JP2014241517A - テラヘルツ波を発生する装置、またはテラヘルツ波を検出する装置 - Google Patents

テラヘルツ波を発生する装置、またはテラヘルツ波を検出する装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 テラヘルツ波を観察しながら半球状レンズと素子との相対位置を調整できるテラヘルツ波を発生または検出する装置を提供することを目的とする。【解決手段】 本発明の装置は、テラヘルツ波を発生または検出する素子と、素子から射出したまたは素子へ入射するテラヘルツ波を導く半球状レンズ104と、半球状レンズの平面112と素子とが接した状態または半球状レンズの平面と素子とがテラヘルツ波を透過する物質を挟み且つ半球状レンズの平面と素子とが物質と接した状態で半球状レンズと素子とを保持するホルダ101と、を備える。ホルダは、弾性変形部102と、弾性変形部を弾性変形させることによって半球状レンズの平面と平行方向における半球状レンズと素子との相対位置を調整する位置調整部103と、を有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、テラヘルツ波を発生する装置、またはテラヘルツ波を検出する装置に関する。
テラヘルツ波は、0.03THz以上30THz以下の範囲のうち、任意の周波数帯域の成分を有する電磁波である。このような周波数帯域には、生体分子を始めとして、様々な物質の構造や状態に由来する特徴的な吸収が多く存在する。この特徴を活かして、非破壊にて物質の分析や同定等を行う検査技術が開発されている。また、X線に替わるイメージング技術や高速な通信技術、さらに、テラヘルツ波の透過性を活かした物質内部の可視化を行うトモグラフィ装置への応用が期待されている。
このテラヘルツ波の発生と検出を行う一つの方法として、光伝導素子にフェムト秒レーザを照射する方法がある。光伝導素子は、微小間隙を有するアンテナ電極を設けた半導体膜を基板上に形成することで得られる。
光伝導素子から射出したテラヘルツ波の取り出し効率、または光伝導素子に入射するテラヘルツ波の取り込み効率を改善するため、半導体膜が形成されている基板と同程度の屈折率を有する半球状レンズを用いる。半球状レンズは、基板のアンテナ電極が形成されている面と対向する面に半球状レンズの平面部分を密着させて用いる。
テラヘルツ波の取り出し効率や取り込み効率を高めるためには、半球状レンズの光軸(回転対称軸)と光伝導素子のアンテナ電極との位置合わせが重要になる。
位置合わせを行う方法として、半球状レンズと光伝導素子を保持するホルダに加工された複数の凹部に半球状レンズと光伝導素子等の部品をはめ込むことで、半球状レンズと光伝導素子の位置を固定する方法が、特許文献1に記載されている。この場合、凹部の加工精度や大きさによって位置合わせの精度が決定する。
特許第4762944号明細書
半球状レンズと素子との位置合わせが精度良く行われているかを確認するためには、実際にテラヘルツ波を発生または検出する装置を用いてテラヘルツ波を検出して、その強度又は振幅等を観察する必要がある。そして、位置合わせが不十分であった場合には、再度位置合わせを行う必要がある。特許文献1のような構成の場合、一度装置を解体して再度組み立てる必要があるため、テラヘルツ波の強度等を観察しながら位置合わせを行うことができない。そのため、位置合わせの操作が煩雑になるという課題があった。
上記課題に鑑み、本発明は、テラヘルツ波を観察しながら半球状レンズと素子との相対位置を調整できるテラヘルツ波を発生または検出する装置を提供することを目的とする。
本発明の一側面としての装置は、テラヘルツ波を発生または検出する素子と、前記素子から射出したまたは前記素子へ入射するテラヘルツ波を導く半球状レンズと、前記半球状レンズの平面と前記素子とが接した状態、または、前記半球状レンズの平面と前記素子とがテラヘルツ波を透過する物質を挟み且つ前記半球状レンズの平面と前記素子とが前記物質と接した状態で、前記半球状レンズと前記素子とを保持するホルダと、を備え、前記ホルダは、弾性変形部と、前記弾性変形部を弾性変形させることによって前記半球状レンズの平行方向における前記半球状レンズと前記素子との相対位置を調整する位置調整部と、を有することを特徴とする装置。
本発明の一側面としての装置によれば、テラヘルツ波を観察しながら半球状レンズと素子との相対位置を調整できる。
本発明の装置の構成例を説明する図。 ホルダが有する基板保持部の構成例を説明する図。 素子保持基板の構成例を説明する図。 開口のパターンの別の一例を説明する図。 実施形態の装置における位置決めに係るフローチャート。 半球状レンズとして半球レンズを用いた場合のホルダの接触位置を説明する図。 半球状レンズとしてコリメートレンズを用いた場合のホルダの接触位置を説明する図。 調整板を用いた時の本発明の装置の構成例を説明する図。 本発明の装置を用いた情報取得装置の構成例を説明する図。
本発明の思想を実施し得る形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明を適用できる装置であるテラヘルツ波を発生または検出する装置の構成を説明する図である。図1(a)は装置の正面図であり、図1(b)は装置のAA’部分の断面図である。
本装置の構成を説明する。本実施形態における装置は、ホルダ101と、半球状レンズ104と、素子と、素子を配置するための素子保持基板108と、を有する。
