JP4439398B2 - 減数分裂組換えの標的化刺激を誘導する方法及び前記方法を実施するためのキット - Google Patents
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Description
両性生殖を行う生物では、減数分裂細胞周期の間で二倍体の生殖系細胞のDNA含量を半分にすることにより半数体の配偶子を生じる。この過程の間に、組換えは二重の役割:相同染色体の長さに沿った情報をシャッフルし、子孫に伝える遺伝的多様性を創出すること、及び2回の減数分裂の最初の間に確実に相同体を対極に正しく分離させることを担っている。およそ1世紀前、デ・フリースは、遺伝的に伝達される間に、相同の母性染色体と父性染色体との間で交換が起きることを予測した。その後まもなく、1905年、ベイトソンはスイートピーにおいて花弁の色と花粉の形状という形質の間に部分的な連鎖があることを発見した。組換えという新しい分野におけるこれらの及びそれに続く発見は、連鎖したマーカーの間の交換(乗換え)の頻度によって測定される遺伝的距離という概念を導き、連鎖地図を開発した。1913年、スターテバントは、「当然、描かれたこれらの距離が因子からの実際の相対的な空間的距離を表すのかどうかは分からない」と書いた。分子時代の到来以来、遺伝的距離と物理的距離の定量的な比較によって、この予知された見識が広範に検証されてきた。サッカロマイセス・セレビシアエ、アラビドプシス・サリアーナ(Arabidopsis thaliana)、ドロソフィラ・メラノガスター(Drosphila melanogastor)、ムス・ムスクルス(Mus musculus)及びヒトを含むあらゆる生物については、減数分裂組換えの比率(cM/kbで表す)は、染色体によって、数桁異なる。酵母の最近の研究では、この変動のほとんどは開始事象の頻度に関係することが示唆されているが(Baudat & Nicolas, 1997)、何故、いくつかの遺伝子座(ホットスポット)では相対的に頻度が高く、また、別の遺伝子座(不活性スポット)では相対的に頻度が低いのかは説明されないままである。
本発明者らは、Spo11をGal4タンパク質のDNA結合ドメイン(Gal4BD)に融合させて、Gal4BD−Spo11融合タンパク質を創った。Gal4タンパク質はS.セレビシアエにおいて最もよく性状分析された転写活性化因子の1つであり、ガラクトース異化に関与する遺伝子の発現に必要とされる。該タンパク質は、N−末端ドメインを介して活性化因子配列の上流にあるコンセンサスに結合し、C末端の活性化ドメインを介して転写を刺激する。インビトロ及びインビボでの「フットプリント」解析によって、Gal4の結合に十分であるとしてUASGAL部位にて17塩基対のコンセンサス配列(CGGN11CCG)が明らかにされている。次いで、本発明者らは、実施例で説明するように、この融合タンパク質が以前は不活性であった領域で組換えを刺激できることを明らかにし、本発明に至った。
図1.GAL4BD−SPO11の構造及び発現
(A)実験方法に記載したように、ADH1のプロモーター(pADH1)及びターミネーター(tADH1)の制御のもとでGAL4BD−SPO11融合体を含有するプラスミドpAP1を構築した。Gal4BD及びSpo11に由来するアミノ酸残基はそれぞれ上と下に示す。
胞子形成培地に移した後、示した時間に採取したSPO11(ORD1181)及びGAL4BD−SPO11(ORD5807)の二倍体からゲノムDNAを調製し、DSBはサザン解析により検出した。これらの株は、rad50S::URA3対立遺伝子についてホモ接合体であり、DSBの形成はできるが、切除及び修復を妨害する(Alani et al., 1990)。各ゲルの右側で、領域地図によって、ORF(白抜きの矢印は転写センスを示す)、DSB部位(矢印)及びプローブの位置を示す。
(A)YCR043c−YCR048w領域におけるDSBの形成。AseIでDNAを消化し、YCR048wの内部断片をプローブとした。YCR048wORFにおける推定Gal4コンセンサス結合配列を黒棒として示す。
SPO11(ORD1181)及びGAL4BD−SPO11(ORD5807)の二倍体からゲノムDNAを調製し、図2に記載したように解析した。UASGAL配列は四角で示す。(A)GAL2遺伝子座におけるDBA形成。XbaI/NcoIでDNAを消化し、GAL2内部断片をプローブとした。
(A)RAD50株(ORD5806)におけるGAL2遺伝子座でのDSBの形成。ゲノムDNAをXbaI/NcoIで消化し、GAL2内部断片をプローブとした。左の矢印は、同質遺伝子系統のrad50S(ORD5807)におけるGAL2UASGALでのDSBを示す;右の棒は、DSB断片の「スメア」の程度を示す。
GAL2遺伝子座を中心とした20kb区間におけるDSB形成のサザンブロット解析。SPO11(ORD1181)及びGAL4BD−SPO11(ORD5807)二倍体の減数分裂DNAを、示した制限酵素で消化し、GAL2の内部断片をプローブとした。模式図は、遺伝子の転写センス及び関連する制限部位を示す。矢印はDSB部位を示す。
野生型及び変異型(x軸上に示すように)の背景においてSPO11又はGAL4BD−SPO11の構築物(それぞれ、黒又は白の棒)を有する二倍体におけるGAL2遺伝子座、YCR048wORF及びYCR048wプロモーター(y軸)での減数分裂頻度(z軸)を測定するために、図2及び3のようにサザンブロット解析を行った。アッセイした株すべての遺伝子型を表1に列記する。胞子形成培地に移した後8時間又は10時間でDSB頻度を測定した。
減数分裂DSBはさらに短いバンドにより検出される。固有のDSB部位及びUAS部位依存性のDSB部位をそれぞれ、実線及び点線の矢印で示す。双方の構築物(これらによってGal4BD−Spo11融合タンパク質は、減数分裂の前期(prophase)に極めて早期に(IME1プロモーター)及び早期に(RECプロモーター)発現される)によってUAS部位にてDSBを標的とすることができる。
