JP4436623B2 - 手術用顕微鏡システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば脳神経外科等に供される手術用顕微鏡に係り、特に、手術用顕微鏡の焦点位置を術前診断画像上に表示するナビゲーション装置と組合わせて使用される手術用顕微鏡システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、手術用顕微鏡を用いて微細な手術を行なういわゆるマイクロサージャリーが行なわれている。このような手術用顕微鏡を用いた手術では、最近、より精密かつ効率的な手術を行なう目的で、CT、MRI等の術前画像診断装置によって得られた術部の術前画像を術中利用する、いわゆる医療用ナビゲーションシステムを組み合わせて使用されるようになっている。
【0003】
このような手術用顕微鏡と医療用ナビゲーションシステムを組合わせた手術用顕微鏡システムとしては、例えば位置検出マーカーを顕微鏡の鏡体部に取付け、位置検出装置により鏡体の位置と観察方向(対物光軸の向き)を検出する。続いて、手術用顕微鏡に設けられた焦点距離検出手段により、対物光軸上の焦点、つまり手術用顕微鏡の焦点距離を検出する。これらの鏡体の位置と観察方向、焦点距離のデータを、ワークステーションで計算することにより、3次元空間上での手術用顕微鏡の焦点位置が検出される(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、手術用顕微鏡システムとしては、位置検出マーカーが、手術用顕微鏡鏡体部に対して、3次元的に自由な位置に移動可能な多関節支持アームを介して取付けられる。そして、多関節支持アームの、夫々の関節には、位置検出マーカーの、移動量を検出するエンコーダが備えられる(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
上記構成により、手術中、鏡体部の移動により、位置検出マーカーと位置検出装置の位置が変化することにより、マーカーと検出装置との間に障害物が侵入し、位置検出マーカーが位置検出装置に対して遮られ、位置検出が不可能となった時には、鏡体に対し位置検出マーカー移動させ位置検出装置との間に障害物がないところに配置する。この時、手術用顕微鏡と位置検出マーカーの位置がずれるので、焦点位置もずれて演算されるが、多関節支持アームに設けられたエンコーダの出力結果に基づき、マーカーの手術用顕微鏡に対する移動量を補正することで、手術用顕微鏡に対して位置検出マーカーを移動させても正確な焦点位置の検出可能になる。これにより、手術中に手術用顕微鏡を移動させたり、スタッフの立つ位置が変化しても、位置検出が可能であり、様々なスタイルに対応することができる。
【0006】
ところで、上記手術用顕微鏡は、その鏡体を希望する空間位置に移動・固定可能なバランス式の架台に搭載して使用する方法が採れている。このような架台としては、例えば鏡体を上下・水平移動させる第1の平行リンクと、この第1の平行リンクの上部に設けられ、鏡体を傾斜させる第2の平行リンクから構成されるのもがある(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
また、このような架台としては、鏡体を上下・水平移動させる2つの平行リンクと、鏡体の重心周りに鏡体を傾斜させる平行リンクとを組み合わせて構成されるものもある(例えば、特許文献4参照)。
【0008】
そして、係る3次元空間位置に移動・固定可能な架台に搭載される手術用顕微鏡においても、上述した医療用ナビゲーションシステムと組み合わせて使用されることがある。
【0009】
【特許文献1】
特開2000―139949号公報
【0010】
【特許文献2】
特開2001―104332号公報
【0011】
【特許文献3】
特公平2―9820号公報
【0012】
【特許文献4】
特開平6―269463号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1では、手術用顕微鏡に設けた位置検出マーカーと位置検出装置との間に術者や手術スタッフの身体や、その他医療機器等で遮られた場合、位置検出マーカーの検出が不可能となり、患部に対する手術用顕微鏡の3次元位置の検出が困難となる。そのため、術者や手術スタッフの立つ位置やまたその他医療機器等の配置に制限が必要であり、あらかじめ遮らないように、それらの配置を工夫したり、手術用顕微鏡等の移動により、遮られたときには、位置検出装置の配置を移動させる必要があり、位置検出装置を移動するとキャリブレーションなどの煩雑な作業が必要であり、手術効率の低下を招くという不都合を有する。
【0014】
また、特許文献2では、位置検出マーカーを鏡体に対しアームを介して移動させて、位置検出マーカーの確実な検出を可能に構成しているために、手術用顕微鏡の鏡体部に、位置検出マーカーを移動調整自在に保持する多関節支持アームが必要となることで、鏡体部が非常に重くなり、大形となるという不都合を有する。この重量化と大形化の問題は、鏡体を移動させる際の操作性が低下され、しかも、鏡体からの張り出し部分が大きくなるため、アームが手術の邪魔になり、処置具の出し入れ等手術にかかわる作業が行ないにくく、手術効率を低下させるという問題を有する。
【0015】
また、特許文献3及び4では、いずれも架台アームにより、鏡体位置を3次元的に自由な位置に配置する構成のために、ナビゲーションシステムと組合わせて使用する場合、その位置検出マーカーを、鏡体本体もしくは鏡体と相対的に同じ動きをする部位に取付ける必要がある。これによると、例えば手術用顕微鏡に設けた位置検出マーカーと位置検出装置との間に術者や手術スタッフの身体やまたその他医療機器等で遮られた場合、位置検出マーカーの検出が不可能となり、患部に対する手術用顕微鏡の3次元位置の検出が困難となる。
【0016】
そのため、術者や手術スタッフの立つ位置やまたその他医療機器等の配置に制限が必要となり、あらかじめ遮らないように、それらの配置を工夫したり、手術用顕微鏡等の移動により、遮られたときには、位置検出装置の配置を移動させることが必要となる。この位置検出装置を移動させる場合には、キャリブレーション等の煩雑な作業が必要であり、手術効率の低下を招くという不都合が生じる。
【0017】
