JPH1035209A - 車軸式懸架装置 - Google Patents

車軸式懸架装置

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JPH1035209A
JPH1035209A JP19795096A JP19795096A JPH1035209A JP H1035209 A JPH1035209 A JP H1035209A JP 19795096 A JP19795096 A JP 19795096A JP 19795096 A JP19795096 A JP 19795096A JP H1035209 A JPH1035209 A JP H1035209A
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JP
Japan
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axle
casting
cast
cross
section
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Application number
JP19795096A
Other languages
English (en)
Inventor
Koichi Yamada
幸一 山田
Junichi Miyagi
淳一 宮城
Yutaka Matsuura
裕 松浦
Satoshi Ishikawa
訓 石川
Toshikatsu Kawamori
敏克 河森
Satoshi Mizuno
諭 水野
Toru Umemura
徹 梅村
Yoshiyuki Setoguchi
善行 瀬戸口
Toshiyuki Konno
敏之 紺野
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CHUO KATAN KOGYO KK
Toyota Motor Corp
Original Assignee
CHUO KATAN KOGYO KK
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Pending legal-status Critical Current

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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60GVEHICLE SUSPENSION ARRANGEMENTS
    • B60G2206/00Indexing codes related to the manufacturing of suspensions: constructional features, the materials used, procedures or tools
    • B60G2206/01Constructional features of suspension elements, e.g. arms, dampers, springs
    • B60G2206/013Constructional features of suspension elements, e.g. arms, dampers, springs with embedded inserts for material reinforcement

Landscapes

  • Vehicle Body Suspensions (AREA)
  • Molds, Cores, And Manufacturing Methods Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳造成形であっても疲労強度と変形強度を確
保できる構造とする。 【解決手段】 車軸20を軸方向に中空部25を生じる
ように砂中子を用いて砂型鋳造により成形し、車軸20
の中央部の引張応力を受ける左辺部(前部)21および
下辺部(下部)22の肉厚を厚肉に形成するとともに、
圧縮応力を受ける右辺部(後部)23および上辺部(上
部)24の肉厚を薄肉に形成する。これにより、車軸2
0の中央部断面の図心Gの位置が引張応力を受ける前部
21側および下部22側に位置するようになり、引張応
力を受ける部分の応力が緩和される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、左右の車輪を一本
の車軸で結び、その車軸をスプリングを介して車体に取
り付ける車軸式懸架装置いわゆるリジッドアクスルサス
ペンションに関するものである。
【0002】
【従来の技術】サスペンションは車輪と車体を結ぶ装置
であって、車体を支えるとともに、自動車の振動、乗り
心地、繰安性に大きな影響を与える重要な装置である。
その構成は、走行中、路面から受ける衝撃を緩和するス
プリング、車体の上下振動を抑制して乗り心地を良くす
るショックアブソーバ、自動車のローリングを抑制する
スタビライザ、そしてこれらを保持して車輪の動きを抑
制するリンク機構からなっている。
【0003】この装置は、車体を支え、路面からの振動
や衝撃を緩和させるために、望ましいばね特性・減衰特
性を持たせ、車体・乗員・積み荷等を保護するととも
に、加減速時の駆動力・制動力または旋回時の横力等あ
らゆる方向の力に対して、適度な剛性と十分な強度・耐
久性を有し、車体に対して車輪を所定の正しい位置に保
持し、かつ、車体および路面に対する車輪の動きを適切
に制御することにより、その車両に最も適した運動性能
を与える機能が要求されるものである。このため、いろ
いろな種類のサスペンションが考えられている。
【0004】その1つとして、車軸式懸架装置いわゆる
リジッドアクスルサスペンションがある。これは、左右
の車輪が一本の車軸で結ばれ、その車軸をスプリングを
介して車体に取り付ける形式であって、通常、車体を支
えるサスペンション(懸架装置)と、車輪を支持するア
