JP4436005B2 - 脱硝装置における触媒の抜き取り冶具および触媒の抜き取り方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば、火力プラントなどに設置されている脱硝装置における触媒の抜き取り冶具および触媒の抜き取り方法にかかる。特に、この発明は、脱硝装置の反応器中において、多数本の触媒の中から1本もしくは複数本の触媒を部分的に抜き取る際に、前記触媒を損傷させることなく確実に抜き取ることができる脱硝装置における触媒の抜き取り冶具および触媒の抜き取り方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の脱硝装置について、図5および図6を参照して説明する。この図示の例は、石炭焚きボイラーからの排煙ガスを脱硝する脱硝装置であって、縦置き棚段タイプの脱硝装置について説明する。
【0003】
図5において、1は脱硝装置の反応器である。この反応器1は、垂直方向(上下方向)に設置されている。前記反応器1の上部には、ダーティな排煙ガス2(図5中の格子矢印参照)が流入する流入口3が設けられている。一方、前記反応器1の下部には、クリーンな排煙ガス2(図5中の白抜き矢印参照)が流出する流出口4が設けられている。
【0004】
排煙ガス2が垂直(上下)に流れる前記反応器1の中間部には、4段(4層)の触媒層51、52、53、54が上下に縦置き棚段タイプに設置されている。なお、最下段の触媒層54(二点鎖線にて示す)は、予備の反応器である。最上段から三段までの前記触媒層51、52、53中には、複数個の触媒パック(もしくは、触媒モジュール、触媒ユニット)6がそれぞれ並設されている。
【0005】
前記触媒パック6は、図6に示すように、複数本(たとえば、100〜220本)の触媒単体9がフレーム10中に整列充填されてなるものである。すなわち、触媒単体9(エレメント)がパック化(もしくは、モジュール化、ユニット化)して、ハンドリングし易いように構成されている。前記触媒パック6は、約3t以下の重量を有する。なお、この明細書において、前記触媒単体9は、触媒と同義語である。
【0006】
前記触媒単体9は、酸化チタンが主成分であり、活性金属成分(バナジウム、タングステンなど)が含有されてなるものである。主に、二元系のTiO2 −WO3 触媒および三元系のTiO2 −V2 O5 −WO3 触媒が用いられている。また、前記触媒単体9は、図6に示すように、多数本の四角形の貫通孔11が格子状に設けられた角柱形状をなす。すなわち、ソリッド型(触媒成分自体で成形体となっているもの)のハニカム形状をなす。前記貫通孔11中を前記排煙ガス2が通過するものである。前記触媒単体9がハニカム形状をなすのは、排煙ガス2中の煤塵による閉塞を防止するためと、ガス接触面積を広くするためとによる。なお、この図示の例の触媒単体9は、ハニカム形状をなすものであるが、触媒としては、プレートタイプ、ペーパーハニカムタイプ、その他の形状のものがある。特に、触媒の形状は、限定しない。
【0007】
前記ハニカムタイプの触媒単体9の各寸法は、下記のとおりとなる。正方形の1辺Aが約150mm、高さHが約500〜1200mm、貫通孔11の開きピッチが約5〜10mm(ボイラーの燃料によりまちまちである)、壁の肉厚が約0.5〜1.5mm、重さが約5〜15Kgである。なお、前記触媒単体9の上下両端部の外周に緩衝材13(図6中の二点鎖線にて示す)を設けても良い。
【0008】
以下、前記構成からなる脱硝装置の作用について説明する。まず、石炭焚きボイラー(図示せず)から、窒素酸化物(NOx )を含有するダーティな排煙ガス2が流入口3から反応器1中に流入する。このダーティな排煙ガス2中にアンモニアなどの還元剤(図示せず)を注入添加する。なお、このアンモニアなどの還元剤の注入添加は、前記触媒パック6の上流側において行う。
【0009】
