JP4431273B2 - 走査型エバネッセント電磁顕微鏡 - Google Patents
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Description
(発明の背景)
本発明は、ローレンス バークリー研究所の事業のための、米国エネルギー省とカリフォルニア大学との間の、契約番号第DE-AC03-76SF00098号による米国政府の支持によりなされた。米国政府は、本発明に特定の権利を有することになる。
これは、1996年9月20日に出願され、ここに参考文献として組込まれた出願番号第08/717,321号の一部継続である。この発明は、1997年9月22日に出願され、ここに参考文献として組込まれた仮出願番号第60/059,471号の利益を主張する。
(技術分野)
本発明は、概して走査型プローブ検鏡に関し、さらに詳細には走査型エバネッセント近接場マイクロ波および電磁波分析に関する。
【0002】
(従来技術の説明)
一般的に、走査型プローブ形式顕微鏡は試料を可視影像化するために使用されている。得られた影像は、プローブチップで測定された試料の識別可能な多数の電気的特性または磁気的特性を映すものである。例えば、チップは電子トンネル、原子間力、伝搬またはエバネッセント電磁波の吸収または屈折像を映すことができる。チップは試料に接触するか、または試料から少し離れている。走査型プローブ顕微鏡の徹底的な議論がR. Wiesendangerの「Scanning Probe Microscopy and Spectroscopy: Methods and Applications」Cambridge University Press, 1994に示されている。走査型プローブ顕微鏡(SPMs)を改良する試みは、ほとんど全てその分解能と感度を高めることに集中している。影像細部に関連する定量データを得ることが望ましいことは一般に認識されているが、2つの技術的な障壁がこのような装置の発展を妨げている。
【0003】
第1に、しばしばSPMsから得られる検鏡信号は、材料の微細構造と物理的特性とが組み合わさった相関的なものである。これを分離するためには、少なくとも2つの独立した信号を測定する必要がある。例えば、走査型トンネル顕微鏡において、トンネル電流は、チップと試料との距離および状態密度の両者の関数である。近年発達した走査型近接場光学顕微鏡は、せん断力に加えて発光スペクトルや屈折光学指数のような光学信号を測定でき、これらはチップと試料との間の距離を測定するために利用できる。
【0004】
第2に、影像化された試料に関する定量的な情報を得るためには、チップと試料の領域での複雑な電磁場方程式を解く必要がある。この研究の再検討がC. GirardとA. DereuxのRep. Prog. Phys., vol.667,1996によって議論されている。有限要素法を基礎とする計算法が、近接場光学顕微鏡のチップ回りのフィールド分布を解くために利用されてきたが、波長以下の尺度の実境界条件でのマックスウエル方程式を解くといったような、複雑な計算方法は通常の用途では役に立たない。顕微鏡は遮断周波数以下で作動する必要があり、一般的に10-3から10-6(R.F. Soohoo, J. Appl. Phys. 33:1276, 1962; E.A. Ash and G. Nichols, Nature, 237:510, 1972)を有する導波管の減衰を被るので、この問題は過去においてなされた研究を複雑なものにしてきた。開口(aperture)またはテーパ導波管プローブにおいて、分解能が線形で向上すると感度は指数的に低くなる。M. Fee, S. ChuとT.W. Hanschとは、減少断面を有する伝送線プローブを使用することで感度と分解能をマイクロレベルまで向上させた。しかしながら、分解能の更なる向上はやはり著しい伝送線の減衰を伴った。伝送線プローブのチップ回りのシールドされていない遠隔場波伝搬部品は、顕微鏡の分解能を著しく制限し、特に、定量的な解析のための使用を妨害するものであった。
【0005】
サブミクロン分解能を有する特徴部の影像化でき、さらに映された特徴部の物理的特性の定量的測定を行うことができる走査型プローブ顕微鏡が切望されている。
【0006】
(発明の概要)
本発明は、近接場走査型エバネッセント波顕微鏡を備えており、プローブチップは主としてエバネッセント波を放射し、妨害伝搬波の放射が最小にされている。伝搬波は低分解能であるが、エバネッセント波は高分解能である。この特徴は定量的測定に非常に重要である。本発明の顕微鏡に関して新規なエバネッセント波プローブにより試料を走査することで高分解能影像が生成される。さらに、発明の顕微鏡は測定データから計算され、分解された影像特徴部に関連する複素電気インピーダンス値を備えている。誘電率、損失角正接および導電率を含む複素インピーダンスは、絶縁体から超電導体までの範囲の特性を有する材料に関して測定可能である。
【0007】
本発明の顕微鏡は、誘電特性と表面抵抗をサブミクロンの分解能で定量的に測定できる。チップに連結された共鳴同軸空洞の共鳴周波数(fr)と性質係数(Q)を観測することで、試料の電気的特性を測定できる。SEMMの一つの実施の形態は、狭い孔から突出する鋭いチップに結合し、約1GHZの周波数(fr)で作動するλ/4同軸共鳴器を含んでいる。プローブチップが試料の近傍にもたらされるとfrとQとが変動する。本発明の顕微鏡は、測定したfrとQとを試料の電気的パラメータに変換できる。極めて小さなチップ半径がフィールド分布の広がりを測定できるので、この顕微鏡はサブミクロンの分解能をもつことができる。誘電試料に関して、プローブチップと試料との間の相互作用は、隣接試料の誘電率と誘電正接とに依存している。金属試料に関して、相互作用は試料の表面抵抗に依存している。
【0008】
共鳴器または従来の同軸体のいずれかを含むプローブ自身は、本発明の顕微鏡の重要な特徴である。プローブチップの重要な新規な特徴は、開口を有する導電性端壁であり、ここを通って同軸ケーブルまたは共鳴器である中心導電性要素が端壁に短絡することな延びている。本発明の顕微鏡の他の重要な特徴は、共鳴周波数(または反射電磁波)の測定された変化と、性質係数の測定された変化とを試料の定量的な電気的なパタメータに変換するようプログラムされた演算要素である。さらに本発明の顕微鏡の重要な特徴は、試料の測定走査の期間チップと試料との間の一定の離間距離を保つ手段である。
【0009】
(好ましい実施例の詳細な説明)
本発明は、一部継続中の出願番号08/717,321に説明されており、さらにT. Wei and X.-D. Xing in Appl. Phys. Lett., 68, 3506(1996)の少なくとも1つの実施例に説明されている。誘電材上の約100nmの影像分解能は、約10-3の感度で達成されている。
本発明は、走査型エバネッセント電磁顕微鏡の可視影像の分解能を改良し、その有用性を定量的検鏡に関する基本的に同時の測定に拡大するものである。顕微鏡はSEMMと呼ばれ、そもそもScanning Evanescent Microwave Microscopeであり、もしくは、顕微鏡はマイクロ波領域に限定されないので、Scanning Evanescent electroMagnetic Microscopeである。SEMMの利用によって、定量的検鏡は、サブミクロンの分解能で誘電性、強誘電性、および導電性材料の複素電気インピーダンスを得るために使用できる。SEMMの使用はマイクロ波領域に限定されない。どちらかと言えば本発明の顕微鏡の電磁周波数は、上限は測定される試料の電子移動性により(つまり材料のプラズマ周波数)、下限はプローブチップの共鳴室の物理的大きさの実用性により制限される。銅の試料に対して、電磁スペクトルの赤外線領域からマイクロ波領域までの周波数の値域が、走査型エバネッセント波顕微鏡に関して使用できる。共鳴器が同軸遮断要素に接続される端壁を有する同軸ケーブルに置き換えられた場合、測定周波数の下限は本質的にDCである。
【0010】