クスル(走行装置)とから構成される。アクスルはばね
座にかかる上下方向荷重と、旋回時等の横荷重による垂
直曲げモーメントと、制動力および駆動力による水平曲
げモーメント、ねじりモーメントを受ける。この形式の
サスペンションはトラック、バス等の前後軸に多く使用
されている。
【0005】このリジッドアクスルサスペンションの
内、非駆動輪の場合はアクスルビーム(Iビーム)であ
って、鍛造成形によりI型断面に形成されている。鍛造
成形によりI型断面に形成されたアクスルビームは高い
疲労強度と変形強度と耐衝撃性を有しており、かつ、大
量生産に適した製法である。
【0006】図22はアクスルビームを用いたリジッド
アクスルサスペンションの全体構成を示す斜視図であ
る。このリジッドアクスルサスペンションは左車輪1L
と右車輪1Rとを結ぶアクスルビーム2と、このアクス
ルビーム2に対して前後方向に配設した一対のリーフス
プリング3L,3Rとから構成される。これらのリーフ
スプリング3L,3Rの一端を車体側に固定のスプリン
グブラケットにピン結合し、他端はリーフスプリング3
L,3Rのたわみによるスパンの変化を逃すためのシャ
ックルを設けている。アクスルビーム2とリーフスプリ
ング3L,3RとはUボルトで結合している。アクスル
ビーム2の両端部近傍にはショックアブソーバ4L,4
Rが取り付けられている。
【0007】図23はアクスルビーム2の構造を示す図
であり、図23(a)はアクスルビーム2の半部上面図
を示し、図23(b)は半部側面図を示す。アクスルビ
ーム2は中央部の両端部にリーフスプリングを取り付け
るリーフスプリング取付部5L(なお、図23は右半部
を示すため5Lは図示していない),5Rと、その両端
部に車輪を操舵するナックルスピンドルを取り付けるナ
ックルスピンドル取付部6L(なお、図23は右半部を
示すため6Lは図示していない),6Rとを設けてい
る。
【0008】このアクスルビーム2には図示しないタイ
ヤから車両の積載状態および走行状態に基づく上下力F
Vと、制動状態に基づく上下力FVおよび前後力FLが同
時に作用し、アクスルビーム2にはそれらの各力FV
Lに基づく曲げモーメントや捻りモーメントが作用す
る。特に、アクスルビーム2の中央部(リーフスプリン
グ取付部5L,5Rの間)に最も大きな荷重を受ける。
そして、図1に示すように、上下力FVと前後力FLによ
って、アクスルビーム2の前方部および下方部には引張
応力が発生し、後方部および上方部には圧縮応力が発生
する。このため、上記したアクスルビーム2の中央部の
横断面形状がI型になるように鍛造成形し、これらの引
張応力および圧縮応力を効率的に受けとめられるように
なっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述した鍛造成形は製
造設備が大型で、鍛造型も大型であるため、車種毎に対
応した変更がしにくいという問題がある。そこで、強度
および軽量化に優れた鋳造アクスルビームが特開平7−
215004号公報において提案された。このものは、
アクスルビームを矩形断面として鋳造により成形し、見
切り部をアクスルビームの側面に設けることで、鍛造成
形のアクスルビームに匹敵する強度が得られるようにす
るとともに、軽量化を達成しようとするものである。
【0010】しかしながら、上記した鋳造アクスルビー
ムは軽量化のために断面矩形の中空構造としているが、
鋳鉄は脆性材料であるため、許容引張応力と許容圧縮応
力の差が大きく、耐久性と軽量化の両立を図ることが難
しいという問題がある。そこで、本発明は上記した問題
点に鑑みてなされたものであり、鋳造成形であっても疲
労強度と変形強度を確保できる構造とすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は車幅方向に延び
て左右の車輪支持体を連結するとともに車体を懸架する
車軸部材を備えた車軸式懸架装置であって、上記課題を
解決するため、請求項1に記載の発明においては、少な
くともその横断面(なお、この横断面は車軸部材の軸線
に対して交差する断面を意味する。以下の記載において
は、単に横断面とのみ記載する)の図心が同横断面の高
さ中心より下方に位置するように偏心させて車軸部材を
鋳造により形成したことにある。
【0012】請求項2に記載の発明においては、上述の
車軸部材を非駆動輪に連結する場合はその横断面の図心
がその前後中心より車両の前方側に位置するように偏心
させて車軸部材を鋳造により形成したことにある。請求
項3に記載の発明においては、車軸部材を駆動輪に連結
する場合はその横断面の図心がその前後中心より車両の
後方側に位置するように偏心させて車軸部材を鋳造によ
り形成したことにある。請求項4に記載の発明において
は、車軸部材の圧縮応力が発生する部位に脆弱部を設け
たことにある。
【0013】請求項5に記載の発明においては、車軸部
材は鋳型および中子を用いた鋳造による厚肉部と薄肉部
を有する中空鋳造体であって、中子を保持する幅木によ
る鋳抜き孔を脆弱部としたことにある。請求項6に記載
の発明においては、上述の鋳抜き孔を圧縮応力が発生す
る部位に設けたことにある。請求項7に記載の発明にお
いては、車軸部材の引張応力が発生する部位に延性材料
からなる補強部材を設けたことにある。請求項8に記載
の発明においては、上述の延性材料を車軸部材の鋳造時
に一体的に形成したことにある。
【0014】請求項9に記載の発明においては、車軸部
材は鋳型および中子を用いた鋳造による厚肉部と薄肉部
を有する中空鋳造体であって、中子を保持する幅木によ
る鋳抜き孔を中空の車軸部材の前方上部側および後方下
部側に設け、同後方下部側の鋳抜き孔を排水孔としたこ
とにある。請求項10に記載の発明においては、車軸部
材は鋳型および中子を用いた鋳造による厚肉部と薄肉部
を有する中空鋳造体であって、鋳型の湯口を中空鋳造体
の横断面の肉薄部側に配置して鋳造するようにしたこと
にある。
【0015】
【発明の作用・効果】車両の走行中に生じる比較的大き