還元剤が注入添加されたダーティな排煙ガス2が各段の触媒層51、52、53の触媒単体9の貫通孔11中を貫通する。その際に、その触媒単体9の触媒作用により、ダーティな排煙ガス2中の窒素酸化物は、窒素と水蒸気とに分解される。
【0010】
窒素酸化物が分解されたクリーンな排煙ガス2は、流出口4から後段側装置(図示せず)および煙突(図示せず)を経て大気中に排出される。この種の装置としては、たとえば、特開平7−265666号公報に記載のもの、特開平9−267028号公報に記載のものなどがある。なお、前記公報に記載の脱硝装置は、触媒が横置きのタイプであるが、その作用は、触媒が縦置きのタイプの前記脱硝装置と変わらない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そして、前記触媒単体9は、非常に高価なものである。このために、前記触媒単体9を全部新規触媒単体9または再生触媒単体9に交換するには、コストが非常にかかり、また、使用済み触媒単体9を破棄するのにも、費用を要する。
【0012】
なお、前記再生触媒単体9としては、たとえば、特開平7−222924号公報に記載のもの、特開平10−5547号公報に記載のもの、特許公開2000−37634号公報に記載のもの、特許公開2000−37635号公報に記載のもの、特許公開2000−167405号公報に記載のものなどがある。
【0013】
また、前記脱硝装置において、前記触媒単体9は、全数が均一に良好な状態を維持できるとは限らず、排煙ガス2のガス流速アンバランスなどの外的要因により、特定の触媒単体9だけに性能劣化、摩耗劣化などの損傷を与える場合がある。
【0014】
そこで、性能が劣化した触媒単体9のみを新規触媒単体9または再生触媒単体9と交換することが提案されている。
【0015】
ところが、従来は、反応器1中において、触媒単体9を部分的に抜き取る冶具や方法がない。また、前記触媒単体9の間および前記触媒単体9と前記触媒パック6との間には、排煙のガスリークを防止するパッキン(図示せず)が設けられており、全体を圧縮することでパック化成型されている。このために、前記触媒パック6の中から1本もしくは複数本の触媒単体9を損傷させることなく抜き取ることは、非常に困難である。
【0016】
この発明は、脱硝装置の反応器中において、多数本の触媒の中から1本もしくは複数本の触媒を部分的に抜き取る際に、前記触媒を損傷させることなく確実に抜き取ることができる脱硝装置における触媒の抜き取り冶具および触媒の抜き取り方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、触媒の貫通孔中に貫通する貫通ロッドと、前記貫通ロッドの両端にそれぞれ固定されて、前記触媒の上流端および下流端をそれぞれ押さえる2枚の押さえ板と、前記貫通ロッドに設けられ、前記触媒を引き抜く引き抜き手段が係合する係合部と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
この結果、請求項1にかかる発明は、貫通ロッドを介して2枚の押さえ板で触媒の上流端と下流端とをそれぞれ押さえることにより、触媒と2枚の押さえ板と貫通ロッドとが一体の構造となる。このために、前記触媒を前記貫通ロッドおよび前記2枚の押さえ板を介して引き抜き手段で引き抜く際に、一体の構造の触媒と2枚の押さえ板と貫通ロッドとにより、前記触媒を多数本の触媒の中から損傷させることなく確実に抜き取ることができる。
【0019】
また、請求項1にかかる発明は、触媒の貫通孔中に貫通ロッドを貫通させるものであるから、触媒パック中の触媒が1本も抜き取られていない場合に、前記触媒パック中から1本の触媒を抜き取るのに最適である。
【0020】
また、請求項2にかかる発明は、2枚の押さえ板と、前記2枚の押さえ板を触媒の上流端および下流端にそれぞれ押さえて前記触媒をクランプするクランプ機構と、前記クランプ機構に設けられ、前記触媒を引き抜く引き抜き手段が係合する係合部と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
