JP2009229423A - 近接場プローブ及びこの近接場プローブを備えた電気的特性測定装置 - Google Patents

近接場プローブ及びこの近接場プローブを備えた電気的特性測定装置 Download PDF

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浩司 井上
Hiroyuki Takamatsu
弘行 高松
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Abstract

【課題】被測定物の測定面と同軸共振器先端との間隔が測定に適した距離となるよう容易に調整できる近接場プローブ及びこの近接場プローブを備えた電気的特性測定装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、先端に微細開孔35が形成された外導体30と、先端が微細開孔35近傍に位置すると共に後端が外導体30に接続された内導体20とを有する同軸共振器12と、被測定物Tが配置されるステージSと、微細開孔35が被測定物Tの測定面tに対して対向するように同軸共振器12を支持する支持部材14と、同軸共振器12及びステージSのうち少なくとも一方をその姿勢を維持しつつ互いに接近又は離間させて同軸共振器12先端と測定面tとの距離を所望の距離に保つためのリフトオフ量調整手段50とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、近接場を半導体ウエハ等の被測定物に浸透させて、その表面付近の構造や材質により定まる電気的特性(誘電率や導電率)を測定する際に用いられるプローブ及びこのプローブを備えた電気的特性測定装置に関する。
従来から、近接場を用いて被測定物の誘電率や導電率等の電気的特性を測定する際に用いられる近接場プローブとしては、特許文献1に記載の同軸共振器を用いたプローブが知られている。
この近接場プローブは、図10に示されるように、筒状の外導体230と、この外導体230の中心軸cに沿って延びる内導体220とで構成される同軸共振器を備える。この同軸共振器210は、先端側が開放端で後端側が短絡端であり、高周波が導入されることで先端近傍に近接場が形成される。
筒状に形成された外導体230先端には開孔が形成され、その開孔径は、同軸共振器210で生じる共振の共振周波数よりも十分小さくなるように形成されている。そして、内導体220先端と外導体230先端とは、被測定物T1の測定面t1に対して垂直に同軸共振器210先端を当接させたときに、内導体220先端と外導体230先端とが共に測定面sに当接するように形成されている。
このような近接場プローブ210に所定の周波数の高周波が導入されると同軸共振器210内で共振する。このとき、外導体230先端の開孔径がこの共振周波数の波長よりも十分小さいため、この開孔からは近接場(エバネッセント波)が放射される。
この状態で近接場プローブ210先端、即ち、同軸共振器210の先端が垂直方向から被測定物T1に当接され、開放端近傍に形成された近接場を被測定物T1に浸透させる。この浸透させた近接場の反射度合いが同軸共振器210の共振周波数変化として観測されることにより、間接的に被測定物(誘電体)T1の誘電率が測定される。
特開2005−121422号公報
前記の近接場プローブ210においては、近接場プローブ210先端(同軸共振器先端)と被測定物T1の測定面t1とを当接させて測定することで最も強い検出信号が得られ、S/Nが最もよくなる。
しかし、前記のように近接場プローブ210先端と測定面t1とを接触(当接)させた状態で測定が行われると被測定物T1の測定面t1に傷が生じたり、近接場プローブ210先端の測定面t1への接触による当該先端の変形や磨耗、損傷等により分解能が低下する場合があった。
そこで、測定面t1の傷や近接場プローブ210先端の損傷等を抑制するために、近接場プローブ210先端と測定面t1とが間隔をおくように測定することが考えられた。
しかし、その一方、近接場プローブ210先端と測定面t1との当接を回避するために大きく離間させると前記測定に重大な影響が生じる。即ち、近接場は近接場プローブ210先端近傍の非常に狭い範囲でしか形成されないため、例えば、近接場プローブ210先端(外導体230先端の開孔)と測定面sとが1μm離れただけで、近接場の前記相互作用における前記共振周波数の変化が著しく小さくなり、間接的な被測定物(誘電体)T1の誘電率の測定が困難になる。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、被測定物の測定面と同軸共振器先端との間隔が測定に適した距離となるよう容易に調整できる近接場プローブ及びこの近接場プローブを備えた電気的特性測定装置を提供することを課題とする。
そこで、上記課題を解消すべく、本発明に係る近接場プローブは、近接場を被測定物に浸透させて当該被測定物の電気的特性を測定するための近接場プローブであって、一方向に延びる内部空間を囲み、先端に前記内部空間と外部とを連通する微細開孔が形成された外導体と、前記内部空間内で当該内部空間の中心軸に沿って延び、先端が前記外導体の微細開孔近傍に位置すると共に後端が前記外導体に接続された内導体とを有し、高周波が供給されることで前記微細開孔近傍に前記近接場が形成される同軸共振器と、前記被測定物が配置されるステージと、前記微細開孔が前記被測定物の測定面に対して対向するように前記同軸共振器を支持する支持部材と、前記同軸共振器及び前記ステージのうち少なくとも一方をその姿勢を維持しつつ互いに接近又は離間させて前記同軸共振器先端と前記測定面との距離を所望の距離に保つためのリフトオフ量調整手段とを備えることを特徴とする。
かかる構成によれば、リフトオフ量調整手段によって、前記同軸共振器及び前記ステージのうち少なくとも一方が移動させられると、前記同軸共振器と前記ステージに配置された前記被測定物とがそれぞれ姿勢を維持しつつ互いの間隔が接近又は離間する。そのため、前記同軸共振器先端と前記測定面との距離(いわゆるリフトオフ量)が所望の距離となるよう容易に調整される。