ホルダ101は、主として半球状レンズ104と素子保持基板108を保持する平板を有する部分である。ホルダ101の材料は、金属でも樹脂でも構わないが、ノイズを低減するために導電性の物質で作ることが望ましい。図1では、ホルダ101の裏面は開放されているが、用途に応じて閉じていてもよい。
ホルダ101は凹部106を有し、凹部106の中心に貫通孔(穴)111が形成されている。この穴111は半球状レンズ104が配置される部分で、以降「貫通孔」と呼ぶ。本実施形態では、貫通孔111に設けられたレンズ保持部105が半球状レンズ104を保持している。より詳細には、貫通孔111の内側面にネジ溝が設けられており、レンズ保持部105はそのネジ溝と対となるネジを有する樹脂リングである。
レンズ保持部105の内径は半球状レンズ104の直径よりも小さい。半球状レンズ104の曲面側にレンズ保持部105を配置し、貫通孔111に対してレンズ保持部105を回転させて押し込むことで、半球状レンズ104をレンズ保持部105と素子保持基板108に配置された素子301で挟み込む。素子301は半球状レンズ104の平面側に配置されている。この結果、ホルダ101は半球状レンズ104を保持する。レンズ保持部105と半球状レンズ104が接触する位置については後述する。
レンズ保持部105の材料は樹脂に限らず、金属材料でもよい。また、半球状レンズ104の破損を防止するため、Oリングのような干渉部材を半球状レンズ104とレンズ保持部105とが接触する位置に挿入してもよい。凹部106は、テラヘルツ波とホルダ101との干渉を防止するために設けてある。凹部106がなくてもテラヘルツ波とホルダ101の干渉が認められない場合は、凹部106はなくてもよい。
半球状レンズ104は平面112を有しており、平面112の少なくとも一部の領域はテラヘルツ波を発生または検出する素子の基板と接している。半球状レンズ104の内部をテラヘルツ波が透過するため、半球状レンズ104は、テラヘルツ波を良く透過する材料を用いることが望ましい。具体的には、高抵抗シリコンやオレフィン系の樹脂材料等が挙げられる。
半球状レンズ104の平面112において、半球状レンズ104と素子301との間で不要な反射が起こるのを抑制するため、半球状レンズ104と素子301の材料の屈折率差は小さいことが望ましい。
また、ホルダ101は、素子保持基板108を保持するための基板保持部109を有する。素子を保持している素子保持基板108をホルダ101が保持することで、ホルダ101に対して素子301を固定する。
素子保持基板108は素子301を保持する基板であり、ホルダ101が備える基板保持部109と対応する係合部307を備えている。基板保持部109と係合部307により、ホルダ101と素子保持基板108の位置決めを行う。各位置決め構造の詳細は後述する。
また、ホルダ101は、外部装置との接続を中継するコネクタ107を有している。コネクタ107は、固有のインピーダンスを有しており、外部に接続する装置やケーブルと同じインピーダンスを有している。コネクタ107として、BNCコネクタやSMAコネクタ等の市販のコネクタが適用できる。
図2は、ホルダ101が備える基板保持部109の構成例を説明する図である。図2(a)はホルダ101の裏面図、図2(b)は位置決め構造に関する断面図である。基板保持部109は、第1の位置決め穴201、第2の位置決め穴202、第3の位置決め穴203を少なくとも備えている。なお、本明細書では、ホルダ101において、素子および素子保持基板が配置される面をホルダ101の裏面とする。
第1の位置決め穴201は、位置決め基準穴204を有している。第1の位置決め穴201は、円形の穴の底に位置決め基準穴204が設けられている。円形の穴の中心と位置決め基準穴204の中心は同じであることが望ましい。
後述する係合部307を構成する位置決め球304が位置決め基準穴204にはまり、素子保持基板108をホルダ101に位置決めする際の基準点となる。そのため、位置決め基準穴204の穴径は、位置決め球304の直径よりも小さい。位置決め基準穴204に位置決め球304をはめた状態では、素子保持基板108は、半球状レンズ104の平面112と平行な面内について位置決め基準穴204を基準点として回転することが可能である。
第2の位置決め穴202は、位置決め溝205を有している。第2の位置決め穴202は円形の穴であり、位置決め溝205は、第2の位置決め穴202の底面に固定された二本の棒である。この棒は互いに平行に配置されている。より詳細には、第1の位置決め穴201と第2の位置決め穴202を結ぶ線に対し、位置決め溝205が略垂直になるように棒が配置されている。位置決め溝205の溝幅は、係合部307を構成する位置決め球304の直径よりも小さい。
素子保持基板108をホルダ101に位置決めする際には、位置決め球304が位置決め溝205にはまり、第1の位置決め穴201と共に使用される。これによって、素子保持基板108は、ホルダ101に対して半球状レンズ104の平面112と略平行な方向に対する回転の自由度が制限されて位置決めされる。なお、素子保持基板108とホルダ101の間に間隔が存在する場合、素子保持基板108は、第1の位置決め穴と第2の位置決め穴を結んだ直線を軸に回転することができる。なお、ここでは位置決め溝205は棒で構成したが、第2の位置決め穴202の底面を溝加工する形態でもよい。
第3の位置決め穴203は、位置決め面206を有している。第3の位置決め穴203は円形の穴であり、位置決め面206は、第3の位置決め穴203の底面に固定された平板部材である。