本発明を理解するためには、エバネッセント波検鏡の基本的な物理的過程を再検討することが有用である。ここではエバネッセント波は、散逸を起源としない虚数の波動ベクトルを有する電磁波と見なす。実際は、エバネッセント電磁波は、古典的な禁制領域(境界内)の量子力学電子波の光方程式である。電磁波の遠隔場の表示は、ヒルベルト空間の直交固有関数集合が、平面波として選択され、この波動ベクトルはヘルムホルツ方程式を満足するすべての実数である(結果として、これらの平面波は伝搬波である)。如何なる伝搬波(例えば、点状源からの伝搬球面波)もこれらの平面波の重ね合わせとして展開できる。波動ベクトルの大きさは、マックスウエル方程式に従って、周波数と速度とによって単に決定される。すなわち、K=2π(εμ/c)1/2=2π/λ(kx 2+ky 2+kz 2)1/2である。伝搬波kx,ky,kzは実数であり、従ってk(自由空間でk=k0)より小さくなければならない。これらの波は、唯一約λ程度の分解能を有している。しかしこれらの平面波は、例えば波面が波長λ以下の半径を有する球面波を再構成するためには利用できない。従って、ヒルベルト空間の真の完全集合は、その波動ベクトルが、このような球面波を構成するためにマックスウエル方程式を満足するすべての複素数である、平面波を含む必要がある。虚数波動ベクトルが許されるので、成分(kx,ky,kz)は次に如何なる値をも採ることができ、なおもマックスウエル方程式を満足する。ここで、水平(lateral)成分kT=(kx 2+ky 2)1/2がkよりも大きい「平面波」は大きな水平分解能(1/kT程度)をもつことができる。しかし、これらはマックスウエル方程式を満たすために虚数成分kZを持つ必要があるので、この波は「エバネッセント」であり、波長λ以上を伝搬できない。エバネッセント波検鏡の差動法は、強いエバネッセント波と、エバネッセント波と検査物質との間の強い相互作用とを得るために異なる手段を利用する。例えば、半径r(<<λ)の波源を与える金属球またはチップは、波動ベクトルがkT〜1/rまでであり、分解能が〜rまでのエバネッセント波(金属表面上に球面波を形成するために境界条件を満たす)を発生する。チップと試料(強誘電率の)との間の相互作用は、極性効果により有効チップ半径が減少する結果として、高いkT成分と分解能とをさらに大きくすることができる。これらの波は自由空間の距離rに関して減衰するので、強力な相互作用を得るために試料をチップのr内に置く必要がある。導電材料のkc=2π/λcは自由空間のそれよりも極めて大きいので、導電材料においてこれらの波動は必ずしもエバネッセントである必要はないことに注意すべきである。
【0011】
本発明の走査型エバネッセント顕微鏡は、高分解能で表面を撮像すると共に、影像に分解された細部に関連する複素電気インピーダンスの定量的測定を得るために、エバネッセント波を利用している。本発明の装置は、走査においてチップ回りのエバネッセント波と試料との間の、近接場の相互作用を利用している。
【0012】
図1は、マイクロ波空洞10のようなマイクロ波共鳴器を含む新規なエバネッセントプローブ構造を利用する、本発明の近接場顕微鏡システムを示している。空洞10は、入力信号を同軸ケーブル32を介して空洞10のループ結合入力12に送るよう、空洞10に電気的に接続された発振器30を有している。空洞10のループ結合出力14は第2の同軸ケーブル42を介して検出器40に接続されている。次に、検出器40は出力信号をデータ収集ユニット50に送る。データ収集ユニット50からのデータは、次にコンピュータ60に接続された影像表示器70で可視できるようデータを影像に変換するコンピュータ60に送られる。D.M. Pozarによるテキスト「Microwave Engineering」(Addison-Wesley Publishing Co, New York, 1990)で詳細に説明されているように、共鳴空洞にエネルギを送り、またはそこから受けるために、結合ループまたは転回ループに加えて別の手段を利用できる。
【0013】
チップの構造
従来の最良のチップの構造は、絶縁材で取り囲まれ外部シールドに囲まれた、中心導電ワイヤを含んだ開放端の同軸ケーブルを備えていた。この形式のチップは、減衰する前に波長(λ)の幾つか以上を伝搬せず、従って高分解能測定をもたらす近接場のエバネッセント波と、遠隔場の伝搬波との両者を発生していた。伝搬波は、近接場エバネッセント波を妨害するので望ましくない。伝搬波を最小にするために、研究者達はより細い径の同軸ケーブルを使用することを試みてきたが、結局のところ、大きなエネルギ損失と、シールドと中心ワイヤとの間の絶縁破壊を避けるための困難な物理的構造とが問題になった。従来の同軸ケーブル設計に関する実施上の直径の制限のために、本発明者は中心ワイヤが尖鋭されシールドを越えて所定距離突出された、または尖鋭チップが機械的かつ電気的に中心ワイヤに接続された構造を開発した。さらに発明のシールド要素は、チップの尖鋭端部と外部シールドの端部との間に発生する、如何なる電磁界をも最小にするために、同軸ケーブルのボトムエッジに付加される。開放された場合、これは遠隔場伝搬波が試料に達して、近接場エバネッセント波を支配することを許してしまう。さらに本発明者はプローブチップのすぐ上に、または近くに配置された共鳴器を追加した。これによりエバネッセント波を発生でき、さらに高い効率と感度で検出できたが、この共鳴器は全ての応用例のために必ずしも必要な部品ではない。
【0014】
本発明のSEMMチップは伝搬波の発生を制限するので、高分解能のエバネッセント波測定を有効に行うことができる。遠隔場伝搬波の発生を制限する本発明のチップの1つの特徴は導電性シールド要素であり、さもなければ開放されていた同軸ケーブル部分上に達する。図1と2とを参照すると、その端部からプローブチップ20が延びる新規な導電性シールド16は、その外縁が外側同軸シールド17および内縁領域に接続し、または電気的に短絡することなくプローブチップを取り囲むように配置されている。導電性シールド要素32は、過剰損失の発生を避けるために薄いことが好ましく、1μm程度の厚さである。サファイアのような低損失絶縁材で物理的に支持されていることが好ましい。本質的に、外側シールド32は絶縁材の端部16に延びているが穴または開口22を有しており、そこを通って、シールドに電気的に短絡することなくプローブが延びている。この開口は円形であると都合がよいが、円形である必要はない。開口は同軸ケーブルまたはエバネッセント波を発生する共鳴器のいずれかよりも小さい。絶縁体の端部がプローブ部の軸線に略直交する平面を成していると都合がよいが、容認できるプローブ感度が維持され、Q係数の低下が回避できる限り、テーパ面は外側シールドとプローブとの間の隙間の一部に広がることができる。Q係数は物質係数であり、これは共鳴器内の全エネルギと、共鳴器で放散されるエネルギとの比である(Q=Qtotal/Qdissipated)。Q係数は空洞の幾何学的な関数であり、空洞のテーパ状の壁は、如何なる所定の測定に関して容認できない程この係数を低下させる(感度も同様に低下)。好ましくは、Q=2πEtotal/Edissipatedである。
【0015】
図1および2に示されるように、本発明では検出器と同様に、点状エバネッセント・フィールド・エミッタとして作用する尖鋭金属チップ20が、空洞10の端壁の円筒型の穴または開口22を通って延びており、以下でさらに詳細に説明する。試料80が尖鋭チップ20の近傍に載置されている。試料80は可動ターゲットマウントまたはステッパ機構90に載置されており、これはコンピュータ60からの信号により制御されるX-Y-Z走査コントローラ100により、X,Y,Z軸を移動できる。
【0016】
マイクロ波発振器30、検出器40、データ収集ユニット50、コンピュータ60、ディスプレイ70、可動ターゲットマウント90、X-Y-Z走査コントローラ100は全て市販の装置である。例えば、マイクロ波発振器30はProgrammed Test Source社のモデルPTS1000を利用でき、検出器40はPasternack Enterprises社のモデルPE800-50を利用でき、データ収集ユニット50はNational Instruments社のモデルPC-TIO02150を利用でき、コンピュータ60は標準のプログラムで制御できるコンピュータで構成でき、ディスプレイ70は市販のモニタで構成でき、可動ターゲットマウント90はEaling社のモデル61-0303を利用でき、X-Y-Z走査コントローラ100はEaling社のモデル37-1039を利用できる。空洞10のような1/4波長空洞の設計原理は、F.E. Termanによる「Radio Engineer Handbook」に見出すことができる。
【0017】
空洞10は標準の1/4または半波長の円筒型マイクロ波空洞共鳴器を含み、尖鋭金属チップまたはプローブ20が取り付けられたテーパ端10を備える、中心金属導体18を有している。 中心導体18を、空洞10内に同軸で中心に位置決めするために、テフロンのような絶縁材料でなる光学スペーサが利用できる。図示のように、プローブチップ20は端壁16に形成された開口22を通り越えて延びている。
【0018】
金属プローブチップの厚さ
金属プローブチップ20は尖鋭端を有し、直径約100Åである。尖鋭端金属チップ20の直径は通常、最小で約100Å(10nm)から最大で約100μmまでであり、200Å(20nm)から20μmの範囲であることが好ましい。尖鋭端金属チップ20は、例えば電気化学的エッチングにより一方の区域が形成されてもよく、電気化学的エッチングに先立って約1μmから約0.2mmの初期直径を有している。尖鋭端金属チップ20は中心導体18のテーパ端19に溶接または別の適切な方法で接続されてもよく、これはチップ20とテーパプローブ端部19との間の、確実な機械的かつ電気的な接続を与えるものである。
【0019】
開口径
