JP4437902B2 - 部品取付用クリップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ピラーガーニッシュ、ルーフガーニッシュ等の内装部品を車体パネルに取り付ける際に使用する部品取付用クリップに係り、特に、車体パネルに対する挿入力を軽減できる一方、抜き去り力を増大させることにより、車体パネルに対する取付作業性を高めるとともに、取付安定性を向上させた部品取付用クリップに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、図6は車室内側部の外観図であり、図示しない車体パネルに対して、フロントピラーガーニッシュ1、センターピラーガーニッシュ2、リヤピラーガーニッシュ3等のピラーガーニッシュやルーフサイドガーニッシュ4等の内装部品が取り付けられている。
【0003】
そして、これらピラーガーニッシュ1〜3や、ルーフサイドガーニッシュ4は、合成樹脂の射出成形体から構成され、車体パネルに取り付けるために、例えば、図7に示すように、センターピラーガーニッシュ2の取付部裏面には、クリップ5が一体形成されている。このクリップ5は、先端5aで繋がる左右略対称な弾性脚片6a,6bを備えており、車体パネルのクリップ孔内にクリップ5を圧入すれば、弾性脚片6a,6bが撓み変形し、その後、初期形状に復元することで、センターピラーガーニッシュ2が車体パネルに取り付けられる(特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭59−120542号公報 (第2頁、第9図、第10図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のピラーガーニッシュ1〜3や、ルーフサイドガーニッシュ4等の内装部品を車体パネルに取り付けるために、クリップ5が内装部品の裏面に一体化されるか、あるいは、内装部品の裏面にクリップ取付座を一体化して、このクリップ取付座に別物のクリップを装着して車体パネルに取り付ける構成が知られている。
【0006】
例えば、図8(a)は、クリップ5を車体パネル7のクリップ孔7aに挿入する状態、図8(b)は、車体パネル7のクリップ孔7aに圧入しているクリップ5を抜き去る状態をそれぞれ示しており、実際の取付作業としては、内装部品取付時、クリップ5を車体パネル7のクリップ孔7aに挿入する挿入力が小さいほうが作業性が良く、逆に、クリップ5をクリップ孔7aから抜き去る時の抜き去り力が大きいほうが不用意に部品が車体パネルから脱落することがなく、取付安定性を向上させる点で好ましい。
【0007】
しかし、従来のクリップ5においては、図9に示すように、クリップ5の挿脱時には、例えば、クリップ5の一方側の弾性脚片6aは、4点(s1〜s4)で支持されるため、挿入時及び抜き去り時共にほぼ同一の荷重(挿入時の荷重F、抜き去り時の荷重fで示す)が図中斜線で示すA部に加わることになる。
【0008】
そして、このクリップ5の挿脱時のチューニング作業は、図7中符号bで示すクリップ5の拡開部の幅寸法を調整することで対応している。すなわちb寸法を大きくすれば、挿脱力F,fが共に高くなり、逆にb寸法を小さくすれば、挿脱力F,fが共に小さくなる。
【0009】
また、このb寸法のチューニングは、スライド駒が抜けるように考慮する必要があるため、サンプル作製も含め、チューニング作業に煩雑さを伴なうという問題点が従来から指摘されている。
【0010】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ピラーガーニッシュ等の内装部品をクリップを介して車体パネルに取り付ける際、取付作業性並びに取付安定性を高めることができるとともに、クリップの挿入時、並びに抜き去り時における荷重調整のチューニング作業が容易に行なえる部品取付用クリップを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、内装部品の裏面に一体形成されるか、あるいは内装部品の裏面に設けたクリップ取付座に取り付けられ、車体パネルのクリップ孔内に圧入嵌合される部品取付用クリップであって、このクリップは、先端で繋がる左右略対称の弾性脚片を備え、上記弾性脚片における先端側部分の幅寸法を小さく、一方、基端側部分の幅寸法を大きく設定することにより、車体パネルのクリップ孔内にクリップを挿脱する際、挿入力に比べ抜き去り力を大きく確保したことを特徴とする。