素子保持基板108をホルダ101に位置決めする際には、係合部307を構成する位置決め球304が、位置決め面206に突き当てられる。位置決め面206は、この突き当てる位置を位置決め面206の平板部材の厚みで調整する。このことにより、ホルダ101に対する素子保持基板108の平行具合を決定する。詳細には、第1の位置決め穴と第2の位置決め穴とを結んだ直線を軸とした回転方向への自由度を制限することで、ホルダ101に対する素子保持基板108の位置決めを実施する。
なお、ここでは位置決め面206の形成に平板部材を用いたが、第3の位置決め穴203の深さを調整し、底面を平面に加工することで平板部材を省略することも可能である。
上述の位置決め手法は、部材の位置決めを行うためにあらゆる回転方向の自由度を制限するキネマティック位置決め手法に基づいている。そのため、ホルダ101に対する素子保持基板108の位置決めには既知のキネマティック位置決め手法が適用できる。例えば、上述の説明では、位置決め基準穴204、位置決め溝205、位置決め面206を用いて点と線と面で位置決めを行っているが、全て位置決め溝205と同じ構造としても良い。また、位置決め面206を位置決め溝205と同じ構造にすることも可能である。
図3は、素子保持基板108の構成例を説明する図である。図3(a)は素子保持基板の表面図、図3(b)はFF’部分の断面図、図3(c)は裏面図である。素子保持基板108は、素子301を配置するための基板である。素子保持基板の材料は、金属、樹脂、セラミックのいずれも選択可能である。なお、本明細書では、素子保持基板の表面は、素子301においてテラヘルツ波を発生または検出する部分を配置する開口部を有する面であり、その面と対向する面を裏面とする。裏面側には半球状レンズ104が配置されている。
本実施形態において、素子301は、アンテナ電極と給電電極が半導体基板にパターニングされた光伝導素子である。半導体基板として、例えば、高抵抗のガリウムヒ素(GaAs)基板やインジウムガリウムヒ素(InGaAs)が適用できる。この半導体基板に低温成長したガリウムヒ素(LT−GaAs)膜やインジウムガリウムヒ素(LT−InGaAs)膜が形成される。そして、この半導体膜に対してアンテナ電極と給電電極がパターニングされる。
半導体基板の一部は、テラヘルツ波に対し損失の少ない部材(例えば高抵抗シリコン)に置き換えられていてもよい。半導体基板の材料はこれに限るものではなく、テラヘルツ波を発生、検出し得る既知の材料が適用できる。アンテナ電極の形状は、使用するテラヘルツ波の波長やスペクトル形状に応じて適宜設計される。典型的には、アンテナ電極の形状は、数〜数10μmの大きさで設計される。
なお、素子301の形態として、光伝導素子の例を示したが、これに限らず、共鳴トンネルダイオードやショットキーバリアダイオード等の既知の発生器や検出器にも本発明を適用できる。より詳細には、使用する発生器と検出器における空間結合器として半球状レンズ104を使用し、且つ、半球状レンズ104と素子301の位置合わせが必要な形態であれば適用可能である。
光伝導素子は、外部から照射される超短パルスのフェムト秒レーザによりテラヘルツ波の発生と検出を行う。
図3において、素子保持基板108は開口部303を有し、素子301の一部は開口部303から露出するように配置される。この時、素子301の中心(光伝導素子の場合は、アンテナ電極に相当)は、開口部303の中心付近に配置される。より詳細には、素子保持基板108は、素子301を設置するための素子設置部306を有している。素子設置部306は、素子301の外形に沿った凹部を有し、凹部に対して素子301をはめ込んで固定する。固定する手段として接着剤を用いてもよい。
図3(b)のように、素子設置部306の四隅に逃げ部を設けることで、素子301の四隅が直角であっても、素子設置部306の凹部に素子301をはめ込むことができる。そのため、素子301を素子保持基板108に固定する際の位置決め精度を高めることができる。また、素子301の固定に接着材を使用する場合、素子301を素子保持基板108に押付けた際に発生する余分な接着剤が逃げ部に溜まるので、接着剤が素子301に付着する可能性を小さくすることができる。
素子保持基板108は、コネクタ107と素子301の給電電極を中継するための配線302を有している。上述したように、コネクタ107は外部装置と接続されるため、配線302は、素子301と外部装置を中継する配線302とも言い換えることができる。
配線302は、金属細線308によって、コネクタ107と素子301の給電電極と接続される。望ましくは、配線302は、外部装置とのインピーダンスが整合する伝送線路である。図3は、伝送線路としてストリップ線路で構成した例を示している。ストリップ線路は、外部装置のインピーダンスに合わせて、線路の間隔が調整される。なお、伝送線路は、ストリップ線路に限るものではなく、マイクロストリップ線路やコプレーナストリップ線路等、既知の伝送線路の形態が適用できる。
また、素子保持基板108は係合部307を備えている。係合部307は、前述した基板保持部109と対応するように配置された3つの位置決め球304からなる。
基板保持部109または係合部307は磁性材料で構成され、基板保持部109と係合部307とが磁力によって固定されていてもよい。例えば、係合部307を構成する位置決め球304を磁石球で構成し、基板保持部109を構成する位置決め基準穴204、位置決め溝205、位置決め面206を磁石がつく金属で構成する。
あるいは、位置決め基準穴204、位置決め溝205、位置決め面206を磁石で構成し、位置決め球304を磁石がつく金属で構成する。位置決め基準穴204、位置決め溝205、位置決め面206、位置決め球304を磁石で構成することも考えられる。
