JP4438230B2 - ヒステリシス回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力電圧の分圧比が変化することによりヒステリシスが生成されるヒステリシス回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、特開2000−183702号公報に開示されているヒステリシス回路の電気的構成を示している。このヒステリシス回路1は、トランジスタQ1〜Q4、抵抗R1〜R6および定電流回路2から構成されており、出力トランジスタQ4を制御するトランジスタQ3のコレクタ電圧がトランジスタQ2のベースに正帰還された回路構成となっている。トランジスタQ3のオンオフ動作に応じてトランジスタQ2がオンオフ動作すると、抵抗R2、R3、R4からなる分圧回路の分圧比が変化する。その結果、入力電圧Vinの上昇時と下降時とにおいて、トランジスタQ3がオンするベース・エミッタ間電圧VF(約0.7V)に相当する入力電圧Vinの値(しきい値)が変化し、ヒステリシスが生成される。ここで、定電流回路2は、トランジスタQ3のオフ動作時においてトランジスタQ2および出力トランジスタQ4に対しベース電流を供給する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記ヒステリシス回路1をIC化し、それを例えば車載機器の制御装置(ECU)に適用しようとすると以下のような問題があった。
すなわち、車載用のICはノイズに対し厳しい環境下での使用となるため、確実な動作を保証するために各信号ごとにその入力部分にヒステリシス回路1を付加することが多い。また、車載用のICは非常に多くの信号を入出力する構成となっている。従って、車載用のICは、本来のECUとしての各種機能ブロックに加え多数のヒステリシス回路1を搭載しなければならず、このヒステリシス回路1の占める面積だけICのチップ面積を増大する必要が生じる。この点について、上記ヒステリシス回路1は、複数のトランジスタから構成される定電流回路2を備えた回路構成となっているため、チップ面積の増大が著しいという問題があった。
【0004】
また、上記ヒステリシス回路1における定電流回路2は、トランジスタQ3のオンオフ状態にかかわらず、絶えずトランジスタQ3またはQ2、Q4に電流を供給する回路構成となっている。つまり、ヒステリシス回路1は、信号が入力されていない無信号入力時においても回路内に定電流(暗電流)が流れ続けるため、多数のヒステリシス回路1を搭載したICでは全体の消費電流が非常に大きくなるという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、回路を構成する素子数が少なく、しかも無信号入力時における回路電流(暗電流)を遮断することができるヒステリシス回路を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した手段によれば、入力電圧が0Vから徐々に上昇していくと、それに伴って分圧回路から出力される分圧電圧も上昇する。この分圧電圧は第1のトランジスタをオンさせるための制御電圧つまりオン制御電圧であるため、分圧電圧がしきい値を超えると第1のトランジスタがオフからオンに変化する。これと同時に、スイッチ回路も第1のトランジスタと同じようにオフからオンへと変化し、出力端子にはこのスイッチ回路を介して第2の電源線の電圧が出力される。さらに、帰還回路は、この出力電圧が分圧電圧に対し正帰還されるように分圧比設定信号を生成するので、この分圧比設定信号に従って前記分圧回路の分圧比が変化して分圧電圧が一層高くなる。
【0007】
この状態から、入力電圧が徐々に低下していくと、それに伴って分圧回路から出力される分圧電圧も低下する。この場合、帰還回路により分圧電圧が高まるように分圧回路の分圧比が設定されているため、入力電圧の上昇時において第1のトランジスタがオフからオンに変化した時の入力電圧に比べ、入力電圧がより低下した時点で分圧電圧がしきい値を下回ることとなる。この差がヒステリシス幅となる。これにより、第1のトランジスタがオンからオフに変化し、スイッチ回路も第1のトランジスタと同じようにオンからオフへと変化する。この時、出力端子の電圧はインピーダンス回路により第1の電源線の電位に固定される。そして、帰還回路は、分圧回路による分圧電圧が一層低くなるように分圧比設定信号を変化させる。
