JP4438275B2 - 抵抗変化機能体の動作方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電気抵抗がクーロンブロッケイド効果によって変化する抵抗素子(本明細書では、これを「抵抗変化機能体」と呼ぶ。)を動作させる抵抗変化機能体の動作方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
近年、ナノドットやナノクリスタルと呼ばれるナノメートルサイズの微粒子を備え、クーロンブロッケイド効果を利用して情報を記憶するメモリ素子が提案されている。この種のクーロンブロッケイド効果を用いたメモリ素子は、電子1個または数個を格納することのできるナノサイズのドットを作製するために、ナノメートルオーダの非常に微細な加工技術を用いて作製されている(例えば、特許文献1参照。)。また、殆どの場合、熱揺らぎによる誤動作を抑制するために、数K(ケルビン)〜数十Kという極低温下でのみ動作する。このため、クーロンブロッケイド現象を用いたメモリ素子は、実用性に乏しく、実験レベルにとどまっている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−22005号公報(段落0015、図1)
【0004】
一方、クーロンブロッケイド効果を利用した抵抗素子は、未だ知られていない。
【0005】
そこで、この発明の課題は、電気抵抗がクーロンブロッケイド効果によって変化する抵抗変化機能体を動作させる抵抗変化機能体の動作方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、この発明の抵抗変化機能体の動作方法は、
第1の電極と第2の電極との間に挟まれた絶縁体中に、4個の導電性微粒子が互いに隣り合い、かつ互いに離間している単位領域が複数存在し、
上記4個の導電性微粒子のうち第1、第2の微粒子がそれぞれ上記第1、第2の電極に対して最も近くに位置し、残りの第3、第4の微粒子がそれぞれ上記絶縁体の厚さ方向に関して上記第1の微粒子と第2の微粒子との間に位置し、
上記第1の微粒子と第3の微粒子との間隔をd13、上記第2の微粒子と第3の微粒子との間隔をd23、上記第1の微粒子と第4の微粒子との間隔をd14、上記第2の微粒子と第4の微粒子との間隔をd24、上記第3の微粒子と第4の微粒子との間隔をd34としたとき、d13<d14かつd23<d24なる関係と、d13>d34かつd23>d34なる関係とを満たす抵抗変化機能体の動作方法であって、
上記第1の電極と上記第2の電極との間の印加電圧を高くするとき又は低くするときに、上記第1の微粒子、上記第3の微粒子、上記第2の微粒子を介した電流経路中の電子に対する上記第4の微粒子に蓄積された電荷の有無および多寡に応じたクーロン相互作用によって上記単位領域における電気抵抗を変化させて、上記第1の電極と上記第2の電極との間の電気抵抗を階段状に変化させることを特徴とする。
【0007】
本明細書において、「導電性微粒子」とは、微粒子自体が導電性を有するものを指す。したがって、「導電性微粒子」は金属または半導体からなるものを含み、さらには、導電性を有する限り、有機物質からなるものをも含む。また、「微粒子」とは粒径が1μm未満の粒子を指す。また、「絶縁体の厚さ方向」とは、上記第1の電極と第2の電極とが対向する方向に相当する。
【0008】