実験的に、開口22の最小径は、共鳴器の高いQと感度とを維持する最小径となるように決定される。開口は、エバネッセント波測定を妨害する伝搬波が放射されないよう小さくなければならない。高いQを維持するために、開口22の最小径は端壁16の厚さより大きくなければならない。つまり、共鳴器の高いQ(または低損失)を維持するために、開口径dで端壁厚さtを除算した値は1より十分に小さい(t/d<<1)。理想的には、端壁は、厚さtを薄くするが剛性(機械振動は好ましくない)を維持するためにサファイアまたはLaAlO3のような低損失絶縁プレート(〜1mmの厚さ)上に、約1−2μmの厚さの良導電フイルム(銀または銅)をメッキして作られる。また開口径は、開口22を貫通して延びる金属プローブチップ径にも関連している。従って、開口径の最小値は一般に少なくとも約200Å(20nm)である。しかし、開口22の径が大きすぎると、分解能が低下する可能性がある。しかし、開口22の径は最大3mmであれば満足できる分解能を維持することが分っている。一般に、開口22の径は約500Å(50nm)から約1nmの範囲であることが望ましい。
【0020】
開口を通り越した金属チップの延長
図1および2に示されるように、尖鋭金属プローブチップ20は、共鳴器10の端壁16の開口22を通り越して延びている。本発明によるプローブチップ20が、開口22の径と匹敵する所定距離だけ開口22を越えて延びている理由は、共鳴器の開口の大きさに関する影響を小さくするためである。つまり、尖鋭金属プローブチップ20が、従来のように開口22で終結する代わりに開口22を通り越して延びている理由は、開口22の径よりはむしろプローブチップ20の径に寸法的に依存する、高い間隔分解能を提供するためである。開口22を越えたプローブチップ20の延長はまた、試料の走査に関しても役立ち都合が良い。開口22を通り越して延びる尖鋭金属プローブチップ20部分の長さは、開口22の径に関連している。開口22を通り越して延びるプローブチップ20の長さは、開口22径の約1/3から開口22径の約3倍である。開口径に対する延長部の長さの好ましい割合は約1であることが見出されている。この延長長さは、大きな雑音(開口からの放射により発生し試料と相互作用する)を発生しないが、チップ−試料の相互作用により大きな信号を発生するような長さに選択される。
【0021】
共鳴器
図1および2の実施の形態を参照すると、シールド32を含む空洞10は、金属で成型されているが、強磁性体金属よりは、銅や銀などの反磁性体を含むことが好ましく、空洞10に関して磁気変調を利用できる。空洞10の径(または大きさが変化する場合、複数の径)は空洞10のQ係数により決定できるが、空洞10の長さは波長(共鳴周波数での)の1/4に等しく、つまり、空洞長さ=λ/4(1/4波長空洞)である。一般に。空洞の径は十分に大きく、さらに最適なQを与えるために、空洞10と中心導体18との直径比は約3.6である。マイクロ波空洞または共鳴器のQは、空洞の性質係数として定義でき、できるだけ高く保たれる必要がある。近接場顕微鏡の感度は、入力マイクロ波電力と共鳴器の無負荷時Qとを大きくすることで向上でき、このQはQuで示されており、Qlで示される負荷時QがQuの2/3であるよう結合強さを調整することで達成される最適な結合を備えている。
【0022】
共鳴器の空洞容積は誘電材で満たされており、低損失のものが好ましい。共鳴波長は空洞に満たされた相対誘電率の2乗根に直接比例する、つまり、λ=ε1/2/λ0である。相対誘電率は真空中の誘電率に比例する。つまり、大きなεを有する誘電を利用すると、空洞の共鳴周波数が低下し、または所定の共鳴範囲に必要とされる空洞の大きさを低減する。空気を含む共鳴空洞を満たすために有利に利用できる誘電材は、ストロンチウム・チタニウム系(SrTiO3)とサファイア(Al2O3)である。
共鳴器の高さはλ/4の整数倍、つまりnλ/4でありnは整数である。共鳴器が開放共鳴器の場合、nは偶数であり、密閉共鳴器の場合nは奇数である。
【0023】
共鳴器の代わりに同軸ケーブルを使用
共鳴器は標準の同軸ケーブルに置き換えることができる。図16は標準の同軸ケーブルを共鳴器の代わりに使用した、本発明のプローブチップの実施の形態を示す。電磁エネルギ源40は電磁エネルギをケーブルに送る。同軸ケーブルは、絶縁材44と中心導電要素48とを取り囲む、外側の電気シールド要素52を有している。中心導電要素は同軸ケーブルの端部を越えて延びており、チップまたは微細チップに尖鋭されて20に取り付けられている。ケーブルの同軸部の端部は、絶縁材に薄い金属端壁46が取り付けられており、シールド52と中心導体48との間に挿入されている。端壁の厚さは、共鳴器端壁の導電端部16と同様に導くことができる。同軸ケーブルの端部に設置された端壁46は、中心ケーブル48が端壁に電気的に短絡することなく通ることができる十分な大きさのオリフィスを有している。
【0024】
本発明のプローブは、同軸ケーブルを備え、さらに端壁46とソース40との間に配置された誘電カプラ42を有している。誘電カプラ42は電磁波源をケーブルに結合する。電磁波はケーブルをその端部まで伝搬し、端壁に反射して戻る。プローブチップ60と走査される試料との間の相互作用は、反射波の特性を変える。反射波は誘電カプラ42によって検出器に結合され、増幅され、反射波の位相が測定される。複素導電率、誘電率、損失角正接、導電率および他の電気的パラメータなどの試料の物理的特性の定量値は、SEMMにプログラムされた方程式を使用して測定される。
【0025】
誘電性または強磁性の複素電気インピーダンスの定量的測定
遠隔場波成分を最小化または除去する共鳴器を有する、シールドされたプローブチップを備えた本発明のSEMMを利用して、誘電材料が100nmの空間分解能と1×10-3の感度をもって撮像されている。さらに、プローブチップ周りのフィールド分布の分析的数式の計算法を使用して、複素電気インピーダンス誘電材の定量的測定が行なわれる。つまり、影像の分解能と感度との適合する電気インピーダンス値のマップが構築され、測定された複素電気インピーダンスは影像として見える特徴と相互に関連がある。
【0026】
再び図2を参照すると、一つの実施の形態として同軸共鳴器はλ/4の高さをもっている。チップワイヤより僅かに大きい中心穴を有するサファイア・ディスク21が端部プレートに設置されている。チップ径は約50μmから約100μmの間である。サファイア・ディスクの外面は、約1μmの金属層で被膜されており、遠隔場伝搬成分からチップをシールドしている。金属被膜の厚さは、開口近傍で大きな損失をもつマイクロストリップ線路の形成を回避するための表皮厚さによって決定される。ひとつの実施の形態としてサファイア・ディスクは振動を最小限にし、絶縁接着剤を用いてプローブチップに接着されている。さらに、チップワイヤを端壁シールドに対して固定するために低エネルギ損失の絶縁接着剤が使用でき、よってチップはシールドに対して振動しない。
【0027】
他の実施の形態として、全体の共鳴器空洞は、SrTiO3のような誘電材で満たされている。この場合、共鳴波長が空洞を満たす材料の相対誘電率の2乗根に逆比例するので、共鳴器空洞の高さは非常に低減される。λ=(c/f)ε-1/2、ここで、f=1GHZであり、SrTiO3のためのε=300、λは約1.73cmであり、共鳴器の高さλ/4は約0.43cmである。共鳴径もまた著しく減少する
【0028】
継続中の出願番号08/717,321に説明されているように、影像は、撮像される試料に直接物理的に接触する共鳴器のチップを配置することで得ることができる。共鳴器は、該共鳴器の共鳴周波数より僅かに高い、または低い周波数で駆動される。次に、入力周波数での出力(検出器の出力電圧により測定される)を記録することで、共鳴周波数の変動が測定される。チップが試料を走査するに従って、共鳴器の共鳴周波数が低減する。つまり、例えば二酸化珪素等で被膜された極細ニオビウム・ワイヤは、約5μm(約λ/100,000)の空間分解能でうまく撮像できる。
【0029】
本発明において、試料表面の導電率の相対差を検出することに加え、複素電気インピーダンスの定量的測定値が得られる。これは共鳴周波数fr、性質係数Qが、試料材料のような如何なる材料の誘電率と損失角正接とを関数とし変化するので可能である。しかしながら、従来、frやQの測定された変動値から誘電率、損失角正接または複素電気インピーダンスに関する定量的情報を得るための、この関数関係は十分に知られていなかった。
【0030】
本発明は、試料表面の一連の位置で測定されたfrQに関する一連の変動値を、複素電気インピーダンス(例えば誘電率、損失角正接または導電率)へ正確に関連づけることができる、演算要素走査型エバネッセント波共鳴プローブ顕微鏡を備えている。演算素子は一連の異なる周波数でのεと損失角正接(tanδ)の値を演算するようプログラムされている。
【0031】
刊行物として認められ、この中に参考文献として組み込まれた、本発明者がReview of Scientific Instrumentsに提出した「Quantitative Microwave Near-Field Microscopy of Dielectric Properties」で十分に説明された数学的手法で演算が行われる。
【0032】