本発明に係る近接場プローブにおいては、前記リフトオフ量調整手段は、前記同軸共振器先端部と前記測定面との距離を測定するためのリフトオフ量測定手段と、前記リフトオフ量測定手段の測定結果に基づいて、前記同軸共振器及び前記ステージのうち少なくとも一方を移動させる駆動手段とを有する構成が好ましい。
かかる構成によれば、前記リフトオフ量測定手段の測定結果に基づき、前記駆動手段が前記同軸共振器及び前記ステージのうち少なくとも一方を移動させることで、前記同軸共振器先端と前記測定面との間隔が所望の距離となるよう容易且つ正確に調整される。
また、前記内導体先端には、当該内導体の直径よりも小さくなるような外周面を有すると共に前記内導体の中心軸に沿って突出するような微細軸が設けられ、この微細軸が前記外導体と接することなく前記微細開孔内に挿通されてその先端が前記外導体の外面より僅かに外側へ突出するように前記微細軸と前記微細開孔との相対位置が決められ、前記リフトオフ量測定手段は、前記微細軸先端と前記測定面との距離を測定するための第1のリフトオフ量測定手段であり、前記微細軸にその一部が設けられている構成が好ましい。
かかる構成によれば、前記第1のリフトオフ量測定手段によって、前記微細軸先端から前記測定面までの距離が直接且つ正確に測定される。
そのため、この測定された距離に基づき前記駆動手段によって前記同軸共振器及び前記ステージのうち少なくとも一方が移動されることで、前記微細軸先端と前記測定面との当接が確実に回避されると共に、その間隔が測定に適した距離となるよう容易且つ正確に調整される。
しかも、前記内導体に前記微細軸が設けられることで、当該微細軸部先端に近接場が集中して当該微細軸部の直径程度に近接場を局在させることができ、形成される近接場の強度が強くなると共に分解能も向上する。即ち、測定のために十分な強度の近接場が維持されつつ高分解能が得られる。
また、前記第1のリフトオフ量測定手段は、前記内導体の内部に配設された光ファイバと、前記光ファイバの後端側に接続され、当該光ファイバにレーザ光線を照射すると共に戻ってきたレーザ光線を受信することで光ファイバ先端から反射面までの距離を測定する第1の距離測定手段とで構成され、前記光ファイバは、前記微細軸をその中心軸に沿って貫通し、当該光ファイバの先端面が前記微細軸先端から露出するように配設されている構成が好ましい。
かかる構成によれば、前記光ファイバが用いられることで、非常に細い前記微細軸内であってもレーザ光線の導波路の形成が容易になる。また、レーザ光線を用いて距離が測定されることで高精度の距離の測定が可能となる。
また、前記内導体先端部は、先端に向かって直径が小さくなる円錐形状に形成され、その先端が前記外導体と接することなく前記微細開孔内に位置するように前記先端と前記微細開孔との相対位置が決められ、前記リフトオフ量測定手段は、前記内導体先端と前記測定面との距離を測定するための第2のリフトオフ量測定手段であり、前記内導体先端部にその一部が設けられている構成であってもよい。
かかる構成によれば、前記第2のリフトオフ量測定手段によって、前記内導体先端から前記測定面までの距離が直接且つ正確に測定される。
そのため、この測定された距離に基づき前記駆動手段によって前記同軸共振器及び前記ステージのうち少なくとも一方が移動されることで、前記内導体先端と前記測定面との間隔が測定に適した距離となるよう容易且つ正確に調整される。
また、前記内導体先端と前記同軸共振器の先端との相対位置は固定されているため、前記内導体先端と前記測定面との距離から前記同軸共振器先端と前記測定面との距離が容易且つ正確に導出される。そのため、前記同軸共振器先端と前記測定面との当接も確実に回避される。
また、前記第2のリフトオフ量測定手段は、前記内導体の内部に配設された光ファイバと、前記光ファイバの後端側に接続され、当該光ファイバにレーザ光線を照射すると共に戻ってきたレーザ光線を受信することで光ファイバ先端から反射面までの距離を測定する第2の距離測定手段とで構成され、前記光ファイバは、前記内導体先端部をその中心軸に沿って貫通し、当該光ファイバの先端面が前記内導体先端から露出するように配設されている構成であってもよい。
かかる構成によれば、前記光ファイバが用いられることで、レーザ光線の導波路の形成が容易になる。また、前記同様、レーザ光線を用いて距離が測定されることで高精度の距離の測定が可能となる。
尚、前記微細軸を前記光ファイバが貫通する構成又は前記内導体先端部を前記光ファイバが貫通する構成の場合、前記光ファイバの先端には集束レンズが設けられている構成が好ましい。かかる構成によれば、前記測定面からの反射光の強度によって前記微細軸先端又は前記内導体先端と前記測定面との間隔が所望の間隔、即ち、前記集束レンズの焦点距離か否かを容易に判定することが可能となる。
また、前記リフトオフ量測定手段は、前記外導体先端部と前記測定面との距離を測定するための第3のリフトオフ量測定手段であり、前記外導体先端部からレーザ光を照射すると共にその反射光を受光することで当該外導体先端部から反射面までの距離を測定するように構成されてもよい。
かかる構成によれば、前記第3のリフトオフ量測定手段によって前記外導体先端部から前記測定面までの距離が正確に測定される。このとき、前記外導体先端部と近接場が形成される前記同軸共振器先端(前記微細開孔)との相対位置は固定されている。従って、前記測定された距離に基づいて前記駆動手段が前記同軸共振器及び前記ステージのうち少なくとも一方を移動させて前記外導体先端部と前記測定面との間隔が調整されることで、前記同軸共振器先端と前記測定面との当接が確実に回避されると共に、その間隔が測定に適した距離となるよう容易且つ正確に調整される。
また、前記ステージは、前記測定面を水平にして前記被測定物が配置されるように構成され、前記支持部材は、前記測定面上方の所定の範囲内で上下動自在に前記同軸共振器を支持するように構成され、前記外導体は、前記測定面と平行な先端面を有し、前記リフトオフ量調整手段は、前記外導体先端面と前記測定面との間に気体を送入する気体送入手段と、この気体の送入量を制御する制御部とを有し、この制御部は、前記外導体先端面と前記測定面との距離が所望の距離となるように前記気体の送入量を調節するように構成されているのが好ましい。
