JP4431874B2 - 軟質ポリウレタン発泡成形体の製造方法 - Google Patents
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従来の軟質ポリウレタンフォームと比べ、硬度を維持しつつも、他の特性を向上させた軟質ポリウレタン発泡成形体の開発が望まれていた。
請求項1:
次の(A)〜(D)の各成分、
(A)イソシアネート基を供給するポリイソシアネート、
(B)ヒドロキシル基を供給するポリオール、
(C)層状ケイ酸塩、
(D)水、
を含むポリウレタン発泡原液を金型内で発泡させて成形体を得る軟質ポリウレタン発泡成形体の製造方法であって、前記(B)成分がポリマーポリオールを含まないポリオール成分であると共に、
前記(B)成分と前記(D)成分とを混合する工程と、前記工程で得た混合物に前記(C)成分を混合してポリオール組成物を調製する工程と、このポリオール組成物と前記(A)成分とを混合してポリウレタン発泡原液を調製する工程と、を含むことを特徴とする軟質ポリウレタン発泡成形体の製造方法。
請求項2:
更に、次の(E),(F)の各成分、
(E)触媒、
(F)整泡剤、
を含むポリウレタン発泡原液を金型内で発泡させて成形体を得る軟質ポリウレタン発泡成形体の製造方法であって、前記(B)成分と前記(D)成分とを混合する工程と、前記工程で得た混合物に前記(E)成分及び(F)成分を混合し、次いで前記(C)成分を混合してポリオール組成物を調製する工程と、このポリオール組成物と前記(A)成分とを混合してポリウレタン発泡原液を調製する工程と、を含む請求項1記載の軟質ポリウレタン発泡成形体の製造方法。
請求項3:
前記(C)成分が、前記(B)成分100質量部に対し0.1〜30質量部配合される請求項1又は2記載の軟質ポリウレタン発泡成形体の製造方法。
本発明の軟質ポリウレタン発泡成形体は、次の(A)〜(D)の各成分、
(A)イソシアネート基を供給するポリイソシアネート、
(B)ヒドロキシル基を供給するポリオール、
(C)層状ケイ酸塩、
(D)水、
を含むポリウレタン発泡原液を金型内で発泡させて得られる軟質ポリウレタン発泡成形体であって、前記(B)成分にポリマーポリオールを含まないことを特徴とする軟質ポリウレタン発泡成形体である。
ここで、上記TDIとしては、特に限定されるものではないが、2,4−TDIと2,6−TDIとの配合比が80/20〜50/50(質量比)の混合物であることが好ましく、80/20〜65/35(質量比)の混合物であることが特に好ましい。
一方、MDIとしても特に限定されるものではなく、その分子量分布の広狭を問わず用いることができ、例えば、純(ピュア)MDI(4,4’−MDI)、ポリメリックMDI、粗(クルード)MDIなどを用いることができる。
このようなTDI、MDIとしては市販品を使用することができ、TDIとしては、例えばTDI−80(住友バイエルウレタン(株)製)、MDIとしては、例えば44V20(住友バイエルウレタン(株)製 クルードMDI)を用いることができる。
このようなポリエーテルポリオールとしては、反応性の観点から、アルキレンオキシドの開環重合により得られるポリエーテルポリオールが好適である。このようなアルキレンオキシドとしてはプロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
なお、本発明において「粘度」とは、JIS Z 8803−1991に準拠し、液温25℃において、毛細管粘度計を用いて測定した粘度を意味する。
本発明において、これらケイ酸塩の膨潤性の有無については特に限定されるものではないが、ポリオール成分への分散性の観点から、膨潤性マイカであることが好ましい。また、ポリオール成分中での分散状態の安定性の観点から、マイカ表面のOH基がフッ素原子で置換されたフッ素化マイカを使用することも好適である。
このような有機化処理方法としても特に限定されるものではなく、ケイ酸の対イオンのナトリウムイオンをイオン交換することにより、ケイ酸塩を4級アンモニウム塩化する方法や、化学結合やイオン結合等によりケイ酸塩表面に有機基を導入する方法等を挙げることができるが、中でもポリオールへの分散性の観点から、ケイ酸の対イオンのナトリウムイオンをイオン交換することにより、ケイ酸塩を4級アンモニウム塩化する方法が好適である。
ポリウレタン発泡原液中の(D)水の配合量としては、上記(B)成分のポリオール100質量部に対して通常1〜7質量部、好ましくは2〜5質量部である。(D)成分の配合量が上記範囲を逸脱すると、得られる軟質ポリウレタン発泡成形体の熱圧縮残留歪み特性に劣る場合がある。
前記(E)触媒としては、ポリウレタンフォーム用として常用のものが使用可能であり、特に限定されるものではないが、例えば、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン等のアミン触媒が挙げられる。ポリウレタン発泡原液中の(E)触媒の配合量としては、上記(B)成分のポリオール100質量部に対して通常0.3〜2質量部である。