減数分裂DSBはさらに短いバンドにより検出された。固有のDSB部位及びUAS部位依存性のDSB部位をそれぞれ、実線及び点線の矢印で示す。構築物(それにより、Gal4BD−Rec104融合タンパク質が構成的に発現される)によって、UAS部位においてDSBを標的とすることができる。
IME1プロモーターの配列に下線を引き、Gal4結合ドメインをコードする配列を太字で、Gal4BD−Spo11融合タンパク質の中でSpo11部分をコードする配列をイタリック体で示す。
REC8プロモーターの配列に下線を引き、Gal4結合ドメインをコードする配列を太字で、Gal4BD−Spo11融合タンパク質の中でSpo11部分をコードする配列をイタリック体で示す。
ADH1プロモーターの配列に下線を引き、QQR結合ドメインをコードする配列を太字で、QQR−Spo11融合タンパク質の中でSpo11部分をコードする配列をイタリック体で示す。
ADH1プロモーターの配列に下線を引き、Gal4結合ドメインをコードする配列を太字で、Gal4BD−Rec104融合タンパク質の中でRec104をコードする配列をイタリック体で示す。
AtSPO11プロモーターの配列に下線を引き、Gal4結合ドメインをコードする配列を太字で、Gal4BD−AtSpo11−1融合タンパク質の中でAtSpo11をコードする配列をイタリック体で示す。
この出願を通して、幾つかの用語を採用するが、その意味は、以下の定義に従って理解すべきである:
「融合タンパク質」は、異なった起源に由来する少なくとも2つの部分を含むキメラタンパク質である。それは通常、異なった起源に由来するコーディング配列を含み、前記コーディング配列がインフレームである融合遺伝子の産物である。
(i)Spo11タンパク質に作動可能に連結されているDNA結合ドメインを含む融合タンパク質をコードする核酸を前記細胞に導入する工程;及び
(ii)前記細胞において相同染色体間の組換えが増すように細胞を分裂させる工程を含む。
(i)Spo11に作動可能に連結されているDNA結合ドメインを含む融合タンパク質をコードする核酸を前記細胞に導入し、ここで、前記DNA結合ドメインは、前記2以上の多型の間に位置する配列を認識する工程;及び
(ii)前記細胞において前記2以上の多型の間で組換えを生じるように細胞を分裂させる工程。
(i)Spo11に作動可能に連結されているDNA結合ドメインを含む融合タンパク質をコードする核酸を前記細胞に導入し、ここで、前記DNA結合ドメインが、転移されるべき2以上の多型の近傍に位置する配列を認識する工程;及び
(ii)遺伝子変換を生じるように細胞を分裂させる工程。
(i)Spo11に作動可能に連結されているDNA結合ドメインを含む融合タンパク質をコードする核酸を前記細胞に導入し、ここで、前記DNA結合ドメインが、前記人工染色体が有する1以上の配列を認識する工程;及び
(ii)人工染色体間で減数分裂組換えを生じるように細胞を分裂させる工程。
(i)Spo11タンパク質に作動可能に連結されているDNA結合ドメインを含む融合タンパク質をコードする核酸を前記生物の細胞に導入し、ここで前記DNA結合ドメインが前記細胞のゲノムが有する1以上の配列を認識する工程;
(ii)前記細胞に減数分裂を行わせて、前記生物の天然の減数分裂に比べ高い比率、及び/又はそれとは異なった遺伝子座で、前記細胞の相同染色体間で減数分裂組換えが生じさせる工程;及び
(iii)工程(ii)において得られた細胞によって前記生物の変異体を創生する工程。
(i)本発明の方法に従って、前記生物の変異体を創生する工程;
(ii)前記変異体の特定の形質の遺伝子解析及び表現型解析を行う工程;及び
(iii)前記生物のゲノムを解析する工程。
プラスミドの構築
Gal4BD−Spo11融合体をコードする組込み型プラスミドpAP1を創出するために、PCRによりSPO11のORFを作製し、2ハイブリッドベクターpAS2ΔΔ(Fromont-Racine, Rain et al., 1997)においてGal4DNA結合ドメイン(Gal4BD)をコードする配列の下流にBamHI/PatI断片として導入した。配列決定によって、Gal4BDのSpo11へのインフレームN末端融合及び完全なORFを検証した。kanMX4薬剤耐性カセット(Wach, 1996)を唯一のNruI部位に挿入し、pRS304(Sikorski & Hieter, 1989)から相当する断片でBpmI−Bsu36Iを置き換えることにより複製開始点2μを除いてpAP1を作製した。。pICM99を創出するために、ゲノムDNA及びプロモーター領域を含むサブクローンからGAL2遺伝子座を増幅し、GAL2のORFの最初の655bpを、クイックチェンジ部位特異的突然変異誘発キット(ストラタジーン)で変異誘発した。このフレームシフト突然変異は、BspHI制限部位を生じさせ、66アミノ酸の短縮タンパク質を生じた。当該断片を配列決定し、突然変異を確認し、最終的にpRS306(Sikorski & Hieter, 1989)にサブクローニングしてpICM99を得た。
酵母株はすべてSK1(Kane & Roth, 1974)の同質遺伝子的誘導体である。形質転換又は交配によりそれらを得たが、関連する遺伝子型を表1に示す。酢酸リチウム/ポリエチレングリコール法(Ausubel et al., 1988)を用いて形質転換により、XbaIで消化したpAP1をtrp1遺伝子座に組み込んだ。G418(200μg/mL)耐性形質転換体を選択し、トリプトファン原栄養性についてチェックした。サザン解析により正しいターゲティングを検証した。URA3を選択可能なマーカー(Ausubel et al., 1988)として、2段階置換法によりgal2−BspHI突然変異をGAL2遺伝子座に導入した。形質転換のために、GAL2のORFにおいて唯一のBaglII部位にてpICM99を線状化し、ターゲティングをPCRとサザン解析により検証した。増幅したGAL2断片のBspHI制限解析により、5−フルオロオロチン酸耐性として出現するクローンの中に所望の点突然変異の保持を確認した。
