JP4434413B2 - 光学装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレクトロウェッティング(電気毛管現象)を利用した光学素子を含む光学装置に関し、特に該光学素子の駆動制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、スチルカメラ、ビデオカメラ等の光学装置に組込まれている光学系の内、焦点距離を変えられるものにおいて、そのほとんどが光学系を構成するレンズ(もしくはレンズ群)の一部を機械的に光軸方向に移動させる事により、光学系全体の焦点距離を変更している。
例えば、特許第2633079号公報では、ズーミングにより光軸方向に移動する1群レンズと、該1群レンズの移動の際に前記光軸方向に移動する1群鏡筒と、該1群鏡筒の移動により前記光軸方向に移動するカム筒とを有するズームレンズ鏡筒であって、前記1群鏡筒が固定筒の外径側に嵌合し、前記カム筒が前記固定筒の内径側に嵌合し、前記カム筒の前側の部分が前記1群鏡筒の内径側に嵌合することを特徴とした構成であって、前記カム筒を光軸方向に移動させる事で、該1群レンズを移動させてズーミング動作を行う。
【0003】
このように、機械的にレンズ(もしくはレンズ群)を光軸方向に移動させて焦点距離を変更する場合、光学装置の機械的構造が複雑になるという不具合が有る。
この不具合を解決するために、レンズそのものの光学特性を変化させる事によって焦点距離を可変にするものが有る。
例えば、特開平8−114703号公報では、少なくとも一面側が透明弾性膜によって構成された圧力室内に作動液を封入して、透明弾性膜に作用する作動液による圧力によって透明弾性膜を変形させて、焦点距離が可変制御されるようにした場合、透明弾性膜の変形形状がレンズ収差の発生が小さくなるように最適化されると共に、圧力室内の作動液の圧力を透明弾性膜に形成された圧力センサで計測し、その値を基に作動液の圧力を調整することにより、作動液の熱膨張及び収縮等による焦点距離の変動も抑制することができるようにした可変焦点レンズを提供している。
【0004】
また、特開平11−133210号公報では、第1電極と導電性弾性板との間に電位差を与えることにより、クーロン力による吸引力を発生させて両者の間隔を狭め、その結果、両者の間隔から排斥された透明液体の体積をもって、透明弾性板の中央部分を透明液体に背向して凸に突出して変形させることが可能となる。すると、凸状に変形した透明弾性板と透明板と両者の間を満たしている透明液体とで凸レンズが形成されるので、この凸レンズのパワーを上記電位差を調整することによって、可変焦点レンズを構成している。
【0005】
一方、電気毛管現象を用いた可変焦点レンズが、WO99/18456にて開示されている。当技術を用いると、電気エネルギを直接、第1の液体と第2の液体との界面が形成するレンズの形状変化に用いることができるため、レンズを機械的に移動させること無く可変焦点にする事が可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術は、つぎのような点に問題を有している。
例えば、特開平8−114703号公報では、圧力室内の作動液の圧力を変化させるためには、別のアクチュエータが必要となると共に、そのアクチュエータをレンズ部以外のところに設けるため、可変焦点レンズが大型化するという欠点がある。
また、特開平11−133210号公報では、第1スペーサと透明弾性板、第1スペーサと第2スペーサ、第2スペーサと導電性弾性板、導電性弾性板と透明板、以上4ヵ所を液密に接合する必要があり、製造コストの増大を招く。
それに対して、シンプルな構成であるWO99/18456では、光学パワーを可変とする技術が開示されているが、光学装置に組込んだ時の駆動シーケンスについての記述はなく、また、つぎのような点について、懸念事項が考えられる。
(1)温度によって液体の粘性が変わるので、同一印加電圧値でも温度によって界面の変形の仕方が異なること。
(2)界面の変形にヒステリシスがある場合、その影響をキャンセルする駆動制御を確立する必要があること。
【0007】
上記(1)の点について、図25を用いて、更に詳しく説明する。
図25(a)に示したように、WO99/18456の光学素子に電圧値V0の電圧を印加すると、常温時では図25(b)に示したような時定数t01で界面の変形が始める。ところが、図25(c)に示したように光学素子が低温環境下に置かれている場合はその液体の粘性が高くなるので、常温時に比べて大きな時定数t11で変形が始まり、また所望の変形量δ0に達するまでにt12と常温時に比べて長い時間が必要となる。
また、図25(d)に示したように光学素子が高温環境下に置かれている場合には、その液体の粘性が低くなるので、常温時に比べて小さな時定数t21で変形が始まるが、粘性が低いために変形にオーバーシュート現象が発生し、なかなか界面が静定しないという不具合が生じる。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来のものにおける課題を解決し、電気毛管現象を利用した光学素子の駆動制御において、温度に応じた駆動制御を行うことができ、また、ヒステリシスの影響を無視することができ、あるいはヒステリシスの影響を容易に補正することができる光学装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を達成するため、つぎの(1)〜(16)のように構成した光学装置を提供するものである。
(1)導電性または有極性の第1の液体及び該第1の液体と互いに混合することのない第2の液体を、それらの界面が所定の形状をなした状態で容器内に密閉し、該容器に設けられた電極に対する電圧の印加による界面形状の変化によって光学的特性が変化する光学素子とズーム操作手段を有する光学装置であって、
前記界面形状を変化させるために前記電極に所定の電圧を印加する給電手段と、前記印加電圧を制御する印加電圧制御手段と、
経過時間をカウントするタイマ手段と、
撮像手段を制御する制御手段とを有し、
前記ズーム操作手段の操作があった場合に前記タイマ手段により経過時間をカウントするとともに、
前記印加電圧制御手段が、前記ズーム操作手段の操作に応じた焦点距離に対応する第1の電圧を印加する前に、前記ズーム操作されたときの温度に応じて決定された電圧の印加波形と印加時間とによる過渡的な第2の印加電圧を印加し、
前記タイマ手段によりカウントされた経過時間が所定時間に到達するまでは、前記制御手段が前記撮像手段による撮像を禁止することを特徴とする光学装置。
(2)前記第2の印加電圧を生成する手段が、前記光学素子の環境温度の検知結果に基づいて、前記第2の電圧の印加波形を設定するように構成されていることを特徴とする上記(1)に記載の光学装置。
(3)前記第1の印加電圧の電圧値が、前記光学素子の環境温度の検知結果に基づいて設定するように構成されていることを特徴とする上記(1)に記載の光学装置。
(4)前記第1の印加電圧の電圧値が、演算によって求められることを特徴とする上記(3)に記載の光学装置。
(5)前記第1の印加電圧の印加時間が、前記光学素子の環境温度の検知結果に基づいて設定するように構成されていることを特徴とする上記(1)に記載の光学装置。
(6)導電性または有極性の第1の液体及び該第1の液体と互いに混合することのない第2の液体を、それらの界面が所定の形状をなした状態で容器内に密閉し、該容器に設けられた電極に対する電圧の印加による界面形状の変化によって光学的特性が変化する光学素子と、該光学素子を通過した光束による光学像を記録する画像記録手段を有する光学装置であって、
前記界面形状を変化させるために前記電極に所定の電圧を印加する給電手段と、該給電手段の給電開始からの経過時間をカウントするタイマ手段を備え、前記画像記録手段が前記タイマ手段のカウント値が所定値に達するまで画像記録動作を禁止する構成を有し、
上記(1)〜(5)のいずれかに記載の印加電圧制御手段を備えているいることを特徴とする光学装置。
)前記印加電圧制御手段が、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の印加電圧制御手段の構成を備えていることを特徴とする光学装置。
導電性または有極性の第1の液体及び該第1の液体と互いに混合することのない第2の液体を、それらの界面が所定の形状をなした状態で容器内に密閉し、該容器に設けられた電極に対する電圧の印加による界面形状の変化によって光学的特性が変化する光学素子を有する光学装置であって、
前記界面形状を変化させるために前記電極に所定の電圧を印加する給電手段と、前記印加電圧の入力方向を判別し、または前記印加電圧の入力量によって前記光学素子に印加する第1の電圧値を決定すると共にその第1の電圧値を制御する印加電圧制御手段を有し、
