JP4438324B2 - コンクリート製品成形用の型枠装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内部に通水路とその中央に排水スリットを有する側溝ブロック等のコンクリート製品を成形する内枠と外枠からなるコンクリート製品成形用の型枠装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内部に通水路を有する側溝ブロック等のコンクリート製品としては、図8(a)に示すように、円形や矩形状等の通水路1を有するとともに、通水路1と上面2が貫通する排水スリット3を有する側溝ブロックB1や、図8(b)に示すように、上記排水スリットを有しないタイプ(O型暗渠とも呼ばれるタイプ)の側溝ブロックB2がある。上記排水スリット3には、グレーチングが配されて道路等の水を通水路3に流す働きをする。
【0003】
これらの内部に通水路3を有する側溝ブロックB1等のコンクリート製品を製造するためには、コンクリート製品の外周を形成する外枠内に、通水路の内壁面を形成する内枠(中子とも呼ばれる)が組み込まれた型枠装置によって、コンクリート製品としては逆さ向きで成形される。内枠には、脱型時に外形を中空部分(通水路)よりも狭小にする必要性から狭小機構が装備されている。そして、従来は、狭小機構により狭小動作させると、内枠を抜き取る構造としていたが、製造スペースの有効活用等の点から、特許文献1に示すような内枠の位置はそのままでコンクリート製品を抜き取る構造のものが開発されている。搬送による製造ラインでは、型枠装置はその周辺機器と伴に搬送されているので、内枠のみ取り出すと、後で内枠を移動した外枠の中に戻すことが困難になるからである。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−134745号公報は、図8(b)に示すO型暗渠とも呼ばれるタイプの側溝ブロックB2を製造するもので(上記排水スリット3を有しないタイプ)であり、図10ないし図13に示すように、コンクリート製品の外周面を形成する外枠を、底面形成用の台枠2と、同台枠2に下部を開閉自在に枢着された両側壁形成用の側枠3,4と、両端面形成用の前方枠5及び後方枠6とにより構成し、通水路1の内壁面を形成する内枠9を、上部取付枠10と、同上部取付枠10の両側に上部を回動自在に取り付けられた互いに下方が内側に湾曲した側部取付枠11,12と、同側部取付枠11,12の両下端部にそれぞれアームによって連結された断面逆台形状の下部取付枠13と、上部取付枠10及び両側部取付枠11,12の外表面に外張りされた金属板15とにより構成し、前方枠5側に、内枠9を水平に且つ昇降可能に支持する支持機構24を設け、内枠9内に水平に前方枠5側と後方枠6側でネジの向きが異なるネジ棒16を配設するとともに、ネジ棒16の前方枠5側と後方枠6側にそれぞれ螺合したナット17,18にリンク19,20を介して下部取付枠13を連結したコンクリート製品を成形する。
【0005】
側溝ブロックB2を脱型する時には、対向する両側の側枠3,4と後方枠6を開いた後、工具等でネジ棒16を回転させると、ネジ棒16に螺合されたナット17,18が互いに離反する方向に移動し、リンク19,20が引き寄せられて下部取付枠13が上昇する。下部取付枠13が上昇すると、リンク14により側部取付枠11,12の先端が内側に引き寄せられ、支持機構24の上昇により側溝ブロックB2の通水路1との間に隙間ができる。そこで、クレーン等の搬送手段を使用して、コンクリート製品をネジ棒16の長手方向に沿って水平方向に抜き出す。なお、従来は、図8(a)に示すような内部に通水路1とその中央に排水スリット3を有する側溝ブロックB1の場合にも、同じような構造の型枠を使用している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の特開平6−134745号公報の型枠装置では、狭小機構を狭小動作した後、前方枠5側の支持軸23で内枠9を製品と伴に上昇させるが、この片方側のみの支持軸23で反対側(後方枠6側)まで上昇させるためには強い力を発揮させる支持軸23とその動作を保障する支持機構24が必要になる。