JP2017026358A - 測定装置、イメージング装置、及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】 テラヘルツ波を用いて試料を測定する測定装置において、走査面を基準平面とする観察面の平行度を調整可能とする。
【解決手段】 テラヘルツ波パルスを発生する発生部101と、測定物109からのテラヘルツ波パルスを検出する検出部102と、発生部からのテラヘルツ波パルスを整形する第1の光学部103と、測定物からのテラヘルツ波パルスを検出部に導く第2の光学部104と、テラヘルツ波パルスの集束位置108と測定物との相対位置を走査面124に沿って変更する走査部105と、集束位置を回転中心として、第1の光学部及び第2の光学部を回転する第1の変更部と、走査面と測定物の測定面との相対的な傾きを変更する第2の変更部と、を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、テラヘルツ波を用いた測定装置、イメージング装置及びプログラムに関する。
テラヘルツ波は、典型的には0.03THzから30THzの範囲のうち、任意の周波数帯域の成分を有する電磁波である。この周波数帯域の成分を一括して取得する装置として、時間領域のテラヘルツ波のパルス波の波形を取得し、周波数スペクトルに変換する測定装置がある。このように時間領域でテラヘルツ波を測定する方法は、時間領域分光法(THz−TDS法:THz―Time Domain Spectroscopy)と呼ばれており、THz−TDS法の原理を用いる測定装置は、THz−TDS装置と言う。
THz−TDS装置を用いれば、任意の周波数帯域の強度スペクトルと位相スペクトルが一括して取得できるため、試料の物性(例えば複素屈折率等)を直接求めることが可能である。そのため、THz−TDS装置を用いて試料を走査することにより、異なる測定位置毎に試料の物性を取得して、試料の物性変化を反映した画像を取得することができる。
THz−TDS装置で試料の情報を精度良く取得するためには、試料の各点を測定する際に、試料に対するテラヘルツ波の入射角を求めてテラヘルツ波の入射角が一定となるように調整することが求められる。
特許文献1では、タンパク質等の生体高分子の2次元画像を取得するイメージング装置が開示されている。このイメージング装置は、試料を保持するホルダを回転する回転機構と、試料からの反射テラヘルツ波を検出するテラヘルツ波カメラを回転する回転機構と、を有している。そして、これらの回転機構により、試料に入射するテラヘルツ波の入射角度を調整している。
特許第5418916号公報
試料の二次元画像を取得したい場合、上述したように試料を走査しながら測定行う。このとき、測定を行いたい面(測定面)と試料を走査する走査面とが平行でないと、試料を走査して測定を行う際に、実際に測定が行われる面(観察面)と測定面との間に位置ずれが起こる。この位置ずれは、テラヘルツ波の位相を変化させる恐れがある。そのため、観察面と測定面との位置ずれが物性の取得結果に与える影響が、求める検出能より大きくならない程度に、走査面と観察面とを平行に近づけることが求められる。
特許文献1のイメージング装置は、2次元の反射イメージング像を高速に取得するために試料に対してコリメートされた単波長のテラヘルツ波を入射し、テラヘルツ波を走査する機構を用いずに像を一括取得している。特許文献1のイメージング装置には、観察面の平行度を調整可能にする構成については記載されていない。
本発明はかかる課題を鑑みてなされたものであり、テラヘルツ波を用いて試料を測定する測定装置において、走査面を基準平面とする観察面の平行度を調整可能とすることを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明の一側面としての測定装置は、測定物からのテラヘルツ波パルスを測定する測定装置であって、テラヘルツ波パルスを発生する発生部と、前記測定物からのテラヘルツ波パルスを検出する検出部と、前記発生部からのテラヘルツ波パルスを整形する第1の光学部と、前記測定物からのテラヘルツ波パルスを前記検出部に導く第2の光学部と、前記第1の光学部からのテラヘルツ波パルスの集束位置と前記測定物との相対位置を走査面に沿って変更する走査部と、前記集束位置を回転中心として、前記第1の光学部及び前記第2の光学部を回転する第1の変更部と、前記走査面と前記測定物の測定面との相対的な傾きを変更する第2の変更部と、を有することを特徴とする。
本発明の一側面としての測定装置によれば、テラヘルツ波を用いて試料を測定する測定装置において、走査面を基準平面とする観察面の平行度が調整可能となる。
実施形態1の測定装置の構成を説明する模式図。 走査機構と第2の変更部の別の配置例を説明する模式図。 発生部と検出部の構成例を説明する模式図。 実施形態3の測定装置の構成を説明する模式図。 実施形態2の測定装置の構成を説明する模式図。 実施形態4の測定面の形成方法を説明する模式図。 実施形態5のイメージング装置の構成を説明する模式図。 実施形態1の装置の調整方法を説明するフローチャート。 実施形態3の装置の調整方法を説明するフローチャート。 実施形態3の調整方法で取得される時間波形を説明する模式図。 実施形態1の平行度の取得方法の一例を説明する模式図。 実施形態1の変更部の別の配置例を説明する模式図。 実施形態3の平面度の調整を説明する模式図。 実施形態5の生体を用いたイメージング例を説明する模式図。
(実施形態1)
発明者らの検討では、例えば、生体に関する試料のイメージングを行いたい場合、腫瘍のある異常部と正常部とを物性の違いから判別するためには、物性変化の検出能は、屈折率で約0.01必要である。ところが、テラヘルツ波を用いた測定装置において、測定を行う予定の面(測定面)を基準面とした場合、実際に測定されてイメージングが実施される平面(観察面)の平行度が約10μmより大きくなると、物性が同じでも屈折率に約0.01の違いが生じる。すなわち、求める物性変化の検出能と同程度となるおそれがある。
これは、観察面と測定面との試料の深さ方向における位置ずれが、テラヘルツ波の位相を変化させることによると考えられる。この状態で測定を実施すると、得られた屈折率の値が、試料の物性を反映したものか、装置固有の誤差かの切り分けが困難になる恐れがある。
そのため、生体組織の状態の判別を行う場合、全測定点について、測定面の位置と観察面の位置との試料の深さ方向に対する差を約10μm以内に収めることが求められる。言い換えると、走査面124に対する測定面125の平行度を、約10μm以内に収めることが求められる。
例えば、特許文献1のイメージング装置に、多軸の傾斜機構を追加して、試料を支持する試料ホルダ(保持部)の傾きを変更して平行度の調整を行うことは可能である。しかし、テラヘルツ波を入射する光学系が固定で、テラヘルツ波を入射する光学系に対してテラヘルツ波カメラを独立に動かす機構であるため、平行度の調整を行うと、試料に対するテラヘルツ波の入射角の大きさが変化する。このため、テラヘルツ波が伝搬する光学系の変化に由来する物性の変化の影響が懸念される。
このように、微小な物性変化を測定するためには、テラヘルツ波が伝搬する光学系を変化させずに、走査面に対する観察面の平行度を調整することが求められている。本実施形態では、試料に対するテラヘルツ波を照射及び検出を行う光学系の傾きを変更する第1の変更部(第1の傾斜機構)106と、測定面の傾きを変更する第2の変更部(第2の傾斜機構)107と、を設ける。また、第1の変更部106の回転中心を集束位置108とする。このような構成により、テラヘルツ波が伝搬する光学系を変化させずに、走査面に対する観察面の平行度を調整可能とする。
本実施形態の測定装置100(以下、「装置100」と呼ぶ)の構成について、図1を参照して説明する。図1は、装置100の構成を説明する模式図である。装置100は、テラヘルツ波パルスを用いて測定を行うTHz―TDS装置であり、測定物109からの出射波123を分析することで、各測定点(測定位置)の物性を取得する。
測定物109としては、例えば、生体試料である脳や肝臓の組織切片や、組織切片を凍結した凍結切片や、組織切片を脱水固定した固定切片が適用できる。そのため、上述したように正常組織(正常部)の屈折率と腫瘍組織(異常部)の屈折率との差は約0.01であり、この屈折率差を検出できるように、測定物109の深さ方向における測定面と観察面との位置ずれを約10μm以内に収めることが求められる。これを言い換えると、走査面124に対する測定面125の平行度は、約10μm以内に収めることが求められる。
装置100は、発生部101、検出部102、第1の光学部103、第2の光学部104、走査部(走査機構)105、第1の変更部(第1の傾斜機構)106、第2の変更部(第2の傾斜機構)107、光源110、遅延部114、支持部(保持部)116、及び処理部160、を有する。
発生部101で発生したテラヘルツ波パルスは、第1の光学部103で集光される。その際、第1の光学部103で集光されたテラヘルツ波パルス(入射波)122の集束位置108が、測定面125上に位置することが望ましい。好ましくは、テラヘルツ波パルスのビーム径が最も小さくなる位置を集束位置108とする。