こうすることで、ホルダ101と素子保持基板108が位置決めと同時に磁力で位置が固定されるので、固定に要する部品(ネジ類等)を減らすことができ、素子の取り換えを行う際の作業性が向上する。
基板保持部109を構成する第1の位置決め穴201、第2の位置決め穴202、第3の位置決め穴203は、貫通孔111を中心とする同心円の円周上に配置されることが望ましい。また、これに対応する係合部307も、同じく貫通孔111を中心とする同心円の円周上に配置されることが望ましい。また、各位置決め構造は貫通孔111の中心からある程度の距離を有することが望ましい。このような配置にすると、貫通孔111を通過するテラヘルツ波に対して、各位置決め穴の距離が長く、かつ等距離にできるので、位置決め精度が向上する。
また、ホルダ101と素子保持基板108のいずれか一方は、素子保持基板108をホルダ101に固定するためのガイド穴を有し、他方はガイドピンを有していてもよい。本実施形態では、図1にホルダ101はホルダ101を貫通するガイド穴110を有している例を示す。そして、図3の素子保持基板108は、このガイド穴110に挿入するためのガイドピン305を有している。
ホルダ101と素子保持基板108とを位置決め固定する際には、まずホルダ101のガイド穴110に素子保持基板108のガイドピン305の先端を位置合わせする。その後、ガイドピン305をガイド穴110に沿わせる形で素子保持基板108を位置決め固定する。
このような構成によって、ホルダ101に素子保持基板108を取り付ける際に、ガイドピン305とガイド穴110に沿ってホルダ101と素子保持基板108を配置することができる。そのため、素子の取り換え時に、素子保持基板108に取り付けられた素子301を不用意にホルダ101の各部に接触させ、破損してしまうという破損リスクを低減することができる。
また、ホルダ101はガイドピン305をクランプする機構を有していてもよい。例えば、ガイドピン305の先端に外ネジ構造が加工され、素子保持基板108の固定時に、ガイド穴110が備えるナットで固定してもよい。
ガイド穴110に対しホルダ101の外側からガイド穴110交わる方向にクランプ用のネジ穴を有し、ガイドピン305を挿入した後に、ネジで締め付け固定してもよい。
このように、ガイドビンをクランプする機構を別途設けることにより、ホルダ101に位置決めされた素子保持基板108の保持力を向上することができる。
再び図1を参照して、ホルダ101に設けられた弾性変形部について詳細を述べる。本明細書の弾性変形部は、ホルダ101を構成する平板に開口を設けたことによって形成されており、外部から力が印加されると弾性変形する部分である。そのため、開口は弾性変形部に隣接している。本実施形態における弾性変形部を形成する開口は、コの字状の細い開口を複数組み合わせたパターンとなっている。
弾性変形部102は、貫通孔111の周囲に形成されている。貫通孔111を半球状レンズ104の平面112と平行な方向に移動させることによって、平面112と平行方向における素子301と半球状レンズ104との相対位置を変更可能にする。
図1と図2のように、弾性変形部102は、ホルダ101の貫通孔111の周囲に加工されたコの字状のパターンで形成される。より詳細には、本実施形態の弾性変形部102は、図1のように二つのコの字状のパターンの開放部分を対向させ入れ子構造に配置することで構成される。
弾性変形部102は、外部より力が加わることで弾性変形し、中心にある貫通孔111を移動させる。ここで、弾性変形部102を入れ子構造とすることで、貫通孔111に対し、力の印加方向と異なる方向の変形は互いに相殺される。そのため、貫通孔111は、弾性変形部102に加えられた力の方向と同じ方向に移動する。
弾性変形部102は、貫通孔111(穴)の中心と基板保持部109までに距離を半径とする円の内部に設けるのがよい。本明細書における貫通孔111(穴)の中心と基板保持部109までの距離とは、貫通孔111の中心から基板保持部を構成する第1から第3の位置決め基準穴201、202、203のいずれか1つの穴の中心までの距離と定義する。
本実施形態の弾性変形部102を形成する開口は、二つの入れ子構造が貫通孔111を中心として90度回転した形で配置されている。そのため、貫通孔111は、平面112に平行な方向に移動することが可能になる。
弾性変形部102の弾性変形によって貫通孔111が移動すると、貫通孔111に配置されている半球状レンズ104も移動する。それに対して素子の位置はホルダ101に位置決め固定されているため、半球状レンズ104と素子301との相対位置が変更可能となる。
弾性変形部を形成する開口のパターンはこれに限るものではなく、外部から加えられた力に対し、平板の一部が弾性変形して貫通孔を移動させる構造であればよい。例えば、図4に示したようなパターンや、ピエゾテーブルに利用されるようなパターンが適用できる。図4の弾性変形部401は、ホルダに対して貫通孔111を中心に設けられた4つの開口を設けることによって形成される。
弾性変形部102に対して力を印加するために、ホルダ101は、弾性変形部102を弾性変形させる位置調整部として、アクチュエータ103を有している。本実施形態におけるアクチュエータ103は手動でネジを回すタイプであるが、モータを組み合わせて遠隔より調整を行うことも可能である。また、力の印加手段はネジで送るタイプに限るものではなく、ピエゾモータや超音波モータを用いて、力を印加するための部材(ネジで送るタイプの場合、ネジに相当)の位置を動かす手法も適用できる。