な曲げモーメントの方向はサスペンションの構成により
自ずと特定されてくるものであって、車軸部材の外面に
は主に引張応力が生じる面と圧縮応力が生じる面とが存
在する。即ち、左右の車輪支持体を連結する車軸部材の
場合には、車輪がバウンド状態にあるときにはリバウン
ド状態にあるときに較べて、バウンド状態における車輪
の接地荷重が大きいことに起因して、車軸部材に作用す
る大きな曲げモーメントは車輪がバウンド状態にあると
きに発生する。したがって、左右の車輪支持体を連結す
る車軸部材においては走行時に作用する曲げモーメント
により、その下部に引張応力が発生し、また、その上部
に圧縮応力が発生する。
【0016】ここで、鋳鉄は脆性材料であるので許容引
張応力が許容圧縮応力に較べて小さい。そのため、請求
項1に記載のように車軸部材の横断面の図心が同横断面
の高さ中心より下方に位置するように形成すれば、走行
時の曲げモーメントにより発生する車軸部材の下部での
引張応力を上部での圧縮応力より小さくすることが可能
となって、車軸部材の耐久性を向上できるとともに、車
軸部材の剛性確保のために徒に車軸部材の重量を増加さ
せることがないことから、耐久性と軽量化の最適化を図
ることができるようになる。
【0017】前記車軸部材を非駆動輪に連結する場合
は、車両の制動時において大きな曲げモーメントが作用
する。この曲げモーメントにより車軸部材の前方部分に
引張応力が発生し、後方部分に圧縮応力が発生する。こ
こで、請求項2に記載のように、車軸部材を非駆動輪に
連結する場合はその横断面の図心が同横断面の前後中心
より車両の前方側に位置するように形成すれば、上述の
如き制動時の曲げモーメントにより発生する前方部分の
引張応力を後方部分の圧縮応力より小さくすることが可
能となって、車軸部材の軽量化と耐久性の最適化を図る
ことができるようになる。
【0018】前記車軸部材を駆動輪に連結する場合は、
車両の発進時において大きな曲げモーメントが作用す
る。この曲げモーメントにより車軸部材の後方部分に引
張応力が発生し、前方部分に圧縮応力が発生する。ここ
で、請求項3に記載のように、車軸部材を駆動輪に連結
する場合はその横断面の図心が同横断面の前後中心より
車両の後方側に位置するように形成すれば、上述の如き
発進時の曲げモーメントにより発生する後方部分の引張
応力を前方部分の圧縮応力より小さくすることが可能と
なって、車軸部材の軽量化と耐久性の最適化を図ること
ができるようになる。
【0019】請求項4に記載のように、車軸部材の圧縮
応力が発生する部位に脆弱部を設ければ、車軸部材が変
形する前に脆弱部が徐変するようになるので、脆弱部の
徐変に基づくアライメント変化にて乗員に異常を知らせ
ることが可能となる。請求項5に記載のように、上述の
脆弱部を鋳抜き孔により形成するようにすれば、鋳造と
同時に脆弱部を形成することが可能となり、脆弱部の構
成が簡単になるとともに、容易に脆弱部を製造できるよ
うになる。
【0020】請求項6に記載のように、上述の鋳抜き孔
を圧縮応力が発生する部位に設けるようにすれば、脆性
材料である鋳鉄は許容圧縮応力は許容引張応力より大き
いため、該部が比較的大きな応力を受けても、変形に至
る前に徐変することとなり、この徐変に基づくアライメ
ント変化にて乗員に異常を知らせることが可能となる。
請求項7に記載のように、車軸部材の引張応力が発生す
る部位に延性材料からなる補強部を設ければ、引張応力
が発生する部位の強度が向上する。
【0021】請求項8に記載のように、延性材料からな
る補強部を鋳造時に一体的に形成するようにすれば、簡
単に耐久性を向上させることができるようになる。請求
項9に記載のように、車軸部材の前方上部側および後方
下部側に鋳抜き孔を設ければ、鋳抜き孔を水抜き孔とし
て利用することが可能となり、走行中に中空部内に浸入
する水を排水できるようになる。請求項10に記載のよ
うに、鋳型の湯口を中空鋳造体の薄肉部が形成される側
に配置するようにすれば、湯流れがスムーズとなって鋳
造効率が向上する。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の各実施形態を図
に基づいて説明する。 実施形態1 図1は本発明の車軸式懸架装置をFR車のフロント側
(非駆動輪側)リジッドアクスルサスペンションに適用
した場合の本実施形態1の全体構成を示す斜視図であ
る。このリジッドアクスルサスペンションは左車輪支持
体10Lと右車輪支持体10Rとを結ぶ車軸20と、こ
の車軸20に対して前後方向に配設した一対の重ね板ば
ね(リーフスプリング)30L,30Rとから構成され
る。これらのリーフスプリング30L,30Rの一端3
1L,31Rを車体側に固定のスプリングブラケットに
ピン結合し、他端はリーフスプリング30L,30Rの
たわみによるスパンの変化を逃すためのシャックル32
L,32Rを設けている。車軸20とリーフスプリング
30L,30RとはUボルト33,33,33,33で
結合している。車軸20の両端部近傍にはショックアブ
ソーバ40L,40Rを取り付けている。
【0023】図2は車軸20の構造を示す図であり、図
2(a)は車軸20の半部上面図を示し、図2(b)は
その半部側面図を示す。図3は図2(a),(b)のA
−A断面図を示す。車軸20は中央部の両端部にリーフ
スプリング(図1参照)を取り付けるリーフスプリング
取付部26L(なお、図2は右半部を示しているので2
6Lは図示していない),26Rと、その両端部に車輪
を操舵するナックルスピンドルを取り付けるナックルス
ピンドル取付部27L(なお、図2は右半部を示してい
るので27Lは図示していない),27Rとを設けてい
る。
【0024】この車軸20には、タイヤ(図示せず)か
ら車両の積載状態および走行状態に基づく上下力F
Vと、制動状態に基づく上下力FVおよび前後力FLが同
時に作用する。特に、リーフスプリング取付部26Lと
26Rとの間(以後、車軸20の中央部という)は積載
時、車輪のバウンド時および制動時に大きな荷重を受け