なお、本明細書における「集束位置108」は、第1の光学部103で集光されたテラヘルツ波パルスの焦点深度内の任意の位置である。本明細書における「焦点深度」は、測定に用いるテラヘルツ波パルスのビーム径の許容値から求められる、テラヘルツ波パルスの測定物109の深さ方向における移動距離である。ビーム径の許容値は、検出部102を含む測定システムの仕様から設定される。詳細には、テラヘルツ波による測定結果を測定システムが許容する分散内に収めるためのビーム径の許容値から求められる。焦点深度としてレイリー長(最少ビーム径の√2倍となる移動距離)を設定する場合、テラヘルツ波の焦点深度は数mmとなる。
本明細書では、測定面125に対して入射波122が照射されている位置を測定位置(測定箇所)と呼ぶ。測定位置は、走査部(走査機構)105により、走査機構105の走査面124に沿って移動する。走査機構105により、測定位置が移動する領域を含む仮想的な面を、本明細書では観察面(不図示)と呼ぶ。言い換えると、観察面は走査機構105の走査面と平行な面で、入射波122の集束位置108が位置する面である。また、測定物109の物性が測定される領域(測定位置が移動する領域)を含む面を測定面125と呼ぶ。
これらの構成に加え、装置100は、二つの傾斜機構106、107を有する。二つの傾斜機構106、107は、走査面124に対する測定面125の平行度を調整する。より詳細には、走査面124のうち、測定位置の移動に要する領域を含む測定面125の領域に対する測定面125の平行度を調整する。この測定位置の移動に要する領域は、走査機構105の移動範囲で決まる領域である。走査機構105の移動範囲は、例えば、イメージングを実施する範囲を想定する。平行度の調整は、この走査面124にある測定位置の移動に要する領域で実施される。
ここで、平行度とは、走査面124を基準面とし、走査面124に平行で、かつ、走査面124の法線方向(以下、単に「法線方向」と言う)について平行度で示された値だけ離れた二つの面に挟まれた領域を指す。平行度の調整は、測定位置の物性取得工程の前に、装置校正の一環として予め実施される。
光源110は、テラヘルツ波のパルス波の発生及び検出に用いる励起光(パルス光)を出力する部分である。励起光は、超短パルスレーザである。超短パルスレーザとは、パルス幅が数10フェムト秒異常数100フェムト秒以下のレーザである。本実施形態の光源110からの励起光は、繰返し周波数が数10MHzである。光源110から出力する励起光は、空間かファイバに結合し分岐部111に入射する。
分岐部111は、入射した励起光を励起光(ポンプ光)L1と励起光(プローブ光)L2とに分岐する手段である。分岐部111は、ビームスプリッタやファイバカプラ等を用いる。本実施形態では、励起光L1は第1の光伝搬部112に入射し、励起光L2は第2の光伝搬部113に入射する。
第1の光伝搬部112は、励起光L1を発生部101に導く。第2の光伝搬部113は、励起光L2を検出部102に導く。第1の光伝搬部112、第2の光伝搬部113の態様の1つは、光を空間で取回す空間光学系が考えられる。また、他の態様として、第1の光伝搬部112、第2の光伝搬部113は、空間光学系と空間光学系の一部に光ファイバのような可撓性を有してもよい。あるいは、第1の光伝搬部112、第2の光伝搬部113は、光ファイバのような可撓性を有する光伝搬部のみで構成してもよい。本実施形態では、第1の光伝搬部112、第2の光伝搬部113として、光ファイバが発生部101及び検出部102の前段に配置されている。
遅延部114は、励起光L2が検出器1021に到達する時間を調整する。時間の調整は、例えば、励起光L2の光路長を直接調整する手段、又は励起光の実効的な光路長を調整する手段等がある。光路長を直接調整する手段は、空間を伝搬する励起光L2に対し、折り返し光学系と直動ステージを用い、励起光L2の空間伝搬長を調整する形態が考えられる。また、光路長を直接調整する手段は、励起光L2が伝搬するファイバをアクチュエータによって機械的に伸長することで、励起光L2の伝搬長を調整する形態等も考えられる。励起光の実効的な光路長を調整する手段として、励起光が伝搬する光路長の時定数を変化させる手法が考えられる。
また、光源110として、励起光L1を出力する光源と励起光L2を出力する光源とを用いてもよい。その場合、各励起光の繰り返し周波数を変化させる手段(非同期光サンプリングとも呼ぶ)か、各光源から出力する各励起光の遅延時間を電気的に制御する手段(電気制御光サンプリングとも呼ぶ)で構成する。
発生部101は、励起光L1が入射することにより、入射波122としてのテラヘルツ波パルスを発生する。発生部101は、テラヘルツ波を発生する発生器1011を有する。発生部101で発生するテラヘルツ波パルスのパルス幅は、典型的には数100フェムト秒から数ピコ秒である。
発生器1011としては、半導体膜にアンテナ電極を形成した光伝導素子が適用できる。また、半導体基板や有機結晶の表面に励起光L1を照射する構成や、非線形結晶に励起光L1(120)を導波させる構成等が適用できる。発生部101は、励起光L1によりテラヘルツ波パルスが発生すればよく、この目的を実現できる既知の技術が適用される。
第1の光学部(整形部)103は、発生部101からのテラヘルツ波パルスを整形して測定物109に照射する光学系で、テラヘルツ波パルスのビーム形状を調整する2つ又は複数の光学素子で構成する。整形部103の焦点距離は、約101.6mmとした。ただし、整形部103の焦点距離はこれに限らず、求める集束位置108でのテラヘルツ波のビーム径によって適宜選択される。
第2の光学部104は、測定物109で反射したテラヘルツ波パルス(反射波)123を検出部102に導く光学系で、テラヘルツ波パルスのビーム形状を調整する2つ又は複数の光学素子で構成する。
検出部102は、測定物109で反射したテラヘルツ波パルス(反射波)123を検出する手段である。具体的には、励起光L2の入力時に検出部102に到達する反射波123の瞬間値を検出する部分である。検出部102は、テラヘルツ波パルスを検出する検出器1021を有し、検出器1021としては、発生器1011と同様に光伝導素子や、電気光学効果を用いて電場を検出する構成、磁気光学効果を用いて磁場を検出する構成等を適用できる。しかし、これに限らず、励起光L2(121)によりテラヘルツ波パルスの瞬間値を切り出せる既知の技術が適用できる。
処理部160は、CPU、メモリ、記憶デバイス等を備えたコンピュータであり、CPUが、演算部115及び制御部150を有する。処理部160のメモリには、後述する図8のフローチャートに対応するプログラムが記憶されており、CPUがそれを読み込んで実行することで各処理が行われる。
演算部115は、検出部102の検出結果としての出力信号よりテラヘルツ波パルスの時間波形を構築する演算処理部である。制御部150は、装置100の各構成の動作を制御する。
走査部(走査機構)105は、走査面124に沿って、測定物109と測定物109の測定面125における入射波122の測定位置とを相対的に移動する構成である。すなわち、走査機構105は、第1の光学部103からの入射波122の集束位置108と測定物109との相対位置を変更する。例えば、走査機構105は、測定物109を支持する支持部(保持部)116を有する2軸の移動ステージで構成する。ここで、走査面124は、走査機構105に部品を設置するための設置面を含む面である。設置面は、走査面124内を移動する。例えば、図1の設置面は、走査機構105と第2の傾斜機構107との境界面である。本実施形態では、走査機構105による平面方向の移動範囲が±12.5mmの機構を使用する。すなわち、走査面124は25mm×25mmの領域である。測定位置は、この走査面124内に設定される。
ここで、走査機構105の走り平行度(垂直方向真直度)の値は、走査面124に対する測定面125の平行度の目標値よりも小さい必要がある。例えば、生体に関する試料を測定する場合、平行度の目標値は10μmよりも小さい値であるため、走査機構105の走り平行度の値は10μmよりも小さいことが求められる。
より好ましくは、試料109の測定に用いるテラヘルツ波の最短波長λminに対し、走査機構105の走り平行度の値が、電磁波が構造を認識できる限界であるλmin/20よりも小さいことが望ましい。例えば、λminとして60μm(5THz)を想定する場合、走査機構105の走り平行度は、約3μmよりも小さいことが望ましい。一例として、走査機構105の走り平行度は、25mm×25mmの移動範囲において、1μmの機構を用いる。走査機構105は、装置筐体127に設置される。