前記印加電圧制御手段が、前記所定の電圧である第1の電圧値の印加前に、前記印加電圧の入力方向と関係なく、過渡的に第1の電圧値に比べて低くまたは高く設定された第2の電圧値を印加するようにした構成を有し、
上記(1)〜(5)のいずれかに記載の印加電圧制御手段を備えていることを特徴とする光学装置。
)前記第1の液体及び第2の液体は、屈折率が実質的に異なり、それらの界面が前記電圧の無印加時に大きなR状をなした状態で、前記容器内に密閉されていることを特徴とする上記(1)〜()のいずれかに記載の光学装置。
10)前記第1の液体及び第2の液体は、屈折率が実質的に等しく、それらの界面が前記電圧の無印加時に略フラットの形状をなした状態で、前記容器内に密閉されていることを特徴とする上記(1)〜()のいずれかに記載の光学装置。
11)前記電極が、第1の電極と前記第1の液体から絶縁された第2の電極とからなり、該第1の電極が前記第1の液体に導通するように設けられていることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載の光学装置。
12)前記第1の電極が、前記容器の側面側から前記第1の液体に導通するように設けられていることを特徴とする上記(11)に記載の光学装置。
13)前記第1の電極が、前記容器の上面側から前記第1の液体に導通するように設けられていることを特徴とする上記(11)に記載の光学装置。
14)前記第2の電極が、前記容器の側面側に設けられていることを特徴とする上記(11)に記載の光学装置。
15)前記第2の電極が、リング状の電極であって、前記第2の液体を取り囲むように配されていることを特徴とする上記(14)に記載の光学装置。
16)前記リング状の電極は、光束の射出方向に向かって徐々に内径寸が大きくなる形状を有していることを特徴とする上記(15)に記載の光学装置。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態においては、上記した構成を適用して、印加電圧制御手段を、前記所定の電圧を印加するための第1の電圧を、光学素子の環境温度に適応した電圧として印加するため、第1の印加電圧を生成する前に過渡的な第2の印加電圧を生成するように構成することで、温度に応じて第1の電圧と第2の電圧を制御して、温度に応じた光学装置の駆動制御を可能とすることができる。
また、画像記録手段がタイマ手段のカウント値が所定値に達するまで画像記録動作を禁止するように構成することで、光学素子の界面の変形が静定してから撮影を行う事が可能となる。
また、印加電圧制御手段を、光学素子の界面の変形方向に応じて前記光学素子に印加する電圧値を制御するように構成することで、光学素子のヒステリシスの影響がキャンセルされた駆動制御を行う事が可能となる。
また、印加電圧制御手段を、前記所定の電圧である第1の電圧値の印加前に、前記印加電圧の入力方向と関係なく、過渡的に第1の電圧値に比べて低くまたは高く設定された第2の電圧値を印加するように構成することで、光学素子のヒステリシスの影響の補正が容易な駆動制御を行う事が可能となる。
【0011】
【実施例】
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
図1ないし図10は本発明の実施例1に係わる図であり、図1は本発明の光学素子の構成を示す断面図である。
図1を用いて光学素子の構成と作成方法を説明する。
図1において、101は本発明の光学素子全体を示し、102は中央に凹部を設けた透明アクリル製の透明基板である。透明基板102の上面には、酸化インジウムスズ製の透明電極(ITO)103がスパッタリングで形成され、その上面には透明アクリル製の絶縁層104が密着して設けられる。絶縁層104は、前記透明電極103の中央にレプリカ樹脂を滴下し、ガラス板で押しつけて表面を平滑にした後、UV照射を行ない硬化させて形成する。絶縁層104の上面には、遮光性を有した円筒型の容器105が接着固定され、その上面には透明アクリル製のカバー板106が接着固定され、更にその上面には中央部に直径D3の開口を有した絞り板107が配置される。以上の構成において、絶縁層104、容器105及び上カバー106で囲まれた所定体積の密閉空間、すなわち液室を有した筐体が形成される。そして液室の壁面には、以下に示す表面処理が施される。
【0012】
まず絶縁層104の中央上面には、直径D1の範囲内に撥水処理剤が塗布され、撥水膜111が形成される。撥水処理剤は、フッ素化合物等が好適である。また、絶縁層104上面の直径D1より外側の範囲には、親水処理剤が塗布され、親水膜112が形成される。親水剤は、界面活性剤、親水性ポリマー等が好適である。一方、カバー板106の下面には、直径D2の範囲内に親水処理が施され、前記親水膜112と同様の性質を有した親水膜113が形成される。そしてこれまでに説明したすべての構成部材は、光軸123に対して回転対称形状をしている。更に、容器105の一部には孔があけられ、ここに棒状電極125が挿入され、接着剤で封止されて前記液室の密閉性を維持している。そして透明電極103と棒状電極125には給電手段126が接続され、スイッチ127の操作で両電極間に所定の電圧が印加可能になっている。
【0013】
以上の構成の液室には、以下に示す2種類の液体が充填される。まず絶縁層104上の撥水膜111の上には、第2の液体122が所定量だけ滴下される。第2の液体122は無色透明で、比重1.06、室温での屈折率1.49のシリコーンオイルが用いられる。一方液室内の残りの空間には、第1の液体121が充填される。第1の液体121は、水とエチルアルコールが所定比率で混合され、更に所定量の食塩が加えられた、比重1.06、室温での屈折率1.38の電解液である。すなわち、第1及び第2の液体は、比重が等しく、かつ互いに不溶の液体が選定される。そこで両液体は界面124を形成し、混じりあわずに各々が独立して存在する。
【0014】
次に前記界面の形状について説明する。まず、第1の液体に電圧が印加されていない場合、界面124の形状は、両液体間の界面張力、第1の液体と絶縁層104上の撥水膜111あるいは親水膜112との界面張力、第2の液体と絶縁層104上の撥水膜111あるいは親水膜112との界面張力、及び第2の液体の体積で決まる。当実施例においては、第2の液体122の材料であるシリコーンオイルと、撥水膜111との界面張力が相対的に小さくなるように材料選定されている。すなわち両材料間の濡れ性が高いため、第2の液体122が形成するレンズ状液滴の外縁は広がる性向を持ち、外縁が撥水膜111の塗布領域に一致したところで安定する。すなわち第2の液体が形成するレンズ底面の直径A1は、撥水膜111の直径D1に等しい。一方両液体の比重は前述のごとく等しいため、重力は作用しない。そこで界面124は球面になり、その曲率半径及び高さh1は第2の液体122の体積により決まる。また、第1の液体の光軸上の厚さはt1になる。
【0015】
一方、スイッチ127が閉操作され、第1の液体121に電圧が印加されると、電気毛管現象によって第1の液体121と親水膜112との界面張力が減少し、第1の液体が親水膜112と疎水膜122の境界を乗り越えて疎水膜122内に侵入する。その結果、図2のごとく、第2の液体が作るレンズの底面の直径はA1からA2に減少し、高さはh1からh2に増加する。また、第1の液体の光軸上の厚さはt2になる。このように第1の液体121への電圧印加によって、2種類の液体の界面張力の釣り合いが変化し、両液体間の界面の形状が変わる。よって、給電手段126の電圧制御によって界面124の形状を自在に変えられる光学素子が実現できる。また、第1及び第2の液体が異なっている屈折率を有しているため、光学レンズとしてのパワーが付与される事になるから、光学素子101は界面124の形状変化によって可変焦点レンズとなる。
さらには、図1に比べて図2の界面124の方が曲率半径が短くなるので、図2の状態の光学素子101の方が図1の状態に比べて光学素子101の焦点距離は短くなる。
【0016】
図3は、本発明の給電手段126の出力電圧と光学素子101の変形との関係を説明する図である。
同図(a)において、時刻t0に光学素子101に対して電圧値V0の電圧を印加すると、時定数t11で光学素子101の界面124の変形が始まる(図3(b)参照)。このまま電圧印加を続けていても、界面124が所望の変化量δ0に達する迄にはかなり長い時間が必要となる。そこで、光学系としては誤差として許容できる変形量、例えば図3(b)においては所望の界面変化量δ0の95%(0.95δ0と表記)まで界面124が変形した時(時刻t12)に所望の変形量に達したと見なす。この変形量に達しなければ、光学素子101の次の制御は進まない設定となっている。なおこの許容できる変形量は、光学素子101が組込まれる光学系に基いて決定されるものである。
