JP4434327B2 - 極高真空環境装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空環境を形成するための技術に関し、特に極高真空環境装置の真空排気やパージの効率を改善するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
表面化学あるいは物理実験などの分野において、極高真空環境を達成できる真空環境装置の需要が高まっている。この分野における真空グレード区分は、105〜100Paが低真空、100〜10-1Paが中真空、10-1〜10-5Paが高真空、10-5〜10-9Paが超高真空、10-9Pa以下が極高真空と分類されるのが一般的である。そして10-9Pa以下の極高真空は、現時点における限界技術の一つであり、これを達成するにはリークおよび脱ガスを極小とした真空容器と、十分な圧縮比を有する排気装置の組み合わせが不可欠である。
【0003】
極高真空を達成できる従来の極高真空環境装置の一例を図5に示す。この極高真空環境装置1は、真空容器2と、真空容器に付属する吸気弁3と、真空容器2を排気するための、主ターボ分子ポンプ4、背圧側ターボ分子ポンプ5、油回転ポンプ6を直列に接続して構成された主排気装置7と、パージ用ガスボンベ8と、該ガスボンベ8からのパージガスを、減圧弁9、高真空弁10を介して前記主ターボ分子ポンプ4と背圧側ターボ分子ポンプ5を接続する経路に導入するパージ経路11とから構成されている。また、真空容器2と主ターボ分子ポンプ4および背圧側ターボ分子ポンプ5を接続する経路には、それぞれの真空度を測定する真空計12,13が設けられている。
【0004】
真空容器2の内面は、その表面からの脱ガスを極小にするために、電解研磨等の表面処理が施されている。さらにリークを極小にするために、各溶接部はヘリウムリーク試験等で気密性の確認が実施されている。また主排気装置7は、真空容器2を105Paの大気圧から10-9Pa以下の極高真空領域迄の排気に必要な圧縮比を有している。
【0005】
このような極高真空環境装置1は、レイアウトの変更が生じた場合やゲージ交換等のメンテナンス時には、真空容器2内を極高真空状態から加圧して大気圧まで戻す必要がある。この大気圧戻し操作を、大気開放により外気を導入する方法で行うと、大気中の水蒸気やその他種々の大気成分ガスが不純物として、真空容器2の清浄な内面に付着してしまい、再起動する際にこれら不純物の影響で、到達真空度の悪化あるいは所定の極高真空状態の真空度に到達するのに長時間を要する等、性能劣化を招くことになる。
【0006】
これを回避するためには、これら不純物の少ないガスをパージガスとして導入して、大気圧に戻す方法が一般的に採用されている。図5の例では、パージ用ガスボンベ8に充填された上記不純物の少ないガス、例えば窒素ガスが、パージガスとして、減圧弁9および高真空弁10が備えられたパージ経路11から、主排気装置7の主ターボ分子ポンプ4と背圧側ターボ分子ポンプ5の間に導入されている。この例における高真空弁10の構造は、グランド部が金属ベロー、シール部(弁座)はゴム系材料を用いている。
【0007】
ところが、このパージガス導入方法は、パージガス経路11が主ターボ分子ポンプ4の排気側に接続されているため、導入されたパージガスは、主ターボ分子ポンプ4を逆流して、吸気弁3を介して真空容器2に導かれることになる。周知のように一般的な主ターボ分子ポンプ4は、軸受に潤滑油を用いており、ガスの流れの中にこの潤滑油が混入することは避けられず、パージガスを逆流させると混入した油分が真空容器2内に持ち込まれてしまうという問題がある。
【0008】
前述の通り真空容器2内表面は高度に清浄な状態に保たれており、極僅かな油分といえども一旦これが付着すると、該油分は蒸気圧が高いため簡単に除去できず、到達真空度の劣化を招くことになる。また、付着した油分を完全に取り除くためには、真空容器2を極高真空環境装置1から取り外して洗浄するか、または、別途の特別な洗浄装置を用いて行う必要が生じる等、多大な労力と費用を要することになる。
【0009】
また、油潤滑式ターボ分子ポンプの代わりに、オイルレスの磁気式軸受複合分子ポンプを使用した例が、例えば実公平7−20395号公報に記載されている。このポンプの場合は、パージガスの逆流によって油分を真空容器内に持ち込むことはないが、機械としての精密度が高いため、パージガスを逆流させることによって、回転体であるブレードのオフセットの狂いによる性能劣化等、ポンプ自身の障害が懸念される。
