JP4436728B2 - スローアウェイ工具用収納ケース - Google Patents

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Description

本発明は、スローアウェイ工具を収納するスローアウェイ工具用収納ケースに関するものである。
スローアウェイ工具(以下、工具と称する。)を工具ホルダに取り付けて切削加工するスローアウェイ式工具が汎用されている。かかるスローアウェイ式工具においては、工具の切刃が寿命に達した時点で新しい工具に交換されるため、一般的に工具は複数個単位で販売されている。
従来この種の収納ケースとしては、例えば、特許文献1、2のように格子状の中枠で仕切られた10個の略四角形状の収納部を有する箱型のプラスチック収納ケースが一般的であり(図5参照)、この略四角形状の収納部に工具が1個ずつ収納されていた。
登録実用新案3005108号公報 特開平9−132240号公報
しかしながら、上記のようなプラスチックケースの略四角形状の収納部に工具を収納する方法では、前記収納部の大きさに比べてそこへ収納される工具の大きさが小さいために、工具を収納したケースを取り扱う際や運搬の際に工具が収納部内で動いてしまい、収納ケースの中枠や内壁に衝突していた。このために、工具の切刃にチッピングや欠損が生じたり、切刃にプラスチック等の異物が付着する恐れがあった。また、場合によっては、工具の切刃がプラスチックからなる収納ケースの壁面を傷つけてしまうこともあった。さらに、工具がプラスチックケースに衝突することによって生じる衝突音が雑音として不具合となる場合もあった。
本発明は上記課題を解消するものであり、その目的は、スローアウェイ工具の切刃を確実に保護できるとともに、雑音の生じないスローアウェイ工具用収納ケースを提供することにある。
本発明者は、以下の構成からなるスローアウェイ工具用収納ケースとすることにより、上記課題を解消できることを発明した。
すなわち、本発明のスローアウェイ工具用収納ケースは、スローアウェイ工具が収納されるスローアウェイ工具用収納ケースであって、硬質プラスチックからなるケース基体の中に、プラスチック薄板からなり前記スローアウェイ工具を指または爪を入れて前記スローアウェイ工具を取り出せる隙間が存在する状態で収納する収納凹部(ただし、収納凹部内に、中央部に貫通孔が穿設された前記スローアウェイ工具を固定する突起部が設けられたものを除く。)を具備する緩衝部材をはめ込んでなり、かつ前記ケース基体の中が複数の前記スローアウェイ工具を個別に隔離して収納するための中枠にて仕切られているとともに、前記緩衝部材の隣接する前記収納凹部間の隔壁部に前記中枠が位置するようにはめ込んでなり、前記収納凹部と前記ケース基体の底面との間に隙間が存在するように前記収納凹部が上げ底になっていることを特徴とするものである。
ここで、前記ケース基体の中が複数の前記スローアウェイ工具を隔離して収納するための中枠にて仕切られているとともに、前記緩衝部材の隣接する前記収納凹部間の隔壁部に前記中枠が位置するようにはめ込んでなることが、中枠が補強材として機能して緩衝部材の保形性がよく、安定した収納が可能である点で重要である
また、前記ケース基体と前記緩衝部材とを接着してなることが、緩衝部材がケース基体から浮き上がったり、外れたりすることなく、スローアウェイ工具が安定して収納できるとともに収納ケースを長期にわたって安定して使用可能な点で望ましい。
さらに、前記ケース基体の中枠と前記緩衝部材の隔壁部との少なくとも一部を接着してなることが、緩衝部材がケース基体から浮き上がることを効率よく防止できるとともに製造上容易である点で望ましい。
さらには、前記プラスチック薄板の厚みが20〜300μmであることが、緩衝部材の保形性がよく、かつ、たわむことができてスローアウェイ工具の衝撃をより効率よく吸収できる点で望ましい。
また、前記収納凹部を平面視したとき多角形状をなして角部にRを有する形状であることが、収納凹部が変形することなく保形でき、かつ角部で緩衝部材が破れたりすることなく長期間にわたって安定して使用可能な点で望ましい。
さらに、前記収納凹部と前記ケース基体の底面との間に隙間が存在するように前記収納凹部が上げ底になっていることが、スローアウェイ工具の衝撃をより効率よく吸収できるとともに厚みの薄いスローアウェイ工具を収納して取り出す際に容易に取出しができる点で重要である
また、前記緩衝部材の隔壁部の一部に切欠きが存在することが、緩衝部材の反り等の変形を抑制して収納凹部をケース基体に確実に沿わせることができてスローアウェイ工具を確実に収納できる点で望ましい。