この発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、小形化を確保したうえで、取扱い操作を含む使い勝手の向上を図り得るようにした手術用顕微鏡システムを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この発明は、術部を観察するための対物光学系を有する手術用顕微鏡と、前記手術用顕微鏡の対物光軸上の焦点と、手術用顕微鏡の距離を検出する焦準距離検出手段と、前記手術用顕微鏡に設けられた指標と、前記指標の位置を検出する位置検出手段と、前記焦準距離検出手段の検出情報、及び前記位置検出手段の検出情報に基づいて、前記手術用顕微鏡の焦点位置と前記手術用顕微鏡の3次元的な空間位置を算出する演算手段とを備える手術用顕微鏡システムにおいて、さらに、前記指標を、前記手術用顕微鏡に対して対物光軸周りに独立して回転調整自在に配する指標回転移動手段を設けて構成したものである。
【0019】
上記構成によれば、手術用顕微鏡の位置を示す指標を位置検出手段によって検出するとともに、焦準位置検出手段により手術用顕微鏡の焦点距離を検出し、手術用顕微鏡の位置と、手術用顕微鏡の焦点距離から、ワークステーションの演算手段により前記手術用顕微鏡の焦点位置を算出する。また、指標と位置検出手段が遮られることによって、前記指標の位置検出ができないときには、指標回転移動手段で、前記指標を、前記手術用顕微鏡の対物光軸周りに指標検出手段を検出できる位置に回転移動させる。従って、この指標を指標回転移動手段を介して動かすことで、常時、指標の検出が可能となることにより、位置検出の補正を行うことなく、簡単な操作で、手術用顕微鏡の焦点位置を確実に検出することが可能となり、小形化を確保したうえで、取扱い操作を含む使い勝手の向上を図ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
(第1の実施の形態)
図1は、この発明の第1の実施の形態に係る手術用顕微鏡システムの外観構成を示すもので、手術用ベッド10には、患者Aが横たわり、該患者Aの手術を術者Bが実行する。例えば、脳外の手術を行う場合には、患者Aの頭部にヘッドフレーム11が装着される。
【0024】
また、手術用顕微鏡を構成する鏡体12は、術者Bが患部を観察する主側ファインダー13、術者Bが鏡体を移動する際に把持するグリップ14及び指標回転移動手段を構成する指標回転移動機構部15が設けられる。そして、この鏡体12は、例えば周知のバランス式の架台16を介して所望の空間位置に移動・固定可能に配置される。
【0025】
また、上記手術用ベッド10の周囲には、上記鏡体12に対応して上記指標回転移動機構部15に備えられた後述する、指標を構成するLED151,152,153(図3参照)の位置を検出するCCDカメラ171,172が設けられた位置検出装置17が配置される。この位置検出装置17内には、CCDカメラ171,172によるLED151,152,153の検出状態を判別する、図示しない状態判別回路が設けられている。これらのCCDカメラ171,172は、図2に示すように画像信号処理装置18に接続され、取得した画像信号を画像信号処理装置18に出力する。この画像信号処理装置18の出力端には、ワークステーション19の入力端が接続され、入力した画像信号を信号処理して検出信号を生成してワークステーション19に出力する。
【0026】
ワークステーション19は、その入力端に焦準距離検出部20が接続され、その出力端にモニター21及びスピーカ22が接続される。
【0027】
上記焦準距離検出部20は、例えば上記鏡体12に内装され、該鏡体12の対物光軸9上の焦点Pの距離Lを検出して、ワークステーション19に出力する。ワークステーション19は、上記画像信号処理装置18からの検出信号と焦準距離検出部20からの距離情報に基づいて後述するように演算処理して術部と鏡体12の焦点位置との相対位置関係を求める。
【0028】
ここで、上記指標回転移動機構部15について、図3及び図4を参照して説明する。
【0029】
上記鏡体12には、その対物光軸9に対応して延出部121が設けられ、この延出部121には、半円弧状のガイドレール122が、上記対物光軸9の周囲に設けられる。そして、このガイドレール122には、上記指標であるLED151、152、153が配されたLED移動部154が移動自在に取り付けられる。ガイドレール122は、半円弧形状でその中心が対物光軸9と一致され、LED移動部154を対物光軸9を中心とする円筒面上に移動案内する。なお、LED移動部154のLED151、152、153は、図示しないLED制御部を介して上記ワークステーション19に接続され、該LED制御部を介して選択的に駆動制御される。
【0030】
上記LED移動部154には、図4に示すように対物光軸9に平行な回転軸O1、O2と、回転軸O1,O2に垂直な回転軸O3周りに回転自在にローラー231,232,233がローラー軸241,242,243を介して取付けられる。これにより、LED移動部154は、ローラー241,242,243を介して、ガイドレール122に対物光軸9周りに回転自在に配される。
【0031】
次に、上記ヘッドフレーム11について、図5を参照して説明する。即ち、ヘッドフレーム4には、患者Aの患部の位置と位置的相関のある第1の指標としての3つのマーク部材111,112,113が設けられる。ここで、図5中Ob―Xb,Yb,Zbは、マーク部材111,112,113を基準に定義される絶対座標系を構成する生体座標系である。
【0032】
なお、上記鏡体12には、図示しない対物光学系と左右一対の変倍光学系が内装され、上記主側ファインダー13には、図示しない左右一対の結像光学系と左右一対の接眼光学系が設けられる。
【0033】
ここで、上記構成において、手術手順について説明する。
【0034】
先ず、術者Bは、予め撮影したCT、MRI装置などの断層画像を3次元画像データに再構築し、ワークステーション19に記録する。そして、手術を始めるにあたっては、ワークステーション19内の断層画像データと鏡体12の焦点Pの座標の相関をとるためマーク部材111,112,113を用いてキャリブレーション(生体座標系Ob−Xb,Yb,Zbの記憶)を行う。
【0035】