やすい。そのため、この車軸20の中央部には、図3に
示すように、積載時および車輪のバウンド時に作用する
上下力FVと制動時に作用する前後力FLによって、左辺
部(前部)21および下辺部(下部)22には引張応力
が発生し、右辺部(後部)23および上辺部(上部)2
4には圧縮応力が発生する。脆性材料である鋳鉄は許容
引張応力<<許容圧縮応力の関係があるので、引張応力を
受ける部分の応力を緩和する必要がある。
【0025】そこで、本実施形態においては、車軸20
を軸方向に中空部25を生じるように砂中子を用いて砂
型鋳造により成形し、車軸20の中央部の引張応力を受
ける前部21および下部22の肉厚を厚肉に形成すると
ともに、圧縮応力を受ける後部23および上部24の肉
厚を薄肉に形成する。これにより、車軸20の中央部断
面の図心(ある面の断面二次モーメントの値が変化しな
いように断面積をある点に集めたとき、その点を図心と
いう)Gが上下中心線(X−X線)より下方でかつ中央
部断面の左右中心線(Y−Y線)より左方(前方)に位
置するようになり、引張応力を受ける前部21側および
下部22側に近づくこととなる。
【0026】ここで、下記の数1の数式より明らかなよ
うに、断面内の任意の点の垂直応力σは中立軸(この中
立軸は断面の図心を通る)からの距離eに比例すること
となるので、車軸20の中央部断面の図心Gの位置が引
張応力を受ける前部21および下部22側に近づけば近
づく程、あるいは断面係数Zが大きくなればなる程、引
張応力を受ける前部21および下部22の断面内の任意
の点の垂直応力(引張応力)σは小さくなることとな
る。
【0027】
【数1】σ=Me/I=M/Z なお、上記数1において、Mは曲げモーメントを表し、
Iは中立軸に関する断面二次モーメントを表し、Zは断
面係数を表す。
【0028】一方、車軸20の中央部断面の図心Gの位
置が引張応力を受ける前部21および下部22側に近づ
ければ、圧縮応力を受ける後部23および上部24は図
心Gより遠ざかることとなるので、後部23および上部
24が受ける圧縮応力は大きくなる。しかしながら、上
述したように、脆性材料である鋳鉄は許容引張応力<<許
容圧縮応力の関係があるので、引張応力を緩和した方が
断面の小型化が可能となり、軽量化も可能となる。
【0029】なお、上述の実施形態1においては、車軸
20の中央部の断面形状を中空の矩形断面とした例につ
いて説明したが、円形断面でも三角形断面でも、中空で
も中実でも、どのような断面形状でも、引張応力を受け
る側に図心Gを設定できれば同等の作用・効果が得られ
る。例えば、図4〜図11に示すような断面形状の変形
例が考えられる。なお、図4〜図11の各変形例に示す
車軸は上述の実施形態1の場合と同様に、非駆動輪に連
結する車軸を表す。
【0030】図4(なお、図4において図の左側が車両
の前方となる)に示す車軸20aは、中空の変形矩形断
面に形成しており、下辺部22aの両角部および左辺部
21aの上部角部を外面側に膨出させるとともに、引張
応力を受ける左辺部21aおよび下辺部22aの肉厚を
圧縮応力を受ける右辺部23aおよび上辺部24aの肉
厚より厚肉に形成して、その図心Gが左右中心(車両か
ら見れば前後中心)より左方および上下中心より下方、
即ち、前方下方に位置するように形成している。
【0031】図5(なお、図5において図の左側が車両
の前方となる)に示す車軸20bは、中空の略ひし形断
面に形成しており、引張応力を受ける左下辺部22bの
肉厚を右下辺部23bの肉厚より厚肉に形成するととも
に、左上辺部21bの肉厚を右上辺部24bの肉厚より
厚肉に形成して、その図心Gが左右中心(車両から見れ
ば前後中心)より左方および上下中心より下方、即ち、
前方下方に位置するように形成している。
【0032】図6に示す車軸20cは、中空の略三角形
断面に形成しており、左辺部21cが車両の前方になる
ように形成するとともに、それぞれの断面の厚みが左辺
部21c>下辺部22c>上辺部23cの関係となるよ
うに形成して、その図心Gが左右中心(車両から見れば
前後中心)より左方および上下中心より下方、即ち、前
方下方に位置するように形成している。
【0033】図7(なお、図7において図の左側が車両
の前方となる)に示す車軸20dは、中空の変形矩形断
面に形成しており、右辺部23dを円形に形成するとと
もに、左辺部21dの上部を外方に膨出させ、引張応力
を受ける左辺部21dおよび下辺部22dの肉厚を円形
の右辺部23dおよび上辺部24dの肉厚より厚肉に形
成して、その図心Gが左右中心(車両から見れば前後中
心)より左方および上下中心より下方、即ち、前方下方
に位置するように形成している。
【0034】図8(なお、図8において図の左側が車両
の前方となる)に示す車軸20eは、中空の変形矩形断
面に形成しており、左辺部21eの上下部を外方に膨出
させるとともに、引張応力を受ける左辺部21eおよび
下辺部22eの肉厚を右辺部23eおよび上辺部24e
の肉厚より厚肉に形成して、その図心Gが左右中心(車
両から見れば前後中心)より左方および上下中心より下
方、即ち、前方下方に位置するように形成している。
【0035】図9(なお、図9において図の左側が車両
の前方となる)に示す車軸20fは、中空の変形円形断
面に形成しており、引張応力を最大に受ける左下1/4
円部22fの肉厚を最大の厚肉に形成するとともに、圧
縮応力を受ける右上1/4円部24fの肉厚を最小の薄
肉に形成し、これらの1/4円部22f,24fの間に
挟まれた1/4円部21f,23fの肉厚をそれらの中
間の肉厚に形成して、その図心Gが左右中心(車両から
見れば前後中心)より左方および上下中心より下方、即
ち、前方下方に位置するように形成している。
【0036】図10(なお、図10において図の左側が
車両の前方となる)に示す車軸20gは、中空の変形矩
形断面に形成しており、引張応力を受ける左辺部21g
の長さおよび肉厚を圧縮応力を受ける右辺部23gの長
さおよび肉厚より長くかつ厚肉に形成する。一方、引張
