JP4440570B2 - 非接触型データキャリア - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接触型データキャリアに関し、特に、非接触型のICタグに関する。
【0002】
【従来の技術】
情報の機密性の面からICカードが次第に普及されつつある中、近年では、読み書き装置(リーダライタ)と接触せずに情報の授受を行う非接触型のICカードが提案され、中でも、外部の読み書き装置との信号交換を、あるいは信号交換と電力供給とを電磁波により行う方式のものが実用化されつつある。
そして、データを搭載したICを、アンテナコイルと接続した、シート状ないし札状の非接触式のICタグが、近年、種々提案され、商品や包装箱等に付け、万引き防止、物流システム、商品管理等に利用されるようになってきた。
【0003】
読み書き装置(リーダ/ライタ)と接触せずに情報の授受を行うタグとしては、従来、例えば、フェライトコアからなる棒状磁性体等を磁芯部材としてその外周面に導体(銅線)を巻き、これをアンテナコイルとするものがあるが、このタグの場合、磁芯部材と導体(銅線)が高価であり、その製造作業工程は複雑で、量産性に欠けるものであった。
また、アンテナコイル全体が厚くなり、これを物品に取り付けるとそのアンテナコイルが物品から突出するという問題もある。
また、金属製の物品に密着させても確実に作動するとともに、アンテナコイルの厚さを極めて薄くすることを目的とし、特開2002−324221号公報に記載されるような、コイルアンテナ表裏の決められた位置にシート状磁性体を貼り合せするタグもあるが、このタグの場合、磁性体シートが高価であり、製造工程も複雑であった。
更にまた、持開2002−42096号公報に記載のような、磁性体や金属母材への電磁誘導タグの有効利用を目的とし、単に対象金属物から数mm浮かせるような加工を施した金属用タグもある。
これは、電磁誘導タグの設置場所付近に磁性体や金属が存在すると、磁性体や金属の影響によって磁界が減衰して使用できなくなるという従来の固定観念を排除して、磁性体や金属に電磁誘導タグを非磁性体材料からなるスペーサ等を介さずに設けたものである。
しかし、このタグの場合には、金属面専用になってしまい、金属面以外の使用時には通信できなくなるという欠点があった。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−324221号公報
【特許文献2】
特開2002−42096号公報
【0005】
【発明が解決使用とする課題】
上記のように、従来のタグは、所定の距離(近接型、ISO/IEC14443規格で〜20mmの範囲)で通信できるようにする場合、その構造から高価となり、その製造が複雑となり、量産性が良くないという問題や、使用される対象物が金属面専用になってしまい、金属面以外の使用時には通信できなくなるというような問題をかかえていた。
本発明は、これらの問題に対応するもので、高価な材料や複雑な製造工程を必要とすることもなく、金属面、非金属面共用で使用が可能となるようなICタグを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の非接触型データキャリアは、送受信用のアンテナと、該アンテナの端子に接続されたICチップと、アンテナの一方の面側を覆い、該アンテナと一定の距離で対向するように設けられた導電性層を備えており、前記導電性層を配設した側ではない他方側にて、リーダ/ライターと送受信を行うものであって、送受信用のアンテナと、該アンテナの端子に接続されたICチップとを有する回路本体部を配設した基材は筐体内に配され、導電性層は筐体に保持固定されており、且つ、前記基材は板状の基材で、送受信用のアンテナをその一面に設けて、回路本体部を配設しており、導電性層は、基材の一面に配したアンテナの基材側ではない一方の面を覆うように設けられており、前記筐体は、回路本体部を設けた基材をその送受信用のアンテナを設けた側の面ではない方の面側にて搭載するための第1の面部と、基材の全周を覆う側面部と、基材の送受信用のアンテナを設けた側の面を覆う第2の面部とを備え、前記第1の面部と側面部とを一体的に絶縁材にて形成し、前記第2の面部を、前記導電性層にて形成しているものであり、且つ、前記筐体の絶縁材は樹脂材からなることを特徴とするものである。
そして、上記の非接触型データキャリアであって、アンテナと対向する導電性層との距離が、0.1mm以上、7mm以下で一定の距離を保つように配置されたことを特徴とするものである。
そしてまた、上記いずれかの非接触型データキャリアであって、導電性層を配設することによる、共振周波数シフト量を考慮して設計され、共振周波数が、リーダ/ライターとの最適な送受信周波数に設定されていることを特徴とするものである。