なお、支持軸23とその動作を保障する支持機構24を反対側に配置しては、水平に引き出すことはできないし、仮にできたとしても型枠装置が複雑で高価になる。また、内枠9内に水平に前方枠5側と後方枠6側でネジの向きが異なるネジ棒16を配設するとともに、ネジ棒16の前方枠5側と後方枠6側にそれぞれ螺合したナット17、18にリンク19,20を介して下部取付枠13を連結した構造を採用しているために、内枠9の構造が複雑で高価になっていた。すなわち、内枠9には、打ち込んだコンクリートの内圧がかかっているので、同時に全体を狭小させるには、内圧に打ち勝つような力を発揮させるには大きな力が必要になる。特に、内枠が長い場合は、その長手方向にすべて隙間を形成するためには強力な労力が必要である。
【0007】
このような理由から、従来の特開平6−134745号公報では、内枠のリンクにより内枠と製品との間の隙間を外周すべてにおいて離型させることは容易でなく、コンクリート製品を内枠からクレーン等の搬送手段で水平に抜くときに、コンクリート製品を内枠から剥がすようにして引き抜かれる場合もあった。
【0008】
また、図8(a)に示すような、内部に通水路1とその中央に排水スリット3を有する側溝ブロックB1の場合には、コンクリート製品を内枠からクレーン等の搬送手段で水平に抜くときに、コンクリート製品や内枠9がブレを防止して水平に引き出すことができずに、排水スリットの部分を剥離させる場合が生じていた。
【0009】
そこで本発明の目的は、内枠の構造の簡素化を図りながらも、通水路の内壁面と内枠とを確実に離型させるとともに、かかる離型後において水平に正確に引き出すことが可能なコンクリート製品成形用の型枠装置を提供することにある。
【0010】
本発明の請求項1記載のコンクリート製品成形用の型枠装置は、内部に通水路とその中央に排水スリットを有する側溝ブロック等のコンクリート製品を排水スリットを下向きにして成形する内枠と外枠からなるコンクリート製品成形用の型枠装置であって、コンクリート製品の外周を形成する外枠が台枠と対向する側枠と対向する前後枠とから構成されるとともに、台枠に上方に突出する台枠側位置決め板が取り付けられ、コンクリート製品の通水路の内壁面を形成する内枠に、操作ハンドルが連結される回転軸と、この回転軸と連動して内枠の外周板を狭小動作させる狭小機構と、回転軸の回転により下方に向き台枠側位置決め板と接触する内枠側位置決め板とが設けられ、内枠からコンクリート製品を水平に抜くクレーン等の搬送手段を使用して、コンクリート製品とともに内枠を上昇させてコンクリート製品とともに内枠を挟持した状態で狭小機構を動作させ離型させた後、内枠側位置決め板と台枠側位置決め板とをコンクリート製品の排水スリットを介して接触させることで台枠側位置決め板が内枠側位置決め板を下方支持した状態で内枠からコンクリート製品を水平に抜くことを特徴とする。
ここで、本発明としては、前記内枠に、前記排水スリットとなる切り欠き箇所に一対の垂直板が配され、前記コンクリート製品とともに内枠を上昇させてコンクリート製品とともに内枠を挟持した状態で狭小機構を動作させ離型させるときに、前記台枠側位置決め板を介してその一対の垂直板の間隔が狭められることが好ましい。
【0011】
この発明によれば、作業現場で配されているクレーン等の搬送手段でコンクリート製品を型枠から引き出すときのみならず、狭小機構を狭小動作させるときにもクレーン等の搬送手段を使用する。すなわち、この型枠装置に生コンクリートを打ち込んで、内部に通水路を有する側溝ブロック等のコンクリート製品を上部を下向きにして成形した後(養生・硬化させた後)、コンクリート製品の通水路の内壁面と内枠とを離型させるときは、クレーン等の搬送手段によりコンクリート製品の外周を挟持してから、操作ハンドルで回転軸を回転させて狭小機構を狭小動作させ内枠から離型させ、かかる離型後は、そのままの状態で同じクレーン等の搬送手段により水平に引き出せばよい。