【0012】
ここで、内装部品としては、フロントピラーガーニッシュ、センターピラーガーニッシュ、リヤピラーガーニッシュ等のピラーガーニッシュ類やルーフサイドガーニッシュ等に適用でき、内装部品を車体パネルに取り付けるためのクリップは、これら内装部品の裏面に一体形成することができるが、内装部品裏面にエンボス状のクリップ取付座を形成し、このクリップ取付座の係止孔にクリップを装着する構造を採用することもできる。このクリップとしては、樹脂クリップ、あるいは内装部品と別体の場合には、金属クリップを使用することもできる。
【0013】
そして、本発明に係る部品取付用クリップによれば、内装部品のクリップを車体パネルのクリップ孔内に挿脱する際、クリップ挿入時は、クリップの弾性脚片における先端側部分が撓み、かつクリップの抜き去り時は、クリップの弾性脚片における基端側部分が撓むことになる。従って、弾性脚片における先端側部分の幅寸法が小さく、逆に基端側部分の幅寸法が大きく設定されているため、挿入時における荷重が小さくて済み、かつ抜き去り時における荷重が大きくなる。
【0014】
すなわち、車体パネルに内装部品を取り付ける時は僅かな力で押圧するだけで車体パネルに取り付けることができるとともに、逆に車体パネルから内装部品を取り外す際は、大きな力が必要となり、それだけ内装部品が不用意に脱落することがなく、内装部品の取付安定性を高めることができる。
【0015】
更に、クリップの挿入力と抜き去り力をチューニング調整する際、従来のように弾性脚片同士の相対距離を調整するのではなく、弾性脚片の幅寸法を調整するだけであるため、挿入時及び抜き去り時のチューニングを個別に行なうことができ、精度の良いチューニング作業が期待できる。
【0016】
次いで、本発明の好ましい実施態様は、前記クリップにおける弾性脚片の先端側部分には、撓み性を増大させる切欠が設けられていることを特徴とする。
【0017】
この実施態様のように、クリップを内装部品と一体化する際、成形金型に付設されるスライド駒によりクリップを成形するとともに、スライド駒の切欠加工でクリップ抜き去り力を増加させるチューニングを行なうことができるため、チューニングにかかるコストを低減することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る部品取付用クリップの好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は車両の側壁パネルに装着される各種ピラーガーニッシュを示す外観図、図2は本発明に係る部品取付用クリップを適用してセンターピラーガーニッシュを車体パネルに取り付ける構造を示す断面図、図3は本発明に係る部品取付用クリップの一実施形態を示す説明図、図4は図3に示すクリップの挿脱時における荷重の負荷状態を示す説明図、図5は本発明の別実施形態を示すクリップの斜視図である。
【0020】
図1において、車両のフロントウインドウガラス(図示せず)とサイドウインドウガラス(フロント側)W1の間にフロントピラーガーニッシュ10が内装されている。更に、サイドウインドウガラス(フロント側)W1、サイドウインドウガラス(リヤ側)W2間にセンターピラーガーニッシュ11が位置しており、サイドウインドウガラス(リヤ側)W2の後方にリヤピラーガーニッシュ12が内装されている。
【0021】
そして、フロントピラーガーニッシュ10とリヤピラーガーニッシュ12のそれぞれ上端を繋ぐように、ルーフの側部に沿ってルーフサイドガーニッシュ13が取り付けられている。
【0022】
上記ピラーガーニッシュ10〜12、ルーフサイドガーニッシュ13は、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂や、ABS樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂等、汎用の合成樹脂の射出成形体から構成されている。
【0023】
