JP4436187B2 - コンクリート矢板 - Google Patents
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Description
ここで、中空杭101による壁体100と、床体102との接合部には、取付金物103が設けられている。この取付金物103は、壁体100と床体102とを接合するための部材であり、中空杭101の側面と同一面となる垂直面を有する基端部104と、基端部104の垂直面から構造体の内方に向けて突出している水平板105とから構成され、床体102内の補強筋106が、水平板105の上面に溶接された状態となっている(例えば、特許文献1参照)。
また、凹溝が形成されている矢板とは、平面視でU形状となる矢板であり、このような矢板を順次に並設することにより、平面視で波形の壁体を構築することができる。そして、凹溝が形成された矢板では、地盤からの水平応力が作用した際に、その応力方向が分散されるため、同じ厚さであれば平板状の矢板と比較して強度を大きくすることができる。また、中空杭と比較して構造が簡易化されており、同じ強度の中空杭よりも軽量化することができる。
なお、コンクリート矢板の説明において、幅方向とは、図2(a),(b)の左右方向に対応している。
本実施形態では、地下道路を構築する際に用いられるコンクリート矢板を例として説明する。
このコンクリート矢板10は、平面視で略台形状の部材であり、地下道路の外方に向けて配置される外方側12(図2(a),(b)における上側)から、地下道路の内方に向けて配置される内方側13(図2(a),(b)における下側)に向けて順次に拡幅されている。なお、符号14は、コンクリート矢板10を補強するための鉄筋であり、外方側12の外形に沿って配筋されている。
この取付金物30は、棒状部材である鉄筋によって構成されており、上部は軸方向が上下方向に配置され、下部は内方側13に向けて水平方向に屈曲しているL字形状の基端部31と、軸方向が水平方向に配置され、基端部31の下部側の端部に継手菅32を介して接続されている先端部33とを備えている。
ここで、取付金物30では、床体内に配筋される鉄筋を先端部33に取り付ける構成となっているため、各取付金物30は、床体内の配筋構成を考慮して、接合部位20の所定位置に配置されている。なお、本実施形態では、幅方向に所定間隔を空けて配置された3体の取付金物30が、上下方向に2段で配置されており、合計6体の取付金物30が接続部位20に設けられている。
図3は、本実施形態のコンクリート矢板を用いて地下道路を構築する態様を示した図で、(a)はコンクリート矢板による側壁を構築した状態を示した正面断面図、(b)はコンクリート矢板による側壁を構築した状態を示した平面図である。図4は、本実施形態のコンクリート矢板を用いて地下道路を構築する態様を示した図で、(a)は笠コンクリートの正面断面図、(b)は笠コンクリートの平面断面図である。図5は、本実施形態のコンクリート矢板を用いて地下道路を構築する態様を示した図で、(a)は覆工体を設けた状態を示した正面断面図、(b)は覆工体を設けた状態を示した平面図である。図6は、本実施形態のコンクリート矢板を用いて地下道路を構築する態様を示した図で、(a)は床体を構築した状態を示した正面断面図、(b)は側壁と床体との接合部を示した正面断面図である。図7は、本実施形態のコンクリート矢板を用いた地下道路の構築において、中央壁と床体との接合部を示した正面断面図である。図8は、本実施形態のコンクリート矢板を用いた地下道路の構築において、コンクリート矢板の継手部に補強部材を設けた状態を示した平面断面図である。
なお、本実施形態において、幅員方向とは、図3、図5および図6(a)の左右方向に対応しており、地下道路の延長方向とは、図3(b)および図5(b)の上下方向に対応している。
本実施形態では、本発明のコンクリート矢板10を用いて地下道路を構築する場合を例として説明する。
まず、図3に示すように、地下道路の延長方向に延長させた掘削溝2を、幅員方向に所定間隔を空けて2箇所に掘削し、コンクリート矢板10の内方側13を各掘削溝2,2の間に向けた状態で、コンクリート矢板10を一方の掘削溝2内に挿入する。
