JP4439080B2 - 超音波治療装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、体外から骨又は関節に超音波を照射し、骨折や関節損傷などの骨疾患を治療する超音波治療装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
骨疾患には、骨折や変形性関節症、離断性骨軟骨炎などをはじめとする様々な疾患が存在する。かかる疾患の治療方法の一つとして、数KHzから数MHzの周波数域の超音波を用いた超音波治療が試みらている。このような超音波治療に利用される超音波は直進性があり、骨折部位や関節表面など疾患部位に超音波を当てるためには、治療用超音波トランスデューサの振動面の鉛直線上に患部がくるように超音波トランスデューサを取付けなければならない。しかし大腿骨骨幹部のように筋肉層の厚い部分が骨折した場合などは、骨の位置を正確に確認することは難しく、治療用超音波を照射しても患部である骨に当たっていないことがある。また膝関節の疾患に超音波治療を適用する場合には、超音波の反射体である膝蓋骨を避けて関節の疾患部に超音波を照射しなければならないが、関節形状は複雑なために治療用の超音波トランスデューサを適切な位置に取付けることは困難である。
【0003】
このような課題を解決する方法として、パルスエコー法に代表される超音波画像診断装置を用いて骨形状を取得する方法が考えられる。このような方法は、骨形状を正確に取得できる点で非常に優れているが、かかる画像診断装置を用いて取得した画像から照射位置や照射角度を判断できても、実際に患部に治療用超音波が当たっているかどうかを判断することはできない。このような問題点から、超音波治療装置の取り付けは医師の解剖学的な知見に頼ることが多く、患部に超音波が確実に患部まで到達していることを確認する手段はなかった。
【0004】
また一方で、超音波治療による治療効果の診断は非常に難しく、半年から1年といった長期間に渡る治療を行わなければ治療効果の有無が確認できない。このため、いつ治療を終了するかを判断することも困難である。
【0005】
従来、治療効果の診断は、定期的に撮像されるX線像などから医師が経験的に判断し、治療終了を決断していた。しかし、X線には写らない軟骨層の損傷などは、治療効果を判断することはできない。
【0006】
特開2000−37393公報には、同一トランスデューサで発振と受信を行う超音波治療装置が記載され、結石粉砕など比較的小さい目標物に対し超音波を照射するのに非常に良く適した装置である。しかし、関節面など複雑な形状を持つ骨面に超音波を照射するときには照射側と反射側の位置関係は異なることが多く、骨格形状の個体差や疾患部位の位置も大きく異なることから、発振振動子で受信することは困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる超音波による骨疾患等の治療方法がかかえる問題点を解消するものであり、疾患部分に治療用超音波を確実に当てることを可能とする為、治療を行いながら照射位置の確認を行うことが可能な超音波治療装置であり、更には治療しならが治癒効果を診断することを可能とする超音波治療装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、かかる課題について鋭意検討した結果、以下の超音波治療装置を見出した。すなわち本発明は、体外から骨及び/又は関節に超音波を照射する治療用超音波トランスデューサ、該治療用超音波トランスデューサから照射された超音波の骨及び/又は関節面で反射された反射波を受信する受信用超音波トランスデューサを備えた超音波治療装置を提供するものであり、特にかかる治療用超音波トランスデューサから照射した超音波信号と、該受信用超音波トランスデューサで受信した超音波信号を比較する比較手段を備え、該比較手段が超音波信号の強度及び/又は時間遅れを計測する手段を有することを特徴とする超音波治療装置を提供するものである。
【0009】
また本発明は、かかる受信用超音波トランスデューサで得られた超音波強度に基づいて該治療用超音波トランスデューサの出力を変更可能な出力制御手段を備えることを特徴とする超音波治療装置、該比較手段で計測した時間遅れの計測結果と、生体内の音速より伝播距離を演算する演算手段を備えることを特徴とする超音波治療装置、該比較手段で計測した治療用超音波トランスデューサより照射した超音波信号の強度と該受信用超音波トランスデューサで受信した超音波信号の強度、及び/又は両者の強度比を表示する出力表示手段を備えた超音波治療装置を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の超音波治療装置の好ましい実施形態を図面を用いて説明する。実施例では、膝関節に対する超音波治療装置を示すが、膝に限定するものではなく、関節を含む骨一般の超音波治療装置として用いることが出来るものである。
【0011】
本発明の超音波治療装置の概略ブロック図を図1に示す。かかる治療装置は、送受信部1、回路部2、取付部3の3部分より構成される。
【0012】
かかる送受信部1は、治療用超音波トランスデューサ11および受信用超音波トランスデューサ12より構成される。本実施例では、治療用超音波トランスデューサ11に直径22mmのものを使用し、受信用超音波トランスデューサ12には、膝関節部分の凹凸に対しても取り付けが容易なように直径10mmのものを使用した。また治療用超音波としては、低出力超音波パルス(SATA:30mW/cm2、パルスバースト:200μsec、繰り返し周期:1KHz)を用いた。
【0013】
かかる治療用超音波トランスデューサ11及び受信用超音波トランスデューサ12は、使用者の膝関節部に取り付けるための装着手段3を備え、装着される。そして治療用超音波トランスデューサ11から患部に向けて超音波が照射され、受信用トランスデューサ12が受信する反射波の受信強度が最大となる位置に治療用超音波トランスデューサを設置した。
【0014】
回路部2は、治療用超音波を発振するための発振回路21、受信した受信用超音波トランスデューサ12より得られた信号を増幅する受信電圧増幅手段22、受信超音波強度から関節面に照射されている超音波強度を一定にするため発振回路21の電圧を制御する出力制御手段23で構成される。