本発明の顕微鏡を使用して、プローブチップは直接試料に軟接触するか、プローブと試料との間に僅かな間隙を保って配置される。誘電試料の測定を行うための幾つかのステップがあり、以下に説明する。要約すれば、試料の誘電率と損失角正接を測定する1つの方法は次のステップを含んでいる。
a)プローブの基準共鳴周波数f0を次のステップで測定し、
i)試料の影響を受けないように、プローブを試料から十分離して配置し、
ii)周波数レンジを掃引し、
iii)周波数vs.電力をプロットし、
iv)f0とよばれる、最大周波数を見出すために曲線を適合させる。
b)2点の電力半値振幅点での差周波数によりf0を除算することでQ0を決定し、
c)式S=MQ0 2、Sはf0での電力、により係数Mを計算し、
d)誘電率が既知の試料を利用して、方程式5および6の幾何学的因子A,B,およびR0を校正し、
e)走査型エバネッセント電磁波顕微鏡のプローブチップを試料の近傍にまたは軟接触させて配置し、
f)試料がプローブチップ近傍に接近することにより生じる共鳴周波数の変動を測定し、
g)試料がプローブチップ近傍に接近することにより生じる性質係数の変動を測定し、および、
f)軟接触の式(2)と(3)、プローブ−試料の間隙の式(5)と(6)、または薄膜の式を含むグループから選択された一対の式を利用して、誘電率と損失角正接を計算する。
【0033】
もしくは上記ステップに続けて、f0とQ0とを得ることに適合したローレンツ曲線を利用して、周波数vs.電力曲線を測定できる。
【0034】
誘電体の軟接触測定
エバネッセント波と、プローブ波長よりも極めて小さなチップ径とを使用する場合、電磁波を準静的なものとして取扱うことができる。つまり、フィールド内の波の性質を無視できる。さらに、小さなプローブチップの近傍の試料は、その誘電特性に関して合理的に均質で等方性とみなすことができる。
【0035】
つまり、ε=ε'+jε''であり、ε>>ε0、ε'>>ε''である。ここでεは複素誘電率、ε'は誘電率の実数成分、ε''は誘電率の虚数成分、ε0は自由空間での誘電率である。
さらに、μ=μ'+jμ''であり、μ〜μ0である。ここでμは試料の複素透磁率、μ'は透磁率の実数成分、μ''は透磁率の虚数成分、μ0は自由空間での透磁率である。
【0036】
図3は測定ジオメトリー図を示している。プローブチップ20は、チップ半径より極めて大きな厚さを有する誘電材料80と軟接触している。例えば、試料の厚さはチップ半径の2倍以上の厚さであってもよい。厚さとして5倍であることが、さらに好ましい。まず最初に、チップは波長より数桁小さい長さだけ空洞を越えて突出しているので、プローブチップは、共鳴器端壁内の中心導電体の端点またはチップと同じ電位のもとで、荷電導電性球体として説明できる。チップ下方の誘電材はチップの電場によって分極され、電気的にチップに作用して導電性球体の等電位面を保つようチップ上の電荷の再分布を引き起こす。チップの作用は、試料に配置された影像電荷q1’で示され、プローブチップ内の電荷の再分布は、球体モデルのチップ先端内の別の影像電荷q2で示される。この作用および再分布は繰り返される、つまり平衡になるまで反復される。図3に示されるように、3組の影像点電荷が形成され、これはチップと誘電試料表面との両方での境界条件に合致する。試料内のフィールド分布のピーク値は、試料の点電荷qn''、実効値qnの組からの寄与の重ね合わせとして示すことができる。フィールド分布の表示は次式のようになる。
ここで、b=(ε-ε0)、q=4πε0R0V0、R0はチップ半径、erとezとは、各々円柱座標rとzの方向での単位ベクトルである。このフィールド分布はクーロンの法則と、誘電試料およびプローブチップの導電性球体の終端との表面上の境界条件を満足する。このモデルにおいて、大部分の電磁エネルギは空洞に集中し、空洞内のフィールド分布は、如何なるチップ−試料の相互作用によっても乱されることはない。従って、共鳴周波数を見出すために周波数が僅かに摂動し、または空洞内に供給されたエネルギ振幅が摂動する、電磁共鳴器の摂動論がfrとQの変動を計算するために利用でき、これらは式(2)(3)に示されるように特定の誘電材からもたらされる。
ここで、E0,H0,E1,H1は各々、摂動の前後の電場と磁場とを言及し、λは波長であり、A=4πε0R0(V0 2/Etotal)はチップ組立体(理想的なλ/4同軸共鳴器に対してA〜16R0ln(R0/R1)/λ)の幾何学的形状から決まる定数であり、tanδ=ε'/ε0である。V0はプローブチップ電圧である。
【0037】
まず共鳴周波数について検討すると、式(2)は共鳴周波数の変動はプローブチップの半径R0に比例する。プローブチップをモデル化する方法であって、所定電圧において球体の半径と信号への全体の寄与度とに逆比例する導電性球体近傍の電場は、試料の容積で除された電場の大きさの2乗の積分(integration)である。
【0038】
性質係数Qについて検討すると、誘電体近傍に配置された場合に、球状プローブチップ上の電荷分布を維持する必要がある余分の電流は、抵抗損失を生じる。この結果、次式に示すようなQ変動が起こる。
全Q変動は、
tanδは損失角正接である。
【0039】
式(2)(3)および(4)を用いて、プローブチップ半径より極めて大きな厚さをもつ試料の、局所的な複素誘電率の定量的測定値を得ることができる。試料の厚さは、少なくともプローブチップ半径の約2倍であってもよい。試料の厚さは、少なくともプローブチップ半径の5倍であることが好ましい。試料の厚さは、少なくともプローブチップ半径の10倍大きいことがさらに好ましい。定数AとBとは、既知の誘電率と損失角正接とを有する、サファイアのような基準試料と対照した校正により見出される。テーブルIは、本発明のSEMMを用いて測定した、複数の材料の相対誘電率εrと損失角正接とを記載したものである。相対誘電率は真空中または空気中での測定値に関連している。測定値はサファイア単結晶(10GHZにて、εr=11.6,tanδ=2×10-5〜0)と対照して校正されている。これらのサファイアの値と、テーブル中の報告された値はT. Konaka, et.al., J. Supercond. 4: 283(1991)から得たものである。測定値は極めて良く文献の値と一致しており、これらが大きな容積の平均値として測定されている点で機能的に異なっている。
テーブル I .単結晶の誘電率および損失角正接の測定値
【0040】
誘電体のエアギャップ測定値
試料に対して直接プローブチップを接触させないことが好ましい場合がある。この場合、図4に示されるように、反復関係が影像電荷から引き出される。
ここで、a’=g/R0であり、gは試料とプローブチップとの間のギャップ距離である。反復の初期値はa1’=1+a’=1+g/R0でありt1=1である。前述と同様に摂動論を用いると次のようになる。
【0041】
図5は酸化マグネシウム(MgO)単結晶(データ点は△で示されている)に関する、ギャップ距離を関数として共鳴周波数frを示している。モデル式(5)を使用した最も良く適合する曲線も示されている。MgOについて、εr=9.5、R0=12.7μm、A=1.71×10-3である。測定値と、本発明の顕微鏡に使用される数学的モデルとの間の卓越した一致は、準静的で球状のチップ近似が正確な測定値をサポートすることを示している。
【0042】
軟接触での測定値を使用して得た測定値に対する、エアギャップの影響を評価することが重要である。g/R0に等しい軟接触測定値a’はゼロに近づくので、エアギャップ測定値は以下のようになる。
および、
その結果、
ここで(Δfr/fr)は、チップが式(2)で評価できる試料と軟接触する場合の周波数の変動を参照する。式(7)は、チップと試料との間の距離が1nm以下(例えば100nmのチップ半径に対してa’〜10-2)に保たれても、式(6)の第2項が比較的小さな分母(1−b〜2ε0/ε)をもっているので、このようなエアギャップの影響は無視できないことを示している。εr=10での差は約10%であるがεr=35では50%に急増する。
【0043】
薄膜の測定値
本発明のSEMMの1つの応用例は、薄膜の誘電率を測定することである。この点で、従来から薄膜とみなされている多数のフイルムが、そこでプローブチップを形成できる極度の鋭さのために大きな試料のように、本発明のプローブと相互作用することを理解することが重要である。概ねプローブチップの半径R0と同様に、フィールドの浸透厚さを式(1)を用いて計算できる。
【0044】
膜厚がR0と同程度かまたは小さい場合には、図6に示されるように影像電荷が発散するので、上述の影像電荷モデルは有用でない。一般的に、このような薄膜に対しては有限要素解析のような計算法が必要である。しかしながら、チップ上の相互作用に対する基板の寄与のモデル化が、影像電荷法による良好な近似値を提供する。膜厚と誘電率とが大きくなるに従って、基板を形成する寄与は小さくなる。この寄与は、複雑な影像電荷を形成する相互作用の影響を次の式を用いて「有効電荷」に置換えることでモデル化される。
