JP4433825B2 - 電磁鋼板用クロム酸系絶縁被膜処理液およびクロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板 - Google Patents

電磁鋼板用クロム酸系絶縁被膜処理液およびクロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、従来のクロム酸系絶縁被膜の塗布、焼付け温度よりも低温でクロムの還元反応が進行するため、低温での製造が可能な電磁鋼板用クロム酸系絶縁被膜処理液およびこのクロム酸系絶縁被膜処理液を塗布、焼付けて得た、歪取焼鈍後の外観が良好でかつ被膜特性にも優れたクロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板に関するものである。
電磁鋼板には、通常、電気絶縁性を確保するために絶縁被膜が施される。この絶縁被膜には、電気絶縁性以外にも、鉄心製造工程や最終製品で種々の特性が要求されるため、用途に応じて各種の被膜が用いられている。大別すると次の3種類である。(1) 半有機系被膜、(2) 無機系被膜、(3) 有機系被膜。
電磁鋼板は、通常、打ち抜いたのち、積層・固定されてモータや変圧器の鉄心に加工されるが、この時に発生する加工歪みを除去して磁気特性を改善させるために、 700℃以上の温度で歪取焼鈍を施される場合が多い。
このような歪取焼鈍を行う用途には、上述した(1) 半有機系被膜や(2) 無機系被膜が用いられている。 (1)と(2) の被膜の大きな違いは樹脂の有無であるが、樹脂の有無によって被膜特性のバランスに差異が生じるため、重視する特性に応じて (1)と(2) は使いわけられている。
(1) 半有機系被膜や(2) 無機系被膜には、クロム酸系、リン酸系、無機コロイド系など種々の主剤が用いられているが、中でもクロム酸系は各種特性に優れているため、広く用いられている。
但し、クロム酸系被膜を利用する場合、6価クロムは有害性が高いことから、製品中には6価クロムが含まれないように被膜形成時に3価クロムに還元することが要求される。このため、焼付け温度が製造時の重要な管理項目となっている。
この時の焼付け温度を低温化できれば生産性の向上につながる。
そこで、かような要求に応えるものとして、クロム酸にアルミニウム化合物を含有させると共に、アルカリ土類金属を一定量以下に抑制する方法が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2)。
この方法によれば、確かにクロム酸系被膜の焼付け温度の低温化が可能となり、高速塗布にも対応できるようになるため、生産性の向上や省エネルギーに有効に寄与する。
特開平9−291368号公報 特開平11−92958 号公報
しかしながら、上記した特許文献1や特許文献2に開示の方法を用いた場合、DXガス等の酸化が起こり得る雰囲気中で歪取焼鈍を行った場合には、表面が金色っぽい薄い色調となり、歪取焼鈍前の鋼板との色調差が小さいために、歪取焼鈍が行われたかどうかが判別し難いという問題があることが新たに判明した。
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、クロム酸系の絶縁被膜を施す場合に、低温での焼付けが可能な電磁鋼板用クロム酸系絶縁被膜処理液を提案することを目的とする。
また、本発明は、上記の処理液を用いることにより、DXガス等を使用して歪取焼鈍を施した場合であっても、鋼板表面の色調変化により、歪取焼鈍が行われたかどうかを的確に判別できる外観が得られるクロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板を提案することを目的とする。
さて、発明者らは、上記したクロム酸系被膜の低温焼付けとDXガス歪取焼鈍後の外観を両立させるために、被膜成分について種々の検討を重ねた結果、絶縁被膜処理液中に、周期表の IIIA,IVA, VIIA,VIII,IBおよびIIB族、中でもMn,Co,Ni,Cu,La,CeおよびNdのうちから選んだ1種または2種以上の金属を含む化合物を適量含有させることが有効であることの知見を得た。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)クロム酸(CrO3換算で):100 質量部に対して、Mn,Co,Ni,Cu,La,CeおよびNdのうちから選んだ1種または2種以上の金属を含む化合物を金属合計量換算で1〜30質量部、アルミニウム化合物をAl換算で30質量部以下、樹脂固形分を 150質量部以下および還元剤を5〜100 質量部含有することを特徴とする、低温焼付けが可能な電磁鋼板用クロム酸系絶縁被膜処理液。