このような(E)成分としては市販品を用いることができ、例えばトリエチレンジアミン(花王(株)製)、ジエタノールアミン(日本触媒製)等を挙げることができる。
このように、ポリウレタン発泡原液を調製する初期の段階で、前記(B)ヒドロキシル基を供給するポリオール成分と前記(D)水成分とを混合し、次いで前記(C)層状ケイ酸塩成分を混合することによって、ケイ酸塩をポリウレタン発泡原液中により良好に分散させることが可能となり、結果として、得られる発泡成形体の硬度及び耐湿熱圧縮性、繰返し圧縮性の改善が可能である。
このように、上記(A)〜(D)成分以外の成分がポリウレタン発泡原液に更に配合される場合に、それらの成分を(C)層状ケイ酸塩成分や(A)イソシアネート基を供給するポリイソシアネート成分を配合する前に一定の順序で混合しておくことによって、ケイ酸塩に対して作用のある水がポリオール中に均一に分散可能となる結果、水とケイ酸塩の凝集を抑えることが可能となり、得られる発泡成形体の諸特性について更なる改善が可能となる。
一方、前記(B)成分と前記(D)成分とを混合して得られる混合物(更に、前記(E)及び(F)成分を混合した場合を含む)に前記(C)成分を混合してポリオール組成物を調製する際の混合条件としては、攪拌時の回転数として通常100rpm以上、好ましくは1500rpm以上、上限として通常3000rpm以下、好ましくは2500rpm以下である。また、攪拌時間としては通常10分以上、好ましくは15分以上、上限として通常30分以下、好ましくは20分以下である。
また、金型内へのポリウレタン発泡原液の注入量としては、金型容積に対するポリウレタン発泡原液の体積比((ポリウレタン発泡原液の体積)/(金型容積))として通常1/10〜1/40、好ましくは1/20〜1/30である。
なお、金型を用いた成形を行なう以上、通常、ポリウレタン発泡原液の発泡後の体積が金型容積よりも大きくなるように見積もって金型内にポリウレタン発泡原液を注入することとなるが、発泡後のポリウレタン発泡原液の体積と、金型容積との比((発泡後のポリウレタン発泡原液の体積)/(金型容積))として通常1/1以上、好ましくは1.2/1以上、上限として通常1.5/1以下、好ましくは1.4/1以下である。
ここで、本発明において「反力比」とは、JIS K 6400:2004に準じた測定装置を用いて測定した、(尻型50%圧縮時反力)/(φ10円盤5%圧縮時反力)の比の値を意味する。
なお、本発明の軟質ポリウレタン発泡成形体、乃至、本発明の製造方法により得られる軟質ポリウレタン発泡成形体(以下、単に「本発明の成形体」と略記することがある)の反力比としては通常30以上、好ましくは35以上である。
本発明における「反力比」は、このようにして求めた「尻型50%圧縮時反力」を「φ10円盤5%圧縮時反力」で除した値であり、本発明においてはポリウレタン発泡成形体の特性を評価する指標として用いる。反力比が大きいほど、ポリウレタン発泡成形体の表面が柔らかくソフトであると同時に、ポリウレタン発泡成形体の中心部の硬度が高くしっかり感があることを意味する。
なお、本発明において「密度」とは、JIS K 6400:2004に記載の方法により測定する「全密度」であり、JIS規格で規定している「見掛け密度」を指す。本発明では、表皮スキン有りの直方体フォームサンプルを用いて全密度の測定を行った。
具体的な測定方法としては、試験片の空気を逃げ易くするために、直径6mm、中心距離19mmの多数の小孔のあいた台上に試験片を置く。次に自動記録装置を有するインストロン型圧縮荷重試験機を用いて、直径200mmの円形加圧板で試験片の上面から押さえつける。このとき、φ300mm以上の円形を含む大きさの試験片を用い、ILD(局部圧縮)で試験を行なう。
前荷重として4.9Nかけた時の厚さを測定し、これをはじめの厚さとする。次に、円形加圧板を50mm/minの速さではじめの厚さの75%の距離を押し込む。押し込んだ後、直ちに50mm/minの速さで加圧板を上昇させ、はじめの厚さまで戻す。1分間放置後、再び同じ速度で初めの厚さの25%の距離まで圧縮し、静止させて20秒後の荷重を読む。これを25%硬さとする。
本発明の成形体の、JIS K 6400:2004に準拠して測定した繰返し圧縮厚さ低下率としては通常4%以下、好ましくは0.5〜2.0%である。
本発明の成形体の、JIS K 6400:2004に準拠して測定した繰返し圧縮硬さ低下率としては通常6〜14%、好ましくは8〜10%である。
具体的な測定方法としては、成形した軟質フォームのコア部を50×50×25mm切り抜き、これを試験片として使用する。試験片を50%の厚みまで圧縮し、平行平面板に挟み、70℃の条件下に、22時間放置する。そして、22時間放置後、この試験片を取り出して30分後、その厚みを測定し、試験前の厚みの値と比較し、歪み率を測定し、この歪み率を乾熱圧縮永久歪みとする。