素子保持基板108に弾性変形部を設けて素子301を移動する構成にすることも可能だが、素子301は半球状レンズ104と比較してサイズが小さいため、半球状レンズ104を移動して両者の相対位置を調整する構成とすることが望ましい。
この構成によれば、ホルダ101において弾性変形部102の弾性変形により、貫通孔111と貫通孔111に配置されている半球状レンズ104とを移動させる。その結果、半球状レンズ104の平面112と平行方向における半球状レンズ104と素子301との相対位置の調整を行うことができる。ホルダ101を構成する部材の弾性変形を利用するため、調整位置の保持力が強く長期的な安定性が保たれる。また、ホルダ101の一部を機械加工して弾性変形部102を作り込む形態なので、半球状レンズ104を移動させるためのステージを別途用意する必要がなく、装置の小型化が実現できる。
弾性変形を利用する位置決めは、弾性変形部102に印加された力と弾性変形による反発力のつり合いを利用している。そのため、例えば、マイクロメータの位置決め精度で位置合わせを行う形態と比較して、位置合わせの精度が高く、テラヘルツ波の取り出し効率と取り込み効率を改善できる。また、半球状レンズ104の平面112と平行方向における素子301と半球状レンズ104との相対位置を変更することが可能となり、素子301に対して半球状レンズ104の位置が固定される形態に比較して調整の精度を高めることができる。そのため、テラヘルツ波の取り出し効率と取り込み効率を改善できる。
ホルダ101に対する素子301と半球状レンズ104の位置決め方法について図5を参照して説明する。図5は、本実施形態の装置において、ホルダおよび素子、半球状レンズの位置決めに係るフローチャートである。
ホルダ101に対する素子301と半球状レンズ104の初期の位置決めは次のように行われる。ホルダ101には位置調整部としてのアクチュエータ103が予め設置されている。素子301は素子保持基板108に配置される。
まず、S501でホルダ101に設けられた貫通孔111に凹部106からレンズ保持部105を挿入して、貫通孔111に固定される。貫通孔111の内壁とレンズ保持部105の外部にはネジ溝構造が構成され、このネジ溝構造によりレンズ保持部105は貫通孔111に固定される。
レンズ保持部105には、半球状レンズ104の曲面部分が凹部106側から配置される(S502)。素子301が固定された素子保持基板108は、素子保持基板108が有するガイドピン305とホルダ101が有するガイド穴110を利用して、半球状レンズ104の平面側よりガイド穴110に沿って半球状レンズ104に近接される。
ホルダ101に対して素子保持基板108を重ね合わせて、基板保持部109と係合部307とが係合することによって位置合わせがされる(S503)。具体的には、基板保持部109を構成する位置決め基準穴204、位置決め溝205、位置決め面206に、係合部307を構成する3つの位置決め球304がそれぞれ接触することでホルダ101に対する素子301の位置決めが行われる。本実施形態では、両者は磁力で固定される。
その後、レンズ保持部105を貫通孔111に対して回転させることで、半球状レンズ104を素子保持基板108に保持されている素子301に対して押付ける。このようにして、半球状レンズ104と素子301とが密着した状態で、ホルダ101に保持される(S504)。
そして、S505で素子保持基板108の信号線(図3における細線308)とホルダ101のコネクタ107とを電気的に接続する。このように、ホルダ101と素子保持基板108が有する基板保持部109と係合部307によって、ホルダに対し半球状レンズ104と素子301の位置決めが簡単に実行できるので、作業性が改善する。
続いて、ホルダ101に設けられた弾性変形部102の弾性変形により、半球状レンズ104の平面112と平行方向における半球状レンズ104と素子301との相対位置の調整を行う。この操作は、テラヘルツ波を測定する測定装置に本実施形態の装置を組込み(S506)、テラヘルツ波の出力を観察しながら行う。
具体的には、測定装置に組込むにあたって、テラヘルツ波の出力を観察しながら、光軸113と素子301とが直交し、且つ、光軸113が素子301のテラヘルツ波を発生または検出する部分を通過するように本装置を配置する(S507)。この時、半球状レンズ104は、素子301の移動に追従して移動する。なお、本明細書における光軸113は、光学調整の結果、伝搬するテラヘルツ波の中心を示す線のことである。本明細書では、テラヘルツ波の光軸と呼ぶこともある。
テラヘルツ波の出力を参照して装置の組み込み位置を定めた後に、光軸113に直交する軸に対し、弾性変形部102とアクチュエータ103によって半球状レンズ104の位置を調整する(S508)。
このように、テラヘルツ波の出力を観察して、その観察結果を参照しながら半球状レンズ104と素子301の位置を調整できるので、テラヘルツ波の取り出し効率と取り込み効率を改善できる。ここで、テラヘルツ波パルスの出力は、得られた時間波形の尖頭値および形状や、周波数スペクトルの形状等から観察できる。
図6と図7は、ホルダ101と半球状レンズ104の接触位置を説明する図である。本発明では、半球状レンズ104をホルダ101に保持するためにレンズ保持部105を用いることから、詳細にはレンズ保持部105と半球状レンズ104の接触位置を説明する図ともいえる。