【0012】
本発明の請求項2記載のコンクリート製品成形用の型枠装置は、請求項1記載の発明を前提として、前記狭小機構は、前記回転軸と連結されて内枠の下方側の両側を狭小させるリンクによる下方側離型手段を備え、内枠からコンクリート製品を水平に抜くクレーン等の搬送手段を使用して、コンクリート製品とともに内枠を上昇させて狭小機構の下方側離型手段を動作させ下方側を離型させた後は、コンクリート製品とともに上昇した内枠の重力による降下により上方側を離型させることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項3記載のコンクリート製品成形用の型枠装置は、請求項1記載の発明を前提として、前記狭小機構は、前記回転軸と連結されて内枠の下方側の両側を狭小させるリンクによる下方側離型手段を備え、内枠からコンクリート製品を水平に抜くクレーン等の搬送手段を使用して、コンクリート製品とともに内枠を上昇させて狭小機構の下方側離型手段を動作させ下方側を離型させた後、次に、上方側を離型させるための降下に際して、前記内枠側位置決め板と台枠側位置決め板とをコンクリート製品の排水スリットを介して接触させた状態を介して、前記上昇させた高さ距離より短い距離を降下させることを特徴とする。
【0014】
この請求項2又は請求項3記載の発明によれば、クレーン等の搬送手段によりコンクリート製品の外周を挟持して上昇させてから、操作ハンドルで回転軸を回転させて狭小機構の下方側離型手段を動作させ上方側を離型させる。次に、請求項2記載の発明では、コンクリート製品とともに上昇した内枠の重力による降下により下方側を離型させる。他方、請求項3記載の発明では、内枠からコンクリート製品を水平に抜くクレーン等の搬送手段を使用して、コンクリート製品とともに内枠を降下させるが、前記内枠側位置決め板と台枠側位置決め板とをコンクリート製品の排水スリットを介して接触させた状態を介して、前記上昇させた高さ距離より短い距離を降下させると、内枠の上方側には下方側離型手段のような離型手段が配されていないが、内枠の上方側とコンクリート製品の上方側とが離型され、その結果、内枠と内部に通水路を有する側溝ブロック等のコンクリート製品との全周に亘る離型が行われることとなる。なお、離型のために上昇させた後は、そのままの状態で同じクレーン等の搬送手段により水平に引き出せばよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
本実施の形態のコンクリート製品成形用の型枠装置は、図8(a)に示すように、円形の通水路1を有するとともに、通水路1と上面2が貫通する排水スリット3を有するコンクリート製の側溝ブロックB1(コンクリート製品)を製造するもので、側溝ブロックB1の外周を形成する外枠Tと、側溝ブロックB1の通水路1の内壁面を形成する内枠Uとから構成されている(図1から図4)。また、工場等に吊り下げられるように配備されているクレーン等の搬送手段10が使用される。なお、この側溝ブロックB1の製造工場の製造ラインでは、型枠装置はその周辺機器と伴に搬送されながら側溝ブロックB1が製造されるものとして説明する。
【0017】
クレーン等の搬送手段10は、内枠Uから側溝ブロックB1を水平に引き出すときのみならず、側溝ブロックB1の通水路1の内壁面と内枠Uとの離型に際しても使用する。側溝ブロック等のコンクリート製品は、工場等の屋内設備において通常製造されるが、工場等において上方から吊り下げられ移動するクレーン等の搬送手段10が配置されており、これを使用する。このクレーン等の搬送手段10は、その下方先端でコンクリート製品の外周を挟持する挟持部10aを有している。このクレーン等の搬送手段10を使用することによって、本型枠装置、特に内枠Uの構造の簡素化が図られるようになる。
【0018】