また、上記いずれかの非接触型データキャリアであって、導電性層は、金属板、金属箔、導電性印刷層、磁性シート、磁性印刷層の中から選ばれた1以上から成ることを特徴とするものである。
また、上記いずれかの非接触型データキャリアであって、対象とする母材に取り付けるための取り付け手段を備えていることを特徴とするものであり、該取り付け手段が固定用ネジであることを特徴とするものである。
また、上記いずれかの非接触型データキャリアであって、ICタグであることを特徴とするものである。
【0007】
尚、ここでは、回路本体部とは、導電性層以外の、データの送受信を行うための回路全体を言い、回路本体部を配設する基材と回路本体部とを合せ、データキャリア本体部とも言う。
導電性層は、本発明の非接触型データキャリアを取り付ける対象物(これを、以下ここでは対象とする母材とも言う)がどのような物質であっても、例えば金属あるいは非金属であっても、対象とする母材の影響を受けずにリーダ/ライターに合せた所望の共振周波数を得ることができるようにする役割を果たすものであり、母材の材質による電磁波の変化の影響をキャンセルするということから、導電層を単にキャンセル層あるいは電磁波キャンセル層とも言う。
また、ここでの、非接触型データキャリアは、ISO/IEC14443規格の、20mm以内を通信距離とする近接型、あるいは、ISO/IEC15693規格の、約1mまでを通信距離とする近傍型であり、リーダ/ライタとの通信周波数を13. 56MHzとするものであるが、金属からの影響を受ける原理は他の周波数帯のICタグについても同様であり、この技術が応用できる。
【0008】
【作用】
本発明の非接触型データキャリアは、このような構成にすることにより、高価な材料や複雑な製造工程を必要とすることもなく、金属面、非金属面共用で使用が可能となるようなICタグの提供を可能としている。
具体的には、送受信用のアンテナと、該アンテナの端子に接続されたICチップと、アンテナの一方の面側を覆い、該アンテナと一定の距離で対向するように設けられた導電性層を備えており、前記導電性層を配設した側ではない他方側にて、リーダ/ライターと送受信を行うものであって、送受信用のアンテナと、該アンテナの端子に接続されたICチップとを有する回路本体部を配設した基材は筐体内に配され、導電性層は筐体に保持固定されており、且つ、前記基材は板状の基材で、送受信用のアンテナをその一面に設けて、回路本体部を配設しており、導電性層は、基材の一面に配したアンテナの基材側ではない一方の面を覆うように設けられており、前記筐体は、回路本体部を設けた基材をその送受信用のアンテナを設けた側の面ではない方の面側にて搭載するための第1の面部と、基材の全周を覆う側面部と、基材の送受信用のアンテナを設けた側の面を覆う第2の面部とを備え、前記第1の面部と側面部とを一体的に絶縁材にて形成し、前記第2の面部を、前記導電性層にて形成しているものであり、且つ、前記筐体の絶縁材は樹脂材からなることにより、これを達成している。
特に、送受信用のアンテナと、該アンテナの端子に接続されたICチップとを有する回路本体部を配設した基材は筐体内に配され、導電性層は筐体に保持固定されており、コンパクトで、取り付け対象となる母材を制限せず、簡易に取り付けを可能とし、汎用性がある。
板状の基材に、送受信用のアンテナをその一面に設けて、回路本体部を配設しており、導電性層は、基材の一面に配したアンテナの基材側ではない一方の面を覆うように設けられている形態である。
筐体としては、回路本体部を設けた基材をその送受信用のアンテナを設けた側の面ではない方の面側にて搭載するための第1の面部と、基材の全周を覆う側面部と、基材の送受信用のアンテナを設けた側の面を覆う第2の面部とを備え、前記第1の面部と側面部とを一体的に絶縁材にて形成し、前記第2の平面部を、前記導電性層にて形成してなり、簡単でコンパクトな形態として実用的である。
筐体の絶縁材部分は、樹脂で型形成されたものが、生産性の面からは好ましい。
本発明の非接触型データキャリアは、本体に導電性層を配した構造のもので、その共振周波数特性を設計技術により最適化し、取り付ける母材が金属でも非金属でもその材質の影響は受けず、リーダ/ライターと送受信に際し、所定の共振周波数を得ることができ、結果、所定の通信距離を得ることができるものである。
【0009】
アンテナと導電性層との距離は、0. 1mm〜7mmで効果が得られると予想されるが、より安定的な通信特性の点で2mm〜5mmが望ましい。
近すぎると通信機からの磁束がまわりこむ効果が薄れ良好な通信ができなくなる。
また、遠すぎると製品の厚みが厚くなりすぎて実用的でない。
【0010】
