JP2002209590A - 核酸末端領域の非対称的修飾法 - Google Patents
核酸末端領域の非対称的修飾法Info
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Abstract
望の処理を優先的に施す方法を提供することを課題とす
る。 【解決手段】 前記課題を解決するために、本発明は、
標的核酸の末端領域の一方に、所望の処理を優先的に施
す方法であって、前記標的核酸を含む試料に、RecA
タンパク質と、前記処理を施すべき末端領域とは反対側
の末端領域と相同な核酸プローブとを添加することによ
り、前記RecAタンパク質を介して前記標的核酸に前
記核酸プローブを結合させ、前記反対側の末端領域を三
本鎖構造にする工程と;前記標的核酸に結合した前記R
ecAタンパク質を前記標的核酸から解離させて、前記
RecAタンパク質が解離し、且つ前記反対側の末端領
域が三本鎖構造になった核酸を得る工程と;該核酸に前
記処理を施すことにより、標的核酸の末端領域の一方に
優先的に所望の処理を施す工程とを備えた方法を提供す
る。
Description
域の一方に、所望の処理を優先的に施す方法に関する。
リーの構築、ポリメラーゼ連鎖反応(以下PCRと称す
る)等の遺伝子工学的技術は、遺伝子の切断や連結、及
び遺伝子へのマーカーやアダプターの付加等の基本的操
作を組み合わせることによって行われる。
礎的手法であるが、所望する特定の領域のみにこのよう
な操作を行うことができれば、さらに多くの有用な手法
を開発することができる。
合、標的核酸の末端領域が等価であれば、両末端領域に
同じアダプターが付加されてしまうが、5’RACEを
実施するときには、片方の末端領域のみにアダプターを
付加することができれば有用である。
操作を施す場合にも、PCRは多用されているが、標的
核酸のサイズが大きい場合には、PCRによる操作は不
可能である。
特定の遺伝子のみに遺伝子工学的な操作を施すための、
より汎用性のある方法が望まれていた。
末端領域の一方に、所望の処理を優先的に施す方法を提
供することを目的とする。
に、本発明は、標的核酸の末端領域の一方に、所望の処
理を優先的に施す方法であって、前記標的核酸を含む試
料に、RecAタンパク質と、前記処理を施すべき末端
領域とは反対側の末端領域と相同な核酸プローブとを添
加することにより、前記RecAタンパク質を介して前
記標的核酸に前記核酸プローブを結合させ、前記反対側
の末端領域を三本鎖構造にする工程と;前記標的核酸に
結合した前記RecAタンパク質を前記標的核酸から解
離させて、前記RecAタンパク質を介さずに前記核酸
プローブが前記反対側の末端領域に結合した核酸を得る
工程と;該核酸に前記処理を施すことにより、標的核酸
の末端領域の一方に優先的に所望の処理を施す工程とを
備えた方法を提供する。
助けるために、図9を参照しながら、本発明の方法の概
略を説明する。
酸、一般的には標的DNA1に、該DNAの一方の末端
領域と相同な配列を有するプローブDNA2とRecA
タンパク質3とを添加して、三本鎖DNA形成反応を行
う。RecAタンパク質3は、プローブDNA2に結合
してプローブDNA・RecAタンパク質複合体4を形
成した後、標的DNA1の末端領域に存在するプローブ
DNA2と相同な領域を検索し、プローブDNA2を該
相同な領域に結合させる。このようなRecAタンパク
質の作用により、第一の工程では、標的DNA1の一方
の末端領域に、RecAタンパク質3を介してプローブ
DNA2が結合し、末端領域に三本鎖DNA構造5が形
成される。
プローブDNA2に結合したRecAタンパク質3を除
去する。プローブDNA2が末端領域に結合している場
合には、RecAタンパク質3を除去した後でも三本鎖
DNA構造5が維持される。第二の工程において、三本
鎖DNA構造5からRecAタンパク質3を除去するこ
とにより、三本鎖DNA構造5に対して様々な処理を施
すことが可能となる。
除去された三本鎖DNA構造5に、所望の処理(図で
は、アダプターDNAのライゲーションが例示されてい
る)を施す。三本鎖DNA構造5を有する末端領域と二
本鎖の末端領域とは構造が異なるので、本来等価であっ
た二つの領域のうちの一方の領域のみに所望の処理を施
すことができる。図9には、三本鎖DNA構造5が形成
されていない方の末端領域にアダプターDNA6がライ
ゲーションされた様子が示されている。
造などは、あくまでも理解を容易にする目的で記載され
ているにすぎないので、実際には、それらの細部が図面
と一致しない場合があり得る。すなわち、本発明者ら
は、本発明の方法の基礎となった本発明者らによる下記