本型枠装置の外枠Tは、基台T1上に設置された台枠T2と、基台T1に下端が枢着されて対向する側枠T3,T4と、下端が基台T1にヒンジ8により枢着されて対向する前方枠(小口板)T5と後方枠(小口板)T6とから構成されている。図示しないが、対向する側枠T3,T4の外側にはこれらを外側から締め付けるクランプ等の締め付け具が取り付けられ、締め付け具を緩めると、対向する側枠T3,T4が左右に開く。側枠T3,T4が左右に開くと、前方枠T5と後方枠T6も開くようになっている。側枠T3,T4と後方枠T6には、倒れ止めが付いており、斜め方向に開き、横倒し状態(全開状態)にはならないが、前方枠T5は、横倒し状態になる(図1)。
【0019】
台枠T2の表面中央には、凸部23が設けられ、この凸部23の上方に固定部24を介して台枠側位置決め板T15が立設されている。台枠側位置決め板T15は、側溝ブロックB1の排水スリット3に差し込まれるように配置され、内枠Uから側溝ブロックB1を水平に抜くときに、側溝ブロックB1や内枠Uのぶれ(左右の揺れ)を防止する。台枠側位置決め板T15の幅は、固定部24の幅よりも狭くなっている。
【0020】
内枠Uは、図6(a)(b)に示すように、下方中央が切り欠きを有する外周板U1と、切り欠き箇所に垂直に配される垂直板U3a,U3bと、外周板U1の内側に設けられた補強リブU2等からなる。補強リブU2は、上部補強リブU2aと、この上部補強リブU2aの両側において下方が垂直板U3a,U3bと連結した側部補強リブU2b,U2cとからなり、これらが外周板U1に取り付けられている。この内枠Uには、脱型時に外形を通水路(中空部分)1よりも狭小にする狭小機構Ukが装備されている。狭小機構Ukは、T字状の操作ハンドルUhが連結される回転軸Ujと、この回転軸Ujと連動して内枠Uの下方側をリンクにより狭小動作させる下方側離型手段Usとを備える(図4、図5)。回転軸Ujは、内枠Uのほぼ中央を水平に貫通するように配置され、その先端は内枠Uよりも外部に突出されて操作ハンドルUhが取り付けられている。この回転軸Ujの長手方向に補強リブU2が2枚を一組として3ケ所に配され、前方枠T5側と後方枠T6側の各々2枚の補強リブU2,U2間に下方側離型手段Usが配されている。下方側離型手段Usは、回転軸Ujの下方に位置するリンクにより構成され、両端の軸J3a,J3bが対向する左右の側部補強リブU2b,U2cと連結され、中央に軸J1が取り付けられている。回転軸Ujにおける下方側離型手段Usに位置には、下方側離型手段Usの中央の軸J1を下方に移動させる回転補助軸J2が回転軸Ujに沿うように取り付けられている。したがって、回転軸Ujが回転すると、回転補助軸J2が下方側離型手段Usの中央の軸J1を下方に移動させることにより、そのリンクの両端の軸J3a,J3bが上方に移動することにより、左右の側部補強リブU2b,U2cが内側(内枠Uの内側)に引き寄せられ、内枠Uの外周板U1の下方側が狭小(縮径)する。また、下方側離型手段Usの両端の軸J3a,J3bが上方に移動することにより、垂直板U3aと垂直板U3bとの間隔Hが狭められる。
【0021】
また、狭小機構Ukには、回転軸Ujに取り付けられる内枠側位置決め板U15も備えられている。内枠側位置決め板U15は、台枠T2に取り付けられた台枠側位置決め板T15と接触することで、内枠側位置決め板U15はその下方支持がなされるとともに、内枠Uから側溝ブロックB1を水平に抜くときに、側溝ブロックB1や内枠のぶれ(左右の揺れ)を防止する。本実施の形態では、内枠側位置決め板U15は、回転軸Ujの回転により下方に位置したときに、台枠側位置決め板T15と接触するようになっているが、その接触したときの高さが内枠Uを構成する外周板U1の中心O1よりも側溝ブロックB1の通水路1の中心O2が高くなるように設定されている(図7)。つまり、側溝ブロックB1を内枠Uと伴に上昇させて、下方側離型手段Usにより内枠Uの下方側と側溝ブロックB1の下方側を離型させた後、内枠側位置決め板U15と台枠側位置決め板T15とを側溝ブロックB1の排水スリット3を介して接触させた状態を介して、上記上昇させた高さ距離H1より短い距離H2を降下させることで、内枠Uの上方側と側溝ブロックB1の上方側を離型させる構造になっている(図7)。