以上の作業によりワークステーション19には、生体座標系が記憶される。その後、術者3は、手術用顕微鏡の鏡体12のグリップ14を握り、グリップ14に取付けられた、図示しない架台ブレーキスイッチを押し、架台16の電磁ブレーキを解除して鏡体12を移動して術部の観察部位に焦点Pを合わせる。架台ブレーキスイッチを離して、鏡体12を固定する。
【0036】
手術用顕微鏡による観察時には、焦点Pから発せられた光束は、鏡体12に入射する。これらの光束は、対物光学系を介し、変倍光学系にて所望の倍率に拡大されたのち、結像光学系、接眼光学系を介して観察され、術者Bは、焦点Pを主側ファインダー13を通して所望の倍率で観察される。
【0037】
また、手術用顕微鏡による観察中、CCDカメラ171,172は、LED151,152,153を撮影し、上記画像信号処理装置18に出力する。画像信号処理装置18は、CCDカメラ171,172で取得した画像信号を信号処理して検出信号を生成し、ワークステーション19に出力する。ワークステーション19は、入力した検出信号に基づいて、LED151,152,153の生体座標系における位置を算出する。ここで、LED151,152,153の3点と、対物光軸9の関係は、一意に決まっているので、同時に、対物光軸9の生体座標系における向きが演算される。
【0038】
次に、ワークステーション19は、上記焦準距離検出部20の検出値から焦点距離Lを検出する。対物光軸15の生体座標における向きと、手術用顕微鏡の焦点距離から、生体座標系における、位置が演算される。ワークステーション19は、モニター21に患者Aの術前の断層画像に基づく3次元に再構築された術部の術前画像における焦点Pの位置に、焦点の位置を示す点P1を重像し表示する。
【0039】
手術用顕微鏡を移動したり、LED151,152,153とCCDカメラ171,172の間に、術者Bの身体や医療器具などが入ると、CCDカメラ171,172は、LED151,152,153を撮影できなくなる。すると、画像信号処理装置18に設けられた検出状態判別回路(図示せず)は、CCDカメラ171,172がLED151,152,153を撮影できなかった、エラー信号をワークステーション19に出力する。このエラー信号を受けてワークステーション19は、例えばスピーカー22から警告音を発することで、術者Bは、CCDカメラ171,172がLED151,152,153を認識できない、つまり位置検出ができていないことを認識する。
【0040】
ここで、術者Bは、CCDカメラ171,172がLED151,152,153を検出できる位置に、LED移動部154の一端を持ち、ガイドレール122に沿って移動させて、対物光軸9周りに回転させる。この時、CCDカメラ171,172が、LED151,152,153を検出すると、画像信号処理装置18は、上述したように検出信号をワークステーション19に出力する。検出信号を受けたワークステーション19は、スピーカ22からの警告音を止める。そこで、術者は、焦点Pの位置検出ができたことを認識して、LED移動部154を停止させる。
【0041】
このとき、LED移動部154の移動は、対物光軸9周りの回転運動であり、LED151,152,153と対物光軸9の位置関係が不変であることで、ワークステーション19は、何ら移動に伴う特別な演算をすることなく、術部の術前画像に、術前画像における鏡体12の焦点Pを重像してモニター21に表示する。
【0042】
このように、上記手術用顕微鏡システムは、鏡体12の対物光軸9を中心とする周囲にガイドレール122を設けて、このガイドレール122に指標を構成するLED151,152,153を配したLED移動部154を移動自在に設けて、このLED移動部154をガイドレール122に沿って動かすことで、常時、指標の検出を可能に構成した。これによれば、位置検出の補正を行うことなく、LED移動部154の簡単な操作で、鏡体12の焦点位置を確実にして、高精度に検出することが可能となり、小形化を確保したうえで、取扱い操作を含む使い勝手の向上を図ることが可能となる。
【0043】
(第2の実施の形態)
図6及び図7は、この発明の第2の実施の形態を示す。但し、図6及び図7においては、上記図1乃至図5と同一部分について同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0044】
即ち、第2の実施の形態に係る指標回転移動機構部30は、上記鏡体12の延出部121に配されたガイドレール122に、例えば一対のメカニカルスイッチ311,312が所定の間隔を有して設けられる。このメカニカルスイッチ311,312の接点311a,312aは、それぞれガイドレール122の円弧の接線方向に向けて設けられる。
【0045】
上記LED移動部154には、図7に示すように例えば軸O3に略平行な回転軸O4周りに駆動軸321を有したモーター32が内装される。このモーター32の駆動軸321の先端には、ギア322が一体的に取付けられ、このギア322には、上記ローラー233の回転軸243に嵌着されたギア244が噛合される。これにより、モーター32の駆動軸321の回転力は、ギア322,ギア2244を介して上記ローラー233に伝達され、その回転に連動して上記LED移動部154が、ガイドレール122に沿って移動案内される。
【0046】
これらのメカニカルスイッチ311,312とモーター32、ワークステーション19は、図示しない移動制御回路に接続される。移動制御回路(図示せず)は、上記ワークステーション19からの指令信号に応動してモーター32を駆動制御し、メカニカルスイッチ311,312のオンオフ信号に基づいて上記モーター32の回転方向を制御する。
【0047】
上記構成により、上記第1の実施の形態と略同様にキャリブレーション等の術前作業、キャリブレーション後、手術を開始し、鏡体5を移動し術部を観察する。そして、LED移動部154のLED151,152,153がCCDカメラ171,172に対して、術者Bの身体や医療器具等で遮られると、CCDカメラ171,172は、LED151,152,153を撮影することが困難となる。
【0048】