この結果、請求項2にかかる発明は、クランプ機構を介して2枚の押さえ板で触媒の上流端と下流端とをそれぞれ押さえることにより、触媒と2枚の押さえ板とクランプ機構とが一体の構造となる。このために、前記触媒を前記クランプ機構および前記2枚の押さえ板を介して引き抜き手段で引き抜く際に、一体の構造の触媒と2枚の押さえ板とクランプ機構とにより、前記触媒を損傷させることなく確実に抜き取ることができる。
【0022】
また、請求項2にかかる発明は、触媒を抜き取った後の空間を利用して、クランプ機構を抜き取る触媒の側方からセットするものであるから、抜き取り作業が簡単である。
【0023】
また、請求項3にかかる発明は、触媒の貫通孔中に貫通ロッドを貫通させるステップと、前記貫通ロッドの両端に押さえ板をそれぞれ固定すると共に、前記2枚の押さえ板により前記触媒の上流端および下流端をそれぞれ押さえるステップと、前記貫通ロッドの係合部と、前記反応器とに引き抜き手段をそれぞれ係合するステップと、前記引き抜き手段の引き抜き作用により、前記触媒を前記触媒パック中から引き抜くステップと、とからなることを特徴とする。
【0024】
この結果、請求項3にかかる発明は、請求項1にかかる発明と同様に、貫通ロッドを介して2枚の押さえ板で触媒の上流端と下流端とをそれぞれ押さえることにより、触媒と2枚の押さえ板と貫通ロッドとが一体の構造となる。このために、前記触媒を前記貫通ロッドおよび前記2枚の押さえ板を介して引き抜き手段で引き抜く際に、一体の構造の触媒と2枚の押さえ板と貫通ロッドとにより、前記触媒を多数本の触媒の中から損傷させることなく確実に抜き取ることができる。
【0025】
また、請求項3にかかる発明は、触媒の貫通孔中に貫通ロッドを貫通させるものであるから、触媒パック中の触媒が1本も抜き取られていない場合に、前記触媒パック中から1本の触媒を抜き取るのに最適である。
【0026】
また、請求項4にかかる発明は、クランプ機構により2枚の押さえ板を前記触媒の上流端および下流端にそれぞれ押さえて前記触媒をクランプするステップと、前記クランプ機構の係合部と前記反応器とに引き抜き手段をそれぞれ係合するステップと、前記引き抜き手段の引き抜き作用により、前記触媒を前記触媒パック中から引き抜くステップと、とからなることを特徴とする。
【0027】
この結果、請求項4にかかる発明は、請求項2にかかる発明と同様に、クランプ機構を介して2枚の押さえ板で触媒の上流端と下流端とをそれぞれ押さえることにより、触媒と2枚の押さえ板とクランプ機構とが一体の構造となる。このために、前記触媒を前記クランプ機構および前記2枚の押さえ板を介して引き抜き手段で引き抜く際に、一体の構造の触媒と2枚の押さえ板とクランプ機構とにより、前記触媒を損傷させることなく確実に抜き取ることができる。
【0028】
また、請求項4にかかる発明は、触媒を抜き取った後の空間を利用して、クランプ機構を抜き取る触媒の側方からセットするものであるから、抜き取り作業が簡単である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかる脱硝装置における触媒の抜き取り冶具および触媒の抜き取り方法の実施の形態の2例を図1〜図4を参照して説明する。なお、この実施の形態により、この発明にかかる脱硝装置における触媒の抜き取り冶具および触媒の抜き取り方法が限定されるものではない。
【0030】
(実施の形態1の構成の説明)
図1および図2は、この発明にかかる脱硝装置における触媒の抜き取り冶具および触媒の抜き取り方法の実施の形態1を示す。図中、図5および図6と同符号は同一のものを示す。
【0031】
反応器1のケーシング7中には、触媒パック6を受ける複数の受け枠8が上下に所定の間隔を開けてそれぞれ固定されている。前記受け枠8は、格子形状をなす。前記受け枠8上には、複数個の触媒パック6が整列配置されている。上層の触媒パック6と下層の触媒パック6との間には、所定の間隔が開けられている。