(2)クロム酸(CrO3換算で):100 質量部に対して、Mn,Co,Ni,Cu,La,CeおよびNdのうちから選んだ1種または2種以上の金属を含む化合物を金属合計量換算で1〜30質量部、アルミニウム化合物をAl換算で30質量部以下、ボロン化合物をB換算で20質量部以下、樹脂固形分を 150質量部以下および還元剤を5〜100 質量部含有することを特徴とする、低温焼付けが可能な電磁鋼板用クロム酸系絶縁被膜処理液。
)前記金属として、Niを、クロム酸(CrO3換算で):100 質量部に対して、1質量部以上含有することを特徴とする、上記(1)または(2)記載の低温焼付けが可能な電磁鋼板用クロム酸系絶縁被膜処理液。
)上記(1)〜()のいずれかに記載の処理液を、鋼板の片面または両面に片面当たり:0.1 〜4.0 g/m2塗布し、焼付けたことを特徴とする、歪取焼鈍後の外観が良好なクロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板。
)Cr:52質量部に対して、Mn,Co,Ni,Cu,La,CeおよびNdのうちから選んだ1種または2種以上の金属を合計で1〜30質量部、Alを30質量部以下および樹脂固形分を 150質量部以下含む被膜を片面または両面に有することを特徴とする、歪取焼鈍後の外観が良好なクロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板。
)Cr:52質量部に対して、Mn,Co,Ni,Cu,La,CeおよびNdのうちから選んだ1種または2種以上の金属を合計で1〜30質量部、Alを30質量部以下、Bを20質量部以下および樹脂固形分を 150質量部以下含む被膜を片面または両面に有することを特徴とする、歪取焼鈍後外観が良好なクロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板。
)前記被膜の目付量が片面当たり: 0.1〜4.0 g/m2であることを特徴とする、上記()または()記載の歪取焼鈍後外観が良好なクロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板。
本発明によれば、クロム酸系絶縁被膜の低温焼付けが可能になると共に、歪取焼鈍後における鋼板の色調を適正に改善することができる。
また、本発明は、被膜成分のバランスにも留意しているので、絶縁被膜としての各種被膜特性にも優れている。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明では、対象とする電磁鋼板については特に制限はなく、従来公知の電磁鋼板いずれもが適用可能である。
本発明では、上記の電磁鋼板の表面に、クロム酸(CrO3換算で):100 質量部に対し、周期表の IIIA,IVA, VIIA,VIII,IBおよびIIB族のうち、特にMn,Co,Ni,Cu,La,CeおよびNdのうちから選んだ1種または2種以上の金属を含む化合物を金属合計量換算で1〜30質量部、アルミニウム化合物をAl換算で30質量部以下、樹脂固形分を 150質量部以下および還元剤を5〜100 質量部含有する絶縁被膜処理液を塗布、焼き付けてクロム酸系絶縁被膜を形成するのであるが、本発明における最大の特徴は、電磁鋼板の表面に塗布・焼き付ける絶縁被膜処理液の成分組成にある。
すなわち、本発明では、クロム酸(CrO3換算で):100 質量部に対して、Mn,Co,Ni,Cu,La,CeおよびNdのうちから選んだ1種または2種以上の金属を含む化合物を金属合計量換算で1〜30質量部配合する。
なお、被膜の状態では、上記の各金属は合計で、Cr:52質量部に対して1〜30質量部の配合割合となる。
上記の金属を含む化合物としては、水に可溶なものなら各種の形態が可能であり、例えば水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、クエン酸塩およびリン酸塩等が挙げられる。なお、塩化物、硝酸塩、硫酸塩は、耐食性が損なわれるため避けることが好ましい。
クロム以外の金属イオンを含まない場合、DXガス歪取焼鈍後の被膜は金色っぽい薄い色調となり、歪取焼鈍前の被膜との色調差が小さいため、歪取焼鈍が適正にされたかどうかを被膜の色調で判別することは難しい。
これに対して、例えば周期表のIA族およびIIA族の金属を添加した場合、歪取焼鈍後の色調は黒っぽくなって歪取焼鈍が適正になされたことが被膜の色調により判別できるようにはなるが、一方でクロムを溶出しなくなる適正焼付け温度が高温化するという問題がある。
一方、Alを添加した場合、クロムを溶出しなくなる適正焼付け温度は低下するものの、DXガス歪取焼鈍後の色調はクロム以外の金属イオンを含まない場合と全く同じで、歪取焼鈍が適正になされたどうかを判別することが難しい。
そこで、発明者らは、歪取焼鈍後における色調の変化およびクロムを溶出しなくなる適正焼付け温度の低温化を両立させるべく、各種の添加金属について検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