すると、上記画像信号処理装置18内に設けられた検出状態判別回路(図示せず)は、上述したようにCCDカメラ171,172がLED151,152,153を撮影できない、エラー信号をワークステーション19に出力する。このエラー信号を受けてワークステーション19は、上記移動制御回路(図示せず)に、モーター32を駆動させる信号を出力し、モーター32の駆動軸321を回転させてギア322、ギア244を介してローラー233を駆動することで、LED移動部154を、対物光軸9周に、例えば図6中反時計方向に移動させる。移動中、LED151,152,153を、CCDカメラ171,172が撮ると、ワークステーション19は、検出信号を上記移動制御回路(図示せず)に出力する。すると、移動制御回路(図示せず)は、モーター32の駆動を停止させ、モニター21に、焦点Pの術前画像における位置に点P1を重像して表示する。
【0049】
一方、LED151,152,153がCCDカメラ171,172に検出されずに、LED移動部154が、メカニカルスイッチ311の位置まで移動すると、メカニカルスイッチ311の接点311aがオンされる。すると、移動制御回路(図示せず)は、モーター32の回転を逆転させ、LED移動部154が対物光軸9周りを図7中時計方向に移動する。この移動中に、LED151,152,153がCCDカメラ171,172に撮らえられると、同様に、ワークステーション19は、移動制御回路(図示せず)を介してモーター32を停止させると共に、モニター21に、焦点Pの術前画像における位置に点P1を重像して表示する。
【0050】
また、LED151,152,153が検出されずに、LED移動部154が、メカニカルスイッチ312の位置まで移動すると、メカニカルスイッチ312の接点312aがオンされる。すると、上記移動制御回路(図示せず)は、モーター32の回転を逆転させ、LED移動部154を、対物光軸15周りに図7中時計方向に移動させる。そして、ワークステーション19は、CCDカメラ171,172がLED移動部154のLED151,152,153を検出すると、上述したうように移動制御回路(図示せず)を介してLED移動部154を停止させる。
【0051】
この第2の実施の形態によれば、指標回転移動機構部30のLED移動部154に、モーター32を内装して、該LED移動部154をCCDカメラ171,172によるLED151,152,153の検出が可能な場所に自動的に移動・停止させるように構成したことにより、例えば術者Bが、手術中わざわざ、LED移動部154を手で移動させる必要がないばかりか、常に位置検出が可能であるため、手術に集中して取り組めることにより、手術効率の向上を図ることが可能となる。
【0052】
(第3の実施の形態)
図8及び図9は、この発明の第3の実施の形態を示す。但し、図8及び図9においては、上記図1乃至図5と同一部分について同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0053】
即ち、第3の実施の形態においては、上記鏡体12の対物光軸9に垂直な平面において、助手用ファインダー40を中間鏡筒41を介して対物光軸9周りに回転自在に配される。この中間鏡筒41には、図示しないレンズリレー系が内装され、上記鏡体12から出射した光学像を、上記助手用ファインダー40に導き案内する。なお、鏡体12には、図示しない対物光学系と、図示しない単一の変倍光学系と、光束を上記主側ファインダー13と助手用ファインダー40に分割する図示しないビームスプリッターが備えられることとなる。
【0054】
また、中間鏡筒41上には、指標回転移動機構部42が設けられる。この指標回転移動機構部42は、LED移動部43と、上記中間鏡筒41と主側ファインダー13の間に設けられた2本の支柱441,442に支持された円形ガイドレール451とを備えて構成される。この円形ガイドレール45の中心は、上記対物光軸9と一致するように中間鏡筒41上に配され、LED移動部43が、対物光軸9周りに回転移動自在に取り付けられる。
【0055】
円形ガイドレール45と、LED移動部43は、例えば上記第1の実施の形態で説明したガイドレール122とLED移動部154と同様の構造で組み合わせ配置される。そして、このLED移動部43には、同様に上記LED151,152,153が所定の間隔に配される。
【0056】
上記構成において、術者Bや助手C(図9参照)は、術前、手術のスタイルに合わせるべく、対物光軸9周りに、助手用ファインダー40の主側ファインダー13に対する位置を設定する。その後、上記位置検出装置17等を配置し、同様に、キャリブレーションなどの術前の操作を行い手術を開始する(図9(a)参照)。
【0057】
手術中、LED移動部43に設けられた、LED151,152,153が発した光は、位置検出装置10上の、CCDカメラ171,172に到達する。ここで、上記画像信号処理装置18は、上述したように検出信号を、ワークステーション19に出力し、該ワークステーション19が、上記生体座標系における、位置を演算し、術前画像における鏡体5の焦点位置に点P1を、重像してモニター21に表示する。
【0058】
この手術中、助手Cは、手術のスタイルを変更するために、助手用ファインダー40を、中間鏡筒41を介して対物光軸9周りに回転させ、助手用ファインダー40の位置を、例えば術者Bと向き合う位置に変更する(図)9(c)参照)。この助手用ファインダー40の移動途中において、図9(b)に示すように中間鏡筒41の一側面が、LED移動部43と接触される。そのまま、中間鏡筒41を回転させると、該中間鏡筒41がLED移動部43を押し込んで、該LED移動部43が中間鏡筒41と共に対物光軸9周りに回動される。その後、中間鏡筒41が、術者Bに対して、図9(c)に示すように互いに向き合う位置に設定される。
【0059】
ここで、LED移動部43に設けられた、LED151,152,153を発した光は、位置検出装置10上の、CCDカメラ171,172に到達される。この時、LED移動部43は、対物光軸9周りに回転したことにより、該LED移動部43上のLED151,152,153と対物光軸9の関係が、不変であることで、同様に、上記画像信号処理装置18から検出信号がワークステーション19に入力される。すると、ワークステーション19は、上述したように生体座標系における、位置を算出し、術前画像における鏡体5の焦点位置に点P1を、重像してモニター21に表示する。
【0060】