ここでb20=(ε2−ε0)/(ε2+ε0),b10=(ε1−ε0)/(ε1+ε0)であって、ε2とε1は各々、膜と基板の誘電率であり、a=d/R0とdとは膜の厚さである。無限に薄い膜と、無限に厚い膜との極端な極限値を選択した状態を説明する。定数0.18は一連の校正によって決定されたものであり、この値はさらに改良できる。本発明は式中の特定の値に制限されない。上述のものと同じプロセスと用いると次のようになる。
ここで、b20=(ε2−ε1)/(ε2+ε1),tanδ2とtanδ1とは膜と基板の損失角正接である。前記2つの式を薄膜の式とよぶ。
【0045】
テーブルIIは、本発明のSEMMと従来の1GHZでのインパルス接触電極とを用いて薄膜の誘電率を測定した結果である。
テーブルII.種々の薄膜に関する、1GHZでのSEMMとインパルス電極技術とによる誘電率と損失角正接の測定値
SEMM インパルス電極
【0046】
固有空間分解能
固有空間分解能は顕微鏡の性能係数として重要である。本発明の顕微鏡の固有空間分解能は、異なる誘電率の材料に関して、中心チップに対する横方向の位置(r)を関数として、小さな垂直コラムからの(Δfr/fr)への寄与を数値計算するための式(2)を用いて推定できる。寄与はrが増加すると、特にεが大きい場合は急減する。半径r内の容積からの寄与が、全体寄与の50%に達するような半径を固有空間分解能と定義する。この場合に中程度のεr(〜50)で推定された分解能はチップ半径より約2桁小さく、εrが大きくなるに従って僅かに減少する。このことは図7に示されている。この挙動は、分極された誘電試料によって、プローブチップ上の有効な検査電荷が試料に引き付けられることを考慮に入れると理解でき、誘電率が大きいほど電荷と試料との有効距離が短くなる。結果として、試料内のフィールド分布が、試料表面に垂直な分極を伴ってチップ頂点直下の微小領域に集中し、frおよびQ変動がこの微小領域からの寄与によって支配される。中程度の誘電率を有する誘電材料に関する実験により、100nmの分解能が数ミクロンのチップ半径によって達成できた。近接場顕微鏡の性能係数は、試料内の波長と空間分解能の割合である。この実施の形態では、約4×105の性能係数が次のように計算され、計測により立証されている。
λ0=c/f=30cm
λ=λ0ε-1/2=λ0/50-1/2=30cm/7.1=4.2cm
空間分解能は100nmなので、性能係数は次のようになる。
λ/100nm=4.2cm/10-5cm=4.2×105
【0047】
金属中の電磁波長は、自由空間のものよりも数桁、少なくとも4桁小さいので、導電材の試料はこの分解能の解析には適応しない。
【0048】
感度の解析
共鳴システムは、有効静電容量C、インダクタンスLおよび抵抗Rを有する等価集中直列共鳴回路を用いて解析できる(理想的な1/4波長の共鳴器について)。
ここで、l?λ/4は有効空洞長さ、Rsは空洞材の表面抵抗、R2,R3は各々中心導体と外側導体の半径、ε0とμ0は各々誘電率と透磁率である。共鳴システムの非結合(Qu)と結合(Qc)性質係数は次式で与えられる。
ここで、R0はソースの内部抵抗、ω=2πfr=1/√LCおよびfrは共鳴周波数、およびp∝(h/l)・cosθは結合係数(hは等価結合長さ、θは結合ループと半径方向との間の角度)である。ソースからの電力P0、空洞への電力P、空洞に蓄積されたエネルギEは次式で示される。
ここで、V0は開放端のピーク電圧である。ダイオード検出器で検出される信号Sは、結合ループ電圧の2乗に比例するので次式を得る。
共鳴周波数において、ここで、既知の材料の周波数応答性からQを測定することで決まるMは定数である。
【0049】
同時に、位相検出器の出力信号は次式で示される。
ここで、z=2Qc(ε0−εr)/εr、ε0はソースの角振動数、Vnは雑音電圧である。次に、δε=(ω0−ωr)による出力が次式で示される。
【0050】
ジョンソン雑音に制限される感度を推定するために、図3に示されるような、物理温度Tでの高減衰整合ネットワークを検討する必要がある。基準平面に関する左側と右側に流れるエネルギは熱的平衡の状態で等しい。
ここで、N=Qu/(Qu−Qc)は挿入損失であり、kBはボルツマン定数であり、Bはデータ収集のバンド幅である。最終的に雑音電力は次のようになる。
次に、ジョンソン雑音制限感度が、Ps=Pnにより決定される。
PQcが最大値Qc=2/3・Q(結合ループ角度を調整することで達成される最良の動作条件)の場合、検出可能な最小値(δε/ε)は次式で推定できる。
ここで、cは自由空間での光の速度である。シールド被覆体とチップワイヤとの間の真空破壊電圧V0=10V(シールド被覆体とチップワイヤとの間のギャップが10nmとして)と仮定すると、R0=1μm、fr=1GHZ、T=300K、B=100kHz、Qu=1700、R2/R1=5として、推定感度は約1×10-5である。このような感度を得るためには、df/f=1×10-8のマイクロ波源が必要である。システムに使用されるアナログ式電圧制御発振器(VCO)(10-6)の安定性により、感度が1×10-3に制限される。上記の式は、感度がチップ半径R0にともなって直線的に増加することを示している。上述のように分解能はチップ半径にともなって直線的に減少するので、分解能と感度との間の競合は、物理的観点から取りうる最善の妥協点に帰着するものである。
【0051】
導電材料の導電率の定量的測定
導電材料に関する古典的な浸透厚さコンセプト(まだしばしばエバネッセント波顕微鏡で利用されている)は、もはやエバネッセント電磁波を導電材との間の相互作用を説明するには有効でない。古典的な浸透厚さコンセプトは、導電表面と伝搬平面波との間の相互作用に基づいており、平面波のkベクトル成分(kT,kZ)はk0より小さくなければならない。kC>>k0の場合、種々のkZに関する導電材料内側の反射波と、一価kT=k0によって計算できる全ての物理的パラメータとの間には僅かな差がある。逆に、エバネッセント波と試料との間の相互作用に含まれるエバネッセント波に関するkベクトル成分(kT,kZ)の値は多値であり、k0より非常に大きいであろう。全ての物理パラメータは各々異なるkベクトル成分値に対して計算され、積算(integrated)される必要がある。次に詳細なフィールド構造の計算と、エバネッセント電磁波の導電材との相互作用を説明する。これは定量的エバネッセント電磁波顕微鏡について、科学的に広範囲な応用を可能にするものである。原理的にその効果は、相互作用領域の大きさよりも非常に大きな波長である限り、遠赤外線までの周波数のエバネッセント波顕微鏡に応用できる。さらに、ここで検討する電場構造は、種々の走査型プローブ顕微鏡に関する静電場構造と一致しているので、走査型プローブ顕微鏡を用いた幅広い定量的検鏡も可能となる。
【0052】
本発明のSEMMは、中心導体に取り付けられた尖鋭金属チップを備えた、高い性質係数(Q)のマイクロ波同軸共鳴器に基づいている。チップは共鳴器の金属シールド端壁に形成された開口を越えて延びている。チップとシールド構造とは、伝搬遠隔場成分が空洞内で遮断されるものの、非伝搬エバネッセント波はチップで生成されるよう設計されている。この特徴は高分解能と定量的解析の両方に非常に重要である。エバネッセント波と伝搬波との相互作用をモデル化することは数学的に適していないので、(後者が共鳴器から漏れた場合)、本発明の顕微鏡構造でなければ定量的検鏡は不可能である。従来のアンテナプローブ(遠隔場コンセプト)と対比して、本発明のプローブは有意なエネルギを放射しない(従って、感度を上げるための非常に大きなQを提供できる)。チップが試料に接近した場合のみ、チップ上のエバネッセント波が材料と相互に作用できる。相互作用は空洞の周波数とQ変動とを高め、結果として電気インピーダンスの検鏡が向上する。
【0053】
要約すると、導電性試料の導電率の測定は次のステップを備えている。
a)プローブの基準共鳴周波数f0を次のステップで測定し、
i)試料の影響を受けないように、プローブを試料から十分離して配置し、
ii)周波数レンジを掃引し、
iii)周波数vs.電力をプロットし、
iv)f0とよばれる、最大周波数を見出すために曲線を適合させる。
b)2点の電力半値振幅点での差周波数によりf0を除算することでQ0を決定し、
c)式S=MQ0 2、Sはf0での電力、により係数Mを計算し、
d)走査型エバネッセント電磁波顕微鏡のプローブチップを試料の近傍にまたは軟接触させて配置し、
e)プローブチップと導電率が既知である基準試料との間のギャップ距離gの関数として、周波数と性質係数とを測定し、適合させることによって、式(12)および(19)の幾何学的因子A,B,およびR0を校正し、
f)試料がプローブチップ近傍に接近することにより生じる共鳴周波数の変動を測定し、
g)式(12)からgを計算し、
h)試料がプローブチップ近傍に接近することにより生じる性質係数の変動を測定し、および、
i)式(19)を用いて導電率を計算する。
【0054】
