JP4436191B2 - コンクリート矢板 - Google Patents
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Description
このような施工方法に用いられるコンクリート矢板の上下方向の長さは、一般的に18m程度に設定されているが、これはコンクリート矢板を搬送可能な値であり、この長さ以上であってもコンクリート矢板の強度を十分に確保することができるにも関わらず、1体のコンクリート矢板の長さが限定されてしまうため、深度の大きい掘削に用いることができなかった。
また、凹部および凸部は、確実に嵌め合わせることができるのであれば、その形状や大きさは限定されるものではない。
さらに、コンクリート矢板の接合方向は限定されるものではなく、本発明では2体のコンクリート矢板を上下方向または左右方向に接合する場合に適用可能である。
なお、定着部材は、例えば、矢板本体内に突出させた棒状部材であり、その形状、配置、および数は限定されるものではないが、他のコンクリート矢板の接合方向と直交する方向に向けて突出させることにより、接合部材に取り付けられた他のコンクリート矢板が離間しようとした場合に、定着部材の定着力を有効に作用させることができる。
また、定着部材は、矢板本体と接合部材との接合力と補助するための部材であり、多数の定着部材を接合部材に設ける必要がないため、矢板本体に補強筋が配筋されている場合であっても、補強筋と干渉することなく、接合部材に定着部材を設けることができる。
なお、コンクリート矢板の説明において、幅方向とは、図1(b)の左右方向に対応している。
また、矢板本体11の内方側面13の幅方向における両端部には、他のコンクリート矢板10を並設するための継手部15a,15bが幅方向に突出しており、継手部15a,15bの幅方向の側端面は、別のコンクリート矢板10が幅方向に接合される接合面となっている。
すなわち、本実施形態のコンクリート矢板10は、凹溝14によって平面視で略U形状となっている部位と、U形となる部位の両端部から幅方向に突出している継手部15a,15bとが形成されている所謂U形の矢板である。
また、コンクリート矢板10は、各種搬送手段によって簡易に搬送可能となるようにして、矢板本体11の上下方向の長さおよび重量が設定されている。さらに、矢板本体11の内部に鉄筋等の補強筋を配筋することにより、コンクリート矢板10の強度を大きくしてもよい。
そして、継手部15a,15bの幅方向の側端面に、他のコンクリート矢板10を接合し、複数のコンクリート矢板10を順次に並設することにより、平面視で波形の壁体を構築することができる。
この接合部材20は、薄い鋼板によって形成されており、コンクリート矢板10の外周面に沿って形成されている。また、接合部材20の上端部の外方側面12および内方側面13には、矢板本体11の上端面17と同一面を形成するようにして、直角に折り曲げられたフランジ部21が形成されており、このフランジ部21には、貫通孔である複数の取付孔22が、接合部材20の外周縁に沿って所定間隔で並設されている。
このように、水平に凹凸が形成されている外周面の凹部16および接合部材20の凸部23が係合されることにより、上下方向、すなわち、上方に配置されるコンクリート矢板10’(図2参照)の接合方向において、凹部16と凸部23とが係止された状態となっている。
なお、接合部材20は、予め工場等で矢板本体11を製造する際に取り付けられるものであり、例えば、凹部16が形成された矢板本体11の外周面に、分割した接合部材20を嵌め合わせることにより、矢板本体11の全周に筒状の接合部材20を配置することができる。
また、2体のコンクリート矢板10,10’を接合した場合には、各接合部材20,20の各取付孔22,22が連通するように構成されている。
図3は、本発明のコンクリート矢板を用いて地下道路を構築する態様を示した図で、(a)はコンクリート矢板によって側壁を構築した状態の正面断面図、(b)はコンクリート矢板による側壁を構築した状態の平面図である。図4は、本実施形態のコンクリート矢板を用いて構築した地下道路を示した正面断面図である。
なお、本実施形態において、幅員方向とは、図3(a)および図4の左右方向に対応しており、地下道路の延長方向とは、図3(b)の上下方向に対応している。
本実施形態では、本発明のコンクリート矢板10,10’を用いて地下道路1を構築する場合を例として説明する。
まず、図3(a)に示すように、地下道路1(図4参照)の延長方向に沿って掘削した掘削溝2を、幅員方向に所定間隔を空けて2箇所に構築する。
一方、2体のコンクリート矢板10,10’を施工現場内に搬入し、上下にコンクリート矢板10,10’を配置する。そして、図2に示すように、下方のコンクリート矢板10(以下、「下方コンクリート矢板」という)の上端面17に、上方のコンクリート矢板10’(以下、「上方コンクリート矢板」という)の下端面を当接させる。さらに、各接合部材20,20の各取付孔22,22にボルト30を挿通させ、このボルト30にナット31を螺着させて各接合部材20,20を接合させる。これにより、2体のコンクリート矢板10,10’が上下に接合された状態となる。
続いて、図3(a)に示すように、上下に接合した2体のコンクリート矢板10,10’を一方の掘削溝2内に挿入する。このとき、各コンクリート矢板10,10’の内方側面13を各掘削溝2,2の間に向けて配置する。
また、図3(b)に示すように、前記コンクリート矢板接合工程と同様にして、他の2体のコンクリート矢板10,10’を上下に接合し、このコンクリート矢板10,10’を、既に掘削溝2内に配置されているコンクリート矢板10,10’の側方に配置する。そして、隣り合う上方コンクリート矢板10,10および下方コンクリート矢板10’,10’を接合して、2体1組のコンクリート矢板10,10’を地下道路1(図4参照)の延長方向に並設する。このようにして、2体1組のコンクリート矢板10,10’を順次に並設し、掘削溝2内に平面視で波形状の側壁40を配置する。