また、LED151,152,153からの光がCCDカメラ171,172に対して、医療器具などで遮られると、同様に、ワークステーション19は、スピーカー22から警告音を発する。これにより、術者B又は助手Cは、CCDカメラ171,172がLED151,152,153を検出できる位置に、LED移動部43の一端を持ち、ガイドレール45に沿って、対物光軸9周りに、LED移動部43を回転させる。そして、CCDカメラ171,172がLED151,152,153を検出すると、その検出信号に応動して上述したようにワークステーション19は、スピーカ22からの警告音の発生を停止させる。
【0061】
ここで、術者B又は助手Cは、LED移動部43が検出可能位置に到達したことを検知し、LED移動部43の移動を停止させる。すると、ワークステーション19は、上述したように生体座標系における、位置を演算して、術前画像における鏡体12の焦点位置に点P1を、重像してモニター21に表示する。
【0062】
このように、第3の実施の形態によれば、指標回転移動機構部42を中間鏡筒41に設けたため、助手Cが中間鏡筒41を回転させ、助手の立つ位置を変えたとしても、LED151,152,153は、中間鏡筒41と同時に移動するため、助手Cによって指標であるLED151,152,153が遮られることはない。これにより、術中に手術スタイルを変更しても、LED移動部43を移動させたりすることなく、手術を続行することができることにより、効率的に手術を行うことが可能となる。
【0063】
また、これによれば、LED移動部43の動きを対物光軸9を中心として回転移動可能なガイドレール45を設けたことにより、LED151,152,153が、位置検出装置17に対して、遮られたときも、術者Bは、単に、LED移動部43をそのガイドレール45に沿って移動するといった簡単な操作で、確実な位置検出を実現することができる。
【0064】
このように上記第1乃至第3の実施の形態では、手術用顕微鏡の位置を示す、LED151,152,153を対物光軸9周りに回転自在に配して構成していることにより、術者Bや助手C等の手術スタッフ、医療機器によってLED151,152,153と位置検出装置10との間が遮られた場合でも、LED151,152,153の位置を、対物光軸9周りに回転させることで、回避することができる。この結果、術者Bや助手Cの立つ位置と医療機器の配置の制限が無くなり、手術を効率よく行うことができる。また、LED151,152,153を、単に、対物光軸9周りに回転移動させる構成を備えるだけの簡単な構成で済むことにより、小形化が確保される。
【0065】
(第4の実施の形態)
図10乃至図13は、この発明の第4の実施の形態を示す。但し、図10乃至図13においては、上記図1乃至図5と同一部分について同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0066】
先ず、第4の実施の形態を説明する先立ち、該第4の実施の形態で解決する課題について説明する。例えば、上記特許文献4の架台に上記特許文献3の手術用顕微鏡を組合わせることにより、位置検出マーカーの鏡体に対する位置を変更できるために、3次元位置を検出することが可能となり、そのキャリブレーション等の煩雑な作業がなくなり、手術効率の向上を図ることが可能となる。
【0067】
ところが、上記手術用顕微鏡にあっては、その鏡体部にエンコーダ等を配した位置検出マーカーを保持する多関節支持アームを組付け配置しなけらばならないために、鏡体部の重量が非常に重くなる。この鏡体部は、一般に、バランス式架台アームに保持され、術中、術者が3次元的に自由に移動される。このバランス式架台アームは、鏡体部の重量と、それを相殺するカウンターウエートを有しているために、その重量が重くなると、そのカウンターウエートも重量を重くすることが必要となる。
【0068】
このため、鏡体部の質量が大きくなると、鏡体部を移動させる際の操作性(バランス式架台アームの操作力量に影響する慣性力)が悪化される。また、上記多関節支持アームを鏡体部周りに配することは、鏡体部からの張り出し部位が大きくなることで、該アームが手術の邪魔となり、処置具の出し入れ等の作業に悪影響を及ぼし、手術効率の低下を招く。
【0069】
また、上記特許文献3に示される架台に対して、手術用顕微鏡のナビゲーションシステムを構成する位置マーカー(例えば、米国特許 5891020号公報)を組合わせることも考えられる。この組合せによると、鏡体部自体を小形化することが可能となるうえ、軽い操作性を得ることが可能となり、操作に悪影響を受けることがないが、上述したように鏡体部の俯仰動作を行うための第2のリンクが、大きく傾斜される。このため、第2のリンクが大きく傾斜されると、該第2のリンクが術者の頭部に当たる虞があり、手術スタイルに悪影響を及ぼすとう不都合を有する。
【0070】
そこで、第4の実施の形態においては、装置の小形化を確保して、簡便にして容易な操作を実現し、しかも、観察位置の確実にして高精度な検出を実現することにある。
【0071】
即ち、この第4の実施の形態では、手術用顕微鏡を構成する鏡体12に、同様に術部を観察するための対物光学系を内装し、この鏡体12を、上記架台16に連結された上部アーム50に、鏡体俯仰機構51を介して、空間上に移動自在に配する(図10参照)。上部アーム50には、指標である、上記LED151,152,153が所定の間隔に設けられる。
【0072】
上記鏡体俯仰機構51は、図11及び図12に示すようにその俯仰軸53の一端部が鏡体12に設けられた鏡体取付部511に回転軸O7周りに回転自在に支持される。俯仰軸53には、一端部にスイッチピン531が、上記鏡体取付部52内に配される俯仰角検出用の第1及び第2のスイッチ521,522の各接点に対応して設けられる。この第1及び第2のスイッチ521,522は、俯仰軸511の回転位置に応じて所定の間隔に配され、該俯仰軸511の回転位置に応じて上記スイッチピン531により、一方の接点が選択的にオン・オフ切り換え制御される。これら第1及び第2のスイッチ521,522は、図示しない俯仰角度検出回路に接続される。俯仰角度検出回路(図示せず)は、第1及び第2のスイッチ521,522の切り換え信号を上記ワークステーション19に出力する。
【0073】
また、上記俯仰軸53の一端部には、凹状の第1及び第2のクリック穴532,533が、上記第1及び第2のスイッチ521,522の接点に対応して所定の間隔に設けられる。一方、鏡体取付部52には、クリックピン54が上記俯仰軸53の第1及び第2のクリック穴532,533に対応して出入り自在に設けられる。
【0074】