【0010】
いずれにしても、主排気装置の主ターボ分子ポンプ4背圧側から、ポンプを逆流させるようなパージガス導入方法は、真空容器の汚染防止の観点から好ましくなく、特に極高真空環境装置のように僅かの油分でも性能劣化を招くものにあってはなおさらである。
【0011】
図6は、排気ポンプ潤滑油の逆流による真空容器内汚染を防止した従来の極高真空環境装置を例示するものである。この極高真空環境装置14は、パージ経路の接続位置を除いて、その他の構成は前記図5に示した極高真空環境装置1と同じであり、同一構成要素には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0012】
この装置14において、減圧弁9と超高真空弁10aが設けられたパージ経路11aは、真空容器2に接続されている。したがってパージ用ガスボンベ8からのパージガスは、直接真空容器2に導入されるので、パージガス導入時に、図5に示したような主排気装置の主ターボ分子ポンプ4の油分を真空容器2に持ち込みこれを汚染させることはない。
【0013】
パージガスは、ボンベ等の容器に充填されたものを用いるのが一般的であり、その充填圧力は大気圧以上、例えば15MPaである。パージガスを真空容器2に導入するパージ操作に当たっては、減圧弁9で大気圧近く、例えば100hPa程度まで減圧するが、これを大気圧以下(真空状態)まで減圧することはしない。これは、大気圧以下まで減圧すると、パージ経路11aのどこかにリークが発生したような場合、そのリーク箇所から外気が侵入し真空容器2を汚染することになるからである。
【0014】
したがってパージ操作時は、パージ経路11aに設けられた超高真空弁10aの一次側、即ち超高真空弁10aと減圧弁9間のパージ経路11aは大気圧力以上であり、一方超高真空弁10aの2次側となる真空容器2側は極高真空状態であるので、超高真空弁10aは、その出入口の間で大気圧(0.1MPa)以上の圧力差が発生することになる。
【0015】
この例のように真空容器2に直接接続される超高真空弁10aの構造は、グランド部は前記図5に示した高真空弁10と同じように金属ベローであるが、シール部はゴムに替え金属を使用した、いわゆるメタルタッチ構造のものが用いられる。これはゴムシールのものに比べ脱ガスが少なく、且つ高温のベーキングに耐えるようにするためである。メタルタッチ構造の弁は、そのシール機構が繊細で調整も微妙であるので、弁の出入口に大きな圧力差を与えると圧力差に起因する歪や金属疲労が生じ、リークの原因となりやすい。前述の如く、極高真空環境は僅かなリークがあっても達成できないので、このようなメタルタッチの弁の出入口に圧力差を生じさせるようなパージガス導入方法は好ましくない。
【0016】
また、上記した図5、図6の従来例においては、真空容器2を大気圧の状態から真空排気する場合は、大気圧状態での水蒸気等の不純物を含んだガス(生ガス)が主ターボ分子ポンプ4を通過することになる。極高真空用ターボ分子ポンプは、ブレード等に脱ガス低減処理を施しているものがあるが、生ガスとの接触によりその効果が失われることがあり、その結果極高真空装置全体の性能低下を招く可能性がある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、真空容器の効率的な排気操作ができるとともに、パージ操作に当たっては、真空容器を汚染することなく、且つ、リーク源を減少させることのできる極高真空環境装置を提供することを課題とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の極高真空環境装置は、真空排気用の吸気弁を有する真空容器と、この真空容器の前記吸気弁に接続され、該真空容器を真空排気して極高真空を発生させる主排気ポンプと、その主排気ポンプに接続される補助ポンプからなる主排気装置と、前記真空容器を大気圧に戻すパージ経路を有する極高真空環境装置において、
前記パージ経路に第1仕切弁と、該第1仕切弁の上流側に第2仕切弁を設けるとともに、前記第1仕切弁と第2仕切弁の間のパージ経路から分岐し、第3仕切弁を有する排気経路を、前記主排気装置の前記主排気ポンプと前記補助ポンプとの間に接続して設けたことを特徴としている。
【0019】