単調な増殖には、必要な場合適当な栄養素(Sherman et al., 1983)を補完した、標準培地(YPD)及びSD(アミノ酸なしで0.67%の酵母窒素ベース、2%グルコース)を用いた。減数分裂の培養は記載されている(Alani et al., 1990)ように調製した。グルコースがガラクトース(20g/L)に置き換えられている完全ガラクトース培地、YPGalによってgal2−BspHI対立遺伝子の分離をモニターすることができる。48時間後、胞子形成培地において生じた4胞子の子嚢を分析することにより胞子の生存率を決定した。
DSBの検出及び定量のために、胞子形成細胞からゲノムDNAを調製し、サザン解析の対象とした。親型のバンド及びDSBのバンドはPhosphorImagerにより視覚化し、記載されているような(Vedel & Nicolas, 1999)ImageQuant ソフトウエア(モレキュラー・ダイナミクス)を使用することによって定量した。ノーザン解析は記載されている(Smith et al., 2001)ように行った。全細胞の抽出物を調製し、常法(Ausubel et al., 1988)を用いて、抗Gal4(DBD)抗体(サンタクルーズ・バイオテクノロジー)によるウエスタンブロットによって解析した。
プロモーターIME1−GAL4BD−SPO11構築体:pAP111と命名されたプラスミド
pAP1(Pecina et al., 2002)のSac1−Sac1断片(1891〜3330位)の欠失によってpAP11プラスミドを構築した。pAP11の1216bpのXhoI断片を含有するpBSデルタ1プラスミドをpBlueScriptのSmaI−HincII断片の欠失によって予め得られたpBSデルタ0プラスミドにサブクローニングした。SphIで切断し、次いでクレノウ処理し、HindIIIで切断することによりプラスミドp2053(Guttmann-Raviv et al., 2001)からIME1プロモーターを単離した。EcoRV及びHindIIIで切断したpBSデルタ1ベクターにこの断片を挿入した。それによってプラスミドpBSデルタ11を創出した。pBSデルタ11のIME1プロモーター含有領域をXhoIで切断し、pAP11のXhoI部位にサブクローニングしてプラスミドpAP111を創った。
プラスミドpAP11の1471bpのSacI−BamHI断片をpBSデルタ0プラスミドにサブクローニングしてpBSデルタ2を創った。2つのプライマー、REC8UP(5’−CGATATCTATACATTACCAATCCTTCCT−3’)及びREC8LO(5’−CAAGCTTTGCAGAATATTTGTAATATT−3’)により、S.セレビシアエ株ORD7254−25D(SK1バックグラウンド)のゲノムDNAからREC8プロモーターを増幅し、pGEMT−easy(プロメガ)にクローニングして配列決定した。次いで、EcoRV−HindIII断片(REC8プロモーターを含有する)を、やはりEcoRV−HindIIIで切断したプラスミドpBSデルタ2にサブクローニングした。これによってプラスミドpBSデルタ28を創出した。最後に、pBSデルタ28のSacI−BamHI断片(REC8プロモーターを含有する)を、SacI−BamHI部位で切断したプラスミドpAP11にサブクローニングしてpAP118を創った。
2つのプライマーQQR UP(5’−AAGCTTATGGAAAAACTGCGGA−3’)及びQQR LO(TGGCCATAAATTCCGGACTAGTTGCTTCTTAT−3’)によって、pET15biQQR(Lo)FN(米国ユタ大学ダナ・キャロール博士より供与、Smith, Bibikova et al., 2000)のプラスミドDNAからQQR断片を増幅した。増幅した断片をpGEMT−easyベクター(プロメガ)にクローニングして配列決定した。次いで、HindIIIとMscIで切断したpBSデルタ2ベクターにQQRをサブクローニングしてpBSデルタ29を作った。最後に、pBSデルタ29のSacI−BamHI断片(QQR配列を含有する)を、SacI−BamHI部位で切断したプラスミドpAP11にサブクローニングしてプラスミドpAP119を創った。
2つのプライマー、REC104UP(5’−GAGATGGCCATGGAGGCCATGTCCATCGAGGAGGAAGAT−3’)及びREC104LO(5’−GGATCCCCGGGGCTCAGGGACTACTAAACTGAAA−3’)により、S.セレビシアエ株ORD7254−25D(SK1のバックグラウンド)からPCRによってREC104のコーディング領域を増幅した。増幅した断片をpCR2.1ベクターにクローニングし、検証した。次いで、SfiIとXma1で切断した組込み型ベクターpASINにREC104断片をサブクローニングした。それによってプラスミドpXP3を創出した。pASINプラスミド(プロモーターADH1−GAL4BD、AmpR、TRP1)は、複製開始点2μの除去により、pAS2ΔΔ(Fromont-Racine, Rain et al., 1997)に由来する。
mei−W68(Spo11のドロソフィラオルソログ)のcDNAをプラスミドpAH69(Kim McKim & Aki Hayashi-Hagihara, 1998)から単離した。
−SmaIにより消化したpASΔΔにpAH69由来のXmnI−DraIをクローニングする。これによりプラスミドpAPAP1を創出する。
−PCRによる増幅及びmei−W68断片のpGemT−easy:pGEMT−easy(mei5)へのクローニング。プライマー:
5’meiW68:5’−ggaatggccacaatggatgaattttcgg−3’