かかる構成によれば、前記外導体先端面と前記測定面との間に前記気体が送入されることによって当該気体の層が形成される。この層によって前記同軸共振器が宙に浮いた状態、即ち、前記外導体先端面と前記測定面との間隔が保たれ、前記同軸共振器先端と前記測定面との当接が回避できる。そして、前記制御部によって気体送入手段が制御されて前記間隔が所望の間隔となるように前記気体が送入されることで、前記測定に適した所望の間隔が容易に得られる。
また、前記気体送入手段は、前記同軸共振器の内部空間に前記気体を充填するように構成されると共に、前記外導体先端面に設けられて前記内部空間に充填された前記気体を前記測定面に向けて噴射する気体噴射部を有する構成が好ましい。
かかる構成によれば、前記外導体先端面と前記測定面との間に容易に前記気体を送入することができる。
この場合、前記気体噴射部は、前記内部空間と前記外導体の外部とを連通する孔及びスリットの少なくとも一方で構成され、前記中心軸を中心とした前記外導体先端面上の1又は複数の円周に沿って等間隔に形成されている構成が好ましい。
かかる構成によれば、前記気体噴出部が簡易な構成のため容易に形成される。また、前記外導体先端面に対して周方向に均等に前記気体が噴出されるため、前記外導体先端面と前記測定面との間隔が前記先端面に沿って均一若しくはほぼ均一になる。
また、上記課題を解消すべく、本発明に係る電気的特性測定装置は、上記いずれかの近接場プローブと、この近接場プローブの同軸共振器に高周波を供給する高周波供給手段と、前記被測定物の測定前と測定中との前記高周波が供給された近接場プローブの同軸共振器で生じる共振の共振周波数を比較する比較手段とを備えることを特徴とする。
かかる構成によれば、前記近接場プローブにおいて、前記同軸共振器先端と前記被測定物の測定面との間隔が測定に適した距離となるよう容易に調整されるため、前記被測定物の誘電率が容易且つ正確に測定することが可能となる。
また、前記同軸共振器先端と前記測定面との当接が回避できるため、近接場プローブの損傷等が抑制されてメンテナンス等の労力が削減される。
以上より、本発明によれば、被測定物の測定面と同軸共振器先端との間隔が測定に適した距離となるよう容易に調整できる近接場プローブ及びこの近接場プローブを備えた電気的特性測定装置を提供することができる。
以下、本発明の第1実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1に示されるように、本実施形態に係る高周波誘電率測定装置(電気的特性測定装置の一例)100は、被測定物Tから情報を採取する近接場プローブ10と、この近接場プローブ10が接続された高周波ネットワークアナライザーNとを備える。
近接場プローブ10は、高周波を供給されることで近接場を形成し、この近接場を配置された被測定物Tにその表面(測定面)tから浸透させて当該被測定物Tの電気的特性(本実施形態においては誘電率)を測定するためのものである。具体的には、図2(a)及び図2(b)にも示されるように、この近接場プローブ10は、近接場を形成するための同軸共振器12と、被測定物Tが配置されるステージSと、同軸共振器12を支持する支持部材14と、ステージSを駆動するリフトオフ量調整手段50とを備える。
同軸共振器12は、内導体20と外導体30とを主構成として構成されている。外導体30は、一方向に延びる内部空間Spを囲み、先端に内部空間Spと外部とを連通する微細開孔35が形成されている。また、内導体20は、内部空間Sp内で当該内部空間Spの中心軸Cに沿って延び、先端が外導体30の微細開孔35近傍に位置すると共に後端が外導体30に接続されている。これら両導体(内導体20及び外導体30)は電気が流れる素材(導体)で形成されており、本実施形態においては、銅(純度が高いものほど好適である)で形成されている。
このように本実施形態においては、両導体20,30が同じ素材で形成されているが、導体で形成されていればそれぞれ異なる素材で形成されていてもよい。また、銅で形成される必要もなく、純アルミニウム、銀、金等の金属であってもよい。また、両導体20,30は、少なくとも表面が前記金属で形成されていればよい。
詳細には、内導体20は、中心軸Cに沿って先端から順に、微細軸21と内導体本体22とで構成されている。さらに、内導体本体22は、前記同様先端から順に、本体縮径部22aと本体同径部22bとで構成されている。これら本体縮径部22a及び本体同径部22bとは一体成形されており、微細軸21は内導体本体22に固着されている。
さらに、内導体20の内部には光ファイバofが配設されている。この光ファイバofは、中心軸Cに沿って内導体20を貫通するように配設され、先端が内導体20先端に位置し、後端が同軸共振器12の外部に配置されたレーザ変位計(距離測定手段)54に接続されている。具体的には、光ファイバofは、石英ガラス(SiO)等で構成され、例えば、内視鏡等に用いられるようなものが利用される。
内導体20先端部の微細軸21においても、光ファイバofは当該微細軸21を中心軸Cに沿って貫通し、光ファイバofの先端面が微細軸21先端面21aから露出するように配設されている(図2(b)参照)。より詳細には、光ファイバofの先端には集束レンズleが設けられており、この集束レンズleにおける微細軸21先端側の面が微細軸先端面21aと滑らかに連続するような状態で露出している。このように光ファイバofが用いられることで、非常に細い微細軸21内であってもレーザ光線の導波路の形成が容易になる。
これら光ファイバofとレーザ変位計54とは、第1のリフトオフ量測定手段52を構成し、この第1のリフトオフ量測定手段52は、リフトオフ量調整手段50の一部を構成している。
レーザ変位計54は、レーザ光線送信器55とレーザ光線受信器56とで構成されている。このレーザ変位計54は、レーザ光線送信器55から光ファイバofにレーザ光線を照射(送信)し、戻ってきたレーザ光線を分離器57(例えば、45度角度ハーフミラー)で分離してレーザ光線受信器56で受信する。このようにすることで、レーザ変位計54は光ファイバof先端、詳細には、光ファイバof先端に設けられた集束レンズleの前記先端側の面から反射面(測定面t)までの距離を高精度に測定することができる。即ち、後述する被測定物Tの誘電率の測定において、リフトオフ量を調整する際に最も必要な微細軸21先端(同軸共振器12)から測定面tまでの距離を直接且つ高精度に測定することができる。
