JP4435963B2 - ダイカスト製サブフレーム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両のサブフレームの改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は従来のリヤサブフレームの平面図であり、車体(図示せず)にサブフレーム101を取付け、このサブフレーム101にサスペンションなどの車両部品を取付ける如くに、サブフレーム101は車両部品を車体に取付けるときの中間部材である。このサブフレーム101はクロスメンバでもあるから、適当な箇所に部品取付け座102,102を付随的に設けておき、この部品取付け座102に例えば排気管103をバンド104及びボルト105で取付ける如くに多目的に使用することができる。サブフレーム101は、従来ブランク材をプレス曲げしたものを溶接で一体化する方法で製造されてきたが、鋳造フレームが注目されている。
プレス、溶接法は生産効率が悪くコスト高になるが、鋳造であれば量産が可能であるからである。
【0003】
図7は従来の鋳造法の原理図であり、消失模型法を例に説明すると、湯口111、湯道112,112、キャビティ113,113、ガス抜き114,114を発泡樹脂で造った模型を鋳砂115に埋め、溶湯116を湯口111からを注入すれば、溶湯116の熱で模型は溶解、消失し、そこに溶湯116が置き換り、目的の鋳造品を得ることができるというものである。金型鋳造であれば、より手軽にサブフレームを量産することができる。鋳造であるから、プレス曲げも溶接も不要であり、生産能率は良好である。
【0004】
図8は従来のキャビティのイメージ図であり、湯口111から4本の湯道112・・・(・・・は複数を示す。以下同じ)を延ばし、これらの湯道112・・・を通じて井桁型キャビティ113に注湯するが、キャビティ113に予め部品取付け座の為の張出し部117,117を含めておけば、従来の金型鋳造であれば溶湯がゆっくりと張出し部117,117に回るため、これら張出し部117,117は容易に造ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、サブフレームの強度を確保する若しくは高めることを考えると、金型鋳造よりは、ダイカストが望ましいと言える。すなわち、高速高圧で溶湯をキャビティへ圧入することで、緻密な組織の鋳物を得ることができるダイカスト法が望ましい。ダイカスト品であれば、サブフレームの薄肉化、軽量化も可能となる。
【0006】
しかし、ダイカスト法では、キャビティ内の溶湯の流速が極めて大きくなるため、井桁型のサブフレームの場合、湯回り不良が発生しやすくなり、金型鋳造での鋳型を使用することはできなる。加えて、高速で溶湯を流すため前記張出し部117,117は渦を発生する要因となる。そのためサブフレームの製造法としてダイカスト法の導入が遅れているのが現状である。
そこで、本発明の目的は、ダイカスト法に適合したキャビティ構造を見出すこと、及びボスの為の張出しを設ける必要のない技術を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、車体にサスペンションなどの車両部品を取付けるときに中間部材として使用するサブフレームであって且つ車両前後方向に延びる縦メンバー部23と車両幅方向に延びる横メンバー部24を含むサブフレーム20において、このサブフレーム20は、前記縦メンバー部23と横メンバー部24とが交差する部位に湯流れ性を良くするための略三角形の膨出部51を設けることでメンバーの幅を部分的に広げたダイカスト品であり、前記略三角形の膨出部51を、排気管などの車両小部品を取付ける部品取付け座53としたことを特徴とする。
【0008】
