有効成分とする血中コレステロール上昇抑制剤。
  7. カシス果実に含まれる成分がカシス果汁の有機溶媒沈殿画分である請求項6記載の血中コレステロール上昇抑制剤。
  8. 有機溶媒沈殿画分がエタノール沈殿画分である請求項7記載の血中コレステロール上昇抑制剤。
  9. エタノール沈殿画分が70%(v/v)エタノール沈殿画分である請求項8記載の血中コレステロール上昇抑制剤。
  10. カシス果実に含まれる成分を含有し、血中コレステロール量の抑制作用を有するものであって、血中コレステロール量の抑制のために用いられるものである旨の表示を付した飲食品。
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