尚、リフトオフ量測定手段は、第1のリフトオフ量測定手段52に限定される必要もなく、例えば、図3に示されるように、レーザ変位計65のみで構成された第2のリフトオフ量測定手段であってもよい。このレーザ変位計65は、外導体30の先端部に設けられ、レーザ光線を照射すると共にその反射光を受光することで前記の外導体30の先端部(レーザ変位計65が設けられた位置)から測定面tまでの距離を高精度に測定できる。
この場合、測定される距離が前記外導体30の先端部から測定面tまでの距離であるため微細軸12先端と測定面tとの距離を直接測定することはできないが、レーザ変位計65と微細軸12先端との相対位置が固定されているため、計算機等によって間接的に導出される。
図1乃至図2(b)に戻り、微細軸21は、内導体20の先端に中心軸Cに沿って延び内導体本体22から突出するように形成されている。また、微細軸21は、前記のように中心軸Cに沿って当該微細軸21を貫通するように光ファイバofが配設されている。この微細軸21は、内導体本体22、詳細には、内導体本体22の本体同径部22bの直径よりもその直径が小さくなるような外周面21bを有する。そして、微細軸21の先端部は、先端に向かって縮径するように形成されている。こうすることで、微細開孔35の先端側に形成される近接場が微細軸21先端に集中して、径の小さくなった微細軸21先端に前記近接場を局在させることができる。
具体的には、微細軸21は、タングステン(W)やモリブデン(Mo)等の細くて硬い金属細線で構成された直径30μm、長さ0.3mm(代表値)の細線である。そして、その先端部は、先端側に向かって縮径している。本実施形態においては、前記先端部は、先端側に向かって膨出する半球状に形成されている(図2(b)参照)。
このように形成される微細軸21は、外導体30先端に設けられた微細開孔35内に挿通されている。この微細開孔35は、外導体30の先端側、即ち、後述する内面縮径部31の先端面31a中央に設けられた貫通孔で、中心軸Cに沿って内部空間Spと外導体30の外部とを連通する。この微細開孔35は、微細軸21が接触することなく挿通可能な内径を有する。即ち、微細開孔35は、微細軸21と同軸若しくは略同軸で、当該微細軸21の直径よりも大きな内径を有し且つ中心軸Cに沿って一定の内径を有する円柱面状の内周面35aによって規定された開孔である。
また、微細開孔35は、同軸共振器12で生じる共振の共振周波数の波長よりも小さい直径を有する。具体的には、直径50μm、深さ(中心軸方向の長さ)が0.2mmの開孔である。このような大きさとすることで、同軸共振器12で共振が生じたときに、微細開孔35から外部に向かって近接場(エバネッセント波)が放射(形成)される。この放射される近接場は、本実施形態においては電場が支配的な近接場電磁場である。
このような微細開孔35に挿入される微細軸21は、当該微細開孔35を規定する内周面35a(外導体30)と接することがないように、即ち、微細開孔35を規定する内周面35aとこの微細開孔35を挿通する微細軸21の外周面21bとの間に全周に亘って間隔が形成されるように、前記相対位置が決められている。このように位置決め(配置)されることで、微細開孔35を規定する内周面35aと微細軸21の外周面21bとの間に円筒状の絶縁層が形成される。そのため、微細開孔35の先端側に形成される近接場が当該微細開孔35の直径よりも小さな微細軸21先端に局在し、近接場プローブ10の分解能が向上する。
また、微細軸21の先端が外導体30の先端面(外面)31aより外部へ僅かに突出するように微細開孔35と微細軸21との相対位置が決められている。この突出寸法は、微細軸21の半径寸法と同程度、本実施形態においては、25μm程度となるように前記相対位置が決められている。このように位置決めされることによっても微細軸21先端に近接場が集中して、微細軸21の直径程度に近接場を局在させることができる。
尚、このように微細軸12が内導体20の先端部に形成されることで、近接場の強度を維持しつつ微細軸12先端近傍に近接場を局在させて近接場プローブ10の分解能が向上するが、この微細軸12がない状態の内導体20に光ファイバofが配設されてもよい。
即ち、図4に示されるように、内導体20の先端部が円錐形状に形成され、その先端が外導体30と接することなく微細開孔35内に位置するように構成されてもよい。この場合、第1のリフトオフ量測定手段52を構成する光ファイバofは、内導体先端部を中心軸Cに沿って貫通し、先端面が内導体20先端から露出するように配設される。また、光ファイバof先端には、本実施形態同様、集束レンズleが設けられてもよい。このように構成されても、レーザ変位計54によって、内導体20先端から測定面tまでの距離が直接且つ正確に測定される。
この場合も、測定される距離が外導体30の先端面31aよりも内側の内導体20の先端から測定面tまでの距離であるため、最も測定面tに近い前記器先端面31aと測定面tとの距離を直接測定することはできない。しかし、内導体20先端と外導体30の先端面31aとの相対位置が固定されているため、前記同様、前記距離は計算機等によって間接的に導出される。
図1乃至図2(b)に戻り、内導体本体22は、中心軸Cに沿って直径が一定の円柱状の本体同径部22bの先端に円錐状の本体縮径部22aが連接されることで構成されている。この内導体本体22は、本実施形態においては中実構造であるが、中空構造であってもよい。このように構成される内導体本体22の先端、即ち、円錐状の本体縮径部22aの先端に微細軸21が同軸に(中心軸Cに沿って)設けられることで内導体20が構成されている。
具体的には、本体同径部22bは、直径が14mm、長さ(中心軸C方向の距離)が78mmの円柱状で、本体縮径部22aは、底面(本体同径部22b側)の直径が14mm、高さ(中心軸C方向の距離)が6.7mm、円錐頂角が90°の円錐状となるように形成されている。