【0008】
本手段によれば、従来構成に必要とされた定電流回路を必要としないため、回路を構成する素子数が少なくなり、IC化した場合のチップ占有面積を極力小さくできる。また、上記作用説明から分かるように、入力電圧が低下した無信号入力時において、第1のトランジスタとスイッチ回路とがともにオフ状態となるため、これらに電流が流れることがなくなり、回路電流(暗電流)が遮断される。その結果、消費電流(消費電力)を低減でき、IC化した場合におけるICの発熱量や当該ICの駆動電源(例えばバッテリ)の電力消費量を低減することができる。
【0009】
1のトランジスタのオフ状態にあっては抵抗の電圧降下は0となり、オン状態にあっては抵抗に電圧降下が発生する。この抵抗の電圧降下は第2のトランジスタをオンさせるための制御電圧つまりオン制御電圧となるため、第1のトランジスタと第2のトランジスタとは同じオンオフ状態で動作することとなる。
【0010】
圧比設定信号に基づいて第3のトランジスタがオフした状態では、入力電圧は、入力端子と第1の電源線との間に直列接続された複数の分圧抵抗により定まる分圧比に従って分圧される。これに対し、分圧比設定信号に基づいて第3のトランジスタがオンした状態では、上記分圧抵抗のうち第3のトランジスタが並列接続された分圧抵抗が短絡された状態となるので、入力電圧は、その短絡された分圧抵抗を除いた残りの分圧抵抗により定まる分圧比に従って分圧される。
【0011】
請求項に記載した手段によれば、帰還回路である第4のトランジスタが出力端子の電圧を制御電圧としてオンオフ動作することにより、分圧比設定信号を生成する。
【0012】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、ヒステリシス回路の電気的構成を示す図1を参照しながら説明する。
この図1に示すヒステリシス回路11は、例えば図示しない車載機器の制御装置(ECU)に用いられているIC内に形成されている。こうした車載用ICは厳しいノイズ環境下で使用されるため、確実な動作を保証するために各信号ごとにその入力部分にヒステリシス回路11が付加されることが多い。また、車載用ICは非常に多くの信号を入出力する構成となっているため、IC内には多数のヒステリシス回路11が形成されている。
【0013】
図1において、ICの電源端子12、13にはそれぞれ図示しない車載バッテリの正側端子、負側端子が接続されるようになっており、これら電源端子12、13はIC内部においてそれぞれ電源線14、15(第2、第1の電源線に相当)に接続されている。当該ICに内蔵される各機能ブロック(図示せず)は、これら電源線14、15の間に接続され、その電源電圧VBにより動作するようになっている。IC外部からの入力電圧Vinは入力端子16を介してヒステリシス回路11に与えられ、そのヒステリシス回路11の出力電圧Vcはノード17(出力端子に相当)を介して上記機能ブロックに与えられるようになっている。なお、図1には1組の入力端子16、ヒステリシス回路11およびノード17のみが示されているが、実際のICには複数組が形成されている。
【0014】
さて、ヒステリシス回路11は、NPN形のトランジスタQ11、Q12、Q13と、それとは異なる接合形式(つまりPNP形)のトランジスタQ14と、抵抗R11〜R18とから構成されている。ここで、トランジスタQ11、Q12、Q13、Q14は、それぞれ本発明における第4のトランジスタ、第3のトランジスタ、第1のトランジスタ、第2のトランジスタに相当するもので、これらは全てエミッタ接地の回路形態で用いられている。
【0015】