第1の傾斜機構106は、発生器1011、検出器1201、整形部103、及び第2の光学部104が配置されており、測定面125に入射する入射波122の入射角度を集束位置108を回転中心として調整する回転機構(回転部)を有する構成である。これを言い換えると、第1の傾斜機構106は、集束位置108を回転中心として、第1、第2の光学部103、104全体の回転角度を調整する構成である。より詳細には、第1の傾斜機構106は、測定物109の深さ方向(法線方向)を前後方向とした場合に、入射波122の入射角度を、少なくともピッチング方向とヨーイング方向に調整する機構で構成する。例えば、二つのゴニオメータや、ゴニオメータと回転ステージの組合せ、或いは複数のアクチュエータを備えたトライポッドステージやヘキサポッドステージで構成する。
第1の傾斜機構106には、発生器1011、整形部103、第2の光学部104、検出器1021が、光学調整が実施された状態で固定される。このため、第1の傾斜機構106による入射波122の入射角度の調整作業は、取得部102に入射する出射波123の光学調整を行うことと等価になる。これを言い換えると、第1の傾斜機構106によって測定面125に対する発生器1011、整形部103、第2の光学部104、検出器1021の傾き(姿勢)を一体で調整することで、反射波123の光軸を光学部104が想定する光軸に調整する。
本実施形態では、第1の傾斜機構106は、ベース126に設置する。ここでは、第1の傾斜機構106として、二つのゴニオメータを使用する例を示している。一例として、集束位置108と第1の傾斜機構106の上面(第1、第2の光学部103、104が配置されている面)との距離(ワークディスタンス)は220mmである。ただし、第1の傾斜機構106のワークディスタンスは、この値に限らず、第1、第2の光学部103、104の構成により決定される。例えば、第1の光学部103の焦点距離を短くすることで、第1の傾斜機構106のワークディスタンスを小さくすることが可能である。
第1の傾斜機構106の位置決め精度は次のように求めることができる。検出部102に入射する出射波123の調整精度をA、集束位置108から取得部102に至る出射波123の光学長をLとすると、第1の傾斜機構106の移動分解能は、tan−1(A/L)で求められる。ここで、調整精度Aは、測定物109の深さ方向と垂直に交わる面内において、第1の傾斜機構106によって検出部120に対する反射波123の光軸の位置を調整する場合の調整量である。例えば、調整精度Aを1μm、出射波123の光学長Lを250mmとすると、第1の傾斜機構106の位置決め精度は、約0.0002度と求めることができる。本実施形態では、第1の傾斜機構106として繰り返し位置決め精度が0.0001度の機構を用いる。
また、角度調整に伴う回転中心の変位量を抑えるため、第1の傾斜機構106によって入射角度を調整できる範囲(第1の傾斜機構106の移動量)を制限することが望ましい。詳細には、出射波123の調整精度Aと同程度に抑えることが望ましい。回転中心の変位量のおおよその傾向として、変位量は傾斜機構の移動量に比例する。すなわち、第1の傾斜機構106の移動量が小さい程、回転中心の変位量は小さくなる。
予め測定された第1の傾斜機構106の移動量Bの時の回転中心の変位量をCとする場合、調整精度Aと同程度となる第1の傾斜機構106の移動量Dは、A/D=C/Bから見積もることができる。この時、予め測定されたB/Cを、精度定数Pと表すと、第1の傾斜機構106の移動量Dは、A×Pと表すことができる。例えば、第1の傾斜機構106の移動量Bとして±10度動かした時の回転中心の変位量Cが約200μmであった場合を考える。この時、回転中心の変位量として調整精度A(1μm)を満たすための第1の傾斜機構106の移動量Dの範囲は、約±0.05度と見積もることができる。
第2の傾斜機構107は、測定面125の傾き(姿勢)を調整する構成である。図1の第2の傾斜機構107は、測定面125の傾きを変更する回転機構(回転部)を有する。このとき、第2の傾斜機構107は、法線方向における位置が集束位置109と一致しており、第2の傾斜機構107との相対位置が走査機構105の動作によって変更されない任意の1点を回転中心とする。よって、第2の傾斜機構107の回転中心は、走査機構105によって測定物109の位置が変更されると共に走査面124と平行に移動する。
第2の傾斜機構107は、法線方向を前後方向とした場合、測定面125の姿勢を、少なくともピッチング方向とヨーイング方向に調整する機構で構成する。例えば、二つのゴニオメータや、ゴニオメータと回転ステージの組合せ、あるいは複数のアクチュエータを備えたトライポッドステージやヘキサポッドステージで構成する。
本実施形態では、第2の傾斜機構107を二つのゴニオメータで構成する例を示す。第2の傾斜機構107のワークディスタンスは40mmとする。ただし、第2の傾斜機構107のワークディスタンスはこの値に限らず、保持部116の構成により決定される。第2の傾斜機構107は、走査機構105に接続される。そして、測定物109は、保持部116を介して第2の傾斜機構107に保持される。
保持部116は、測定物109が配置される構成で、入射波122を測定物109の測定面125に導くための開口が設けられている。保持部116は、第1の傾斜機構106や第2の傾斜機構107の回転中心付近に測定物109の測定面125を配置する構成であれば、その形態は問わない。例えば、保持部116は、第2の傾斜機構107と接する第1の面と、第1の面と略平行で測定物108が配置される第2の面とを有する構成であればよい。例えば、図1に示したような第1の面を有する平板と第2の面を有する平板とをつなげた構成や、周囲を側面で囲まれた構成等でよい。また、測定物109を配置する際に、保持部116の側面が開閉できる形態でもよい。
図2は、走査機構105と第2の傾斜機構207の別の配置例を説明する模式図である。図2の構成では、ベース126に走査機構105を配置する。第2の傾斜機構207は、ゴニオメータと回転ステージで構成し、走査機構105に対し、L型のアダプタで保持される。測定物109はT字型の保持機構216を介して第2の傾斜機構207に保持される。本構成により、法線方向を前後方向とすると、測定面125の姿勢をピッチング方向とヨーイング方向に調整する。
その他にも、第2の傾斜機構107として、第1の傾斜機構107に対して固定の回転の中心を有しない傾きを変更可能なステージ(不図示)を用いることもできる。傾きを変更可能なステージ(不図示)を用いる場合、法線方向における測定面125の位置を調整する調整機構(不図示)を追加する。そして、傾き調整後の測定面125の法線方向における位置と、集束位置108又は第2の傾斜機構207の回転中心の法線方向における位置(基準位置)と、の差に関する情報を求める。その差に関する情報に基づいて、不図示の調整機構を用いて測定面125の位置が基準位置と一致するように測定面125の位置を調整する。
図12は、第1の傾斜機構106と第2の傾斜機構107の別の配置例を示した図である。図12に示した構成は、測定物109に対して入射波122を上方から照射する構成である。第1の傾斜機構106は装置筐体127に配置され、第2の傾斜機構107はベース126に配置される。
この配置では、測定物109はベース126の方向に荷重がかかるため、測定物109の測定面125を入射波122に対してすべて露出することが可能である。そのため、例えば、保持機構の開口による入射波122や出射波123のけられがなくなり、より安定に測定ができる。図12では、保持部1216はブロック状の機構を用いる。
走査機構105はベース126のような平面に設置されるため、図1のような走査機構105がベース126から離れている構成に対し、移動時の走り平行度が改善される。上述したように、走査機構105の走り平行度は、走査面124に対する測定面125の平行度に対して十分小さいことが求められる。図12の構成によれば、走り平行度を改善できるため、平行度の調整を容易にすることができる。また、図示していないが、図12の配置例に対し、第1の傾斜機構106をベース126に設置された走査機構105の移動テーブルに配置し、第2の傾斜機構107を装置筐体127に配置してもよい。この場合も、走査機構105は平面に配置されるため、走査機構105の走り平行度は改善され、平行度の調整を容易にすることができる。
第2の傾斜機構107の位置決め精度は次のように求めることができる。生体に関する試料を測定する場合、平行度Eの目標値は10μmよりも小さい値である。この場合、走査面124に対する測定面125の平行度の調整が実施される測定面125の領域をFとすると、第2の傾斜機構107の移動量Gは、tan−1(E/F)となる。例えば、平行度の調整が実施される測定面125の領域Fを25mm×25mmとした場合、第2の傾斜機構107の移動量Gは、約±0.02度の範囲である。ここで、この移動量Gを分割数Hで調整する場合、第2の傾斜機構107の位置決め精度はF/Hで求められる。例えば、分割数Hとして20を用いる場合、第2の傾斜機構107に必要な位置決め精度は、約0.001度となる。