本発明の極高真空環境装置において、前記真空容器と前記吸気弁との間に管路を設けるとともに、該管路に前記パージ経路を接続しても良い。また、前記主排気装置とは別の補助排気装置を設けるとともに、前記第3仕切弁を有する排気経路を該補助排気装置に接続しても良い。さらに、前記第2仕切弁の上流側のパージ経路に、低温トラップを設けた構成としても良い。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を適用した極高真空環境装置の設備構成の第一形態例を示す図である。なお、前記図5に示した従来例と同一要素のものには同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0023】
この極高真空環境装置20は、真空容器2と、該真空容器2に付属する吸気弁3と、主ターボ分子ポンプ4、背圧側ターボ分子ポンプ5、油回転ポンプ6を直列に接続して構成される主排気装置7と、パージ用ガスボンベ8と、該ガスボンベ8からのパージガスを真空容器2に導入するパージ経路21と、該パージ経路21から分岐して主排気装置7に接続される排気経路25とから構成されている。また、真空容器2および主ターボ分子ポンプ4と背圧側ターボ分子ポンプ5の中間経路には、真空度を測定する真空計12,13がそれぞれ設けられている。
【0024】
前記パージ経路21には、減圧弁22と、高真空弁23と、超高真空弁24が設けられている。また、前記排気経路25には、高真空弁26が設けられている。前記パージ経路21に設けられた超高真空弁24は、真空容器2に対して第1仕切弁、同じく高真空弁23は第2仕切弁、また、排気経路25に設けられた高真空弁26は第3仕切弁となっている。
【0025】
上記の如く構成された極高真空環境装置20を用いた極高真空形成方法(真空排気及びパージ運転)について以下に説明する。
先ず大気圧状態から行う真空排気運転の初期は、吸気弁3、第2仕切弁である高真空弁23を閉とし、第1仕切弁および第3仕切弁である超高真空弁24および高真空弁26を開とし、主排気装置7の油回転ポンプ6を起動する。この操作により、真空容器2内のガスは、第1仕切弁24、第3仕切弁26、排気経路25、背圧側ターボ分子ポンプ5を経由して、油回転ポンプ6で吸引され大気に排気される。したがって排気初期時、真空容器2の真空度が低真空時には、排気ガスは主ターボ分子ポンプ4をバイパスし、生ガスが主ターボ分子ポンプ4に接触しないので、ブレードなどの脱ガス処理効果を損ねることがなく、稼動後、極高真空環境装置20全体の性能低下(脱ガスによる真空度劣化)を招くことが無くなる。
【0026】
油回転ポンプ6の運転を継続すると、排気系の真空度が次第に高くなり、真空計13で背圧側ターボ分子ポンプ5を起動できる真空度に達したことを確認して、背圧側ターボ分子ポンプ5を起動する。この操作で排気系の真空度がさらに高くなり、真空計12で主ターボ分子ポンプ4を起動できる真空度に達したことを確認して、超高真空弁24(第1仕切弁)、高真空弁26(第3仕切弁)を閉、吸気弁3を開として、主ターボ分子ポンプ4を起動し所定の極高真空領域までの真空排気を行い、最後に吸気弁3を閉、主ターボ分子ポンプ4を停止して、極高真空環境装置20は定常運転状態となる。
【0027】
この定常運転状態でのパージ経路に注目すると、真空容器2は、該真空容器2に対して第1仕切弁である超高真空弁24、第2仕切弁である高真空弁23、第3仕切弁である高真空弁26により遮断されており、これら3個の仕切弁に囲まれたパージ経路21cは、前記した真空排気操作で背圧側ターボ分子ポンプ5により超高真空に排気されているため、第1の仕切弁である超高真空弁24の出入口の圧力差は極小さなものとなる。
【0028】
一例として、真空容器2内の真空度が1×10-10Pa、パージ経路21cの真空度が1×10-5Paの場合を想定すると、第1仕切弁である超高真空弁24の出入口の圧力差は1×10-5Paと微小となり、この微小な圧力差に起因する歪や金属疲労は無視し得る程度のものであり、第1仕切弁である超高真空弁24の出入口の圧力差に起因して生じる、歪などによるリークを回避することができる。
【0029】
さらに、前記3個の仕切弁に囲まれたパージ経路21cは、高真空若しくは超高真空に保持されているため、仮に第1仕切弁である超高真空弁24に微小のリークが発生したとしても、パージ経路21から真空容器2に漏洩するリーク量は、従来のようにパージ経路21cが大気圧以上である場合と比較して、無視できる程度のリーク量に抑えることができる。