入力端子16と電源線15との間には、入力電圧Vinを分圧しその分圧電圧Vaを出力する分圧回路18が接続されている。この分圧回路18において、入力端子16と電源線15との間には分圧抵抗に相当する抵抗R12、R13、R14が直列接続されており、抵抗R14の両端子間にはトランジスタQ12のコレクタ・エミッタ間が並列に接続されている。このトランジスタQ12のベースは、抵抗R11を介して入力端子16に接続され、そのベースに与えられる電圧は本発明でいう分圧比設定信号に相当する。
【0016】
分圧回路18の出力ノードである抵抗R12とR13との共通接続点は、トランジスタQ13のベースに接続されており、そのトランジスタQ13のコレクタは抵抗R17とR16とを介して電源線14に接続されている。電源線14とノード17との間およびノード17と電源線15との間には、それぞれトランジスタQ14(スイッチ回路に相当)のエミッタ・コレクタ間および抵抗R18(インピーダンス回路に相当)が接続されており、抵抗R16とR17との共通接続点はトランジスタQ14のベースに接続されている。さらに、ノード17は抵抗R15を介してトランジスタQ11(帰還回路に相当)のベースに接続され、そのトランジスタQ11のコレクタは上記分圧回路18の入力ノードであるトランジスタQ12のベースに接続されている。
【0017】
次に、ヒステリシス回路11の動作を、入力電圧Vinの上昇時と下降時とに分けてそれぞれ説明する。なお、以下の説明においては、便宜上、抵抗R12、R13、R14の抵抗値をそれぞれ符号と同じ記号により表している。
【0018】
(A)入力電圧Vinの上昇時
入力電圧Vinが0Vの時(無信号入力時)、トランジスタQ11〜Q14は全てオフ状態となり、出力電圧Vcは抵抗R18の作用によって電源線15の電位である0Vに固定される。この時、電源線14からヒステリシス回路11を通して電源線15に流れる電流(暗電流)は0となる。この状態から入力電圧Vinが上昇すると、その入力電圧Vinは抵抗R11を介してトランジスタQ12のベースに印加され、上昇過程においてトランジスタQ12がオン可能なベース・エミッタ間電圧VF(約0.7V)に達すると、トランジスタQ12が入力端子16からベース電流の供給を受けてオンする。この時、抵抗R14の両端電圧はほぼ0Vとなる。これ以降、分圧回路18は入力電圧Vinを以下の(1)式に従って分圧する。
Va=R13/(R12+R13)×Vin …(1)
【0019】
やがて、トランジスタQ13のオン制御電圧に相当する分圧電圧VaがVFに達すると、トランジスタQ13がオフ状態からオン状態に反転する。この反転時の入力電圧(以下、しきい値電圧Vthと称す)は(2)式のようになる。
Vth=(1+R12/R13)×VF …(2)
【0020】
トランジスタQ13がオンすると、抵抗R16に電圧降下が生じるため、その電圧降下をオン制御電圧とするトランジスタQ14も同じくオフ状態からオン状態に反転し、出力電圧Vcは電源電圧VBにほぼ等しくなる。そして、この出力電圧Vcは、抵抗R15を介してトランジスタQ11のベース電圧を上昇させるので、トランジスタQ11もオフ状態からオン状態に反転する。その結果、分圧比設定信号であるトランジスタQ12のベース電圧がほぼ0Vになり、トランジスタQ12はオン状態からオフ状態に反転する。この状態では、分圧回路18は入力電圧Vinを以下の(3)式に従って分圧する。ただし、分圧電圧VaがVFを超えようとするとトランジスタQ13のベース電流が増加するので、分圧電圧VaはVFに保持される。
Va=(R13+R14)/(R12+R13+R14)×Vin …(3)
【0021】
(B)入力電圧Vinの下降時
上述したように、入力電圧Vinが一旦しきい値電圧Vthを超えると、トランジスタQ11、Q13、Q14がオン、トランジスタQ12がオフとなり、分圧回路18の分圧比が(3)式に従うようになる。この状態から入力電圧Vinが下降し、やがて分圧電圧VaがVFよりも低下すると、トランジスタQ13がオン状態からオフ状態に反転する。この反転時の入力電圧(以下、しきい値電圧Vtlと称す)は(4)式のようになる。
Vtl=(1+R12/(R13+R14))×VF …(4)
【0022】