【0017】
図4及び図5は本発明の実施例1の給電手段に係わる説明図である。
図4は本発明の光学素子及び給電手段の構成を示す断面図であり、図1及び図2を用いて給電手段の構成と作成方法を説明する。
130は後述する光学装置151全体の動作を制御する中央演算処理装置(以下CPUと略す)で、ROM、RAM、EEPROM、A/D変換機能、D/A変換機能、PWM(Pulse Width Modulation)機能を有する1チップマイコンである。131は光学素子101へ電圧を印加するための給電手段であり、以下その構成を説明する。
【0018】
132は光学装置150に組込まれている乾電池等の直流電源、133は電源132から出力された電圧をCPU130の制御信号に応じて所望の電圧値へと昇圧するDC/DCコンバータ、134及び135はCPU130の制御信号、例えばPWM機能が実現される周波数/デューティ比可変信号に応じて、その信号レベルをDC/DCコンバータ133で昇圧された電圧レベルにまで増幅する増幅器である。また、増幅器134は光学素子101の透明電極103に、増幅器135は光学素子101の棒状電極125にそれぞれ接続している。
つまり、CPU130の制御信号に応じて、電源132の出力電圧がDC/DCコンバータ133、増幅器134、増幅器135によって所望の電圧値、周波数、及びデューティーで光学素子101に印加されるようになる。
【0019】
図5は増幅器134及び135から出力される電圧波形を説明する図である。なお、DC/DCコンバータ133から増幅器134及び135へそれぞれ100Vの電圧が出力されたものとして以下説明を行う。
【0020】
図5の(a)にも示したように、増幅器134及び135はそれぞれ光学素子101に接続している。増幅器134からは、図5(b)に示すようにCPU130の制御信号により所望の周波数、デューティ比で矩形波形の電圧が出力される。一方増幅器135からは、図5(c)に示したようにCPU130の制御信号により、増幅器134とは逆位相で、同一周波数、同一デューティ比の矩形波形の電圧が出力される。これにより、光学素子101の透明電極103及び棒状電極125間に印加される電圧は図5(d)に示すように±100Vの矩形波形の電圧、つまり交流電圧となる。
よって、給電手段131によって光学素子101には交流電圧が印加されることになる。
【0021】
ところで、光学素子101に印加される電圧の印加開始からの実効値は図5(e)の様に表す事が出来るので、以後、光学素子101に印加する交流電圧の波形を図5(e)にならって表す事とする。
なお、上記説明中、増幅器134及び135から矩形波形の電圧が出力されるものとして説明したが、正弦波でも同様の構成となる事は言うまでもない。
また、上記説明中、光学装置150に電源132が組込まれた場合について説明を行ったが、外付けの電源や給電手段によって光学素子101に交流印加される場合でも良い。
【0022】
図6は、光学素子101を光学装置に応用したものである。当実施例では、光学装置150は静止画像を撮像手段で電気信号に光電変換し、これをデジタルデータとして記録する、いわゆるデジタルスチルカメラを例として説明する。
140は複数のレンズ群からなる撮影光学系で、第1レンズ群141、第2レンズ群142、及び光学素子101で構成される。第1レンズ群141の光軸方向の進退で、焦点調節がなされる。光学素子101のパワー変化でズーミングがなされる。第2レンズ群142は移動しないリレーレンズ群である。そして、第1レンズ群141と第2レンズ群142の間に光学素子101が配置され、第1レンズ群141と光学素子101との間には、公知の技術によって絞り開口径を調整して撮影光束の光量を調整する絞りユニット143が配置されている。
また撮影光学系140の焦点位置(予定結像面)には、撮像手段144が配置される。これは照射された光エネルギを電荷に変換する複数の光電変換部、該電荷を蓄える電荷蓄積部、及び該電荷を転送し、外部に送出する電荷転送部からなる2次元CCD等の光電変換手段が用いられる。
【0023】
145は画像信号処理回路で、撮像手段144から入力したアナログの画像信号をA/D変換し、AGC制御、ホワイトバランス、γ補正、エッジ強調等の画像処理を施す。
146は光学装置150の環境温度(気温)を測定する温度センサーである。
147はCPU130の内部に設けられたタイマで、CPU130によって設定された時間をカウントするためのものである。
151は液晶ディスプレイ等の表示器で、撮像手段144で取得した被写体像や、可変焦点レンズを有する光学装置の動作状況を表示する。152はCPU130をスリープ状態からプログラム実行状態に起動するメインスイッチ、153はズームスイッチで、撮影者のズームスイッチ操作に応じて変倍動作を行ない、撮影光学系140の焦点距離を変える。
【0024】
154は上記スイッチ以外の操作スイッチ群で、撮影準備スイッチ、撮影開始スイッチ、シャッター秒時等を設定する撮影条件設定スイッチ等で構成される。155は焦点検出手段で、一眼レフカメラに用いられる位相差検出式焦点検出手段等が好適である。156はフォーカス駆動手段で、第1レンズ群141を光軸方向に進退させるアクチュエータとドライバ回路を含み、前記焦点検出手段155で演算したフォーカス信号に基づいてフォーカス動作を行ない、撮影光学系140の焦点状態を調節する。
157はメモリ手段で、撮影された画像信号を記録する。具体的には、着脱可能なPCカード型のフラッシュメモリ等が好適である。
【0025】
図7は、図6に示した光学装置150が有するCPU130の制御フロー図である。以下、図6及び図7を用いて光学装置150の制御フローを説明する。
ステップS101において、メインスイッチ152がオン操作されたかどうかを判別し、オン操作されていない時は、そのまま各種スイッチの操作を待つ待機モードの状態である。ステップS101においてメインスイッチ152がオン操作されたと判定されたら、待機モードを解除し、次のステップS102以降へと進む。
【0026】
ステップS102では、温度センサー146によって光学装置150が置かれている環境温度、つまり光学装置150の周囲の気温を測定する。
ステップS103では、撮影者による撮影条件の設定を受付ける。例えば、露出制御モードの設定(シャッター優先AE、プログラムAE等)や画質モード(記録画素数の大小、画像圧縮率の大小等)、ストロボモード(強制発光、発光禁止等)等の設定を行う。
【0027】
ステップS104では、撮影者によってズームスイッチ153が操作されたか否かを判別する。オン操作されていない場合はステップS105に進む。ここでズームスイッチ153が操作された場合は、ステップS121に移行する。
ステップS121ではタイマ147がカウント中かどうかの判別を行う。カウントしていなければステップS123へ移行し、カウント中である場合は、そのカウンタ値をリセットした後(S122)、ステップS123へと移行する。
【0028】
ステップS123では、ズームスイッチ153の操作量(操作方向やオン時間等)を検出し、その操作量に基いて対応する焦点距離変化量を演算する(S124)。その演算結果によって、光学素子101への最終印加電圧基準値V0を決定し(S125)、温度による最終電圧基準値の補正及び電圧印加波形の決定を行う「温度補正」のサブルーチンに進む(図8参照、詳細は後述)。この「温度補正」のサブルーチンで決定した光学素子101に印加する補正最終電圧値及び印加波形パターンで給電手段131の制御を行い、光学素子101に電圧を印加する(S127)。それと同時にタイマ147のカウントを開始する(S128)。そしてステップS103へ戻る。つまり、ズームスイッチ153が操作され続けている場合は、ステップS103からステップS128を繰り返し実行し、ズームスイッチ153のオン操作が終了した時点でステップS105へと移行する。
【0029】
ステップS105では、撮影者によって操作スイッチ群154のうち、撮影準備スイッチ(図7のフローチャートではSW1と表記)のオン操作が行われたか否かを判別する。オン操作されていない場合はステップS103に戻り、撮影条件設定の受付や、ズームスイッチ153の操作の判別を繰り返す。ステップS105で撮影準備スイッチがオン操作されたと判定されたら、ステップS111へ移行する。
ステップS111では、撮像手段144及び信号処理回路145を駆動して、プレビュー画像を取得する。プレビュー画像とは、最終記録用画像の撮影条件を適切に設定するため、及び撮影者に撮影構図を把握させるために撮影前に取得する画像の事である。
【0030】
ステップS112では、ステップS111で取得したプレビュー画像の受光レベルを認識する。具体的には、撮像手段144が出力する画像信号において、最高、最低及び平均の出力信号レベルを演算し、撮像手段144に入射する光量を認識する。