外導体30は、中心軸Cに沿って直径が一定の円柱状の外周面を有し、先端部(先端面31a中央)には前記の微細開孔35が設けられ、後端部に導入端子40及び導出端子41が設けられている。この外導体30は、中心軸Cに沿って先端から順に、内面縮径部31と内面同径部32と短絡部33とで構成されている。これら内面縮径部31と内面同径部32とは一体成形されており、短絡部33は、内面同径部32の後端に固着されている。
内面縮径部31は、内導体20の本体縮径部22a及び微細軸21に対応する部位であり、先端側に向かって内導体20の本体縮径部22aと徐々に接近するような内面31bを有する。即ち、この内面縮径部31の内面31bは、本体縮径部22aの外面(円錐面)よりも円錐頂角が大きな円錐状に先端側へ向かって凹んだ面31bで構成されている。詳細には、この凹部は、円錐の先端部(最も深く凹んだ位置)が平らになった円錐台状に凹んでいる。このように円錐台形状に凹むことで、内面縮径部31(外導体30)における微細開孔35の周縁部35bは、一定の厚さとなる。この凹部の最も深く凹んだ位置、且つ中心軸Cに沿った位置に微細開孔35が設けられている。
内面同径部32は、内導体20の本体同径部22bに対応する部位であり、本体同径部22b外周面と平行な内面を有する。即ち、内面同径部32は、中心軸Cに沿って延びる外径及び内径が一定の円筒状に形成されている。
短絡部33は、円筒状の内面同径部32の後端側開孔を塞ぐように設けられた円盤状の部位である。この短絡部33は、その中心部に内導体20の後端が接続され、外導体30と内導体20とを短絡している。また、その中心部を内導体20に配設された光ファイバofが貫通している。この短絡部33には、同心円上で且つ中心軸Cを挟んで対称な位置に当該中心軸Cと平行な一対のポート孔34a,34bが設けられている。このポート孔34a,34bには、ループアンテナ40,41がそれぞれ挿入されており、一方が高周波を同軸共振器12に導入するための導入端子40として使用され、他方が高周波を同軸共振器12から導出するための導出端子41として使用される。
具体的には、外導体30の外周面が直径が34mm、長さが78mmの円柱状となるように形成されている。そして、内面縮径部31の内面は、底面(内面同径部32側)の直径が24mm、高さ(中心軸C方向の距離)が7.0mm、頂面(先端側の面)の直径が1mmの円錐台状に形成され、内面同径部32の内周面は、直径が24mmとなるように形成されている。
以上のように構成される外導体30と内導体20とによって、中心軸Cに対して回転対称な同軸共振器12が形成される。このように構成される同軸共振器12は、外導体30における内部空間Spを規定する円筒状の内面(内周面)と内導体20における円筒状の外周面とが同軸構造を有しているため、同軸共振器12内部に電磁波を閉じ込めたときに内部の電磁波分布(モード)が一意(TEM波)に決まり、同軸共振器12からの測定データを解析する際に解析し易くなる。さらに、構造が簡単であることから電磁場解析の結果ともよく一致するため前記解析の際に解析し易い。具体的には、この同軸共振器12では、各部位の寸法が上述の寸法で形成されることで基本周波数が750MHz付近となり、基本共振周波数の波長をλとすると、λ/4の奇数倍に高次共振モードが現れる。この場合、3λ/4モードで2250MHz、5λ/4モードで3750MHzとなり、汎用の高周波測定器で容易に観測できる。
ステージSは、平板状の被測定物Tをその測定面tが上方を向いて水平となるように保持するものである。このステージSは、X軸、Y軸及びZ軸の方向にそれぞれ被測定物Tの姿勢を維持した状態で移動可能に構成され、リフトオフ量調整手段50における後述する駆動手段58によって各方向に駆動される。また、このステージSは、前記各方向において精密移動するように構成されている。
支持部材14は、微細開孔35がステージS上に配置された被測定物Tの測定面tに対して対向するように連結部材14aを介して同軸共振器12を支持するものである。本実施形態において、支持部材14は、ステージS上方の所定位置に同軸共振器12を支持している。また、連結部材14aを上下に移動(昇降)させて同軸共振器12を後述する測定位置と待機位置とに位置変更させることができる。
リフトオフ量調整手段50は、同軸共振器12先端(詳細には、微細軸21先端)と測定面tとの距離(いわゆるリフトオフ量)を測定するための前記の第1のリフトオフ量測定手段52と、この第1のリフトオフ量測定手段52での測定結果に基づいてステージSを駆動する(移動させる)ための駆動手段58とを有する。
本実施形態においては、駆動手段58は、ステージSを駆動するように構成されているが、同軸共振器12を駆動してもよく、両方を駆動するように構成されてもよい。また、駆動手段58は、ステージSをXYZ軸の各方向にそれぞれ駆動するが、少なくともZ軸方向に駆動できればよい。即ち、駆動手段58は、同軸共振器12及びステージSのうち少なくとも一方をその姿勢を維持しつつ互いに接近又は離間させて同軸共振器12先端と測定面tとの距離を所望の距離に保てる構成であればよい。
この駆動手段58には計算機Pが接続され、この計算機Pは第1のリフトオフ量測定手段52にも接続されている。計算機Pは、第1のリフトオフ量測定手段52で測定された微細軸21先端と測定面tとの間の距離データを当該第1のリフトオフ量測定手段52から取得し、あらかじめ設定されている目標距離と比較演算し、この目標距離と距離データ(測定距離)とが一致するように駆動手段58を制御する。即ち、この計算機Pは、測定距離が目標距離と一致するようにステージSをZ軸方向に沿って移動させる。
高周波ネットワークアナライザーNは、同軸ケーブルKを通じて同軸共振器12に高周波を供給する高周波供給手段(図示省略)と、被測定物Tの測定前と測定中との前記高周波が供給された同軸共振器12で生じる共振の共振周波数を比較する比較手段(図示省略)とを有し、高周波特性を測定・表示する高周波測定器である。この高周波ネットワークアナライザーNでは、同軸共振器12に高周波信号を入力したときの入力信号と、同軸共振器12からの反射信号とを測定することにより、被測定物Tの高周波特性が得られる。
本実施形態に係る高周波誘電率測定装置100は、以上の構成からなり、次に、この高周波誘電率測定装置100の作用について図5(a)及び図5(b)も参照しつつ説明する。
