JP4441267B2 - 非環状核酸を二次元コンホメーション依存分離するための方法 - Google Patents
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Description
線状核酸フラグメントの複雑な混合物をそれらの長さに関係なくコンホメーション依存分離するための方法を提供する。本発明方法は、種々の供給源から得られる線状核酸フラグメントに利用でき、核酸フラグメントの特別な前操作を必要としない。本発明は、下記のような(これらに限定されない)多様な概念に使用できる一般法を提供する:不適正対合ヘテロハイブリッドを完全適正対合ヘテロ−およびホモハイブリッドから物理的に分離して、いずれかのクラスを単離および富化することができる;多数のフラグメントを変異について同時走査する;損傷を受けたDNA分子を非損傷分子から単離する;ならびに核酸再アニーリングの効率を推定する。
本発明は、生物学的機能またはゲノム位置が予め分かっている核酸フラグメントまたは分かっていない核酸フラグメントの複雑な試料をスクリーニングし、核酸をコンホメーションの相異に基づいて分離および所望により単離する方法を提供する。コンホメーションの変化した線状DNAフラグメントは、下記を含めた多様な様式で生成する可能性がある(これらに限定されない):
a)ハイブリダイゼーションにより不適正対合した線状DNAフラグメントの形成:2つの試料または2つの試料プールを混和し、すべてのデュプレックスが一本鎖フラグメントに分離するように変性させる。この混合物を冷却すると、一本鎖が再アニーリングして、ホモ−およびヘテロハイブリッドの混合物になる。デュプレックスの融解のための時間および温度などのパラメーターは、再ハイブリダイゼーションに必要なパラメーターと同様に、当業者に既知である。これに関してヘテロハイブリッドは、供給源の異なる2本の核酸鎖からなる線状DNAフラグメントである。それらは完全適正対合または不適正対合のいずれかの可能性がある。これに関して完全適正対合ヘテロハイブリッドは、2つの異なる供給源からの完全相補鎖を含む、線状二本鎖核酸を表わす。不適正対合ヘテロハイブリッドの形成は、2つの異なる供給源からの鎖が実質的に相補的であるにすぎず、非相補鎖、たとえば1以上の不適正塩基対の領域を含む可能性がある場合に起きる。非相補鎖の領域は、不適正対合ヘテロハイブリッドの一方または両方の鎖内にループを生じる場合がある。ハイブリダイゼーションのために選択した条件下でヘテロハイブリッドが生成する可能性がある限り、不適正対合ヘテロハイブリッド当たり1領域という少ない非相補鎖、あるいはより多数の領域がありうる。非相補領域は、一方の鎖に他方の鎖と比較して1以上の塩基の挿入または欠失を含む場合がある。これに関してホモハイブリッドは、両方とも同一供給源(染色体)からの完全相補鎖を含む、線状二本鎖核酸を表わす;
b)核酸の修飾:核酸は、それらのコンホメーションが変化するように修飾される可能性がある。そのような修飾は細胞内機序の一部(たとえばメチル化)、自然損傷(たとえば脱アミノ化)であるか、または環境に存在する化学物質および物理的作用因子による可能性がある。核酸の構造およびコンホメーションを変化させる可能性のある物理的作用因子の一例は、紫外(UV)線である。DNA分子が紫外線照射されると、隣接ピリミジン塩基が共有修飾されて、シクロブタンピリミジン二量体(CPD)、ピリミジン−ピリミドン(6−4)およびDewer異性体などの光生成物を生じる可能性がある。これら3種類の主要な光生成物は、そのような分子損傷を含む線状核酸フラグメントのコンホメーション変化を誘発する;
c)DNAの内在屈曲:DNAが外部からの拘束なしに永久的に弯曲した形状で存在する樹立した例がある。そのような内在屈曲は配列依存性の特性であり、AまたはTヌクレオチドの短かい連続、およびらせん反復と同調したGGCC反復などの配列のいずれによっても生じる。そのような配列を含む線状DNAフラグメントは、それらを含まないDNA配列と比較して異なるコンホメーションをもつ;