ステップS113では、前記ステップS112で認識した受光量に基いて、撮影光学系140内に設けられた絞りユニット143を駆動して適正光量になるように絞りユニット143の開口径を調整する。
【0031】
ステップS114では、ステップS111で取得したプレビュー画像を表示器151に表示する。続いてステップS115では、焦点検出手段155を用いて撮影光学系140の焦点状態を検出する。続いてステップS116では、フォーカス駆動手段156により、第1レンズ群141を光軸方向に進退させて合焦動作を行なう。その後、ステップS117に進み、撮影スイッチ(フロー図7では、SW2と表記)のオン操作がなされたか否かを判別する。オン操作されていない時はステップS111に戻り、プレビュー画像の取得からフォーカス駆動までのステップを繰り返し実行する。
【0032】
以上のごとく、撮影準備動作を繰り返し実行している最中に、撮影者が撮影スイッチをオン操作すると、タイマ147のカウントが完了しているかどうかの判別を行う(S118)。カウントが完了していない場合はそのまま判別を続行し、タイマ147のカウントが完了した時点でステップS118からステップS131にジャンプし、タイマ147のカウント値をリセットした後(S131)、ステップS132へと移行する。
【0033】
ステップS132では撮像を行なう。すなわち撮像手段144上に結像した被写体像を光電変換し、光学像の強度に比例した電荷が各受光部近傍の電荷蓄積部に蓄積される。ステップS133では、ステップS132で蓄積された電荷を電荷転送ラインを介して読み出し、読み出しされたアナログ信号を信号処理回路145に入力させる。ステップS134では、信号処理回路145において、入力したアナログ画像信号をA/D変換し、AGC制御、ホワイトバランス、γ補正、エッジ強調等の画像処理を施し、さらに必要に応じてCPU130内に記憶された画像圧縮プログラムでJPEG圧縮等を施す。ステップS135では、上記ステップS134で得られた画像信号をメモリ157に記録すると同時に、ステップS136にて一旦プレビュー画像を消去した後に、ステップS134で得られた画像信号を表示器151に改めて表示する。その後、給電手段131を制御して光学素子101への電圧印加をオフして(S137)、一連の撮影動作が終了する。
【0034】
つぎに、図8及び図9を用いて温度補正をする場合についての説明をする。
ステップS151では温度センサー146で測定した気温が15℃以上かどうかの判別を行う。気温が15℃以下の場合は、図9の(a)に示した電圧印加波形Aを選択する(S152)。これは先述したように、低温時には光学素子101中の液体121及び122の粘性が高くなる事によって界面が変形を完了するまでの時間が長くなっていたのに対し、電源投入後の立上がり時に所定の最終電圧基準値V0よりも高い電圧を印加することによって起動時の界面の変形量を多くする事で界面の変形完了時間の短縮化を図っている。
【0035】
これは、光学素子101に印加する第1の電圧、すなわち、最終電圧基準値V0を印加する前の所定時間(以下、プリ印加時間と呼ぶ)は最終電圧基準値V0よりも高い第2の電圧、すなわち、プリ電圧値V1を光学素子101に印加し、プリ印加時間経過後は最終電圧基準値V0を光学素子101に印加する波形パターンである。
測定気温が10℃以上15℃未満の場合は(S153)、プリ印加時間を0msに設定し(S154)、プリ電圧値V1を演算するS180へと進む。
測定気温が5℃以上10℃未満の場合は(S155)、プリ印加時間を10msに設定し(S156)、プリ電圧値V1を演算するS180へと進む。
測定気温が0℃以上5℃未満の場合は(S160)、プリ印加時間を20msに設定し(S156)、プリ電圧値V1を演算するS180へと進む。
測定気温が0℃未満の場合は(S160)、プリ印加時間を30msに設定し(S156)、プリ電圧値V1を演算するS180へと進む。
【0036】
ステップS180で演算するプリ電圧値V1は例えば以下のような式で求まる
プリ電圧値V1=(補正定数1)×(基準温度−測定温度)…(1−1)式
つまり基準温度、15℃との温度差に(補正定数1)を掛けた値がプリ電圧値V1となる。
プリ電圧値V1が求まった後、ステップS181に進んで、最終電圧基準値V0の補正量を計算すると共に、最終電圧印加時間を求める。最終電圧基準値V0はステップS125で求まっているが、これにも例えば以下のような式で表される補正を行う。
【0037】
補正最終電圧値V0’=(最終電圧基準値V0)+(補正定数2)×(基準温度−測定温度)…(1−2)式
つまり、ステップS125で求まった最終電圧基準値V0に、基準温度15℃との温度差に(補正定数2)を掛けた値を加えたものが補正最終電圧値V0’となる。
【0038】
以上の制御を行う事で、印加電圧波形は温度に応じて図9(a)に示した様にきめ細かく変更され、その結果、界面の応答波形は同図(c)のごとく温度によらずほぼ一定となり、時刻t32でほぼ変形が完了する。そこで変形完了の目安となるタイマ147の待ち時間をt32より若干長いTAとし、これを予めCPU130のメモリ内に記憶しておく。そして、図7のステップS118でこのTAをタイマ完了の判断値とする事により、界面が静定してからステップS131以降のフローの実行が許可される。
【0039】
一方、ステップS151にて測定温度が15℃以上の場合は、図9の(b)に示した電圧印加波形Bを選択する(S170)。これは、先述したように高温時には光学素子101中の液体121及び122の粘性が低くなる事によって界面が変形を完了するまでに振動現象が起こってしまう事に対し、電源投入後の立上がり時に徐々に所定の最終電圧基準値V0まで電圧を印加することによって起動時の界面の振動現象の抑制を図っている。
【0040】
つまり、光学素子101に印加する最終電圧基準値V0を印加する前の所定時間(これもプリ印加時間と呼ぶ)は徐々に最終電圧基準値V0になるように電圧制御を行う波形パターンである。
【0041】
測定気温が15℃以上20℃未満の場合は(S171)、プリ印加時間を10msに設定し(S172)、補正最終電圧値V0’を演算すると共に、最終電圧印加時間を求めるステップS181へと進む。
【0042】
測定気温が20℃以上30℃未満の場合は(S173)、プリ印加時間を20msに設定し(S174)、補正最終電圧値V0’を演算すると共に、最終電圧印加時間を求めるステップS181へと進む。
測定気温が30℃以上の場合は(S173)、プリ印加時間を30msに設定し(S175)、補正最終電圧値V0’を演算すると共に、最終電圧印加時間を求めるステップS181へと進む。
【0043】
以上の制御を行う事で、印加電圧波形は温度に応じて図9(b)に示した様にきめ細かく変更され、その結果、界面の応答波形は同図(d)のごとく温度によらずほぼ一定となり、時刻t42でほぼ変形が完了する。そこで変形完了の目安となるタイマ147の待ち時間を、t42より若干長いTBとし、これを予めCPU130のメモリ内に記憶しておく。そして、図7のステップS118でこのTBをタイマ完了の判断値とする事により、界面が静定してからステップS131以降のフローの実行が許可される。
【0044】
以上により、温度に応じた最終印加電圧値や電圧印加波形パターンが決定するので(S182)、ステップS127に戻る。
また温度に応じて最終印加電圧値や電圧印加波形パターンを制御することによって、各温度毎に最適な駆動制御を行う事が可能となる。
【0045】
上記実施例1によれば、
(1)温度に応じて光学素子への最終印加電圧値や電圧印加波形パターンを制御することによって、光学素子の変形完了時間の短縮可能な光学装置を得ることが出来ること。
(2)実際に光学素子を駆動させる時間を短くする事が出来たので、光学装置の消費電力を低減する事が出来ること。
(3)光学素子の変形が静定するまで露光を禁止しているので、光学装置の撮影動作に影響を与える事が解消されること。
等が達成される。
【0046】
なお、本実施例では電圧印加波形パターンの切り替える基準温度を15℃としていたり、プリ印加時間を各温度毎に設定しているが、光学素子の構成やその液体の種類・組合せ等によって基準温度やプリ印加時間を設定すれば同様な効果が得られる。
また、光学素子への電圧印加を2段階にしているが、それ以上の多段階にしても同様な効果が得られる。
さらには、温度毎の最終印加電圧値やプリ印加電圧値の補正量を演算で求めているが、例えば図10に示したように、所望の焦点距離の温度によって決まるテーブルをCPUに記憶しておき、それを各補正量として使用しても本実施例と同様な効果が得られる。
なお、本実施例では光学装置の一例としてデジタルスチルカメラを取り挙げたが、それ以外のビデオカメラや銀塩カメラ等にも効果を損なわずに適用できる事は言うまでもない。