ステージS上に誘電率を測定するための被測定物Tを載置(配置)する。このとき、同軸共振器12は、被測定物Tが載置し易いように、上方に移動(上昇)して当該ステージSと同軸共振器12先端との間隔を十分にとった待機位置にある(図5(a)参照)。
被測定物TがステージS上に載置されると同軸共振器12が待機位置から測定位置開始位置まで降下する(図5(b)参照)。
次に、リフトオフ量調整手段50によって、同軸共振器12先端と被測定物Tとの距離(リフトオフ量)が測定されつつ、その測定結果に基づいてステージSがZ軸方向(上下方向)に駆動され、測定に最適なリフトオフ量に調整される。
具体的には、第1のリフトオフ量測定手段52によって、微細軸21先端と測定面tとの距離が測定される。詳細には、レーザ変位計54のレーザ光線送信器55からレーザ光線を光ファイバofに照射する。このレーザ光線が光ファイバof内を導波されて同軸共振器12の微細軸21先端から測定面tに向けて照射される。測定面tに到達したレーザ光線は、当該測定面で反射されて、再度、微細軸21先端から光ファイバof内に入射する。そして、レーザ変位計54に向けて導波され、分離器57で分離されてレーザ光線受信器56で受信される。レーザ変位計54では、このレーザ光線の強度に基づいて微細軸21先端から測定面tまでの距離が測定される。
このように、レーザ光線を用いて距離が測定されることで、μm単位の高精度な距離の測定が可能となる。また、微細軸21を貫通するように光ファイバofが配設されているため、微細軸21の先端(先端の光ファイバ先端面)からレーザ光線を照射すると共に反射光を受光することで、最も知りたい微細軸21先端から測定面tまでの距離が直接且つ正確に測定される。
測定された距離データは、第1のリフトオフ量測定手段52から計算機Pに送られる。計算機Pでは、あらかじめ設定されている目標距離(測定に適したリフトオフ量)と測定した距離とを比較し、測定した距離が目標距離と一致するようにステージSを駆動(移動)するように駆動手段58に指示を送る。
駆動手段58は、計算機Pからの指示に従ってステージSをZ軸方向に精密に移動させ、前記レーザ変位計54での測定距離が目標距離と一致するように調整する。
本実施形態においては光ファイバof先端には集束レンズleが設けられ、この集束レンズleからその収束点までの距離が被測定物Tの誘電率(電気的特性)を測定する際に適したリフトオフ量と等しくなっている。そのため、レーザ光線受信器56で受信したレーザ光線の強度が最も強くなるように駆動手段58によってステージSを移動させることでリフトオフ量が調整される。
このとき、リフトオフ量は、極めて精密に調整されなければならない。例えば、代表的な誘電体に対するリフトオフ量と同軸共振器12を用いた近接場プローブ10の共振周波数の変化とを図6に示す。この図からもわかるように、リフトオフ量が極僅かに大きくなっただけで、周波数の変位量が著しく減少する。サンプル(誘電率の既知の物質)の誘電率と対比して被測定物の誘電率を求める場合、このように減少した状態では誘電率の偏移量がわかり難くなり、測定が困難になることがわかる。そのため、同軸共振器12先端と測定面tとが当接することなく、且つ極めて接近した状態に精密にリフトオフ量が調整された状態で測定されなければならない。しかも、被測定物Tによっては、測定面tが平滑でない場合もあり、その場合、測定面tの広い範囲の測定を行うときには、各位置でリフトオフ量を調整しなければならず、極めて困難且つ煩雑な測定作業になる。
本実施形態では、リフトオフ量測定手段52によって誘電率の測定の際に最も測定面tに接近する微細軸21先端から測定面tまでの距離を直接レーザ光線を用いて測定することで極めて高精度に前記距離の測定が可能となる。この測定結果に基づき、駆動手段58が精密移動可能に構成されたステージSを駆動することで、同軸共振器12先端(微細軸21先端)と測定面tとが接触することなく、所望の(あらかじめ設定された)距離となるよう容易且つ正確に調整される。
一方、高周波ネットワークアナライザーNから同軸ケーブルKを通じて同軸共振器12の導入端子40に周波数掃引された高周波信号が送り出される。この高周波信号が導入端子40を通じて同軸共振器12に導入される。そうすると、導入された高周波のうち、同軸共振器12の共振周波数と一致する周波数信号が導出端子41から強く出力(導出)され、同軸ケーブルKを通じて高周波ネットワークアナライザーNが受信する。そうすると、近接場プローブ共振特性がグラフのピークとして表示される(図7参照)。
このとき、同軸共振器12先端の微細開孔35から近接場が放射されている。そして、内導体20の微細軸21が外導体30と接することなく微細開孔35内に挿通されてその先端が外部へ突出することで、前記近接場は、微細軸21先端部に集中するため、微細軸21の直径程度に局在する。そのため、測定のために十分な強度の近接場が維持されつつ高分解能が得られる。
この微細開孔35から近接場が放射された状態で、リフトオフ量が調整されて、微細軸21に被測定物Tを近づけ、その先端近傍に形成された近接場を測定面tから浸透させる。そうすると、近接場の反射度合いが共振周波数の変化として高周波ネットワークアナライザーN上に現れる。この共振周波数の変化から間接的に被測定物Tの誘電率等の電気的特性が決定される。
具体的には、被測定物Tの誘電率に近い物質でその誘電率が既知である誘電体の共振周波数変化をグラフ化しておき、そのグラフ上のどこに被測定物Tの共振周波数がプロットされるかにより誘電率を決定することが可能となる。
以上のように測定しつつ、ステージがX軸方向又はY軸方向に駆動されることで、測定面t上の広い範囲の誘電率が測定される。即ち、測定面tに沿った2次元の誘電率分布が測定される。
次に、本発明の第2実施形態について図8乃至図9(b)も参照しつつ説明するが、前記第1実施形態と同様の構成には同一符号を用いると共に詳細な説明を省略し、異なる構成についてのみ詳細に説明する。