このクリックピン54には、バネ部材541が、俯仰軸方向に付勢力を付与するように係着され、このバネ部材541の付勢力により、俯仰軸53の第1及び第2のクリック穴532,533に選択的に挿入されて該俯仰軸53の回転を規制して位置決めする。また、クリックピン54には、その基端に操作ツマミ542が設けられる。操作ツマミ542は、バネ部材541の付勢力に抗してクリックピン54を俯仰軸53の第1及び第2のクリック穴532,533から離脱させて該俯仰軸53の回転を可能に解放する。
【0075】
また、上記ワークステーション19内には、鏡体12の俯仰角に応じたキャリブレーションデータを記憶する、例えば図示しない第1及び第2のキャリブレーションデータメモリが設けられている。そして、ワークステーション19は、例えば上記俯仰角度検出回路(図示せず)の出力信号に基づいて第1のスイッチ521がオンされている状態で、上記第1のキャリブレーションデータメモリを、また第2のスイッチ522がオンされている状態で、第2のキャリブレーションデータメモリをキャリブレーションデータとして参照する、俯仰角変更検出プログラムが内蔵される。
【0076】
上記構成により、キャリブレーション以外の、術前の作業(3次元画像データに再構築等)は、上記第1の実施の形態と同様に行われる。続いて、鏡体12の対物光軸9を鉛直方向に設定した状態で(図10参照)、キャリブレーション作業が行われる。このときの、演算された生体座標系は、例えば第1のキャリブレーションデータメモリに記憶される。この際、クリックピン54は、第1のクリック穴532に挿入され、スイッチピン531が、第1のスイッチ521の接点をオンさせる。
【0077】
次に、クリックピン54の操作ツマミ541をバネ部材541の付勢力に抗して引き、クリックピン54を、第1のクリック穴532から脱出させ、鏡体12を約90°回転させる。すると、クリックピン54は、第2のクリック穴533に入り込み、鏡体12が図13に示すように対物光軸9を鉛直方向に対して90°傾けた状態で、上部アーム50に対して位置決めされて固定され、ここで、キャリブレーション作業が行われる。このときの、演算された生体座標系は、第2のキャリブレーションデータメモリに記憶される。この際、クリックピン54は、第2のクリック穴533に挿入され、スイッチピン531が、第2のスイッチ522の接点をオンさせる。ここで、鏡体12の対物光軸9は、上部アーム部50に配されたLED151,152,153に対向する向きに設定され、2つの生体座標がそれぞれ上記第1及び第2のキャリブレーションメモリに記憶される。
【0078】
また、手術用顕微鏡による観察中、CCDカメラ171,172は、LED151,152,153を撮影する。上記画像信号処理装置18は、CCDカメラ171,172のからの画像信号を信号処理し、検出信号をワークステーション19に出力する。
【0079】
そして、対物光軸9が鉛直方向のとき、つまり第1のスイッチ521がオンされた状態で、ワークステーション19は、俯仰角変更検出プログラムの作用により上記第1のキャリブレーションデータメモリを参照する。また、第2のスイッチ522がオンされた状態で、ワークステーション19は、俯仰角変更検出プログラムの作用により、上記第2のキャリブレーションデータメモリを参照する。この第1及び第2のキャリブレーションデータメモリに記憶されている、生体座標系から、手術用顕微鏡の焦点Pの、術前画像における位置を演算して、演算結果に基づき、術前画像に点P1を重像してモニター21に表示する。
【0080】
また、手術中において、鏡体12の角度を手術中に大きく変えて使用する場合について説明する。例えば、対物光軸9を鉛直方向から、鏡体12を鏡体俯仰機構51を用いて俯仰させ、90°に変更した場合、術者Bは、クリックピン54の操作ツマミ542をバネ部材541の付勢力に抗して引き、クリックピン54を第1のクリック穴532から脱出させ、鏡体12を矢印方向に90°回転させる。すると、クリックピン54が、第2のクリック穴533に入り込み、鏡体12は、図13に示すように対物光軸9を鉛直方向に対して90°傾けた状態で、上部アーム50に対して固定される。この状態では、俯仰軸53のスイッチピン531が、第2のスイッチ522をオンさせる。
【0081】
ここで、CCDカメラ171,172は、LED151,152,153が撮影される。すると、上記画像信号処理装置18は、CCDカメラ171,172からの画像信号を信号処理して、検出信号をワークステーション19に出力する。ワークステーション19は、上記俯仰角検出回路(図示せず)から、俯仰角を検出し、俯仰角変更検出プログラムの作用により第2のキャリブレーションデータメモリを参照して、焦点Pの生体座標系における位置を算出する。この結果、ワークステーション19は、患者Aの術前の断層画像に基づく3次元に再構築された術部の術前画像に鏡体12の焦点Pを重像してモニター21に表示する。
【0082】
このように第4の実施の形態では、鏡体12と上部アーム50との間に、鏡体12の架台16に対する相対角度を変更する、鏡体俯仰機構51と該鏡体俯仰機構51の俯仰角度を検出する第1及び第2のスイッチ521,522とスイッチピン531を配し、鏡体角度に応じた生体座標を記憶した第1及び第2のキャリブレーションメモリを設けて構成した。これによれば、鏡体12の俯仰角を手術のスタイルに合わせて変更しても、手術用顕微鏡の鏡体12の焦点Pを高精度に位置検出ができることにより、容易に観察形態の多様化を図ることが可能となる。
【0083】
また、これによれば、第1及び第2のスイッチ521,522の2個のメカニカルスイッチと、俯仰軸53にスイッチピン531を設けるだけの簡易な構成で、高精度な検出が実現されることにより、容易に小形化を確保することができる。
【0084】
(第5の実施の形態)
図14及び図15は、この発明の第5の実施の形態に係る鏡体俯仰機構60を示す。但し、図14及び図15においては、上記図10乃至図13と同一部分について同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0085】
即ち、第5の実施の形態においては、上述した第4の実施の形態と同様に俯仰軸53が鏡体取付部52に、回転軸O7周りに回転自在に挿入される。なお、俯仰軸53は、同様にその一端部が上記上部アーム50に支持され、鏡体12は、鏡体俯仰機構60を介して、上部アーム50に対して、回転軸O7周りに回転自在に配される。