応力を受ける下辺部22gの肉厚を圧縮応力を受ける上
辺部24gの肉厚より厚肉に形成して、その図心Gが左
右中心(車両から見れば前後中心)より左方および上下
中心より下方、即ち、前方下方に位置するように形成し
ている。
【0037】図11は(なお、図11において図の左側
が車両の前方となる)に示す車軸20hは、中実のH形
断面に形成しており、引張応力を受ける左辺部21hの
長さを圧縮応力を受ける右辺部22hの長さより長く形
成して、その図心Gが左右中心(車両から見れば前後中
心)より左方および上下中心より下方、即ち、前方下方
に位置するように形成している。
【0038】上述した本実施形態1および各変形例にお
いては、鍛造成形に較べて車軸20および20a〜20
hの断面形状の自由度が大幅に向上し、砂中子の使用に
より大きな断面係数が得られるようになる。これによ
り、鍛造成形と同等の強度を有する車軸の場合、コスト
を低減させることが可能となるとともに、軽量化を図る
ことが可能となる。また、砂中子を用いて鋳造成形する
ことにより、大きな断面係数が得られるため、理想的な
断面形状の車軸が得られるようになる。
【0039】また、鋳造成形は鍛造成形に較べて大規模
な製造設備を必要としないので、多品種少量生産に適
し、車種毎の車軸を安価に製造できるようになるととも
に、製造設備も簡単になる。さらに、鍛造成形と同等の
強度を有する車軸であっても、種々の断面形状のものが
得られるようになるので、車種毎の自由度、設計の自由
度が大幅に向上する。
【0040】実施形態2 上述のように構成した車軸20においては、中空部25
に滞留する水を排水するための排水孔を切削等の機械加
工により車軸20の下部22に設ける必要があるが、下
部22は引張応力を受けるため、該部22に排水孔を設
けることは好ましくない。本実施形態2の車軸50にお
いては、車軸50の前、後面に鋳抜き孔56を設け、こ
の鋳抜き孔56を利用して中空部55に留まる水を外部
に排出する排水孔とすることにある。
【0041】図12は本実施形態2の車軸50の構造を
示す図であり、図12(a)は車軸50の半部上面図を
示し、図12(b)はその側面図を示す。図12(a)
(b)に示すように、車軸50は中央部の両端部にリー
フスプリングを取り付けるリーフスプリング取付部56
L(なお、図12は右半部を示しているので56Lは図
示していない),56Rと、その両端部に車輪を操舵す
るナックルスピンドルを取り付けるナックルスピンドル
取付部57L(なお、図12は右半部を示しているので
57Lは図示していない),57Rとを設けている。
【0042】図13は車軸50を鋳造により形成する鋳
型を示し、この鋳型57は砂型よりなる上型57aと、
砂型よりなる下型57bと、中空部を形成するための砂
型よりなる中子58とから構成される。この中子58の
左右両端部には中子を鋳型57内に支持するための幅木
58a,58bを備えている。幅木58a,58bはキ
ャビティ59内を貫通するため、鋳造された車軸50に
は鋳抜き孔56a,56bが形成される。即ち、図14
は図12(a),(b)のA−A断面図を示し、車軸5
0の前側上部の幅木58aが位置した部分に鋳抜き孔5
6aが形成され、車軸50の後側下部の幅木58bが位
置した部分に鋳抜き孔56bが形成される。
【0043】前述の実施形態1で述べたように、車軸5
0の中央部には、図14に示すように、上下力FVと前
後力FLによって、前部51および下部52には引張応
力が発生し、後部53および上部54には圧縮応力が発
生する。脆性材料である鋳鉄は許容引張応力<<許容圧縮
応力の関係があるので、圧縮応力を受ける後部53下部
に鋳抜き孔56bを形成するよう幅木58bを配置し
て、中空部55内に浸入した水を効率良くかつ確実に排
出できるようする。また、引張応力を受ける前部51に
おいては、引張応力が最も小さくなる上部に鋳抜き孔5
6aを形成するよう幅木58aを配置する。
【0044】上述したように、本実施形態2において
は、鋳抜き孔56a,56bを砂中子58を固定する幅
木58a,58bを利用することにより形成することが
可能となる。また、幅木58a,58bを設けることに
より砂中子58を安定して固定することが可能となっ
て、車軸50の製品精度が向上し、薄肉部の設定も最小
限にすることが可能となる。そのため、コストが低減す
るとともに軽量化を図ることが可能となる。
【0045】また、この幅木58a,58bを注湯時に
発生するガスのガス抜き孔として利用できるので、ガス
の発生に起因する鋳巣の発生を防止できるようになる。
さらに、圧縮応力を受ける後部53の下部および引張応
力が最も小さくなる前部51の上部に設けることによ
り、引張応力が最も大きい下部53に設けなくて良くな
るとともに、水抜き孔を設けるための機械加工等が不要
となる。
【0046】実施形態3 本実施形態3においては、鋳造成形品は脆性材料である
ため、延性材料となる鍛造成形品に較べて大きな荷重が
作用したときに変形する可能性があるため、使用者にそ
れを知らせるような構成としたことにある。
【0047】図15は本実施形態3の車軸60の構造を
示す図であり、図15(a)は車軸60の半部上面図を
示し、図15(b)はその側面図を示す。図16は図1
5(a),(b)のA−A断面図を示す。車軸60は中
央部の両端部にリーフスプリングを取り付けるリーフス
プリング取付部66L(なお、図15は右半部を示して
いるので66Lは図示していない),66Rと、その両
端部に車輪を操舵するナックルスピンドルを取り付ける
ナックルスピンドル取付部67L(なお、図15は右半
部を示しているので67Lは図示していない),67R
とを設けている。
【0048】前述した実施形態1で述べたように、車軸
60の中央部には、図16に示すように、上下力FV
前後力FLによって、前部61および下部62には引張
応力が発生し、後部63および上部64には圧縮応力が
発生する。脆性材料である鋳鉄は許容引張応力<<許容圧
縮応力の関係があるので、許容圧縮応力が大きい部分の
変形量を大きくする必要がある。