この発明の動作方法が適用される抵抗変化機能体では、第1の電極と第2の電極との間に十分な電位差を与えた場合に、電流は主に、第1の微粒子と第3の微粒子と第2の微粒子とを介した経路を流れる。ここで、第4の微粒子に蓄積された電荷によって、第1の微粒子と第3の微粒子と第2の微粒子とを介した電流経路中の電子に対してクーロン相互作用を及ぼすことが可能になる。したがって、第4の微粒子に蓄積された電荷の有無や多寡に応じて、上記単位領域における電流の流れ易さ、つまり電気抵抗を変化させることができる。このような単位領域が上記絶縁体中に複数存在する結果、マクロなレベルで上記第1、第2の電極間の電気抵抗を変化させることができる。特に、上述のd13>d34かつd23>d34なる関係を満たすことから、第4の微粒子は、第1、第2の微粒子に比して第3の微粒子に近い位置、つまり主な電流経路に比較的近い位置に存在する。したがって、第4の微粒子に電荷を出し入れし易くなる。また、第4の微粒子が第3の微粒子に近い位置に存在するので、第4の微粒子に蓄積される電荷の有無や多寡によって第3の微粒子のポテンシャルを変化させ易い。したがって、上記単位領域における電流の流れ易さ、つまり電気抵抗を容易に変化させることができる。これらの結果、クーロンブロッケイド効果を利用して、上記第1の電極と上記第2の電極との間の電気抵抗を階段状に変化させることができる(詳しくは、後述する。)。
【0009】
一実施形態の抵抗変化機能体の動作方法では、上記第1の電極と上記第2の電極との間の印加電圧を高くするときと低くするときとの間で、電流対電圧特性におけるヒステリシスを得ることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0011】
図1(b)は本発明の一実施形態の動作方法が適用される抵抗変化機能体100の概略断面構造を示している。この抵抗変化機能体100は、第1の電極111と第2の電極112との間に挟まれた層状の絶縁体101中に、上記第1、第2の電極111,112間の電気抵抗がクーロンブロッケイド効果によって変化するように設けられたナノメートルサイズの複数の導電性微粒子102を含んでいる。
【0012】
この抵抗変化機能体100は次のようにして作製されている。
【0013】
この例では、半導体産業で用いられている既存の装置を用いて作製できるように、絶縁体101の材料としてシリコン酸化膜、導電性微粒子102の材料として銀を用いるものとする。
【0014】
i)まず図3(a)に示すように、シリコン基板300の表面に熱酸化工程により絶縁体としてシリコン酸化膜101を形成する。この例では、形成されたシリコン酸化膜101の膜厚は約50nmであった。なお、シリコン基板300は第2の電極112として用いられる。
【0015】
ii)次に図3(b)に示すように、シリコン酸化膜101中に銀303を負イオン注入法により導入する。
【0016】
ここで、注入エネルギは、あまりに高すぎると、注入される銀の分布が広がりすぎて薄膜101への注入に相応しくなく、また膜101へダメージを与えて欠陥を生じてしまう。このため、注入エネルギは、100keV未満、より好ましくは50keV未満に設定するのが好ましい。
【0017】
また、注入ドーズ量は、あまりに多いと、微粒子の粒径が大きくなりすぎ、また膜101へのダメージも多くなる一方、少なすぎると微粒子密度が小さくなりすぎてしまう。このため、注入ドーズ量は、1×1012/cm2より多く、かつ1×1020/cm2より少なく設定するのが好ましく、例えば1×1013/cm2より多く、かつ1×1017/cm2より少なく設定するのが、より好ましい。
【0018】
この例では、注入エネルギは約30keV、ドーズ量は約1×1015/cm2に設定した。
【0019】
また、上述のように、この例では、イオン注入法として負イオン注入法を採用している。負イオンを用いて注入した場合、正イオンの場合のように注入を受ける材料(この例ではシリコン酸化膜101)の表面電位が正イオンの加速電圧近くまで上昇することなく、数ボルト程度の非常に低い値に収まる。すなわち、正イオン注入の場合は、正の電荷のイオンが材料表面に入射し、負の電荷の二次電子が放出されるため材料表面は正に帯電する一方であり、最終的に正イオンの加速電圧まで上昇する。これに対して、負イオン注入の場合は、負の電荷のイオンが入射し負の電荷の二次電子が放出し、表面電位は±数ボルト程度に収まる。したがって、正イオン注入に比べ実効的な加速電圧の変動が少なくなるため、注入深さのばらつきを抑制することが可能となる。また、注入を受けるシリコン酸化膜101やそれを支持する基板300が殆ど帯電しないので、絶縁破壊等による欠陥の発生を抑制することが可能となる。