の発見の他には、いかなる特定の理論にも拘泥しない。
一方に、所望の処理を優先的に施す方法を提供する。
成される三本鎖構造が標的核酸の末端領域に形成される
場合には、前記三本鎖構造からRecAタンパク質を解
離させた後にも前記三本鎖構造が維持されるという本発
明者らの発見に基づいてなされたものである。RecA
タンパク質、及びRecAタンパク質を介して三本鎖構
造が形成されることは公知である。
態様について詳述する。
末端領域の一方に所望の処理を優先的に施すべき標的核
酸を含む試料に、RecAタンパク質と、前記処理を施
すべき末端領域とは反対側に位置する前記標的核酸中の
末端領域と相同な核酸プローブとを添加する。
の単純ヌクレオチド及び/又は修飾ヌクレオチドからな
るポリヌクレオチドであり得、本方法の実施者が任意に
選択し得る。標的核酸は、典型的には、cDNA、ゲノ
ムDNA、及び合成DNA等のDNA、並びにmRN
A、全RNA、hnRNA、及び合成RNA等のRNA
である。「単純ヌクレオチド」には、アデニン、グアニ
ン、チミン、シトシン、及びウラシルが含まれる。「修
飾ヌクレオチド」には、例えば、イノシン、アセチルシ
チジン、メチルアデノシン、メチルグアノシンを含むリ
ン酸エステルなどが含まれる。
した未処置の試料、例えば、ゲノムDNA、mRNA、
プラスミドを含む生物試料であり得る。また、「標的核
酸を含む試料」は、前記未処置の試料に対して様々な操
作又は処理を行った試料であり得る。このような操作又
は処理は、核酸抽出操作、増幅操作、制限酵素、リガー
ゼ、ポリメラーゼ、ヌクレアーゼを含む酵素による処
理、及び遺伝子工学の領域において周知であるその他の
処理、並びにこれらの組み合わせであり得る。
タノール沈殿であり得るが、これらに限定されない。
その変法、例えば、逆転写PCR、逆PCR、5‘RA
CE、3’RACEであり得る。
工的に調製した核酸を含有する試料、又は該試料に前記
各処理を施すことによって調製された試料であってもよ
い。
料」は、遺伝子のクローニングの各段階で得られる試
料、例えば、DNAライブラリー、標的mRNAを含む
試料、1st strand cDNAを含む試料、ア
ダプターが付加された1ststrand cDNAを
含む試料、PCR産物がその中にサブクローニングされ
たプラスミドを含む試料であり得る。
質」とは、二本鎖核酸の一方のストランド中の任意の領
域に、該領域と相同な一本鎖核酸を結合させることによ
り、前記領域に三本鎖構造を形成させ得るタンパク質を
意味する。RecAタンパク質は、相同的組換え、DN
Aの修復、又は大腸菌のSOS遺伝子の発現などに関与
することが知られている。RecAタンパク質の中で
は、大腸菌やλファージのRecAタンパク質が最も有
名である。しかしながら、大腸菌のRecAタンパク質
に類似した構造及び機能を有するタンパク質は、大腸菌
以外の生物にも広く分布していることが知られており、
これらのタンパク質は、一般に、RecA類似タンパク
質と呼称されている。本明細書において、「RecAタ
ンパク質」には、大腸菌やλファージのRecAタンパ
ク質のみならず、RecA類似タンパク質も含まれる。
本鎖核酸を二本鎖核酸にランダムに結合させるのではな
く、二本鎖核酸の一方のストランド中に存在する相同な
領域に結合させる。二つの核酸が「相同」であるという
ことは、RecAタンパク質を介して特異的な三本鎖構
造を形成し得る程度に、両核酸が同一である、又は類似
していることを意味する。「類似」とは、例えば、二つ
の塩基配列が少なくとも50%、好ましくは80%、よ
り好ましくは90%、さらに好ましくは95%以上の同
一性であり得る。
ない部分を含んでもよい。該部分は、核酸プローブの中
間及び/又は末端に位置し得る。
ーブの末端に位置する場合には、核酸プローブは、例え
ば、前記末端が、標的核酸の末端領域から1塩基以上突
出するように標的核酸に結合する。三本鎖構造を形成し
ない部分が、核酸プローブの中間に位置する場合には、
核酸プローブは、ループ状の中間部を有するように標的
核酸に結合する。
有しているので、前記試料に、RecAタンパク質及び
相同な核酸プローブを添加すると、該核酸プローブは、
標的核酸に、より正確には、標的核酸の一方のストラン
ド中に存在する相同な部分に結合する。核酸プローブが
結合した末端領域には三本鎖構造が形成されるので、該
末端領域の構造は、核酸プローブが結合していないほう
の末端領域の構造とは異なる。本発明の方法は、一方の
末端領域に、一般的には、三本鎖構造が形成されていな
い方の末端領域に、優先的に所望の処理を施すためにこ
のような構造の相違を利用する。