3’meiW68:5’−ggtgaaacttcctccgcggac−3’
−pGEMT−easy(mei5)のMscI−SacII断片のpAPAP1へのクローニング。これによりプラスミドpAPAP2を創出する。このプラスミドは、複製可能な、Amp及びTRP1のマーカーを有するプラスミド中への、ADH1プロモーターの下に融合タンパク質Gal4BD−meiW68を含有する。
−HsP70プロモーターを含有するドロソフィラのベクターpCasper−hs(Hpal)への、pAPAP2がBsgI−SalIのクローニング。これによってcphs−qal4bd−meiw68プラスミドを創出する。
pXP3をXbaIにより線状化し、ORD7254−25D(α、ura3、leu2、trp1、his4)の形質転換に使用した。酢酸リチウム法で形質転換を行い、トリプトファン欠損プレートに細胞を播いた。サザンブロット解析によって形質転換した細胞を検証した。形質転換細胞を交配させ、胞子形成させ、分離したものを交配してORD7770株を創った。
減数分裂培養物10mLを各時点で回収し、無菌水で1回洗浄した。チモリアーゼ20T(Chemical Credential、ICN)と共に30℃にて30分インキュベートすることによりスフェロプラストを生じた。65℃にて30分、溶解液(50mMのEDTA、200ng/mLのプロテイナーゼK、0.4%のSDS)500μLでスフェロプラストを溶解した。次いで、5Mの酢酸カリウム200μLを加え、氷上で1時間を超えてインキュベートした。速度1300rpmで15分間の遠心分離の後、上清を新しいエッペンドルフチューブに移し、イソプロパノール500μLを加えて核酸を沈殿させた。沈殿させた核酸を70%エタノールで洗浄し、RNA分解酵素Aで37℃にて1時間処理した。エタノールでDNAを沈殿させ、最終的に無菌水に再懸濁した。
1.1.Gal4BD−SPO11融合タンパク質は減数分裂中に発現される
Gal4のDNA結合ドメイン(Gal4BD,アミノ酸1〜147)をS.セルビシアエの完全長のSpo11のN末端とともにコードする融合体を構成的ADH1プロモーターの制御下に置き(図1A)、spo11Δ株にてTRP1遺伝子座に組み込んだ。遺伝子交配によりホモ接合性二倍体を誘導した(表1)。
二倍体spo11Δ細胞は、減数分裂組換えが開始されない場合、染色体が異常に分離するので、胞子形成はできるが、生存不能の子孫を生じる。本発明者らは、Gal4BD−Spo11タンパク質が、spo11Δ二倍体の胞子形成欠損を補完するかどうかを調べた。野性型SPO11(CRD5740)株及びspo11Δ(ORD5805)株と同様に、GAL4BD−SPO11spo11Δ二倍体(ORD5806)も効率的に胞子形成を行い(およそ80%)、主として四胞子子嚢を生じた。四分子解析は、予想通り、spo11Δ二倍体により生じた胞子は発芽しなかった(0/512)。対照的に、Gal4BD−Spo11融合タンパク質は、SPO11二倍体の子孫で見られた(505/526、96%)と同様に、spo11Δの胞子に対して完全な生存性を回復した(531/552、96%)。胞子の高い生存性は、GAL4BD−SPO11及びSPO11(ORD5817)の双方を含有する二倍体でも同様に見い出された。要するに、これらの結果は、GAL4BD−SPO11構築体は、機能的であり、有害な効果を付与することはないことを明らかにしている。
胞子の生存性が各対の相同染色体対のそれぞれの間での減数分裂組換えに依存するので、GAL4BD−SPO11によるspo11Δ欠損の補完は、該融合タンパク質がspo11ΔのDSB欠損をも救済する可能性があることを示唆した。この考えを試すために、減数分裂DSBが通常形成するゲノムの数箇所の領域を調べた。第3染色体のYCR043c〜YCR048wの領域は、YCR047c〜YCR048w遺伝子間領域における強力なホットスポットを含む多数のDSBを含有しいる(Baudat & Nicolas, 1997)。図2Aに示すように、SPO11及びGAL4BD−SPO11の減数分裂細胞の双方において、これらのDSBは形成される。GAL4BD−SPO11株では、YCR048wのコーディング領域に2つの新たなDSB部位を見ることができ、それは、天然のDSBが一般にプロモーター含有領域に制約されているので、注目に値する(図2A、及び以下を参照のこと)。DSBバンド強度の定量的解析は、この9.6kbの染色体領域における減数分裂DSBの累積度数が、双方の株で類似することを示した(およそ13±2%)。ほとんどの場合、DSBは、SPO11二倍体よりもGAL4BD−SPO11二倍体中のYCR047c48w遺伝子間領域において、より低い頻度で形成されるが(それぞれ11±1%対5±1%)、任意の部位でのDSB頻度も近似していた(図2B)。興味深いことに、この部位でのDSB頻度の低下は、YCR048wのORFにおける新しいDSBの出現によって局所的には相殺され(4±1%);この再分布は、SPO11が開始させるDSBについて以前報告されたように(Wu & Lichten, 1995)、隣接するDSB部位間の競合について示唆している。そのほかの2つのよく性状分析された領域、ARG4遺伝子座(第8染色体)及びCYS3遺伝子座(第1染色体)(Vedel & Nicolas, 1999)も調べた。いずれの場合も、位置決め及び強度に関して、SPO11細胞及びGAL4BD−SPO11細胞において、近似した減数分裂DSBのプロフィールが検出された(図2C及び2D)。要するに、これらの結果は、Gal4BD−Spo11タンパク質は、野生型Spo11により促進されるものに匹敵する頻度で天然の部位にてDSB形成を促進し、それによってspo11Δの胞子の生存不能を完全に補完する能力を説明しうることを明らかにしている。
