JP4441994B2 - 光配線層の製造方法及び光・電気配線基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光配線層の製造方法及び光配線層を有する光・電気配線基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
より速く演算処理が行えるコンピュータを作るために、CPUのクロック周波数は益々増大する傾向にあり、現在では1GHzオーダーのものが出現するに至っている。この結果、コンピュータの中のプリント基板上の銅による電気配線には高周波電流が流れる部分が存在することになるので、ノイズの発生により誤動作が生じたり、また電磁波が発生して周囲に悪影響を与えることにもなる。
【0003】
このような問題を解決するために、プリント基板上の銅による電気配線の一部を光ファイバー又は光導波路による光配線に置き換え、電気信号の代わりに光信号を利用することが行われている。なぜなら、光信号の場合は、ノイズ及び電磁波の発生を抑えられるからである。
【0004】
高密度実装又は小型化の観点からは、電気配線と光配線とが同一の基板上で積み重なっている光・電気配線基板を作ることが望ましい。たとえば、特開平3−29905号公報にて述べられているように、電気配線基板上に光ファイバを絶縁膜にて固定させた基板が提案されている。しかし、光配線として光ファイバを用いる場合、その屈曲性の限界から、複雑な形状の光配線には対応しきれず、設計の自由度が低くなってしまい、高密度配線あるいは基板の小型化に対応できないという問題がある。
【0005】
このため、電気配線基板の上に、光配線として、いわゆる、光導波路を用いた光・電気配線基板の構成がいくつか提案されている。光導波路の構成は光信号が伝搬するコア層が、光信号をコア層に閉じこめるクラッド層に埋設されている。コアパターンの形成方法は、フォトリソグラフィ技術により、メタルマスクを形成し、ドライエッチングで作製するか、コア材料に感光性が付与されている場合は、露光、現像処理にて作製できる。このため、フォトマスクのパターンを基に光配線を形成できるため、その設計の自由度は高くなる。また、比較的短距離の伝送にも対応が可能となる。
【0006】
しかし、ドライエッチングは真空引き等も含めて時間と手間がかかる方法であり、量産には向かない。またコア材料のほとんどをエッチングしてしまうため材料の利用効率が非常に悪い。また、感光性が付与されているコア材料を用いる場合も露光、現像処理を用いるため、ドライエッチングの場合と同様に、コア材料の利用効率が悪い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は係る従来技術の欠点に鑑みなされたもので、ドライエッチングなどの工程を用いずに光配線層(光導波路)を形成することを第一の課題とする。また、材料の無駄を極力なくすことを第二の課題とする。更には、光・電気配線基板を提供する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明において上記の課題を達成するために、まず請求項1記載の発明は、コアとクラッドを有する光配線層の製造方法において、 第1クラッドを形成する工程と、 コアパターン以外の部分を残すようにフォトリソ法によりレジストをパターニングする工程と、 酸素プラズマにより親水処理する工程と、レジストを除去する工程と、第1クラッドの平面上の親水処理した領域に、流動性のあるコア材料、あるいはその前駆体を線状に滴下することによりコアパターンを形成する工程と、第2クラッドを形成する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする光配線層の製造方法である。
また請求項2記載の発明は、上記コア材料、あるいはその前駆体にポリマーを用いることを特徴とする請求項1記載の光配線層の製造方法である。 また請求項3に記載の発明は、上記流動性のあるコア材料、あるいはその前駆体を線状に滴下することによりコアパターンを形成する工程において、線状に滴下する方法にインクジェット法を用いることを特徴とする請求項1記載の光配線層の製造方法である。
また請求項4記載の発明は、上記流動性のあるコア材料、あるいはその前駆体を線状に滴下することによりコアパターンを形成する工程において、線状に滴下する方法にディスペンサーを用いることを特徴とする請求項1記載の光配線層の製造方法である。
また請求項5記載の発明は、上記コア材料に水溶性のUV硬化樹脂を用いたことを特徴とする請求項1に記載の光配線層の製造方法である。
また請求項6記載の発明は、上記第1クラッドを形成する工程は、ポリマー材料をスピンコートでコーティングし、硬化させる工程を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の光配線層の製造方法である。
更に請求項7記載の発明は、電気配線基板上に、請求項1〜6のいずれか記載の製造方法により作成した光配線層を有することを特徴とする光・電気配線基板である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1〜8記載の光配線層の製造方法及び請求項9記載の光・電気配線基板の実施形態について、図1〜図3を用いて説明する。
【0010】
<第1クラッドの形成>