【0032】
この例の触媒パック6は、外フレーム14と内フレーム15との2重フレーム構造をなす。前記2重フレーム14、15中には、複数本の触媒単体9が締め付けられて整列充填されている。前記触媒単体9の間、および、前記触媒単体9と前記内フレーム15との間には、パッキン16が介在されていて、排煙ガス2のリークを防止している。
【0033】
図において、17は貫通ロッドである。前記貫通ロッド17は、この例では、所定の箇所にネジが設けられている針金、もしくは、長尺ボルトなどである。前記貫通ロッド17は、前記触媒単体9の貫通孔11中を貫通し得る外形をなし、かつ、前記触媒単体9の上流端(上端)および下流端(下端)から突出し得る長さを有するものである。
【0034】
図において、18、18は2枚の押さえ板である。前記2枚の押さえ板18、18は、前記触媒単体9の上流端および下流端を押さえ得る大きさをなす。前記2枚の押さえ板18、18のほぼ中央には、前記貫通ロッド17が貫通する貫通孔(図示せず)が設けられている。前記2枚の押さえ板18、18の一面(もしくは両面)には、前記触媒単体9の上流端および下流端を保護するクッション材19、19が張設されている。
【0035】
図において、20、20は前記貫通ロッド17の両端にそれぞれねじ込んだ蝶ネジナットである。前記蝶ネジナット20、20は、前記2枚の押さえ板18、18を前記触媒単体9の上流端および下流端に押さえ付けるものである。
【0036】
前記貫通ロッド17の一端(上端)には、係合部としてのアイボルト21が長ナット22およびナット23を介して取り付けられている。前記アイボルト21は、一端(上端)が環状形状をなし、一方、他端(下端)がボルトをなす。前記アイボルト21は、前記長ナット22およびナット23により、前記貫通ロッド17の一端に長さ調整可能に取り付けられている。
【0037】
図において、24は前記触媒単体9を引く抜く引き抜き手段としてのチェーンブロックである。前記チェーンブロック24は、ブロック本体25とチェーン26の先端とにフック27、28がそれぞれ設けられている。
【0038】
図において、29は前記チェーンブロック24を触媒単体9の受け枠8に掛ける掛け具である。前記掛け具29は、格子形状の前記受け枠8に掛かる板形状をなす。前記掛け具29には、係合環30が固定されている。
【0039】
(実施の形態1の作用の説明)
つぎに、上記の構成からなる実施の形態1の脱硝装置における触媒の抜き取り冶具を使用した触媒の抜き取り方法について説明する。
【0040】
まず、抜き取る触媒単体9の貫通孔11中に貫通ロッド17を貫通させる。つぎに、前記貫通ロッド17の両端に2枚の押さえ板18、18を蝶ネジナット20、20により固定すると共に、前記2枚の押さえ板18、18により前記触媒単体9の上流端および下流端をそれぞれ押さえる。
【0041】
なお、この作業は、抜き取る触媒単体9の上下にそれぞれ作業員を配して行われる。また、前記2枚の押さえ板18、18のクッション材19、19が前記触媒単体9の上流端および下流端に当接する。
【0042】
それから、抜き取る触媒単体9の上層の受け枠8に掛け具29を掛ける。つぎに、前記貫通ロッド17の上端のアイボルト21と前記掛け具29の係合環30に、チェーンブロック24のフック28と27とをそれぞれ係合させる。
【0043】
そして、前記チェーンブロック24のチェーン26を操作すると、前記チェーンブロック24の引き抜き作用により、前記触媒単体9が前記触媒パック6中から引き抜かれる。
【0044】
(実施の形態1の効果の説明)
この実施の形態1の脱硝装置における触媒の抜き取り冶具および触媒の抜き取り方法は、貫通ロッド17を介して2枚の押さえ板18、18で触媒単体9の上流端と下流端とをそれぞれ押さえることにより、触媒単体9と2枚の押さえ板18、18と貫通ロッド17とが一体の構造となる。
