JP4445057B2 - 訪問販売における営業職員活動分析システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、物品や金融商品やサービス商品を含む各種商品を各営業職員が各顧客宅や顧客勤務先等を訪問して販売する訪問販売業務に係わり、特に各営業職員の営業実績と個人情報との関係を分析する訪問販売における営業職員活動分析システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
訪問販売業務で販売される商品は、化粧品や日用品等の物品、投資信託や定期預金や保険等の金融商品、旅行や語学教室等のサービス商品等がある。
【0003】
訪問販売業者の責任者は、各顧客宅を訪問してこれらの各商品を販売する新規の営業職員に対して、訪問販売に関する具体的方法を教育するとともに、実際に営業活動を行っている全ての営業職員に対して各月の売上実績や契約実績等の営業実績を監視している。そして、各営業職員毎の月単位の平均値や分布を簡単な統計手法を用いて解析する。そして、営業実績のよい営業職員に対しては報償を与え、営業実績の悪い営業職員に対しては注意を与える。
【0004】
しかし、このように営業実績の良し悪しのみの情報であれば、何の要因で営業実績が良くなったか、悪くなったかの理由が不明である。
【0005】
このような不都合を解消するために、各営業職員に対して、一つの商品を販売するための顧客に対する訪問回数、訪問時間等を記録させておき、これらの活動と営業実績との関係を定性的に予測して、営業実績の悪い営業職員に対して、予測した要因を勧告するようにしていた。
【0006】
また、特開平10―11498号公報には、各営業職員の営業活動の実績情報(データ)を利用して進捗状況や訪問履歴等のプロセス管理を行い、各営業職員の日常の活動、商談の状況等を把握しつつ、管理者が適切な指示を与えることができる営業マネジメント支援システムが提唱されている。
【0007】
さらに、特開平9―147012号公報には、個人の性格と長所、活動の強みや役割の強みを客観的に把握して、人材の適材適所の配置を可能にして円滑な業務の遂行を可能にする経営支援システムが提唱されている。
【0008】
また、特開平7―230442号公報には、営業先データ、営業計画データ、営業実績データ等から営業職員活動予定の作成及び売上げ予測、受注等の営業関連事務処理を行う営業活動支援システムが提唱されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した各支援システムにおいてもまだ解消すべき次のような課題があった。
【0010】
すなわち、いずれの支援システムにおいても、訪問販売業者の責任者は例えば営業実績の悪い各営業職員に対して、その原因を指摘し、どのような対策を講じれば良いかを適切に指導できなかった。
【0011】
具体的には、営業実績に影響を及ぼす営業職員の個人情報は多岐に亘る。例えば、顧客に対する訪問に限っても、訪問回数、1回の訪問の訪問所要時間(滞在時間)、訪問時間帯、訪問対象時間等がある。また、営業職員自体においても、年齢、勤続年数、家族構成、生活依存度等がある。
【0012】
また、近年、各営業職員に対して販売商品に関する詳細情報及び商品販売や契約に関する情報を記録した携帯端末を所持させている。営業職員はこの携帯端末を用いて、顧客に商品の説明を行うとともに、商談が成立した場合に販売情報や契約情報を入力する。そして、営業職員はこの携帯端末を営業所に持ち帰り、営業所のコンピュータに接続して、商品情報を更新したり、販売情報や契約情報をコンピュータに入力するようにしている。したがって、営業職員におけるこの携帯端末の使用状況も営業実績に影響を及ぼすはずである。
【0013】
そして、上述した各営業職員に対する各項目は単独で実施されることはく、必ず複数の項目が組合わされて実施される。したがって、営業実績は各項目の組合せに応じて変化する。その結果、管理者は、各営業職員対して、より具体的な項目を指定した指導を実施できなかった。
【0014】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものあり、各営業職員の営業実績と各営業職員の個人情報との関係を有機的に分析することにより、各営業職員における営業実績の良し悪しに直接に影響を与える各評価項目を影響の大きい順に特定することができ、各営業職員に対して訪問販売に関してより適切なアドバイスを与えることができる訪問販売における営業職員活動分析システムを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解消するために、本発明はホスト装置と、前記ホスト装置に対して通信路を介して接続される複数の営業所端末と、前記各営業所端末には装着可能で各営業所職員が使用する複数の携帯端末と、を備え、
