JP4432173B2 - 液状樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はIC、LSI等の半導体素子を金属フレーム等に接着する液状樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の高密度実装の一環として複数機能の1チップ化が進み半導体素子の大型化は加速する一方であるが、同時に半導体製品の厚み自体はより薄くなる傾向にある。
このような動向の中半導体素子をリードフレーム等の基板に接着するダイアタッチペーストにはより低応力性かつ高接着性が要求されるが、従来のダイアタッチ材では高接着性と超低応力性を併せ持つものは存在しなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は大型チップでも使用可能な超低応力性と高接着性を併せ持つ高信頼性の液状樹脂組成物を提供し、ひいては本発明の液状樹脂組成物を使用することで高信頼性のパッケージを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
(A)フィラー、(B)常温で液状のエポキシ樹脂、(C)硬化剤を必須成分とし、常温で液状のエポキシ樹脂(B)のうち少なくとも5wt%が、1分子内に2つ以上のエポキシ基を有する化合物とN-フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランとの反応物であること特徴とする液状樹脂組成物である。
また、上記の液状樹脂組成物をダイアタッチ材として使用して製作したことを特徴とする半導体装置。
【0005】
本発明に用いるフィラー(A)は用いる分野が半導体用途のためハロゲンイオン、アルカリ金属イオン等のイオン性不純物量が10ppm以下であることが望ましい。また要求特性により銀、金、銅、ニッケルなどの金属フィラー、シリカ、窒化アルミ、窒化ボロンなどの無機フィラーをあるいは焼成フェノール粒子、ポリイミド粒子等の有機フィラーを単独あるいは併用して使用可能である。
形状としてはフレーク状、繊維状、樹脂状、不定形あるいは球状のものを単独あるいは混合して用いることができる。さらに粒径に関しては通常平均粒径が2〜10μm、最大粒径は50μm程度のものが好ましく、比較的細かいフィラーと粗いフィラーを混合して用いてもよい。
【0006】
また本発明に用いるエポキシ樹脂は常温で液状の物に限定しているが、常温で液状の物でないとペースト状の樹脂組成物を得ることができない。ここで常温で液状のエポキシ樹脂とは例えば常温で固形のものでも常温で液状のエポキシ樹脂あるいは溶剤と混合することで常温で安定して液状を示す物を含む。
【0007】
本発明に用いる液状エポキシ樹脂には、1分子内に2個以上のエポキシ基をもつ化合物と式[1]に示される化合物の反応物がエポキシ樹脂に対して少なくとも5wt%含まれる。これは1分子内に2個以上のエポキシ基をもつ化合物のエポキシ基を式[1]に示される化合物との反応に使用することにより硬化物の架橋密度を低下させることが目的で、硬化物の弾性率を調整し特に15mmを越えるような大型チップへの適用が可能になるためである。また式[1]の化合物を使用するのは、通常シランカップリング材は接着力の向上に有用であることは知られているが、液状樹脂組成物中にそのまま添加した場合には硬化中に揮発しやすく望む高接着性を充分に得られないことが多く、また硬化中にボイドとなり硬化物中に欠陥として残存する可能性が高いので好ましくない。またフィラーとあらかじめ反応させる方法も一般的であるが、フィラーの凝集の制御が難しく、特にダイアタッチ用途の場合には粗粒子はペースト層の厚みの安定性を低下させるので好ましくない。式[1]の化合物としては、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。
ここで1分子内に2個以上のエポキシ基をもつ化合物と式[1]に示される化合物の反応物がエポキシ樹脂に対して少なくとも5wt%含まれると限定しているが、これは5%より少なく含有される場合には目的とする架橋密度の低下が充分に得られないためである。
【0008】
1分子内に2個以上のエポキシ基をもつ化合物と式[1]に示される化合物の反応物のみをエポキシ樹脂として使用しても差し支えないが、目的とする低応力性のレベルにより通常のエポキシ樹脂を併用してもかまわない。ここで通常のエポキシ樹脂とは例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、クレゾールノボラック類とエピクロルヒドリンとの反応により得られるポリグリシジルエーテル、1、6ージヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ、ジグリシジルヒダントイン等の複素環式エポキシ、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド、アリサイクリックジエポキシーアジペイトのような脂環式エポキシ、さらにはn−ブチルグリシジルエーテル、バーサティック酸グリシジルエステル、スチレンオサイド、エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル等のような通常のエポキシ樹脂の希釈剤として用いられるものがあり、これらは単独でも混合して用いても差し支えない。