【0049】そこで、本実施形態3においては、車軸6
0を軸方向に中空部65を生じるように砂中子を用い、
この砂中子を固定する幅木を利用して平面形状が円形の
鋳抜き孔66を生じるように砂型鋳造により成形する。
すると、車軸60の中央部の引張応力を受ける前部61
および下部62は厚肉に形成され、圧縮応力を受ける後
部63および上部64は薄肉に形成されるとともに、薄
肉に形成された上部64に平面形状が円形の鋳抜き孔6
6が形成される。これにより、車軸60の中央部断面の
図心Gの位置が引張応力を受ける前部61および下部6
2側に近づくとともに、鋳抜き孔66を設けた上部64
は過大荷重により変形しやすくなる。
【0050】図17は鋳抜き孔66の個数をパラメータ
とした場合の荷重と変形量の関係を示す図であり、曲線
(a)は鋳抜き孔66がない場合、曲線(b)は鋳抜き
孔66が1個の場合、曲線(c)は鋳抜き孔66が2個
の場合、曲線(d)は鋳抜き孔66が3個の場合をそれ
ぞれ示す。この図17より明らかなように、鋳抜き孔6
6の個数を増加させればさせる程、その変形量が大きく
なる。これにより、車軸60に過大な荷重がかかると、
この荷重に基づく応力により、鋳抜き孔66を設けた部
分を徐々に変形させてアライメントに若干の変化を生じ
させて、乗員に上述の如き大きな荷重の入力があったこ
とを知らせる。
【0051】なお、上述の実施形態3においては、鋳抜
き孔66の平面形状を円形状とした例について説明した
が、鋳抜き孔の平面形状は楕円状であっても、三角形状
であっても、あるいは矩形状であっても、どのような形
状であっても同様な効果が得られる。
【0052】上述したように、本実施形態3において
は、鋳抜き孔66を砂中子を保持する幅木を利用するこ
とにより形成することが可能となる。また、幅木を設け
ることにより砂中子を安定して固定することが可能とな
って、車軸60の製品精度が向上し、薄肉部の設定も最
小限にするすることが可能となる。そのため、コストが
低減するとともに軽量化を図ることが可能となる。
【0053】また、幅木を増加することにより、鋳造時
に砂中子を納める位置の目安が付け易くなり、中子を収
納する作業が容易になるとともに、この幅木を注湯時に
発生するガスのガス抜き孔として利用できるので、ガス
の発生に起因する鋳巣の発生を防止できるようになる。
【0054】実施形態4 上述の各実施形態においては、鋳造により形成した車軸
の断面形状を工夫することにより、即ち、引張応力を受
ける前部および下部の肉厚を厚肉にするとともに、圧縮
応力を受ける後部および上部の肉厚を薄肉にすることに
より、車軸が必要とする強度が得られるようにするとと
もに、車軸を軽量化してコストを低減するようにした
が、本実施形態4においては、車軸部材を、最も強度を
必要とする部分に高強度を有する鋼板等の延性材料を設
けて複合材料とするように構成したことにある。
【0055】図18は本実施形態4の車軸70の構造を
示す図であり、図18(a)は車軸70の半部上面図を
示し、図18(b)はその側面図を示す。図18(a)
(b)に示すように、車軸70は中央部の両端部にリー
フスプリングを取り付けるリーフスプリング取付部76
L(なお、図18は右半部を示しているので76Lは図
示していない),76Rと、その両端部に車輪を操舵す
るナックルスピンドルを取り付けるナックルスピンドル
取付部77L(なお、図18は右半部を示しているので
77Lは図示していない),77Rとを設けている。
【0056】図19は図18(a),(b)のA−A断
面図を示し、車軸70を軸方向に中空部75を生じるよ
うに砂中子を用いて砂型鋳造により成形し、車軸70の
中央部の引張応力を受ける前部71および下部72の肉
厚を厚肉に形成するとともに圧縮応力を受ける後部73
および上部74の肉厚を薄肉に形成する。これにより、
車軸70の中央部断面の図心Gの位置が引張応力を受け
る前部71および下部72側に近づくこととなる。ま
た、引張応力を受ける前部71から下部72に差し渡し
て鋼板等からなる延性材料76を鋳ぐるんでいる。
【0057】この場合、鋼板等からなる延性材料76を
幅木で鋳型内に保持しておき、溶湯を鋳型内に注入する
ことにより、鋼板等からなる延性材料76は溶湯の熱に
より若干溶けることとなるが、鋳型内に注入されたされ
た後、溶湯の温度が下がるため、鋼板等からなる延性材
料76は完全に溶けることはない。鋼板等からなる延性
材料76が鋳型内で若干溶けることにより、鋳鉄と鋼板
等からなる延性材料76とは強固に固着されることとな
る。
【0058】前述した実施形態1で述べたように、車軸
70の中央部にはそれらの各力FV,FLに基づく曲げモ
ーメントや捻りモーメントが作用する。そのため、車軸
70の中央部には、図19に示すように、上下力FV
前後力FLによって、前部71および下部72には引張
応力が発生し、後部73および上部74には圧縮応力が
発生する。脆性材料である鋳鉄は許容引張応力<<許容圧
縮応力の関係があるので、引張応力が最も大きくなる前
部71から下部72に差し渡して鋼板等からなる延性材
料76を鋳ぐるむことで、延性材料76が補強材となっ
てこの部分の強度が増大することとなる。
【0059】また、鋼板等からなる延性材料76は鋳造
時の冷やし金の作用をするので、鋳造時の冷却速度差に
よる湯廻り不足を防止できるようになる。即ち、引張応
力を受ける前部71および下部72の肉厚は厚肉に形成
するため、溶湯を多く必要とする。溶湯が多くなる前部
71および下部72は冷却速度が遅くなり、鋳鉄が固ま
る速度が遅くなるために鋳造時に湯廻り不足ができやす
い。一方、圧縮応力を受ける後部73および上部74の
肉厚は薄肉に形成するため、多くの溶湯を必要としな
い、溶湯が少ない後部73および上部74は冷却速度が
速くなり、鋳鉄が固まる速度が速いために鋳造時に湯廻
り不足ができにくい。
【0060】しかしながら、本実施形態4においては、
前部71から下部72に差し渡して鋼板等からなる延性
材料76を鋳ぐるんでいるので、この延性材料76が鋳