前記携帯端末を所持して各顧客を訪問して各商品を販売する各営業職員における営業実績と前記営業職員の個人情報との関係を、前記ホスト装置が分析する営業職員活動分析システムであって、前記携帯端末は、各営業職員が訪問販売に関して自己の活動に伴う訪問販売記録情報をその都度を入力するための訪問販売記録情報入力部と、前記訪問販売記録情報入力部により入力された訪問販売情報を記憶する訪問販売情報記憶部とを備え、前記営業所端末は前記携帯端末から読み取った情報を前記ホスト装置へ送出すると共に前記ホスト装置から受信した各種情報を自己のファイルに記憶保持する記憶保持部を備え、前記ホスト装置は、前記各営業職員に関する、年齢、勤続年数、家族構成、生活依存度、現在までに商品を販売した顧客数を示す既顧客数、該当営業職員が受け持つ訪問販売の範囲を示す活動範囲等の個人静的属性情報を予め記憶する個人静的属性情報記憶部と、前記各営業職員に関する、所定日数単位の出勤日数、顧客宅の訪問件数(回数)、訪問した顧客数を示す訪問人数、訪問した時点における平均滞在時間、顧客一人当たりの訪問回数、時間帯別訪問回数等の個人活動情報を、記憶する個人活動情報記憶部と、各営業職員毎に所定日数単位の、設計書作成枚数、設計書作成頻度、顧客一人当たりの設計書作成枚数、携帯端末自体の使用頻度を示すシステム活用頻度、画面別活用回数、顧客情報検索回数等の個人携帯端末使用情報を記憶する個人携帯端末使用情報記憶部と、各営業職員毎に所定日数単位の、当月販売した保険商品の合計の保険料、新規契約件数、追加契約件数、解約件数、解約引き止め件数、契約から解約までの平均日数、初訪からクロージングまでの平均日数等の営業実績項目を記憶する営業実績情報記憶部と、前記個人静的属性情報記憶部以外の前記個人活動情報記憶部、前記個人携帯端末使用情報記憶部、前記営業実績情報記憶部に記憶された各営業職員の評価項目は、各営業所端末から、新規情報が入力される毎に、データ更新が行われるデータ更新部と、前記営業実績情報記憶部内に記憶された保険料、契約件数等は高い割合のプラスの点数が付与され、解約件数に対してはマイナスの点数が付与され、全営業実績項目の点数を加算して、各営業職員毎の加算値を求めて、この加算値を該当営業職員の営業実績とし、この営業実績が予め定められた基準値以上の営業職員を「営業成績優秀者」とし、基準値未満の営業職員を「営業成績非優秀者」と定義して、全ての営業職員を「営業成績優秀者」又は「営業成績非優秀者」にクラス分けするクラス分け処理部と、前記クラス分け処理部でクラス分けされた結果を記憶するクラス分け記憶部と、前記個人静的属性情報記憶部、前記個人活動情報記憶部、前記個人携帯端末使用情報記憶部の各々に記憶されている全ての評価項目の値に対し、前記個人携帯端末使用情報記憶部に記憶されているシステム活用頻度から求められる利用回数と、前記営業成績優秀者及び営業成績非優秀者のそれぞれの人数からグラフを作成するグラフ作成部と、前記グラフ作成部で作成されたグラフから全部の営業成績優秀者における該当評価項目の分布と、前記グラフ作成部で作成されたグラフから全部の営業成績非優秀者における該当評価項目の分布とから、該当評価項目と前記営業成績との関係の強化の度合である、優位水準を算出し、かつ前記該当項目変数がカテゴリ型の変数ではなく連続値の場合、該当評価変数に対して分割情報量(エントロピー値)が最小となるように境界値を算出するか、又は前記該当項目変数がカテゴリ型の変数ではなく連続値の場合、カイ二乗検定による信頼率を最大にするように該当評価項目の変数を分割した境界値を算出する境界値・優位水準算出部と、前記境界値・前記優位水準算出部で求めた各評価項目の営業成績優秀者平均値、営業成績非優秀者平均値、境界値、母集団平均値、優位水準を記憶する優位水準記憶部と、前記優位水準記憶部内の営業実績に最も影響を与える評価項目のうちの最大の優位水準の評価項目を抽出する評価項目抽出部と、前記評価項目抽出部により評価項目を抽出したとき前記優位水準記憶部に記憶された優位水準をクリアする優位水準クリア部と、前記境界値・優位水準算出部で算出した該当項目の境界値