上述のように、YCR048wのコーディング領域内で2つの追加のDSB部位が認められた:YCR048wのORFの5’末端近傍の強力な部位及びさらに下流のずっと弱い部位である(図2A)。これらの新しい部位は、Spo11タンパク質ドメイン自体、少なくともSpo11がすでに活性化されているYCR048w遺伝子座のような領域のターゲティング特異性における異常の結果生じた可能性があり、又はそれらは、Gal4コンセンサス結合部位の偶然の存在を反映する可能性がある。実際、YCR048w配列の検討は、ORFの内部、翻訳開始部位からそれぞれ+295nt及び+1320ntの位置でそのような2つの部位を示し、この遺伝子座における2つの新しいGal4BD−Spo11に特異的なDSBの推定位置に相関していた。この所見は、Gal4BD−Spo11タンパク質が少なくともこのDSB豊富なドメイン(Baudat & Nicolas, 1997)で特異的な配列に対してDSBを標的化することができることを示している。
それからは生存可能な組換え体を回収することができないrad50S株において上記のDSB実験を行った。GAL4BD−SPO11が促進した新しいDSBが組換え可能かどうかを確定するために、RAD50バックグラウンドでのGAL2領域における減数分裂DSB断片をまず調べて、Spo11で誘導したDSBのようにそれらがプロセッシングを受けているがどうかを見た。DSBは、個々のrad50Sのバンドよりも大きな移動度の断片のスメアとして検出されたということは、新しいGAL2のDSBはプロセッシングを受けていることを示している。さらに、スメアの一過性の形質(3時間までに出現し、7〜9時間の間に消失する)は、これらのDSBが正常の動態により修復されていることを示唆している。
8つの遺伝子間プロモーター含有領域を含有するGAL2を中心としたおよそ20kbの大きな区間(第12染色体上のYLR072w〜YLR084cの間のORF)に対するGal4BD−Spo11活性の解析(図5A)。SPO11株ではこの区間にDSBは認められなかった。GAL4BD−SPO11株では、GAL2プロモーター領域がDSBを検出できた唯一の部位であった。この区間には他にGal4コンセンサス配列はないので、これらの結果は、Gal4BD−Spo11のDSB活性の3つの重要な特徴を強調している。第1に、GAL2近傍におけるDSBの刺激は特異的に標的化されていた。第2に、GAL2における切断は、そのほかのDSBのすぐ近傍での形成を促進しなかった。第3に、第3染色体のYCR048wにおけるDSBについて認められたものとは対照的に、新しいGAL2のDSBは天然では不活性である染色体の領域で生じた。
S.セレビシアエにおける天然部位での野生型レベルのDSBの形成には、SPO11に加えて14の他の遺伝子を必要とすることが知られている。将来のDSB部位にSpo11を動員するのに1以上の産物を必要とするのなら、Spo11に対してGal4DNA結合ドメインを追加することは、少なくともGal4結合部位でのDSBについてはこの必要条件を迂回する可能性がある。サザンブロット解析によれば、SPO11又はGAL4BD−SPO11のバックグラウンドのいずれかでのrec102、rec103/ski8、rec104、rec114、mei4、mer2/rec107、mre2/nam8、mre11、rad50及びxrs2の無発現変異は、YCR043c〜YCR048wの区間又はGAL2での減数分裂DSBを示さなかったが、red1、mre4/mek1、hop1及びmer1の無発現変異は、低下したが検出可能なレベルのDSBを示した。量的には、GAL2遺伝子座では、red1変異は、Gal4BD−Spo11が促進するDSBの頻度を約3倍低下させ、mre4/mek1及びhop1変異は10倍低下し、mer1変異はDSBの形成をほぼ完全に失っていた。YCR047c〜48w領域(YCR048wプロモーター+ORF)では、幾分異なって、mre4/mek1変異は、SPO11又はGAL4BD−SPO11の株いずれでも影響がなく、red1、mer1及びhop1の変異は、双方の株でますます抑制的な効果を有した。これら突然変異の第3染色体及びGAL2への差次的影響は、遺伝子座特異的な変動を反映している可能性がある。結局のところ、SPO11株においてDSB形成に必須又は重要であるこれらの遺伝子すべては、GAL4BD−SPO11株においても同様に必要であるので、それらは標的部位の選択においてSpo11を補佐しないと結論付けることができる。
B型のサイクリンであるCLB5及びCLB6は減数分裂の複製及び減数分裂DSBの形成に必要とされる。Gal4BD−Spo11が促進するDSBもClb5及びClb6の活性に依存しているかどうかを確定するために、GAL4BD−SPO11構築体を含有するclb5及びclb6の二倍体(それぞれ、ORD6534及びORD6551)でDSBの形成を測定した。図6に示すように、これらの株ではYCR048w又はGAL2遺伝子座のいずれにおいてもDSB形成が検出されなかった。これは、Spo11への非相同のDNA結合ドメインの追加がClb5及びClb6の活性の要求を迂回せず、したがって、DSBの誘導に関連する減数分裂複製の欠損を克服できないことを示している。そのほかのDSB遺伝子についての明らかにされた要求と併せて、この結果は、天然ドメイン及び標的化ドメインの双方におけるDSBの形成について、Gal4BD−Spo11タンパク質がSpo11タンパク質と同じ(トランスに作用する)遺伝制御を受けていることを示している。
GAL4BD−SPO11の構築体を、減数分裂の極めて早期に発現するIME1プロモーター(Guttmann-Raviv et al., 2001)、又は減数分裂の早期に発現するREC8プロモーターの制御下に置いた。プロモーター−GAL4BD−SPO11構築体の得られた配列をそれぞれ、図9及び図10に示す。図7は、これらの構築体の両方がYCR048w領域(図7A)又はGAL2領域(図7B)のいずれかにおいてUAS部位でDSB形成を誘導したことを示す。