造時の冷やし金の作用をして、冷却速度を速くして、鋳
鉄が固まる速度を速くする。そのため、鋳造時に湯廻り
不足ができにくくなる。このように、本実施形態におい
ては、安定した鋳造品質の車軸が得られるようになると
ともに、大きな応力を受けても変形しにくい車軸が得ら
れるようになる。
【0061】また、鋳鉄材料は高鋼性になるほど延性が
低下するため、剛性と延性の両方の性質を合わせ持った
材料とするためには、特殊な熱処理を施すことが一般的
に行われているが、本実施形態においては、鋼板等の延
性材料を鋳ぐるんでいるので、安価な鋳鉄材料から幅広
く選択することが可能となり、鋳鉄材料の選択の自由度
が大幅に向上する。
【0062】さらに、引張応力を受ける前部と後部は鋳
鉄と鋼板等の延性材料との複合材料により構成されるの
で、この部分が大きな応力を受けた場合にも徐々に変形
することでアライメントを変化させ、これを運転者に知
らせる。
【0063】なお、上述の実施形態4においては、鋳鉄
材料内に鋼板等の延性材料を鋳ぐるむ例について説明し
たが、鋼板等の延性材料を車軸の外面に設けるようにし
てもよい。この場合、鋳造時に鋼板等の延性材料の溶湯
に接触する部分が溶湯の熱により若干溶けるため、鋳鉄
と鋼板等の延性材料とは強固に固着することとなる。
【0064】実施形態5 車軸を鋳造により形成する場合、車軸は大型の鋳造品で
あるため、薄肉部を形成する際に溶湯の湯流れが悪いと
いう問題があった。そのため、鋳造の生産性を重視して
薄肉部を厚肉化したり、あるいは多数の湯口を設けて鋳
造することが一般的であり、鋳造性と製品の軽量化の両
方を満足させることは困難であった。そこで、本実施形
態においては、鋳造時の溶湯の湯流性を向上させること
にある。図20は本実施形態の車軸80の構造を示す図
であり、図20(a)は車軸80の半部上面図を示し、
図20(b)はその側面図を示す。図20(a)(b)
に示すように、車軸80は中央部の両端部にリーフスプ
リングを取り付けるリーフスプリング取付部86L(な
お、図20は右半部を示しているので86Lは図示して
いない),86Rと、その両端部に車輪を操舵するナッ
クルスピンドルを取り付けるナックルスピンドル取付部
87L(なお、図20は右半部を示しているので87L
は図示していない),87Rとを設けている。リーフス
プリング取付部86L,86Rは板状のリーフスプリン
グを取り付けるため、その取付面は平面状に形成する必
要がある。また、ナックルスピンドル取付部87L,8
7Rの根元部88L,88Rは図示しないタイヤからの
荷重を支えるため、十分な断面形状が必要である。な
お、図20(b)の88はB−B断面を示す。
【0065】ここで、車軸80の前部81および下部8
2の肉厚を厚肉に形成し、車軸80の後部83および上
部84の肉厚を薄肉に形成するとともに、リーフスプリ
ング取付部86L,86Rから薄肉の上部84へ至る部
分84aおよびリーフスプリング取付部86L,86R
から厚肉の下部82へ至る部分82aの厚みが徐変する
ように中子を配置して鋳造する。同時に、圧縮応力を受
ける上部84の薄肉部に近いリーフスプリング取付部8
6L,86Rを形成する面の上に湯口89を設けるとと
もに、リーフスプリング取付部86L,86Rからナッ
クルスピンドル取付部87L,87Rの根元部88L,
88Rへ至る部分88aの厚みが徐変するように図示し
ない鋳型を配置して鋳造するようにしている。
【0066】リーフスプリング取付部86L,86Rを
形成する面の上に湯口89を設けるようにすると、湯口
89に注湯された溶湯が厚みが徐変された各部分84
a,82a,88aを滑らかに湯流れすることとなり、
大量の溶湯を湯流れ良く供給することができるようにな
る。ここで、薄肉部は厚肉部に較べて溶湯に対する流通
抵抗が大きく湯廻りが悪い。一方、注湯された溶湯は時
間が経過するにつれて温度が下がるため、その粘性抵抗
が大きくなる。したがって、薄肉部の近くに湯口89を
設けて厚肉部よりも先に溶湯を行き渡らせることによ
り、溶湯に対する流通抵抗と溶湯の粘性抵抗をバランス
させて、薄肉部と厚肉部がある車軸を湯廻り性よく形成
することができるようになる。
【0067】そして、リーフスプリング取付部86L,
86Rを切削加工により面仕上げを行えば、この切削加
工時に鋳造の際に生じた湯口残りを同時に除去すること
が可能となり、改めて湯口残りを除去する作業が不要と
なって、コスト低減を図ることができるようになる。
【0068】なお、上述の各実施形態1〜5において
は、本発明の車軸式懸架装置をFR車のフロント側リジ
ッドアクスルサスペンションに適用する例について説明
したが、本発明の車軸式懸架装置はFR車のリア側(駆
動輪側)リジッドアクスルサスペンションにも適用する
ことができる。この場合、図21に示すように、車軸9
0の中空となる部分の横断面形状を上述の各実施形態1
〜5に記載した形状および構造とすればよい。また、本
発明の車軸式懸架装置をFF車のフロント側リジッドア
クスルサスペンションあるいはリア側リジッドアクスル
サスペンションにも適用できることも明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の車軸式懸架装置の非駆動輪側の全体
構成を示す斜視図である。
【図2】 図1の車軸の第1実施形態を示す図である。
【図3】 図2のA−A断面を示す断面図である。
【図4】 図1の車軸の第1実施形態の第1変形例を示
す図である。
【図5】 図1の車軸の第1実施形態の第2変形例を示
す図である。
【図6】 図1の車軸の第1実施形態の第3変形例を示
す図である。
【図7】 図1の車軸の第1実施形態の第4変形例を示
す図である。
【図8】 図1の車軸の第1実施形態の第5変形例を示
す図である。
【図9】 図1の車軸の第1実施形態の第6変形例を示
す図である。
【図10】 図1の車軸の第1実施形態の第7変形例を
示す図である。
【図11】 図1の車軸の第1実施形態の第8変形例を
示す図である。