より好ましい平行度Eの値は、試料の測定に用いるテラヘルツ波の最短波長λminに対し、電磁波が構造を認識できる限界であるλmin/20よりも小さい値である。例えば、λminとして60μm(5THz)を想定する場合、平行度は、約3μmよりも小さいことが望ましい。この時、第2の傾斜機構107の移動量Gは、tan−1(λmin/20/F)とも表すことができる。平行度の調整が実施される測定面125の領域Fを25mm×25mmとした場合、移動量Gは、約±0.006度の範囲である。分割数Hとして20を用いる場合、第2の傾斜機構107の位置決め精度は、約0.0003度となる。本実施形態では、第2の傾斜機構107として繰り返し位置決め精度0.0002度の機構を用いる。
また、角度調整に伴う回転中心の変位量を抑えるため、第2の傾斜機構107の移動量を制限することが望ましい。詳細には、必要な平行度の値以下に抑えることが望ましい。第1の傾斜機構106と同様に、回転中心の変位量のおおよその傾向として、変位量は傾斜機構の移動量に比例し、移動量が小さいほど回転中心の変位量は小さくなる。
第2の傾斜機構107の移動量Iの時の回転中心の変位量をJとする場合、平行度Eの値以下に抑える第1の傾斜機構106の移動量Kの傾向は、E/K=J/Iから見積もることができる。この時、予め測定されたI/Jを、精度定数Qと表すと、第2の傾斜機構107の移動量Kは、E×Qと表すことができる。例えば、第2の傾斜機構107の移動量Iとして±10度動かした時の回転中心の変位量Jが約20μmであった場合を考える。この時、回転中心の変位量として平行度E(10μm)を満たすための第2の傾斜機構107の移動量Kの範囲は、約±5度と見積もることができる。
上述したように、平行度Eのより好ましい値は、試料の測定に用いるテラヘルツ波の最短波長λminに対し、電磁波が構造を認識できる限界であるλmin/20よりも小さい値である。λminとして60μm(5THz)を想定する場合、平行度Eは、約3μmである。この時、回転中心の変位量として平行度E(3μm)を満たすための第2の傾斜機構107の移動量Kの範囲は、約±1.5度と見積もることができる。
本明細書の「走査面124の法線方向における位置が一致している」とは、走査面124の法線方向における位置が完全に同じでなくてもよく、法線方向において同じ位置と見なせる範囲(「回転中心の許容値」と呼ぶ)内に収まっていることと定義する。例えば、第1の傾斜機構106の回転中心及び第2の傾斜機構107の回転中心のそれぞれの法線方向における位置の差が回転中心の許容値内となるように配置する。このような構成であれば、第1の傾斜機構106の回転中心と第2の傾斜機構107の回転中心との法線方向における位置は一致していると言える。
なお、回転中心の許容値は、入射波122の焦点深度程度又は焦点深度以下の大きさであり、典型的には数mm程度のオーダー、詳細には、1mmから2mm程度の大きさである。
このことから、第1の傾斜機構106の回転中心及び第2の傾斜機構107の回転中心のそれぞれの法線方向における位置は、集束位置108と完全に同じでなくてもよく、集束位置108の法線方向における位置から回転中心の許容値以内であればよい。また、第1の傾斜機構106の回転中心と第2の傾斜機構107の回転中心とが、法線方向において完全に同じ位置でなくてもよい。このとき、回転中心間の法線方向における位置ずれは、回転中心の許容値以内であることが望ましい。このように、第1の傾斜機構106及び第2の傾斜機構107は、それぞれの回転中心の法線方向における位置が集束位置108から回転中心の許容値以内の範囲に収まるように配置することが好ましい。
第2の傾斜機構107として、傾きを変更可能なステージを用いる場合は、第1の傾斜機構106の回転中心と第2の傾斜機構107の基準位置とが回転中心の許容値内に収まっていれば、法線方向における位置が一致していると言える。すなわち、測定面125の法線方向における位置の基準となる基準位置は、集束位置108又は第1の傾斜機構106の回転中心と完全に同じ位置でなくてもよく、集束位置108又は第1の傾斜機構106の回転中心から回転中心の許容値内であればよい。
走査機構105は、装置筐体127に固定されている。そのため、本実施形態では、走査面124の姿勢は固定される。第1の傾斜機構106は、測定面125に入射する入射波122の入射角度を調整することで、検出部102に入射する反射波123の光軸を第1、第2の光学部103、104が予め想定した光軸に調整する。以後、この調整作業をテラヘルツ波光学部104の光学調整と呼ぶこともある。第2の傾斜機構107は、測定物109の測定面125の姿勢を調整し、測定位置の移動領域において走査面124に対する測定面125の平行度を調整する。この二つの動作を繰り返すことで、平行度の調整とテラヘルツ波光学部104の光学調整を実施する。なお、この調整作業は、測定位置の物性取得工程の前に、装置校正の一環として予め実施される。
装置100を生体の測定に適用する場合、走査面124に対する測定面125の平行度を10μm以下に調整することが望ましい。この平行度を達成するために、本実施形態では、試料の測定に用いるテラヘルツ波の最短波長λminに対し、走査機構105の走り平行度をλmin/20以下にする。また、出射波123の調整精度A、予め測定された精度定数Pを用いると、第1の傾斜機構の移動量は、A×P以下にする。また、平行度E、予め測定された精度定数Qを用いると、第2の傾斜機構の移動量は、E×Q以下にする。条件により、本発明の装置は、走査面124に対する測定面125の平行度の調整を、10μmのオーダーで行うことを可能とする。
第1の傾斜機構106と第2の傾斜機構107は、法線方向の位置が略同じとなる位置を回転中心としている。傾きの調整が可能な不図示のステージを用いる場合は、傾き調整後の測定面125の法線方向における位置が基準位置と同じになるように調整している。そして、測定面125にある測定位置は、第1の傾斜機構の回転中心に位置している。このため、走査面124に対する測定面125の平行度の調整の過程で、測定面125と光学部104の姿勢が変化した場合でも、測定位置の変動を抑制できる。この結果、走査面124に対する測定面125の平行度の調整の過程で、測定位置の位置調整を実施せずに測定面125の姿勢調整と光学部104の光軸調整を行うことができ、作業性が高まる。
装置100は、光伝搬部112、113として可撓性を有する光ファイバを用いている。このような構成にすることにより、第1の傾斜機構106により光学部104の姿勢が変化した場合でも、光学系の調整状態の変化を抑制することが容易となる。詳細には、発生部101と検出部102の前段に可撓性の部品を配置する。このような構成にすることで、発生部101、検出部102、第1の光学部103及び第2の光学部104を含む光学系の姿勢を、励起光L1と励起光L2の取回し部分に対して独立して調整することができる。そのため、測定面125に対する入射波122の入射角度の調整が第1の傾斜機構106によって容易に調整することが可能となり、光学調整が容易となる。
装置100は、テラヘルツ波パルスを整形部103に射出する射出点が光学部104とともに第1の傾斜機構106上に収められている。そのため、光学部104の姿勢の変化に対し、光学系の調整状態を維持したままテラヘルツ波パルスの射出点も相対的に変化させることができる。また、装置100は、整形部103からの反射波123が入射する入射点が第2の光学部104とともに第1の傾斜機構106上に収められている。そのため、光学部104の姿勢の変化に対し、光学系の調整状態を維持したままテラヘルツ波パルスの取得点も相対的に変化させることができる。
これらの構成により、装置100は、第1の傾斜機構106と第2の傾斜機構107により、走査面124に対する第1、第2の光学部103、104の姿勢及び測定面125の姿勢を調整する。その結果、観察面に平行な走査面124に対する測定面125の平行度の調整を、テラヘルツ波が伝搬する光学系の配置関係を変化させずに実施することができる。そのため、測定結果からテラヘルツ波が伝搬する光学系の変化の影響が低減されるため、物性変化の測定の精度が向上する。
ここで、発生部101、検出部102、第1、第2の光学部103、104の構成の別の一例について、図3を参照して説明する。図3は、発生部101、検出部102の構成の一例を説明する模式図である。
図3における発生部101は、発生器1011と、第1のテラヘルツ波伝搬部341と、第1の結合部343と、を有する。検出部102は、検出器1021と、第2のテラヘルツ波伝搬部342と、第2の結合部344と、を有する。発生器1011及び検出器1021は、第1の傾斜機構106上に配置されていない。発生器1011は、第1のテラヘルツ波伝搬部341と接続されており、検出器1021は第2のテラヘルツ波伝搬部342と接続されている。
発生器1011で発生したテラヘルツ波パルスは、第1のテラヘルツ波伝搬部341を伝搬して第1の結合部343から射出された後、整形部103で整形されて入射波112として測定物109に照射される。そして、測定物109で反射した反射波123は、第2の光学部104を介して第2の結合部334に入射し、第2のテラヘルツ波伝搬部342を伝搬して検出部102に入射する。