【0086】
俯仰軸53の他端部には、ブレーキ機構を構成するブレーキディスク61が取り付けられる。そして、上記鏡体取付部52の内部には、俯仰軸53を回転軸O7周りの回転を規制する、電磁ブレーキ62が俯仰軸53のブレーキディスク61に対応して設けられる。この電磁ブレーキ62には、ブレーキシュー621が上記俯仰軸53のブレーキディスク61に対向して設けられる。電磁ブレーキ62は、例えば図示しない俯仰ブレーキスイッチの操作に応動して図示しない制御回路を介してソレノイドが駆動制御されて、そのブレーキシュー621をブレーキディスク61に接離して俯仰軸53の回転を制動あるいは制動解除する。
【0087】
また、鏡体取付部52には、エンコーダ63が、俯仰軸53の回転軸O7に対向して設けられる。このエンコーダ63は、上記ワークステーション19に接続され、上記俯仰軸53の回転角を検出して回転角情報をワークステーション19に出力する。
【0088】
上記ワークステーション19は、例えば図15に示すようにエンコーダ63で検出した回転角情報が入力されると、相対座標演算部191で、キャリブレーション時からの俯仰軸53の回転角を算出し、対物光軸9とLED151,152,153の相対位置関係を算出する。この相対位置情報は、焦点座標検出部192に入力される。焦点座標検出部192には、上記焦点距離検出部20からの焦点距離情報が入力され、この焦点距離情報と相対位置情報とに基づいて、上部アーム50のLED151,152,153に対する、鏡体12の焦点Pの相対座標を算出して、生体座標演算部193に出力する。
【0089】
生体座標演算部193には、上記位置検出装置17からの上部アーム50の位置情報が入力され、この位置情報と上記焦点Pの相対座標とに基づいて焦点Pの生体座標系における、鏡体12の焦点Pを算出し、画像表示部194を介して上記モニター21に表示する。
【0090】
上記構成において、手術の前の作業(3次元画像データに再構築、キャリブレーション)に関しては、上述した実施の形態と同様にして実行する。この時、エンコーダ63は、俯仰軸53と鏡体取付部52との初期値を計測する。
【0091】
そして、手術中、ワークステーション19は、上部アーム50のLED151,152,153の位置を検出して、焦点Pの術前画像における位置を演算して求め、術前画像に焦点Pの位置を示す点P1を重像して、モニター21に表示する。
【0092】
一方、また、術者Bは、手術中、手術のスタイルを変更する場合、俯仰ブレーキスイッチ(図示せず)を押圧操作する。すると、上述したように制御回路(図示せず)を介して電磁ブレーキ62のブレーキシュー621が、俯仰軸53のブレーキディスク61から離れ、俯仰軸53の鏡体取付部52に対する回転軸O7周りの回転の規制が解除される。
【0093】
ここで、術者Bは、好みの俯仰角度に設定し、上記俯仰ブレーキスイッチ(図示せず)から手を離す。すると、ブレーキシュー621は、ブレーキディスク61に対して押し付けられ、俯仰軸53の鏡体取付部52に対する回転軸O7周りの回転が固定される。ここで、相対座標演算部191には、エンコーダ63からの角度情報が入力され、この角度情報に基づいてキャリブレーション時からの俯仰軸53の回転角を演算し、対物光軸9及び対物光軸9とLED151,152,153の相対位置関係を算出する。この演算結果は、焦点座標検出部192に出力される。焦点座標検出部192は、入力された相対位置関係と、上記焦点距離検出部20からの鏡体12の焦点距離情報とに基づいて、キャリブレーション時からのLED151,152,153の相対位置の変化量を演算して、この演算結果を生体座標演算部193に出力する。
【0094】
この生体座標演算部193は、焦点座標検出部192の出力値とキャリブレーション時に記憶された生体座標系から、生体座標系における、鏡体12の焦点Pを算出する。この結果を受けて、ワークステーション19は、術前画像に焦点位置を示す点P1を重像し、モニター21に表示する。
【0095】
このように第5の実施の形態においては、俯仰軸53の回転をエンコーダ63で検出して、エンコーダ63の検出情報に基づいて、鏡体12の焦点位置の術前画像における位置を算出するように構成した。これによれば、キャリブレーションを一回行うだけで済むことにより、上述した第4の実施の形態に比して手術の準備に費やす時間を短縮化することができる。
【0096】
また、これによれば、エンコーダ63を用いて回転角を検出するように構成していることにより、俯仰角をより細かく設定することができるため、さらに手術を効率良く行うことが可能となる。
【0097】
さらに、第4及び第5の実施の形態においては、LED151,152,153の配される上部アーム50と、鏡体12に配される鏡体取付部52との回転角を検出して、この回転角に基づいて位置検出装置17による位置検出を行うように構成していることにより、観察形態を含む手術スタイルの多様化を図ったうえで、高精度な位置検出が可能となる。また、LED151,152,153を、単に上部アーム50に取付け配置するだけでよいことにより、小形化が確保され、手術の容易化にも寄与することができる。
【0098】
なお、上記各実施の形態では、LED151,152,153を用いた指標構造を用いて構成した場合で説明したが、これに限ることなく、その他、各種の指標構造を用いて構成することも可能である。
【0099】
よって、この発明は、上記実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
【0100】
例えば実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0101】
また、この発明は、上記記述に基づいて、
(1) 術部を観察するための対物光学系を有する手術用顕微鏡と、
前記手術用顕微鏡の対物光軸上の焦点と、手術用顕微鏡の距離を検出する焦準距離検出手段と、
前記手術用顕微鏡に設けられた指標と、
前記指標の位置を検出する位置検出手段と、
焦準距離検出手段と、位置検出手段からの情報を元に、前記手術用顕微鏡の焦準位置と前記手術用顕微鏡の3次元的な空間位置を算出する演算手段とを備えた手術用顕微鏡システムにおいて、
