JP4436667B2 - リチウム二次電池 - Google Patents
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Description
上記目的を達成するために、この発明の一の局面によるリチウム二次電池は、正極活物質層が所定の領域に形成された正極と、正極と対向するように設けられた負極とを備えている。そして、負極は、負極集電体と、負極集電体の少なくとも正極に対向する面に形成され、充電時にリチウムと合金化することにより膨張する負極活物質層と、負極集電体および負極活物質層の正極活物質層と対向する対向領域以外の非対向領域に設けられた複数の切込み部とを有し、正極活物質層は、その周縁部の一部が負極活物質層の周縁部の一部と重畳するように配置され、切込み部は、負極集電体と負極活物質層とを貫通するように形成されていることを特徴とする。
この実施例1では、以下のような作製プロセスによって実施例1による負極a1およびそれを用いたリチウム二次電池を作製した。
正極は、正極活物質としてのLiCoO2と、導電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデンとを用いて作製した。すなわち、LiCoO2粉末(85質量%)と、炭素粉末(10質量%)とを、ポリフッ化ビニリデン粉末(5質量%)を溶解させたNMP(N−メチル−2−ピロリドン)溶液に混合することにより、これらの混合物のスラリーを得た。そして、このスラリーをドクターブレード法により20μmの厚みを有するアルミニウム箔からなる正極集電体の片面に均一に塗布した。その後、150℃でスラリーを乾燥させて正極集電体上に正極活物質層を形成することにより正極を作製した。なお、正極活物質層を形成した面積(スラリーの塗布面積)は、4cm2(2cm×2cm角)となるように設定した。
次に、図1に示すような構成を有する負極a1を作製した。すなわち、負極集電体として両面に凹凸形状を有する銅合金箔(厚み20μm、表面粗さRa=0.4(日本工業規格JISB0601−1999))を準備した。この負極集電体に用いた銅合金箔は、490N/mm2の引っ張り強さと、2.4%の伸び率を有する。そして、RFスパッタリング法を用いて負極集電体の両面全体に負極活物質層としてのシリコン薄膜を形成した。この負極活物質層は、約5μmの厚みになるまで堆積した。なお、この負極活物質層形成時の具体的なスパッタリングの条件は、スパッタガス(Ar)流量:100sccm、基板温度:室温(加熱なし)、反応圧力:0.13Pa、高周波電力:200Wであった。このようにして形成した負極活物質層は、XRD(X−Ray Diffraction:X線回折法)により非晶質であることを確認した。次に、図1に示すように、正極の正極活物質層(図示せず)と対向する負極集電体1aおよび負極活物質層1bの対向領域1cが2cm×2cmになるとともに、対向領域1cの1辺と連続する非対向領域1dを有するように、負極集電体1aおよび負極活物質層1bを切り出した。なお、非対向領域1dとは、負極集電体1aおよび負極活物質層1bの正極活物質層(図示せず)と対向しない領域である。また、非対向領域1dは、負極端子1eを取り付けるスペースを確保するために、境界線1fと境界線1fに対向する非対向領域1dの端部(外周部)との間の距離が2.5mmよりも大きくなるように形成した。そして、この非対向領域1dの端部に負極端子1eを取り付けた。なお、この負極a1では、負極端子1eと対向領域1cとの間の領域のみに非対向領域1dを形成した。そして、非対向領域1dと対向領域1cとの間の境界線1f上に境界線1fに沿って延びるように切込み部1gを形成した。この切込み部1gは、負極集電体1aおよび負極活物質層1bを貫通するように形成した。上記のようにして、実施例1による負極a1を作製した。
ポリエチレン微多孔膜を用いてセパレータを作製した。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを3:7の体積比で混合した混合溶媒に、溶質としてのLiPF6を1mol/l溶解することにより非水電解質を調整した。