本実施形態に係る高周波誘電率測定装置110では、外導体30の内面縮径部31(外導体30先端)は、被測定物Tの測定面tと平行な先端面31aを有する。即ち、内面縮径部31の先端部は、中心軸Cと直交する面に沿った平面状に形成されている。この内面縮径部31における前記一定の厚さとなっている微細開孔35の周縁部35bには、空気噴射部(気体噴射部)60が設けられている。この空気噴射部60は、後述する空気送入手段61の一部を構成し、内部空間Spに充填された空気(気体)を測定面tに向けて噴射する部位である。
具体的には、微細軸21(又は微細開孔35)を中心とした先端面31a上の円周に沿って等間隔に形成された複数のスリットで構成されている。このスリット60は、同軸共振器12の内部空間Spと外部とを連通するように外導体30(先端面31a)に形成されている。
このように、空気噴射部60としてスリットが用いられることで、構成が簡単なために空気噴出部60の形成が容易となる。また、前記円周に沿って等間隔にスリット60が設けられることで、先端面31aに対して周方向に均等に空気が噴出可能となる。
尚、前記の空気噴射部60は、スリットに限定される必要はなく、孔等で構成されていてもよく、スリットと孔等とを組み合わせてもよい。また、前記円周は、1つでもよく3つ以上でもよい。
リフトオフ量調整手段50は、本実施形態においては、先端面31aと測定面tとの間に空気を送入する空気送入手段61と、この空気送入手段61を制御して空気の送入量を調節する制御部62とを有する。
空気送入手段61は、送入管63を介して同軸共振器12の内部空間Spに空気を充填するためのものである。また、制御部62は、先端面31aと測定面tとの距離が所望の距離となるように空気の送入量を調節するように構成されている。
このように構成される同軸共振器12は、測定の際に支持部材14に測定面tの上方の所定の範囲内で上下動自在となるように支持されている。この所定の範囲は、本実施形態においては、例えば、微細軸21先端と測定面tとの距離が0mmから1mmまでの範囲である。
詳細には、支持部材14には、同軸共振器12がその姿勢を維持しつつ上下自在に取付けられている。この同軸共振器12を支持部材14に備えられた位置切換部材14bが捕まえて上下に移動させることで、当該同軸共振器12を測定位置よりも上方の測定近傍位置と待機位置とに位置変更させることができる。そして、測定近傍位置では、位置切換部材14bが同軸共振器12を解放することで、当該同軸共振器12は前記の所定の範囲内で上下動自在となる。
本実施形態に係る高周波誘電率測定装置110は、以上の構成からなり、次に、この高周波誘電率測定装置110の作用について説明する。
被測定物TがステージS上に配置されると、同軸共振器12は位置切換部材14bによって待機位置から測定近傍位置まで降下させられる。同軸共振器12が測定近傍位置に到達すると、空気送入手段61から送入管63を介して同軸共振器12の内部空間Spに空気が送入される。この送入された空気は、同軸共振器12先端、詳細には、外導体30先端の先端面31aに設けられたスリット(空気噴射部)60から噴射される。
この状態で同軸共振器12は、位置切換部材14bから解放され、支持部材14に沿って前記所定の範囲内で上下動自在となる。そうすると、同軸共振器12は、自重によって降下するが、その先端(外導体30の先端面31a)のスリット60から空気が噴射されているため、先端面31aと測定面tとの間が所定の距離になったところで同軸共振器12の降下は止まる。これは、先端面31aと測定面tとの間に空気が送入されることによって当該空気の層が形成されるためである。この空気の層によって同軸共振器12が宙に浮いた状態、即ち、先端面31aと測定面tとの間隔が保たれる。このとき、スリット60から周方向に均一に空気が噴射されるため、先端面31aと測定面tとの間隔が先端面31aに沿って均一若しくはほぼ均一になる。このように間隔が保たれることで、同軸共振器12先端と測定面tとの当接が回避できる。しかも、噴射する空気量の調節、即ち、内部空間Spに送入される空気量の調節のみで、先端面31aと測定面tとの間隔の調整ができる。
このとき、リフトオフ量測定手段52によって同軸共振器12(詳細には、微細軸21先端)と測定面tとの距離が測定され、そのデータが計算機Pに送られる。計算機Pでは、あらかじめ設定されている目標距離と測定した距離とを比較し、測定した距離が目標距離と一致するように制御部62に指示が送られる。
この指示に基づき、同軸共振器12を上下させるためにスリット60から噴射される空気量を調節すべく、制御部62によって空気送入手段61が制御されて同軸共振器12の内部空間Spへの空気の送入量が調節される。このようにすることで、前記測定に適した所望の間隔が容易に得られる。
以上のようにしてリフトオフ量が調整されると、高周波ネットワークアナライザーNから同軸共振器12に周波数掃引された高周波信号が送り出され、被測定物Tの誘電率の測定が行われる。
このように、本実施形態においては、空気の層によってリフトオフ量の調整を行いつつ、被測定物の誘電率が測定される。
尚、本発明の電気的特性測定装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
第1実施形態に係る高周波誘電率測定装置の概略構成図である。 同実施形態に係る同軸共振器における(a)は縦断面図であり、(b)はその先端部の拡大図である。 同軸共振器の外導体にレーザ変位計が設けられた高周波誘電率測定装置の概略構成図である。 他実施形態に係る微細軸がない内導体を備えた同軸共振器における先端部の拡大縦断面図である。 第1実施形態に係る近接場プローブにおける(a)は同軸共振器が待機位置の状態を示す図であり、(b)は同軸共振器が測定位置の状態を示す図である。 同実施形態に係る高周波測定装置での実測に基づく、リフトオフ量と同軸共振器の共振周波数の偏移量との関係を示す図である。 同実施形態に係る高周波誘電率測定装置における近接場プローブ共振特性の表示を示す図である。 第2実施形態に係る高周波誘電率測定装置の概略構成図である。 同実施形態に係る同軸共振器における(a)は先端部の拡大縦断面図であり、(b)は先端側から見た図である。 従来の近接場プローブの先端部の概略構成図を示す。
符号の説明
10 近接場プローブ
12 同軸共振器
14 支持部材
20 内導体
21 微細軸
22 内導体本体
