JP4228944B2 - 低温焼付けが可能で保管安定性に優れる電磁鋼板用クロム酸系絶縁被膜処理液およびクロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板 - Google Patents

低温焼付けが可能で保管安定性に優れる電磁鋼板用クロム酸系絶縁被膜処理液およびクロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、従来のクロム酸系絶縁被膜の塗布、焼付け温度よりも低温でクロムの還元反応を進行させ得ることから、低温での製造が可能で、しかも塗液の保管安定性に優れる電磁鋼板用クロム酸系絶縁被膜処理液およびこのクロム酸系絶縁被膜処理液を塗布、焼付けて得たクロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板に関するものである。
電磁鋼板には、通常、電気絶縁性を確保するために絶縁被膜が施される。この絶縁被膜には、電気絶縁性以外にも、鉄心製造工程や最終製品で種々の特性が要求されるため、用途に応じて各種の被膜が用いられている。大別すると次の3種類である。(1) 半有機系被膜、(2) 無機系被膜、(3) 有機系被膜。
電磁鋼板は、通常、打ち抜いたのち、積層・固定されてモータや変圧器の鉄心に加工されるが、この時に発生する加工歪みを除去して磁気特性を改善させるために、 700℃以上の温度で歪取焼鈍を施される場合が多い。
このような歪取焼鈍を行う用途には、上述した(1) 半有機系被膜や(2) 無機系被膜が用いられている。 (1)と(2) の被膜の大きな違いは樹脂の有無であるが、樹脂の有無によって被膜特性のバランスに差異が生じるため、重視する特性に応じて (1)と(2) は使いわけられている。
(1) 半有機系被膜や(2) 無機系被膜には、クロム酸系、リン酸系、無機コロイド系など種々の主剤が用いられているが、中でもクロム酸系は各種特性に優れているため、広く用いられている。
但し、クロム酸系被膜を利用する場合、6価クロムは有害性が高いことから、製品中には6価クロムが含まれないように被膜形成時に3価クロムに還元することが要求される。このため、焼付け温度が製造時の重要な管理項目となっている。
この時の焼付け温度を低温化できれば生産性の向上につながる。
そこで、かような要求に応えるものとして、クロム酸にアルミニウム化合物を含有させると共に、アルカリ土類金属を一定量以下に抑制する方法が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2)。
この方法によれば、確かにクロム酸系被膜の焼付け温度の低温化が可能となり、高速塗布にも対応できるようになるため、生産性の向上および省エネルギーに有効に寄与する。
特開平9−291368号公報 特開平11−92958 号公報
しかしながら、上記した特許文献1や特許文献2に開示の方法を用いた場合、保管中の塗液内でもクロムの6価→3価の還元反応が進行し、ゲル化するため、塗液を保管して再利用するということが困難であり、廃液処理を迅速に行うか、また廃液を保管する場合には水希釈して還元反応を遅らせる必要があるというところに問題を残していた。
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、クロム酸系絶縁被膜の低温焼付けと塗液の保管安定性を両立させた電磁鋼板用クロム酸系絶縁被膜処理液を、この処理液を用いて得られるクロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板と共に提案することを目的とする。
さて、発明者らは、クロム酸系被膜の低温焼付けと塗液の保管安定性を両立させるために、被膜成分について種々検討を重ねた結果、
a)低温焼付けを達成するためには、クロム酸系被膜中に周期表のIIIA、IVA、VIIA、VIII族のうちから選んだ1種または2種以上の金属を含む化合物、あるいはさらにAlを含む化合物を適量含有させることが有効である、
b)また、塗液中に、カルボン酸またはカルボン酸塩を共存させると塗液の保管安定性が格段に向上する
ことの知見を得た。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)クロム酸(CrO3換算で):100重量部に対して、周期表のIIIA、IVA、VIIA、VIII族のうちから選んだ1種または2種以上の金属を含む化合物を金属合計量換算で3〜60重量部、樹脂固形分を150重量部以下、還元剤を5〜100重量部およびカルボン酸またはカルボン酸塩をCOOH換算で5〜100重量部含有することを特徴とする、低温焼付けが可能で保管安定性に優れる電磁鋼板用クロム酸系絶縁被膜処理液。