縦メンバー部と横メンバー部とが交差する部位を広げて、溶湯の流路幅を増加したため、湯流れ性を高めることができる。加えて、従来張出し成形していた掘出し部を本発明では廃止した。その結果、湯流れ性は格段に向上し、ダイカストであっても湯回り不良を引起こす心配は無くなった。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る車両のリヤサブフレームの要部斜視図であり、アッパアーム11及びロアアーム12を主要素とするサスペンション10を、アーム取付け部21,21,22を介してリヤサブフレーム20に取付け、このリヤサブフレーム20を図示せぬ車体に取付ける。すなわち、サスペンション10を直接車体に取付けるのではなく、リヤサブフレーム20を介して車体に取付ける。従って、リヤサブフレーム20はサスペンション10を車体に取付けるための中間部材であると言える。
【0010】
そして、リヤサブフレーム20は、車両前後方向に延びる縦メンバー部23と車両幅方向に延びる横メンバー24,24とを含む井桁形状のフレームである。
など、リヤサブフレーム20は、H型、井桁型、I型など各種の形状のものがあるが、いずれも車体に左から右へ掛け渡すクロスメンバーでもある。
【0011】
図2は本発明に係るダイカストマシーンの原理図であり、ダイカストマシーン30は、ベース31と、固定金型32を支える固定盤33と、この固定盤33に対向配置した圧受盤34と、これら圧受盤34と固定盤33に掛け渡した複数のタイバー35・・・(・・・は複数を示す。以下同じ)と、これらのタイバー35・・・に案内され且つ可動金型36を支える可動盤37と、この可動盤37を固定盤33へ押圧させるべく圧受盤34に取付けた型締めシリンダ38と、前記固定金型32並びに固定盤33を貫通するスリーブ39と、このスリーブ39に開けた注湯穴41と、前記スリーブ39に挿入したフランジャ42と、このフランジャ42を押出す圧入シリンダ43とからなる。
【0012】
前記スリーブ39は湯口45に相当する。そして、固定金型32には湯口45に繋がる湯道46,46の半分と、これらの湯道46,46に繋がるキャビティ47,47の半分を設けておく。可動金型36にも同様に湯道46,46の半分と、これらの湯道46,46に繋がるキャビティ47,47の半分を設けておく。
【0013】
以上の構成からなるダイカストマシーン30の作用を説明する。
先ず、図2にて型締めシリンダ38を作動させて可動金型36を固定金型32に合せ、続いて十分な力で型締めする。
【0014】
図3(a),(b)は本発明に係るダイカストの作用説明図である。
(a)において、鍋48を傾けることにより注湯穴41を通じて、アルミニウム合金の溶湯49をスリーブ39に所定量注入する。
(b)にて、プランジャ42を高速で前進させる。すると、溶湯49は湯道46,46を介してキャビティ47,47に充満する。フランジャ42の圧入作用で溶湯が加圧され、この状態で凝固するため、得られるダイカスト品は、砂型鋳造品や金型鋳造品に比較して組織が緻密化し、高い強度が得れる。
【0015】
図4はダイカスト品の概念図である。この図は機械加工を施してあるので、純粋な型ばらし品とは言えないので、概念図と呼ぶ。
リヤサブフレーム20は横メンバー部24,24と縦メンバー部23,23を井桁型に組んだフレームである。そこで、湯口45から4本の湯道46・・・を分岐し、これらの湯道46・・・を通じて注湯することによりダイカストを実施したことを示す。
【0016】
なお、湯口45及び湯道46・・・は脱型後鋳物から切除する。
湯口45及び湯道46・・・を除いたダイカスト品に、機械加工を施せば目的のリヤサブフレーム20を得ることができ、このリヤサブフレーム20はアルミニウム合金製であるから軽量である。
【0017】
図5(a),(b)はリヤサブフレームに設ける部品取付け座の説明図であり、(a)で比較例、(b)で実施例を説明する。
(a)は図6(従来品)の部分拡大図であり、リヤサブフレーム110の横メンバー部121に部品取付け座102を膨出形成すると共に、横メンバー部121と縦メンバー部122とが交差する部位に適当なアール部123を設けたことを示す。このアール部123は砂型鋳造や金型鋳造若しくは消失模型法鋳造で要求される程度の比較的小さな半径rで構成する。図で、幅W1は、横メンバー部121と縦メンバー部122とが交差する部位での溶湯の流路幅である。
【0018】