【0022】
外枠Tの後方枠T6側には、支持機構T7が配設されている。この支持機構T7は、内枠Uを後方側から支持するためのもので、特にクレーン等の搬送手段10を使用して側溝ブロックB1を引き出すときに後方から内枠Uを引っ張る役割をするもので、水平部T7aと垂直部T7bと昇降部T7cとからなり、水平部T7aの先端が補強リブU2と連結されている。そして、クレーン等の搬送手段10を使用して、側溝ブロックB1が昇降動すると、昇降部T7cがこれを許容し、上記垂直部T7bが昇降動する。
【0023】
次に、本型枠装置を使用したコンクリート製の側溝ブロックB1の製造方法を説明する。側溝ブロックB1を排水スリット3を下向きにして、上面2を下にして成形する。まず、内部に内枠Uを有して組み立てた外枠T内に上方(符号D)から生コンクリートを打ち込む(図2)。内枠Uの回りには鉄筋を配置しておき、バイブレータで型枠装置の全体を振動させてコンクリートを細部に行き渡らせた後、常温ないし高温で乾燥、養生を行う。ここで、生コンクリートを打ち込むときの外枠Tに対する内枠Uの状態は、図9に示すように、台枠T2の中央の凸部23の上の固定部24を垂直板U3aと垂直板U3bとが挟持した状態で台枠T2に下支えされるとともに、内枠Uの長手方向の前後は、閉じられた前方枠T5と後方枠6で挟持された状態になっている。生期間が経過し、コンクリートが硬化した後、対向する側枠T3,T4の外側にはこれらを外側から締め付けるクランプを緩めると、対向する側枠T3,T4が左右に開く。側枠T3,T4が左右に開くと、前方枠T5と後方枠T6も開く(図1)。
【0024】
そして、クレーン等の搬送手段10を使用してその挟持部10aで側溝ブロックB1の外周を挟持して上昇させてから(符号F1;図5(a))、狭小機構Ukを動作させる((図4(a))。このときの狭小機構Ukの動作は、通水路1の内壁面の下方側に隙間S1を生じさせ離型させるために行う。すなわち、操作ハンドルUhを回し、回転軸Ujを時計方向に回転させると、回転軸Ujに取り付けられた回転補助軸J2がリンクの中心軸J1を下方に移動させるとともに、内枠側位置決め板U15が真下(排水スリット3)に向かって回転させる。回転補助軸J2がリンクの中心軸J1を下方に移動させ、リンクの両端の軸J3a,J3bが上方に移動することにより、下方側離型手段Usが左右の側部補強リブU2b,U2cを上方に移動させて、内枠Uの内側に引き寄せられることで、外周板U1の下方側が狭小(縮径)し、隙間S1を生じさせる。このとき、垂直板U3aと垂直板U3bとの間隔Hが狭められる。垂直板U3aと垂直板U3bは、当初は広幅の固定部24を挟持しているが、内枠Uの上昇により固定部24より幅狭の台枠側位置決め板T15の位置において、垂直板U3aと垂直板U3bとの間隔Hが狭められる。
【0025】
通水路1の内壁面の下方側S1を離型させると、次に、クレーン等の搬送手段10により内枠側位置決め板U15を台枠側位置決め板T15と接触するところまで降下させる(符号F2;図5(b))。このときの降下は、通水路1の内壁面の上方側に隙間S2を生じさせ離型させるために行う(図7)。このとき降下させる位置としては、内枠側位置決め板U15が台枠側位置決め板T15と接触する位置であるが、この位置は、前記上昇させた高さ距離H1より短い距離H2の位置である(図7)。すなわち、側溝ブロックB1の円形状の通水路1の中心O1が上部補強リブU2aに接する外周板U1の円周の中心O2よりも少し上になるようにクレーン等の搬送手段10を降下させる。この位置まで降下させると、垂直板U3a,U3bの互いの間隔Hが狭まり台枠側位置決め板T15を挟持することとなるが、内枠側位置決め板U15と台枠側位置決め板T15との位置決めにより、側溝ブロックB1を内枠Uに垂直板U3a,U3bと接触することなく引き出すことが可能になる。なお、水平に引き出された側溝ブロックB1は、反転機により反転されて正姿勢に置かれる。