導電性層を配設することによる、共振周波数シフト量を考慮して設計され、共振周波数が、リーダ/ライターとの最適な送受信周波数に設定されていることにより、所定のリーダ/ライターとの最適な送受信を可能にしている。
【0011】
導電性層は、金属板、金属箔、導電性印刷層、磁性シート、磁性印刷層の中から選ばれた1以上から成るものが挙げられるが、これに限定はされない。
安価なアルミニウム、銅、ステンレスなどの板、あるいは箔が好ましく使用される。
他には、蒸着や導電性のインクで印刷などの導電性層でも良い。
また、導電性層としては、磁性を持ったものでも良い。
【0012】
また、対象とする母材に取り付けるための、固定用のネジ等の取り付け手段を備えている場合には、より汎用性としている。
また、ICタグである場合には、用途により厚さ的な制限は、ICカードよりなく、種々の用途に使用できる。
例えば、成形金型に直接取り付けたり、ガスボンベの首にチェーンでぶら下げる、などのように使用することもできる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態例を、図に基づいて説明する。
図1(a)は本発明の非接触型データキャリアの実施の形態の1例を示した断面図で、図1(b)は図1(a)のA1側からみた図で、図2はアンテナと導電性層との距離Dに対する、共振周波数fαおよび最大通信距離Lとの関係を示した図である。
図1中、110はデータキャリア本体部、111は(送受信用の)アンテナ、112は基材(板状の基材とも言う)、113はICチップ、114は絶縁材、120は導電性層、130は筐体、131は(筐体の)絶縁材部、135は第1の面部、136は側面部、140はネジ、150は母体、Dはアンテナと導電性層との距離である。
【0014】
本発明の非接触型データキャリアの実施の形態の1例を図1に基づいて説明する。
本例の非接触型データキャリアは、送受信用のアンテナ111と、該アンテナの端子に接続されたICチップ113と、アンテナ111の一方の面側を覆い、該アンテナ111と一定の距離Dで対向するように設けられた導電性層120を備え、導電性層120を配設した側ではない他方側にて、リーダ/ライターと送受信を行う非接触型ICタグで、ISO/IEC15693規格で通信する近傍型に相当するものである。
本例の非接触型データキャリアは、図1に示すように、送受信用のアンテナ11と、該アンテナの端子に接続されたICチップ113とを有する回路本体部を配設した基材112と、回路本体部とを有するICタグ本体部110は、筐体130内に配されており、母体150にネジ140にて取り付けられる。
【0015】
筐体130は、回路本体部を設けた基材112をその送受信用のアンテナ111を設けた側の面ではない方の面側にて搭載するための第1の面部135と、基材の全周を覆う側面部136と、基材の送受信用のアンテナを設けた側の面を覆う第2の面部としての導電性層120とを備え、且つ、第1の面部135と側面部136とは絶縁材にて形成されている。
本例の場合、第1の面部135と側面部136とは一体的に樹脂による型成形にて形成したもので、基材112の送受信用のアンテナ111を設けた側の面ではない方の面にて固着されている。
基材112の第1の面部135への固着は、接着材を使用して、あるいは熱融着等の手段を用いて行う。
ネジ140は筐体の側面部136に留められている。
【0016】
本例の場合、アンテナ111の配線は略円形状で、図1(a)のA1側からの全体の外観は、図1(b)に示すように楕円形状である。
外形形状としては、アンテナ111の配線形状により、円形状、楕円形状四角形状、他種々の形状をとることができる。
【0017】
導電性層120としては、金属板、金属箔、導電性印刷層、磁性シート、磁性印刷層の中から選ばれた1以上から成るものが挙げられる。
また、筐体の絶縁材としては、他に、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS、ポリスチレン、ポリカーボネート、メチルメタアクリレート(PMMA)、不飽和ポリエステル、エポキシ、メラミン、ユリア、フェノール、PVCや、各種エンプラ等も挙げられる。
基材112としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン、ABS、スチレン、ポリイミド、ガラスエポキシ、PETG、ポリカーボネート、紙、PVC、またはアクリル等が挙げられるが、強度、耐熱、耐薬品性のあるPET(ポリエチレンテレフタレート)ないしポリイミドが好ましい。
基材112の厚さは、通常、25μm〜200μmである。
アンテナ111を形成する金属パターンとしては、Cuパターン、Alパターン等があるが、アンテナ配線が微細化、狭ピッチ化には、Cuパターンが好ましい。