第1、第2のテラヘルツ波搬部341、342は、テラヘルツ波パルスが伝搬する部分である。より詳細には、可撓性を有する導波路部材である。可撓性を有する導波路部材の例として、伝搬させるテラヘルツ波の波長程度の内径を有する中空導波路に対し、中空導波路の内壁に金属をコーティングした中空ファイバがある。また、可撓性を有する導波路の例として、導電性の単一線等がある。
このような構成にした場合、整形部103にテラヘルツ波パルスを導く射出点は第1の結合部343の光射出面上にあり、整形部103からの反射波123が入射する入射点は第2の結合部344の光入射面上にある。また、図示していないが、図1と図3の構成を組み合わせてもよい。
走査面124に対する測定面125の平行度の調整方法について、図8を用いて説明する。図8は、走査面124に対する測定面125の平行度の調整方法のフローチャートである。
平行度の調整が開始されると、制御部150は、平行度の調整を終了するための終了条件を設定する(S801)。詳細には、制御部150は、終了条件として、走査面124を基準面とした測定面125の平行度の目標値と、測定面125の平行度の調整を実施する領域を設定する。測定面125の平行度の調整を実施する領域は、調整を実施する際の走査機構105の各走査軸の移動範囲を含む領域である。言い換えると、測定位置の移動範囲を含む領域である。
次に、制御部150は、平行度の調整に使用する駆動部分の動作条件を取得する(S802)。詳細には、走査機構105によって制御され、S801で定義した測定面125の領域内にある測定位置の座標を取得する。測定位置の座標は、測定者が直接入力してもよい。また、測定位置の座標は、予め設定された測定位置の測定点数と、平行度の調整を実施する際の走査機構105の各走査軸の移動範囲を参照して、制御部150で計算して取得してもよい。また、S802では、測定位置の各座標を測定する順序を決定する。
制御部150は、測定開始のトリガを受け取ると、調整のための測定動作を開始する(S803)。トリガは、ソフトウェア的でも機械的でもよい。ソフトウェア的なトリガは、装置100の測定プログラムがある条件を満たした時に発生するトリガである。機械的なトリガは、装置100に設けられたスイッチの開閉状態によって発生するトリガである。
制御部150は、走査機構105を動作させて、測定面125にある測定位置を走査面124に沿って移動する(S804)。
次に、移動した座標において、装置100が測定を行う(S805)。具体的には、発生部101から、測定物1090に入射波122を照射し、測定物109からの反射波123を検出部102で検出する。そして、演算部115が、検出部102の検出結果を用いて、THz―TDS方法(THz Time−domain Spectroscopy method)の原理により集束位置108からのテラヘルツ波パルスの時間波形を取得する。図10は、取得されるテラヘルツ波パルスの時間波形を説明する模式図である。テラヘルツ波パルスは、数ピコ秒以下のパルス幅を有する波形であるため、実時間での測定が困難である。THz−TDS装置の原理を用いた測定では、装置の遅延部114で調整される励起光L1とL2の時間差毎に取得部102で取得されるテラヘルツ波パルスの瞬間値を測定する。そして、時間差毎の瞬間値をプロットすることで時間波形1080を取得する。
その後、制御部105は、不図示のメモリに、集束位置108の座標と、テラヘルツ波パルスが出現する時間軸上の位置と、を記録する(S806)。例えば、テラヘルツ波パルスが出現する時間軸上の位置として、テラヘルツ波パルスの尖頭位置が出現する時刻(時間位置)1081が記録される。テラヘルツ波パルスが出現する時間軸上の位置は、パルスの尖頭値の位置を用いる他に、ピークフィッティングによりパルスの出現位置を解析し、この解析値を用いることもできる。詳細には、時間波形1080のパルスの時間位置1081付近にプロットされたデータに対し、ピークフィッティングを実施し、時間位置を求める。解析的な手法を用いることで、時間波形1080を構成するプロットされたデータのノイズ等による測定誤差を抑制することができる。
ステップS807では、制御部150は、ステップS802で定義した全ての測定位置の座標について、テラヘルツ波パルスの時間波形の測定が実施されたかどうかを確認する。全ての座標の測定が終了していない場合、ステップS804に戻り、測定面125にある測定位置を次の測定座標に移動する。全ての測定位置の座標について、測定が実施された場合は、ステップS808に移る。
ステップS808では、制御部150が、ステップS806で取得した測定位置の座標とテラヘルツ波パルスの時間軸上の位置(検出時刻)をメモリ(不図示)から呼び出す。そして、各座標におけるテラヘルツ波パルスの時間波形上の測定面125からの反射波123の検出時刻の分布より、走査面124に対する測定面125の姿勢に関する情報(走査面に対する測定面の傾きに関する情報)を取得する。
測定面125の姿勢に関する情報を取得する方法の一例を、図11を参照して説明する。図11は、測定面125の姿勢に関する情報を取得する方法の一例を説明するための模式図である。図11において、X軸は測定位置のX座標を制御する走査機構105の移動軸であり、Y軸は測定位置のY座標を制御する走査機構106の移動軸である。図11の座標(X)と座標(Y)は、走査機構105によって移動される測定位置の座標である。呼び出されたパルスの時間軸上の位置情報は、光学定数を用いて距離に換算し、図11の縦軸である距離軸にプロットされる。データ1196は、任意の測定位置における測定面125の深さ方向における位置に関するデータで、所定の位置からの距離を示している。
図11のように、各座標のデータ1196をプロットすることで、パルス位置の分布図を取得する。ここで、第1の面1191は、走査面124に平行な面である。第2の面1192は、第1の面1191に平行な面で、第1の面1191に対して所定の離間距離1193を有している。すなわち、測定面125の平行度は、離間距離1193だけ離れた第1の面1191と第2の面1192との二つの面の間に挟まれた領域と定義できる。ステップS801では、例えば、平行度の目標値として離間距離1193の目標値を入力する。第1の面1191及び第2の面1192の大きさは、測定面125の平行度の調整を実施する領域と同じである。移動範囲X1194と移動範囲Y1195は、測定位置の移動範囲である。これらの移動範囲の大きさは、第1の面1191と第2の面1192の大きさ以下である。
図11に示したように、測定面125の姿勢に関する情報は、パルス位置の分布図を面フィッティングした得られた面(フィッティング面)1197から求めることができる。詳細には、第1の面1191に対するフィッティング面1197の傾きを求めることで測定面125の姿勢に関する情報を取得する。フィッティング面1197の面積は、測定面125の平行度の調整を実施する領域の面積と等しい。言い換えると、第1の面1191と第2の面1192とフィッティング面1197とは、同じ面積を有している。
測定位置の移動範囲である移動範囲X1194や移動範囲Y1195の大きさが、測定面125の平行度の調整を実施する領域に満たない場合、計算によりフィッティング面1197の大きさを拡張する。また、測定位置の移動範囲である移動範囲X1194や移動範囲Y1195の大きさが、測定面125の平行度の調整を実施する領域を超える場合、計算によりフィッティング面1197の一部を切り出して面積を小さくする。
ステップS808で取得された測定面125の姿勢に関する情報より走査面124に対する測定面125の平行度を算出する。そして、求められた平行度とステップS801で設定した平行度の目標値とを比較する(S809)。詳細には、平行度の調整が実施される領域について、フィッティング面1197の姿勢を求め平行度を算出する。より具体的には、図11の距離軸について、フィッティング面1197の最大値と最小値の差を計算する。
そして、ステップS801で設定された平行度の目標値との比較は、平行度の調整が実施される第1の面1191と第2の面1192に挟まれた領域に対するフィッティング面1197の配置状態を取得することによって実施される。言い換えると、第1の面1191と第2の面1192に対するフィッティング面1197の交差状態を取得することによって実施される。例えば、平行度の目標値が離間距離1193である場合を例にとる。この場合、離間距離1193の第1の面1191と第2の面1192との間にフィッティング面1197があり、且つ、フィッティング面1197が第1、第2の面1191、1192と交差していなければ、測定面125の平行度が目標値を満たすと判断する。終了条件を満たしている(求められた平行度が目標値よりも小さい)場合、制御部150は平行度の調整を終了する。終了条件を満たしていない場合、装置はステップS810の工程に移る。