域に結合した状態では、標的核酸に所望の処理を行えな
いので、以下に記載されているように、RecAタンパ
ク質は、最終的には、標的核酸から解離させる必要があ
る。
プローブを結合させた場合には、標的核酸からRecA
タンパク質を解離させると、一旦形成された三本鎖構造
が再び解消する。それ故、本発明の方法では、核酸プロ
ーブは標的核酸の末端領域に結合させなければならな
い。
域に位置していないときには、該領域が末端領域に位置
するように標的核酸の一部を切除してから、本発明の方
法を適用すればよい。あるいは、一度環状の核酸にして
から、特定領域が末端領域にくるように再び切断しても
よい。また、標的核酸が、環状の核酸であるときには、
三本鎖核酸を形成させる前に、又は形成させた後に、所
望の処理を施すべき領域が末端領域に位置するように環
状の標的核酸を切断すればよい。
端領域」とは、標的核酸の終末端と標的核酸の終末端か
ら400番目、より好ましくは200番目、より好まし
くは150番目、より好ましくは100番目、より好ま
しくは80番目、さらに好ましくは60番目、さらに好
ましくは50番目、さらに好ましくは40番目、さらに
好ましくは20番目、さらに好ましくは10番目の塩基
との間に位置する領域(各終末端を含む)を指すものと
する。
出末端のうち何れでもよい。標的核酸に施すべき処理
が、アダプターの付加等の終末端への付加反応である場
合には、終末端の形状は突出末端であることが好まし
い。
記核酸プローブが、RecAタンパク質を介して試料中
の標的核酸に結合する場合、核酸プローブの方向性によ
っては三本鎖構造を形成しないことがある。従って、適
切な方向性を有する核酸プローブを使用しないと、三本
鎖構造は形成されないことがあることに注意しなければ
ならない。
末端領域において5’末端を有するストランドと相同な
配列を有する核酸プローブを使用すれば、三本鎖構造が
形成される。
ecAタンパク質が解離した後にも三本鎖構造が安定に
維持されるためには、前記核酸プローブの長さは、少な
くとも10塩基以上、好ましくは15塩基以上、好まし
くは20塩基以上、より好ましくは30塩基以上、さら
に好ましくは40塩基以上、最も好ましくは60塩基以
上である。
構造の両末端のうち外側(すなわち、標的核酸の終末端
側)に存在する末端が、標的核酸の終末端から50番目
の塩基、より好ましくは30番目の塩基、さらに好まし
くは20番目の塩基、さらに好ましくは10番目の塩基
よりも外側に位置することが好ましい。
在下において、相同的な組換えを触媒するタンパク質な
ので、前記試料中にATPが存在すると相同的組換えが
進行して、三本鎖構造は直ぐに消滅してしまう。
は、少なくとも三本鎖核酸を形成させているときと、三
本鎖核酸を形成させた後には、試料中にATPが4.8
mM以上存在してはならないことに注意しなければなら
ない。好ましくは、ATPの濃度は、0.48mM以下
であり、ATPが試料中に存在しないことが最も好まし
い。
形成させるためには、ATPの機能を代替し得る物質、
例えば、ATPγSのような非分解性ATP類似体を添
加しなければならない。
形成させる前工程に続いて、前記標的核酸に結合したR
ecAタンパク質を解離させる工程を実施する。本工程
において、標的核酸からRecAタンパク質を解離させ
ることによって、続く最後の工程で、標的核酸の末端領
域の一方に所望の処理を施すことが可能となる。
された三本鎖構造は、RecAタンパク質が該領域から
解離しても維持される。従って、本工程において、前記
標的核酸からRecAタンパク質を解離させれば、末端
領域のうち一方のみに三本鎖構造が形成された標的核酸
が得られる。
れていない領域では、次工程で施すべき所望の処理の効
率が異なるので、両末端領域のうちの一方に対して優先
的に、より好ましくは選択的に所望の処理を施すことが
可能となる。一般的には、優先的に所望の処理が施され
るのは、三本鎖構造が形成されていないほうの末端領域
である。
は、トリクロロ酢酸、過塩素酸の添加等の除タンパク操
作、SDSのような界面活性剤の添加、又はタンパク質
分解酵素の添加のような簡易な操作によって行い得る。
なった標的核酸に所望の処理を与えれば、典型的には、
三本鎖構造が形成されていないほうの末端領域に対し
て、優先的に、好ましくは選択的に所望の処理を施すこ
とができる。
方の末端領域に対する処理の効率が、他方の末端領域に
対する処理の効率を上回ることを意味する。「選択的
に」とは、一方の末端領域のみに所望の処理が施される
ことを意味する。
アーゼ、ポリメラーゼ、及びリガーゼ等を用いた酵素反
応、化学的な修飾や付加を含む化学反応、DNAチップ
の基板などの固相担体への吸着や電荷の付与などの物理