(2)クロム酸(CrO3換算で):100重量部に対して、周期表のIIIA、IVA、VIIA、VIII族のうちから選んだ1種または2種以上の金属を含む化合物を金属合計量換算で3〜60重量部、ボロン化合物をB換算で20重量部以下、樹脂固形分を150重量部以下、還元剤を5〜100重量部およびカルボン酸またはカルボン酸塩をCOOH換算で5〜100重量部含有することを特徴とする、低温焼付けが可能で保管安定性に優れる電磁鋼板用クロム酸系絶縁被膜処理液。
(3)上記(1)または(2)において、金属合計量換算で3〜60重量部を占める金属を含む化合物が、周期表のIIIA、IVA、VIIA、VIII族のうちから選んだ1種または2種以上の金属を含む化合物とAlを含む化合物とからなることを特徴とする、低温焼付けが可能で保管安定性に優れる電磁鋼板用クロム酸系絶縁被膜処理液。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の処理液を、鋼板の片面または両面に片面当たり:0.1〜4.0g/m2 (乾燥後)塗布し、焼付けたことを特徴とする、クロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板。
)鋼板の片面または両面に、Cr:52重量部に対して、周期表のIIIA、IVA、VIIA、VIII族のうちから選んだ1種または2種以上の金属を合計で3〜60重量部および樹脂固形分を150重量部以下含む被膜を有することを特徴とする、クロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板。
)鋼板の片面または両面に、Cr:52重量部に対して、周期表のIIIA、IVA、VIIA、VIII族のうちから選んだ1種または2種以上の金属を合計で3〜60重量部、Bを20重量部以下および樹脂固形分を150重量部以下含む被膜を有することを特徴とする、クロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板。
(7)上記(5)または(6)において、合計で3〜60重量部を占める金属が、周期表のIIIA、IVA、VIIA、VIII族のうちから選んだ1種または2種以上の金属とAlとからなることを特徴とする、クロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板。
)前記被膜の目付量が片面当たり:0.1〜4.0g/m2であることを特徴とする、上記(5)〜(7)のいずれかに記載のクロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板。
本発明によれば、クロム酸系絶縁被膜の低温焼付けが可能なだけでなく、塗液の保管安定性にも優れた電磁鋼板用クロム酸系絶縁被膜処理液を得ることができる。
また、本発明では、被膜成分のバランスにも留意しているので、絶縁被膜としての各種被膜性能にも優れている。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明では、対象とする電磁鋼板については特に制限はなく、従来公知の電磁鋼板いずれもが適用可能である。
本発明では、上記の電磁鋼板の表面に、クロム酸(CrO3換算で):100 重量部に対し、周期表のIIIA、IVA、VIIA、VIII族のうちから選んだ1種または2種以上の金属を含む化合物、あるいはさらにAlを含む化合物を金属合計量換算で3〜60重量部、樹脂固形分を150重量部以下、還元剤を5〜100重量部およびカルボン酸またはカルボン酸塩をCOOH換算で5〜100重量部含有し、さらに必要に応じてボロン化合物をB換算で20重量部以下含有する絶縁被膜処理液を、塗布、焼付けてクロム酸系絶縁被膜を形成するのであるが、本発明における最大の特徴は、電磁鋼板の表面に塗布・焼付ける絶縁被膜処理液の成分組成にある。
すなわち、本発明では、クロム酸(CrO3換算で):100 重量部に対して、周期表のIII A、IVA、VIIA、VIII族のうちから選んだ1種または2種以上の金属を含む化合物、あるいはさらにAlを含む化合物を金属合計量換算で3〜60重量部配合する。
ここに、上記金属の配合量が3重量部より少ないと遊離クロム酸が多く、樹脂の安定性が劣化し、一方60重量部を超えると耐食性が劣化傾向となる。
なお、被膜の状態では、上記の各金属は合計で、Cr:52重量部に対して3〜60重量部の配合割合となる。
ここに、周期表でIIIA、IVA、VIIA、VIII族に属する元素であれば、種々の元素が利用できるが、例えば、Mn、Co、Ni、Zr、LaおよびCe等が極めて有利に適合する。また、Alを併用することもできる。
上記の金属を含む化合物としては、水に可溶なものなら各種の形態が可能であり、例えば水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、クエン酸塩およびリン酸塩等が挙げられる。なお、塩化物、硝酸塩、硫酸塩は、耐食性が損なわれるため避けることが好ましく、これらのアニオンは、不純物レベルでも低減することが好ましい。