本実施形態の装置に保持されている素子301において、テラヘルツ波を発生または検出する部分は、半球状レンズ104の平面112と接している面と対向する面に設けられている。本明細書では、この面を基準面と呼ぶ。テラヘルツ波を発生させる場合は、フェムト秒レーザが基準面でテラヘルツ波に変換され、基板と半球状レンズ104を透過して外部へ取り出す。また、テラヘルツ波を検出する場合は、基準面と光軸が交差する位置にテラヘルツ波を集束する。
図6および図7において、距離dは、基準面からテラヘルツ波601または701が半球状レンズ104の曲面部分と交差する位置までの最短距離である。なお、図6のテラヘルツ波601および図7のテラヘルツ波701は、テラヘルツ波が伝搬する領域の外形を示している。
まず、図6を参照して、半球状レンズ104として半球レンズを用いた場合を説明する。
図6(a)において、距離dはテラヘルツ波601の形状に依存し、テラヘルツ波601は、使用するテラヘルツ波の瞳径と焦点距離から類推できる。
角度θaは、テラヘルツ波が半球状レンズ104の曲面部分と交差する位置において、光軸113に平行な線とテラヘルツ波601の外形とがなす角度である。角度θrは、光軸113に対し、半球状レンズ104と素子301内部を伝搬するテラヘルツ波の角度である。ここで、半球状レンズ104と素子301は同じ屈折率をもつと仮定している。
hは、基準面から半球状レンズ104の曲面部分の頂点までの最短距離である。本発明ではレンズ高さhとも呼ぶ。接触位置pは、基準面からレンズ保持部105が半球状レンズ104に接する位置である。rは半球状レンズ104の半径である。なお、図6(a)の半球状レンズ104は半球レンズである。そのため、角度θaと角度θrは同じ角度である。そして、レンズ高さhは半径rと同じ値である。
図6(b)は、半球状レンズ104として半球レンズを使用した場合の角度θaに対する距離dの変化を表すグラフしたものである。
テラヘルツ波の取り出し効率や取り込み効率を向上させるためには、少なくともレンズ保持部105と半球状レンズ104の接触位置pにおいて、テラヘルツ波と干渉していないことが必要である。そのため、基準面から接触位置pまでの最短距離は、距離dよりも小さいことが望ましい。さらに、ホルダ101の形状は、テラヘルツ波601と交わらないことが望ましい。
続いて、図7を参照して、半球状レンズ104としてコリメートレンズを用いた場合を説明する。
図7(a)は、半球状レンズ104としてコリメートレンズを適用した例を示している。図6(a)と共通する部分の説明は省略する。コリメートレンズのレンズ高さhは次の式で得ることができる。
h=r(n+1)/n (1)
ここでnは半球状レンズ104の屈折率である。半球状レンズ104の材質としてシリコン(n=3.3)を用い、半球状レンズ104の半径rを5mmとする時、レンズ高さhは約6.5mmとなる。
図7(a)において、点Oは、半径rの球を仮定した時の球の中心位置である。テラヘルツ波が半球状レンズ104の曲面部分と交差する位置と点Oを結ぶ線と、光軸113と垂直な面とがなす角度を角度θ1とする。また、テラヘルツ波が半球状レンズ104の曲面部分と交差する位置とテラヘルツ波が集束する基準面上の位置とを結ぶ線が図7に示されている。この線と、テラヘルツ波が半球状レンズ104の曲面部分と交差する位置と点Oを結ぶ線とがなす角度を、角度θ2とする。この時、角度θaと距離dの関係は次式で表すことができる。
Figure 2014241517
Figure 2014241517
d=rsin(θ1)+h−r (4)
図7(b)は、半球状レンズ104として図7(a)のコリメートレンズを使用した場合の角度θaに対する距離dの変化を表すグラフである。距離dはテラヘルツ波701の形状に依存し、テラヘルツ波701の形状は、使用するテラヘルツ波の瞳径と焦点距離から類推できる。また、テラヘルツ波の角度θrは次式で表すことができる。
θr=90−θ1−θ2 (5)
図6で説明したように、テラヘルツ波の取り出し効率や取り込み効率を向上させるためには、少なくともレンズ保持部105と半球状レンズ104の接触位置pにおいて、テラヘルツ波が装置と干渉していないことが必要である。そのため、基準面から接触位置pまでの最短距離は、距離dよりも小さいことが望ましい。さらに、ホルダ101の形状は、テラヘルツ波701と交わらないことが望ましい。
このように、テラヘルツ波のビームの形状を考慮してホルダ101と半球状レンズ104の接触位置を調整することで、テラヘルツ波とホルダの機械干渉を避けることができる。そのため、テラヘルツ波の取り出し効率と取り込み効率を向上できる。
これまでの説明では、基板保持部109が第1から第3の位置決め穴を有し、係合部307が3つの位置決め基準穴を有していた。このような構成に限らず、基板保持部109の構成と係合部307の構成とが逆でもよい。
また、これまでの説明では、半球状レンズ104の平面112と素子保持基板108に固定された素子301とが接している形態を述べた。しかし、図8に示したように、半球状レンズ104と素子301の間に調整板801のようなテラヘルツ波を透過する物質を配置しても良い。調整板801は、半球状レンズ104と同じ材料であることが望ましい。
素子301が有するアンテナ電極は、半球状レンズ104の平面112と接する面と対向する面に配置されている。テラヘルツ波は、アンテナ電極に集光されることが望ましい。そのため、半球状レンズ104のみではアンテナ電極に上手く集光できなかった場合に、調整板801を用いてテラヘルツ波の集光位置を調整する。
このような構成にすることで、調整板801によって半球状レンズ104内部のテラヘルツ波の焦点位置を調整することができる。そのため、調整の自由度が高まりテラヘルツ波の取り出し効率と取り込み効率が改善できる。