前記指標を、手術用顕微鏡の対物光軸周りに回転可能な、指標回転移動手段を介して、手術用顕微鏡に設けられたことを特徴とする手術用顕微鏡システムを提供することができる。
【0102】
(2) 前記(1)の記述において、
前記指標回転移動手段は、半円弧状のガイドレールであることを特徴とする手術用顕微鏡システムを提供することができる。
【0103】
(3) 前記(2)の記述において、
前記指標移動部に、指標をガイドレールに対して移動させる、駆動手段を設けたことを特徴とする手術用顕微鏡システムを提供することができる。
【0104】
(4) 前記(3)の記述において、
前記位置検出手段による前記指標の検出状態を判別する、検出状態判別回路と、前記検出状態判別回路からの出力信号に基づき、前記指標を移動させる駆動手段の動作を制御する制御回路が設けられていることを特徴とする手術用顕微鏡システムを提供することができる。
【0105】
(5) 術部を観察するための対物光学系を有する手術用顕微鏡と、
該手術用顕微鏡を3次元的位置が移動・固定可能な架台と、
前記手術用顕微鏡の位置を示す指標と、
前記指標の位置を検出する位置検出手段と、
前記手術用顕微鏡の対物光軸上の焦点と、手術用顕微鏡の距離を検出する焦準距離検出手段と、
前記焦準距離検出手段と、前記位置検出手段からの情報を元に、前記手術用顕微鏡の焦点位置と前記手術用顕微鏡の3次元的な空間位置を算出する演算手段とを備えた手術用顕微鏡システムにおいて、
前記架台と手術用顕微鏡の相対位置を変更する回転軸と、
前記回転軸の回転を検出する、角度検出手段が設けられたことを特徴とする手術用顕微鏡システムを提供することができる。
【0106】
(6) 前記(5)の記述において、
前記角度検出手段は、前記回転軸に設けられた、ピンとメカニカルスイッチからなることを特徴とする手術用顕微鏡システムを提供することができる。
【0107】
(7) 前記(6)の記述において、
前記角度検出手段は、エンコーダであることを特徴とする手術用顕微鏡システムを提供することができる。
【0108】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、構成簡易にして、小形化を確保したうえで、取扱い操作を含む使い勝手の向上を図り得るようにした手術用顕微鏡システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係る手術用顕微鏡システムの概略構成を示した構成図である。
【図2】図1の処理制御系を示したブロック図である。
【図3】図1の鏡体及び指標回転移動機構部の配置関係を示した斜視図である。
【図4】図3のX−Xを断面して示した断面図である。
【図5】図1の患者とヘッドフレームと関係を説明するために示した配置構成図である。
【図6】この発明の第2の実施の形態に係る回転移動機構部を取り出して示した斜視図である。
【図7】図6のY―Yを断面して示した断面図である。
【図8】この発明の第3の実施の形態に係る回転移動機構部を取り出して示した斜視図である。
【図9】図8の回転移動機構部の動作を説明するために示した動作説明図である。
【図10】この発明の第4の実施の形態に係る鏡体俯仰機構を取り出して示した斜視図である。
【図11】図10の要部を俯仰軸に対して直交する方向に断面して示した断面図である。
【図12】図10の要部を俯仰軸方向に断面して示した断面図である。
【図13】図10の動作を説明するために示した斜視図である。
【図14】この発明の第5の実施の形態に係る鏡体俯仰機構の要部を俯仰軸方向に断面して示した断面図である。
【図15】図14の処理制御系を示したブロック図である。
【符号の説明】
9…対物光軸、10…手術用ベッド、11…ヘッドフレーム、111,112,113…マーク部材、12…鏡体、121…延出部、122…ガイドレール、13…主側ファインダー、14…グリップ、15…指標回転移動機構部、151,152,153…LED、154…LED移動部、16…架台、171,172…CCDカメラ、18…画像信号処理装置、19…ワークステーション、20…焦準拠置検出部、21…モニター、22…スピーカ、231,232,233…ローラー、241,242,243…ローラー軸、244…ギア、30…指標回転移動機構部、311,312…メカニカルスイッチ、311a,312a…接点、32…モーター、321…駆動軸、322…ギア、40…助手用ファインダー、41…中間鏡筒、42…指標回転移動機構部、43…LED移動部、441,442…支柱、45…円形ガイドレール、50…上部アーム、51…鏡体俯仰機構、52…鏡体取付部、521,522…第1及び第2のスイッチ、53…俯仰軸、531…スイッチピン、532,533…第1及び第2のクリック穴、54…クリックピン、541…バネ部材、542…操作ツマミ、60…鏡体府仰機構、61…ブレーキディスク、62…電磁ブレーキ、621…ブレーキシュー、63…エンコーダ、191…相対座標演算部、192…焦点座標検出部、193…生体座標演算部、194…画像表示部。
Claims (4)
- 術部を観察するための対物光学系を有する手術用顕微鏡と、
前記手術用顕微鏡の対物光軸上の焦点と、手術用顕微鏡の距離を検出する焦準距離検出手段と、
前記手術用顕微鏡に設けられた指標と、
前記指標の位置を検出する位置検出手段と、
前記焦準距離検出手段の検出情報、及び前記位置検出手段の検出情報に基づいて、前記手術用顕微鏡の焦点位置と前記手術用顕微鏡の3次元的な空間位置を算出する演算手段とを備える手術用顕微鏡システムにおいて、
前記指標を、前記手術用顕微鏡に対して対物光軸周りに独立して回転調整自在に配する指標回転移動手段を具備したことを特徴とする手術用顕微鏡システム。 - 前記指標回転移動手段は、前記対物光学系の光軸周りに配されるガイドレールを有し、該ガイドレールに前記指標を移動自在に支持してなることを特徴とする請求項1記載の手術用顕微鏡システム。
- 前記指標は、前記ガイドレールに対して駆動機構を介して移動自在に配されることを特徴とする請求項2記載の手術用顕微鏡システム。
- さらに、前記位置検出手段による前記指標の検出状態を判別する判別回路と、前記判別回路からの出力信号に基づき、前記駆動機構を駆動制御する制御回路とを備えることを特徴とする請求項3記載の手術用顕微鏡システム。
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