具体的な測定方法としては、成形した軟質フォームのコア部を50×50×25mm切り抜き、これを試験片として使用する。試験片を50%の厚みまで圧縮し、平行平面板に挟み、50℃、相対湿度95%の条件下に、22時間放置する。そして、22時間放置後、この試験片を取り出して30分後、その厚みを測定し、試験前の厚みの値と比較し、歪み率を測定し、この歪み率を湿熱圧縮残留歪みとする。
表1に示す配合比にてポリウレタン発泡原液を調製した。ポリウレタン発泡原液の調製に際しては、まずポリオールと水とを混合して1800rpmで20分間攪拌し、その後触媒、整泡剤を混合して1800rpmで10分間攪拌し、その後必要に応じてケイ酸塩を1800rpmで攪拌しながら徐々に添加し、添加終了後1800rpmで30分間攪拌することによりポリオール組成物を得た。このポリオール組成物とイソシアネート1、イソシアネート2を混合して5000〜7000rpmで5〜10秒間攪拌し、ポリウレタン発泡原液を得た。
得られたポリウレタン発泡原液を金型(型温60℃、容積20L)のキャビティに注入した。ポリウレタン発泡原液の仕込み量は、1.2kgであった。発泡硬化させて得られた軟質ポリウレタン発泡成形体の諸物性を評価した。結果を表1に併記した。
数平均分子量5,000、官能基(OH基)数3、EO13%,PO87%(仕込みモル)。
ポリエーテルポリオールB
数平均分子量8,000、官能基(OH基)数4、EO14%,PO86%(仕込みモル)。
ポリエーテルポリオールC
数平均分子量7,500、官能基(OH基)数3、EO15%,PO85%(仕込みモル)。
ポリマーポリオール
ベースPPG数平均分子量5000、ベースPPG官能基数3。PPG(ポリプロピレングリコール)にアクリロニトリル−スチレン共重合体のポリマー成分をグラフト共重合させたポリマーポリオール。
触媒A
トリエチレンジアミン(花王(株)製)
触媒B
ジエタノールアミン((株)日本触媒製)
整泡剤A
L5309(日本ユニカー(株)製)
整泡剤B
SRX274C(東レ(株)製)
ケイ酸塩
ソマシフMEE(コープケミカル(株)製、有機化マイカ)
イソシアネート1
TDI−80(住友バイエルウレタン(株)製)
イソシアネート2
44V20(住友バイエルウレタン(株)製、クルードMDI)
イソシアネート1/2質量比
イソシアネート1とイソシアネート2との配合質量比。
表2に示す配合比にてポリウレタン発泡原液を調製した。ポリウレタン発泡原液の調製に際しては、まずポリオール、水、触媒、整泡剤、及び架橋剤を混合して1800rpmで30分間攪拌し、その後、必要に応じてケイ酸塩を1800rpmで攪拌しながら徐々に添加し、添加終了後1800rpmで30分間攪拌することによりポリオール組成物を得た。このポリオール組成物と、イソシアネート1、イソシアネート2とを混合して5000〜7000rpmで5〜10秒間攪拌し、ポリウレタン発泡原液を得た。
得られたポリウレタン発泡原液を金型(型温60℃、容積20L)のキャビティに注入した。ポリウレタン発泡原液の仕込み量は、1.2kgであった。発泡硬化させて得られた軟質ポリウレタン発泡成形体の諸物性を評価した。結果を表2に併記した。なお、特に示さない限り、用いた原料や評価法は表1と同様である。
数平均分子量400、官能基(OH基)数4、EO100%(仕込みモル)。
Claims (3)
- 次の(A)〜(D)の各成分、
(A)イソシアネート基を供給するポリイソシアネート、
(B)ヒドロキシル基を供給するポリオール、
(C)層状ケイ酸塩、
(D)水、
を含むポリウレタン発泡原液を金型内で発泡させて成形体を得る軟質ポリウレタン発泡成形体の製造方法であって、前記(B)成分がポリマーポリオールを含まないポリオール成分であると共に、
前記(B)成分と前記(D)成分とを混合する工程と、前記工程で得た混合物に前記(C)成分を混合してポリオール組成物を調製する工程と、このポリオール組成物と前記(A)成分とを混合してポリウレタン発泡原液を調製する工程と、を含むことを特徴とする軟質ポリウレタン発泡成形体の製造方法。 - 更に、次の(E),(F)の各成分、
(E)触媒、
(F)整泡剤、
を含むポリウレタン発泡原液を金型内で発泡させて成形体を得る軟質ポリウレタン発泡成形体の製造方法であって、前記(B)成分と前記(D)成分とを混合する工程と、前記工程で得た混合物に前記(E)成分及び(F)成分を混合し、次いで前記(C)成分を混合してポリオール組成物を調製する工程と、このポリオール組成物と前記(A)成分とを混合してポリウレタン発泡原液を調製する工程と、を含む請求項1記載の軟質ポリウレタン発泡成形体の製造方法。 - 前記(C)成分が、前記(B)成分100質量部に対し0.1〜30質量部配合される請求項1又は2記載の軟質ポリウレタン発泡成形体の製造方法。
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