さらに、前記ケース基体が、ケース本体とスライド式の蓋とを組み合わせた箱体からなるとともに、該箱体の底面に前記スローアウェイ工具用収納ケース同士を積層する時に係止めとなる突起を備えているタイプに対しても好適に適応可能である。
上記本発明のスローアウェイ工具用収納ケースによれば、ケース基体の収納部に緩衝部材をはめ込んでスローアウェイ工具を収納凹部に収納することにより、スローアウェイ工具を収納したケースの取り扱いや運搬の際にスローアウェイ工具が収納部内で動き回り、収納ケースに衝突してスローアウェイ工具の切刃にチッピングや欠損が生じたり、切刃にプラスチック等の異物が付着する恐れがなく、スローアウェイ工具を確実に保護できるとともに、スローアウェイ工具が収納ケース内で内壁に衝突する際に生じる雑音の発生も抑制できる。
また、従来のケース基体をそのまま流用することができるとともに、緩衝部材の収納凹部の形状をスローアウェイ工具の形状に合わせて変えることができることから多数のスローアウェイ工具に適応可能であり経済的である。
本発明のスローアウェイ工具用収納ケースについて、その好適例である図1乃至4に基づいて説明する。図1(a)はスローアウェイ工具用収納ケース(以下、単に収納ケースと略す。)の一例を示す概略分解平面図、図1(b)は図1(a)のA−A断面図、図2は図1の収納ケースにスローアウェイ工具を収納した状態を示す概略平面図、図3は図2のB−B断面図、図4は本発明のスローアウェイ工具用収納ケースの他の実施態様を示す概略断面図である。
図1のスローアウェイ工具用収納ケース(以下、単に収納ケースと略す。)1は、スローアウェイ工具(以下、単に工具と略す。)2が収納される収納部3を有し、硬質プラスチックからなるケース基体4の中に、プラスチック薄板からなりスローアウェイ工具2を収納する収納凹部5を具備する緩衝部材7がはめ込まれている。
この構成によって、収納ケース1に工具2を収納した状態である図2に示すように、工具3とケース基体4との衝突による切刃の欠損や異物の付着、また衝突の際に生じる雑音の発生を防止することができる。また、従来と同じサイズのケース基体4を流用することができるとともに、緩衝部材7の収納凹部5を所望の形状に変えることができて多種類の工具2に適応可能であることから経済的である。
ここで、ケース基体4、および緩衝部材7をなすプラスチック薄板の材質は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が収納ケースの強度、軽さ、保形性、コスト、リサイクル性に優れている点を考慮しても好適に使用可能である。または、緩衝部材7としては、強度を維持できる厚みが確保できれば、衝撃吸収力、軽さ、保形性、コストの点でウレタンフォーム、発泡ポリスチレン、発泡スチロール等の発泡プラスチックまたは発泡ゴムであってもよい。なお、図1,2によれば、ケース基体4、および緩衝部材7はともにポリプロピレン(PP)からなり、表示マーク6が表示されている。
また、ケース基体4の中が複数の工具2を隔離して収納するための中枠8にて仕切られているとともに、緩衝部材7の隣接する収納凹部5,5間の隔壁部9に中枠8が位置するようにはめ込んでなることが、緩衝部材7およびケース基体4の保形性がよく安定した収納が可能である点で重要である
なお、ケース基体4と緩衝部材7とを接着してなることが、緩衝部材7がケース基体4から浮き上がったり、外れたりすることなく、工具4が安定して収納できるとともに収納ケース1を長期にわたって使用可能な点で望ましい。
さらに、ケース基体4の中枠8と緩衝部材7の隔壁部8との少なくとも一部を接着してなることが、緩衝部材7がケース基体4から浮き上がることを効率よく防止できるとともに製造上容易である点で望ましい。
さらには、前記プラスチック薄板の厚みが20〜300μmであることが、緩衝部材7の保形性がよく、かつたわむことができて工具2の衝撃をより効率よく吸収できる点で望ましい。前記プラスチック薄板の厚みの特に望ましい範囲は、100〜200μmである。
また、収納凹部5を平面視したとき多角形状をなす場合には、隅部10にR面を有する形状であることが、収納凹部5が変形することなく、かつ隅部10で緩衝部材7が破れたりすることなく長期間にわたって安定して使用可能な点で望ましい。なお、収納凹部5は、平面視、円、楕円であってもよく、または複雑な形状の工具を収納する際には工具の形状に合わせた複雑な形状であってもよい。
さらに、収納凹部7とケース基体4の底面との間に隙間が存在するように収納凹部7が上げ底になっていることが、工具2の衝撃をより効率よく吸収できるとともに厚みの薄い工具2を収納して取り出す際に容易に取出しができる点で重要である