【0015】
また、かかる受信電圧増幅回路22により増幅された受信信号と、発振回路21の信号は、入出力信号計測手段24に入力される。かかる入出力信号計測手段24で比較された信号の入出力電圧比は、入出力電圧比表示手段25に表示される。健常被験者の関節面は滑らかな曲面を持つが、関節損傷を持つ被験者の場合には関節表面に凹凸を有する為、照射された超音波が乱反射を起こし、反射波の出力が低下するため関節治療の診断指標として使用することが出来る。
【0016】
またかかる入出力信号計測手段24で比較された入出力信号の時間遅れは、音速の乗じることにより伝播距離を演算し、伝播距離表示手段26に表示される。かかる伝播距離表示手段26より得られる伝播距離をもとにして、治療用超音波及びその反射波の伝播経路を推測することが可能となり、その値と膝関節面の位置から患部までの距離を比較することにより、治療用超音波が患部に当たっているかどうかを確認することが可能となる。
【0017】
装着手段3は、回転ピン31、治療用超音波トランスデューサホルダ32、受信用トランスデューサホルダ33、固定用ベルト34、調整ベルト35から構成される。かかる回転ピン31は、トランスデューサの方向を可変とする手段であり、治療用超音波トランスデューサホルダ32に取り付けられた治療用超音波トランスデューサは、ピンの回転軸を中心に任意に照射角度を調整することが可能となる。また、固定用ベルト34は身体に取り付けるための手段であり、本実施例では幅30mmの布製ベルトを使用し、末端にも受けたマジックテープTMで固定した。また調整ベルト35は治療用超音波トランスデューサと受信用超音波トランスデューサの位置を調整するための手段であり、固定用ベルトと同様の部材で構成され、受信用超音波トランスデューサホルダ33を並進移動させることが出来、更に回転ピン31により受信方向が最適となるように受信用トランスデューサの受信方向を調整することが出来る。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、治療用超音波トランスデューサを用いて照射位置の確認することが可能なため、治療しながら同時に照射位置の判断が可能となる。また、反射波の強度を測定できることから、治療しならが治癒効果を確認することの可能となり、超音波を使用する治療法の最適化に寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である超音波治療装置の概略ブロック図である。
【図2】本発明の超音波治療装置を身体に取り付けるための装着手段を示す概略図。
【符号の説明】
1.送受信部
2.回路部
3.装着手段
11.治療用超音波トランスデューサ
12.受信用超音波トランスデューサ
21.超音波発振回路
22.受信電圧増幅回路
23.出力制御手段
24.入出力信号計測手段
25.入出力電圧比表示手段
26.伝播距離表示手段
31.回転ピン
32.治療用超音波トランスデューサホルダ
33.受信用超音波トランスデューサホルダ
34.固定用ベルト
35.調整用ベルト
41.大腿骨
42.皮膚
43.膝蓋骨

Claims (7)

  1. 体外から骨及び/又は関節に超音波を照射する治療用超音波トランスデューサ、及び該治療用超音波トランスデューサから照射された超音波の骨及び/又は関節面で反射された反射波を受信する受信用超音波トランスデューサを備え、
    該治療用超音波トランスデューサ及び/又は該受信用超音波トランスデューサは、トランスデューサの照射及び/又は受信角度を可変できる可変手段を有し、
    該可変手段、並びに/或いは該治療用超音波トランスデューサ及び/又は該受信用超音波トランスデューサの設置位置によって、超音波の照射及び/又は受信方向を調整して、患部への照射を可能とし、
    該可変手段は、治療用超音波トランスデューサホルダ及び/又は受信用超音波トランスデューサホルダ、並びに治療用回転ピン及び/又は受信用回転ピンを有し、
    該治療用回転ピンを有する該治療用超音波トランスデューサホルダに該治療用超音波トランスデューサが保持され、該治療用回転ピンの回転軸を中心に該治療用超音波トランスデューサが回転可能に取り付けられ、及び/又は
    該受信用回転ピンを有する該受信用超音波トランスデューサホルダに該受信用超音波トランスデューサが保持され、該受信用回転ピンの回転軸を中心に該受信用超音波トランスデューサが回転可能に取り付けられていることを特徴とする超音波治療装置。
  2. 該受信用超音波トランスデューサが受信する反射波の受信強度が最大となる位置及び/又は角度に該治療用超音波トランスデューサを設置することを特徴とする請求項1に記載の超音波治療装置。
  3. 該治療用超音波トランスデューサから照射した超音波信号と、該受信用超音波トランスデューサで受信した超音波信号を比較する比較手段を備え、該比較手段が超音波信号の強度及び/又は時間遅れを計測する手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波治療装置。
  4. 該受信用超音波トランスデューサで得られた超音波強度に基づいて該治療用超音波トランスデューサの出力を変更可能な出力制御手段を備え、
    該出力制御手段は、骨及び/又は関節面への照射強度を一定とするために出力電圧を制御することを特徴とする請求項3に記載の超音波治療装置。
  5. 該比較手段で計測した時間遅れの計測結果と、生体内の音速より伝播距離を演算する演算手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の超音波治療装置。
  6. 該比較手段で計測した治療用超音波トランスデューサより照射した超音波信号の強度と該受信用超音波トランスデューサで受信した超音波信号の強度、及び/又は両者の強度比を表示する出力表示手段を備えた請求項3〜5のいずれか1項に記載の超音波治療装置。
  7. 該出力表示手段で表示された該強度及び/又は強度比を治療効果の診断指標とすることを特徴とする、請求項6に記載の超音波治療装置。
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