d)三次元構造:DNAは、古典的なB形二重らせんのかなり均一な構造とは別の三次元構造をとる可能性があり、これはそのヌクレオチド配列の関数としての変動はほとんど示さない。知られている多数の大規模な核酸三次元構造が、それらを含む線状DNAフラグメントのコンホメーション変化を生じる。一例には、分子内三本鎖DNA、DNAおよびRNAの十字形構造および接合、ならびにスリップした不適正対の(mispaired)DNAが含まれる;
e)一方の鎖の加水分解(ニッキング)またはギャップ構造:線状DNAフラグメントは、ニックまたは一塩基ギャップを含む場合、変化したコンホメーションをとる可能性がある。一般に、ギャップ構造は2つのファミリーのコンホメーションを示す。一方はB−DNAに近似し、他方はそのギャップにおいて著しく捩れている。ニック付きDNAフラグメントは一塩基ギャップと比較して小さなコンホメーション相異を示す。それらのコンホメーション相異は、7M尿素を用いて増強することができる;
f)DNA−リガンド相互作用:DNAフラグメント変化に対する相互作用を生じるリガンドがDNAのコンホメーションに大幅な影響を与えることは周知である。タンパク質相互作用は、DNAのコンホメーションを著しく変化させる可能性がある。タンパク質誘発によるDNAの曲がりの最も顕著な例はクロマチンであろう。DNAの曲がりは、遺伝子発現に際しても重要な役割を果たす。IHFのようなDNA結合タンパク質およびCAPまたはTBPのような転写因子も、著しい曲がりをDNAに導入する。たとえば構築タンパク質である組込み宿主因子(IHF)は、二本鎖DNAを特定の認識配列において160°曲げる。
前記の第1次元の具体的な目的に応じて、第1ゲル電気泳動工程を広範な温度で実施できるが、一般的な用途においては温度を5〜50℃の間で選択した温度に維持する。本発明方法の一般的な態様においては、不適正対合ヘテロハイブリッドならびに完全適正対合ヘテロ−およびホモハイブリッドの混合物を、A−トラクトおよびCCGG反復配列を含む線状DNAフラグメントの屈曲が確実に限定されるように、35℃で分離する。そのような屈曲は低温ではより顕著である。
第2次元電気泳動の条件は、化学的作用因子のほかに、試料核酸のコンホメーションにさらに影響を与える物理的作用因子またはパラメーター、たとえば温度の変更により、第1次元のものと異なってもよいことを留意すべきである。
本明細書に記載するように、本発明方法は、多様な特色のため異常なコンホメーションをもつ線状DNAデュプレックスを正常な線状DNAデュプレックスから分離するために容易に利用できる。DNAのコンホメーションを変化させ、これを本発明に従って分離できるこれらの特色は、下記のうち1以上であってよい:挿入/欠失ループ、不適正対合核酸、スリップした不適正対の核酸、塩基のメチル化、塩基の損傷、UV損傷により生じた光生成物、電離性放射線による塩基の損傷、塩基の酸化的損傷、内在屈曲を生じる配列:アデニン−トラクト、GGCC反復配列、プリン−ピリミジントラクト、塩基付加物の付加、三本鎖核酸、十字形構造、反復配列、DNA Zヘリックス、タンパク質結合核酸、ヘアピンループ、および一本鎖ニック。
後記の実施例13の具体的態様により説明するように、本発明方法は1より多い個体からのゲノムまたはゲノムサブセットを含むプールである核酸試料に利用できる。このような有用な態様において、被分析試料は消化、変性および再アニーリングされた線状核酸フラグメントを含み、その際、複数試料またはプールした試料の混合前または混合後に変性工程および再アニーリング工程を行ってホモ−およびヘテロハイブリッドの混合物を調製する。このような用途において、各個体からのサブサンプルは、当業者に周知の多数の方法で得たそのゲノムのサブセットであってもよい(実施例13の場合)。有用な態様において、そのようなサブセットまたはサブセットのプールは、それらのゲノムの高度多型サブセットである。
実施例1
インターカレーター法を用いた、完全適正対合した線状DNAフラグメントからの、シトシンバルジを含むCy5標識した線状DNAフラグメントの分離および検出