【0045】
このために、前記触媒単体9を前記貫通ロッド17および前記2枚の押さえ板18、18を介してチェーンブロック24で引き抜く際に、一体の構造の触媒単体9と2枚の押さえ板18、18と貫通ロッド17とにより、前記触媒単体9を多数本の触媒単体9の中から損傷させることなく確実に抜き取ることができる。
【0046】
特に、この実施の形態1においては、触媒単体9の貫通孔11中に貫通ロッド17を貫通させるものであるから、触媒パック6中の触媒単体9が1本も抜き取られていない場合に、前記触媒パック6中から1本の触媒単体9を抜き取るのに最適である。
【0047】
(実施の形態2の構成の説明)
図3および図4は、この発明にかかる脱硝装置における触媒の抜き取り冶具および触媒の抜き取り方法の実施の形態2を示す。図中、図1および図2、図5および図6と同符号は同一のものを示す。
【0048】
図において、31は2枚の押さえ板18、18を触媒単体9の上流端および下流端にそれぞれ押さえて前記触媒単体9をクランプするクランプ機構である。前記クランプ機構31は、前記触媒単体9の全長よりも長いアングル体32から構成されている。
【0049】
前記アングル体32の一端(下端)には、前記1枚の押さえ板(固定押さえ板)18が固定されている。前記アングル体32から押さえ板18にかけてL字形状のクッション材19が張設されている。前記アングル体32の他端(上端)には、側面三角フレームの支持体33が固定されている。前記支持体33には、アジャストナット34が固定されている。前記アジャストナット34には、アジャストボルト35が上下移動調整可能にねじ込まれている。
【0050】
前記アジャストボルト35の一端(上端)には、アイボルト21がナット36を介して取り付けられている。前記アジャストボルト35の他端(下端)には、前記他の1枚の押さえ板(可動押さえ板)18が固定されている。
【0051】
(実施の形態2の作用の説明)
つぎに、上記の構成からなる実施の形態2の脱硝装置における触媒の抜き取り冶具を使用した触媒の抜き取り方法について説明する。
【0052】
まず、上記実施の形態1の脱硝装置における触媒の抜き取り冶具および触媒の抜き取り方法により触媒パック6中の触媒単体9を1本もしくは複数本抜き取る。その抜き取った後の空間中に、クランプ機構31のアングル体32と押さえ板(固定押さえ板)18を挿入して、前記クランプ機構31を抜き取る触媒単体9の側方に位置させる。
【0053】
つぎに、クランプ機構31の2枚の押さえ板18、18を前記触媒単体9の上流端および下流端に対向させて、前記クランプ機構31を抜き取る触媒単体9にセットさせる。
【0054】
続いて、アジャストボルト35を下げることにより、前記2枚の押さえ板18、18により前記触媒単体9の上流端および下流端をそれぞれ押さえて、前記触媒単体9をクランプする。
【0055】
なお、この作業は、抜き取る触媒単体9の上にのみ作業員を配して行うことができる。また、前記2枚の押さえ板18、18のクッション材19、19が前記触媒単体9の上流端および下流端に当接する。
【0056】
それから、抜き取る触媒単体9の上層の受け枠8に掛け具29を掛ける。つぎに、アイボルト21と前記掛け具29の係合環30に、チェーンブロック24のフック28と27とをそれぞれ係合させる。
【0057】
そして、前記チェーンブロック24のチェーン26を操作すると、前記チェーンブロック24の引き抜き作用により、前記触媒単体9が前記触媒パック6中から引き抜かれる。
【0058】
(実施の形態2の効果の説明)
この実施の形態2の脱硝装置における触媒の抜き取り冶具および触媒の抜き取り方法は、クランプ機構31を介して2枚の押さえ板18、18で触媒単体9の上流端と下流端とをそれぞれ押さえることにより、触媒単体9と2枚の押さえ板18、18とクランプ機構31とが一体の構造となる。