(a) 周期表の IIIA,IVA, VIIA,VIII,IBおよびIIB族に示される金属、特にMnやCo,Ni,Cu,La,Ce,Ndを配合しても、クロムを溶出しなくなる適正焼付け温度を低温に保つことができる。
(b) MnやCo,Ni,Cu,La,Ce,Ndを配合した場合、DXガス歪取焼鈍後の色調は歪取焼鈍前の色調よりも濃くなる傾向にある。
上記したMnやCo,Ni,Cu,La,Ce,Ndを配合した場合に色調が変化する理由は、明らかではないが、発明者らは、次のように考えている。
DXガス歪取焼鈍後の被膜の可視光領域の反射スペクトルを調査したところ、クロム酸以外の金属を含まない場合またはクロム酸にAlを含有させた場合は、紫から青にあたる波長域を選択吸収していることが分かった。このような場合、光の補色にあたる黄色が発現しているものと思われ、この色調は、薄い黄色っぽい色調の歪取焼鈍前の色調に酷似している。
これに対し、MnやCo,Ni,Cu,La,Ce,Ndを配合した場合、可視光領域のスペクトルの吸収範囲がクロム酸のみの場合より増加するため、各種の色調が発現したものと推定される。すなわち、クロムは遷移金属であり、遷移金属は光を選択吸収することが知られているが、その他の金属を共存させた場合には、電子状態が変化し、選択吸収域に変化が生じるために、色調が変化したものと推定される。
これらMn,Co,Ni,Cu,La,Ce,Ndを含む化合物の配合量は、クロム酸(CrO3換算で):100 質量部に対して、金属合計量換算で1〜30質量部とする必要がある。というのは、配合量が1質量部より少ないとDXガス歪取焼鈍後に色調変化がほとんど起こらず、一方30質量部を超えると色調変化はほぼ飽和するからである。
ここに、Mn,Co,Ni,Cu,La,CeおよびNdの中でもNiは、特に色調変化が大きく、また被膜特性を劣化させる悪影響もないので最適である。
従って、上記の金属としては、少なくともNiを含有させることが有利であり、その際の配合割合は、クロム酸(CrO3換算で):100 質量部に対して、1質量部以上とすることが好ましい。
また、本発明では、クロム酸(CrO3換算で):100 質量部に対して、アルミニウム化合物をAl換算で30質量部以下で配合する。なお、被膜の状態では、Cr:52質量部に対してAl:30質量部以下となる。かようなアルミニウム含有化合物としては、水に可溶なものなら各種の形態が可能であり、例えば水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、クエン酸塩およびリン酸塩等が挙げられる。塩化物、硝酸塩、硫酸塩は耐食性を損なうため避けることが好ましいのは、MnやCo,Ni,Cu,La,Ce,Ndの場合と同じである。
ここに、Alは、歪取焼鈍後のクロム酸の色調を変化させることがない成分であるが、低温焼付け性を阻害せず、またTIG 溶接性を改善する成分であるので、TIG 溶接性が重視される場合には特に好適である。しかながら、配合量が30質量部を超えると TIG溶接性の改善効果は飽和に達するので、30質量部以下とする。なお、TIG 溶接性が必要とされない場合には、Alは添加しなくてもよい。但し、金属イオン(カチオン)が存在する方がクロム酸系液のpHを下げることができ、塗液の安定性が高くなるため、上記した IIIA〜IIB金属量が少ない時は添加することが有効である。
なお、周期表のIA族およびIIA族の金属であるアルカリ金属やアルカリ土類金属は、塩の形態によっては低温焼付け性を阻害するため、本発明では含有させないものとした。しかしながら、これらの金属の混入量が、クロム酸(CrO3換算で):100 質量部に対して、金属合計量換算で1質量部以下であれば許容できる。
また、打抜性を重視しない場合には樹脂を添加しなくてもよいが、打抜性を重視する場合には、打抜性を確保するために樹脂を配合するのが好ましい。樹脂を配合する場合は、クロム酸(CrO3換算で):100 質量部に対して、樹脂固形分で 150質量部以下とする。というのは、樹脂固形分が150 質量部を超えてもそれ以上の打抜性の向上は望めず、むしろTIG 溶接性が劣化する傾向にあるからである。打抜性とTIG 溶接性を両立させる場合の好適配合量は、クロム酸(CrO3換算で):100 質量部に対して、樹脂固形分:10〜100 質量部である。
ここに、用いる樹脂の種類は、特に制限されることはなく、アクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂、フェノール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂および酢酸ビニル樹脂等の各種の樹脂の単独物、共重合物、混合物が使用可能である。