トランジスタQ13がオフすると抵抗R16の電圧降下が消失するため、トランジスタQ14もオン状態からオフ状態に反転し、出力電圧Vcは0Vとなる。その結果、トランジスタQ11のベース電圧が0VとなるのでトランジスタQ11はオン状態からオフ状態に反転し、分圧比設定信号であるトランジスタQ12のベース電圧は入力電圧Vinに等しくなる。これにより、分圧回路18は再び入力電圧Vinを(1)式に従って分圧するようになる。
【0023】
以上述べた(A)および(B)の説明から明らかになるように、(2)式で示されるしきい値電圧Vthと(4)式で示されるしきい値電圧Vtlとの差電圧ΔVがヒステリシス幅となる。また、帰還回路であるトランジスタQ11は、出力電圧Vcが上昇すると分圧電圧Vaを上昇させるように正帰還をかける作用を有している。
【0024】
このヒステリシス回路11によれば、以下の効果を得ることができる。
すなわち、トランジスタQ13は分圧回路18からの分圧電圧Vaをオン制御電圧としてオンオフ動作し、トランジスタQ14はそのトランジスタQ13の出力電圧である抵抗R16の両端電圧によりオンオフ動作する構成であるため、従来構成(図5参照)に必要とされた定電流回路が不要となる。その結果、ヒステリシス回路11を構成する素子数を低減でき、チップ占有面積を極力小さくできる。
【0025】
また、入力電圧Vinが低下した無信号入力時において、電源線14、15の間に介在するトランジスタQ13とQ14とがともにオフ状態となるので、電源線14からヒステリシス回路11を通して電源線15に流れる電流が0となり、暗電流を遮断することができる。その結果、ICの消費電流(消費電力)を低減でき、IC自体の発熱や当該ICの電源端子12、13に接続された車載バッテリの電力消費を低減することができる。
【0026】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、ヒステリシス回路の電気的構成を示す図2を参照しながら説明する。
この図2に示すヒステリシス回路19は、上述したヒステリシス回路11に対し対称的な回路構成を備えている。すなわち、電源線14、15がそれぞれ第1、第2の電源線に相当し、電源端子12の電位を基準電位として入力端子16との間に入力電圧Vinが与えられるようになっている。ここで、ヒステリシス回路19を構成するPNP形のトランジスタQ15、Q16、Q17、NPN形のトランジスタQ18、抵抗R19〜R26は、それぞれヒステリシス回路11を構成するトランジスタQ11、Q12、Q13、トランジスタQ14、抵抗R11〜R18に相当し、さらに分圧回路20は上述した分圧回路18に相当する。
【0027】
このヒステリシス回路19は、電圧に関してヒステリシス回路11と対称的な動作を行う。すなわち、入力電圧Vinが電源電圧VBの時(無信号入力時)、トランジスタQ15〜Q18が全てオフ状態となり、出力電圧Vcは抵抗R26の作用によって電源線14の電位である電源電圧VBに固定される。この状態から入力電圧Vinが低下すると、その低下過程においてトランジスタQ16がオンとなり、やがてトランジスタQ17がオフ状態からオン状態に反転する。この反転時の入力電圧(しきい値電圧Vth)は(5)式のようになる。
Vth=VB−(1+R20/R21)×VF …(5)
【0028】
トランジスタQ17がオンすると抵抗R24に電圧降下が生じるため、トランジスタQ18も同じくオフ状態からオン状態に反転し、出力電圧Vcはほぼ0Vになる。これにより、トランジスタQ15はオフ状態からオン状態に反転し、トランジスタQ16はオン状態からオフ状態に反転する。
【0029】
その後、入力電圧Vinが上昇し、やがて分圧電圧Vaが(VB−VF)よりも上昇すると、トランジスタQ17がオン状態からオフ状態に反転する。この反転時の入力電圧(しきい値電圧Vtl)は(6)式のようになる。
Vtl=VB−(1+R20/(R21+R22))×VF …(6)
【0030】