以上及び境界値未満でグループ分けするグループ分け部と、前記グループ分け部でグループ分けされた決定木モデルにおける分析結果を文書表現による出力を行う表示出力部と、を備えたデータマイニング手段とを具備し、前記グループ分け部の出力を前記表示出力部に出力するまでの処理は、該当項目の境界値以上及び境界値未満について前記グラフ作成部、前記境界値・前記優位水準算出部、前記優位水準記憶部、前記評価項目抽出部、前記優位水準クリア部を順次動作させ、営業成績優秀者及び営業成績非優秀者に区分された営業職員の各グループと個人静的属性情報、個人活動情報、個人携帯端末使用情報を構成する各評価項目の値との関係をツリー形式に求めて行く決定木分析処理を実施することを特徴とする営業職員活動分析システムである。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。
図1は実施形態に係る訪問販売における営業職員活動分析システムが組込まれた訪問販売システムの全体構成を示す模式図である。
この実施形態システムにおいては、販売商品が金融商品であり、さらにその金融商品は生命保険や障害保険等であり、訪問販売業者は保険会社であるとする。
【0029】
保険会社の本社に設置された大型コンピュータからなるホスト装置1に対して専用の通信ネットワーク2を介して全国の各営業所に配設された複数の営業所端末3が接続されている。各営業所には多数の営業職員4が配属されている。そして、各営業職員4に対して携帯端末5が貸与されている。
【0030】
各携帯端末5には、顧客に販売する各種の保険商品に関する詳細情報及び販売成立した保険に対する契約に関するプログラムが記憶されている。より具体的には、保険商品に関する詳細情報として顧客が現在時点で保険に加入した場合における毎月の支払保険料や病気や死亡時の受取保険金額や満期時の受取金額等が記憶され、必要に応じて、グラフィック表示可能に記憶されている。これらは、顧客毎に異なるので、営業職員が各顧客に提示する設計書と称する。
【0031】
また、必要に応じて、顧客の家族構成をキー入力することによって、資金面におけるライフ計画を表示可能である。
【0032】
さらに、契約項目としては、契約保険を特定する保険種別番号、各月の支払保険料、病気や死亡時の受取保険金額や満期時の受取金額、契約者の住所氏名、被保険者の住所氏名、保険金の受取人の住所氏名、営業職員コード等である。営業職員が実施するこれらの操作は操作履歴としてこの携帯端末5に記憶保持される。
さらに、各営業職員4は、各顧客に対する訪問記録等の自己の活動をその都度自己が所持する携帯端末5に入力する。
【0033】
携帯端末5に記憶保持された操作履歴、活動記録、契約情報は、営業職員4が営業所に戻ったときに、この携帯端末5を営業所端末3に装着することによって、営業所端末3のファイルに書込まれる。
営業所端末3のファイルに書込まれた各営業職員4毎の携帯端末5から読取られた情報は、必要に応じて通信ネットワーク2を介して本社のホスト装置1へ送信される。
【0034】
この営業所端末3は、上述した携帯端末5から読取られた情報をホスト装置1へ送出するとともに、ホスト装置1から受信した各種情報を自己のファイルに記憶保持するとともに、必要に応じて表示出力する。
【0035】
保険会社の本社に設置されたホスト装置1は例えば図2に示すように構成されている。なお、この実施形態においては、説明を簡単にするために、営業職員活動分析システムに関係する部分のみを抽出して説明する。また、ホスト装置は1台でも、業務や機能単位に分散化した、複数装置による分散システムでもよい。
【0036】
このホスト装置1内には、訪問販売の対象となる各顧客の情報を記憶する顧客データベース6、各顧客に販売した各保険の契約を記憶する契約データベース7、各営業所に配属された各営業職員4の個人情報を記憶する営業職員データベース8、データマイニング処理部9、データマイニング処理分析結果を出力する出力部10、分析結果を通信ネットワーク2を介して各営業所端末3へ送信する分析結果送信部11、及び各営業所端末3からの情報に基づいて各データベース6、7、8の記憶データを更新するデータ更新部12が設けられている。
【0037】
前記営業職員データベース8内には、個人静的属性情報テーブル13、個人活動情報テーブル14、個人携帯端末使用情報テーブル15、営業実績情報テーブル16等が形成されている。
【0038】