また、テラヘルツ波を透過する物質としてマッチング液等を半球状レンズ104と素子301との間に設けてもよい。これらは、半球状レンズ104または素子301の基板との屈折率の差が小さいものを選択することが望ましい。半球状レンズ104と素子301との相対位置を調整する際に、マッチング液が潤滑油としての役割を果たすため、部品を損傷する可能性を低減できる。
本発明に係る装置を組み込む装置の例を説明する。図9は、本発明に係る装置を組み込んだ情報取得装置の構成例を示した図である。本実施形態における情報取得装置は、時間領域でのテラヘルツ波を測定する時間領域分光法(THz−TDS:THz−Time Domain Spectroscopy)の原理を用い、テラヘルツ波の時間波形を取得する。そして、取得した時間波形を用いて試料に関する情報を取得する。
本実施形態において、発生部901と検出部902は、本発明を適用した装置で、テラヘルツ波の発生器および検出器である。具体的には、ホルダ101に保持された半球状レンズ104と素子301で構成される。素子301として光伝導素子を用いている。発生器と検出器は同じ構成であるが、説明を簡略化するため、発生器を発生部901、検出器を検出部902と表記する。
本実施形態における情報取得装置は、発生部901から射出されたテラヘルツ波パルスを検出部902に集束させるための整形部905を有する。本実施形態では、整形部905はMとMの二つの放物面鏡で構成されている。整形部905の構成は、装置の使用形態に応じて変化する。
なお、本実施形態では、本発明を適用した装置を発生部901と検出部902に用いているが、本発明を適用した装置は、発生部901と検出部902のどちらか一方に適用されている形態でもよい。
光源903は、テラヘルツ波パルスを発生、検出するための励起光を出力する部分である。多くの場合、光源903は、フェムト秒レーザ光を出力する。光源903から出力されるフェムト秒レーザ光は、数10フェムト秒のパルス幅を有する。
光源903から出力した励起光は、ビームスプリッタBSを介してL(以降、ポンプ光と呼ぶこともある)とL(以降、プローブ光と呼ぶこともある)に分岐する。
ポンプ光Lは、ミラーMと集光レンズLEを経て発生部901の素子301に入射する。ポンプ光Lは、発生部901でテラヘルツ波パルスの発生に用いられる。
プローブ光Lは、ミラーM、遅延光学部904、ミラーM、集光レンズLEを経て検出部902の素子301に入射する。プローブ光Lは、検出部902でテラヘルツ波パルスの時間波形を検出するためのサンプル光として用いられる。
光源903から出力する励起光の波長は、発生部901や検出部902の駆動波長により変化する。必要に応じて、ポンプ光Lやプローブ光Lの伝搬経路の途中に、励起光の波長を変化させる波長変換素子が介在してもよい。光源903から出力する励起光の波長、パルス幅、レーザの繰り返し周波数等の諸特性は、必要とされる情報取得装置のスペックにより適宜選択される。
遅延光学部904は、励起光であるポンプ光Lとプローブ光Lとの光路長差を調整する部分である。本実施形態では、テラヘルツ波パルスの時間波形は、テラヘルツ波時間領域分光法の原理を用いて取得する。すなわち、情報取得装置は、ポンプ光Lとプローブ光Lの光路長差を所定量変化させながら、検出部902における検出結果であるテラヘルツ波の出力をプロットすることで、テラヘルツ波パルスをプローブ光Lでサンプリング計測する。
遅延光学部904によって励起光の光路長を調整する手法には、励起光の光路長を直接調整する手法と、励起光の実効的な光路長を調整する手法がある。励起光の光路長を直接調整する手法は、励起光を折り返す折り返し光学系と折り返し光学系を動かす可動部を用いる手法がある。可動部として回転する系を適用してもよい。この場合、折り返しの光学系は、可動部が回転する回転方向に沿って動く。
また、光源903として二つのレーザ源を用い、ポンプ光Lとプローブ光Lを各々出力させ、各レーザ源の繰り返し周波数を変化させる形態でもよい。レーザ源の繰り返し周波数が異なる場合、ポンプ光Lとプローブ光Lの時間差が変調されるので、この時間差の変化よりポンプ光Lとプローブ光Lの光路長差を換算する。
実効的な光路長を調整する手法は、励起光が伝搬する光路長の時定数を変化させる手法がある。このように、遅延光学部904は、ポンプ光Lとプローブ光Lの光路長差を調整し得る構成であればよい。本実施形態では、遅延光学部904として、折り返し光学系と可動部を用いる例を示している。
波形取得部906は、検出部902の出力と遅延光学部904で調整されるポンプ光Lとプローブ光Lの光路長差を参照して、テラヘルツ波パルスの時間波形を構築する部分である。以上のような装置構成で、装置はテラヘルツ波の時間波形を取得できる。
波形取得部906で取得した時間波形を用いて、不図示の情報取得部で試料に関する情報を取得する。試料に関する情報とは、試料内の層の厚みや、試料内に存在する物体の形状、試料の物性等である。
本発明を適用した装置を組み込む際は、波形取得部906で得られるテラヘルツ波の出力を観察して、その観察結果を参照して光学調整を行う。詳細には、観察結果の1つであるテラヘルツ波の出力を参照して、テラヘルツ波の光軸113に対し半球状レンズ104と素子301の位置を調整する。より詳細には、光軸113に直交する軸に対し、ホルダ101の位置を調整することで素子301の位置を調整する。そして、弾性変形部102とアクチュエータ103によって、半球状レンズ104の平面112と平行方向における光軸113および素子301に対する半球状レンズ104の相対位置を調整する。