図2は、実施例1による負極a1を用いたリチウム二次電池の構成を示した概略図である。図3は、図2に示した実施例1によるリチウム二次電池の100−100線に沿った断面図である。次に、上記のようにして得た正極、負極、セパレータおよび非水電解質を用いて、図2に示すような実施例1によるリチウム二次電池を作製した。すなわち、図3に示すように、セパレータ2を介して2つの正極3を負極a1の上面および下面にそれぞれ対向するように設置した。この際、図2および図3に示すように、正極3の正極集電体3a上に形成された正極活物質層3bが、負極a1の負極集電体1a上に形成された負極活物質層1bの対向領域1cと重なるように正極3を設置した。そして、正極3、負極a1およびセパレータ2をアルミニウムラミネートフィルムからなる外装体4内に収納した。この際、正極端子3cおよび負極端子1eを外装体4から突出させた。そして、外装体4内に非水電解質を注入した後、外装体4の周縁部(図2中の斜線領域)を密閉することによりリチウム二次電池を作製した。
この参考例1では、図4に示すように、負極集電体11aおよび負極活物質層11bの対向領域11cと負極端子1eとの間の領域以外にも非対向領域11dを設けた。すなわち、負極集電体11aの3辺の外周部11hと対向領域11cとの間の領域にも非対向領域11dを設けた。この3辺の外周部11hの各々と、対応する対向領域11cの非対向領域11dとの間の境界線11iとの間の距離Aは、1mmに設定した。なお、この境界線11iは、本発明の「第2境界線」の一例である。また、負極端子1eが設けられた側に配置された1辺の境界線11fからの距離Bが1mmの位置に、境界線11fの延びる方向に対して平行な方向に切込み部11gを形成した。なお、この境界線11gは、本発明の「第1境界線」の一例である。これ以外は、上記した実施例1と同様にして参考例1による負極a2およびそれを用いたリチウム二次電池を作製した。
この参考例2では、負極集電体11aの3辺の外周部11hの各々と、対応する対向領域11cの非対向領域11dとの間の境界線11iとの間の距離A(図4参照)は、2mmに設定した。また、負極端子1eが設けられた側に配置された1辺の境界線11fからの距離B(図4参照)が2mmの位置に切込み部11gを形成した。これ以外は、上記した参考例1と同様にして参考例2による負極a3およびそれを用いたリチウム二次電池を作製した。
この参考例3では、負極集電体11aの3辺の外周部11hの各々と、対応する対向領域11cの非対向領域11dとの間の境界線11iとの間の距離A(図4参照)は、2.5mmに設定した。また、負極端子1eが設けられた側に配置された1辺の境界線11fからの距離B(図4参照)が2.5mmの位置に切込み部11gを形成した。これ以外は、上記した参考例1と同様にして参考例3による負極a4およびそれを用いたリチウム二次電池を作製した。
この参考例4では、負極集電体11aの3辺の外周部11hの各々と、対応する対向領域11cの非対向領域11dとの間の境界線11iとの間の距離A(図4参照)は、5mmに設定した。また、負極端子1eが設けられた側に配置された1辺の境界線11fからの距離B(図4参照)が5mmの位置に切込み部11gを形成した。これ以外は、上記した参考例1と同様にして参考例4による負極a5およびそれを用いたリチウム二次電池を作製した。
この実施例2では、図5に示すように、負極集電体21aおよび負極活物質層21bの対向領域21cと負極端子21eとの間の領域のみに非対向領域21dを形成した。また、この非対向領域21dに対向領域21cと非対向領域21dとの間の境界線21fの延びる方向に対して垂直な方向に沿って延びるように複数の切込み部21gを形成した。また、複数の切込み部21gは、境界線21fにまで到達するように形成した。なお、境界線21fに対して平行な方向には、切込み部を形成しなかった。これ以外は、上記実施例1と同様にして実施例2による負極a6およびそれを用いたリチウム二次電池を作製した。
この比較例1では、切込み部1gを形成しないこと以外は上記実施例1による負極a1(図1参照)と全く同様にして、比較例1による負極b1を作製した。そして、上記した実施例1と同様にして、比較例1による負極b1を用いたリチウム二次電池を作製した。
この比較例2では、切込み部11gを形成しないこと以外は上記参考例3による負極a4(図4参照)と全く同様にして、比較例2による負極b2を作製した。そして、上記した参考例3と同様にして、比較例2よる負極b2を用いたリチウム二次電池を作製した。