個人静的属性情報テーブル13内には、図3(a)に示すように、各営業職員4毎に、年齢、勤続年数、家族構成、生活依存度、現在までに商品を販売した顧客数を示す既顧客数、該当営業職員が受け持つ訪問販売の範囲を示す活動範囲等の複数の評価項目が記憶されている。
【0039】
個人活動情報テーブル14内には、図3(b)に示すように、各営業職員毎に例えば1月単位の、出勤日数、顧客宅の訪問件数(回数)、訪問した顧客数を示す訪問人数、訪問した時点における平均滞在時間、顧客一人当たりの訪問回数、時間帯別訪問回数等の複数の評価項目が記憶されている。
【0040】
個人携帯端末使用情報テーブル15内には、図3(c)に示すように、各営業職員毎に例えば1月単位の、設計書作成枚数(回数)、設計書作成頻度(回数)、顧客一人当たりの設計書作成枚数、携帯端末5自体の使用頻度を示すシステム活用頻度、画面別活用回数、顧客検索回数等の複数の評価項目が記憶されている。
【0041】
営業実績情報テーブル16内には、図3(d)に示すように、各営業職員毎に例えば1月単位の、今月販売した保険商品の合計の保険料、新規契約件数、追加契約件数、解約件数、解約引き止め件数、契約から解約までの平均日数、初訪からクロージングまでの平均日数等の複数の営業実績項目が記憶されている。
【0042】
この営業職員データベース8の個人静的属性情報テーブル13以外の各情報テーブル14,15,16に記憶された各営業職員の評価項目は、前述したように、各営業所端末3から、新規情報が入力される毎に、データ更新部12にて自動更新される。
【0043】
マイニング処理部9は、営業職員データベース8の各情報テーブル13、14、15、16に記憶されている個人静的属性情報、個人活動情報、個人携帯端末使用情報に基づいて、営業実績と、個人静的属性情報、個人活動情報、個人携帯端末使用情報との関係を発見する処理機能を有する。
【0044】
そして、このマイニング処理部9は、図2に示すように、クラス分け処理部17とクラス分けメモリ18とデータ処理部19とで構成されている。さらに、データ処理部19は、決定木分析処理部20、優位水準テーブル21、ニューラルネット演算部22、要因分析部23で構成されている。
【0045】
次に、マイニング処理部9を構成する各部17〜23の各動作を順番に説明していく。
クラス分け処理部17は図4の流れ図に従って各営業職員を営業実績に基づいて「営業成績優秀者」と「営業成績非優秀者」とにクラス分けする。
【0046】
先ず、営業実績情報テーブル16内に記憶された保険料、契約件数等の各営業実績項目を所定の規則に従って点数化する(S1)。例えば、保険料、契約件数等は高い割合のプラスの点数が付与され、解約件数に対してはマイナスの点数が付与される。そして、全営業実績項目の点数を加算して、各営業職員毎の加算値を求めて、この加算値を該当営業職員の営業実績とする(S2)。
【0047】
そして、この営業実績が予め定められた基準値以上の営業職員を「営業成績優秀者」とし、基準値未満の営業職員を「営業成績非優秀者」と定義して、全ての営業職員を「営業成績優秀者」又は「営業成績非優秀者」にクラス分けする(S3)。そのクラス分け結果をクラス分けメモリ18へ書込む(S4)。
【0048】
全ての営業職員に対するクラス分け処理が終了すると、データ処理部19の決定木処理部20が起動される。
決定木処理部20は、図5の流れ図に従って、営業成績優秀者及び営業成績非優秀者に区分された営業職員の各グループと個人静的属性情報、個人活動情報、個人携帯端末使用情報を構成する各評価項目の値との関係を図8に示すツリー形式に求めて行く決定木分析処理を実施する。
【0049】
先ず、個人静的属性情報テーブル13、個人活動情報テーブル14、個人携帯端末使用情報テーブル15に記憶されている各評価項目の値と、営業成績優秀者及び営業成績非優秀者のそれぞれの人数との関係をグラフ化(分布化)する(P1)。作成されたグラフから、全部の営業成績優秀者における該当評価項目の平均値(営業成績優秀者平均値)と、全部の営業成績非優秀者における該当評価項目の平均値(営業成績非優秀者平均値)とを求める。次に、各評価項目の境界値と各評価項目の優位水準とを求める(P2,P3)。
【0050】
具体例を図6を用いて説明する。図6のグラフにおいては、評価項目を個人携帯端末使用情報テーブル15に記憶されているシステム活用頻度から求められる利用回数を横軸として、縦軸を営業成績優秀者及び営業成績非優秀者のそれぞれの人数としている。このグラフからは、携帯端末5の使用回数が増加すると営業成績優秀者の占める割合が増加し、携帯端末5の使用回数が減少すると営業成績非優秀者の人数が増加することが理解できる。このようにして、各情報テーブル13,14,15に記憶されている全ての評価項目に対して図6に示すグラフを作成する。