続いて、制御部150は、第2の傾斜機構107を用いて走査面124に対する測定面125の平行度の調整を実施する(S810)。詳細には、求められた測定面125の姿勢に関する情報より、ピッチング方向の調整量とヨーイング方向の調整量を求め、この調整量に従って第2の傾斜機構107の姿勢を調整する。例えば、ピッチング方向とヨーイング方向の角度調整量は、図11のフィッティング面1197の姿勢より、走査機構105の各軸(図11の座標Xと座標Yに相当)に対する傾斜角度を計算して取得する。また、調整動作が終了しない現象(ある状態に収束しない現象)を防止するため、制御部150は、取得した角度調整量に対し、1以下の係数を乗算した値を調整量としてもよい。
次に、制御部150は、第1の傾斜機構106により光学部104の回転角度を調整することで、測定面125に対する入射波122の入射角度を調整する(S811)。言い換えると、測定面125で反射して検出部102に到達する反射波123の光軸を調整する。入射波122の入射角度の調整は、例えば、検出部102が検出した反射波123の出力(強度又は振幅)を監視し、反射波123の出力を最大化する等の方法で行うことができる。詳細には、テラヘルツ波パルスである反射波123の時間波形1080の尖頭値を最大化するように光学部104の姿勢を調整し、反射波123の光軸を光学部104が想定する光軸に近づける。
その後、ステップS803に戻って再度測定を行い、ステップS809で測定面125の平行度が終了条件を満たしているかを確認する。終了条件を満たしていたら、測定面125の平行度の調整を終了する。
このように、装置100によれば、テラヘルツ波を用いて試料を測定する測定装置において、走査面を基準平面とする観察面の平行度が調整可能となる。その際、テラヘルツ波が伝搬する光学系の配置関係を変化させずに走査面124に対する測定面125の平行度を調整できる。テラヘルツ波が伝搬する光学系の配置関係が変化しないため、物性の変化をより判別しやすくなる。
また、上述の構成により測定面125の平行度を調整してから測定を行えば、測定面125と実際に測定される観察面との間における測定物109の深さ方向の位置ずれを低減できる。
また、本実施形態の装置100によれば、走査面124に対する観察面125の平行度を調整する際、光学系の配置を変更せずに、入射角を調整できる。そのため、測定面125に対する入射波122の照射位置(測定位置)を変更しながら測定を行った場合でも、測定位置毎に測定物の傾きや入射角を調整する必要がない。そのため、測定位置毎に測定物の傾きや入射角を調整する構成と比較して、測定速度をより早くすることができる。
(実施形態2)
本実施形態の測定装置500(以下、「装置500」と呼ぶ)について、図5を参照して説明する。装置500は、実施形態1と異なる方法で測定物109の測定面125の姿勢を取得するための構成を有する。なお、これまでの説明と共通する部分の説明は省略する。
図5は、装置500の構成の一部を説明する図である。装置500は、測定面125の姿勢の変化を監視する一つ又は複数の姿勢監視部550を有する。図5(a)のように、姿勢監視部550は、監視光源551と光検出部(位置検出部)552とを有する。
監視光源551は、テラヘルツ波パルスとは異なる波長の光を出力する部分である。監視光源551からの光は、以降「監視光」と呼ぶ。監視光源551からの監視光は、入射波122の集束位置108に照射される。
位置検出部552は、集束位置108から反射した光の位置を検知する部分である。位置検出部552は、1次元方向の監視光の位置変化を検知するラインセンサか、2次元方向の監視光の位置変化を検知するエリアセンサである。
例えば、位置検出部552としてエリアセンサを用いると、測定面125のピッチング方向とヨーイング方向の姿勢を求めることが可能となる。また、位置検出部552としてラインセンサを用いても、図5(b)のように、第1の姿勢監視部553と第2の姿勢監視部554とを用いることで、測定面125のピッチング方向とヨーイング方向の姿勢を求めることが可能である。複数の姿勢監視部を用いる場合、各姿勢監視部の監視光の光軸が互いに交差するように第1の姿勢監視部553と第2の姿勢監視部554とを配置する。
装置500を用いると、装置100の測定面125の平行度の調整方法のステップS808における測定面125の姿勢に関する情報の取得工程において、姿勢監視部550の出力から測定面125の姿勢に関する情報を求めることができる。すなわち、本実施形態の装置の調整方法は、姿勢監視部550の出力より、テラヘルツ波が伝搬する光学系の配置関係を変化させずに走査面124に対する測定面125の平行度を調整する。
また、装置500は、姿勢監視部550により測定面125の姿勢変化を読み取ることができる。そのため、第2の傾斜機構106の調整量を一意に決めることができるため、実施形態1の反射波123のパルス位置の分布から測定面125の姿勢に関する情報を求める形態と比較して、測定面125の平行度の調整に要する時間を短縮できる。
(実施形態3)
本実施形態の測定装置400(以下、「装置400」と呼ぶ)について、図4を参照して説明する。図4は、装置400の構成を説明する模式図である。なお、これまでの説明と共通する部分の説明は省略する。
装置400は、実施形態1の装置100の構成に、集束位置変更部(第3の変更部)445を追加した構成である。
集束位置変更部445は、集束位置108を法線方向に移動する構成である。図4では、集束位置変更部445は、走査機構105と第2の傾斜機構との間に配置され、第2の傾斜機構107を保持する。ただし、集束位置変更部445は、ベース126と第1の傾斜機構106との間に配置することも可能である。
集束位置変更部445は、測定位置を変更している際に、走査面124に分布する表面(凹凸)形状を参照して、この表面(凹凸)形状を均す方向に集束位置108を調整する。走査面124に分布する表面(凹凸)形状は、走査機構105によって移動する測定位置の法線方向における変位の軌跡である。走査面124の平面度は、軌跡情報の最大値と最小値との差である。この走査面124に分布する表面(凹凸)形状の情報は、事前に取得されていることが望ましい。
この走査面124に分布する表面(凹凸)形状を機械的に均すことにより、走査面124の平面度による影響を低減した測定を可能にする。詳細には、走査面124の平面度を、走査面124に対する測定面125の平行度の値よりも小さくする。望ましくは、測定物109の測定に用いるテラヘルツ波の最短波長λminに対し、電磁波が構造を認識できる限界であるλmin/20よりも小さい値に調整する。
なお、上述したように、第1の傾斜機構106は、集束位置108を回転中心とする位置に配置される。また、第2の傾斜機構107は、測定面125の任意の1点を回転中心とする位置に配置される。このとき、集束位置変更部445は、第1の傾斜機構106の回転中心の位置と第2の傾斜機構107の回転中心の位置との法線方向における差が、回転中心の許容値内となるように調整することが望ましい。回転中心の許容値内に位置していれば、法線方向における位置が一致しているといえる。
装置400は、集束位置変更部445により、走査面124の平面度を機械的に調整する。そのため、走査面124の面内の平面度が改善されるため、物性の測定精度が向上する。
図9は、装置400を用いた測定物109の測定方法を説明する図である。測定物109の測定面125の物性の測定の前に、測定面125の平行度の調整が実施される。例えば、図9のステップS901に示したように、実施形態1と同様の方法(S801〜S811)で走査面124に対する測定面125の平行度が調整される。
その後、制御部150は、走査面124の表面(凹凸)形状を測定する際の測定条件を設定する(S902)。詳細には、測定面125内にある測定位置の座標を取得する。測定位置の座標は、測定者が装置に直接入力してもよい。また、測定位置の座標は、予め設定された測定位置の数と、測定面125の物性を測定する際の走査機構105の各走査軸の移動範囲と、を参照して、制御部150が計算して取得してもよい。望ましくは、測定面125の物性を測定する測定位置の座標を取得する。
ステップS903〜S907のそれぞれは、実施形態1のステップS803〜S807と同様であるため、詳細な説明は省略する。ステップS903〜S907の工程によって、ステップS902で設定した各測定位置における測定が終了した場合、制御部150は、ステップS906で取得した各測定位置の座標とパルスの時間軸上の位置に関する情報をメモリから取得する。そして、パルスの時間軸上の位置に関する情報から、図13のように、各測定位置における距離データ1396を求める。その後、各測定位置における距離データ1396を用いて走査面124の平面の形状を取得する(S908)。この距離データ1396の分布の最大値と最小値との差が平面度となる。
得られた走査面124の平面の形状より、走査面124の基準位置を取得する(S909)。走査面124の基準位置は、例えば、走査面124の表面形状の距離分布の平均値等である。あるいは、取得した距離データ1396の分布について、平行度の調整が実施された測定面125と平行な面を用いて面フィッティングを実施し、フィッティング面1397の位置を基準位置として用いてもよい。基準位置と実際の距離データ1396の差が、平面度の調整時の調整量となる。