【図12】 図1の車軸の第2実施形態を示す図であ
る。
【図13】 図12の車軸を形成する鋳型を示す図であ
る。
【図14】 図12のA−A断面を示す断面図である。
【図15】 図1の車軸の第3実施形態を示す図であ
る。
【図16】 図14のA−A断面を示す断面図である。
【図17】 鋳抜き孔の個数をパラメータとした場合の
荷重と変形量の関係を示す図である。
【図18】 図1の車軸の第4実施形態を示す図であ
る。
【図19】 図18のA−A断面を示す断面図である。
【図20】 図1の車軸の第5実施形態を示す図であ
る。
【図21】 本発明の車軸式懸架装置の駆動輪側の全体
構成を示す斜視図である。
【図22】 従来のリジッドアクスルサスペンションの
全体構成を示す斜視図である。
【図23】 図22のアクスルビームの形状を示す図で
ある。
【符号の説明】
10L,10R…車輪支持体、20…車軸、25…中空
部、26R…リーフスプリング取付部、30L,30R
…リーフスプリング、40L,40R…ショックアブソ
ーバ、50…車軸、55…中空部、56R…リーフスプ
リング取付部、56a,56b…鋳抜き孔(排水孔)、
57…鋳型、58…中子、58a,58b…幅木、60
…車軸、65…中空部、66…鋳抜き孔(脆弱部)、6
6R…リーフスプリング取付部、70…車軸、75…中
空部、76…延性材(補強部材)、76R…リーフスプ
リング取付部、80…車軸、85…中空部、86R…リ
ーフスプリング取付部、G…図心
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮城 淳一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 松浦 裕 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 石川 訓 名古屋市中川区富川町3丁目1番地の1 中央可鍛工業株式会社内 (72)発明者 河森 敏克 名古屋市中川区富川町3丁目1番地の1 中央可鍛工業株式会社内 (72)発明者 水野 諭 名古屋市中川区富川町3丁目1番地の1 中央可鍛工業株式会社内 (72)発明者 梅村 徹 名古屋市中川区富川町3丁目1番地の1 中央可鍛工業株式会社内 (72)発明者 瀬戸口 善行 名古屋市中川区富川町3丁目1番地の1 中央可鍛工業株式会社内 (72)発明者 紺野 敏之 名古屋市中川区富川町3丁目1番地の1 中央可鍛工業株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車幅方向に延びて左右の車輪支持体を連
    結するとともに車体を懸架する車軸部材を備えた車軸式
    懸架装置であって、 少なくともその横断面の図心が同横断面の高さ中心より
    下方に位置するように偏心させて前記車軸部材を鋳造に
    より形成したことを特徴とする車軸式懸架装置。
  2. 【請求項2】 車幅方向に延びて左右の車輪支持体を連
    結するとともに車体を懸架する車軸部材を備えた車軸式
    懸架装置であって、 前記車軸部材を非駆動輪に連結する場合は少なくともそ
    の横断面の図心が同横断面の前後中心より車両の前方側
    に位置するように偏心させて前記車軸部材を鋳造により
    形成したことを特徴とする車軸式懸架装置。
  3. 【請求項3】 車幅方向に延びて左右の車輪支持体を連
    結するとともに車体を懸架する車軸部材を備えた車軸式
    懸架装置であって、 前記車軸部材を駆動輪に連結する場合は少なくともその
    横断面の図心が同横断面の前後中心より車両の後方側に
    位置するように偏心させて前記車軸部材を鋳造により形
    成したことを特徴とする車軸式懸架装置。
  4. 【請求項4】 前記車軸部材の圧縮応力が発生する部位
    に脆弱部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項
    3のいずれかに記載の車軸式懸架装置。
  5. 【請求項5】 前記車軸部材は鋳型および中子を用いた
    鋳造による厚肉部と薄肉部を有する中空鋳造体であっ
    て、前記中子を保持する幅木による鋳抜き孔を前記脆弱
    部としたことを特徴とする請求項4に記載の車軸式懸架
    装置。
  6. 【請求項6】 前記鋳抜き孔を圧縮応力が発生する部位
    に設けたことを特徴とする請求項5に記載の車軸式懸架
    装置。
  7. 【請求項7】 前記車軸部材の引張応力が発生する部位
    に延性材料からなる補強部材を設けたことを特徴とする
    請求項1から請求項3のいずれかに記載の車軸式懸架装
    置。
  8. 【請求項8】 前記延性材料を前記車軸部材の鋳造時に
    一体的に形成したことを特徴とする請求項7に記載の車
    軸式懸架装置。
  9. 【請求項9】 前記車軸部材は鋳型および中子を用いた
    鋳造による厚肉部と薄肉部を有する中空鋳造体であっ
    て、前記中子を保持する幅木による鋳抜き孔を前記中空
    の車軸部材の前方上部側および後方下部側に設け、同後
    方下部側の鋳抜き孔を排水孔としたことを特徴とする請
    求項1から請求項3のいずれかに記載の車軸式懸架装
    置。
  10. 【請求項10】 前記車軸部材は鋳型および中子を用い
    た鋳造による厚肉部と薄肉部を有する中空鋳造体であっ
    て、前記鋳型の湯口を前記中空鋳造体の横断面の薄肉部
    側に配置して鋳造するようにしたことを特徴とする請求
    項1から請求項9のいずれかに記載の車軸式懸架装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2009130866A1 (ja) * 2008-04-25 2011-08-11 株式会社小松製作所 作業車両のステアリング制御装置及びステアリング制御方法
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