導電性材料がチップ(球体としてモデル化された)の近傍に配置された場合、チップと相互に作用して、電荷とフィールドの再分布が起こる。一次フィールド再分布は、無限の導電率を有する理想的なコンデンサとして材料を論じることで得ることができる。準静的近似のもとで(波長がフィールド分布の有効領域よりも非常に長い)、導電材表面は電荷ミラーであり、チップ−試料間の相互作用は図8に示されたような、多影像電荷プロセスとして表すことができる。チップ−試料領域の電場は、全電荷からの寄与の重ね合わせとして計算することができる。
電磁場は次式のようになる。
ここで、ε0とμ0は自由空間の誘電率と透磁率であり、R0はチップ半径、erとezは円柱座標rとzの方向での単位ベクトル、anR0とqnはチップ内側のn次影像の位置と変化である。anR0とqnは次式で示す反復関係である。
初期値としてa1=1+a0とq1=4πε0R0V0、ここで、a0=f/R0であり、hはチップ−試料間の距離、V0はチップ電圧である。式(8)がクーロンの法則および、チップ表面と導電材表面との境界条件を満たすので、この式は正しいものであり、かつ唯一の解である。しかしながら、ここでは電磁波(
フィールドはマックスウエル方程式に関連している)を扱うので、ここで解かれた電場の構造は、種々のSPMsの静電場構造と一致している。
【0055】
式(10)から得られる一般的な
フィールドの強度の形状は火山形(図9)である。異なるチップ−試料距離に関する半径方向分布が、図10に描かれている。この図は、チップ−試料間の距離が大きくなると、各々、キャスタ(顕微鏡の空間分解能の単位)の大きさが減少しフィールド強度が増加することを示している。
【0056】
次に共鳴器の等価直列RLC回路を通じてシステムを解析する。チップは小さなコンデンサC’に相当し、この静電容量はチップ−試料の相互作用に依存し、共鳴回路の主コンデンサと並列である。よって相対共鳴周波数変動はC’の変動に比例する。この変動もまたチップの全電荷の変動、つまり、試料−誘導(影像)電荷により表すことができる。
この結果は、良い金属状態が満たされる場合には、全ての導電材に普遍的(静電容量に依存しない)である。つまり、金属状態はσ>>ωεであり、ここでσ,εは各々導電材の導電率と誘電率、ωはマイクロ波の角振動数(例えば1GHZでの銅のσ/ωεは109の位数である)である。図11は測定されたfを銅のチップ−試料間距離の関数として示し、A=2.82×10-3、R0?8μmで式(12)に最も良く適合(測定と一致)している。
【0057】
導電材内部での損失エネルギを計算するためには、2次近似と、これに続いて導電材表面のエバネッセント電磁波の屈折と、材料内部の減衰作用とを検討する必要がある。次の段落で、最初に導電材表面のエバネッセント電磁波の屈折を検討する。その後、SEMM信号からの導電率を定量的に得るために、導電材内部での波動の減衰と損失とを計算する。
【0058】
空気中および導電材の電磁波の波動方程式は次のようになる。
ここで、uは電磁波の全ての成分、k0とkcは各々、空気中および導電材の(複素)固有波動ベクトルである。kc 2=ω2εμ(1+iσ/ωε)でありk0 2=ω2ε0μ0、ここでμは導電材の透磁率である。|kc 2|>>k0 2 であり、マイクロ波周波数が<10 GHZ(|kc2/k02|?60)で、ごく軽くドープされた半導体(例えば1015のドーパントレベルで、抵抗率が3Ωcmのシリコン)と等しい。
【0059】
境界条件により、波動が空気中から導電材表面に入射(伝搬またはエバネッセント)した場合、波動ベクトルの水平成分は境界面と連続的に交差する。つまり、
であり、ここで、
は境界面に垂直な単位ベクトルであり、
は
の反射波ベクトルを表している。入射ベクトルが伝搬波である場合、この波動ベクトルの空気中の垂直成分k0z(=k0cosθ、ここでθは入射角)は実数であり、水平成分
はk0以下に制限される。従って、伝搬波の導電材内部の反射波ベクトルは常に表面にほぼ垂直である。つまり、k0zは|kc|に比して無視できるので、
である。結果として、減衰長さは入射角に依存しない。この観点から考えると、マイクロ波領域での入射電磁波の入射角(つまり波ベクトルの水平成分)に依存しない、特定の周波数で導電材は独特の表面インピーダンス(または表面抵抗)を有していると普通言われている。従来の浸透厚さコンセプトはこの事実に基づいたものである。しかし、エバネッセント波に関しては状況が全く異なる。この状況では、対応するk0rは如何なる値も可能であり、|kc|と比較できるほど、または、さらに大きいことが可能であり、もはや無視できない。結果として、減衰長さ(kczの虚数部で決まる)がk0zに依存しているので各k0rを計算する必要がある。古典的な浸透厚さコンセプトはこの点を欠いている。この事実を特に考慮していない如何なる導電材のエバネッセント波検鏡理論も欠陥がある。上述の理論をさらに綿密に組み立てるために、表面フィールド
を、フーリエ光学のように、空間周波数のコンセプトを用いて種々の水平成分に発展させる。
チップ−試料間距離対チップ半径(a0)の種々の比率に対する空間周波数スペクトル計算値が図12に示されている。遮断空間周波数が特定のR0とa0とで存在することが明らかである。チップ−試料間距離が小さくなると(つまりa0/R0が小さくなると)、高い空間周波数成分が強くなることも図から明らかである。またa0の減少に対し、強度がスペクトルの高いk0r値域では急増し、低いk0r値域では暫増することが明らかである。つまり、チップ−試料間距離の減少に関連して増加するフィールド強度は、主として高い空間周波数領域に集中するのである。
【0060】
導電材内部の対応する垂直波動ベクトル成分kczが次式で得られる。
ここで、kcz rとkcz iは、kczの実数部と虚数部とを意味し、σ=2σ/(ωμε)は金属と半導体との古典的な浸透厚さ、または超電導体の浸透厚さである。導電材内部の対応する電磁場は次式のようになる。
さらに、導電材に流れ込みかつ分散する全電力は次式のようになる。
ここで、
はポインティングベクトルである。導電体内部で分散する電力により発生するQ変動は次式のようになる。
ここで、Bは定数であって、式(12)のAと同じ方法で、校正によって得ることができる。
【0061】
k0r<<1/δの場合、上述の手法は古典的な浸透厚さ手法と同じ結果をもたらす。しかし、k0r〜1/δまたはk0r>>1/δの場合は状況が全く変わってしまう。このことは図13と図14とから明らかである。
【0062】
また、銅に関する測定されたQ−距離曲線と、式(19)に最も良く適合した曲線とが図13に示されている。この適合によれば、B=1.52×107、導電率6.2×107S/m(従来の浸透厚さδ?2μmの特性を示す)を与え、これは銅(5.8×107S/m)の導電率と良く一致している。古典的な浸透厚さコンセプトを用いた適合が一緒にプロットされている。チップ−試料距離が小さい領域でかなり大きく異なっている。
【0063】
本発明のSEMMを用いた他の電気的パラメータの測定
静電容量やクーロン力のような、他の電気的パラメータを本発明のSEMMを用いて定量的に測定できる。ここで解いた電場構造は、走査静電容量検鏡のような種々のSPMsの静電場構造と一致している。導電試料と誘電試料の両者に対して、静電容量に関するチップと試料との間の完全な式は次のようになる。
導電試料に関して、距離がチップ半径の1/10以下の場合には静電容量は次の式で表すことができる。
チップと試料との間のクーロン力は次の式で表すことができる。
これらの関係は種々のSPMsの定量的検鏡を行うために利用できる。
【0064】
SEMMの距離の規定
電子/光学産業の飛躍的進歩は、電気特性を高分解能で撮像する能力を必要としている。本出願人は、サブミクロンの分解能で誘電特性と表面抵抗とを定量的に測定できる走査型エバネッセント電磁顕微鏡(SEMM)を開発してきた。同軸空洞の共鳴周波数(fr)と性質係数(Q)とを観測することにより、誘電特性を測定するものである。fr変動が材料の誘電率εに一致し、一方でQ変動が損失角正接(tanδ)に一致している。チップを単極としてモデル化して、一連の影像電荷を計算することによって、局所εとtanδとを推定する。チップ半径がフィールド分布の広がりを決めるので、この顕微鏡はサブミクロンの分解能をもっている。材料の定量的な特性を示すことを可能にするために、既知の距離で作動することが有用である。本出願人は軟接触モードで動かしてみたが、このモードでは分解能が低下し、さらに軟接触がチップと試料とに損傷を与えることもある。ここでは、チップ−試料の離間距離を規定して、高分解能な、非接触での材料の定量的測定と、隔離表面とを可能にする幾つかの異なる方法を説明する。
【0065】
SEMM応答の定量的なモデル化は、金属と絶縁体に関して行われている。結果として生じる曲線は理論上適合している(図11)。良質の金属の場合、この結果として生じるfr変動は、感知できるほど表面抵抗に依存しない。しかし、Q変動は表面抵抗の関数である。周波数変動は導電率により変化しないので、周波数変動は、一定の周波数変動を引き起こすよう離間距離を保つことで、チップ−試料の離間距離を制御することに利用できる。このような方法によって、表面の微細構造(topography)を影像化できる。性質係数測定と理論的計算とによって、金属の導電率を同時に影像化できる。