なお、隣り合う上方コンクリート矢板10,10および下方コンクリート矢板10’,10’の接合は、各継手部15a,15b(図1参照)の接合面に設けた凹凸を嵌め合う構成や、止水材を介在させる構成など、その構成は限定されるものではない。
同様にして、他方の掘削溝2内にコンクリート矢板10,10’による側壁40を固定することにより、幅員方向に所定間隔を空けて対峙している2体の側壁40,40を地盤内に構築する。
このように、本実施形態では、簡易に搬送可能となるようにして、上下方向の長さが設定されているコンクリート矢板10,10’を、上下に2体配置して接合することにより、深度の大きな掘削に対応した側壁40,40を構築することができる。また、2体のコンクリート矢板10,10’を分割した状態で施工現場に搬送することができるため、コンクリート矢板10,10’を簡易に搬入することができる。
次に、図4に示すように、各側壁40,40を土留め壁として利用しながら、各側壁40,40の間を掘削して掘削溝3を構築する。ここで、側壁40,40は、平面視で波形状の壁体となっており(図3(b)参照)、地盤から各側壁40,40に作用した水平応力の応力方向が分散される。
次に、図4に示すように、掘削溝3を所定深度まで掘削した後に、掘削溝3の底面にコンクリート材を打設して床体4を構築し、各側壁40,40と床体4とを剛接合する。さらに、床体4の上面に道路5を構築して地下道路1を完成させる。
図5は、本実施形態のコンクリート矢板における他の構成を示した図で、(a)は2体のコンクリート矢板を接合板によって接合した状態の斜視図、(b)は接合部の側断面図である。図6は、本実施形態のコンクリート矢板における他の構成を示した図で、(a)は2体のコンクリート矢板を溶接によって接合した状態の斜視図、(b)は接合部の側断面図である。図7は、本実施形態のコンクリート矢板における他の構成を示した図で、(a)は接合部材に定着部材を設けた構成の平面図、(b)はコンクリート矢板の側断面図である。
具体的には、下方コンクリート矢板10の矢板本体11の上部、および上方コンクリート矢板10’の矢板本体11の下部の外周面に、複数のネジ孔18,18が各接合面の外周縁に沿って所定間隔で並設されているとともに、各ネジ孔18,18に対応するようにして、各接合部材50,50に貫通孔51,51が形成されている。
一方、矢板本体11,11に外嵌される接合板32には、各接合部材50,50の各貫通孔51に連通するようにして、複数の取付孔33が形成されている。そして、接合板32の各取付孔33および各接合部材50,50の各貫通孔51を通じて、各矢板本体11,11のネジ孔18,18に螺着されたボルト34の頭部が接合板32に係止されることにより、接合板32が各接合部材50,50に取り付けられている。
この構成では、各コンクリート矢板10,10’を搬送する際に、各接合部材50,50から外方に向けて突出している部位が存在しないため、各コンクリート矢板10,10’を簡易に積載することができる。
なお、接合板32は、筒状の部材に限定されるものではなく、例えば、上下に配置された接合部材50,50の貫通孔51,51に対応するようにして、上下2箇所に貫通孔が形成されている複数の板状部材によって各コンクリート矢板10,10’を接合してもよい。
ここで、他のコンクリート矢板10’(図2参照)の接合方向と直交する方向に定着部材24の軸方向を配置し、外方側面12と内方面側13とに両端部を各々取り付けることにより、定着部材24の定着力を大きくすることができる。また、他のコンクリート矢板10’の接合方向と直交する方向に軸方向を配置することにより、接合部材20に取り付けられた他のコンクリート矢板10’が離間しようとした場合に、定着部材24の定着力を有効に作用させることができる。
なお、定着部材24は、矢板本体11と接合部材20との接合力と補助するための部材であり、多数の定着部材24を接合部材20に設ける必要がないため、矢板本体11内に補強筋が配筋されている場合であっても、補強筋と干渉させることなく、接合部材20に定着部材24を設けることができる。
10’ 上方コンクリート矢板
11 矢板本体
14 凹溝
16 凹部
20 接合部材
23 凸部
40 側壁(構造体)
Claims (3)
- 構造体の構築において、土留め壁として用いられるコンクリート矢板であって、
プレキャストコンクリートによって構成された矢板本体と、
前記矢板本体の長手方向の端面の外周縁に配置されるように、前記矢板本体の外周面に取り付けられた接合部材と、を備え、
前記接合部材に他のコンクリート矢板を取り付けることにより、前記矢板本体の長手方向の端面に前記他のコンクリート矢板を接合可能であり、
前記矢板本体の外周面には、凹部または凸部の一方が形成されるとともに、
前記接合部材の内周面には、前記矢板本体の前記凹部または前記凸部と係合する凸部または凹部が形成されており、
前記矢板本体の前記凹部または前記凸部と、前記接合部材の前記凸部または前記凹部とは、前記他のコンクリート矢板の接合方向に係止されていることを特徴とするコンクリート矢板。
- 前記凹部および前記凸部は溝状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート矢板。
- 前記接合部材には、前記矢板本体内に定着している定着部材が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンクリート矢板。
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