【0030】
また、前記3個の仕切弁に囲まれたパージ経路21cを排気するのは、背圧側ターボ分子ポンプ5であり、これは主ターボ分子ポンプ4の背圧側である。したがって、パージ経路21cから排気経路25を付加したことにより、極高真空環境装置20の性能を直接左右する主ターボ分子ポンプ4の性能には、一切影響を与えることがないので、極高真空環境装置20全体の性能低下を防止することができる。
【0031】
次に、本形態例のパージ運転の方法について説明する。
先ず、パージ経路の減圧弁22が適切な圧力に調整できることを確認後、第3仕切弁である高真空弁26を閉、第1仕切弁である超高真空弁24および吸気弁3を開とし、その後第2の仕切弁である高真空弁23を開とする。この操作により、パージガスは、真空容器2、主ターボ分子ポンプ4、背圧側ターボ分子ポンプ5、油回転ポンプ6の順に導入される。したがって、従来例のように主ターボ分子ポンプ4を逆流させることがないから、真空容器2に油分を持ち込むことなく、パージ運転をすることができる。
【0032】
なお、本形態例では、主排気装置7は、主ターボ分子ポンプ4、背圧側ターボ分子ポンプ5、油回転ポンプ6を直列に接続して構成した場合を示したが、所望の排気性能を有するものであれば、この構成に限定されるものではなく、例えば補助ポンプとしての背圧側ターボ分子ポンプ5と油回転ポンプ6は一体型とすることができる。
【0033】
また、本形態例の構成において、第3仕切弁である高真空弁26を介して排気する排気経路25は、補助ポンプである背圧側ターボ分子ポンプ5に接続したものを示したが、これに代えて、破線25aで示すように補助ポンプである油回転ポンプ6に接続することもできる。即ち、主排気装置7の補助ポンプの何れかまたは真空排気の真空度の高さにしたがって補助ポンプを切り替えて使用することもできる。
【0034】
図2は、本発明を適用した極高真空環境装置の設備構成の第二形態例を示す図である。なお、前記図1に示した第一形態例と同一要素のものには、同一符号、ないし関連符号(20番台を30番台にして)を付し、その詳細な説明は省略する。
【0035】
この極高真空環境装置30は、前記図1に示した構成の極高真空環境装置20の、真空容器2と吸気弁3の間に、真空容器接続弁37および管路38を付加して、パージ経路31を該管路38に接続して構成したものである。その他の構成は図1に示すものと同じである。
【0036】
付加された真空容器接続弁37および管路38は、何らかの理由で真空容器2にパージ経路を接続できない場合、例えば真空容器2に溶接でノズルを取り付けたくない場合や既設真空容器に本発明のパージ経路を追設する場合等に有効である。
【0037】
本形態例の排気運転およびパージ運転方法は、前述の図1における運転方法と基本的に同じである。
先ず大気圧状態から行う真空排気運転の初期は、吸気弁3および第2仕切弁である高真空弁33を閉とし、真空容器接続弁37、第1仕切弁および第3仕切弁である超高真空弁34、高真空弁36を開とし、主排気装置7の油回転ポンプ6を起動する。この操作により、真空容器2内のガスは、真空容器接続弁37、管路38、第1仕切弁34、第3仕切弁36、排気経路35、背圧側ターボ分子ポンプ5を経由して、油回転ポンプ6で吸引され、大気に排気される。
【0038】
油回転ポンプ6の運転を継続すると、排気系の真空度が次第に高くなり、真空計13で背圧側ターボ分子ポンプ5を起動できる真空度に達したことを確認して、背圧側ターボ分子ポンプを起動する。この操作で排気系の真空度がさらに高くなり、真空計12で主ターボ分子ポンプ4を起動できる真空度に達したことを確認して、超高真空弁34(第1仕切弁)、高真空弁36(第2仕切弁)を閉、主ターボ分子ポンプ4を起動し、吸気弁3を開として、所定の極高真空領域までの真空排気を行い、最後に真空容器接続弁37および吸気弁3を閉、主ターボ分子ポンプ4を停止して、極高真空環境装置20は定常運転状態となる。
【0039】
次に、本形態例のパージ運転の方法について説明する。
先ず、パージ経路の減圧弁32が適切な圧力に調整できることを確認後、第3仕切弁である高真空弁36を閉、真空容器接続弁37、吸気弁3、第1仕切弁である超高真空弁34を開とし、その後第2仕切弁である高真空弁33を開とする。この操作により、パージガスは、管路38、真空容器接続弁37を介して真空容器2に、また吸気弁3を介して主ターボ分子ポンプ4、背圧側ターボ分子ポンプ5、油回転ポンプ6の順に導入される。