5種類の異なる298bp線状DNAフラグメントを作製した。各フラグメントは、中央に1つの特定シトシンバルジを含んでいた;シトシン1〜5個のバルジサイズ。他の点ではDNAフラグメントは互いに同一であった。完全適正対合298bp線状DNAフラグメントも作製した。シトシンバルジを含まない点以外は、このフラグメントはバルジ付きDNAフラグメントと比較して同一の塩基配列をもっていた。これらの298bp線状DNAフラグメントは、3つの短かいDNAフラグメントを用いて作製された。2つのフラグメントはプラスミドpBR322からPCR増幅された。一方のフラグメント(127bp)はCy5蛍光分子で5’末端標識され、AvaI消化後に3’側−非対称オーバーハングを含んでいた。他方(132bp)は、BanII消化後に5’側−非対称オーバーハングを含んでいた。1つのフラグメント(31bp)は、特定シトシンバルジを含む2つのオリゴヌクレオチドとして合成された。それは、他の2つのフラグメント上のオーバーハングの1つにそれぞれ相補的な5’および3’側−非対称オーバーハングを含んでいた。3種類すべてのフラグメントを等モル濃度でライゲートさせると、フラグメントの中央に特定バルジをもつ1つの298bp DNAフラグメントが形成された。
インターカレーター法を用いた、完全適正対合した線状DNAフラグメントからの、フラグメント中央または一端付近にシトシンバルジを含む線状DNAフラグメントの分離および検出
特定シトシンバルジを含む非標識線状DNAフラグメントを、実施例1の記載に従って作製した。等モルライゲーションを行う代わりに、過剰の一方の末端フラグメントとのライゲーションを行って、2種類の主ライゲーション生成物を形成した。一方は、実施例1に記載したように中央にバルジをもつ298bpの生成物であった。他方は、バルジ分子を含む31bpの合成分子と127bpのPCRフラグメントとのライゲーションにより形成された158bpの生成物であった。このフラグメントはその末端から15bpの位置にバルジをもつ。
インターカレーター法を用いた、7×8cmゲル方式における、完全適正対合した線状DNAフラグメントからの、シトシンバルジを含むCy5標識した線状DNAフラグメントの分離および検出
シトシンバルジを含むCy5標識線状DNAフラグメントを、実施例1の記載に従って作製した。これらのフラグメントを、100、200、300、400、500、600、700、800、900および1000bpのフラグメントを含む100bpフルオレセインラダー(バイオラド)と混和した。次いでこのDNA混合物を、6%ポリアクリルアミドゲルを用いる2−D CDEゲル電気泳動により分離した。ゲルを1×TBE緩衝液(89mMのトリス塩基、89mMのボラート、および2mMのEDTA)中で1時間、重合させた。第1次元ゲル電気泳動を、バイオラドMini Protean II垂直電気泳動システムにおいて、7×8cmのガラスサンドイッチ(1mmのスペーサー)を用いて実施した。室温で90分間、20mAで、1×TBEを上下両方の両衝液チャンバーに入れて、ゲルを操作した。ゲルをガラスサンドイッチから取り出して、5μg/mlの臭化エチジウムを含有する1×TBE緩衝液100mlに浸漬した。ゲルをこの緩衝液中で10分間インキュベートし、次いで100mlの1×TBE緩衝液中で短時間洗浄した。
インターカレーター法を用いた、複雑なゲノム呈示物からの、フラグメント中央にシトシンバルジを含む線状DNAフラグメントの分離および検出
シトシンバルジを含むCy5標識した線状DNAフラグメントを、実施例1の記載に従って作製した。
インターカレーター法を用いた、完全適正対合DNAフラグメントからの、A−トラクトを含むDNAフラグメントの分離
HaeIII消化したファイ−x 174の制限フラグメントは、A−トラクトのため屈曲した1種類の281bpフラグメントを含有する。本発明方法の有効性を証明するために、2−Dゲル電気泳動系によりこのフラグメントを、HaeIII消化したファイ−x 174中の残りの制限フラグメントから分離した。実施例1の記載に従って作製した、中央にシトシン3個のバルジを含む298bpフラグメントを、HaeIII消化したファイ−x 174に対する対照として添加し、ヘテロデュプレックス分析について周知のマトリックスであるMDE(商標)ゲルマトリックス(FMC バイオプロダクツ)を用いて、2−Dゲル電気泳動系の有効性を証明した。