的な処理など核酸に対してなし得る任意の処理であり得
る。該処理は、末端領域に形成された三本鎖構造が破壊
されない条件で行わなければならない。
例えば、アンカー配列の付加、アダプターの付加等を挙
げることができる。これらの処理において使用されるリ
ガーゼに対しては、両末端領域は等価なので、本発明の
方法を用いなければ、両末端領域には共にアンカー配
列、又はアダプターが付加される。
みにアダプターを付加させる場合、標的核酸の長さは、
PCRでアダプターを付加できないサイズ、具体的に
は、40kb以上、例えば、50kb、75kb、10
0kb、150kb、又は200kbのサイズであり得
る。
いは選択的にアダプターを付加するためには、核酸プロ
ーブは、その一端が核酸塩基の終末端から一ヌクレオチ
ド以上突出するように標的核酸に結合するものを選択す
ることが好ましい。このような核酸プローブは、標的核
酸の終末端の一方のみに優先的に所望の処理を施す場合
に、一般的に有用であろう。
反応を利用した、クローニング技術にも有用である。こ
の技術は、遺伝子、ゲノムDNA、PCR産物などのD
NA断片を、制限酵素やリガーゼ連結の使用なしで、ベ
クターDNAにクローニングすることができる技術であ
る。そこでは、λファージの部位特異的組換え系を使っ
ているため、目的DNA断片の両端に組換えに必要な異
なるDNA配列を付加する必要がある。それ故、本発明の
方法は、特に、PCRを使用できないような長いDNA
断片を、この方法によりクローニングする際に有用であ
る。
的核酸の末端領域の一方に、所望の処理を優先的に施す
ことができる。それ故、末端領域の一方に所望の処理が
優先的に施すことによって、末端領域が非対称的に修飾
された核酸、及びこのような核酸を製造する方法も本発
明の範囲に属する。
ては、一方の末端領域のみが制限酵素、ヌクレアーゼ、
リガーゼなどで処理された核酸、一方の末端領域のみに
アダプターが付加された核酸、一方の末端領域のみに固
相担体(DNAチップなどの基板)が結合した核酸が挙
げられるが、これらに限定されない。
造するには、前記本発明の方法の各工程を行えばよい。
るが、以下に示すように、これらの各操作を改変した操
作を行ってもよく、さらに、上記各操作に新たな操作を
適宜付加してもよい。
操作を行って標的核酸の末端領域の一方に優先的に所望
の処理を施した後に、前記反対側の末端領域に形成され
た前記三本鎖構造を解消させ、該反対側の末端領域に前
記処理とは異なる処理を施してもよい。このような操作
を行えば、標的核酸中の等価な領域に対して異なる二種
類の処理を施すことが可能になる。
の終末端に第一のアダプターを付加した後、他方の終末
端に前記第一のアダプターとは異なる第二のアダプター
を付加することができる。これによって、現在、PCR
ではアダプターを付加できないサイズが大きな標的核酸
にも、異なるアダプターを付加することが可能となる。
ば、熱処理、アルカリ処理、酵素処理(DNAポリメラ
ーゼなど)を使用し得る。あるいは、三本鎖構造を解消
させやすくするために、変異が導入された核酸プローブ
を使用することも有用である。変異が導入された核酸プ
ローブは、標的核酸への結合性が弱いために三本鎖構造
を解消させやすい。
どのタンパク質を介さずに、二本鎖核酸の末端領域の一
方又は双方に、該末端領域と相同な一本鎖核酸を結合す
ることにより、末端領域の一方又は双方に三本鎖構造が
形成された末端被修飾核酸を製造する方法、及びこのよ
うな末端被修飾核酸も提供する。
れた末端被修飾核酸を作成するためには、本発明の方法
の第一の工程と第二の工程を実施すればよい。双方の末
端領域に三本鎖構造が形成された末端被修飾核酸を作成
するためには、前記第一の工程において、二種類のプロ
ーブ、すなわち、一方の末端領域と相同な核酸プローブ
と他方の末端領域と相同な核酸プローブとを添加すれば
よい。
をさらに詳細に説明するが、いかなる意味においても本
発明の範囲を限定することを意図するものではない。
ながら、三本鎖構造の形成における各反応成分の依存性
について記載する。
F DNAを制限酵素SnaBIで直鎖状にしたもの
と、前記標的核酸の末端領域と相同な配列を有する60
マーの核酸プローブ1(配列番号1)を用意した。核酸
プローブ1は、T4ポリヌクレオチドキナーゼと[γ−
32P]ATPを用いて、32Pで5’末端を標識し
た。前記標的核酸と標識された核酸プローブ1との間に
三本鎖を形成させるために、1pmolの標識核酸プロ
ーブ1、3.0μgのRecAタンパク質、4.8mM
ATP−γS、200ngの標的核酸を、20mM
酢酸マグネシウム、30mM 酢酸トリス(pH7.