続いて、掘削溝2内に他のコンクリート矢板10を挿入し、隣接するコンクリート矢板10,10の継手部15a,15bの凹部と凸部とを嵌め合わせて接合する。このようにして、複数のコンクリート矢板10を並設することにより、複数のコンクリート矢板10による側壁40(請求項における「壁体」)を掘削溝2内に配置する。さらに、側壁40と掘削溝2との隙間にコンクリート材を注入して、側壁40を掘削溝2内に固定する。
同様にして、他方の掘削溝2内にコンクリート矢板10による側壁40を固定することにより、幅員方向に所定間隔を空けて対峙している2体の側壁40,40を地盤内に構築する。
次に、図4に示すように、各側壁40,40の上端部が露出するようにして地盤を掘削し、側壁40の上端部の両側に沿って2体のコンクリート型枠51,52を配置する。
コンクリート型枠51,52は、プレキャストコンクリートによって構成されている直方体の部材であり、側壁40の外方側12に配置されたコンクリート型枠51の上端部は地上面と同一高さに配置され、側壁40の内方側13に配置されたコンクリート型枠52の上端部は、後記する覆工体70(図5参照)の厚さと同じ高さだけ地上面よりも下方に配置されている。
このコンクリート型枠51,52は、両端部が各々コンクリート型枠51,52を貫通している複数のボルト53によって側壁40の上端部に固着されている。具体的には、上下方向に2本1組のボルト53,53が、地下道路1(図6(a)参照)の延長方向に所定間隔を空けて複数配置されている。また、下方に配置されているボルト53は、各側壁40,40を構成しているコンクリート矢板10の上端部を貫通しており、各ボルト53の両端部にナット54が螺着されることによって、各コンクリート型枠51,52が側壁40の上端部に固着されている。
このように、プレキャストコンクリートによって形成されているコンクリート型枠51,52を用いることにより、笠コンクリート50を構築する際に、施工現場で打設するコンクリート材を大幅に減らすことができ、さらに、コンクリート材の養生期間が短くなるため、笠コンクリート50を簡易かつ短期間に構築することができる。
次に、図5に示すように、各側壁40,40の間において、地下道路の延長方向に掘削された掘削溝3を、幅員方向の中央に配置されるように掘削し、この掘削溝3内に垂直面を有する平板状の中央壁60を構築する。なお、符号61は、中央壁60の上端部に構築された笠コンクリートである。
そして、各側壁40,40および中央壁60に支持されるようにして覆工体70を設ける。この覆工体70は、一端が側壁40の笠コンクリート50に取り付けられ、他端が中央壁60の笠コンクリート61に取り付けられている複数の支持梁71と、各支持梁71の上面に載置されている路面体72とから構成され、路面体72の上面には仮設道路73が設けられている。
次に、覆工体70の仮設道路73によって車両の通行を確保しながら、覆工体70の下方で、側壁40,40を土留め壁として利用しながら、側壁40,40の間を掘削して掘削溝4を構築する。ここで、側壁40,40は、平面視で波形の壁体となっており(図3(b)参照)、地盤から各側壁40,40に作用した水平応力の応力方向が分散される。これにより、側壁40,40の強度が十分に確保されているため、地盤の崩落を確実に防止することができる。なお、本実施形態では、各側壁40,40および中央壁60に支保工62を設けることにより、掘削作業の安全性を高めている。
次に、図6(a)に示すように、掘削溝4を所定深度まで掘削し、掘削溝4の底面に鉄筋を配筋した後に、その鉄筋の周囲にコンクリート材を打設して床体5を構築する。
具体的には、図6(b)に示すように、側壁40を構成しているコンクリート矢板10の接合部位20から突出している各取付金物30の先端部33に、床体5内に配筋される鉄筋6の端部を溶接した後に、鉄筋6の周囲にコンクリート材を打設して床体5を構築する。
このとき、本実施形態のコンクリート矢板10では、取付金物30の基端部31が接合部位20に予め埋設されており、基端部31の引抜耐力が大きいため、接合部位20に対して取付金物30を強固に接合することができる。これにより、コンクリート矢板10による側壁40と、床体5との接合部に生じるせん断力やモーメントが、取付金物30によって十分に伝達されるため、側壁40と床体5とを簡易かつ確実に剛接合することができる。
この取付金物80は、棒状部材である鉄筋によって構成されており、正面視でU字形状の基端部81と、基端部81から幅員方向の両側に突出するようにして、基端部81の上端部および下端部に各々2本づつ取り付けられている先端部82とを備えている。