インターカレーター法を用いた、無傷DNAフラグメントからの、UV損傷を含むDNAフラグメントの分離
光生成物を効率的に形成するために、下記の手法を用いた。545bpのPCR生成物(0.3pmol/μl;10mMのトリスHCl pH8、および20mMのアセトフェノン中)を300nmで0、5、15、30および60分間、UVP Ultraviolet TransilluminatorによりUV照射した。小滴(3μl)をペトリ皿の底に入れた。濡れたティッシュペーパーを皿の側面に付着させることにより、水凝固環境を形成した。次いでペトリ皿を裏返してUV源に乗せた。滴を効率的に冷却するために、角氷を入れたプラスチックバッグでペトリ皿を覆った。照射されたPCR生成物が光源に暴露されないように注意した。UV照射後、UV損傷を含むDNAフラグメント3μlを、1μlのHaeIII消化したファイ−x 174に添加した。
インターカレーター法を用いた、無傷DNAフラグメントからの、単一ニックを含むDNAフラグメントの分離
HindIII消化したファイ−xプラスミドをニッキングエンドヌクレアーゼN.BstNB I(ニューイングランド・バイオラボ)で処理した。N.BstNB Iは、デュプレックスの1本の鎖のみを配列特異的に加水分解する。N.BstNB I処理の後、10のDNAフラグメントのうち4つが特異的ニックを含む;5’末端から85bpの位置にニックを含む770bpフラグメント、5’末端か181bpの位置にニックを含む345bpフラグメント、5’末端から32bpおよび71bpの位置にニックを含む335bpフラグメント、ならびに5’末端から23bpおよび256bpの位置にニックを含む291bpフラグメント。
インターカレーター法を用いた、7×8cmゲル方式における、完全適正対合したDNAフラグメントからの、PvuII結合部位を含むCy5標識したDNAフラグメントの分離および検出
NarIおよびAvaIを用いるpUC18の二重消化により、2つのフラグメントが形成された;5’末端から72bpの位置にPvuII認識部位を含む198bp線状DNAフラグメント、および5’末端から196bpの位置にPvuII認識部位を含む2488bpフラグメント。生成物をクレノー延長によりCy5標識した。これら2つのフラグメントを、ファイ−X/HaeIII消化DNA(PvuII認識部位を含まない)およびPvuIIと、結合反応物中で混合した。結合反応物(20μl)は、PvuII(1nM)、10nMのPvuII部位含有DNAフラグメント、50ngのファイ−x/HaeIII消化DNA、10mMのトリス(pH8.0)、50mMのNaCl、1mMのDDT、1mMのEDA、10mMのCaCl2、30μg/mlのBSA、および7.5%のグリセロールを含有していた。2−D電気泳動の前に、結合反応物を室温で20分間、インキュベートした。
インターカレーター法を用いた、7×8cmゲル方式における、完全適正対合したフルオレセイン標識DNAフラグメントからの、シトシン4個のバルジを含むCy5標識DNAフラグメントの分離および検出
中央にシトシン4個のバルジを含む5’Cy5標識した298bpフラグメントを、実施例1の記載に従って作製した。バルジを含むフラグメントを、75〜1632bpの10種類の完全適正対合DNAフラグメントを含むフルオレセイン低域DNA標準品(バイオラド)と混和し、次いで2−D CDEゲル電気泳動により分離した。ゲルマトリックスは、29:1 アクリルアミド:ビスアクリルアミド混合物から調製した8%ポリアクリルアミドからなっていた。ゲルを1×TBE緩衝液中で1時間、重合させた。第1次元ゲル電気泳動を、バイオラドMini Protean II垂直電気泳動システムにおいて、7×8cmのガラスサンドイッチ(1mmのスペーサー)を用いて実施した。室温で90分間、20mAで、1×TBEを上下両方の両衝液チャンバーに入れて、ゲルを操作した。ゲルをガラスサンドイッチから取り出して、7Mの尿素を含有する1×TBE緩衝液100mlに浸漬した。ゲルをこの緩衝液中で10分間インキュベートし、次いで94℃に5分間保持した。ゲルの乾燥を防ぐために、ゲルをPlexiglasサンドイッチ内で加熱した。