まず第1クラッド1を形成する(図1参照)。好ましくは堅牢な支持基板2の上に第1クラッドを形成することが望ましいが、第1クラッドの材料自体が十分堅牢な場合は第1クラッド自体が支持基板を兼ねてもよい。第1クラッドの厚みとしては3〜1000μm程度が好ましいが、この範囲に限るものではない。第1クラッド形成の方法としては、例えばガラスなどの支持基板にポリマー材料をスピンコートでコーティングし、その後硬化させる、といった方法を用いることができる。
【0011】
<コアの形成>
次に流動性のあるコア材料、あるいはその前駆体を線状に滴下することによりコアパターンを形成する(図2(a) 参照)。コア材料、あるいはその前駆体を線状に滴下する方法としては、微細な粒子として飛翔させるインクジェット法や細線状に連続的に吐出させるディスペンサーを用いる方法を用いることができる。4は吐出口であり、例えばインクジェット法を用いる場合にはインクジェットノズルである。コアの材料としては、例えば、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリシロキサン等の透明なポリマー材料を用いることができるがこれに限るものではなく、それ自身、あるいはその前駆体が流動性をもっていて、所望の光の波長に対し透過率の高い材料であればよい。
【0012】
このコアパターン形成の際、あらかじめ、第1クラッド上にパターニングのための層5を形成し、その層にコアの形状を有する溝6を形成しておき、その溝にコア材料、あるいはその前駆体を流し込む(図2(b) 参照)という方法を用いることができる。パターニングのための層としては、例えばドライフィルムレジストを用いることができる。
【0013】
また、あらかじめ第1クラッドにコアの形状を有する溝7を形成しておき、その溝にコア材料、あるいはその前駆体を流し込む(図2(c) 参照)という方法を用いることもできる。
【0014】
また、あらかじめ、コアを形成する部分と、コアを形成しない部分との間で、コア材料に対する濡れ性に差をもたせる処理を行い、コア材料、あるいはその前駆体を線状に滴下し、コアを形成する部分に付着させる(図2(d) 参照)という方法を用いることもできる。8はコア材料を付着させる部分である。濡れ性に差を持たせる処理としては、酸素プラズマや、過マンガン酸カリウム等を用いた親水処理や、光触媒を用いて光照射によって濡れ性を変化させる方法等を用いることができるがこれに限るものではない。
【0015】
<第2クラッドの形成>
次にこれらの上に第2クラッド9を形成することにより光導波路層10を得ることができる(図3参照)。第2クラッドの厚みとしては3〜1000μm程度が好ましいがこの範囲に限るものではない。
【0016】
<光・電気配線基板の製造>
光配線層にダイシングソーによる切削またはエッチングによる穿孔により、光配線層を厚さ方向にほぼ45度で横切るミラーを形成後、支持基板から剥離し、電気配線の形成された電気基板上に接着し、更に、ビアホール又はスルーホールを設けて光・電気配線基板を製造する。なお、ミラーの形成は電気基板上に接着後に行ってもよい。また、支持基板として電気基板を用いれば、接着は不要である。更に、光・電気配線基板上にミラー及び光配線層にレーザ光を入射可能なように光部品(光・電気変換部品)を搭載すれば、実装基板を得ることができる。
【0017】
【実施例】
以下に、具体的な実施例により本発明を説明する。なお、本発明は後述する実施例に何ら限定されるものではない
【0018】
<実施例1>
シリコンウェハ上に、ポリイミドOPI−N3205(日立化成工業(株)製)をスピンコートし、350℃にてイミド化させることによって第1クラッド層を形成した。
【0019】
この上に、インクジェット法で幅60μmのコアパターンを形成した。コアの材料としては、ポリイミドOPI−N3405(日立化成工業(株)製)を用いた。この後、350℃に加熱することによってコア材料をイミド化させた。
【0020】
その上に、ポリイミドOPI−N3205(日立化成工業(株)製)をスピンコートし、350℃にてイミド化させることによって第2クラッド層を形成した。こうして得られた導波路は、厚さ方向が30μm、幅方向が50μmの、ほぼ長方形に近いコア形状を有しており、クラッドを含めた光配線層全体の厚さは約80μm程度であった。
【0021】
<実施例2>
シリコンウェハ上に、紫外線硬化型エポキシ樹脂をスピンコートし、これを、2000mJ/cm2 の紫外線を照射することにより硬化させることによって第1クラッド層を形成した。
【0022】
次に、エッチングレジスト用途に用いられる感光性レジストであるドライフィルムレジスト(NEF150、50μm厚、日本合成化学製)をラミネーターにて貼付した後、アライメントしてネガマスクを通して150mJ/cm2 にてコアパターンを露光した。次にこれを1wt%の炭酸ナトリウムにてスプレー現像し、コアの形状を有する溝を得た。
【0023】
次にその溝にディスペンサーを用いてコア材料を流し込んだ。コアの材料としては、紫外線硬化型のエポキシ樹脂を用いた。これを、2000mJ/cm2 の紫外線を照射することにより硬化させた。この後、3wt%のNaOH水溶液に浸してドライフィルムを剥離することにより。50×50μmの断面形状を有するコアパターンを得た。
【0024】
その上に、紫外線硬化型エポキシ樹脂をスピンコートし、これを、2000mJ/cm2 の紫外線を照射することにより硬化させることによって第2クラッド層を形成した。こうして50×50μmの正方形のコアの断面形状を有する光配線層を得た。