2)中にて、37℃で30分間保温した。以下、本実験
例、及び実験例2〜4において、該反応条件を標準反応
条件と称する。
0.7mg/mLプロテイナーゼKを加え、37℃で3
0分間保温することにより、除タンパクを行い、その半
分量を1%アガロースゲル電気泳動に供した。泳動後
に、エチジウムプロミドでゲルを染色し、DNAの写真
を記録した。結果を図1(B)に示す。
の反応条件は、以下に記載されている)で、標的核酸が
正しく泳動されていることが分かる。
で乾燥させた後、ゲルのオートラジオグラムをとり、標
識核酸プローブ1からのシグナルをX線フィルム上に記
録した。結果を図1(A)に示す。
マーカーであり、図面の左端にはそれらのサイズが示さ
れている。このサイズマーカーは、λDNAを制限酵素
HindIIIで切断し、T4ポリヌクレオチドキナーゼ
と[γ―32P]ATPを用いて、32Pで5’末端標
識したものである。
Aタンパク質を除いた条件を用いて、三本鎖形成反応を
行った場合の結果である。
−γSを除いた条件を用いて、三本鎖形成反応を行った
場合の結果である。
Aタンパク質とATP−γSを除いた条件を用いて、三
本鎖形成反応を行った場合の結果である。
32P標識核酸プローブ1に代えて、32P標識核酸プ
ローブ2(配列番号2)を用いた条件で、三本鎖形成反
応を行った場合の結果である。
32P標識核酸プローブ1に代えて、32P標識核酸プ
ローブ3(配列番号3)を用いた条件で、三本鎖形成反
応を行った場合の結果である。
標的核酸として、pBR322DNAを制限酵素Sca
Iで切断したものを使用し、且つ該標的核酸の末端領域
と相同な配列を有する前記32P標識核酸プローブ4
(配列番号4)を用いた条件で、三本鎖形成反応を行っ
た場合の結果である。
全く形成されていないので、三本鎖形成反応には、Re
cAタンパク質とATP−γSが不可欠であることが分
かる。また、標的核酸と相同でない核酸プローブを用い
たレーン5とレーン6では、三本鎖は形成されなかった
ので、三本鎖は、RecAタンパク質を介した特異的な
反応によって形成されることが明らかである。
れたので、標的核酸と相同な核酸プローブを用いれば、
任意の標的核酸に三本鎖が形成されることが分かった。
応において使用すべきオリゴヌクレオチドの方向性につ
いて検討した。以下、図2を参照しながら、本実験例に
ついて説明する。
に、標的核酸に結合した標識核酸プローブを検出したも
のである。
形成反応を行った後に、実験例1に記載されている除タ
ンパク操作及び電気泳動を行った場合の結果である。
プローブ1に代えて、核酸プローブ2を用いた場合の結
果である。
プローブ1に代えて、核酸プローブ5(配列番号5)を
用いた場合の結果である。
プローブ1に代えて、核酸プローブ6(配列番号6)を
用いた場合の結果である。
の一方の末端領域において三本鎖核酸を形成する。これ
に対して、核酸プローブ5及び6は、核酸プローブ1及
び2が三本鎖核酸を形成する末端領域とは反対側の末端
領域において三本鎖核酸を形成する。
の各ストランドの5’末端と相同性を有するのに対し
て、核酸プローブ2及び6は、標的核酸の各ストランド
の3’と相同性を有する。
ローブ1(レーン1)と核酸プローブ5(レーン3)
は、標的核酸と三本鎖を安定に形成することができた
が、核酸プローブ2(レーン2)と核酸プローブ6(レ
ーン4)は、標的核酸と三本鎖を安定に形成することが
できなかった。
てのDNAを染色した結果を示している。図2の(B)
では、全てのレーンで標的核酸が泳動されているので、
核酸プローブ2と核酸プローブ6は、標的核酸が存在し