Rec104は、酵母においてDSBを誘導するのに要求されるタンパク質である。Gal4BD配列と同じオープンリーディングフレームでそのコーディング配列をクローニングし、Gal4BD−Rec104融合タンパク質の配列を作製し、構成的なADH1プロモーターの制御下に置いた。得られた配列を図12に示す。
酵母のゲノムから常在のGAL4配列を欠失させ、それにGAL4BD−SPO11構築体を導入した。依然としてGAL4BDコーディング配列を抱える酵母と比較すると、UAS部位で誘導されたDSBの数は多かった。このことはおそらくGal4BD−Spo11タンパク質と常在Galタンパク質との間のUAS部位で競合がないことによった。
2つのオリゴヌクレオチド、MG133(5’−GAAACTCGGGATCCATGGAGGGAAAATTC−3’)及びMG134(5’−GGAGACTCGCTCGAGGCTCAAGGAGA−3’)を用いて、AtSPO11タンパク質(Grelon, Vezon et al., 2001)をコードするcDNAをPCRにより増幅し、pCR−BluntII−Topo(インビトロゲン)にクローニングし、配列決定してプラスミド、pVeCM2を得た。pVeCM2からcDNAをpBluescriptKSのBamHI及びSpeI部位の間に再クローニングし、プラスミド、pVeCM12を得た。2つのオリゴヌクレオチド、CM1(5’−gaCTGCAgaaagagATGAAGCTACTGTCTTCTAT−3’)及びCM2(5’−CGGGGCCTCCATGGCCATAAA−3’)を用いて、pAPIプラスミドからPCRにて、Gal4DNA結合ドメイン(GAL4BD)をコードするDNA断片を増幅した。GAL4BDのATG−NcoI断片(455bp)に相当するこのPCR断片をpCR−BluntII−Topoにクローニングしてプラスミド、pVeCM15を得、配列決定した。Gal4BDを含有するpVeCM15からの、及びAtSPO11−1ATGの上流の−8〜−1の塩基に相当するATG8塩基の5’及びPst1部位における(CTGCAgaaagagATG)Pst1−Nco1のDNA断片をpVeCM12のPst1とNco1の部位の間にクローニンフしてプラスミド、pVeCM20を得た。pVe20は後にAtSPO11−1の−8〜−1の塩基が続くPst1を含有し、その後にAtSPO11−1の完全なcDNA(1089bp)が融合で続くGAL4BDを含有する。2つのオリゴヌクレオチド、CM3(5’−ccatctctttcTGCAGtcaaaactgaaaaatg−3’)及びCM4(5’−ATGGGCCCgcctttgttttatctctcctcaccgta−3’)を用いて、Mathilde Grelonが単離したAtSPO11−1プロモーター(ジーンバンク、AP000375)の断片をPCRにより増幅し、pCR−BluntII−Topoにクローニングし、プラスミドpVeCM14を得て、配列決定した。AtSPO11−1プロモーターの−1352〜−8の塩基を含有するpVeCM14からのApa1−Pst1断片をApa1とPst1の間でpVeCM20にクローニングして、プラスミドpVeCM22を得た。次いで、AtSPO11−1の−2266〜−1324の領域を含有するApa1−BseR1の断片をApa1とBseR1の部位の間でpVeCM20にクローニングして、プラスミドpVeCM25を得た。AtSPO11−1プロモーター/GAL4BD−AtSPO11−1のcDNAの構築体を含有するpVeCM25からのApa1−Spe1断片を再び配列決定した。11のヌクレオチド(CCCATCTCTTT)の挿入が、Pst1クローニング部位の5’にまさに存在した。従って、プロモーターは、Pst1クローニング部位のまさに5’にて11ヌクレオチドの挿入を伴った、Atプロモーターの−2266〜−1の塩基に相当する。pVeCM25からのApa1−Spe1断片をApa1とSpe1の部位の間でpCambia1380(オーストラリア、キャンビアから市販)にクローニングし、プラスミド、pVeCM26を得た。形質転換によりpVeCM26をアグロバクテリウム株、C58C1pMP90に導入した。この株を使用して、AtSPO11−1−1突然変異についてヘテロ接合体であるアラビドプシス・サリアーナ系統DYK209(Grelon et al., 2001)を形質転換した。ハイグロマイシンによりインビトロで形質転換植物T1を選抜し、土壌に移し、PCRで解析した。1つの植物、Atspo11−1変異についてホモ接合体であり、AtSPO11−1プロモーター−GAL4BD−AtSPO11−1のcDNA導入遺伝子を含有するAtpVeCM26.9は、Atspo11−1ホモ接合体植物で通常見られるよりも長い種子の鞘を有していた。ハイグロマイシンで選抜し、土壌に移し、PCRで遺伝子型を決定したこのAtpVeCM26.9の子孫の中で、9つがAtspo11−1−1変異についてホモ接合体であり、AtSPO11−1プロモーターを含有していた。GAL4BD−AtSPO11−1のcDNA導入遺伝子は、鞘当たり平均3.7±0.7の種子を有したが、それは、Atspo11−1−1変異についてホモ接合体である植物で検出される鞘当たりの種子数(Grelon et al., 2001)よりもおよそ2倍多かった。
マウスのシナプトネマ構造をコードするSycp1遺伝子は、減数分裂の接合期及びパテキン期の双方で発現される(Sage, Martin et al., 1999)。従って、減数分裂早期でSPO11遺伝子を発現させるのにそれを使用することができる。減数分裂早期でGal4BD−mSpo11融合タンパク質を発現させることには3つの利点がある:それは、新しい部位での減数分裂組換えの標的化を可能にし、関連した染色体の変化及びマウスの発生における組換えを開始することの影響を追跡するのを助けることを可能にする。