【0040】
本形態例においても、排気初期時は生ガスが主ターボ分子ポンプに接触しないので、ブレードなどの脱ガス処理効果を損ねることがなく、また第1仕切弁である超高真空弁34の出入口の圧力差は極小にすることができリークを防止または極小にできる。さらにパージガスを主排気装置を逆流させないので、真空容器を油分で汚染させることもない等、上記第一形態例と同様な効果が得られる。
【0041】
図3は、本発明を適用した極高真空環境装置の設備構成の第三形態例を示す図である。なお、前記図1に示した第一形態例と同一要素のものには、同一符号、ないし関連符号(20番台を40番台にして)を付し、その詳細な説明は省略する。
【0042】
この極高真空環境装置40は、真空容器2に初期排気用およびパージガス導入経路41cの排気用として、主排気装置7とは別の補助排気装置49を設けて構成されている。
【0043】
先ず大気圧状態から行う真空排気運転の初期は、吸気弁3、第2および第3仕切弁である高真空弁43および46を閉、第1仕切弁である超高真空弁44を開として、補助排気装置49の油ポンプ48を起動し、その後第3仕切弁である高真空弁46を開とする。この操作により、真空容器2内のガスは、超高真空弁44(第1仕切弁)、高真空弁46(第3仕切弁)、補助排気装置49側の排気経路45、背圧側ターボ分子ポンプ47を経由して、油回転ポンプ48で吸引され大気に排気される。
【0044】
補助排気装置49側の油回転ポンプ48の運転を継続すると、補助排気経路45の真空度が次第に高くなり、該経路45に設けられた真空計50で背圧側ターボ分子ポンプ47を起動できる真空度に達したことを確認して、背圧側ターボ分子ポンプ47を起動する。この操作で真空容器2を含めた排気系の真空度がさらに高くなり、真空計12で主排気装置7の主ターボ分子ポンプ4を起動できる真空度に達したことを確認して、排気系を、補助排気装置49から主排気装置7に切り替える。即ち、主排気装置7の油ポンプ6、背圧側ターボ分子ポンプ5を起動し、超高真空弁44(第1仕切弁)、高真空弁46(第3仕切弁)を閉、吸気弁3を開として、主ターボ分子ポンプ4を起動し所定の極高真空領域までの真空排気を行い、最後に吸気弁3を閉、主ターボ分子ポンプ4を停止して、極高真空環境装置40は定常運転状態となる。
【0045】
次に、本形態例のパージ運転の方法について説明する。
先ず、パージ経路の減圧弁42が適切な圧力に調整できることを確認後、吸気弁3、第3仕切弁である高真空弁46を閉、第1仕切弁であり超高真空弁44を開とし、その後第2仕切弁である高真空弁43を開とする。この操作によりパージガスは、パージ経路41、第1仕切弁44を介して真空容器2に導入される。
【0046】
本形態例においても、排気初期時は生ガスが主ターボ分子ポンプに接触しないので、ブレードなどの脱ガス処理効果を損ねることがなく、また第1仕切弁である超高真空弁34の出入口の圧力差は極小にすることができリークを防止または極小にでき、さらに、パージガスを主排気装置を逆流させないので、真空容器を油分で汚染させることもない等、上記第一形態例と同様な効果が得られる。
【0047】
図4は、本発明の極高真空環境装置の第四形態例を示すものである。この装置は上記第一形態例のパージガス導入経路21に、液体窒素を用いた低温トラップ60を設けた構成になっている。
【0048】
この低温トラップ60は、液体窒素溜容器61、この容器61に液体窒素LNを供給する経路62、気化したLNを排出する経路63、液体窒素溜容器61内を加圧するための加圧経路64およびパージガスを液体窒素溜容器61の液体窒素中に導入する経路65から構成され、それぞれの経路には必要に応じ弁が設けられている。
【0049】
この低温トラップ60は、パージガスボンベ8から供給されるパージガス中に微量の水分等の不純物を含んでいる場合に、パージガス導入経路21bの弁65aを閉、経路65の弁65bを開にして、パージガスを液体窒素溜容器61に導き、該容器中の液体窒素と熱交換させ冷却することにより、これらの不純物を凝固して捕捉するために設けたものである。捕捉された不純物は主排気装置7で系外に放出する。
【0050】
加圧経路64は、液体窒素溜容器61に導入されたパージガス自体が液化しないように、減圧弁22前のパージガスを弁64aで圧力調節して液体窒素溜容器61の上部空間に供給加圧し、冷却温度を調節するものである。