図2にセンターピラーガーニッシュ11の取付構造を示すように、車体パネル(センターピラーパネル)20のクリップ孔21に対してセンターピラーガーニッシュ11裏面に設けたクリップ30を圧入嵌合することにより、センターピラーガーニッシュ11が車体パネル20に取り付けられている。尚、図示はしないが、フロントピラーガーニッシュ10、リヤピラーガーニッシュ12、ルーフサイドガーニッシュ13も同様の取付構造を採用して車体パネル20側に内装される。
【0024】
ところで、本発明に係る部品取付用クリップ30は、センターピラーガーニッシュ11を車体パネル20に対して僅かな取付力で取り付けることができるとともに、車体パネル20から取り外す時は大きな力を必要とし、それだけ取付安定性を高めることができる。
【0025】
更に、クリップ30を車体パネル20のクリップ孔21に挿入する挿入力と抜き去る時の抜き去り力を個別にチューニングでき、しかも、チューニング作業を従来に比べ簡素化したことが特徴である。
【0026】
すなわち、図3に示す形状のクリップ30を採用したことが構成上の特徴である。このクリップ30は、センターピラーガーニッシュ11と一体に成形され、先端31で繋がるように左右略対称の弾性脚片32a,32bが備わっている。
【0027】
そして、左右略対称の弾性脚片32a,32bにおける先端側部分33a,33bは、弾性脚片32a,32bの幅寸法a1が小さく設定され、逆に弾性脚片32a,32bにおける基端側部分34a,34bの幅寸法a2が大きく設定されている。
【0028】
更に、クリップ30を車体パネル20のクリップ孔21に圧入嵌合する際、クリップ孔21の縁部と当接する部分である当接部(図3中Pで示す)がクリップ30の先端31から最も離れた部分になるように、V形状の切欠35a,35bが形成されている。
【0029】
従って、センターピラーガーニッシュ11を車体パネル20に取り付ける際、及び車体パネル20から取り外す際の荷重の負荷状態を図4において示すように、クリップ30の一方側の弾性脚片32aに着目した場合、弾性脚片32aの先端側部分33aの幅寸法a1が小さく、逆に基端側部分34aの幅寸法a2が大きく設定されていることから、弾性脚片32aは3点S1,S2,S3により支持されることになる。
【0030】
更に、車体パネル20のクリップ孔21と当接する当接部Pは、クリップ30の先端31から最も離れているため、撓み易くなっているとともに、クリップ30を車体パネル20のクリップ孔21に挿入する時の挿入力は、図4中F1で示すように、幅寸法の小さい先端側部分33aにかかるため、弾性脚片32aが簡単に撓み変形する。
【0031】
逆に、弾性脚片32aの基端側部分34aは、幅寸法a2が大きいため、クリップ30を車体パネル20のクリップ孔21から引き抜く時の抜き去り力(図中F2で示す)は非常に大きくなる。
【0032】
従って、クリップ30の挿入力F1が小さく、逆にクリップ30の抜き去り力F2が大きく調整されているため、センターピラーガーニッシュ11のクリップ30を車体パネル20のクリップ孔21に嵌合する際には、僅かな力で押すだけで簡単にクリップ30を車体パネル20のクリップ孔21内に挿入でき、取付作業性を高めることができるとともに、逆にクリップ30を引き抜く時は過大の力を必要とすることで、取付安定性を高めることができる。
【0033】
更に、本発明においては、クリップ30挿入時の挿入力F1と、クリップ30抜き去り時の抜き去り力F2とをそれぞれ独立してチューニングすることができ、かつクリップ30における弾性脚片32a,32bの幅寸法a1,a2を変更するだけで精度良くチューニングが行なわれるため、精度の良いチューニング作業を簡単に実施できるという利点がある。
【0034】
図5は、本発明に係る部品取付用クリップ30の別実施形態を示すもので、上述した実施形態と異なる点は、切欠35a,35bを弾性脚片32a,32bの先端側部分33a,33bから基端側部分34a,34bにかけて特に基端側に向けて傾斜するように設けられていることである。
【0035】
このような加工は、クリップ30をセンターピラーガーニッシュ11と一体成形する際に使用するスライド駒を切欠加工するだけで対応でき、チューニング作業に要するコストを軽減できるという効果がある。
【0036】