さらに、クロムの還元反応を促進してより一層の低温焼付けを可能とするために、クロム酸(CrO3換算で):100 質量部に対して、還元剤を5〜100 質量部含有させる。というのは、還元剤の配合割合が5質量部未満では還元温度の低温化効果がほとんどなく、一方100 質量部を超えると、還元温度の低温化効果は飽和に達し、むしろ被膜中に残存した場合にはTIG 溶接性の劣化を招くからである。
ここに、還元剤の種類は、特に制限されることはなく、有機系、無機系ともに利用可能であるが、エチレングリコール、ショ糖およびグリセリン等の多価アルコール類は液の安定性を損なうことがないので、特に好適に適用できる。しかしながら、前述したとおり、これ以外の還元剤でも液の安定性を損なわずに還元反応を促進できるものであれば適用可能なのは言うまでもない。
またさらに、歪取焼鈍後の密着性を重視する用途では、クロム酸(CrO3換算で):100質量部に対して、ボロン化合物をB換算で20質量部以下で含有させることは有利である。特に好ましい配合割合はB換算で2〜10質量部である。
なお、被膜の状態では、Cr:52質量部に対してB:20質量部以下となる。
B含有化合物としては、水に可溶なものなら各種の形態が可能であり、ホウ酸およびホウ酸塩等が挙げられる。
なお、本発明では、その他にも、耐食性をさらに向上させるために、各種の防錆剤を添加してもよく、また密着性を向上させるためにリン酸を添加してもよい。
上記した絶縁被膜処理液を鋼板の片面または両面に塗布して、絶縁被膜を形成するが、かかる絶縁被膜処理液の塗布量は、鋼板片面当たり: 0.1〜4.0 g/m2程度(乾燥後)とするのが好適であり、この範囲で塗布することによって、歪取焼鈍後に外観が良好なクロム酸系絶縁被膜を得ることができる。
なお、絶縁被膜の目付量(塗布量)は、アルカリ剥離による質量測定法で測定することができる。
上記のようにして、電磁鋼板の表面にクロム酸系絶縁被膜を被成するのであるが、本発明では、該被膜を地鉄が混入しないようにかき取り、N2中にて20℃/sの昇温速度条件で熱重量分析を行った場合に、500℃までの重量減少割合が70%以下である被膜とすることが好ましい。特に好ましくは40%以下である。
500 ℃までに重量減少する物質は、主として樹脂と有機還元剤の残留分であり、低分子量のガスであるため、少ない方がTIG 溶接性には有利である。この点、70%超であると、TIG 溶接性が劣化するだけでなく、歪取焼純後の被膜残分が少ないため、歪取焼鈍後の特性(耐スティキング性や耐食性等)が劣化するおそれがある。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
Si:0.35mass%およびAl:0.003 mass%を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる電磁鋼板(0.5 mm厚)の表面に、クロム酸(CrO3換算で):100 質量部に対し、表1に示す種々の金属化合物(酢酸塩、炭酸塩:金属合計量換算)、Al(OH)3 (Al換算)、H3BO3 (B換算)、樹脂および種々の還元剤を表1に示す割合で配合した組成になる絶縁被膜処理液を、塗布し、 200℃の到達板温で焼付けてクロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板を作製した。
かくして得られた各供試材について、クロム溶出試験を行った。また、耐食性、密着性、 TIG溶接性、耐溶剤性および打抜性について調査した。
さらに、CO:10%、H2:10%、CO2 :5%、残部:N2で露点が15℃の雰囲気中にて 800℃, 2hの条件で歪取焼純を行った後の外観を調査した。
その他、耐スティキング性、歪取焼純後耐食性および密着性についても調査を行った。
得られた結果を表2に示す。
なお、各特性の評価は次のようにして行った。
クロム溶出量
沸騰水浸漬10分後のCr溶出量(100cm2当たり)で評価した。
◎:10μg以下
○:10μg超〜20μg
△:20μg超〜50μg
×:50μg超
製品板耐食性
JIS Z 2371の規定に準拠する塩水噴霧試験(35℃)を行い、5h後の赤錆面積率で評価した。
◎:0〜15%
○:15%超〜30%
△:30%超〜50%
×:50%超〜100 %
密着性
20mmφで 180°曲げ戻し試験後の被膜剥離率で評価した。
◎:剥離なし
○:剥離20%以下
△:剥離20%超、剥離40%以下
×:剥離40%超〜全面剥離
TIG 溶接性
下記の条件で溶接を行い、ブローホールの生じない最大溶接速度で評価した。
・電極:Th−W 2.6mmφ
・加圧力:9.8 MPa
・電流: 120A
・シールドガス:Ar(6リットル/min)
◎:800mm/分以上
○:600mm/分以上〜800mm/分未満
△:400mm/分以上〜600mm/分未満
×:400mm/分未満
耐溶剤性