次に、上記のようにして作製した実施例1〜6による負極a1〜a6と、比較例1および2による負極b1およびb2とをそれぞれ用いたリチウム二次電池について、充放電サイクル試験を行った。具体的には、25℃の温度において、5.2mAの定電流で4.2Vまで充電後、5.2mAの定電流で2.75Vまで放電を行った。これを1サイクルの充放電として、1〜3サイクル目までの充放電を行った。その後、26mAの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で1.3mAまで充電を行った後、26mAの定電流で2.75Vまで放電した。これを1サイクルの充放電として4〜14サイクル目までの充放電を行った。そして、14サイクル目の充放電後の各リチウム二次電池を分解して負極を取り出した。そして、取り出した負極の対向領域の4つの角部における厚みをマイクロメータを用いて測定した。その結果を以下の表1に示す。なお、以下の表1には、対向領域の4つの角部の各々の厚みを平均化した値を示した。
上記の式によって算出した実施例1〜6と、比較例1および2とによる各リチウム二次電池の容量維持率を以下の表2に示す。
1a、11a、21a、31a 負極集電体
1b、11b、21b、31b 負極活物質層
1c、11c、21c、31c、41c 対向領域
1d、11d、21d、31d、41d 非対向領域
1e、21e、41e 負極端子
1f、11f、11i、21f、31f、41f 境界線(第1境界線、第2境界線)
1g、11g、21g、31g、41g、51g、61g 切込み部
2 セパレータ
3 正極
3a 正極集電体
3b 正極活物質層
3c 正極端子
4 外装体
Claims (7)
-
正極活物質層が所定の領域に形成された正極と、
前記正極と対向するように設けられた負極とを備えたリチウム二次電池であって、
前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体の少なくとも前記正極に対向する面に形成され、充電時にリチウムと合金化することにより膨張する負極活物質層と、前記負極集電体および前記負極活物質層の前記正極活物質層と対向する対向領域以外の非対向領域に設けられた複数の切込み部とを有し、
前記正極活物質層は、その周縁部の一部が前記負極活物質層の周縁部の一部と重畳するように配置され、
前記切込み部は、前記負極集電体と前記負極活物質層とを貫通するように形成されていることを特徴とするリチウム二次電池。 - 正極活物質層が所定の領域に形成された正極と、
前記正極と対向するように設けられた負極とを備えたリチウム二次電池であって、
前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体の少なくとも前記正極に対向する面に形成され、充電時にリチウムと合金化することにより膨張する負極活物質層と、前記負極集電体および前記負極活物質層の前記正極活物質層と対向する対向領域以外の非対向領域に設けられた切込み部とを有し、
前記切込み部は、前記負極集電体と前記負極活物質層とを貫通するように形成され、 前記切込み部の少なくとも一部は、前記対向領域と前記非対向領域との間の境界線に重畳するように形成されていることを特徴とするリチウム二次電池。 - 前記負極は、前記非対向領域に設けられた負極端子を含み、
前記非対向領域は、前記負極端子と前記対向領域との間の領域のみに形成されており、
前記切込み部は、前記対向領域と前記非対向領域との間の境界線上に延びるように配置されている、請求項1または2に記載のリチウム二次電池。 - 前記負極は、前記非対向領域に設けられた負極端子を含み、
前記切込み部は、前記非対向領域に、前記対向領域と前記非対向領域との間の境界線の延びる方向に対して交差する方向に沿って延びるように複数形成されている、請求項1または2に記載のリチウム二次電池。 - 前記負極活物質層は、前記負極活物質層の厚み方向に沿って延びるように形成された切れ目により複数の柱状の部分に分離されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
- 前記負極活物質層は、非晶質材料および微結晶材料の少なくともいずれか一方を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
- 前記負極活物質層は、非晶質シリコンおよび微結晶シリコンの少なくともいずれか一方を含む、請求項6に記載のリチウム二次電池。
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