【0051】
上記不純物は、パージガスの種類によって異なるが、例えばパージガスが窒素ガスである場合は、上記微量の水分の他に、微量の炭酸ガスや酸素などが含まれる。
【0052】
また、冷却源としては、パージガス中の不純物を冷却して凝固できるものなら何でもよく、液体窒素に限定されるものではない。また、本例では、低温トラップを第一形態例に適用した場合を示したが、前記した第二、第三形態例に適用できることは勿論であり、さらに、低温トラップの構成も一例を示したものでありこれに限定されるものではない。
【0053】
このようにして、微量の不純物を除去したガスをパージガスとして用いることにより、真空容器2内に不純物を持ち込むのを防止することができるので、真空排気時における排気時間の短縮や所望の到達真空度達成を容易にすることができる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、真空容器に接続された主排気装置とパージ経路のうち、該パージ経路に第1仕切弁と第2仕切弁とを設けるとともに、該第1仕切弁と第2仕切弁との間に、該パージ経路から分岐した第3仕切弁を有する排気管路を設け、前記真空容器の到達真空度が低い状態の排気初期時には、前記第1仕切弁と排気管路の第3仕切弁を通して真空容器の排気を行い、前記真空容器の到達真空度が所定値以上に達した後、排気経路を切り替え、前記主排気装置で真空容器の排気を行うことによって、3つの仕切弁に囲まれたパージ経路が真空排気され、真空容器側の第1仕切弁の出入口の圧力差が極小となる。したがって、第1仕切弁の出入口の圧力差に起因して生じる、歪などによるリークを回避することができ、従来型の同種装置に比べ、排気効率と到達真空度が改善され、極高真空環境装置の性能向上を達成することができる。
またパージ経路を真空容器に接続して配設したことによって、パージ運転時にパージガスが主排気装置を逆流して真空容器に導入されることがない、したがって真空容器内に油分等の不純物を持ち込むことなくパージ運転をすることができるので、真空排気時における排気時間の短縮や到達真空度達成を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の極高真空環境装置の第一形態例を示す構成図。
【図2】 本発明の極高真空環境装置の第二形態例を示す構成図。
【図3】 本発明の極高真空環境装置の第三形態例を示す構成図。
【図4】 本発明の極高真空環境装置の第四形態例を示す構成図。
【図5】 従来の極高真空環境装置の一例を示す構成図。
【図6】 従来の極高真空環境装置の別な例を示す構成図。
【符号の説明】
2 真空容器
3 吸気弁
4 主ターボ分子ポンプ(主排気ポンプ)
6 油回転ポンプ(補助ポンプ)
7 主排気装置
20,30,40 極高真空環境装置
21,31,41 パージ経路
23,33,43 高真空弁(第2仕切弁)
24,34,44 超高真空弁(第1仕切弁)
25,35,45 排気経路
26,36,46 高真空弁(第3仕切弁)
Claims (4)
- 真空排気用の吸気弁を有する真空容器と、この真空容器の前記吸気弁に接続され、該真空容器を真空排気して極高真空を発生させる主排気ポンプと、その主排気ポンプに接続される補助ポンプからなる主排気装置と、前記真空容器を大気圧に戻すパージ経路を有する極高真空環境装置において、
前記パージ経路に第1仕切弁と、該第1仕切弁の上流側に第2仕切弁を設けるとともに、前記第1仕切弁と第2仕切弁の間のパージ経路から分岐し、第3仕切弁を有する排気経路を、前記主排気装置の前記主排気ポンプと前記補助ポンプとの間に接続して設けたことを特徴とする極高真空環境装置。 - 前記真空容器と前記吸気弁との間に管路を設けるとともに、該管路に前記パージ経路を接続したことを特徴とする請求項1記載の極高真空環境装置。
- 前記主排気装置とは別の補助排気装置を設けるとともに、前記第3仕切弁を有する排気経路を、該補助排気装置に接続したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の極高真空環境装置。
- 前記第2仕切弁の上流側のパージ経路に、低温トラップを設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の極高真空環境装置。
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