以上説明した実施形態は、センターピラーガーニッシュ11の裏面にクリップ30を一体形成したものであるが、センターピラーガーニッシュ11の裏面にエンボス状のクリップ取付座を一体形成し、クリップ取付座に、別体のクリップを装着しても良い。その場合は、クリップに挿入用のフランジが必要となり、別体のクリップとしては樹脂クリップでも金属クリップでも準用することができる。
【0037】
このように、本発明に係る部品取付用クリップは、車体パネルの室内側に取り付けられる内装部品全般に適用できる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明に係る部品取付用クリップは、クリップの弾性脚片における先端側部分の幅寸法を小さく、逆に基端側部分の幅寸法を大きく設定するというものであるから、クリップ挿入力を小さく、逆にクリップ抜き去り力を大きくできるため、車体パネルに対する内装部品の取付作業性を高め、かつ、走行中の振動等により不用意に脱落することがなく、取付安定性を高めることができるという効果を有する。
【0039】
更に、弾性脚片の先端側部分の幅寸法を調整することで、クリップ挿入時における挿入力をチューニング調整でき、基端側部分の幅寸法を調整することで、抜き去り力のチューニング調整が可能となり、クリップの挿入時、及び抜き去り時におけるそれぞのチューニング作業を精度良く、かつ個別に行なえるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る部品取付用クリップを適用して車体パネルに取り付けた各種ピラーガーニッシュ、ルーフサイドガーニッシュを示す外観図である。
【図2】図1に示すセンターピラーガーニッシュを車体パネルに取り付ける取付構造を示す図1中II−II線断面図である。
【図3】図2に示すセンターピラーガーニッシュの裏面に一体化されたクリップの形状を示す説明図である。
【図4】図3に示すクリップの挿脱時に加わる荷重分布を示す説明図である。
【図5】本発明に係る部品取付用クリップの別の実施形態を示す説明図である。
【図6】従来の各種ピラーガーニッシュ、ルーフサイドガーニッシュを示す外観図である。
【図7】従来のクリップを示す説明図である。
【図8】車体パネルに対する従来のクリップの挿脱状態を示す(a)挿入時の状態、(b)抜き去り時の状態をそれぞれ示す説明図である。
【図9】従来のクリップの挿脱時に加わる荷重分布を示す説明図である。
【符号の説明】
10 フロントピラーガーニッシュ
11 センターピラーガーニッシュ
12 リヤピラーガーニッシュ
13 ルーフサイドガーニッシュ
20 車体パネル(センターピラーパネル)
21 クリップ孔
30 クリップ
31 先端
32a,32b 弾性脚片
33a,33b 先端側部分
34a,34b 基端側部分
35a,35b 切欠
a1 先端側部分の幅寸法
a2 基端側部分の幅寸法
P 当接部
F1 挿入力
F2 抜き去り力

Claims (3)

  1. 内装部品(11)の裏面に一体形成されるか、あるいは内装部品(11)の裏面に設けたクリップ取付座に取り付けられ、車体パネル(20)のクリップ孔(21)内に圧入嵌合される部品取付用クリップ(30)であって、このクリップ(30)は、先端(31)で繋がる左右略対称の弾性脚片(32a,32b)を備え、上記弾性脚片(32a,32b)における先端側部分(33a,33b)の幅寸法(a1)を小さく、一方、基端側部分(34a,34b)の幅寸法(a2)を大きく設定することにより、車体パネル(20)のクリップ孔(21)内にクリップ(30)を挿脱する際、挿入力(F1)に比べ抜き去り力(F2)を大きく確保したことを特徴とする部品取付用クリップ。
  2. 前記クリップ(30)における弾性脚片(32a,32b)の先端側部分(33a,33b)には、撓み性を増大させる切欠(35a,35b)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の部品取付用クリップ。
  3. 前記クリップ(30)の弾性脚片(32a,32b)に設けられる切欠(35a,35b)の形状は、クリップ(30)成形時におけるスライド駒の切欠により対応させることを特徴とする請求項2に記載の部品取付用クリップ。
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