ているにもかかわらず、標的核酸と安定に三本鎖を形成
し得なかったことが分かる。
るためには、一般に、標的核酸の各ストランドの5’末
端と相同な核酸プローブを使用すべきであることが明ら
かとなった。
に必要な核酸プローブの長さについて調べた。
プローブ1に代えて、核酸プローブ7、8、9、10、
及び11(配列番号7、8、9、10、及び11)を用
いた条件下で行った。
は、それぞれ、核酸プローブ1の5‘末端から、10、
20、30、40、及び50個のヌクレオチドを除去し
たものである。
ローブが長いほど、より多くの三本鎖を形成することが
できた。核酸プローブ9は、ほとんど三本鎖を形成する
ことができなかった(レーン4)。核酸プローブ10、
及び11は、三本鎖を形成することができなかった(レ
ーン5、及び6)。核酸プローブ8は、ある程度三本鎖
を形成することができた。これに対して、核酸プローブ
7と核酸プローブ1は、大量の三本鎖を形成することが
できた。
染色した標的核酸を表している。
は、一定の長さ以上の長さを有する核酸プローブを用い
ることが必要であることが明らかとなった。
される位置と三本鎖の形成量との関係について調べた。
核酸プローブ1、12(配列番号12)、13(配列番
号13)、及び14(配列番号14)を調製した。核酸
プローブ12、13、及び14の3’末端は、それぞ
れ、M13mp18RF標的核酸のストランドの5’末
端から10、20、及び30番目のヌクレオチドと結合
する。結果を図4(A)及び4(B)に示す。
が標的核酸の終末端から近い位置に形成される核酸プロ
ーブを用いると、三本鎖の形成量が多かった。
れぞれ、核酸プローブ1、12、及び13を用いたとき
の結果を示している。
チドに、3’末端が結合する核酸プローブ14は、全く
三本鎖を形成しなかった(レーン4)。
よって、各レーンに標的DNAが存在することが確認さ
れた(図4B)。
成させるためには、できる限り、標的核酸の末端付近に
三本鎖を形成させるべきであることが明らかとなった。
がら、標的核酸の一方の末端にアダプターDNAをライ
ゲーションする方法について説明する。
22DNAを制限酵素ScaIで直鎖状にしたものと、
該標的核酸の末端領域の一方と相同な配列を有する60
マーの核酸プローブ15(配列番号15)を用意した。
鎖形成反応は、10pmolの核酸プローブ15、5.
0μgのRecAタンパク質、4.8mM ATP−γ
S、100ngの標的核酸を、20mM酢酸マグネシウ
ム、30mM酢酸トリス(pH7.2)中で、37℃で
30分間保温した。反応後に、0.5%(W/V)SD
S、0.7mg/mLプロテイナーゼKを加え、37℃
で30分間保温することにより、除タンパクを行った。
Tris−HCl、1mM EDTA)を加え、60
μLとして、フェノール・クロロホルム抽出を1回、ク
ロロホルム抽出を1回行った後、エタノール沈殿を行っ
た。
蒸留水に溶かした。続いて、1pmolの32P標識ア
ダプターを加え、ライゲーションキット(タカラ酒造)
を用いて、16℃で60分間保温することにより、ライ
ゲーション反応を行った。ここで用いたアダプターDN
Aは、オリゴヌクレオチド1(配列番号16)とオリゴ
ヌクレオチド2(配列番号17)を0.1×SSC中に
て、80℃で10分間保温し、2時間かけて徐々に冷却
して二本鎖にすることによって調製した。
ロロホルム抽出を1回、クロロホルム抽出を1回行った
後、エタノール沈殿を行った。
留水に溶かした後、2μLの、ゲルローディング バッ
ファー(0.25% ブロモフェノールブルー、 0.