【0051】
次に、全部の営業成績優秀者における該当評価項目の分布と全部の営業成績非優秀者における該当評価項目の分布とから、該当評価項目と営業成績と関係の強化の度合(優位水準)を算出する。この優位水準が高いほど、該当評価項目の大小は営業成績に大きく影響を与えることを示す。逆に優位水準が低い場合、該当評価項目の大小は営業成績にさほど影響を与えないことを示す。
【0052】
優位水準となる統計情報量は、営業成績優秀者と営業成績非優秀者とのクラスを判別基準変数(非説明変数)とする該当評価項目に対する分割情報量(エントロピー値)を用いる。分割情報量(エントロピー値)は判別アルゴリズムID3/C4.5により計算される。
【0053】
なお、判別アルゴリズムID3/C4.5については、例えば、J.R.キンラン原著、古川康一監訳、1995年株式会社トッパン発行の「AIによるデータ解析」に記載されている。該当項目変数がカテゴリ型の変数ではなく連続値の場合、該当評価変数に対して分割情報量(エントロピー値)が最小となるように境界値が計算される。該当評価項目と営業成績と関係の強化の度合が強い程、優位水準が高く、分割情報量(エントロピー値)は小さい程、優位水準は高いとする。例えば、(1−エントロピー値)×100を優位水準とする。
【0054】
また、分割情報量(エントロピー)の他の優位水準となる統計情報量として、営業成績優秀者と営業成績非優秀者とのクラスのカテゴリ変数と該当評価項目の変数との2変数間のカイ二乗検定による信頼率(1−危険率)が挙げられる。ただし、該当項目変数がカテゴリ型の変数ではなく連続値の場合は、カイ二乗検定による信頼率(1−危険率)を最大にするように、該当評価項目の変数を分割してカテゴリ型の変数にする。その分割した値が境界値となる。
【0055】
このようにして求めた各評価項目の営業成績優秀者平均値、営業成績非優秀者平均値、境界値、母集団平均値、優位水準を図7に示す優位水準テーブル21へ書込む(P4)。そして、優位水準テーブル21内の最大の優位水準の評価項目を抽出する(P5)。すなわち、営業実績に最も影響を与える評価項目を特定する。この実施形態においては、年齢の評価項目がそれに相当する。そして、この優位水準テーブル21をクリアする(P6)。
【0056】
次に、図8のステップQ1に示すように、該当評価項目の境界値で二つのグループに分割する(P7)。そして、境界値以上の全営業職員に対して、前述したP1〜P4の処理を再度実施する(P8)。再度作成された優位水準テーブル21内における最大優位水準の評価項目を抽出する(P9)。この再度作成された優位水準テーブル21をクリアする(P10)。そして、図8のステップQ2に示すように、該当評価項目の境界値で再度二つのグループに分割する(P11)。
【0057】
このようにして、図8のステップQ1、Q2、Q3に示すように営業職員4を順次小さなグループに分割していく。
【0058】
また、P7で分割された境界値未満の全営業職員に対して、前述したP1〜P4の処理を実施する(P12)。再度作成された優位水準テーブル21内における最大優位水準の評価項目を抽出する(P13)。この再作成された優位水準テーブル21をクリアする。そして、図8のステップQ4に示すように、該当評価項目の境界値で再度二つのグループに分割する。
【0059】
このようにして、図8のステップQ1、Q4に示すように順次小さなグループに分割していく。
【0060】
このような手順で図8に示すツリー状の決定木モデルを順次作成していく。そして、例えば、3次の分岐まで作成すると、この作成したツリー状の決定木モデルにおける最終に分割された各グループに所属する営業職員の営業成績優秀者が含まれる成績優秀者率を算出する。
【0061】
そして、この作成したツリー状の決定木モデルを出力部10の表示画面上に表示出力する。また、決定木モデルの文書表現として、図9に示す分析結果メッセージ24を表示出力する。
【0062】
次に、図8に示す実際のツリー状の決定木モデルを用いて、決定木分析処理の特徴を説明する。
【0063】
先ず、営業職員4全員を対象とする優位水準検定で年齢が最も高い優位水準(97)であったとする。そしてこの場合の境界値が36才の場合は、ステップQ1で営業職員4全員が年齢36才未満のグループと、年齢36才以上のグループとに分割される。