【0059】
このために、前記触媒単体9を前記クランプ機構31および前記2枚の押さえ板18、18を介してチェーンブロック24で引き抜く際に、一体の構造の触媒単体9と2枚の押さえ板18、18とクランプ機構31とにより、前記触媒単体9を損傷させることなく確実に抜き取ることができる。
【0060】
特に、この実施の形態2においては、触媒単体9を抜き取った後の空間を利用して、クランプ機構31を抜き取る触媒単体9の側方からセットするものであるから、抜き取り作業が簡単である。
【0061】
(実施の形態1、2の変形例の説明)
なお、前記実施の形態1、2は、触媒パックが3段の縦置きタイプの石炭焚き用における脱硝装置であるが、この発明は、触媒パックが2段、4段以上、もしくは、横置きタイプの石油焚き用における脱硝装置などにも適用できる。
【0062】
また、前記実施の形態1、2は、引き抜き手段として、チェーンブロック24を使用したものであるが、この発明は、その他の引き抜き手段を使用しても良い。たとえば、滑車、その他の機械的引き抜き手段、または、油圧を使用した引き抜き手段などであっても良い。
【0063】
【発明の効果】
以上から明らかなように、この発明にかかる脱硝装置における触媒の抜き取り冶具および触媒の抜き取り方法(請求項1および3)によれば、貫通ロッドを介して2枚の押さえ板で触媒の上流端と下流端とをそれぞれ押さえることにより、触媒と2枚の押さえ板と貫通ロッドとが一体の構造となる。このために、前記触媒を前記貫通ロッドおよび前記2枚の押さえ板を介して引き抜き手段で引き抜く際に、一体の構造の触媒と2枚の押さえ板と貫通ロッドとにより、前記触媒を多数本の触媒の中から損傷させることなく確実に抜き取ることができる。
【0064】
また、この発明にかかる脱硝装置における触媒の抜き取り冶具および触媒の抜き取り方法(請求項1および3)によれば、触媒の貫通孔中に貫通ロッドを貫通させるものであるから、触媒パック中の触媒が1本も抜き取られていない場合に、前記触媒パック中から1本の触媒を抜き取るのに最適である。
【0065】
また、この発明にかかる脱硝装置における触媒の抜き取り冶具および触媒の抜き取り方法(請求項2および4)によれば、クランプ機構を介して2枚の押さえ板で触媒の上流端と下流端とをそれぞれ押さえることにより、触媒と2枚の押さえ板とクランプ機構とが一体の構造となる。このために、前記触媒を前記クランプ機構および前記2枚の押さえ板を介して引き抜き手段で引き抜く際に、一体の構造の触媒と2枚の押さえ板とクランプ機構とにより、前記触媒を損傷させることなく確実に抜き取ることができる。
【0066】
また、この発明にかかる脱硝装置における触媒の抜き取り冶具および触媒の抜き取り方法(請求項2および4)によれば、触媒を抜き取った後の空間を利用して、クランプ機構を抜き取る触媒の側方からセットするものであるから、抜き取り作業が簡単である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の脱硝装置における触媒の抜き取り冶具および触媒の抜き取り方法の実施の形態1を示す抜き取り状態の説明図である。
【図2】同じく、抜き取り冶具を触媒にセットした状態を示す説明図である。
【図3】この発明の脱硝装置における触媒の抜き取り冶具および触媒の抜き取り方法の実施の形態2の抜き取り冶具を触媒にセットした状態を示す説明図である。
【図4】図3におけるIV矢視図である。
【図5】一般の脱硝装置を示す斜視図である。
【図6】一般の脱硝装置に使用される触媒パックおよび触媒単体を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 反応器
2 排煙ガス
3 流入口
4 流出口
51 1段目の触媒層
52 2段目の触媒層
53 3段目の触媒層
6 触媒パック
7 ケーシング
8 受け枠
9 触媒単体
10 フレーム
11 貫通孔
13 緩衝材
14 外フレーム