【0026】
次に、内枠Uから側溝ブロックB1が引き出されると、内枠Uを元の位置まで降下させる必要がある。つまり、コンクリートを打ち込む状態の外枠Tの内部に内枠Uを有する型枠装置にする必要がある。このときは、操作ハンドルUhを逆方向(反時計方向)に回すと、回転軸Ujを反時計方向に回転させ、回転軸Ujに取り付けられた回転補助軸J2がリンクの中心軸J1を上方に戻すとともに、内枠側位置決め板U15が真下から元の横方向に向かって回転する。内枠側位置決め板U15が横方向に向くと、台枠側位置決め板T15との接触状態が解除されて、内枠Uは降下する。つまり、台枠側位置決め板T15を挟持していた垂直板U3aと垂直板U3bが開き、前記降下の距離H2で残った残りの分の距離H3が降下し、固定部24を挟持するようになる(図7)。この降下するまでは、台枠側位置決め板T15は垂直板U3a,U3bに挟まれているので、内枠Uを組み立てる際、前方枠5と後方枠6と台枠2にすばやく正確に位置決めすることができる。なお、回転補助軸J2がリンクの中心軸J1を上方に戻すと、垂直板U3a,U3bが開くことになる。
【0027】
ここで、側溝ブロックB1は、側溝ブロックB2と比較して、排水スリット3がある分、排水スリット3側の(下方側;製品としては上方側)の離型が容易に行うことができる。すなわち、下方側離型手段Usにより、左右の側部補強リブU2b,U2cが内側(内枠Uの内側)に引き寄せられるとともに、垂直板U3aと垂直板U3bとの間隔Hが狭められるが、側溝ブロックB1の排水スリット3がある分内枠Uにかかる圧力が少なく、逆さ状態の側溝ブロックB1の下方側の離型が容易に行うことができる。
【0028】
また、通水路1を有する側溝ブロックB1は、クレーン等の搬送手段10を使用して、コンクリート製品とともに内枠Uを上昇させて狭小機構Ukの下方側離型手段Usを動作させるだけで、上記降下の動作を伴うことなく離型することが可能である。つまり、下方側に隙間S1を生じさせ離型させれば、内枠の上方側には下方側離型手段のような離型手段が配されていないが、内枠Uは重力により降下するために、上方側も自然と隙間S2が生じて離型することができる。特に、側溝ブロックB1の通水路1が円形の場合は、この重力による上方側の離型が可能である。ただし、この方法では十分な場合も考えられるので、上記方法で上方側の離型を行うと良い。
【0029】
以上、本実施の形態では、通水路1が円形の側溝ブロックB1で説明したが、矩形状等であっても良い。また、搬送手段10はクレーンで側溝ブロックB1を吊り下げるようにして側溝ブロックB1を昇降動させるもので説明したが、このような動作や引き出し動作が可能であれば、クレーン以外の搬送手段でも良い。
【0030】
【発明の効果】
この発明によれば、クレーン等の搬送手段によりコンクリート製品の外周を挟持した状態で狭小機構を動作させ離型させ、かかる離型後は、そのままの状態で同じクレーン等の搬送手段により水平に引き出せばよいので、内枠の構造の簡素化を図ることが可能になる。そして、この内枠側位置決め板と台枠側位置決め板とを対向させた状態でコンクリート製品を水平に引き出すので、コンクリート製品や内枠のブレを防止して水平に引き出すことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のコンクリート製品成形用の型枠装置からコンクリート製品を引き出す状態の斜視図である。
【図2】上記一実施の形態の型枠装置の斜視図である。
【図3】上記一実施の形態の型枠装置を示す側面図である。
【図4】上記一実施の形態の型枠装置の内枠の構造を示す斜視図である。
【図5】上記一実施の形態の型枠装置の内枠の狭小機構を示す正面図である。
【図6】上記一実施の形態の型枠装置の内枠の動作を説明する正面図である。
【図7】上記一実施の形態の型枠装置の内枠のコンクリート製品に対する昇降状態を説明する正面図である。