トランジスタQ17がオフするとトランジスタQ18もオン状態からオフ状態に反転し、出力電圧Vcは電源電圧VBに等しくなる。その結果、トランジスタQ15がオン状態からオフ状態に反転し、分圧比設定信号であるトランジスタQ16のベース電圧は入力電圧Vinに等しくなる。以上の動作により、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0031】
(第3の実施形態)
次に、本発明のヒステリシス回路を内部電源回路に適用した第3の実施形態について、電気的構成を示す図3を参照しながら説明する。
この図3に示す内部電源回路21は、入力端子16に与えられる入力電圧Vinのレベルに応じて、IC内部で用いられる一定の電源電圧Vd(以下、内部電源電圧Vdと称す)を生成する回路である。この内部電源回路21は、上述したヒステリシス回路11、定電流回路22および定電圧回路23が縦続に接続された構成となっている。ここで、定電流回路22は、トランジスタQ19〜Q22および抵抗R27〜R30から構成された周知の自己バイアス方式による定電流回路である。また、定電圧回路23は、トランジスタQ23、Q24、ダイオードD1およびツェナーダイオードZD1から構成され、生成した内部電源電圧Vdをノード24を介してIC内部の各機能ブロック(図示せず)に供給するようになっている。
【0032】
さて、この内部電源回路21の入力端子16に与えられる入力電圧Vinが0Vの時には、第1の実施形態で説明した通りトランジスタQ14がオフとなり、ノード17の電圧Vcも0Vとなる。この場合、定電流回路22および定電圧回路23のトランジスタQ19〜Q24は全てオフとなり、内部電源回路21がノード24から電気的に切り離された状態となる。そして、電源線14から内部電源回路21を通して電源線15に流れる電流が0となり、暗電流を遮断することができる。
【0033】
一方、入力電圧Vinが0Vから上昇して(2)式で示されるしきい値電圧Vthに達すると、トランジスタQ14がオフ状態からオン状態に反転し、ノード17の電圧Vcが電源電圧VBに等しくなる。これにより、定電流回路22および定電圧回路23のトランジスタQ19〜Q24が全てオンとなり、トランジスタQ21とQ23のエミッタ面積が同じ場合、定電圧回路23のダイオードD1とツェナーダイオードZD1との直列回路に一定電流I1(=VF/R28)が流れる。その結果、定電圧回路23においてトランジスタQ24のベース電位が一定化され、内部電源電圧VdはツェナーダイオードZD1のツェナー電圧Vzに等しくなる。ただし、トランジスタQ23のコレクタ・エミッタ間飽和電圧をVsat とすると、電源電圧VBが(Vz+VF+Vsat )よりも低下した場合には、内部電源電圧Vdは(VB−Vsat −VF)となる。
【0034】
以上説明した内部電源回路21によれば、ICの入力端子16と定電流回路22の入力ノード17との間にヒステリシス回路11が設けられているので、入力電圧Vinにノイズが重畳する場合あるいは電源線14、15の電位が変動するような場合であっても、そのノイズ電圧あるいは変動電圧がヒステリシス幅ΔVよりも小さい限り内部電源回路21の不安定動作(例えば発振)を防止することができる。従って、ノイズが重畳し易く電源線14、15の電位が変動し易いIC、例えば電流が多く流れる駆動用ICに上記ヒステリシス回路11を適用すると安定動作のためにより効果的となる。
【0035】
(第4の実施形態)
図4は、本発明の第4の実施形態を示すヒステリシス回路の電気的構成図である。この図4に示すヒステリシス回路25は、上述したヒステリシス回路11に対し、NPN形のトランジスタQ11、Q12、Q13に替えてNチャネル型のMOSトランジスタQ25、Q26、Q27を採用し、PNP形のトランジスタQ14に替えてPチャネル型のMOSトランジスタQ28を採用した構成となっている。ここで、トランジスタQ25、Q26、Q27、Q28は、それぞれ本発明における第4のトランジスタ(帰還回路)、第3のトランジスタ、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ(スイッチ回路)に相当する。また、トランジスタQ26と抵抗R11〜R14から分圧回路26が構成されている。