25%キシレン シアノール FF、 15% フィコ
ール (タイプ 400;ファルマシア)in wat
er)を混ぜ、その半分量について、37℃で60分間
保温した。その半分量について、1%アガロースゲル電
気泳動を行った。
し、DNAの写真を記録した(図5(B))。また、ゲ
ルを濾紙の上に載せてゲル乾燥器で乾燥させた後、ゲル
のオートラジオグラムをとり、標識核酸アダプターから
のシグナルをX線フィルム上に記録した。その結果を図
5(A)に示す。
わずに、三本鎖を形成させた場合の結果を示している。
酵素で切断して得られた産物の半分量をゲルにかけ、核
酸プローブ15を用いて該産物を検出した場合の結果を
示している。制限酵素による切断は、エタノール沈殿後
の前記乾燥DNAペレットを、8μLの蒸留水に溶かし
た後、10Unitsの制限酵素PyuIIを加えて、3
7℃で60分間保温することによって行った。
小さいほうのバンドに相当する断片と三本鎖を形成する
ことができる。
うちサイズが大きいほうのバンドに相当する断片と三本
鎖を形成することができる核酸プローブ16(配列番号
18)を用いた場合の結果を示す。
の一ヶ所を制限酵素で切断して得られた産物の半分量を
ゲルにかけた場合の結果を示している。レーン4では、
核酸プローブ16を使用した。
ずにゲルにかけた場合の結果を示している。レーン5で
は、核酸プローブ15と16を使用した。
の一ヶ所を制限酵素で切断して得られた産物の半分量を
ゲルにかけた場合の結果を示している。レーン6では、
核酸プローブ15と16を使用した。
の終末端からその末端が1塩基突出するように標的核酸
と三本鎖を形成する核酸プローブ17(配列番号9;レ
ーン7及び8)、核酸プローブ18(配列番号20;レ
ーン9及び10)、及び核酸プローブ17と核酸プロー
ブ18の両者(レーン11及び12)を使用した。核酸
プローブ17は、レーン8のサイズが小さいほうの断片
と三本鎖を形成することができ、核酸プローブ18は、
レーン8のサイズが大きいほうの断片と三本鎖を形成す
ることができる。
制限酵素で処理せずにゲルにかけた。レーン8、10、
及び12では、レーン2と同様に、標的核酸を制限酵素
で処理した後にゲルにかけた。
ら、その末端が突出しないように三本鎖を形成する核酸
プローブ15及び16(以下、非突出プローブという)
を使用したので、標識アダプターの付加を効率的に阻害
することができなかった。
の末端が突出するように三本鎖を形成する核酸プローブ
17及び18(以下、突出プローブ)を使用すると、標
識アダプターの付加を効率的に阻害することができた。
レーン8、10、及び12の対応するバンドが薄くなっ
ていることから、核酸プローブ17、18、及び両者を
用いたときに、それぞれ、小さいほうの断片への標識ア
ダプターの付加、大きいほうの断片への標識アダプター
の付加、及び両断片への標識アダプターの付加が効率的
に阻害されたことが分かる。
と、標的核酸の末端へのアダプターの付加を阻害できる
ことが明らかとなった。本実施例により、標的核酸の終
末端から、その末端が突出するような核酸プローブを用
いると、アダプターの付加を効率的に阻害できることも
明らかとなった。
ながら、標的核酸へのアダプター付加の阻害における、
各反応成分への依存性について説明する。
のレーン8と同じ反応を行ったときの結果を示してい
る。
ずに、レーン1と同じ反応を行ったときの結果を示して
いる。
応工程において、エタノール沈殿後の乾燥DNAペレッ
トを、8μLの蒸留水に溶かした後に、85℃で10分
間熱処理を行い、その後は同じ処理を行ったときの結果
を示している。
パク質をともに添加せずに、レーン1と同じ反応を行っ
た結果を示している。
レーン1と同じ反応を行ったときの結果を示している。
ない核酸プローブ1(配列番号1)を用いて、レーン1
と同じ反応を行ったときの結果を示している。
ーの付加を阻害するためには、ATP−γS、RecA
タンパク質、標的核酸と相同な核酸プローブを使用しな
ければならないことが明らかとなった。
アダプターの付加が阻害されているので、標的核酸と核
酸プローブとによって形成される三本鎖は、熱処理に対
して比較的安定であることも明らかとなった。
てのDNAを染色した結果を示している。
ながら、標的核酸へのアダプターの付加の阻害に対す
る、標的核酸の末端の形状の効果について説明する。
ける図5のレーン8と同じ反応を行ったときの結果を示
している。
レーン1と同じ反応を行ったときの結果を示している。
2DNAを制限酵素PstIで切断したものを用いたこ
とと、核酸プローブ19(配列番号21)を用いたこと
以外は、図5のレーン8と同じ反応を行ったときの結果
を示している。
レーン3と同じ反応を行ったときの結果を示している。
ターの付加が阻害されているが、突出末端を有する標的
核酸を使用したレーン1のほうが、平滑末端を有する標
的核酸を使用したレーン3に比べて、より効率的に、ア
ダプターの付加が阻害されることが分かった。