30 外導体
35 微細開孔
50 リフトオフ量調整手段
C 中心軸
S ステージ
Sp 内部空間
T 被測定物

Claims (12)

  1. 近接場を被測定物に浸透させて当該被測定物の電気的特性を測定するための近接場プローブであって、
    一方向に延びる内部空間を囲み、先端に前記内部空間と外部とを連通する微細開孔が形成された外導体と、前記内部空間内で当該内部空間の中心軸に沿って延び、先端が前記外導体の微細開孔近傍に位置すると共に後端が前記外導体に接続された内導体とを有し、高周波が供給されることで前記微細開孔近傍に前記近接場が形成される同軸共振器と、
    前記被測定物が配置されるステージと、
    前記微細開孔が前記被測定物の測定面に対して対向するように前記同軸共振器を支持する支持部材と、
    前記同軸共振器及び前記ステージのうち少なくとも一方をその姿勢を維持しつつ互いに接近又は離間させて前記同軸共振器先端と前記測定面との距離を所望の距離に保つためのリフトオフ量調整手段とを備えることを特徴とする近接場プローブ。
  2. 請求項1に記載の近接場プローブにおいて、
    前記リフトオフ量調整手段は、前記同軸共振器先端部と前記測定面との距離を測定するためのリフトオフ量測定手段と、
    前記リフトオフ量測定手段の測定結果に基づいて、前記同軸共振器及び前記ステージのうち少なくとも一方を移動させる駆動手段とを有することを特徴とする近接場プローブ。
  3. 請求項2に記載の近接場プローブにおいて、
    前記内導体先端には、当該内導体の直径よりも小さくなるような外周面を有すると共に前記内導体の中心軸に沿って突出するような微細軸が設けられ、この微細軸が前記外導体と接することなく前記微細開孔内に挿通されてその先端が前記外導体の外面より僅かに外側へ突出するように前記微細軸と前記微細開孔との相対位置が決められ、
    前記リフトオフ量測定手段は、前記微細軸先端と前記測定面との距離を測定するための第1のリフトオフ量測定手段であり、前記微細軸にその一部が設けられていることを特徴とする近接場プローブ。
  4. 請求項3に記載の近接場プローブにおいて、
    前記第1のリフトオフ量測定手段は、前記内導体の内部に配設された光ファイバと、
    前記光ファイバの後端側に接続され、当該光ファイバにレーザ光線を照射すると共に戻ってきたレーザ光線を受信することで光ファイバ先端から反射面までの距離を測定する第1の距離測定手段とで構成され、
    前記光ファイバは、前記微細軸をその中心軸に沿って貫通し、当該光ファイバの先端面が前記微細軸先端から露出するように配設されていることを特徴とする近接場プローブ。
  5. 請求項2に記載の近接場プローブにおいて、
    前記内導体先端部は、先端に向かって直径が小さくなる円錐形状に形成され、その先端が前記外導体と接することなく前記微細開孔内に位置するように前記先端と前記微細開孔との相対位置が決められ、
    前記リフトオフ量測定手段は、前記内導体先端と前記測定面との距離を測定するための第2のリフトオフ量測定手段であり、前記内導体先端部にその一部が設けられていることを特徴とする近接場プローブ。
  6. 請求項5に記載の近接場プローブにおいて、
    前記第2のリフトオフ量測定手段は、前記内導体の内部に配設された光ファイバと、
    前記光ファイバの後端側に接続され、当該光ファイバにレーザ光線を照射すると共に戻ってきたレーザ光線を受信することで光ファイバ先端から反射面までの距離を測定する第2の距離測定手段とで構成され、
    前記光ファイバは、前記内導体先端部をその中心軸に沿って貫通し、当該光ファイバの先端面が前記内導体先端から露出するように配設されていることを特徴とする近接場プローブ。
  7. 請求項4又は6に記載の近接場プローブにおいて、
    前記光ファイバの先端には集束レンズが設けられていることを特徴とする近接場プローブ。
  8. 請求項2に記載の近接場プローブにおいて、
    前記リフトオフ量測定手段は、前記外導体先端部と前記測定面との距離を測定するための第3のリフトオフ量測定手段であり、前記外導体先端部からレーザ光を照射すると共にその反射光を受光することで当該外導体先端部から反射面までの距離を測定するように構成されていることを特徴とする近接場プローブ。
  9. 請求項1に記載の近接場プローブにおいて、
    前記ステージは、前記測定面を水平にして前記被測定物が配置されるように構成され、
    前記支持部材は、前記測定面上方の所定の範囲内で上下動自在に前記同軸共振器を支持するように構成され、
    前記外導体は、前記測定面と平行な先端面を有し、
    前記リフトオフ量調整手段は、前記外導体先端面と前記測定面との間に気体を送入する気体送入手段と、この気体の送入量を制御する制御部とを有し、
    この制御部は、前記外導体先端面と前記測定面との距離が所望の距離となるように前記気体の送入量を調節するように構成されていることを特徴とする近接場プローブ。
  10. 請求項9に記載の近接場プローブにおいて、
    前記気体送入手段は、前記同軸共振器の内部空間に前記気体を充填するように構成されると共に、前記外導体先端面に設けられて前記内部空間に充填された前記気体を前記測定面に向けて噴射する気体噴射部を有することを特徴とする近接場プローブ。
  11. 請求項10に記載の近接場プローブにおいて、
    前記気体噴射部は、前記内部空間と前記外導体の外部とを連通する孔及びスリットの少なくとも一方で構成され、前記中心軸を中心とした前記外導体先端面上の1又は複数の円周に沿って等間隔に形成されていることを特徴とする近接場プローブ。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の近接場プローブと、
    この近接場プローブの同軸共振器に高周波を供給する高周波供給手段と、
    前記被測定物の測定前と測定中との前記高周波が供給された近接場プローブの同軸共振器で生じる共振の共振周波数を比較する比較手段とを備えた電気的特性測定装置。
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