これに対して、周期表のIA〜IIA族の金属を配合した場合、被膜性能は問題ないものの、クロム溶出をしなくなる適正焼付け温度が高温化し、低温焼付け性が大きく阻害されるという問題が生じる。
クロム酸に他の金属を共存させたときのクロム還元反応は、周期表のIA>IIA>(周期表のIIIA、IVA、VIIA、VIII、他金属の共存なし)の順で高温となり、また同一族の中では、原子番号の小さいものほど高温になることが分かった。
この理由としては、クロムとの結合力の強さの違いがあるものと考えられる。
すなわち、このような差異は、結合に関与する最外殻の電子状態の差異(s、p、d) に起因するものと推測される。つまり、IA、IIA族では、結合が強固なために、還元反応で結合状態を変化させるのに大きなエネルギーを必要とするものと考えられる。これに対し、周期表のIIIA、IVA、VIIA、VIII族では、クロム酸への他金属の結合がないときと同じ程度の小さなエネルギーで済むものと考えられる。
ところで、周期表のIA〜IIA族の金属を添加したクロム酸系塗液は、加熱のない液中ではほとんどクロムの還元反応が進行しないため、ゲル化が抑えられた液であるという利点があるが、周期表のIIIA、IVA、VIIA、VIII族から選ばれる金属を含む場合、低温焼付けは可能となるが、塗液中でも還元反応が徐々に進行するため、塗液の濃度にもよるが、調合後の液の保管可能期間は1日〜1週間程度しかなく、調合後の液の保管だけでなく、廃液の保管についても問題が発生した。
そこで、発明者らは、この点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、塗液の保管安定性を向上させるには、塗液中にカルボン酸またはカルボン酸塩を配合することが有利であることの知見を得た。
すなわち、クロム酸(CrO3換算で):100重量部に対して、カルボン酸またはカルボン酸塩をCOOH換算で5〜100重量部共存させればよいことを突き止めた。
カルボン酸またはカルボン酸塩の配合の仕方については、上述した周期表のIIIA、IV A、VIIA、VIII族金属のカルボン酸塩を配合してもよいし、カルボン酸を単独で加えてもよい。カルボン酸は、骨格中のCOOH基の数は特に問わず、例えばギ酸、酢酸、シュウ酸等の脂肪族カルボン酸、安息香酸等の芳香族カルボン酸など種々のカルボン酸およびカルボン酸塩が適用可能である。なお、カルボン酸塩の形で添加する場合、周期表のIA、IIA族金属のカルボン酸塩は低温焼付け性を阻害するため、その使用は極力回避することが好ましい。
上述したように、周期表のIA族およびIIA族の金属であるアルカリ金属やアルカリ土類金属は、塩の形態によっては低温焼付け性を阻害するため、本発明では含有させないものとした。しかしながら、これらの金属の混入量が、クロム酸(CrO3換算で):100 重量部に対して、金属合計量換算で1重量部以下であれば許容できる。
また、打抜性を重視しない場合には樹脂を配合しなくてもよいが、打抜性を重視する場合には、打抜性を確保するために樹脂を配合するのが好ましい。樹脂を配合する場合は、クロム酸(CrO3換算で):100 重量部に対して、樹脂固形分で 150重量部以下とする。というのは、樹脂固形分が150 重量部を超えてもそれ以上の打抜性の向上は望めず、むしろTIG 溶接性が劣化する傾向にあるからである。打抜性とTIG 溶接性を両立させる場合の好適配合量は、クロム酸(CrO3換算で):100 重量部に対して、樹脂固形分:10〜100 重量部である。
ここに、用いる樹脂の種類は、特に制限されることはなく、アクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂、フェノール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂および酢酸ビニル樹脂等の各種の樹脂の単独物、共重合物、混合物が使用可能である。
さらに、クロムの還元反応を促進してより一層の低温焼付けを可能とするために、クロム酸(CrO3換算で):100 重量部に対して、還元剤を5〜100 重量部含有させる。というのは、還元剤の配合割合が5重量部未満では還元温度の低温化効果がほとんどなく、一方100 重量部を超えると、還元温度の低温化効果は飽和に達し、むしろ被膜中に残存した場合にはTIG 溶接性の劣化を招くからである。
ここに、還元剤の種類は、特に制限されることはなく、有機系、無機系ともに利用可能であるが、エチレングリコール、ショ糖およびグリセリン等の多価アルコール類は液の安定性を損なうことがないので、特に好適に適用できる。しかしながら、前述したとおり、これ以外の還元剤でも液の安定性を損なわずに還元反応を促進できるものであれば適用可能なのは言うまでもない。
またさらに、歪取焼鈍後の密着性を重視する用途では、クロム酸(CrO3換算で):100 重量部に対して、ボロン化合物をB換算で20重量部以下で含有させることは有利である。特に好ましい配合割合はB換算で1〜10重量部である。