また、緩衝部材7の隔壁部9の一部に切欠き11が存在することが、緩衝部材7の収納凹部5をケース基体4に確実に沿わせることができて工具2を確実に収納できる点で望ましい。
なお、工具2の取り出しの容易さの点で、工具2の収納部3において、工具2を収納した際に隙間が存在することが重要であり、この隙間に指や爪を入れることによって容易に取出しが可能となる。
さらに、ケース基体4が、ケース本体12とスライド式の蓋13とを組み合わせた箱体からなるとともに、該箱体の底面に収納ケース1,1同士を積層する時に係止めとなる突起14を備えているタイプに対しても好適に適応可能である。
また、工具2が中央にねじ孔15を有する形状である場合、図4に示すようにケース本体12または下敷き6と一体化されたピン16を設けて工具2のねじ孔15にピン16が貫通するように収納することも可能である。この方法によれば工具2がより動きにくくなり工具2の切刃の保護効果と雑音防止効果がさらに高まる。しかしながら、工具2を収納ケース1から取り出す際の作業性の観点からは、ピン16を設けない方が、工具2の外周面と変形可能な緩衝材8の内壁面との間隔をより広く確保できるため工具2が容易に取り出せるので望ましい。また工具2を収納ケース1に収納する際の作業性の観点からも、ピン16を設けない方が、ピン16を気にせず容易に収納できるので望ましい。
上記構成のチップ収納ケースは、図2に示すようにケース本体12内に緩衝部材7を挿入し、次に緩衝部材7の各収納部3に工具2を1つずつ載置する。そして、蓋13をスライドさせながら装着することにより収納部3を封じる(図示せず)。さらに、所望により、ケース本体12と蓋13との双方にかかるようにラベルを貼ることによって完成する。
なお、図1、2では工具2として主面が多角形状をなす板状の、いわゆるスローアウェイチップについて例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ドリルやエンドミル、ボーリングバー等の棒状部を有する工具や、略直方体形状の溝入れ工具等に対しても好適に適応可能である。
本発明の一実施例を示すスローアウェイ工具用収納ケースの(a)概略分解平面図、(b)(a)のA−A断面図である。 図1のスローアウェイ工具用収納ケースにスローアウェイ工具を収納した状態を示す概略平面図である。 図2のB−B断面図である。 本発明のスローアウェイ工具用収納ケースのその他の実施例についての概略断面図である。 従来のスローアウェイ工具用収納ケースにスローアウェイ工具を収納した状態を示す概略平面図である。
符号の説明
1 スローアウェイ工具用収納ケース(収納ケース)
2 スローアウェイ工具(工具)
3 収納部
4 ケース基体
5 収納凹部
7 緩衝部材
8 中枠
9 隔壁部
10 隅部
11 切欠き
12 ケース本体
13 蓋
13s スライド式の蓋
14 突起
15 ねじ孔
16 ピン

Claims (6)

  1. スローアウェイ工具が収納されるケースであって、硬質プラスチックからなるケース基体の中に、プラスチック薄板からなり前記スローアウェイ工具を指または爪を入れて前記スローアウェイ工具を取り出せる隙間が存在する状態で収納する収納凹部(ただし、収納凹部内に、中央部に貫通孔が穿設された前記スローアウェイ工具を固定する突起部が設けられたものを除く。)を具備する緩衝部材をはめ込んでなり、かつ前記ケース基体の中が複数の前記スローアウェイ工具を個別に隔離して収納するための中枠にて仕切られているとともに、前記緩衝部材の隣接する前記収納凹部間の隔壁部に前記中枠が位置するようにはめ込んでなり、前記収納凹部と前記ケース基体の底面との間に隙間が存在するように前記収納凹部が上げ底になっているスローアウェイ工具用収納ケース。
  2. 前記ケース基体の中枠と前記緩衝部材の隔壁部との少なくとも一部を接着して、前記ケース基体と前記緩衝部材とを接着してなる請求項1記載のスローアウェイ工具用収納ケース。
  3. 前記プラスチック薄板の厚みが20〜300μmである請求項1または2記載のスローアウェイ工具用収納ケース。
  4. 前記収納凹部は平面視で多角形状をなすとともに隅部にR面を有する形状である請求項1乃至3のいずれか記載のスローアウェイ工具用収納ケース。
  5. 前記緩衝部材の隔壁部の一部に切欠きが存在する請求項1乃至4のいずれか記載のスローアウェイ工具用収納ケース。
  6. 前記ケース基体が、ケース本体とスライド式の蓋とを組み合わせた箱体からなるとともに、該箱体の底面に前記スローアウェイ工具用収納ケース同士を積層する時に係止めとなる突起を備えている請求項1乃至5のいずれか記載のスローアウェイ工具用収納ケース。
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