【0066】
金属
金属の場合、fr変動は基本的に一定であり、空洞内で一定のfrを保つようにチップ−試料の離間距離を調整することで、一定のチップ−試料の離間距離を保つことができる。表面抵抗の非接触での影像化を行う能力は、種々の応用を可能とする。あるマイクロ波群に関連して、その一例は高Tcフイルムでの副産物のプロファイリング(profiling)である。
【0067】
誘電金属材に関して、チップ応答の定量的、分析的モデルが開発されている。分解能〜λ/106のSEMMは極近接場領域内で作動するので、準静的な近似を用いることができる。チップを金属球としてモデル化し、さらに一連の影像電荷を計算することによって、局所電気特性を推定した。SEMM応答の定量的なモデル化を金属と絶縁体に関して行なった。チップ応答とモデル化応答との定量的な比較を、距離と試料特性とを関数として行い、広範囲に変化する誘電特性および金属特性の試料に関して5%以内の正確さを示した。
【0068】
金属について、その結果として生じる式は次のようになる。
ここで、加重はn=2から無限までであり、Aは幾何学的因子である。qnは反復関係により次式で与えられる。
初期条件として、a1=1+a0でありq1=4πε0R0V0であり、ここで、a0=g/R0、gはチップ−試料の離間距離、R0はチップ半径、V0はチップ電圧である。a0<<1の場合、チップからのゆっくりとした影像電荷の拡散の影響で、この式は徐々に収束する。しかし次式はa0<0.1で良く一致する。
これらの式は良金属の導電性に依存しないので、周波数変動は距離測定に利用され、表面抵抗は別に測定される。
【0069】
金属基板上でチップ−試料の離間距離を変えることにより、周波数応答性を測定できる。幾何学的因子Aを測定するための空洞校正の後に、理論曲線が適合でき、所定のfrでのR0と絶対離間距離とを得ることができる(図17)。
【0070】
本出願人の顕微鏡の設計は、以前組み立てたSEMMに基づいている。校正曲線から、周波数fRFは、あるチップ−試料の離間距離に一致するように選択される。チップ−試料の離間距離を規定するために、図2の接続31が開いた場合にフェーズロックドループを行う。一定のRF周波数fRFは空洞に送られ、空洞の出力は基準パスからの信号と混合する。基準パスの長さは、frがfRFと一致する場合に混合器の出力がゼロとなるよう調整されている。位相検出器の出力は、積算器に送られ、これは積算器出力をほぼゼロに保つために、圧電アクチュエータ(Burleigh PZS-050)の伸びを変更することで、チップ−試料の離間距離を調整する。一様な周波数変動を見せる試料に関して、これは一定チップ−試料の離間距離に一致している。測定は、振動および多少低いアクチュエータの共鳴周波数とによって約30Hzに制限される。Qを測定するために、空洞共鳴の振幅が同時に測定される。校正曲線(fr vs. d)を用いて、ある選択したチップ−試料の離間距離と一致する共鳴周波数が、空洞に関して選択される。選択された共鳴周波数は空洞に送られて、位相検出器の出力が圧電アクチュエータの印加電圧を調整するために使用される。アクチュエータに印加された電圧の変動を観測することによって、試料の微細構造を測定できる。
【0071】
微細構造と電気的情報との分離能力を示すために、金属膜上の高さが異なる一組の金属の正方形体を影像化した(図18)。この試料は、2.1μmの銀の基板上に、100nm, 200nm, 400nmの銀の正方形体から構成されている。これらは、250nm×250nmで、60nmの間隔で離間している。微細構造影像は、異なる正方形体に関して高さの差異を明らかに示している。
【0072】
表面抵抗を影像化する能力を示すために、抵抗率が異なる正方形体を影像化した(図19)。この試料はシリコン基板上の75nmの白金に溶着された、マンガン、クロムおよびジルコニウムの正方形体で構成されている。微細構造の差異は側面計により測定されたように、実在する高さの差異に一致している。損失影像では差異が明瞭に現れており、抵抗率と一致している。
【0073】
極化単結晶
周波数変動が一定の材料(極化単結晶)に関して、チップ−試料距離(d)は一定の周波数変動を保つように距離を調整することで制御できる。圧電アクチュエータ(Burleigh PZS-050)が定数frを保つように、位相検波器を用いてフィードバックループを行った。一様な周波数変動を示す試料に関して、これは一定のチップ−試料距離に一致している。試料の微細構造は、アクチュエータに印加される電圧の差異を観測することで測定される。同時に付加的な信号を測定することによって、試料の差異を微細構造と併せて影像化できる、伝送電力の差異は損失角正接または表面抵抗の差異に一致している。チップ−試料フィードバックループ、空洞バンド幅および位相検出器の出力変動の測定値に関する周波数を持つ交流電圧を応用することで、一次の非線形誘電定数(εijk)も測定できる。(図15)この影像は周期的に極化する単結晶LiNbO3ウエハーに関するものである。微細構造影像は傾斜以外に基本的に特徴がない。非線形影像は、交代領域の分極反転による反転位相を特徴としている。
【0074】
その他
開口なし(apertureless)反射モード近接場光学顕微鏡(開口なしNSOM)が距離規定に利用できる。光学周波数での材料特性の差異は、低周波数での差異よりも小さいので、開口なしNSOMは距離規定に適している。従来の近接場光学は、伝導または吸収に関する幾何学的形状のテーパ導波管を基にしている。この導波管は、光の波長より小さいサイズを備えた開口の近傍領域からの光を確認またはサンプリングできる。この近接場光学の形状は、複合プローブの製作を必要とする。開口なしNSOMにおいて、鋭い光学的伝導チップが試料に接近して動かされ、高度に集中されたスポットがチップ−試料領域を照らす。これはチップが下方から照らされた従来の開口なしNSOMと対照をなす。これらの開口なしNSOMは、光を通す試料への使用に制限される。散乱光は、チップ−試料の離間距離内で変化すると共に、振幅または散乱光の分極のいずれかの測定によって距離制御に利用できる。背景照明の影響を低減するために、暗黒の中心領域が散乱された背景を低減するようになった、Schwartzchildレンズの使用を提案する。さらに、遠隔場背景の影響を低減するために垂直ディザーを使用してもよい。このディザーは、小さな長さ目盛りにわたって変化する光学信号成分のみを検出できる。この方法は、試料の電気特性の同時測定と共同して、基板の広範囲にわたり高分解能にSEMMのチップ−試料の離間距離を制御可能にする。
【0075】
周波数変動の差異測定によって、チップ−試料距離も調整できる。例えば、試料の下に圧電素子を配置して試料の位置を振動させることで、共鳴周波数およびその調和に変化が起こる。この変化は例えばロックイン増幅器を用いて測定される。
【0076】
共鳴周波数の変化は顕微鏡信号よりも際立った距離依存性を有しており、距離制御に利用できる。距離依存性がべき法則と似ている周波数変動により、空洞ディザー周波数でのfr変動は、チップ−試料距離の付加的な要因に伴って逆比例的に変化する。垂直ディザーがチップ−試料距離に比べて小さい場合、取得信号の全体変動が小さく、微細構造と試料特性との同時測定が可能になる
【0077】
周波数変動と調和強さとは、誘電率とチップ−試料距離gの独立した関数であり、次の2つの独立した式で与えられる。
ここで、frは前記式(5)で説明されている。式(5)を式(20)に利用するために、Δfr=fr−f0である。さらに、式(5)の分母frはf0に置換され、これは数の相対的な大きさにより結果として極めて小さな影響を有している。その後、式(5)はftに関して解かれ、式(20)として用いられる。式(21)はgに関して講じられた一次導関数である。式(20)(21)は、誘電率εとギャップ距離gを得るために同時に解かれるものである。
【0078】
例示的な実施の形態の説明と、本発明の最良の形態は本発明の範囲を制限するものではない。種々の変更と別の構造および均等物が、添付の請求の範囲の真の精神と範疇を逸脱することなく実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 影像化エバネッセント近接場顕微鏡システムを含む種々の部品の概略図である。
【図2】 定量的エバネッセント近接場顕微鏡システムを含む種々の部品の概略図である。
【図3】 プローブチップの端部に接触する厚い試料に関する影像電荷分布を示す。qn系はチップ上の電荷の再分布を示し、qn’系は誘電試料の分極の効果を示し、qn’’系は試料中のqnの実効値である。
【図4】 プローブチップの端部と厚い試料との間にエアギャップを有する構成に関する影像電荷分布を示す。シンボルqn、qn’、qn’’は図3と同様である。
【図5】 プローブチップ端部とMgO単結晶の試料との間の距離を関数として測定され適合された共鳴周波数を示すグラフである。