沸騰キシレン中に6時間浸漬後の被膜減量(1m2当たり))で評価した。
◎:0.02g以下
○:0.02g超〜0.05g
△:0.05g超〜0.1 g
×:0.1 g超
打抜性
15mmφスチールダイスにおいて、かえり高さが50μmに達するまでの打ち抜き数で評価した。
◎:100 万回超
○:75万回超、100 万回以下
△:50万回超、75万回以下
×:50万回以下
歪取焼鈍後の外観
金属含有化合物を配合しない場合の色調を×とし、金属含有化合物としてMgを配合した場合を◎として相対評価を行った。
◎:歪取焼鈍前後の色調差大
○:歪取焼鈍前後の色調差中
△:歪取焼鈍前後の色調差小
×:歪取焼純前後の色調差ほとんどなし
耐スティキング性
50mm角の鋼板10枚を重ねて荷重(200g/cm2)をかけながら窒素雰囲気中にて 750℃, 2h焼鈍したのち、鋼板上に分銅:500gを落下させ、5分割するときの落下高さで評価した。
◎:10cm以下
○:10cm超〜15cm
△:15cm超〜30cm
×:30cm超
歪取焼鈍後耐食性
恒温恒湿試験(50℃、相対湿度:80%)による14日後の赤錆面積率で評価した。
◎:0〜10%
○:10%超〜20%
△:20%超〜30%
×:30%超〜100 %
Figure 0004433825
Figure 0004433825
表2から明らかなように、本発明に従う絶縁被膜処理液を用いて作製された絶縁被膜付き電磁鋼板はいずれも、200 ℃という低温の焼付けでも、クロムの溶出がなく、また耐食性、密着性、TIG 溶接性、耐溶剤性および打抜性に優れ、さらに歪取焼鈍後における色調の変化が大きく、しかも耐スティキング性および歪取焼鈍後耐食性にも優れている。
これに対し、比較例1〜3はいずれも絶縁被膜処理液中に配合されたCr以外の金属が、IA〜IIA族のアルカリ金属やアルカリ土類金属であるため、クロムの溶出が著しかった。また、比較例4は、Niの配合量が適正範囲に満たないため、歪取焼鈍後の外観に劣っていた。

Claims (7)

  1. クロム酸(CrO3換算で):100 質量部に対して、Mn,Co,Ni,Cu,La,CeおよびNdのうちから選んだ1種または2種以上の金属を含む化合物を金属合計量換算で1〜30質量部、アルミニウム化合物をAl換算で30質量部以下、樹脂固形分を 150質量部以下および還元剤を5〜100 質量部含有することを特徴とする、低温焼付けが可能な電磁鋼板用クロム酸系絶縁被膜処理液。
  2. クロム酸(CrO3換算で):100 質量部に対して、Mn,Co,Ni,Cu,La,CeおよびNdのうちから選んだ1種または2種以上の金属を含む化合物を金属合計量換算で1〜30質量部、アルミニウム化合物をAl換算で30質量部以下、ボロン化合物をB換算で20質量部以下、樹脂固形分を 150質量部以下および還元剤を5〜100質量部含有す ることを特徴とする、低温焼付けが可能な電磁鋼板用クロム酸系絶縁被膜処理液。
  3. 記金属として、Niを、クロム酸(CrO3換算で):100 質量部に対して、1質量部以上含有することを特徴とする、請求項1または2記載の低温焼付けが可能な電磁鋼板用クロム酸系絶縁被膜処理液。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の処理液を、鋼板の片面または両面に片面当たり:0.1 〜4.0 g/m2塗布し、焼付けたことを特徴とする、歪取焼鈍後の外観が良好なクロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板。
  5. Cr:52質量部に対して、Mn,Co,Ni,Cu,La,CeおよびNdのうちから選んだ1種または2種以上の金属を合計で1〜30質量部、Alを30質量部以下および樹脂固形分を 150質量部以下含む被膜を片面または両面に有することを特徴とする、歪取焼鈍後の外観が良好なクロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板。
  6. Cr:52質量部に対して、Mn,Co,Ni,Cu,La,CeおよびNdのうちから選んだ1種または2種以上の金属を合計で1〜30質量部、Alを30質量部以下、Bを20質量部以下および樹脂固形分を 150質量部以下含む被膜を片面または両面に有することを特徴とする、歪取焼鈍後外観が良好なクロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板。
  7. 前記被膜の目付量が片面当たり:0.1〜4.0 g/m2であることを特徴とする、請求項5または6記載の歪取焼鈍後外観が良好なクロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板。
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