【0025】
<実施例3>
シリコンウェハ上に、ポリイミドOPI−N3205(日立化成工業(株)製)をスピンコートし、350℃にてイミド化させることによって第1クラッド層を形成した。
【0026】
第1クラッドに、エキシマレーザーを用いて、幅50μm、深さ100μm、長さ5cmの溝を形成した。
【0027】
次にその溝にインクジェット法を用いてコア材料を流し込んだ。コアの材料としては、ポリイミドOPI−N3405(日立化成工業(株)製)を用いた。この後、350℃に加熱することによってコア材料をイミド化させた。硬化させることによりコアの高さは50μm程度になった。
【0028】
その上に、ポリイミドOPI−N3205(日立化成工業(株)製)をスピンコートし、350℃にてイミド化させることによって第2クラッド層を形成した。
【0029】
<実施例4>
シリコンウェハ上に、ポリイミドOPI−N3205(日立化成工業(株)製)をスピンコートし、350℃にてイミド化させることによって第1クラッド層を形成した。
【0030】
その上にポジ型の液状レジストを塗布、乾燥させ、これをコアパターン以外の部分を残すようにフォトリソによりパターニングした。次にこれを酸素プラズマによって親水処理した。この後、レジストを剥離した。こうして、コアパターン部は親水的に、コアパターン部以外は疎水的になった。こうして、第1クラッド上部に濡れ性の違いを持つパターンが形成された。
【0031】
次に、親水的になったコア部に、インクジェット法を用いて水溶性のコア材料を付着させた。水溶性のコア材料としては、水溶性のUV硬化樹脂を用いた。これを、2000mJ/cm2 の紫外線を照射することにより硬化させた。
【0032】
その上に、紫外線硬化型エポキシ樹脂をスピンコートし、これを、2000mJ/cm2 の紫外線を照射することにより硬化させることによって第2クラッド層を形成した。
【0033】
上記、実施例1〜4に記載の方法により製造した光配線層をシリコンウエハより剥離して、電気基板上に接着後、ミラーを形成し、光・電気配線基板を製造した。なお、光配線層を電気基板の上に積層して製造する場合、接着は不要である。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明から理解できるように、本発明には、以下の効果がある。
【0035】
第1に、ドライエッチング等の大がかりで時間がかかるプロセスを用いないため、大がかりな設備も必要なく、量産性に優れている。
【0036】
第2に、コア材料、あるいはその前駆体を線状に滴下することによってコア材料を形成するため、フォトリソグラフィーやエッチングを用いる場合に比べコア材料が無駄にならない。
【0037】
このようにして製造した光配線層を電気基板上に接着、積層すれば、光・電気配線基板を容易に製造することができる。
【0038】
【図面の簡単な説明】
【図1】電気配線基板上に光配線層を形成し、光・電気配線基板を製造する工程を示す説明図である。
【図2】電気配線基板上に光配線層を形成し、光・電気配線基板を製造する工程を示す説明図である。
【図3】電気配線基板上に光配線層を形成した光・電気配線基板の説明図である。
【符号の説明】
1 第1クラッド
2 支持基板
3 コアパターン
4 吐出口
5 パターニングのための層
6 コアの形状を有する溝
7 コアの形状を有する溝
8 コア材料を付着させる部分
9 第2クラッド
10 光配線層
Claims (7)
- コアとクラッドを有する光配線層の製造方法において、
第1クラッドを形成する工程と、
コアパターン以外の部分を残すようにフォトリソ法によりレジストをパターニングする工程と、
酸素プラズマにより親水処理する工程と、
レジストを除去する工程と、
第1クラッドの平面上の親水処理した領域に、流動性のあるコア材料、あるいはその前駆体を線状に滴下することによりコアパターンを形成する工程と、
第2クラッドを形成する工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする光配線層の製造方法。 - 上記コア材料、あるいはその前駆体にポリマーを用いることを特徴とする請求項1記載の光配線層の製造方法。
- 上記流動性のあるコア材料、あるいはその前駆体を線状に滴下することによりコアパターンを形成する工程において、
線状に滴下する方法にインクジェット法を用いることを特徴とする請求項1記載の光配線層の製造方法。 - 上記流動性のあるコア材料、あるいはその前駆体を線状に滴下することによりコアパターンを形成する工程において、
線状に滴下する方法にディスペンサーを用いることを特徴とする請求項1記載の光配線層の製造方法。 - 上記コア材料に水溶性のUV硬化樹脂を用いたことを特徴とする請求項1に記載の光配線層の製造方法。
- 上記第1クラッドを形成する工程は、
ポリマー材料をスピンコートでコーティングし、硬化させる工程を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の光配線層の製造方法。 - 電気配線基板上に、請求項1〜6のいずれか記載の製造方法により作成した光配線層を有することを特徴とする光・電気配線基板。
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