【0020】
iii)次に、熱処理を行って、注入元素(この例では銀)を凝集または拡散させる。これにより、図3(c)に示すように、シリコン酸化膜101中に銀からなる所定の粒径の微粒子102をクーロンブロッケイド効果が発現するような所定の密度に形成するとともに、シリコン酸化膜101の厚さ方向V1,V2に微粒子102を分布させる。また、イオン注入時に発生した欠陥を修復する。
【0021】
この熱処理の温度は、低すぎると効果がないが、あまりに高温であると注入元素が拡散、溶融するため、微粒子を形成できない。したがって、熱処理の温度は、200℃より高く、かつ注入元素の融点未満に設定するのが好ましい。また、熱処理の時間は、一定温度であっても長くすればその温度での効果は増大するが、あまりに長いと、粒径が過度に大きくなる場合や、注入元素が微粒子を形成すべき領域外まで拡散する場合がある。このため、熱処理時間は、24時間より短く設定するのが好ましい。
【0022】
例えば通常の熱処理炉を用いる場合は、アルゴンや窒素等の不活性雰囲気中で、熱処理の温度を300℃〜900℃の範囲内に設定するのが好ましい。この例では、アサヒ理化製作所製のセラミクス電気管状炉を用い、アルゴン雰囲気中で、約700℃の温度で約1時間の熱処理を行った。
【0023】
iv)この後、この微粒子102を含んだシリコン酸化膜101上に、第1の電極111を形成する。
【0024】
この第1の電極111の材料は、金属または半導体、さらには、導電性を有する限り、有機物質であっても良い。第1の電極111を形成する方法としては、CVD(化学気相成長法)や蒸着、MBE(分子線エピタキシ法)などを採用できる。
【0025】
この例では、蒸着によって、第1の電極111としてAl膜を形成した。
【0026】
このようにして作製した抵抗変化機能体100の、微粒子102を含んだ層状のシリコン酸化膜101(以下、適宜「微粒子含有層113」と呼ぶ。)を断面TEM観察によって調べた。その結果、図1(a)に示すように、イオン注入された銀が凝集して、粒径が約3nm程度以下のナノメートルサイズの微粒子102となっていることが分かった。また、設定した注入エネルギ(銀イオンの加速エネルギ)から予想される深さを中心として、シリコン酸化膜101の厚さ方向V1,V2に微粒子102を分布させることができた。
【0027】
このようにイオン注入によれば、絶縁体101中に導電性微粒子102を一度の処理で短時間に高密度に形成できるとともに、絶縁体101の厚さ方向V1,V2に導電性微粒子102を分布させることができる。しかも、イオン注入によれば、導電性微粒子102を形成するためにフォトリソグラフィやエッチングなどの微細加工技術を要しない。したがって、生産性に優れる。
【0028】
また、この例では、絶縁体101中に導電性微粒子102を形成するための物質を負イオン注入法により注入しているので、注入時に上記絶縁体101やそれを支持する基板が帯電するのを抑制できる。したがって、注入エネルギを正確に制御でき、注入ばらつきを抑制できる。また、帯電が抑制されるので、帯電によって絶縁体101が破壊して欠陥が生じるのを抑制できる。これらの結果、抵抗変化機能体100の信頼性を向上させることができる。
【0029】
図2は、上述の方法で作製した抵抗変化機能体100の常温(25℃)における電流対電圧(I−V)特性のグラフを示している。
【0030】
この特性は、一実施形態の動作方法として、第2の電極112(シリコン基板300)を接地し、第1の電極111に電圧を印加して、第1の電極111に流れる電流を観測したものである。まず電圧を高い方から低い方へ連続的に変化させると、図2中に矢印S1で示すように、クーロンブロッケイド効果特有の階段状の変化を示しながら、電流が減少した。続いて、折り返し、電圧を高い方へ連続的に変化させると、図2中に矢印S2で示すように、クーロンブロッケイド効果特有の階段状の変化を示しながら、電流が増加した。図2から分かるように、この電流対電圧(I−V)特性にはヒステリシスも現れている。この理由を、図1(c)を用いて次に詳しく考察する。