15 内フレーム
16 パッキン
17 貫通ロッド
18、18 押さえ板
19、19 クッション材
20、20 蝶ネジ
21 アイボルト
22 長ナット
23 ナット
24 チェーンブロック
25 ブロック本体
26 チェーン
27、28 フック
29 掛け具
30 係合環
31 クランプ機構
32 アングル体
33 支持体
34 アジャストナット
35 アジャストボルト
Claims (4)
- 反応器中には、1層もしくは複数層の触媒層が設けられており、前記触媒層には、複数個の触媒パックが配置されており、前記触媒パックには、複数本の触媒が配置されており、前記触媒は、ハニカム形状をなすものであり、前記触媒間および前記触媒と前記触媒パックとの間には、排煙ガスリークを防止するパッキンが設けられており、排煙ガスが前記触媒の貫通孔を通過する際に、前記排煙中の窒素酸化物が前記触媒の作用により分解される脱硝装置において、
前記触媒の貫通孔中に貫通する貫通ロッドと、
前記貫通ロッドの両端にそれぞれ固定されて、前記触媒の上流端および下流端をそれぞれ押さえる押さえ板と、
前記貫通ロッドに設けられ、前記触媒を引き抜く引き抜き手段が係合する係合部と、
を備えたことを特徴とする脱硝装置における触媒の抜き取り冶具。 - 反応器中には、1層もしくは複数層の触媒層が設けられており、前記触媒層には、複数個の触媒パックが配置されており、前記触媒パックには、複数本の触媒が配置されており、前記触媒間および前記触媒と前記触媒パックとの間には、排煙ガスリークを防止するパッキンが設けられており、排煙ガスが前記触媒の貫通孔を通過する際に、前記排煙中の窒素酸化物が前記触媒の作用により分解される脱硝装置において、
2枚の押さえ板と、
前記2枚の押さえ板を前記触媒の上流端および下流端にそれぞれ押さえて前記触媒をクランプするクランプ機構と、
前記クランプ機構に設けられ、前記触媒を引き抜く引き抜き手段が係合する係合部と、
を備えたことを特徴とする脱硝装置における触媒の抜き取り冶具。 - 反応器中には、1層もしくは複数層の触媒層が設けられており、前記触媒層には、複数個の触媒パックが配置されており、前記触媒パックには、複数本の触媒が配置されており、前記触媒は、ハニカム形状をなすものであり、前記触媒間および前記触媒と前記触媒パックとの間には、排煙ガスリークを防止するパッキンが設けられており、排煙ガスが前記触媒の貫通孔を通過する際に、前記排煙中の窒素酸化物が前記触媒の作用により分解される脱硝装置において、
前記触媒の貫通孔中に貫通ロッドを貫通させるステップと、
前記貫通ロッドの両端に押さえ板をそれぞれ固定すると共に、前記2枚の押さえ板により前記触媒の上流端および下流端をそれぞれ押さえるステップと、
前記貫通ロッドの係合部と、前記反応器とに引き抜き手段をそれぞれ係合するステップと、
前記引き抜き手段の引き抜き作用により、前記触媒を前記触媒パック中から引き抜くステップと、
とからなることを特徴とする脱硝装置における触媒の抜き取り方法。 - 反応器中には、1層もしくは複数層の触媒層が設けられており、前記触媒層には、複数個の触媒パックが配置されており、前記触媒パックには、複数本の触媒が配置されており、前記触媒間および前記触媒と前記触媒パックとの間には、排煙ガスリークを防止するパッキンが設けられており、排煙ガスが前記触媒の貫通孔を通過する際に、前記排煙中の窒素酸化物が前記触媒の作用により分解される脱硝装置において、
クランプ機構により2枚の押さえ板を前記触媒の上流端および下流端にそれぞれ押さえて前記触媒をクランプするステップと、
前記クランプ機構の係合部と前記反応器とに引き抜き手段をそれぞれ係合するステップと、
前記引き抜き手段の引き抜き作用により、前記触媒を前記触媒パック中から引き抜くステップと、
とからなることを特徴とする脱硝装置における触媒の抜き取り方法。
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