【0064】
そして、年齢36才未満のグループ全員を対象とする優位水準検定を行い、携帯端末画面Bの使用回数が最も高い優位水準であったとする。そして、この場合の境界値が15回/月の場合は、ステップQ2で年齢36才未満のグループ営業職員4が、携帯端末画面Bの使用回数が15回/月以上のグループと、携帯端末画面Bの使用回数が15回/月未満のグループCとに再分割される。
【0065】
そして、年齢36才未満でかつ携帯端末画面Bの使用回数が15回/月以上のグループ全員を対象とする優位水準検定を行い、顧客情報検索回数が最も高い優位水準であったとする。そしてこの場合の境界値が30回/月の場合は、ステップQ3で対象グループの営業職員4が、顧客情報検索回数が30回/月以上のグループAと、顧客情報検索回数が30回/月未満のグループBとに再分割される。
【0066】
一方、年齢36才以上のグループ全員を対象とする優位水準検定を行い、平均滞在時間が最も高い優位水準であったとする。そしてこの場合の境界値が1時間/回の場合は、ステップQ4で年齢36才以上のグループ営業職員4が、平均滞在時間が1時間/回未満のグループと、平均滞在時間が1時間/回以上のグループFとに再分割される。
【0067】
そして、年齢36才以上でかつ平均滞在時間が1時間/回未満のグループ全員を対象とする優位水準検定を行い、携帯端末画面Aの使用回数が最も高い優位水準であったとする。そして、この場合の境界値が10回/月の場合は、ステップQ5で対象グループの営業職員4が、携帯端末画面Aの使用回数が10回/月以上のグループDと、携帯端末画面Aの使用回数が10回/月未満のグループEとに再分割される。
【0068】
そして、各グループA、B、C、D、E、Fの成績優秀者率がそれぞれ90%、60%、45%、85%、50%、10%と計算された。
【0069】
この場合、この作成されたツリー状の決定木モデルから直接的に、図9に示す分析結果メッセージ24が自動的に表示出力される。
【0070】
このように解析することによって、営業実績の悪い営業職員に対して、該当営業実績が所属するグループを特定し、そのグループの所属する営業実績の良い営業職員の活動を手本とする指導を実施すればよい。すなわち、営業実績の悪い営業職員に対して、該当営業職員に最適な指導を実施できる。
【0071】
次に、ニューラルネット演算部22及び要因分析部23の動作て説明する。
ニューラルネット演算部22は、図10に示すニューラルネットワーク26及び学習部27とで構成されている。ニューラルネットワーク26は、周知のように、入力層28と中間層29と出力層30とで構成されている。
【0072】
入力層28から各営業職員4における個人情報テーブル13、個人活動情報テーブル14、個人携帯端末使用情報テーブル15の各評価項目x1、x2、x3、x4、…が入力され、出力層39から該当営業職員4が営業成績優秀者か営業成績非優秀者であるかが出力される。
【0073】
そして、中間層29の各値y1、y2、y3はシグモイド関数S(x)で示される。
y=S(k1x1+k2x2+k3x3+k4x4+…)
k1、k2、k3、k4…は重み係数である。
【0074】
学習部27は、入力層28に各営業職員4の各評価項目x1、x2、x3、x4、…を入力し出力層30から出力される営業成績優秀者か営業成績非優秀者かが先にクラス分け処理部17でクラス分けされてクラス分けメモリ18に記憶されている対応する各営業職員4の営業成績優秀者か営業成績非優秀者かに一致するように中間層29の各重み係数k1、k2、k3、k4…を学習して決定する。
【0075】
中間層29の各重み係数k1、k2、k3、k4…がほぼ正しく決定された時点においては、入力層28を構成する各評価項目と出力層30を構成する営業成績優秀者か営業成績非優秀者かの区分との関係が明確になる。言い換えれば、各評価項目が営業職員の営業実績にどのように寄与するかが定量的に把握される。
【0076】
なお、中間層29を複数段に構成して、ニューラルネットワークを構成することも可能である。
【0077】
要因分析部23は、このニューラルネットワーク演算部22で得られた各重み係数を用いて、営業職員の個人静的属性情報、個人活動情報、個人携帯端末使用情報の中から、各評価項目単独で、又は複数の評価項目の組合せで、営業職員の営業成績に寄与する個人情報の条件を抽出し、一覧表形式にまとめる。