【図8】内部に通水路を有する側溝ブロックの種類を説明する斜視図である。
【図9】上記一実施の形態の型枠装置の内部構造を示す図である。
【図10】従来のコンクリート製品成形用の型枠の側面図である。
【図11】従来のコンクリート製品成形用の型枠の正面図である。
【図12】従来のコンクリート製品成形用の型枠の内枠を示す正面図である。
【図13】従来のコンクリート製品成形用の型枠の内枠の断面図である。
【符号の説明】
B1,B2 側溝ブロック(コンクリート製品)、
1 通水路、2 上面、3 排水スリット、
10 クレーン等の搬送手段、
T 外枠、
T15 台枠側位置決め板、
T1 基台、T2 台枠、
T3,T4 側枠、T5 前方枠、T6 後方枠、
U 内枠、
U15 内枠側位置決め板、
U1 外周板、
U2 補強リブ、U2a 上部補強リブ、
U2b,U2c 側部補強リブ、
Uh 操作ハンドル、Uk 狭小機構、Uj 回転軸、
Us 下方側離型手段、U3a,U3b 垂直板、
J1 中央の軸、J2 回転補助軸、
J3a,J3b 左右の軸、
S1 下方側の隙間、S2 上方側の隙間

Claims (4)

  1. 内部に通水路とその中央に排水スリットを有する側溝ブロック等のコンクリート製品を排水スリットを下向きにして成形する内枠と外枠からなるコンクリート製品成形用の型枠装置であって、
    コンクリート製品の外周を形成する外枠が台枠と対向する側枠と対向する前後枠とから構成されるとともに、台枠に上方に突出する台枠側位置決め板が取り付けられ、
    コンクリート製品の通水路の内壁面を形成する内枠に、操作ハンドルが連結される回転軸と、この回転軸と連動して内枠の外周板を狭小動作させる狭小機構と、回転軸の回転により下方に向き台枠側位置決め板と接触する内枠側位置決め板とが設けられ、
    内枠からコンクリート製品を水平に抜くクレーン等の搬送手段を使用して、コンクリート製品とともに内枠を上昇させてコンクリート製品とともに内枠を挟持した状態で狭小機構を動作させ離型させた後、内枠側位置決め板と台枠側位置決め板とをコンクリート製品の排水スリットを介して接触させることで台枠側位置決め板が内枠側位置決め板を下方支持した状態で内枠からコンクリート製品を水平に抜くことを特徴とするコンクリート製品成形用の型枠装置。
  2. 前記狭小機構は、前記回転軸と連結されて内枠の下方側の両側を狭小させるリンクによる下方側離型手段を備え、内枠からコンクリート製品を水平に抜くクレーン等の搬送手段を使用して、コンクリート製品とともに内枠を上昇させて狭小機構の下方側離型手段を動作させ下方側を離型させた後は、コンクリート製品とともに上昇した内枠の重力による降下により上方側を離型させることを特徴とする請求項1記載のコンクリート製品成形用の型枠装置。
  3. 前記狭小機構は、前記回転軸と連結されて内枠の下方側の両側を狭小させるリンクによる下方側離型手段により構成され、内枠からコンクリート製品を水平に抜くクレーン等の搬送手段を使用して、コンクリート製品とともに内枠を上昇させて狭小機構の下方側離型手段を動作させ下方側を離型させた後、次に、上方側を離型させるための降下に際して、前記内枠側位置決め板と台枠側位置決め板とをコンクリート製品の排水スリットを介して接触させた状態を介して、前記上昇させた高さ距離より短い距離を降下させることを特徴とする請求項1記載のコンクリート製品成形用の型枠装置。
  4. 前記内枠に、前記排水スリットとなる切り欠き箇所に一対の垂直板が配され、前記コンクリート製品とともに内枠を上昇させてコンクリート製品とともに内枠を挟持した状態で狭小機構を動作させ離型させるときに、前記台枠側位置決め板を介してその一対の垂直板の間隔が狭められることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載のコンクリート製品成形用の型枠装置。
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