【0047】
[実施例2]
前記実施例1は、無印加状態の光学素子に電圧印加をする場合の実施形態であった。これに対して、以下に示す実施例2は、ある電圧が印加されて界面が静定している光学素子に対して、さらにその界面形状を変更させる動作をした場合の構成例である。
図11及び図14は本発明の実施例2に係わる図である。
図11は光学素子101を実施例1と同様にデジタルスチルカメラを例として光学装置に応用したものである。実施例1と同様なものについてはその説明を省略する。
同図において、光学装置150は撮影光学系やファインダー等の観察光学系等の各光学系を広角側にズーミングさせるためのW側ズーミングスイッチ201と、上記光学系を望遠側にズーミングさせるためのT側ズーミングスイッチ202を有している。
【0048】
図12及び図13は、図11に示した光学装置150の制御フローチャートである。以下、図11及び図13を用いて光学装置150の制御フローを説明する。
ステップS201からステップS203の撮影条件設定受付までは実施例1と同様なのでその説明を省略する。
ステップS204では、撮影者によってW側ズームスイッチ201が操作されたか否かを判別する。オン操作されていない場合はステップS205に進む。ここでW側ズームスイッチ201が操作された場合はステップS221へ移行する。
【0049】
ステップS205では、撮影者によってT側ズームスイッチ202が操作されたか否かを判別する。オン操作されていない場合はステップS206に進む。ここでT側ズームスイッチ202が操作された場合はステップS221へ移行する。
ステップS206では、実施例1と同様に、撮影者によって操作スイッチ群154のうち、撮影準備スイッチ(図12のフローチャートではSW1と表記)のオン操作が行われたか否かを判別する。オン操作されていない場合はステップS203に戻り、撮影条件設定の受付や、各ズームスイッチの操作の判別を繰り返す。ステップS206で撮影準備スイッチがオン操作されたと判定されたら、ステップS211へ移行する。
【0050】
ステップS211からステップS237までは実施例1と同様の制御フローなので、その説明を省略する。
ステップS204もしくはステップS205でW側ズームスイッチ201もしくはT側ズームスイッチ202が操作された場合に移行するステップS221では、タイマ147がカウントをしているか否かの判別を行う。カウントを行っていない場合にはステップS222へと進み、実施例1と同様にステップS222の「操作量検出」からステップS227の「タイマスタート」までの一連の制御フローを行うので、その説明は省略する。
【0051】
一方、ステップS221でタイマ147がカウントしている、つまり光学素子101にある所定量の電圧が印加されていると判別された場合には、ステップS228の「最終印加電圧補正」のサブルーチンへと移行する。
【0052】
つぎに、図13及び図14を用いて、最終印加電圧の補正についての説明をする。
ステップS251ではタイマ147のカウンタ値をリセットする。次にステップS252では、操作された方のズームスイッチの操作量を検出し、その操作量に基いて対応する焦点距離変化量を演算する(S253)。
ステップS254では、どちらのズームスイッチが操作されたかの判別を行う。W側ズームスイッチ201が操作された場合にはステップS255に進み、T側ズームスイッチ202が操作された場合には、ステップS257に進む。
【0053】
ステップS254の判別でW側ズームスイッチ201が操作されたという事は、光学素子101に印加されている電圧値を増加させて光学素子101の界面124を更に変形させて光学素子101の焦点距離を短くする事であるから、ステップS255においては、最終印加電圧値を補正する方向を図14(a)に示す方向とする。そして、光学素子101に印加されている電圧値VAから、焦点距離変化量から導かれる最終印加電圧基準値V0に補正分を加えたV2をW側ズーミングスイッチ201が操作された場合の補正最終印加電圧値として決定するので、V0及びその補正量の演算をステップS256で行う。
【0054】
なおこの時の補正量は、演算によって決定しても良いし、CPU130内に備えたメモリに最終印加電圧基準値V0に応じて決定されたテーブル値でも良い。これにより、図14(c)に示すように、最終印加電圧値をV0とした時は、光学素子101の界面124は時間経過と共に破線で示したように変化して、最終的には所望の変形量δAに対して光学的に許容できない変形量、例えば0.90δAまでしか変形しないが、最終印加電圧値をV2とした時は、界面124は時間経過と共に実線で示したように変化し、最終的には所望の変形量δAに達する。つまり、光学素子101の所望の焦点距離変化が得られている事になる。
【0055】
一方、ステップS254の判別でT側ズームスイッチ202が操作されたという事は、光学素子101に印加されている電圧値を減少させて光学素子101の界面124の変形量を小さくして光学素子101の焦点距離を長くする事であるから、ステップS257においては、最終印加電圧値を補正する方向を図14(b)に示す方向とする。そして、光学素子101に印加されている電圧値VBから、焦点距離変化量から導かれる最終印加電圧基準値V0に補正分を加えたV3をT側ズーミングスイッチ201が操作された場合の最終印加電圧値として決定するので、V0及びその補正量の演算をステップS258で行う。
【0056】
なおこの時の補正量は、演算によって決定しても良いし、CPU130内に備えたメモリに最終印加電圧値V0に応じて決定されたテーブル値でも良い。
これにより、図14(d)に示すように、最終印加電圧値をV0とした時は、光学素子101の界面124は時間経過と共に破線で示したように変化して、最終的には所望の変形量δBに対して光学的に許容できない変形量、例えば0.90δBまでしか変形しないが、最終印加電圧値をV3とした時は、界面124は時間経過と共に実線で示したように変化し、最終的には所望の変形量δBに達する。つまり、光学素子101の所望の焦点距離変化が得られている事になる。
【0057】
ステップS256及びステップS258での最終印加電圧値及びその補正量の演算が終了したら、ステップS225の「温度補正」のサブルーチンへと移行する。
この時、最終印加電圧値をV2もしくはV3として、実施例1で説明した最終印加電圧値に対する温度補正を行うが、その詳細の説明は省略する。
【0058】
以上述べたように、静定している電圧印加中の光学素子101に、さらにその界面形状を変更させる動作をした場合、所望の焦点距離に対する最終印加電圧値がV0であっても、広角側から変化させる場合と望遠側から変化させる場合で最終印加電圧値の補正量と補正方向とをそれぞれ設定しているので、最終印加電圧値が異なっている。これにより、光学素子101に印加する電圧変化に対する界面124の変形にヒステリシスがあった場合でも、適切な補正量及び補正方向を設定する事によってその影響をキャンセルすることが出来る。
【0059】
上記実施例2によれば、
(1)光学素子への印加電圧の変化方向によって最終印加電圧値をそれぞれ決定しているので、ヒステリシスの影響がない光学素子の光学特性変化が可能となること。
(2)ヒステリシスの影響をキャンセルして光学素子を制御出来るので、撮影者の意図を反映した正しい動作を行う事が可能となること。
等が達成される。
【0060】
[実施例3]
図15及び図17は本発明の実施例3に係わる図である。なお、本実施例の光学装置は実施例2と同様なものとする。
図15及び図16は、本実施例の光学装置の制御フロー図である。以下、図15及び図16を用いて光学装置の制御フローを説明する。
実施例2の制御フロー図である図12と、本実施例の制御フロー図である図15とで共通の制御フローはその説明を省略する。ここでは、ステップS325で温度補正を行った後の光学素子101への電圧印加制御方法(ステップS326の「給電制御」についての以下の説明参照)が異なる。
【0061】
そこで、この点を明らかにするため、図16及び図17を用いて、給電制御について説明する。
ステップS351において、撮影者によって操作されたズームスイッチが、W側ズームスイッチ201なのか否かの判別を行う。W側ズームスイッチ201が操作された場合にはステップS352に進み、T側ズームスイッチ202が操作された場合には、ステップS361に進む。
ステップS352では、ステップS325で求まった補正最終電圧値V0’に対する第1印加電圧値V4の演算及びその印加時間t70の設定を行う。この第1印加電圧値V4は例えば以下のような式で求まる。
第1印加電圧値V4=(補正最終電圧値V0’)−(定数)…(3−1)式
この(3−1)式中の「定数」や印加時間は、CPU130内に記憶されているメモリから呼び出したものでも、補正最終電圧値V0’に対してある演算式で求まるもの、どちらでも良い。