なお、取付金物80では、床体5内に配筋される鉄筋6が、各先端部82に溶接されるように構成されているため、各先端部82は、床体5の配筋構成を考慮して所定位置に配置されている。
このように、コンクリート矢板10と同様にして、中央壁60には、床体5を取付可能な取付金物80の基端部81が予め埋設されており、基端部81の引抜耐力が大きいため、中央壁60に取付金物80を強固に接合することができる。これにより、中央壁60と床体5との接合部に生じるせん断力やモーメントが、取付金物80によって十分に伝達されるため、中央壁60と床体5とを簡易かつ確実に剛接合することができる。
ここで、コンクリート矢板10に設けられている取付金物30の他の構成について説明する。
図9は、本実施形態のコンクリート矢板に設けられている取付金物の他の構成を示した図で、(a)は接合部位の平面断面図、(b)は接合部位の正面断面図である。
この構成では、床体から先端部95に引抜力が作用した場合に、その引抜方向において、基端部91と接合部位20との接合面積が広くなっているため、取付金物90の引抜耐力を大きくすることができる。
図10は、本実施形態のコンクリート矢板における継手部の他の構成を示した図で、(a)は、接合前の継手部を示した平面図、(b)は継手部を接合させた状態を示した平面図、(c)は仮設部材を引き抜いた状態を示した平面図、(d)は止水溝に止水材を注入した状態を示した平面図である。
まず、図10(a)に示すように、掘削溝内に一方のコンクリート矢板10a(図10(a)における下方)を配置する。
さらに、他方のコンクリート矢板10b(図10(a)における上方)の継手部16bにおいて、止水溝16c(図10(c)参照)に対応する位置に、コンクリート矢板10aの上端部から下端部に渡って仮設部材18を取り付ける。この仮設部材18は、止水溝16cの平面断面と同一断面に形成された棒状部材であり、その材質は限定されるものではなく、他方のコンクリート矢板10bから簡易に取り外し可能となっている。
さらに、図10(c)に示すように、止水溝16c内から仮設部材18(図10(b)参照)を引き抜いて撤去した後に、図10(d)に示すように、止水溝16c内にモルタルやウレタン等の止水材16dを注入する。
このようにして、継手部16a,16bでは、コンクリート矢板10a,10bの間に形成された止水溝16c内に土砂が侵入しないため、コンクリート矢板10a,10bの上端部から下端部に渡って止水材16dを確実に注入することができる。これにより、前記した継手部16a,16bでは、係合した止水金物17a,17bおよび止水溝16c内に注入された止水材16dによって、各コンクリート矢板10a,10bの接合部における地下水の浸入を確実に防止することができる。
5 床体
10 コンクリート矢板
20 接合部位
21 凹溝
30 取付金物
31 基端部
33 先端部
40 側壁
Claims (4)
- 構造体の構築において、土留め壁として用いられた後に、前記構造体の壁体として用いられるコンクリート矢板であって、
前記構造体の床体が接合される鉛直面が内方側に形成された接合部位と、
前記接合部位から上下方向に延長され、内方側に開口している凹溝と、が形成されているプレキャストコンクリートによって構成されており、
前記接合部位は、側面視で内方側が短辺で外方側が長辺の台形状に形成され、
前記接合部位には、前記床体に取付可能な先端部を有する取付金物の基端部が埋設されていることを特徴とするコンクリート矢板。
- 前記取付金物の先端部は、前記接合部位から突出している棒状部材によって構成されており、前記構造体の前記床体内に配筋される補強筋を取付可能であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート矢板。
- 前記取付金物の基端部は、前記取付金物の先端部の軸方向に対して垂直な平面を有する板状部材によって構成されていることを特徴とする請求項2に記載のコンクリート矢板。
- 前記接合部位は、前記構造体の床体が接合される鉛直面を有し、平面視で略矩形となるブロック体であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコンクリート矢板。
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