第1次元においてPAGE、第2次元においてアガロース電気泳動を用いた、完全適正対合DNAフラグメントからの、シトシン3個のバルジを含むDNAフラグメントの分離および検出
中央にシトシン3個のバルジを含む298bpフラグメントを、実施例1の記載に従って作製した。バルジを含むフラグメントを、HaeIII消化したファイ−x 174の制限フラグメントに添加した。これは、A−トラクトのため屈曲した281bpフラグメントも含有する。この混合物を2−Dゲル電気泳動により分離した。第1次元ゲルマトリックスは、29:1 アクリルアミド:ビスアクリルアミド混合物から調製した10%ポリアクリルアミドからなっていた。ゲルを1×TAE緩衝液中で1時間、重合させた。第1次元ゲル電気泳動を、バイオラドMini Protean II垂直電気泳動システムにおいて、7×8cmのガラスサンドイッチ(1mmのスペーサー)を用いて実施した。室温、20mAで、1×TAEを上下両方の両衝液チャンバーに入れ、ブロムフェノールブルー色素がゲルの2/3の長さを泳動するまでゲルを操作した。第2次元電気泳動のために、1.7%アガロースゲルを1×TAE中でキャストした。このゲルは、ゲル上端付近に水平に位置する1mmのレーンを備えていた。第1次元電気泳動の後、DNA含有レーンをゲルから切り取った。温アガロースを用いて、このPAGEストリップをアガロースゲルの上記レーンにシールした。
ヒトゲノムからの高多型性配列の単離および特徴付け
10人の個体からの全血よりDNA試料を単離し、個別にBstY Iで消化し、精製した。アダプターをこれらの制限フラグメントにライゲートさせた。アダプター特異的プライマーおよびAlu 3’特異的プライマー(内部BbsI部位を含む)を用いるPCRを実施し、得られたAlu 3’フランクフラグメントをGFX(商標)カラムにより精製し、次いでBbsIおよびBstY Iで消化し、GFX(商標)により精製した(参照:PCT/US99/24984、エール大学)。次いで、各個体からのPCR生成物4μgを混和し、沈殿させ、4μlの3×EE緩衝液に再懸濁し、35μlの鉱油を試料上部に添加した。次いで試料を94℃に5分間加熱し、1μlの5M NaClを添加し、67℃の水浴内で20時間インキュベートした。
インターカレーター法を用いた、複雑な線状DNAフラグメントの混合物についての再アニーリング効率の推定
9人の個体からプールしたAlu 3’フラグメントの試料を、実施例11の記載に従って特異的PCRにより得た。混合物を3部分に分けた。1つは未処理のまま残し、他の1つを実施例11の記載に従って再アニーリングし、第3部分を95℃で5分間融解し、次いで直ちに氷冷した。同様に1個体からのゲノムDNAをSau3AI消化し、精製し、同様な方法で再アニーリングした。次いで各混合物を、実施例1の記載に従って作製した完全適正対合PCRフラグメントの混合物と混和した。これらのフラグメントは完全適正対合DNAの泳動についての対照として用いられた。次いでDNAプールを、実施例1の記載に従って2−Dゲル電気泳動により分析した。第2次元ゲル電気泳動の後、臭化エチジウム染色DNAフラグメントのUV検出のために、ゲルマトリックスをUVP GDS−8000ゲルドキュメンテーションシステムに装入した。図11aに示すように、未処理のプールDNA試料は完全適正対合した対照DNAフラグメントと同じ泳動挙動を示し、アークを形成した。再アニーリングしたプールDNA試料は未処理DNAと同様な結果を示し、これは再アニーリング反応について高度有効性の指標となった(図11b)。これは、この調製物の複雑さがヒトゲノムDNAと比較して顕著に低下したことと一致する。氷上に保持した融解DNAフラグメントの複雑な混合物は、完全適正対合した対照DNAフラグメントとは全く異なる挙動を示した(図11c)。これは、再アニーリングに際して、完全適正対合した対照DNAフラグメントの形成が効率的でないことを証明する。予想どおり、BstY I消化した全ヒトゲノムの再アニーリングについても同様な結果がみられた(図11d)。このパネルの結果は、本発明方法が複雑な核酸試料の再アニーリング効率を評価できることを示す。