なお、被膜の状態では、Cr:52重量部に対してB:20重量部以下となる。
B含有化合物としては、水に可溶なものなら各種の形態が可能であり、ホウ酸およびホウ酸塩等が挙げられる。
なお、本発明では、その他にも、耐食性をさらに向上させるために、各種の防錆剤を添加してもよく、また密着性を向上させるためにリン酸を添加してもよい。
上記した絶縁被膜処理液を鋼板の片面または両面に塗布して、絶縁被膜を形成するが、かかる絶縁被膜処理液の塗布量は、鋼板片面当たり: 0.1〜4.0 g/m2程度(乾燥後)とするのが好適であり、この範囲で塗布することによって、被膜特性に優れたクロム酸系絶縁被膜を得ることができる。
なお、絶縁被膜の目付量(塗布量)は、水酸化ナトリウムの沸騰水溶液に浸漬して被膜を剥離し、剥離した被膜の重量を測定することによって求めることができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
無水クロム酸(CrO3換算で):100重量部、酢酸ニッケル((CH3COO)2Ni・4H20):127重量部(Ni換算:30重量部、カルボン酸(COOH換算):46重量部)、アクリル/スチレン樹脂:70重量部およびエチレングリコール:50重量部を、水に溶解して水溶液とし、固形分濃度を7%に調整した。
この段階で、得られた塗液の保管安定性について調査した。
ついで、Si:0.35mass%およびAl:0.003 mass%を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる電磁鋼板(0.5 mm厚)の表面に、上記の塗液を、ロールコーターを用いて片面当たりの目付量が0.8 g/m2となるように塗布し、最高到達板温が200℃になるように 焼付けてクロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板を作製した。なお、目付量の調整は、塗液濃度の調整およびロールコーターの調整で行った。
かくして得られた各供試材について、クロム溶出試験を行った。また、耐食性、密着性、TIG溶接性、耐溶剤性および打抜性について調査した。
さらに、ドライ窒素雰囲気中にて750℃、2hで歪取焼純を行った後の、耐スティキン グ性、耐食性および密着性についても調査を行った。
同様にして、表1中のNo.2以下の絶縁被膜処理液を用いた場合についても調査を行った。
得られた結果を表2に示す。
なお、各特性の評価は次のようにして行った。
塗液保管安定性
固形分濃度を7%に調整した塗液100mlを、40℃で20日間保管したのち、200メッシュのステンレス金網でろ過し、残渣量を測定して評価した。
◎:ろ過残渣 0.005g/100ml以下
○:ろ過残渣 0.005g/100ml超〜0.1g/100ml以下
△:ろ過残渣 0.1g/100ml超〜0.5g/100ml以下
×:ろ過残渣 0.5g/100ml超(塗液がゲル化してろ過困難な場合を含む)
クロム溶出量
沸騰水浸漬10分後のCr溶出量(100cm2当たり)で評価した。
◎:10μg以下
○:10μg超〜20μg
△:20μg超〜50μg
×:50μg超
製品板耐食性
JIS Z 2371の規定に準拠する塩水噴霧試験(35℃)を行い、5h後の赤錆面積率で評価した。
◎:0〜15%
○:15%超〜30%
△:30%超〜50%
×:50%超〜100 %
製品板密着性
20mmφで 180°曲げ戻し試験後の被膜剥離率で評価した。
◎:剥離なし
○:剥離20%以下
△:剥離20%超、剥離40%以下
×:剥離40%超〜全面剥離
TIG 溶接性
下記の条件で溶接を行い、ブローホールの生じない最大溶接速度で評価した。
・電極:Th−W 2.6mmφ
・加圧力:9.8 MPa
・電流: 120A
・シールドガス:Ar(6リットル/min)
◎:800mm/分以上
○:600mm/分以上〜800mm/分未満
△:400mm/分以上〜600mm/分未満
×:400mm/分未満
耐溶剤性
沸騰キシレン中に6時間浸漬後の被膜減量(1m2当たり))で評価した。
◎:0.02g以下
○:0.02g超〜0.05g
△:0.05g超〜0.1 g
×:0.1 g超
打抜性
15mmφスチールダイスにおいて、かえり高さが50μmに達するまでの打ち抜き数で評価した。
◎:100 万回超
○:75万回超、100 万回以下
△:50万回超、75万回以下
×:50万回以下
耐スティキング性
50mm角の鋼板10枚を重ねて荷重(200g/cm2)をかけながら窒素雰囲気中にて 750℃、 2h焼鈍したのち、鋼板上に分銅:500gを落下させ、5分割するときの落下高さで評価した。
◎:10cm以下
○:10cm超〜15cm
△:15cm超〜30cm
×:30cm超
焼鈍板耐食性
恒温恒湿試験(50℃、相対湿度:80%)による14日後の赤錆面積率で評価した。
◎:0〜10%
○:10%超〜20%
△:20%超〜30%
×:30%超〜100 %
焼鈍板密着性