電気特性からCuパターン、Alパターンの厚さは、それぞれ、10〜50μm、15〜50μmが好ましい。
また、ICチップ113は、通常、大きさ1.0mm×0.9mm角、厚さ約150μm程度のものが用いられる。
【0018】
本例の場合、ICチップ113は、絶縁材114を介して、アンテナ111の両端にそれぞれ接続する端子部(図示していない)にフリップ接続をしているが、これに限定はされない。
また、アンテナ111とICチップ113の接続手段としては、基材に貫通孔を設け、該貫通孔に導電性材料を配設して表裏導通部を形成する、あるいは充填する方法や、アンテナ111を跨ぐジャンピング配線を設ける方法があるが、特にこれらに限定はされない。
表裏導通部形成用の導電性材料としては、例えば、エポキシ系樹脂に導電粒子を混入、分散させ、硬化させたものが用いられる。
勿論、この導電性材料を印刷形成して接続用配線として用いることもできる。尚、エポキシ系樹脂に導電粒子を混入、分散させた状態のものを、導電性インキとも言う。
導電粒子としては、カーボンや黒鉛あるいは銀粉やアルミ粉、あるいはこれらの混合体が用いられる。
【0019】
次いで、本例の非接触型データキャリアの特性と構造の設計を決定する手順について、以下、図2基づいて簡単に説明しておく。
尚、図2は、本例の非接触型データキャリアで、後述する実施例1の非接触型データキャリアを所定のリーダ/ライタ(オムロン社製、V720−HM73)用いて調べた場合のものである。
本例の特性設計の場合、アンテナ111と導電性層120との距離Dを20mmまでの間で種々とって、各距離における共振周波数を調べると、図2のグラフ▲1▼のようになる。
これより、距離Dがdのときに、共振周波数が13. 56MHZとなることが分かる。
また、アンテナ111と導電性層120との距離Dを20mmまでの間で種々とって、各距離におけるリーダ/ライタとの最大通信距離Lを測定すると、図2のグラフ▲2▼のようになる。
これより、距離Dがdのときに、リーダ/ライタとの最大通信距離Lが最大となることが分かる。
これは、距離Dがdのときに、リーダ/ライタとの共振周波数が13. 56MHZとなり、リーダ/ライタとの最大通信距離Lが最大となることを示している。
このような、距離dを求めて、本例の非接触型データキャリアは、距離Dをdに設定して、導電性層120が筐体130の側面部136に固定されている。
ここでは、詳しくは述べないが、本例の非接触型データキャリアの作製に際しては、導電性層120を配設することによる、共振周波数シフト量を考慮して設計されており、結果的に、共振周波数が、リーダ/ライターとの最適な送受信周波数13. 56MHzに設定される。
【0020】
本実施の形態例の変形例としては、ネジ140に代え、他の母体への取り付け手段を備えたものも挙げられる。
例えば、用途によっては容易に剥離可能な接着層を設け、これを取り付け手段としてもよい。
また、場合によっては、筐体全体を絶縁材とし、即ち、筐体の基材112の送受信用のアンテナ111を設けた側の面を覆う第2の面部として絶縁材を用い、第2の面部の外側に導電性層を配設する構造のものも挙げられるが、量産性の面からは、図1に示す本例に劣る。
【0021】
【実施例】
実施例を挙げて、本発明を更に説明する。
(実施例1)
実施例1は、図1に示す実施の形態例の非接触型データキャリアであって、これを以下のようにして作製した。
先ず、ポリエステルフィルム上にCu箔をラミネートした基材を用意し、あらかじめ適正に設計されたアンテナパターンをCu箔のエッチングにて形成した。
次に、上記Cu箔アンテナパターンの両端子に、ICチップ113としてフィリップス製、「I・CODE SLI」を用い、接続実装した。
上記回路の共振周波数を測定したところ12. 0MHzであり、鉄板上に載せた状態では交信することができなかった。
次に、0. 2mm厚みのAl箔を所定の大きさにし、上記Cu層からなるアンテナと対向し4mmの距離を保つようアクリル樹脂製の筐体内部に組み立てたところ、Al箔の影響を受けて、共振周波数がシフトし、13. 56MHzとなった。
これを鉄板上に置いたところ良好な交信が得られることが分かった。
また、鉄板上から離した状態でも良好な交信が得られることが分かった。
【0022】
(実施例2)
実施例2も、図1に示す実施の形態例の非接触型データキャリアで、実施例1のアンテナ111をCu層でなく、Al層とし、且つ、導電性層120をAl箔でなく、導電インク印刷物(導電印刷層とも言う)としたもので、これを以下のようにして作製した。
先ず、ポリエステルフィルム上にAl箔をラミネートした基材を用意し、あらかじめ適正に設計されたアンテナパターンをAl箔のエッチングにて形成した。