【0078】
なお、学習後のニューラルネットワークの各素子が意味することを分析し、人間に理解可能な命題(本実施形態における、単独または複数の評価項目により表現された個人情報の条件)として表現することのできるニューラルネットワーク分析手法は、特公平9−311834号公報「ニューラルネットワーク分析手法および装置」に記載され、そのアルゴリズムによる実施事例は社団法人システム総合研究所主催、平成10年2月10日開催、第210回総合システム研究会、「データマイニングの理論と実際」(発表者(株)東芝月本洋)で報告されている。
【0079】
出力部10は要因分析部23で作成された各評価項目単独で、又は複数に評価項目の組合せでの一覧を表示出力する。
【0080】
したがって、決定木分析処理部20で得られた図8に示すツリー状の決定木モデルと同様に、営業実績の悪い営業職員に対して、該当営業実績が所属するグループを特定し、そのグループの所属する営業実績の良い営業職員の活動を手本とする指導を実施すればよい。すなわち、営業実績の悪い営業職員に対して、該当営業職員に最適な指導が実施できる。
【0081】
なお、データ処理部19において、決定木分析処理部20の決定木分析処理手法を用いるか、ニューラルネット演算部22におけるニューラルネット手法を用いるかは、予めこのホスト装置1の管理者が設定しておく。
【0082】
出力部10は分析結果を表示出力するとともに、分析結果送信部11を介して各営業所端末3へ送信する。各営業所の責任者は営業所端末3に表示出力された分析結果に基づいて自己の営業所に所属する各営業職員に対する指導を実施する。
【0083】
したがって、各営業所に所属する各営業職員に対して該当営業職員に最適の指導を実施できる。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の訪問販売における営業職員活動分析システムにおいては、各営業職員の営業実績と各営業職員の個人情報との関係をデータマイニング手法を用いて分析している。
したがって、各営業職員における営業実績の良し悪しに直接に影響を与える各評価項目を影響の大きい順に単独で又は組合せで特定することができ、各営業職員に対して訪問販売に関するより適切なアドバイスを与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の訪問販売における営業職員活動分析システムが適用される訪問販売システム全体を示す模式図
【図2】同営業職員活動分析システムが組込まれたホスト装置の概略構成を示すブロック図
【図3】同営業職員活動分析システムにおける営業職員データベースの記憶内容を示す図
【図4】同営業職員活動分析システムの動作を示す流れ図
【図5】同じく同営業職員活動分析システムの動作を示す流れ図
【図6】同営業職員活動分析システムで作成される評価項目の値と営業成績優秀者及び営業成績非優秀者の人数との関係を示す図
【図7】同営業職員活動分析システム内に形成された優位水準テーブルの記憶内容を示す図
【図8】同営業職員活動分析システムで作成されたツリー状の決定木モデルを示す図
【図9】同営業職員活動分析システムで作成された分析結果メッセージを示す図
【図10】同営業職員活動分析システム内に形成されたニューラルネット及び学習部の概略構成を示す図
【符号の説明】
1…ホスト装置
3…営業所端末
4…営業職員
5…携帯端末
8…営業職員データベース
9…マイニング処理部
10…出力部
11…分析結果送信部
12…データ更新部
17…クラス分け処理部
19…データ処理部
20…決定木分析処理部
21…優位水準テーブル
22…ニューラルネット演算部
23…要因分析部
26…ニューラルネット
27…学習部
Claims (1)
- ホスト装置と、
前記ホスト装置に対して通信路を介して接続される複数の営業所端末と、
前記各営業所端末には装着可能で各営業所職員が使用する複数の携帯端末と、
を備え、
前記携帯端末を所持して各顧客を訪問して各商品を販売する各営業職員における営業実績と前記営業職員の個人情報との関係を、前記ホスト装置が分析する営業職員活動分析システムであって、
前記携帯端末は、
各営業職員が訪問販売に関して自己の活動に伴う訪問販売記録情報をその都度を入力するための訪問販売記録情報入力部と、
前記訪問販売記録情報入力部により入力された訪問販売情報を記憶する訪問販売情報記憶部とを備え、