【0036】
本実施形態によれば、バイポーラトランジスタのベース・エミッタ間電圧VFをMOSトランジスタのしきい値電圧VTで置き替えることにより、第1の実施形態で示した(1)式〜(4)式がそのまま成立し、第1の実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0037】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に示す各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変形または拡張が可能である。
分圧回路を、例えば従来構成(図5参照)におけるトランジスタQ2と抵抗R2〜R4とからなる回路と同様に構成しても良い。
インピーダンス回路は、トランジスタQ14(またはQ18、Q28)がオフの状態においてノード17の電位を固定するように作用するものであれば、抵抗R18、R26に限られない。また、入力端子16からトランジスタQ12にベース電流を供給するために、抵抗R11に替えて他のインピーダンス回路を用いても良い。
第4の実施形態に示したヒステリシス回路25についても、第2の実施形態に示したヒステリシス回路19と同様の回路形態への変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すヒステリシス回路の電気的構成図
【図2】本発明の第2の実施形態を示す図1相当図
【図3】本発明の第3の実施形態を示す内部電源回路の電気的構成図
【図4】本発明の第4の実施形態を示す図1相当図
【図5】従来技術を示す図1相当図
【符号の説明】
11、19、25はヒステリシス回路、14は電源線(第2の電源線/第1の電源線)、15は電源線(第1の電源線/第2の電源線)、16は入力端子、17はノード(出力端子)、18、20、26は分圧回路、Q11、Q15、Q25はトランジスタ(第4のトランジスタ、帰還回路)、Q12、Q16、Q26はトランジスタ(第3のトランジスタ)、Q13、Q17、Q27はトランジスタ(第1のトランジスタ)、Q14、Q18、Q28はトランジスタ(第2のトランジスタ、スイッチ回路)、R12、R13、R14、R20、R21、R22は抵抗(分圧抵抗)、R18、R26は抵抗(インピーダンス回路)である。

Claims (2)

  1. 入力端子と第1の電源線との間に与えられる入力電圧を分圧比設定信号に応じた分圧比により分圧して出力する分圧回路と、
    この分圧回路から出力される分圧電圧をオン制御電圧としてオンオフ動作する第1のトランジスタと、
    第2の電源線と出力端子との間に接続され、前記第1のトランジスタの出力電圧に基づいて前記第1のトランジスタと同じオンオフ状態となるように動作するスイッチ回路と、
    前記出力端子と前記第1の電源線との間に接続されたインピーダンス回路と、
    前記出力端子の電圧が前記分圧電圧に対し正帰還されるように前記分圧比設定信号を生成する帰還回路とを備え
    前記第2の電源線と前記第1の電源線との間に抵抗と前記第1のトランジスタとが直列に接続され、
    前記スイッチ回路は、前記第1のトランジスタとは異なる接合形式を有し、且つ前記抵抗の電圧降下をオン制御電圧としてオンオフ動作する第2のトランジスタから構成されており、
    前記分圧回路は、前記入力端子と前記第1の電源線との間に直列接続された複数の分圧抵抗と、これら分圧抵抗の一部に並列に接続され前記分圧比設定信号に基づいてオンオフ動作する第3のトランジスタと、前記入力端子と前記第3のトランジスタのベースまたはゲートの間に接続された抵抗とを備えて構成されていることを特徴とするヒステリシス回路。
  2. 前記帰還回路は、前記出力端子の電圧を制御電圧としてオンオフ動作することにより前記分圧比設定信号を出力する第4のトランジスタから構成されていることを特徴とする請求項1記載のヒステリシス回路。
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