次に、上記Al箔からなるアンテナパターンの両端子に、ICチップとしてインフィニオ製、「my−d」を用いて、接続実装した。
上記回路の共振周波数を測定したところ11. 3MHzであり、鉄板上に載せた状態では交信することができなかった。
次に、0. 2mm厚みの導電インク印刷物(導電印刷層とも言う)を所定の大きさにし、上記Alコイルアンテナと対向し2mmの距離を保つようPETGフィルム(非結晶性ポリエステルフィルム)と貼り合せたところ、導電印刷層の影響を受けて、共振周波数がシフトし、13. 56MHzとなった。
これを鉄板上に置いたところ良好な交信が得られることが分かった。
また、鉄板上から離した状態でも良好な交信が得られることが分かった。
【0023】
(比較例1)
上記実施例1において、導電性層を設けない状態で共振周波数13. 56MHzに設計されたICタグを用い、同様に、0. 2mm厚みのAl箔をアンテナから4mmの距離に対向するよう筐体内部に組み立てたが、共振周波数が14. 50MHzとなり良好な通信は得られなかった。
また、このICタグで良好な通信を得るには、アンテナと金属層の距離を10mm以上とする必要があり、製品の厚みが厚くなりすぎることから、実用的ではなかった。
【0024】
【発明の効果】
本発明は、上記のように、高価な材料や複雑な製造工程を必要とすることもなく、金属面、非金属面共用で使用が可能となるようなICタグの提供を可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本発明の非接触型データキャリアの実施の形態の1例を示した断面図で、図1(b)は図1(a)のA1側からみた図である。
【図2】アンテナと導電性層との距離Dに対する、共振周波数fαおよび最大通信距離Lとの関係を示した図である。
【符号の説明】
110 データキャリア本体部
111 (送受信用の)アンテナ
112 基材(板状の基材とも言う)
113 ICチップ
114 絶縁材
120 導電性層
130 筐体
131 (筐体の)絶縁材部
135 第1の面部
136 側面部
140 ネジ
150 母体
D アンテナと導電性層との距離
Claims (7)
- 送受信用のアンテナと、該アンテナの端子に接続されたICチップと、アンテナの一方の面側を覆い、該アンテナと一定の距離で対向するように設けられた導電性層を備えており、前記導電性層を配設した側ではない他方側にて、リーダ/ライターと送受信を行うものであって、送受信用のアンテナと、該アンテナの端子に接続されたICチップとを有する回路本体部を配設した基材は筐体内に配され、導電性層は筐体に保持固定されており、且つ、前記基材は板状の基材で、送受信用のアンテナをその一面に設けて、回路本体部を配設しており、導電性層は、基材の一面に配したアンテナの基材側ではない一方の面を覆うように設けられており、前記筐体は、回路本体部を設けた基材をその送受信用のアンテナを設けた側の面ではない方の面側にて搭載するための第1の面部と、基材の全周を覆う側面部と、基材の送受信用のアンテナを設けた側の面を覆う第2の面部とを備え、前記第1の面部と側面部とを一体的に絶縁材にて形成し、前記第2の面部を、前記導電性層にて形成しているものであり、且つ、前記筐体の絶縁材は樹脂材からなることを特徴とする非接触型データキャリア。
- 請求項1に記載の非接触型データキャリアであって、アンテナと対向する導電性層との距離が、0.1mm以上、7mm以下で一定の距離を保つように配置されたことを特徴とする非接触型データキャリア。
- 請求項1ないし2のいずれか1に記載の非接触型データキャリアであって、導電性層を配設することによる、共振周波数シフト量を考慮して設計され、共振周波数が、リーダ/ライターとの最適な送受信周波数に設定されていることを特徴とする非接触型データキャリア。
- 請求項1ないし3のいずれか1に記載の非接触型データキャリアであって、導電性層は、金属板、金属箔、導電性印刷層、磁性シート、磁性印刷層の中から選ばれた1以上から成ることを特徴とする非接触型データキャリア。
- 請求項1ないし4のいずれか1に記載の非接触型データキャリアであって、対象とする母材に取り付けるための取り付け手段を備えていることを特徴とする非接触型データキャリア。
- 請求項5に記載の非接触型データキャリアであって、取り付け手段が固定用ネジであることを特徴とする非接触型データキャリア。
- 請求項1ないし9のいずれか1に記載の非接触型データキャリアであって、ICタグであることを特徴とする非接触型データキャリア。
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