【0062】
このようにして第1印加電圧値V4及びその印加時間t70が求まった後、ステップS353で第1印加電圧値V4の印加を開始し、それと同時にタイマ147のカウントをスタートさせる(S354)。ステップS352で設定した印加時間分のカウントが終了した後(S355)、タイマ147のカウントを終了させるのと同時に、第2印加電圧である、補正最終電圧値V0’の印加を開始する(S356,S357)。そして、ステップS327へと戻る。
【0063】
一方、ステップS361では、ステップS325で求まった補正最終電圧値V0’に対する第3印加電圧値V5の演算及びその印加時間t80の設定を行う。この第3印加電圧値V5は例えば以下のような式で求まる。
第3印加電圧値V5=(補正最終電圧値V0’)−(定数)…(3‐2)式
この(3‐2)式中の「定数」や印加時間t80は、CPU130内に記憶されているメモリから呼び出したものでも、補正最終電圧値V0’に対してある演算式で求まるもの、どちらでも良い。
【0064】
このようにして第3印加電圧値V5及びその印加時間t80が求まった後、ステップS362で第3印加電圧値V5の印加を開始し、それと同時にタイマ147のカウントをスタートさせる(S363)。ステップS361で設定した印加時間分のカウントが終了した後(S364)、タイマ147のカウントを終了させるのと同時に、第4印加電圧である、補正最終電圧値V0’の印加を開始する(S365,S366)。そして、ステップS327へと戻る。
【0065】
以上説明したように、光学素子101の焦点距離変化の方向によらず、光学素子101に補正最終電圧値V0’を印加する前に、所定時間、補正最終電圧値V0’よりも低い電圧を印加する事によって、光学素子101の界面124を静定させる方向が、界面124の曲率半径を小さくさせる方向となる。つまり、光学素子101の変形にヒステリシスがある場合でも、界面124を静定させる時の光学素子101への電圧印加方向を一定にしておけば、ヒステリシスの影響もある一方向のみの考慮を行えば良いので、その補正が容易となる。
【0066】
なお、上記説明では界面を静定させる時の光学素子への電圧印加方向を電圧値増加方向としているが、これに限定することはなく、電圧値減少方向にしてもヒステリシスの影響をある一方向にすることが出来るので、同様の効果を得る事が出来る。
上記実施例3によれば、光学素子の界面を静定させる時に一定方向の電圧印加を行っているので、光学素子のヒステリシスの影響分の補正を容易に行う事が可能となる。
【0067】
[実施例4]
前記実施例1及び実施例3は、光学素子を光学装置の撮影光学系内に組込んだ場合の実施形態であった。これに対して、以下に示す実施例4は、上記以外の光学系内に光学素子を組込んだ場合の構成例である。
図18ないし図20は本発明の実施例4に係わる図である。
図18は光学素子101を光学装置の観測光学系330内に組込んだ時のものである。実施例1及び実施例2と同様なものについてはその説明を省略する。
同図において、光学装置150は視度調スイッチ159を有している。この視度調スイッチ159は、レバータイプのものでもボタンタイプの物でも良く、その操作によってCPU130は給電手段を制御して光学素子101への印加電圧を変更する。つまり、視度調スイッチ159の操作によって光学素子101の焦点距離が変わるので、観察像の焦点を撮影者の視度に合わせる事が出来る。
【0068】
330は複数のレンズ群からなる観察光学系で、第1レンズ群331、第2レンズ群332、第3レンズ群333、この光学系の略焦点位置に配置された視野枠334、及び光学素子101で構成される。第2レンズ群332の光軸方向の進退でズーミングが行われる。また、第3レンズ群333は移動しないリレーレンズ群である。よって観察者は、光学素子101を通して焦点位置に結像した観察像を観察する事が出来る。
【0069】
図19及び図20は、図18に示した光学装置150が有するCPU130の制御フローである。以下、図18ないし図20を用いて光学装置150の制御フローを説明する。
ステップS401において、メインスイッチ152がオン操作されたかどうかを判別し、オン操作されていない時は、そのまま各種スイッチの操作を待つ待機モードの状態である。一方、ステップS401においてメインスイッチ152がオン操作されたと判定されたら、待機モードを解除し、ステップS402へと進む。
【0070】
ステップS402では、CPU130に記憶された光学素子101の補正最終印加電圧値V0’を確認する。なお、光学装置150を初めて使用する場合は、CPU130には補正最終印加電圧値V0’=0Vとして設定されている。
ステップS403では、上記ステップS402の結果に基づき、CPU130に設定値がある場合は「メモリセット」のサブルーチンに進み、メモリ値が無い場合はステップS404に進む。CPU130に設定値がある場合は、改めてその設定値を呼び出し(S451)、その設定値に基いて光学素子101への補正最終印加電圧値V0’を設定した後(S452)、給電手段144を制御して光学素子101に電圧を印加して元に戻る(S453)。
【0071】
ステップS404では、撮影者による撮影条件の設定を受付ける。例えば、露出制御モードの設定(シャッター優先AE、プログラムAE等)や画質モード(記録画素数の大小、画像圧縮率の大小等)、ストロボモード(強制発光、発光禁止等)等の設定を行う。
ステップS405では、撮影者によって視度調スイッチ159が操作されたか否かを判別する。オン操作されていない場合にはステップS406に進む。ここで視度調スイッチ159が操作された場合は、ステップS421へと進む。
【0072】
ステップS421では、視度調スイッチ159の操作量(操作方向やオン時間等)を検出し、その操作量に基いて対応する視度調整量の演算を行う(S422)。その演算結果によって、光学素子101への最終印加電圧量V0を決定し(S423)、実施例1で説明した「温度補正」を行い(S424)、その後給電手段131の出力電圧を制御して光学素子101に補正最終印加電圧値V0’を印加する(S425)。そしてステップS404へ戻る。つまり、視度調スイッチ159が操作され続けている場合は、ステップS404からステップS425を繰り返し実行し、視度調スイッチ159のオン操作が終了した時点でステップS406へと移行する。
【0073】
ステップS406では、撮影者によって操作スイッチ群154のうち、撮影準備スイッチ(図19のフローチャートではSW1と表記)のオン操作が行われたか否かを判別する。オン操作されていない場合はステップS404に戻り、撮影条件設定の受付や、視度調スイッチ159の操作の判別を繰り返す。また、ステップS406で撮影準備スイッチがオン操作されたと判定されたら、ステップS411へ移行する。
【0074】
ステップS411からステップS417は実施例1のステップS111からステップS117と同様、及びステップS431からステップS435までは実施例1のステップS132からステップS136までと同様なので、その説明を省略する。
ステップS435で撮影された画像を表示器151に表示した後、ステップS436ではメインスイッチ152がオフ操作されたかどうかの判別を行う。メインスイッチ152がオフ操作されていない場合はステップS404に移行し、S404からS435までの一連の撮影動作を繰り返し行う
またステップS436でメインスイッチ152がオフ操作された場合は、ステップS437に進んでCPU130に記憶されている光学素子101への補正最終印加電圧値V0’を、メインスイッチ152のオフ操作直前の補正最終印加電圧値V0’に書き換えた後、ステップS438へと進んで光学素子101への電圧印加をオフして一連の撮影動作を終える。
【0075】
以上説明したように、光学素子を観察光学系に組込んだ時でも温度に応じて光学素子への最終印加電圧値や電圧印加波形パターンを制御することが可能になる。つまり、光学素子をどのような光学系に組込んでも、同様な効果を得られる事が出来る。
【0076】
[実施例5]
図21ないし図24は本発明の実施例5に係わる図である。
図21及び図22は本発明の他の形態をなす光学素子及び給電手段に係わる説明図である。
図21は本実施例の光学素子の構成を示す断面と、これを駆動する給電手段の構成を示す図である。図21を用いて光学素子の構成を説明する。
801は本実施例の光学素子全体を示し、802は円盤形の透明アクリルあるいはガラス製の第1の封止板である。803は電極リングで、外径寸法は均一、内径寸法は下方向に向かって徐々に直径が大きくなる金属製のリング状部材である。該電極リング803の内面全周にはアクリル樹脂等でできた絶縁層804が密着形成される。該絶縁層804の内径寸法は均一なため、厚さは下に向かって徐々に増加する。そして該絶縁層804の内面全周の下側には撥水処理剤が塗布され、撥水膜811が形成されるとともに、絶縁層804の内面全周の上側には親水処理剤が塗布され、親水膜812が形成される。