【0031】
図1(c)は、図1(b)に示した微粒子含有層113のうち、4個の導電性微粒子102を含む単位領域114を拡大して模式的に表している。この単位領域114には、4個の導電性微粒子102が互いに隣り合い、かつ互いに離間した状態で含まれている。4個の導電性微粒子102のうち第1の微粒子121が第1の電極111に対して最も近くに位置し、第2の微粒子122が第2の電極112に対して最も近くに位置する。残りの第3の微粒子123、第4の微粒子124は、第1の電極111と第2の電極112とが対向する方向(図において上下方向であり、絶縁体101の厚さ方向に相当する。)に関して、それぞれ第1の微粒子121と第2の微粒子122との間に位置している。
【0032】
ここで、第1の微粒子121と第3の微粒子123との間隔をd13、第2の微粒子122と第3の微粒子123との間隔をd23、第1の微粒子121と第4の微粒子124との間隔をd14、第2の微粒子122と第4の微粒子124との間隔をd24とする。このとき、d13<d14かつd23<d24なる関係が満たされている。また、第3の微粒子123と第4の微粒子124との間隔をd34としたとき、d13>d34かつd23>d34なる関係が満たされている。
【0033】
第1の電極111と第2の電極112との間に十分な電位差を与えた場合、この単位領域114では、電流は主に、ほぼ直線上に配置された第1の微粒子121と第3の微粒子123と第2の微粒子122とを介した経路を流れる。ここで、第4の微粒子124に1個乃至数個の電荷が蓄積され、その蓄積された電荷によって、第1の微粒子121と第3の微粒子123と第2の微粒子122とを介した電流経路中の電子に対してクーロン相互作用が及ぼされる。
【0034】
しかも、第4の微粒子124は、第1、第2の微粒子122に比して第3の微粒子123に近い位置、つまり主な電流経路から少しだけ横方向に離れた比較的近い位置に存在する。したがって、第4の微粒子124に電荷を出し入れし易くなる。また、第4の微粒子124が第3の微粒子123に近い位置に存在するので、第4の微粒子124に蓄積される電荷の有無や多寡によって第3の微粒子123のポテンシャルを変化させ易い。したがって、単位領域114における電流の流れ易さ、つまり電気抵抗を容易に階段状に変化させることができる。
【0035】
このような単位領域114が絶縁体101中に複数存在する結果、マクロなレベルで第1、第2の電極111,112間の電気抵抗が階段状に変化したと思われる。また、図2の電流対電圧(I−V)特性で、電圧を低くするとき(S1)と高くするとき(S2)との間で各単位領域114で第3の微粒子123のポテンシャルが変化した結果、ヒステリシスが現れたと思われる。
【0036】
なお、第3の微粒子123と第4の微粒子124との間隔d34が大きすぎると、電流経路に与えるクーロン相互作用は極めて弱いものとなり、実質的に無視できる程度となる。d13>d34かつd23>d34の場合、微粒子124に捕獲された電子による電流経路になっている微粒子への影響は大きいと推定され、ヒステリシスの増大が見込まれる。
【0037】
また、ヒステリシスの発生原因は、微粒子群の中で極微小な粒径の微粒子が電流の影響により拡散消滅、または凝集大型化した結果、クーロンエネルギが変動したためとも考えられる。その他、ジュール熱による熱エネルギにより、微粒子から電子が放出された結果、クーロンエネルギが変動したためとも考えられる。
【0038】