なお、ここでは、ステップS902〜S909の工程によって、測定面125の物性の測定の前に走査面124の表面形状を取得しているが、走査面124の表面の形状を予め取得しておき、メモリに格納しておいたものを用いてもよい。
走査面124の表面の形状、及び走査面124の基準位置が取得された状態で、制御部125は、測定物109の本測定における測定条件を取得する(S910)。詳細には、走査機構105によって制御される本測定における測定位置の座標を取得する。測定位置は一つでもよいし、複数あってもよい。また、複数の測定位置がある場合、測定位置の測定順序を定める。
制御部150は、測定開始のトリガを受け取ると、測定のための動作を開始する(S911)。まず、走査機構105が、測定位置を走査面124に沿って移動する(S912)。詳細には、測定位置は、ステップS910で設定した最初の座標に移動される。
測定位置の移動後、ステップS908で得られた走査面124の表面(凹凸)形状と、ステップS909で得られた基準位置の情報と、を参照し、集束位置変更部445を用いて、法線方向における集束位置108の位置を調整する(S913)。すなわち、走査面124に対する法線方向における入射波122の集束位置108を適宜変更することによって、走査面124がステップS909で設定した基準位置に収束し、平面度が調整される。
その後、集束位置108を基準位置に近づけた状態で、THz―TDS法の原理を用いて測定を行い、測定位置からの反射波123の時間波形を演算部115より取得する(S914)。
演算部150は、測定位置の座標毎にS914で取得した測定データを管理する(S915)。演算部115は、測定データより測定面125内の各測定位置における測定物109の物性等の情報を取得する情報取得部としての機能を有していてもよい。
次に、制御部150は、ステップS910で定めた全ての測定位置の測定が終了したかどうかを確認する(S916)。全ての測定位置の測定が終了していない場合は、ステップS912に戻り、測定位置を次に測定する座標に移動する。
装置400によれば、テラヘルツ波を用いて試料を測定する測定装置において、走査面を基準平面とする観察面の平行度が調整可能となる。
また、装置400は、集束位置変更部445を有しており、その集束位置変更部445によって、走査面124の平面度を機械的に調整する。そのため、走査面124の面内の平面度を向上させた状態で測定面124の物性を測定することができ、装置を提供できる。
(実施形態4)
本実施形態では、保持部116付近の構成が実施形態1と異なる。なお、これまでの説明と共通する部分の説明は省略する。
本実施形態について、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態の保持部116付近の構成を説明する模式図である。本実施形態では、保持部116に、測定物109と平板662とが配置されている。平板662は、平行平面を有し、測定物109よりも先に入射波122が到達するように配置される。本実施形態の測定面125は、平板662と測定物109との接触面である。
平行平面の平行度の許容値は、取得したい物性の精度による。課題でも述べたが、例えば、生体に関する試料を測定物109とした場合に、屈折率を0.01の検出能で取得する場合、装置固有の誤差の影響を除くために走査面124に対する測定面125の平行度は10μm以下が要求される。この条件を適用すると、生体に関する測定を行う場合、平板662の平行度は10μm以下が望ましい。
平板662を使用すると、平板662の表面(平板662と空気との界面)からの第1の反射波660と平板662と測定物109との界面からの第2の反射波661とを一括して取得することができる。そして、第1の反射波660を基準として、第1の反射波660に対する第2の反射波661の変化より、測定物109の物性を求めることができる。この時、第1の反射波660と第2の反射波661は一括して取得されるので、第1の反射波660と第2の反射波661との測定条件を一致させることができる。そのため、測定精度の向上が容易になる。
本実施形態の測定装置は、平板662の平面に測定物109を接触させ、平板662と測定物109の接触面を測定面125にしている。生体のような軟性の測定物109を取り扱う場合、平板662の平面に測定物109の測定面125を均すことができるため、測定面125の面出しが可能となる。そのため、測定面125と観察面に平行な走査面124の平行度の調整が容易となる。
本実施形態の構成によれば、テラヘルツ波を用いて試料を測定する測定装置において、走査面を基準平面とする観察面の平行度が調整可能となる。
(実施形態5)
本実施形態のイメージング装置700(以下、「装置700」と呼ぶ)について、図7を参照して説明する。装置700は、実施形態1の装置100を用いたイメージング装置である。なお、これまでの説明と共通する部分の説明は省略する。
図7は、装置700の構成を説明する模式図である。装置700は、装置100の構成に、さらに次の構成が加わる。具体的には、処理部15が、演算部115と制御部150とに加えて、位置取得部770と、画像構成部771と、可視像出力部772と、画像合成部772と、を有する。
位置取得部770は、走査面124の複数の測定位置の座標を取得する演算処理部分であり、走査機構105による移動量から測定位置の座標を取得する。具体的には、走査機構105が有する走査機構105の移動量を測定する測定部(スケール)の出力から集束位置108の座標を読み取る。あるいは、測定位置の移動のために入力された走査機構105への制御部150からの制御信号を参照して、測定位置の座標を取得する。
演算部115は、集束位置108に位置する測定位置からの反射波123を検出部102が検出した検出結果から時間波形を取得することに加え、反射波123の情報より、各測定位置における測定面125上の物性の情報を取得する情報取得部である。反射波123の情報とは、テラヘルツ波パルスの時間波形の変化である。また、測定物109の情報は、時間波形の瞬間値の変化、時間波形から得られた周波数スペクトルの形状、及び着目する周波数の強度、位相情報等の少なくとも1つが含まれる。また、測定物109の情報は、物質の複素振幅反射率、複素屈折率、複素誘電率、反射率、屈折率、吸収係数、誘電率、電気伝導率等の光学特性を含む。
画像構成部771は、各測定位置の座標と演算部115で取得した各測定位置の測定物109の情報とを用いて、測定面125の画像を構成する演算処理部分である。得られる画像(テラヘルツ波像)は、測定位置の座標情報を参照して得られる測定物109の情報の分布像である。
装置700によれば、テラヘルツ波を用いて試料を測定する測定装置において、走査面を基準平面とする観察面の平行度が調整可能となる。また、装置700は、観察面に平行な走査面124に対する測定面125の平行度を調整した状態で測定した結果を用いて、テラヘルツ波像を構成することができる。そのため、微小な物性変化を反映したテラヘルツ波像を提供することが可能となる。
可視像出力部772は、測定物109に関する可視像を出力する。可視像出力部772は、イメージセンサを有するカメラ等の撮像手段(不図示)と、レンズ群による光学ユニットで撮像手段に像を結像する結像手段(不図示)によって撮像した測定物109の可視像を出力する。撮像手段(不図示)及び結像手段(不図示)は、装置700に内蔵されていてもよいし、別の撮像装置で撮像を行ってもよい。可視像出力部772が取得した可視像を、測定位置の座標を決定するための情報入力手段(インターフェース)として使用してもよい。
画像合成部773は、可視像出力部772から出力された可視像と画像構成部771から出力された画像とを合成して定時する演算処理部分である。一般的に、集束位置108でのテラヘルツ波のビーム径は1mm前後である。このため、反射波123を測定した結果を用いて得られるテラヘルツ波像の解像度はビーム径程度となる。そこで、可視像により得られる測定物109の外形情報とテラヘルツ波像とを組み合わせることにより、テラヘルツ波像の分析を容易にする。
図14は、装置700を用いて取得されるテラヘルツ波像の一例を示す図である。図14(a)は、測定物109の可視像1405にテラヘルツ波像1406を付与した図である。詳細には、可視像1405とテラヘルツ波像1406とを重ねた図である。測定物109には、腫瘍部を有するラットの脳組織切片を用いた。測定物109は、図6で説明した平板662を介して保持部116に配置される。平板662としては、厚さ1mmの石英板を用いた。
図14(a)において、格子状の画素1407の集合体がテラヘルツ波像1406である。画素1407のサイズは500μm×500μmであり、測定位置1点について一つの画素1407が割り当てられる。言い換えると、隣接する測定位置の間隔は500μmであり、画素1407は、測定位置を中心とした領域の物性の平均を反映している。