【図6】 チップ−試料構成の影像電荷分布を示し、試料は厚い基板(ε1)上の薄膜(ε2)を含み、プローブチップと膜表面との間にエアギャップ(g)がある。シンボルqn、qn’、qn’’は図3と同様である。qn’系はチップフィールドに誘発された誘電膜の分極の効果を示す。qn’’系は分極された基板からの膜上の反作用を示す。qn’’’’列は分極された基板からのチップ上の反作用を示し、qn’’’’’列はqn’’’等で引き起こされた誘電膜の分極を示す。この解析は光学3枚ミラーシステムと相似である。
【図7】 誘電率を関数として、チップ半径、R0を単位とする、SEMMの固有の空間分解能を示す。
【図8】 プローブチップと導電試料との間のチップ−試料相互作用に関する複素影像電荷解析を示す。
【図9】 プローブチップ近傍を取り囲む導電材表面の磁場分布を示す。
【図10】 異なるプローブチップ半径a0に関し、プローブチップ近傍を取り囲む導電材表面上の磁場に関する半径方向の分布を示す。
【図11】 測定データ点(三角)と、共鳴周波数の式(12)を使用して、プローブチップと銅試料との間隙を関数としてSEMM信号から計算された良好に適合する曲線を示す。
【図12】 測定データ点(三角)と、性質係数の式(19)を使用して、プローブチップと銅試料との間隙を関数としてSEMM信号から計算された良好に適合する曲線を示す。
【図13】 5個の異なる値a0に関して、導電材表面の磁場の空間周波数スペクトルを示す。
【図14】 a0および、ギャップ距離とプローブチップ半径との比とを関数とする、導電試料の分散電力Sを示す。
【図15】 左側は、交互に分極された領域を有するLiNbO3試料の微細構造の影像である。右側の影像は、同時に得られた第1調和影像であり、試料−プローブ幾何学的形状からの寄与は除外されている。これらの影像は、試料とチップ間の距離を制御する本発明のフィードバック制御要素を用いて得ることができる。
【図16】 共鳴器の代わりに同軸ケーブルを含んでいる本発明のプローブチップの実施の形態である。
【図17】 公知の金属のギャップ幅を関数とした周波数の変化を示し、この曲線はギャップ距離制御装置のための校正曲線として有用である。
【図18】 異なる高さと、同じ導電性を有する、導電性の銀の区分を影像化するためにSEMMを使用して得られた結果である。
【図19】 異なる高さと、異なる導電性を有する、導電性金属の区分を影像化するためにSEMMを使用して得られた結果である。
Claims (10)
- 走査型電磁波顕微鏡プローブであって、
a)中心導電性要素を有する同軸ケーブルと、
b)前記中心導電性要素を取り囲む絶縁要素と、
c)前記絶縁要素を取り囲む外側の導電性シールド要素と、
d)前記シールド要素に接続され、開口を有する導電性端壁と、
e)前記中心導電性要素に電気的に接続され、前記端壁の前記開口を通り越して延びるよう配置された尖鋭チップと、
を備える走査型電磁波顕微鏡プローブ。 - 前記プローブはストリップライン同軸ケーブルを含んでいる請求項1に記載の装置。
- 走査型電磁波顕微鏡プローブであって、
a)中心導電性要素を有する共鳴器と、
b)前記中心導電性要素を取り囲む空洞と、
c)前記空洞を取り囲む外側の導電性シールド要素と、
d)前記シールド要素に接続され、開口を有する導電性端壁と、
e)前記中心導電性要素に電気的に接続され、前記端壁の前記開口を通り越して延びるよう配置された尖鋭チップと、
を備え、
前記端壁の上流に所定距離をもって配置された第2の導電性前端壁を含み、前記距離は1/4λから1/4λの整数n倍の間である走査型電磁波顕微鏡プローブ。 - 前記前端壁は前記中心導電体に電気的に短絡しており、前記前端壁と前記端壁との間の距離はn(1/4λ)であって、nは奇数である請求項3に記載の装置。
- 前記前端壁は前記中心導電体に電気的に短絡しておらず、前記前端壁と前記端壁との間の距離はn(1/4λ)であって、nは偶数である請求項3に記載の装置。
- 試料の誘電率と損失角正接を測定する方法であって、
j)プローブの基準共鳴周波数f0を次のステップで測定し、
i)試料の影響を受けないように、プローブを試料から十分離して配置し、
ii)周波数レンジを掃引し、
iii)周波数vs.電力をプロットし、
iv)f0とよばれる、最大周波数を見出すために曲線を適合させ、
k)2点の電力半値振幅点での差周波数によりf0を除算することでQ0を決定し、
l)式S=MQ0 2、Sはf0での電力、により係数Mを計算し、
m)誘電率が既知の試料を利用して、式
の幾何学的因子A,B,およびR0を校正し、
n)走査型エバネッセント電磁波顕微鏡のプローブチップを試料の近傍にまたは軟接触させて配置し、
o)前記試料が前記プローブチップ近傍に接近することにより生じる共鳴周波数の変動を測定し、
p)前記試料が前記プローブチップ近傍に接近することにより生じる性質係数の変動を測定し、さらに、
q)軟接触の式
プローブ−試料間隙の式
または薄膜の式
を含むグループから選択された一対の式を利用して、誘電率と損失角正接を計算する、ステップとを含んでいる方法。 - f0とQ0とを得るためのローレンツ線形の適合を用いて、前記周波数vs.電力を決定する請求項6に記載の方法。
- 導電性試料の導電率を測定する方法であって、
a)プローブの基準共鳴周波数f0を次のステップで測定し、
i)試料の影響を受けないように、プローブを試料から十分離して配置し、
ii)周波数レンジを掃引し、
iii)周波数vs.電力をプロットし、
iv)f0とよばれる、最大周波数を見出すために曲線を適合させ、
b)2点の電力半値振幅点での差周波数によりf0を除算することでQ0を決定し、
c)式S=MQ0 2、Sはf0での電力、により係数Mを計算し、
d)走査型エバネッセント電磁波顕微鏡のプローブチップを試料の近傍にまたは軟接触させて配置し、
e)前記プローブチップと導電率が既知である基準試料との間のギャップ距離gの関数として、周波数と性質係数とを測定し、適合させることによって、式
および式
の幾何学的因子A,B,およびR0を校正し、
f)前記試料が前記プローブチップ近傍に接近することにより生じる共鳴周波数の変動を測定し、
g)式
からgを計算し、
h)前記試料が前記プローブチップ近傍に接近することにより生じる性質係数の変動を測定し、さらに、
i)式
を用いて導電率を計算する、
ステップとを含んでいる方法。 - 走査型エバネッセント電磁波顕微鏡のプローブチップと、走査される導電材との間の距離を規定する方法であって、
a)チップと試料との間の好ましい距離を選択し、
b)プローブの基準共鳴周波数f0を次のステップで測定し、
i)試料の影響を受けないように、プローブを試料から十分離して配置し、
ii)周波数レンジを掃引し、
iii)周波数vs.電力をプロットし、
iv)f0とよばれる、最大周波数を見出すために曲線を適合させ、
c)2点の電力半値振幅点での差周波数によりf0を除算することでQ0を決定し、
d)プローブチップと導電率が既知である基準試料との間のギャップ距離gの関数として、周波数と性質係数とを測定し、適合させることによって、式
および式
の幾何学的因子A,B,およびR0を校正し、
e)共鳴周波数を測定し、この周波数と基準周波数との間の絶対差を獲得し、
f)前記ギャップ距離をgpに戻すために必要な前記ギャップの距離変化を計算し、
g)前記プローブチップと走査される前記試料との間の距離を電気機械的にgpと等しいように調整し、
h)走査プロセスが完了するまで所定の定期的な間隔でステップe)からg)を繰り返す、
ステップとを含んでいる方法。 - 走査型エバネッセント電磁波顕微鏡のプローブチップと、走査される導電材との間の距離を規定する方法であって、
a)チップと試料との間の好ましい距離を選択し、
b)プローブの基準共鳴周波数f0を次のステップで測定し、
i)試料の影響を受けないように、プローブを試料から十分離して配置し、
ii)周波数レンジを掃引し、
iii)周波数vs.電力をプロットし、
iv)f0とよばれる、最大周波数を見出すために曲線を適合させ、
c)2点の電力半値振幅点での差周波数によりf0を除算することでQ0を決定し、
d)式S=MQ0 2、Sはf0での電力、により係数Mを計算し、
e)プローブチップと導電率が既知である基準試料との間のギャップ距離gの関数として、周波数と性質係数とを測定し、適合させることによって、式
の幾何学的因子A,B,およびR0を校正し、
f)前記チップと前記試料との間のギャップ距離を変えるためにギャップ距離を振動させ、ここで振動振幅は圧電素子が引き起こすそれよりも小さく、振動周波数は前記要素c)の差周波数であり、
g)共鳴周波数の平均変動と第1の平衡強さとを測定し、
h)式
と式
とをgに関して解き、
i)前記ギャップ距離をgpに戻すために必要な前記ギャップの距離変化を計算し、
j)前記プローブチップと走査される前記試料との間の距離を電気機械的にgpと等しいように調整し、
k)走査プロセスが完了するまで所定の定期的な間隔でステップe)からg)を繰り返す、
ステップとを含んでいる方法。
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