(b)は本発明に係るリヤサブフレーム20の部分拡大図であり、リヤサブフレーム20の横メンバー部24と縦メンバー部23とが交差する部位に略三角形の膨出部51を張出し形成し、同部位で溶湯が流れ得る幅をW2に拡大したことを特徴とする。膨出部51には穴52を開ける等して、車両小部品を取付ける部品取付け座53として活用する。
【0019】
上述した通り、ダイカスト法では金型鋳造法等に比較して、溶湯の流速は格段に大きくなる。(b)において、横メンバー部24と縦メンバー部23が交差する部位の幅をW1からW2に大幅に広げることにより、矢印で示すごとく図下から上に更に左右に流れる溶湯は、大きな幅W2の部位を円滑に流れる。
従って、本発明では横メンバー部24と縦メンバー部23とが交差する部位の幅をW1からW2に大幅に広げることで、ダイカスト法で発生が予想される湯回り不良現象を巧みに解消できること、及び膨出部51を部品取付け座53として活用することで部品取付け座53のための張出し部を格別に設ける必要が無くなったという2つの効果を引出すことに成功したものである。
【0020】
尚、サスペンションなどの車両部品は、サスペンション、デフマウントの他、エンジンマウント、スプリングなどの懸架装置関連部品を広く指す用語であり、格別に種類を限定するものではない。
また、排気管などの車両小部品は、リヤサブフレームに取付けることが適当である小部品を広く指す用語であり、格別に種類を限定するものではない。
【0021】
そして、本発明はリヤサブフレームに好適であるが、形状によってはフロントサブフレームにも適用できる。すなわち、縦メンバー部とこれに交差(又は直交若しくは略直交)する横メンバー部を含むものでれば、フロント、リヤを問わない。
【0022】
さらに、ダイカストの溶湯の成分はアルミニウム合金、マグネシウム合金、銅アルミニウム合金、鉄鋼などダイカスト可能な金属であれば種類は任意である。ただし、サブフレームを軽量化する観点から、アルミニウム合金やマグネシウム合金が望ましい。
【0023】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1によれば、縦メンバー部23と横メンバー部24とが交差する部位を広げて略三角形の膨出部51を形成し、溶湯の流路断面積を増加したため、略三角形の膨出部51により湯流れ性を高めることができる。加えて、従来張出し成形していた掘出し部を本発明では廃止した。その結果、湯流れ性は格段に向上し、ダイカストであっても湯回り不良を引起こす心配は無くなった。
ダイカストであるから生産性が高く、溶湯を軽合金とすれば軽量化が図れ、丈夫で軽いリヤサブフレームを量産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両のリヤサブフレームの要部斜視図
【図2】本発明に係るダイカストマシーンの原理図
【図3】本発明に係るダイカストの作用説明図
【図4】ダイカスト品の概念図
【図5】リヤサブフレームに設ける部品取付け座の説明図
【図6】従来のリヤサブフレームの平面図
【図7】従来の鋳造法の原理図
【図8】従来のキャビティのイメージ図
【符号の説明】
10…車両部品としてのサスペンション、20…サブフレーム(リヤサブフレーム)、23…縦メンバー部、24…横メンバー部、30…ダイカストマシーン、39…スリーブ、41…プランジャ、43…圧入シリンダ、46…湯道、47…キャビティ、48…鍋、49…溶湯、51…膨出部、52…穴、53…部品取付け座。
Claims (1)
- 車体にサスペンションなどの車両部品を取付けるときに中間部材として使用するサブフレームであって且つ車両前後方向に延びる縦メンバー部(23)と車両幅方向に延びる横メンバー部(24)を含むサブフレーム(20)において、
このサブフレーム(20)は、前記縦メンバー部(23)と横メンバー部(24)とが交差する部位に湯流れ性を良くするための略三角形の膨出部(51)を設けることでメンバーの幅を部分的に広げたダイカスト品であり、
前記略三角形の膨出部(51)を、排気管などの車両小部品を取付ける部品取付け座53とした、
ことを特徴とするダイカスト製サブフレーム。
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