この抵抗変化機能体100は、ヒステリシス効果を利用して抵抗変化素子または可変抵抗素子として用いることができる。また抵抗の変化を読み出すことで2値データを判別し、メモリ機能体として用いることが可能である。したがって、本発明の抵抗変化機能体は、電子の捕獲をするため電荷保持機能体、または抵抗変化もしくは電荷注入放出後の状態を保持するのでメモリ機能体と言い換えることもできる。
【0039】
本実施の形態で作製した微粒子102の粒径は、TEM観察の範囲においてほぼ3nm以下であった。なお、同様の方法を用いて微粒子の粒径がほぼ6nm以下、ほぼ10nm以下の試料も作製した。そのような試料のI−V特性を測定したところ、微粒子の粒径が大きくなるにつれて、I−V特性のグラフにおける階段形状やヒステリシスは小さくなり、室温よりも低温であっても、不明瞭になる傾向が観測された。したがって、ヒステリシスを得るために要求される微粒子102の粒径は11nm以下、好ましくは7nm以下、より望ましくは4nm以下であることがわかった。
【0040】
一方、熱処理温度を上げることによって微粒子102の粒径をさらに縮小し、TEM観察の範囲においてほぼ1nmに満たない粒径で、0.4nm未満の微粒子が多数を占めるような試料も作製した。そのような試料のI−V特性を測定したところ、I−V特性グラフにおける階段形状やヒステリシスは室温では明確には観測できなくなった。この理由は、銀イオンが絶縁膜全体に拡散したことによって、絶縁膜101の電気的な絶縁性が低下したためだと推測される。このときのイオン注入濃度は1×1015ions/cm2であり、絶縁膜101の膜厚は約50nmであった。したがって体積濃度は約2×1020ions/cm3となる。
【0041】
この結果、微粒子102の粒径が0.4nm以上であることが好ましく、1nm程度がより好ましい。さらに微粒子が存在しない、または粒径が0.4nm未満の個所での濃度は約2×1020ions/cm3以下であることが好ましいことがわかった。
【0042】
また、本実施形態では、シリコン酸化膜101中に導電性微粒子102を形成するために負イオン注入を行っているので、作製後のシリコン酸化膜101は単一熱酸化膜と同等の品質を維持しており、非常に信頼性が高いものとなった。また、CVDなどに比して、処理時間が短くなり、生産性に優れる。
【0043】
また、負イオン注入によれば、既述のように帯電による微粒子のばらつきを抑えられるので、シリコン酸化膜101の厚さ方向に関して微粒子102の分布がばらつくのを抑制できる。したがって、微粒子含有層113を薄膜化することができ、微細化が可能になる。そのように微粒子含有層113を薄膜化した場合、第1、第2の電極111,112間に同じ電圧を加えても微粒子含有層113に印加される実効電場が強くなる。したがって、抵抗変化機能体100を動作させるための電圧を低電圧化することが可能となり、生産性および低消費電力性に優れる。
【0044】
図1(a)に模式的に示したように、シリコン酸化膜101中の微粒子102を構成する銀元素の濃度は一様ではなく、シリコン酸化膜101の厚さ方向V1,V2に、微粒子102を構成する銀元素の濃度が高い領域に連なって銀元素の濃度が低い領域がそれぞれ存在する。同様に、シリコン酸化膜101中の微粒子102の密度は一様ではなく、シリコン酸化膜101の厚さ方向V1,V2に、微粒子102の密度が高い領域に連なって微粒子102の密度が低い領域が存在する。同様に、シリコン酸化膜101中の微粒子102のサイズは一様ではなく、シリコン酸化膜101の厚さ方向V1,V2に、微粒子102のサイズが大きい領域に連なって微粒子102のサイズが小さい領域が存在する。これらの場合、シリコン酸化膜101の厚さ方向V1,V2、つまり第1の電極111と第2の電極112とが対向する方向に関して、電流が過度に流れにくかったり、過度に流れ易くなったりすることを抑制することができる。したがって、抵抗変化機能体100の特性が安定する。
【0045】
また、負イオン注入の際に斜め注入を行えば、シリコン酸化膜101の厚さ方向に関して微粒子102の分布の広がりを抑制することができる。したがって、微粒子含有層113を薄膜化することができ、微細化に適する。