Claims (25)
- 二本鎖非環状核酸フラグメントをそれらの長さおよびコンホメーションに基づいて複雑な核酸混合物から分離する方法であって、
− 二本鎖核酸フラグメントの複雑な混合物を調製し;
− その試料をゲル電気泳動装置に装填し、第1次元において、該試料を非変性電気泳動条件下でポリアクリルアミドゲルマトリックス中を電気泳動し、これによりフラグメントがコンホメーションおよび長さに基づいて分離され;
− 第2次元において、同じゲルマトリックスを用い、化学的作用因子の添加後、このとき化学的作用因子が、核酸に対する相互作用を生じうる分子または分子混合物であり、該試料を電気泳動し、該因子は核酸フラグメント間のコンホメーションの相異を低減できるものであり、これにより第2次元においてフラグメントが実質的に長さに基づいて分離される
工程を含む、前記方法。 - 第2次元における電気泳動の工程が、ゲルマトリックス内の温度などの物理的作用因子の変更を含む、請求項1に記載の方法。
- 化学的作用因子が、天然または合成のインターカレーション分子である、請求項1に記載の方法。
- 化学的作用因子が、臭化エチジウム、アクラシノマイシン、クロロキン、ジスタマイシン−エルプチシン、ダウノマイシン、ブレオマイシン、ベンゾ[a]ピレン、アイレマイシン、プロフラビン、CI−958、キアンクリン、アクチノマイシン、DEAPフルオランテン、プソラレン、ビサントレン、ジテルカリニウム、BBM−938A、エチノマイシン、およびTOTOよりなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
- 化学的作用因子が溝結合分子である、請求項3に記載の方法。
- 溝結合分子が、ネトロプシン、ジスタマイシン、2p−(4−ヒドロキシフェニル)−5−(4−メチル−1−ピペラジニル)−2,5p−ビ−ベンゾイミダゾール、および1−メチル−4−[4−[4−(4−(1−メチルキノリニウム)アミノ)ベンズアミド]アニリノ]ピリジニウム・ジクロリドよりなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
- 多型核酸フラグメントを検出するための請求項1に記載の方法であって、核酸試料は1個体からの核酸または複数個体からのプールを含み、核酸は開裂、変性および再アニーリングされており、その際、変性工程および再アニーリング工程を行ってホモ−およびヘテロハイブリッドの混合物を調製し、多型核酸を含むコンホメーションの変化した不適正対合ヘテロハイブリッドを完全適正対合ホモ−およびヘテロハイブリッドから分離する方法。
- さらに、多型核酸を含む不適正対合ヘテロハイブリッドを単離して該核酸を特徴付けおよび同定する工程を含む、請求項7に記載の方法。
- さらに:
a.2以上のDNA試料を混和することによりDNAプールを調製し、または1個体からDNA試料を調製し、
b.プール中または1個体からのDNA試料中のDNAフラグメントに特異的なアダプターをアニーリングさせ、
c.DNAフラグメントにライゲートしていない過剰のアダプターを除去し、
d.2以上のプールを混和し(1以上の個体からの試料の場合)、
e.DNA試料のプールまたは1個体からのDNA試料の混合物を変性させ、
f.DNA試料のプールを再アニーリングして、相同鎖を含むDNAデュプレックスを形成し、
g.不適正塩基対により、または完全適正対合した正常なコンホメーションをもつDNAデュプレックスからの挿入/欠失ループもしくはニック付きDNAにより、形成された異常なコンホメーションを含むデュプレックスを、請求項1に記載の工程により分離する