【0077】
806は円盤形の透明アクリルあるいはガラス製の第2の封止板で、その一部には孔があけられ、ここに棒状電極825が挿入され、接着剤で封止される。807は、光学素子801に入射する光束の径を制限する絞り板で、第2の封止板806の上面に固設される。そして第1の封止板802、金属リング803及び第2の封止板806は互いに接着固定され、これらの部材で囲まれた所定体積の密閉空間、すなわち液室を有した筐体が形成される。この筐体は、前記棒状電極825挿入部以外は光軸823に対して軸対称形状をなしている。そして該液室には、以下に示す2種類の液体が充填される。
【0078】
まず液室の底面側には、第2の液体822が、その液柱の高さが前記撥水膜811形成部と同一の高さになる分量だけ滴下される。第2の液体822は無色透明で、比重1.06、室温での屈折率1.38のシリコーンオイルが用いられる。続いて液室内の残りの空間には、第1の液体821が充填される。第1の液体821は、水とエチルアルコールが所定比率で混合され、更に所定量の食塩が加えられた、比重1.06、室温での屈折率1.38の電解液である。更に第1の液体821には無彩色の水溶性染料、例えばカーボンブラックや、酸化チタン系の材料が加えられる。すなわち、第1及び第2の液体は、比重と屈折率が等しく、光線吸収能率が異なり、かつ互いに不溶の液体が選定される。そこで両液体は界面824を形成し、混じりあわずに各々が独立して存在する。そしてこの界面824の形状は、液室内壁、第1の液体及び第2の液体の3物質が交わる点、すなわち界面824の外縁部に働く3つの界面張力の釣り合いで決まる。本実施例においては、液室内壁に対する第1及び第2の液体の接触角がいずれも90度になるよう、前記撥水膜811及び親水膜812の材料が選定される。
【0079】
131は図1に記載された給電手段131と同一の構成及び作用をなす部材であるため、詳しい説明は省略する。給電手段131の増幅器134は金属リング803に接続され、増幅器135は棒状電極825に接続される。この構成において、第1の液体821には棒状電極825を介して電圧が印加され、エレクトロウェッティング効果によって界面824が変形する。
【0080】
次に光学素子801の前記界面824の変形と、該変形によってもたらされる光学作用について、図22を用いて説明する。まず、第1の液体821に電圧が印加されていない場合、界面824の形状は上述したように平坦となる(図22(a))。ここで、第2の液体は実質上透明であるが、第1の液体は添加された光吸収性材料のために所定の光線吸収能率を有する。そこで、絞り板807の開口から光束を入射させると、第1の液体の光路長に応じた分だけ光線が吸収され、第1の封止板802から射出する光束の強度は一様に低下する。
【0081】
一方、第1の液体に電圧を印加すると、界面824の形状はエレクトロウェッティング効果で球面となる(図22(b))。そこで、絞り板807の開口から入射した光束は、第1の液体の光路長変化に応じた割合で吸収率も変化し、第1の封止板802から射出する光束の強度は、中央から周辺に向かって漸減し、その平均強度は同図(a)の場合よりも高い。すなわち給電手段131の電圧制御によって界面824の形状を変えることにより、透過光量を自在に変えられる光学素子が実現できる。また、第1及び第2の液体の屈折率が等しく、入射した光束はその方向を変えずに射出光の強度のみが変えられるため、入射光束の光量を調節する絞り手段や、入射光束を透過・遮断する光シャッタに用いることができる。
【0082】
なお、エレクトロウェッティングによる2液界面の変形原理は国際特許WO99/18456に記載されており、本実施例の界面824は、同特許の図6に記載された2液界面のポジションA及びBに相当する。また、2液界面の変形による入射光束の透過光量調節原理とその効果は、本出願人による特願平11−169657号に記載されている。
【0083】
図23は、光学素子801を光学装置に応用したものである。当実施例では、実施例1と同様に、光学装置150は静止画像を撮像手段で電気信号に光電変換し、これをデジタルデータとして記録する、いわゆるデジタルスチルカメラを例として説明する。なお、実施例1と同様なものについては、その詳細な説明は省略する。
【0084】
430は複数のレンズ群からなる撮影光学系で、第1レンズ群431、第2レンズ群432、第3レンズ群433で構成される。第1レンズ群431の光軸方向の進退で、焦点調節がなされる。第2レンズ群432の光軸方向の進退で、ズーミングがなされる。第3レンズ群433は移動しないリレーレンズ群である。そして、第2レンズ群432と第3レンズ群433の間に光学素子801が配置される。撮影光学系430の焦点位置(予定結像面)には、撮像手段144が配置される。
【0085】
次に当実施例における光学素子801の作用を説明する。自然界に存在する被写体の輝度のダイナミックレンジは非常に大きく、これを所定範囲に収めるために、通常は撮影光学系内部に機械式絞り機構を有し、撮影光束の光量を調節している。しかしながら、機械式絞り機構は小さくする事は困難で、かつ絞り開口部が小さい小絞り状態では、絞り羽根端面による光線の回折現象で、被写体像の解像力が低下する。そこで当実施例では、光学素子801を前記機械式絞り機構を代用する可変NDフィルタとして用いることで、上記欠点を生ずること無く、撮影光学系を通過する光量を適切に調節する。
【0086】
図24は、図23に示した光学装置150が有するCPU130の制御フロー図である。以下、図23及び図24を用いて光学装置150の制御フローを説明する。なお、実施例1と同様な制御フローについてはその詳細な説明を省略する。
【0087】
ステップS501では、撮影者によりメインスイッチ152がオン操作されたか否かを判別し、オン操作されていない時はステップS501に留まる。ステップS501でメインスイッチ152がオン操作されたと判定されたら、CPU130はスリープ状態から脱してステップS502以降を実行する。
ステップS502では実施例1と同様に、温度センサー146によって光学装置150が置かれている環境温度、つまり光学装置150の周囲の気温を測定する。
【0088】
ステップS503では、撮影者による撮影条件の設定を受け付ける。
ステップS504では、撮影者による撮影準備スイッチ(フロー図では、SW1と表記)のオン操作がなされたか否かを判別する。オン操作されていない時は S503に戻り、撮影条件設定の受付の判別を繰り返す。
ステップS504で撮影準備スイッチがオン操作されたと判定されたら、ステップS511へ移行する。
ステップS511及びステップS512は実施例1と同様なので、その説明を省略する。
ステップS513では、前記ステップS512で判定した受光量が適正か否かを判別する。そして当ステップで適正と認識されたら、ステップS514に進む。
【0089】
一方ステップS513において、前記ステップS512で判定した受光量が適正でないと判別されたら、ステップS521にジャンプする。ステップS521及びステップS522は実施例1と同様なので、その説明を省略する。ステップS523では、実際の受光量と適正な受光量を比較し、撮影光学系430内の光学素子801の適正透過率を演算する。ステップS524では、前記ステップS523で演算した適正透過率を得るための制御電圧(最終印加電圧値V0)を演算する。具体的には、CPU130のROMには、印加電圧に対する透過率の関係がルックアップテーブルとして記憶されているので、該テーブルを参照し、ステップS523で演算した透過率に対する最終印加電圧値V0を求める。
【0090】
ステップS525では実施例1と同様に最終印加電圧値V0に対する温度補正を行い、ステップS526では、前述の「温度補正」のサブルーチンで決定した光学素子801に印加する最終電圧基準値及び印加波形パターンで給電手段131の制御を行い、光学素子801に電圧を印加する。それと同時にタイマ147のカウントを開始する(S527)。ステップS527実行後はステップS511に戻り、撮像手段144に入射する光量が適正になるまで、ステップS511の画像信号の取得からステップS527までのステップを繰り返し実行する。そして撮像手段144に入射する光量が適正になると、ステップS513からステップS514に移行する。
ステップS514からステップS537までは第1及び実施例2と同様なのでその説明を省略する。
【0091】
以上説明したように、光学素子を光学フィルタとして使用する場合でも、温度に応じて光学素子への最終印加電圧値や電圧印加波形パターンを制御することが可能になる。