20mmφで 180°曲げ戻し試験後の被膜剥離率で評価した。
◎:剥離なし
○:剥離20%以下
△:剥離20%超、剥離40%以下
×:剥離40%超〜全面剥離
Figure 0004228944
Figure 0004228944
表2から明らかなように、本発明に従う絶縁被膜処理液はいずれも、塗液保管安定性に優れている。また、かかる処理液を用いて作製された絶縁被膜付き電磁鋼板はいずれも、200 ℃という低温の焼付けでも、クロム溶出の問題がなく、また耐食性、密着性、TIG 溶接性、耐溶剤性および打抜性に優れ、さらに歪取焼鈍後の耐スティキング性、耐食性および密着性にも優れている。
これに対し、比較例1〜3はいずれも、絶縁被膜処理液中に配合されたCr以外の金属がIA〜IIA族のアルカリ金属やアルカリ土類金属であるため、クロム溶出が著しかった。
比較例4は、Cr以外の金属がアルカリ金属のKであり、またカルボン酸またはカルボン酸塩を含有していないので、クロム溶出が多いだけでなく、塗液保管安定性に劣っていた。
比較例5は、カルボン酸またはカルボン酸塩を含有していないだけでなく、樹脂量が多すぎたため、塗液保管安定性が悪いだけでなく、TIG 溶接性に劣っていた。
比較例6は、還元剤の量が少なすぎるため、クロム溶出が著しかった。
比較例7は、カルボン酸またはカルボン酸塩を含有していないだけでなく、還元剤の量が多すぎたため、塗液保管安定性が悪いだけでなく、TIG 溶接性に劣っていた。
比較例8は、IIIA〜IIIB族金属の量が多すぎたため、耐食性の面に問題を残した。
比較例9は、カルボン酸またはカルボン酸塩を含有していないため、塗液保管安定性に劣っていた。

Claims (8)

  1. クロム酸(CrO3換算で):100重量部に対して、周期表のIIIA、IVA、VIIA、VIII族のうちから選んだ1種または2種以上の金属を含む化合物を金属合計量換算で3〜60重量部、樹脂固形分を150重量部以下、還元剤を5〜100重量部およびカルボン酸またはカルボン酸塩をCOOH換算で5〜100重量部含有することを特徴とする、低温焼付けが可能で保管安定性に優れる電磁鋼板用クロム酸系絶縁被膜処理液。
  2. クロム酸(CrO3換算で):100重量部に対して、周期表のIIIA、IVA、VIIA、VIII族のうちから選んだ1種または2種以上の金属を含む化合物を金属合計量換算で3〜60重量部、ボロン化合物をB換算で20重量部以下、樹脂固形分を150重量部以下、還元剤を5〜 100重量部およびカルボン酸またはカルボン酸塩をCOOH換算で5〜100重量部含有することを特徴とする、低温焼付けが可能で保管安定性に優れる電磁鋼板用クロム酸系絶縁被膜処理液。
  3. 請求項1または2において、金属合計量換算で3〜60重量部を占める金属を含む化合物が、周期表のIIIA、IVA、VIIA、VIII族のうちから選んだ1種または2種以上の金属を含む化合物とAlを含む化合物とからなることを特徴とする、低温焼付けが可能で保管安定性に優れる電磁鋼板用クロム酸系絶縁被膜処理液。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の処理液を、鋼板の片面または両面に片面当たり:0.1〜4.0g/m2 (乾燥後)塗布し、焼付けたことを特徴とする、クロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板。
  5. 鋼板の片面または両面に、Cr:52重量部に対して、周期表のIIIA、IVA、VIIA、VIII族のうちから選んだ1種または2種以上の金属を合計で3〜60重量部および樹脂固形分を150重量部以下含む被膜を有することを特徴とする、クロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板。
  6. 鋼板の片面または両面に、Cr:52重量部に対して、周期表のIIIA、IVA、VIIA、VIII族のうちから選んだ1種または2種以上の金属を合計で3〜60重量部、Bを20重量部以下および樹脂固形分を150重量部以下含む被膜を有することを特徴とする、クロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板。
  7. 請求項5または6において、合計で3〜60重量部を占める金属が、周期表のIIIA、IVA、VIIA、VIII族のうちから選んだ1種または2種以上の金属とAlとからなることを特徴とする、クロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板。
  8. 前記被膜の目付量が片面当たり:0.1〜4.0g/m2であることを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載のクロム酸系絶縁被膜付き電磁鋼板。
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