このように、テラヘルツ波の出力を参照しながら半球状レンズ104と素子301の位置を調整できるので、テラヘルツ波の取り出し効率と取り込み効率を改善できる。
また、時間の経過に伴いフェムト秒レーザ光の光軸が変動した場合でも、本発明を適用した装置によれば素子301と半球状レンズ104との位置を調整できるため、経時変化にも対応できる。
なお、本明細書における「半球状レンズ」は、平面と曲面とを有するレンズであり、例えば、半球レンズや超半球レンズ、平行ビームを取り扱うコリメートレンズ等がある。その曲面としては、本実施形態のような球面だけでなく、非球面(放物面、円筒面、円錐面等)を用いることができる。また、半球状レンズは平面の側壁を有していても良い。
また、本発明にかかる情報取得装置は、動物や人等の生体の一部(皮膚や内臓の表面等)を生体が生きている状態(in−vivo)で測定することも可能である。したがって、本明細書では、「試料」は生体サンプル等の物体だけでなく生体(の一部)等も含むと定義する。
101 ホルダ
102 弾性変形部
103 位置調整部
104 半球状レンズ
112 平面

Claims (11)

  1. テラヘルツ波を発生または検出する素子と、
    前記素子から射出したまたは前記素子へ入射するテラヘルツ波を導く半球状レンズと、
    前記半球状レンズの平面と前記素子とが接した状態、または、前記半球状レンズの平面と前記素子とがテラヘルツ波を透過する物質を挟み且つ前記半球状レンズの平面と前記素子とが前記物質と接した状態で、前記半球状レンズと前記素子とを保持するホルダと、を備え、
    前記ホルダは、
    弾性変形部と、
    前記弾性変形部を弾性変形させることによって、前記半球状レンズの平面と平行方向における前記半球状レンズと前記素子との相対位置を調整する位置調整部と、を有する
    ことを特徴とする装置。
  2. 前記ホルダは、平板を有し、
    前記平板は、前記弾性変形部と、前記弾性変形部と隣接する開口と、を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 前記平板は、前記半球状レンズが配置されている穴を有し、
    前記ホルダは、前記素子を保持する素子保持基板を前記平板上に保持する基板保持部と、を有する
    ことを特徴とする請求項2に記載の装置。
  4. 前記弾性変形部は、前記穴の中心から前記基板保持部までの距離を半径とする円の内部に設けられている
    ことを特徴とする請求項3に記載の装置。
  5. 前記ホルダは、前記半球状レンズと前記平板とを固定するレンズ保持部を有し、
    前記素子のテラヘルツ波が発生または検出する面を基準面とすると、前記基準面から前記半球状レンズと前記レンズ保持部が接する位置までの最短距離は、前記基準面から前記半球状レンズの曲面部分と前記テラヘルツ波とが交差する位置までの最短距離より小さい
    ことを特徴とする請求項3または4に記載の装置。
  6. 前記開口は、2つのコの字状の細い開口を対向させた2つの入れ子構造が、前記穴を中心として90度回転して配置された構成である
    ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の装置。
  7. 前記素子保持基板は、係合部を有し、前記係合部と前記基板保持部とが係合することで前記素子保持基板と前記平板とを固定する
    ことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載の装置。
  8. 前記基板保持部と前記係合部との少なくとも一方は磁性材料で構成され、前記基板保持部と前記係合部とが磁力により固定される、
    ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
  9. 前記半球状レンズは、前記弾性変形部が弾性変形することによって前記半球状レンズの平面と平行な方向に移動する
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
  10. テラヘルツ波を発生または検出する素子と、
    前記素子から射出したまたは前記素子へ入射するテラヘルツ波を導く半球状レンズと、
    前記半球状レンズの平面と前記素子とが接した状態、または、前記半球状レンズの平面と前記素子とがテラヘルツ波を透過する物質を挟み且つ前記半球状レンズの平面と前記素子とが前記物質と接した状態で、前記半球状レンズと前記素子とを保持するホルダと、を備え、
    前記ホルダは、平板を有し、
    前記平板は、
    前記素子を保持する素子保持基板を前記平板上に保持する基板保持部と、
    前記半球状レンズが配置されている穴と、
    前記穴の中心から前記基板保持部までの距離を半径とする円の内部に設けられている弾性変形部と、
    前記弾性変形部と隣接する開口と、
    前記弾性変形部に力を加える位置調整部と、を有する
    ことを特徴とする装置。
  11. 試料に関する情報を取得する情報取得装置であって、
    テラヘルツ波を発生させる発生部と、
    前記試料からのテラヘルツ波を検出する検出部と、を有し、
    前記発生部および前記検出部の少なくとも一方が、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の装置である
    ことを特徴とする情報取得装置。
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