前記営業所端末は前記携帯端末から読み取った情報を前記ホスト装置へ送出すると共に前記ホスト装置から受信した各種情報を自己のファイルに記憶保持する記憶保持部を備え、
前記ホスト装置は、
前記各営業職員に関する、年齢、勤続年数、家族構成、生活依存度、現在までに商品を販売した顧客数を示す既顧客数、該当営業職員が受け持つ訪問販売の範囲を示す活動範囲等の個人静的属性情報を予め記憶する個人静的属性情報記憶部と、
前記各営業職員に関する、所定日数単位の出勤日数、顧客宅の訪問件数(回数)、訪問した顧客数を示す訪問人数、訪問した時点における平均滞在時間、顧客一人当たりの訪問回数、時間帯別訪問回数等の個人活動情報を、記憶する個人活動情報記憶部と、
各営業職員毎に所定日数単位の、設計書作成枚数、設計書作成頻度、顧客一人当たりの設計書作成枚数、携帯端末自体の使用頻度を示すシステム活用頻度、画面別活用回数、顧客情報検索回数等の個人携帯端末使用情報を記憶する個人携帯端末使用情報記憶部と、
各営業職員毎に所定日数単位の、当月販売した保険商品の合計の保険料、新規契約件数、追加契約件数、解約件数、解約引き止め件数、契約から解約までの平均日数、初訪からクロージングまでの平均日数等の営業実績項目を記憶する営業実績情報記憶部と、
前記個人静的属性情報記憶部以外の前記個人活動情報記憶部、前記個人携帯端末使用情報記憶部、前記営業実績情報記憶部に記憶された各営業職員の評価項目は、各営業所端末から、新規情報が入力される毎に、データ更新が行われるデータ更新部と、
前記営業実績情報記憶部内に記憶された保険料、契約件数等は高い割合のプラスの点数が付与され、解約件数に対してはマイナスの点数が付与され、全営業実績項目の点数を加算して、各営業職員毎の加算値を求めて、この加算値を該当営業職員の営業実績とし、この営業実績が予め定められた基準値以上の営業職員を「営業成績優秀者」とし、基準値未満の営業職員を「営業成績非優秀者」と定義して、全ての営業職員を「営業成績優秀者」又は「営業成績非優秀者」にクラス分けするクラス分け処理部と、
前記クラス分け処理部でクラス分けされた結果を記憶するクラス分け記憶部と、
前記個人静的属性情報記憶部、前記個人活動情報記憶部、前記個人携帯端末使用情報記憶部の各々に記憶されている全ての評価項目の値に対し、前記個人携帯端末使用情報記憶部に記憶されているシステム活用頻度から求められる利用回数と、前記営業成績優秀者及び営業成績非優秀者のそれぞれの人数からグラフを作成するグラフ作成部と、
前記グラフ作成部で作成されたグラフから全部の営業成績優秀者における該当評価項目の分布と、前記グラフ作成部で作成されたグラフから全部の営業成績非優秀者における該当評価項目の分布とから、該当評価項目と前記営業成績との関係の強化の度合である、優位水準を算出し、かつ前記該当項目変数がカテゴリ型の変数ではなく連続値の場合、該当評価変数に対して分割情報量(エントロピー値)が最小となるように境界値を算出するか、又は前記該当項目変数がカテゴリ型の変数ではなく連続値の場合、カイ二乗検定による信頼率を最大にするように該当評価項目の変数を分割した境界値を算出する境界値・優位水準算出部と、
前記境界値・前記優位水準算出部で求めた各評価項目の営業成績優秀者平均値、営業成績非優秀者平均値、境界値、母集団平均値、優位水準を記憶する優位水準記憶部と、
前記優位水準記憶部内の営業実績に最も影響を与える評価項目のうちの最大の優位水準の評価項目を抽出する評価項目抽出部と、
前記評価項目抽出部により評価項目を抽出したとき前記優位水準記憶部に記憶された優位水準をクリアする優位水準クリア部と、
前記境界値・優位水準算出部で算出した該当項目の境界値以上及び境界値未満でグループ分けするグループ分け部と、
前記グループ分け部でグループ分けされた決定木モデルにおける分析結果を文書表現による出力を行う表示出力部と、
を備え、
たデータマイニング手段とを具備し、
前記グループ分け部の出力を前記表示出力部に出力するまでの処理は、該当項目の境界値以上及び境界値未満について前記グラフ作成部、前記境界値・前記優位水準算出部、前記優位水準記憶部、前記評価項目抽出部、前記優位水準クリア部を順次動作させ、営業成績優秀者及び営業成績非優秀者に区分された営業職員の各グループと個人静的属性情報、個人活動情報、個人携帯端末使用情報を構成する各評価項目の値との関係をツリー形式に求めて行く決定木分析処理を実施することを特徴とする営業職員活動分析システム。
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