画素1407は色分けされており、ここでは、黒色で示した領域が正常部1401を表し、白色で示した領域が腫瘍部1402を表している。灰色で示した領域は、正常部1401と腫瘍部1402とが混合している領域と考えられる。ここで、画素1407の色分けは、演算部115で取得した各測定位置における測定物109の物性について、主成分分析を実行して得られた確率を参照して行われる。
図14(b)は、測定部109として用いたラットの脳組織切片のHE染色像である。図14(a)のテラヘルツ波像1406と図14(b)のHE染色像とを比較すると、テラヘルツ波像1406で予測された腫瘍部1402の位置は、HE染色像から得られた腫瘍部1403の位置と合致している。なお、ここでは、測定物109として生体組織であるラットの脳組織の例を示したが、他の生体組織にも適用可能である。
このように、装置700の構成によれば、効果。その結果、生体組織の正常部と異常部との判別を行う場合のような、微小な物性の差異を判別できる可能性が向上する。さらに、テラヘルツ波像に対し、可視像による測定物109の外形情報を付与することで、テラヘルツ波像による物性変化の状態が見やすくなる。
また、装置700では、取得したテラヘルツ波像と測定物109の可視像とを重ねて表示している。そのため、テラヘルツ波による物性情報と可視像による外形情報とを同時に観察することができ、物性の解釈が行いやすくなる。
101 発生部
102 検出部
103 第1の光学部
104 第2の光学部
105 走査機構
106 第1の傾斜機構
107 第2の傾斜機構
108 集束位置
124 走査面

Claims (19)

  1. 測定物からのテラヘルツ波パルスを測定する測定装置であって、
    テラヘルツ波パルスを発生する発生部と、
    前記測定物からのテラヘルツ波パルスを検出する検出部と、
    前記発生部からのテラヘルツ波パルスを整形する第1の光学部と、
    前記測定物からのテラヘルツ波パルスを前記検出部に導く第2の光学部と、
    前記第1の光学部からのテラヘルツ波パルスの集束位置と前記測定物との相対位置を走査面に沿って変更する走査部と、
    前記集束位置を回転中心として、前記第1の光学部及び前記第2の光学部を回転する第1の変更部と、
    前記走査面と前記測定物の測定面との相対的な傾きを変更する第2の変更部と、を有する
    ことを特徴とする測定装置。
  2. 前記第1の変更部は、前記第1の光学部と前記第2の光学部との相対位置及び相対的な傾きを変更しないように前記第1の光学部と前記第2の光学部とを一体に回転する
    ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
  3. 前記発生部は、パルス光が入射することによりテラヘルツ波パルスを発生する発生器を有し、
    前記発生器は、前記第1の変更部に配置されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の測定装置。
  4. 前記発生部は、パルス光が入射することによりテラヘルツ波パルスを発生する発生器と、前記発生器からのテラヘルツ波パルスが伝搬する可撓性の第1のテラヘルツ波伝搬部と、前記第1のテラヘルツ波伝搬部からのテラヘルツ波パルスを前記第1の光学部に結合する第1の結合部と、を有し、
    前記第1の結合部は、前記第1の変更部に配置されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の測定装置。
  5. 前記検出部は、テラヘルツ波パルスを検出する検出器を有し、
    前記検出器は、前記第1の変更部に配置されている
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の測定装置。
  6. 前記検出部は、テラヘルツ波パルスを検出する検出器と、前記第2の光学系からのテラヘルツ波を前記検出器に導く可撓性の第2のテラヘルツ波伝搬部と、前記第2の光学系からのテラヘルツ波を前記第2のテラヘルツ波伝搬部に結合する第2の結合部と、を有し、
    前記結合部は、前記第1の変更部に配置されている
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の測定装置。
  7. 前記第2の変更部は、前記走査面の法線方向における位置が前記集束位置と一致しており且つ前記第2の変更部との相対位置が一定な点を回転中心として前記測定物を回転する回転機構を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の測定装置。
  8. 前記第2の変更部は、前記測定面の傾きを変更可能なステージを有する
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の測定装置。
  9. 前記走査面の法線方向における前記集束位置を変更する第3の変更部を更に有する
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の測定装置。
  10. 前記第3の変更部は、前記走査面の表面の形状に関する情報に基づいて前記走査面の法線方向における前記集束位置を変更する
    ことを特徴とする請求項9に記載の測定装置。
  11. 前記第1の変更部は、前記検出部が検出した前記測定物からのテラヘルツ波パルスの強度又は振幅に基づいて、前記測定物に対するテラヘルツ波パルスの入射角を変更する
    ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の測定装置。
  12. 前記第1の変更部は、前記検出部の検出結果を用いて取得した時間波形における前記測定面で反射したテラヘルツ波パルスの強度に基づいて、前記測定物に対するテラヘルツ波パルスの入射角を変更する
    ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の測定装置。
  13. 前記第2の変更部は、前記測定物の第1の位置にテラヘルツ波パルスを照射した場合の前記検出部の検出結果を用いて取得した第1の時間波形と、前記測定物の第2の位置にテラヘルツ波パルスを照射した場合の前記検出部の検出結果を用いて取得した第2の時間波形と、を用いて取得した前記測定面の傾きに関する情報に基づいて、前記走査面と前記測定面との相対的な傾きを変更する
    ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の測定装置。
  14. 前記第2の変更部は、前記第1の時間波形における前記測定面で反射したテラヘルツ波パルスの検出時刻と、前記第2の時間波形における前記測定面で反射したテラヘルツ波パルスの検出時刻と、を用いて取得した前記測定面の傾きに関する情報に基づいて、前記走査面と前記測定面との相対的な傾きを変更する
    ことを特徴とする請求項13に記載の測定装置。
  15. テラヘルツ波パルスと異なる波長の光を前記測定物に照射する光源と、前記測定物からの光を検出する光検出部と、を更に有し、
    前記第2の変更部は、前記光検出部の検出結果に基づいて前記走査面と前記測定面との相対的な傾きを変更する
    ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の測定装置。
  16. 前記測定面は、前記測定部を支持する第1の面と、前記第1の面と平行な第2の面とを有する平板と前記測定物との界面である
    ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載の測定装置。
  17. 請求項1乃至16のいずれか一項に記載の測定装置と、
    複数の測定点の座標を取得する位置取得部と、
    前記複数の測定点のそれぞれにおける前記測定装置の測定結果を用いて、前記測定物の情報を取得する情報取得部と、
    前記複数の測定点の座標と前記測定物の情報とを用いて、前記測定面の画像を構成する画像構成部と、をさらに有する
    ことを特徴とするイメージング装置。
  18. 前記測定面の可視像を出力する可視像出力部と、
    前記可視像と前記測定面の画像とを合成する画像合成部と、をさらに有する
    ことを特徴とする請求項17に記載のイメージング装置。
  19. 走査面に沿って、テラヘルツ波パルスの集束位置と測定物との相対位置を変更する走査ステップと、
    前記走査面と前記測定物の測定面との相対的な傾きに関する情報を取得する情報取得ステップと、
    前記情報に基づいて、前記測定物に対するテラヘルツ波パルスの入射角を変更する第1の変更ステップと、
    前記情報に基づいて、前記走査面と前記測定物の測定面との相対的な傾きを変更する第2の変更ステップと、を有する測定方法の各ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
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