ドロソフィラは、実験用生物として多数の利点を提供している。しかしながら、2つの他の広く使用されている真核生物のモデル系である酵母やマウスと比べて、ドロソフィラでは、導入DNAと相当する染色体上の遺伝子座との間で相同組換えを生じることができない。酵母やマウスのゲノムを特異的に改変する能力によって、そのDNAクローンや配列が利用可能である、遺伝子における突然変異を生じる又は救う迅速で簡便な方法が提供されている。最近、Rong及びGolicは、DNAのflipリコンビナーゼ切り出しから生じるDNAの直鎖状分子における二本鎖切断の誘導剤として、イントロン限定酵素、I−Scelを用いた標的化相同組換えのための新しい技術を開発した(Rong & Golic, 2000)。この方法で、彼らは黄色突然変異を救済し(Rong & Golic, 2000)、pugilist遺伝子を破壊し、より最近、NlacZ、GC、p53及びCG11305の遺伝子を破壊した。このノックアウト技術は極めて効率が低く、突然変異は2工程で生じる。
−発現ベクター:pCasper−hs(Pirrotta, 1988)
−熱ショックプロモーターhs70(Pirrotta, 1988)
−標的p(UAS):UAS配列(5)によるI−Scel部位の置換により改変されたy−ドナー(Rong & Golic, 2000)
相同染色体間の効率的な遺伝子組換えは、実施例1で例示したようにSpo11タンパク質によって形成されるDNA二本鎖の切断のような、開始するための損傷の形成を必要とする。従って、Spo11標的部位を欠く染色体の組換えは乏しい。実施例1で記載したGal4Bd−Spo11融合タンパク質を用いて、酵母又は非酵母のDNAから成る天然の又は人工の(YAC)染色体に沿った、天然の又は人為的に導入されたGal4結合部位で組換えの開始を刺激することができる。同様に、組換えに乏しいバクテリオファージλDNAの主鎖を持つ酵母の直鎖状プラスミド間で組換えを刺激してもよい。
減数分裂の間の高レベルの相同組換えは、Spo11依存性の二本鎖切断の形成による減数分裂の間のSpo11−高レベルの相同組換えの形成によって誘導されるが、それは、また、少なくとも14のその他のタンパク質(実施例1ではDSB遺伝子と呼ばれる)の発現を必要とする。それらの一部は減数分裂の誘導で発現されるだけである。Spo11を標的部位にもたらすトランスに作用する因子に対する要求を迂回することができるGal4BD−SPO11融合タンパク質の新規なDNA結合特性を利用して、有糸分裂細胞においてDSBの形成に必要とされる追加の遺伝子を発現させることによって、有糸分裂細胞においてSpo11依存性のDNA切断活性を得る試みを達成した。幾つかのアプローチ:有糸分裂で発現されるプロモーターを背景にした個々の遺伝子及び/又はcDNA遺伝子ライブラリの非相同発現、又は有糸分裂で増殖している細胞での発現を抑える転写因子の突然変異による変更によってこれを達成することができる。
Claims (37)
- 減数分裂時の分裂する細胞における相同染色体の間の組換えを増やす方法であって、ヒト細胞を除き、
(i)プロモーターの制御下で、Spo11タンパク質に作動可能に連結されているDNA結合ドメインを含み、DNAの二本鎖切断を誘導する、融合タンパク質をコードする核酸を前記細胞に導入する工程、及び
(ii)前記細胞における相同染色体の間の組換えを増やすように細胞を分裂させる工程を含む方法。 - 工程(ii)の前に、Spo11タンパク質に作動可能に連結されているDNA結合ドメインによって認識されるDNA配列を前記細胞のゲノムに導入する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 前記プロモーターが、減数分裂特異的なプロモーターである、請求項2に記載の方法。
- 前記減数分裂特異的なプロモーターが、IME1プロモーター又はREC8プロモーターである、請求項3に記載の方法。
- 前記細胞が、真核細胞である、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
- 前記細胞が、真菌、植物細胞、哺乳類細胞及び昆虫細胞より成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記細胞が、Spo11タンパク質に作動可能に連結されている前記DNA結合ドメインによって認識される1以上の配列を有する人工染色体を含む、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
- 工程(i)において、細胞に導入される核酸が細胞ゲノムに安定して組み込まれる、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
- 前記細胞が酵母であり、そして工程(i)で導入される核酸がGal4BD−Spo11融合タンパク質をコードする、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
- 減数分裂時の細胞において同一染色体が有する2以上の多型の間で標的組換えを行う方法であって、ヒト細胞を除き、
(i)プロモーターの制御下で、Spo11タンパク質に作動可能に連結されているDNA結合ドメインを含み、DNAの二本鎖切断を誘導する、融合タンパク質をコードする核酸を前記細胞に導入し、ここで前記DNA結合ドメインが前記2以上の多型の間に置かれた配列を認識する工程、及び
(ii)前記細胞において前記2以上の多型の間で組換えが生じるように細胞を分裂させる工程
を含む方法。 - 工程(ii)の前に、Spo11タンパク質に作動可能に連結されている前記DNA結合ドメインによって認識されるDNA配列を、前記2以上の多型の間で、前記細胞のゲノムに導入する工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
- プロモーターが、減数分裂特異的なプロモーターである、請求項10に記載の方法。