【0046】
なお、本実施の形態では、絶縁体101の材料としてシリコン酸化物を挙げたが、シリコン窒化物、酸化アルミニウム、酸化チタン等の絶縁体であれば用いることができる。ただし、微粒子の大きさにもよるが、絶縁体101があまりに高誘電率材料であると、容量が増大して動作速度に影響を与える。このため、絶縁体101の材料としては、比誘電率が10以下、好ましくは4以下の低誘電率を有するものが好ましい。
【0047】
また、微粒子102を構成する材料として銀を挙げたが、微粒子102を構成する材料としては、金、銀、銅、アルミニウム、錫、ニッケル、白金、亜鉛、ハフニウム、マンガン、タンタル、チタン、タングステン、インジウム、ガリウム、など他の金属を用いることもできる。また、シリコン、ゲルマニウム等の半導体や化合物半導体を用いることも可能であり、または合金やその他の化合物を用いることも可能である。また磁性体であっても用いることが可能である。ただし単体元素であるほうが、注入工程が容易であるので好ましい。
【0048】
また、第2の電極112としてシリコン基板を用いたが、シリコン以外の半導体または金属材料からなる基板を用いても良い。また、ガラス基板などの絶縁体材料からなる基板上に、CVD(化学気相成長法)や蒸着、MBE(分子線エピタキシ法)などによって導電層を形成し、その導電層を第2の電極として用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は、本発明の一実施形態の動作方法が適用される抵抗変化機能体を構成する微粒子含有層の断面を模式的に示す図、(b)は上記抵抗変化機能体の概略断面を示す図、(c)は上記微粒子含有層の単位領域の構造を拡大して模式的に示す図である。
【図2】 上記抵抗変化機能体の電流対電圧(I−V)特性を測定した結果を示す図である。
【図3】 上記抵抗変化機能体の作製工程を説明するための図である。
【符号の説明】
101 絶縁体(シリコン酸化膜)
102 導電性微粒子(銀微粒子)
111 第1の電極
112 第2の電極
113 微粒子含有層
114 単位領域
121 第1の微粒子
122 第2の微粒子
123 第3の微粒子
124 第4の微粒子
300 基板
Claims (2)
- 第1の電極と第2の電極との間に挟まれた絶縁体中に、4個の導電性微粒子が互いに隣り合い、かつ互いに離間している単位領域が複数存在し、
上記4個の導電性微粒子のうち第1、第2の微粒子がそれぞれ上記第1、第2の電極に対して最も近くに位置し、残りの第3、第4の微粒子がそれぞれ上記絶縁体の厚さ方向に関して上記第1の微粒子と第2の微粒子との間に位置し、
上記第1の微粒子と第3の微粒子との間隔をd13、上記第2の微粒子と第3の微粒子との間隔をd23、上記第1の微粒子と第4の微粒子との間隔をd14、上記第2の微粒子と第4の微粒子との間隔をd24、上記第3の微粒子と第4の微粒子との間隔をd34としたとき、d13<d14かつd23<d24なる関係と、d13>d34かつd23>d34なる関係とを満たす抵抗変化機能体の動作方法であって、
上記第1の電極と上記第2の電極との間の印加電圧を高くするとき又は低くするときに、上記第1の微粒子、上記第3の微粒子、上記第2の微粒子を介した電流経路中の電子に対する上記第4の微粒子に蓄積された電荷の有無および多寡に応じたクーロン相互作用によって上記単位領域における電気抵抗を変化させて、上記第1の電極と上記第2の電極との間の電気抵抗を階段状に変化させることを特徴とする抵抗変化機能体の動作方法。 - 請求項1に記載の抵抗変化機能体の動作方法において、
上記第1の電極と上記第2の電極との間の印加電圧を高くするときと低くするときとの間で、電流対電圧特性におけるヒステリシスを得ることを特徴とする抵抗変化機能体の動作方法。
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