【0009】
本発明で使用される硬化剤については、イオン性不純物が極めて少ないことが好ましい点を除きフェノール系化合物、有機酸無水物、アミン化合物などの使用が可能であり構造については特に限定されない。また必要に応じ、3級アミン、イミダゾール類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等といった硬化促進剤として知られている化合物を添加することもでき、さらに可とう性付与剤、消泡剤、カップリング剤等を用いることもできる。
【0010】
本発明の製造方法は例えば各成分を予備混合した後、3本ロールを用いて混練し、混練後真空下脱泡し樹脂ペーストを得るなどがある。
本発明の液状樹脂組成物を用いて製作した半導体装置は高信頼性を有する。半導体装置の製作は公知の方法を用いることが出来る。
【0011】
【実施例】
以下実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
配合割合は重量部で示す。
<実施例1〜3>
1分子内に2個以上のエポキシ基をもつ化合物と式[1]に示される化合物の反応物としては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応により得られるジグリシジルビスフェノールA(エポキシ当量180、常温で液体、以下ビスAエポキシ)180gとトルエン1000mlを3lのセパラブルフラスコに仕込み、ディーンスタークトラップにより脱水した後N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(以下PAPS)255.4gを10分かけて滴下し環流下4時間かけて反応した。反応後エバポレーターならびに減圧乾燥によりトルエンを除去した。得られた反応物は室温で粘ちょうな液体であった。(以下反応物A)
【0012】
粒径1〜30μmで平均粒径3μmのフレーク状銀粉(以下銀粉)、クレジルグリシジルエーテル(エポキシ当量185)、フェノールノボラック(水酸基当量104、軟化点80〜90℃)、ジシアンジアミド、ジアザビシクロウンデセンを第1表に示す割合で配合し、3本ロールで混練して液状樹脂組成物を得た。
この液状樹脂組成物を真空チャンバーにて2mmHgで30分間脱泡した後以下の方法により各種性能を評価した。
【0013】
<評価方法>
・粘度:E型粘度計(3°コーン)を用い25℃、2.5rpmでの値を測定し粘度とした。
・Tg:4x20x0.4mmの試験片を作製し(硬化条件150℃60分)引っ張りモードのTMAで測定しTMA曲線の屈曲点をもってTgとした。
(測定長:10mm、温度範囲:−100℃〜300℃、昇温速度:10℃/分)
・弾性率:10x150x0.1mmの試験片を作製し(硬化条件150℃60分)引っ張り試験により加重−変位曲線を測定しその初期勾配より弾性率を算出した。
(測定長:100mm、試験速度:1mm/分、測定温度:23℃)
・接着強度:6×6mmのシリコンチップを液状樹脂組成物を用いて銅フレームにマウントし150℃オーブン中60分間硬化した。硬化後自動マウント強度測定装置(DAGE PC−2400)を用い240℃での熱時ダイシェア強度を測定した。また硬化後のサンプルを85℃85%72時間吸水処理し240℃での熱時ダイシェア強度を測定した。吸湿処理による保持率を計算し80%以上の場合を合格とした。
・イオン性不純物:200℃60分硬化した後粉砕した試料2gおよび純水40mlを抽出釜にいれ125℃20時間抽出した上澄みを検液としイオンクロマトグラフにより塩素量およびナトリウム量の測定を行った。
・チップの反り:6x15x0.3mmのベアシリコンチップを0.2mm厚の銅フレームにマウントし表面粗さ計にてチップ表面長さ方向13mmでのプロファイルを測定し最高点と最低点の差をもってチップの反りとした。
(硬化条件:150℃60分)
【0014】
<実施例4>
用いるフィラーとして市販の破砕シリカ(平均粒径3μm、最大粒径16μm以下シリカ)を使用した他は実施例1と同様にして液状樹脂組成物を作製し評価した。
【0015】
<比較例1〜4>
第1表に示す配合割合で実施例1と全く同様にして導電性樹脂ペーストを作製した。
評価結果を第1表に示す。
【表1】
【0016】
【発明の効果】
本発明の液状樹脂組成物は大型チップに適用しても反りが小さくさらに接着性に優れる従来になかった高信頼性の半導体素子接着用の液状樹脂組成物である。
Claims (2)
- (A)フィラー、(B)常温で液状のエポキシ樹脂、(C)硬化剤を必須成分とし、常温で液状のエポキシ樹脂(B)のうち少なくとも5wt%が、1分子内に2つ以上のエポキシ基を有する化合物とN-フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランとの反応物であること特徴とする液状樹脂組成物。
- 請求項1記載の液状樹脂組成物をダイアタッチ材として使用して製作したことを特徴とする半導体装置。
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