工程を含む、請求項1に記載の方法。 - 正常なまたは異常なコンホメーションをもつ単離フラグメントをシグナルで標識し、アレイ状ライブラリー、選択したゲノムクローンまたは染色体のサブセットのアレイ状ライブラリーにハイブリダイズさせる、請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
- DNA試料をサブトラクティブ・ハイブリダイゼーションの材料として使用する、請求項10に記載の方法。
- 核酸試料の再アニーリング効率を推定し、その際、完全適正対合デュプレックスの測定相対量が再アニーリング効率の指標となる、請求項1に記載の方法。
- 化学的作用因子が変性作用分子である、請求項1に記載の方法。
- 化学的作用因子が、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、アリル、ブチル、イソブチルおよびアミルアルコール、ならびにエチレングリコールのような脂肪族アルコール;シクロヘキシル、ベンジル、フェノールおよびp−メトキシフェノールアルコールならびにイノシトールのような環状アルコール;アニリン、ピリジン、プリン、1,4−ジオキサン、ブチロラクトンおよびアミノトリアゾールのような脂環式化合物;ホルムアミド、エチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、グリコールアミド、チオアセトアミド、バレロラクタムのようなアミド;カルボヒドラジド、1,3−ジメチル尿素、エチル尿素、t−ブチル尿素、チオ尿素およびアリルチオ尿素のような尿素類;ウレタン、N−メチルウレタンおよびN−プロピルウレタンのようなカルバメート;トゥイーン40およびトリトンX−100のような界面活性剤;ならびにシアノグアニジン、スルファミド、グリシン、及びアセトニトリルである化合物よりなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
- 核酸フラグメントが、DNAデュプレックス、RNAデュプレックス、DNA/RNAデュプレックス、PNAデュプレックス、PNA/DNAデュプレックス、PNA/RNAデュプレックス、LNAデュプレックス、LNA/DNAデュプレックス、LNA/RNAデュプレックスから選択される、請求項1に記載の方法。
- 核酸混合物が、下記の群から選択される1以上の特色により生じた異常なコンホメーションをもつ核酸フラグメントを含有する、請求項1に記載の方法:
a.挿入/欠失ループ;
b.不適正対合核酸;
c.スリップした不適正対の核酸;
d.塩基のメチル化;
e.塩基の損傷;
f.UV損傷により生じた光生成物;
g.電離性放射線による塩基の損傷;
h.塩基の酸化的損傷;
i.アデニントラクトおよびGGCC反復配列など、内在屈曲により生じた配列;
j.プリン−ピリミジントラクト;
k.塩基付加物の付加;
l.三本鎖核酸;
m.十字形構造;
n.反復配列;
o.DNA Zヘリックス
p.タンパク質結合核酸;
q.ヘアピンループ;
r.AP部位;
s.塩基ギャップ;
t.ニック。 - さらに、分離した核酸フラグメントの少なくとも一部を単離する工程を含む、請求項1に記載の方法。
- 核酸試料が1個体のゲノムに由来する、請求項1に記載の方法。
- 試料が、開裂、変性および再アニーリングした核酸フラグメントを含む、請求項18に記載の方法。
- 試料が1より多い個体からのゲノムを含むプールである、請求項1に記載の方法。
- 試料が開裂、変性および再アニーリングした核酸フラグメントを含み、その際、変性工程および再アニーリング工程が試料またはプールした試料を混合してホモ−およびヘテロハイブリッドの混合物を得る前または後に行われる、請求項20に記載の方法。
- 試料またはプールした試料の各々が各ゲノムのサブセットである、請求項18または20に記載の方法。
- 試料またはプールした試料の各々が各ゲノムの高度多型性サブセットである、請求項22に記載の方法。
- 試料またはプールした試料の各々が各トランスクリプトームに由来するcDNAを含む、請求項18または20に記載の方法。
- 試料が1より多い試料プールを含む、請求項1に記載の方法。
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