- 前記減数分裂特異的なプロモーターが、IME1プロモーター又はREC8プロモーターである、請求項12に記載の方法。
- 前記細胞が、真核細胞である、請求項10〜13のいずれか一項記載の方法。
- 前記細胞が、真菌、植物細胞、哺乳動物細胞及び昆虫細胞より成る群から選択される、請求項10に記載の方法。
- 前記細胞が、Spo11タンパク質に作動可能に連結されている前記DNA結合ドメインによって認識される1以上の配列を有する人工染色体を含む、請求項10〜15のいずれか一項記載の方法。
- 前記細胞が真菌であり、そして工程(i)で導入される核酸がGal4BD−Spo11融合タンパク質をコードする、請求項10〜16のいずれか一項記載の方法。
- ヒト細胞を除く、減数分裂時の細胞において遺伝子変換を誘導する方法であって、
(i)減数分裂特異的なプロモーターの制御下で、Spo11タンパク質に作動可能に連結されているDNA結合ドメインを含み、DNAの二本鎖切断を誘導する、融合タンパク質をコードする核酸を前記細胞に導入し、ここで、前記DNA結合ドメインが多型の近傍に置かれた配列を認識する工程、及び
(ii)遺伝子変換が生じるように細胞を分裂させる工程
を含む方法。 - ヒト細胞を除く、減数分裂時の細胞において人工染色体に減数分裂組換えを誘導する方法であって、
(i)減数分裂特異的なプロモーターの制御下で、Spo11タンパク質に作動可能に連結されているDNA結合ドメインを含み、DNAの二本鎖切断を誘導する、融合タンパク質をコードする核酸を前記細胞に導入し、ここで前記DNA結合ドメインが前記人工染色体が有する1以上の配列を認識する工程、及び
(ii)相同な人工染色体の間で減数分裂組換えを生じるように細胞を分裂させる工程
を含む方法。 - 前記細胞が酵母であり、前記人工染色体がCGGN11CGG配列を伴う1以上の部位を有するYACであり、前記融合タンパク質がGal4BD−Spo11融合タンパク質である、請求項19に記載の方法。
- ヒト生物を除く、生物の変異体を創生する方法であって
(i)減数分裂特異的なプロモーターの制御下で、Spo11タンパク質に作動可能に連結されているDNA結合ドメインを含み、DNAの二本鎖切断を誘導する、融合タンパク質をコードする核酸を前記生物の細胞に導入し、ここで前記DNA結合ドメインが前記細胞のゲノムが有する1以上の配列を認識する工程、
(ii)前記細胞に減数分裂を行わせて、前記生物の自然の減数分裂に比して、高い比率で及び/又はそれとは異なった遺伝子座で、前記細胞の相同染色体の間で減数分裂組換えを生じさせる工程、及び
(iii)工程(ii)において得られた細胞により前記生物の変異体を創生する工程
を含む方法。 - 前記生物が、真菌、植物、哺乳類及び昆虫より成る群から選択される、請求項21に記載の方法。
- 2以上の形質の存在について前記変異体をスクリーニングする工程をさらに含む、請求項21又は22に記載の方法。
- Spo11タンパク質に作動可能に連結されているDNA結合ドメインを含む融合タンパク質において、Spo11部分がSpo11を動員することが可能であるSpo11のパートナーに置き換えられる、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
- 前記パートナーが、REC104である、請求項24に記載の方法。
- 生物のゲノムを解析する方法であって、
(i)請求項21〜23のいずれか一項記載の方法を実施することにより前記生物の変異体を創生する工程、
(ii)前記変異体の特定の形質の遺伝子解析及び表現型解析を行う工程、及び
(iii)前記生物のゲノムを解析する工程
を含む方法。 - Spo11タンパク質に作動可能に連結されているDNA結合ドメインを含む融合タンパク質をコードする核酸を含有し、ここで前記融合タンパク質が以前は不活性の領域で二本鎖切断を誘導することができる、請求項1〜24のいずれか一項記載の方法を実施するためのキット。
- Spo11が、真菌、植物細胞、哺乳類細胞及び昆虫細胞より成る群から選択される細胞に由来するSpo11タンパク質の配列を有する、請求項25に記載のキット。
- Spo11タンパク質に作動可能に連結されている前記DNA結合ドメインにより認識される標的配列を有する核酸をさらに含む、請求項25又は26に記載のキット。
- 前記核酸が、ベクターに含まれる、請求項25〜27のいずれか一項記載のキット。
- ベクターが、プラスミド、複製可能なDNA、形質移入剤と複合体化した核酸、ファージ又はウイルスである、請求項28に記載のキット。
- 融合タンパク質をコードする核酸において、Spo11のコーディング配列が、Spo11を動員することが可能であるSpo11のパートナーのコーディング配列に置き換えられている、請求項27〜31のいずれか一項記載のキット。
- 前記パートナーが、REC104である、請求項32に記載のキット。
- ヒト細胞を除く、真核細胞であって、減数分裂特異的なプロモーターの制御下で、Spo11タンパク質に作動可能に連結されているDNA結合ドメインを含み、DNAの二本鎖切断を誘導する、融合タンパク質を発現し、ここで前記融合タンパク質が、真核細胞のゲノムの以前は不活性であった領域で二本鎖切断を誘導することが可能である、真核細胞。
- 真菌、植物細胞、哺乳類細胞又は昆虫細胞である、請求項34に記載の真核細胞。
- アラビドプシス・サリアーナ(Arabidopsis thaliana)由来のAtSpo11タンパク質に作動可能に連結されているDNA結合ドメインを含み、DNAの二本鎖切断を誘導する、融合タンパク質をコードする核酸。
- 減数分裂特異的なプロモーターの制御下で、マウスのSpo11タンパク質に作動可能に連結されているDNA結合ドメインを含み、DNAの二本鎖切断を誘導する、融合タンパク質をコードする核酸。
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