つまり、光学素子の構成や使用形態によらずに実施例1から実施例4までと同様な効果を得る事が出来る。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電気毛管現象を利用した光学素子の駆動制御において、温度に応じた駆動制御を行うことができ、また、ヒステリシスの影響を無視することができ、あるいはヒステリシスの影響を容易に補正することができる光学装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学素子の断面図である。
【図2】本発明の光学素子に電圧を印加した時の動作説明図である。
【図3】本発明の光学素子の印加電圧と界面変形の関係を説明する図である。
【図4】本発明の光学素子の給電手段の説明図である。
【図5】本発明の光学素子の給電手段の動作説明図である。
【図6】本発明の実施例1の光学装置の構成図である。
【図7】本発明の実施例1の光学装置のメイン制御フロー図である。
【図8】本発明の実施例1の光学装置のサブ制御フロー図である。
【図9】本発明の実施例1の印加電圧と光学素子の界面変形の関係を説明する図である。
【図10】本発明の実施例1の温度補正テーブルの例である。
【図11】本発明の実施例2の光学装置の構成図である。
【図12】本発明の実施例2の光学装置のメイン制御フロー図である。
【図13】本発明の実施例2の光学装置のサブ制御フロー図である。
【図14】本発明の実施例2の印加電圧と光学素子の界面変形の関係を説明する図である。
【図15】本発明の実施例3の光学装置のメイン制御フロー図である。
【図16】本発明の実施例3の光学装置のサブ制御フロー図である。
【図17】本発明の実施例3の印加電圧制御の説明図である。
【図18】本発明の実施例4の光学装置の構成図である。
【図19】本発明の実施例4の光学装置のメイン制御フロー図である。
【図20】本発明の実施例4の光学装置のサブ制御フロー図である。
【図21】本発明の実施例5の光学素子の構成図である。
【図22】本発明の実施例5の光学素子の光学作用の説明図である。
【図23】本発明の実施例5の光学装置の構成図である。
【図24】本発明の実施例5の光学装置の制御フロー図である。
【図25】従来の光学素子の問題点の説明図である。
【符号の説明】
101,801:光学素子
102,802:透明基板
103,803:透明電極
104,804:絶縁層
107,807:絞り板
111,811:撥水膜
112,812:親水膜
113,813:親水膜
121,821:第1の液体
122,822:第2の液体
123,823:光軸
124,824:界面
125,825:棒状電極
130:CPU
126,131:給電手段
132:電源
133:DC/DCコンバータ
134,135:増幅器
140,240,440:撮影光学系
340:観察光学系
144:撮像手段
146:温度センサー
150:光学装置
151:表示器
152:メインスイッチ
153:ズームスイッチ
201:W側ズームスイッチ
202:T側ズームスイッチ

Claims (16)

  1. 導電性または有極性の第1の液体及び該第1の液体と互いに混合することのない第2の液体を、それらの界面が所定の形状をなした状態で容器内に密閉し、該容器に設けられた電極に対する電圧の印加による界面形状の変化によって光学的特性が変化する光学素子とズーム操作手段を有する光学装置であって、
    前記界面形状を変化させるために前記電極に所定の電圧を印加する給電手段と、前記印加電圧を制御する印加電圧制御手段と、
    経過時間をカウントするタイマ手段と、
    撮像手段を制御する制御手段とを有し、
    前記ズーム操作手段の操作があった場合に前記タイマ手段により経過時間をカウントするとともに、
    前記印加電圧制御手段が、前記ズーム操作手段の操作に応じた焦点距離に対応する第1の電圧を印加する前に、前記ズーム操作されたときの温度に応じて決定された電圧の印加波形と印加時間とによる過渡的な第2の印加電圧を印加し、
    前記タイマ手段によりカウントされた経過時間が所定時間に到達するまでは、前記制御手段が前記撮像手段による撮像を禁止することを特徴とする光学装置。
  2. 前記第2の印加電圧を生成する手段が、前記光学素子の環境温度の検知結果に基づいて、前記第2の電圧の印加波形を設定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
  3. 前記第1の印加電圧の電圧値が、前記光学素子の環境温度の検知結果に基づいて設定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
  4. 前記第1の印加電圧の電圧値が、演算によって求められることを特徴とする請求項3に記載の光学装置。
  5. 前記第1の印加電圧の印加時間が、前記光学素子の環境温度の検知結果に基づいて設定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
  6. 導電性または有極性の第1の液体及び該第1の液体と互いに混合することのない第2の液体を、それらの界面が所定の形状をなした状態で容器内に密閉し、該容器に設けられた電極に対する電圧の印加による界面形状の変化によって光学的特性が変化する光学素子と、該光学素子を通過した光束による光学像を記録する画像記録手段を有する光学装置であって、
    前記界面形状を変化させるために前記電極に所定の電圧を印加する給電手段と、該給電手段の給電開始からの経過時間をカウントするタイマ手段を備え、前記画像記録手段が前記タイマ手段のカウント値が所定値に達するまで画像記録動作を禁止する構成を有し、
    求項1〜5のいずれか1項に記載の印加電圧制御手段を備えているいることを特徴とする光学装置。
  7. 前記印加電圧制御手段が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の印加電圧制御手段の構成を備えていることを特徴とする光学装置。
  8. 導電性または有極性の第1の液体及び該第1の液体と互いに混合することのない第2の液体を、それらの界面が所定の形状をなした状態で容器内に密閉し、該容器に設けられた電極に対する電圧の印加による界面形状の変化によって光学的特性が変化する光学素子を有する光学装置であって、
    前記界面形状を変化させるために前記電極に所定の電圧を印加する給電手段と、前記印加電圧の入力方向を判別し、または前記印加電圧の入力量によって前記光学素子に印加する第1の電圧値を決定すると共にその第1の電圧値を制御する印加電圧制御手段を有し、
    前記印加電圧制御手段が、前記所定の電圧である第1の電圧値の印加前に、前記印加電圧の入力方向と関係なく、過渡的に第1の電圧値に比べて低くまたは高く設定された第2の電圧値を印加するようにした構成を有し、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の印加電圧制御手段を備えていることを特徴とする光学装置。
  9. 前記第1の液体及び第2の液体は、屈折率が実質的に異なり、それらの界面が前記電圧の無印加時に大きなR状をなした状態で、前記容器内に密閉されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光学装置。
  10. 前記第1の液体及び第2の液体は、屈折率が実質的に等しく、それらの界面が前記電圧の無印加時に略フラットの形状をなした状態で、前記容器内に密閉されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光学装置。
  11. 前記電極が、第1の電極と前記第1の液体から絶縁された第2の電極とからなり、該第1の電極が前記第1の液体に導通するように設けられていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の光学装置。
  12. 前記第1の電極が、前記容器の側面側から前記第1の液体に導通するように設けられていることを特徴とする請求項11に記載の光学装置。
  13. 前記第1の電極が、前記容器の上面側から前記第1の液体に導通するように設けられていることを特徴とする請求項11に記載の光学装置。
  14. 前記第2の電極が、前記容器の側面側に設けられていることを特徴とする請求項11に記載の光学装置。
  15. 前記第2の電極が、リング状の電極であって、前記第2の液体を取り囲むように配されていることを特徴とする請求項14に記載の光学装置。
  16. 前記リング状の電極は、光束の射出方向に向かって徐々に内径寸が大きくなる形状を有していることを特徴とする請求項15に記載の光学装置。
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