レーン4では、アダプターの付加は全く阻害されなかっ
た。
てのDNAを染色した結果を示している。
アダプターの付加の阻害効率に影響を与えることが明ら
かとなった。
ながら、本発明の方法によるアダプター付加の阻害の経
時変化について説明する。
る図5のレーン2で使用した条件(非突出プローブを使
用)において、三本鎖形成反応を30秒行ったときの結
果を示している。
同一の条件下で、それぞれ、30、60、120、及び
180分間、三本鎖形成反応を行ったときの結果を示し
ている。
件(突出プローブを使用)において、三本鎖形成反応を
30秒行ったときの結果を示している。
のシグナル強度を、BAS 2000 Image a
nalyzerを用いて測定し、これをグラフ化したも
のである。
と同一の条件下で、三本鎖形成反応を、それぞれ、3
0、60、120、及び180分間行ったときの結果を
示している。
0のシグナル強度を、BAS 2000 Image
analyzerを用いて測定し、これをグラフ化した
ものである。
り、縦軸は標的核酸に付加された放射能のパーセントで
ある。アダプター中の放射能の総量が100%である。
(C)から明らかなように、三本鎖形成反応に、非突出
プローブを使用すると、三本鎖の形成は殆ど進行しない
ために、アダプター付加及びこれに続くライゲーション
反応が阻害されなかった。
(D)から明らかなように、三本鎖形成反応に、突出プ
ローブを使用すると、三本鎖の形成は殆ど進行しないた
めに、アダプター付加及びこれに続くライゲーション反
応が経時的に阻害された。
のDNAを染色した結果を示している。
三本鎖が経時的に形成され、アダプター付加及びライゲ
ーション反応が経時的に阻害されるのに対して、非突出
プローブを用いると、殆ど三本鎖が形成されず、このた
め、アダプター付加及びライゲーション反応が殆ど阻害
されないことが明らかとなった。
一方に、所望の処理を優先的に、又は選択的に施すこと
ができる。
方のみに、アダプターなどの配列を付加することができ
る。あるいは、標的核酸の末端領域に、それぞれ異なる
アダプターを付加することができる。
図。
Claims (3)
- 【請求項1】 標的核酸の末端領域の一方に、所望の処
理を優先的に施す方法であって、 前記標的核酸を含む試料に、RecAタンパク質と、前
記処理を施すべき末端領域とは反対側の末端領域と相同
な核酸プローブとを添加することにより、前記RecA
タンパク質を介して前記標的核酸に前記核酸プローブを
結合させ、前記反対側の末端領域を三本鎖構造にする工
程と;前記標的核酸に結合した前記RecAタンパク質
を前記標的核酸から解離させて、前記RecAタンパク
質を介さずに前記核酸プローブが前記反対側の末端領域
に結合した核酸を得る工程と;該核酸に前記処理を施す
ことにより、標的核酸の末端領域の一方に優先的に所望
の処理を施す工程とを備えた方法。 - 【請求項2】 前記処理が、アダプターのライゲーショ
ンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 前記核酸プローブが、前記反対側の末端
領域の終末端から、その末端を1塩基以上突出するよう
に前記反対側の末端領域に結合することを特徴とする請
求項1又は2に記載の方法。
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---|---|---|---|
JP2001011982A JP4681129B2 (ja) | 2001-01-19 | 2001-01-19 | 核酸末端領域の非対称的修飾法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6867001B2 (en) | 2001-09-25 | 2005-03-15 | Aisin Cosmos R&D Co., Ltd. | Method for processing a library using ligation inhibition |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH06500926A (ja) * | 1990-11-09 | 1994-01-27 | アメリカ合衆国 | Dnaに標的を定める方法 |
JPH11509423A (ja) * | 1995-07-21 | 1999-08-24 | ザ ガヴァメント オヴ ザ ユナイテッド ステイツ オヴ アメリカ、リプレゼンティッド バイ ザ セクレタリー、ディパートメント オヴ ヘルス アンド ヒューマン サーヴィスィーズ | Rec支援DNAクローニング |
-
2001
- 2001-01-19 JP JP2001011982A patent/JP4681129B2/ja not_active Expired - Fee Related
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