JP4429961B2 - プリント配線基板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、多層化されたプリント配線基板においては、電源層およびグランド層を構成する銅箔がプリント配線基板のほぼ全面にわたって拡がり、これら銅箔が、周端部が開放した平行平板構造をとるため、電源層とグランド層との間で共振(電源−グランド層共振)が起こり、基板の周端部から電磁波ノイズが発生する。
しかし、該プリント配線基板においては、層間接続部材を設ける必要がある、各グランド層と電源線との位置関係に制限がある等のため、設計の自由度が著しく低くいという問題がある。
しかし、該プリント配線基板におけるソルダレジスト層は、信号配線から発生してしまった電磁波ノイズがプリント配線基板の外部に漏れることを防ぐものであって、電源−グランド層共振を抑えるものではない。よって、信号配線から発生した電磁波ノイズ、または電源−グランド層共振によって発生した電磁波ノイズによって、プリント配線基板自身(例えば、実装された電子部品、他の信号配線等)が影響を受けてしまう。
前記電源層とグランド層との間に、さらに樹脂フィルムからなる層が設けられ、
前記結合遮蔽層が、磁性金属材料を前記樹脂フィルムの表面に、反応性ガス雰囲気下でスパッタリング法にて物理的に蒸着させて形成された層であることを特徴とする。
前記磁性金属材料は、ニッケルまたはニッケルを含む合金であることが好ましい。
本発明のプリント配線基板の製造方法においては、前記結合遮蔽フィルムの一部に、結合遮蔽層がない非結合遮蔽部をあらかじめ形成しておいてもよい。
本発明のプリント配線基板の製造方法によれば、電源−グランド層共振を抑える対策を容易に行うことができる。
図1は、本発明のプリント配線基板の一例を示す概略断面図である。プリント配線基板10は、パターン加工を施した信号配線層11と、グランド層12と、パターン加工を施した電源層13と、グランド層14と、パターン加工を施した電源層15と、グランド層16とが、絶縁層17を介して積層されたものであり、グランド層12と電源層13との間、電源層13とグランド層14との間、グランド層14と電源層15との間、電源層15とグランド層16との間には、結合遮蔽フィルム20からなる層が設けられている。
また、電源層13、15と、信号配線層11とを電気的に接続するスルーホール18が形成されている。
絶縁層17は、ガラス布等の補強材にエポキシ樹脂等の樹脂を含浸させたプリプレグを硬化させた層である。
結合遮蔽層22は、磁性金属材料を含む層であり、例えば、樹脂フィルム21上に、独立した複数のナノメーターレベルの磁性金属材料のマイクロクラスターと、これらの間に形成される磁性金属材料の存在しない欠陥とから構成される層である。
樹脂フィルム21の厚さは、2〜125μmが好ましい。樹脂フィルム21が厚すぎると、プリント配線基板10が厚くなる。樹脂フィルム21が薄すぎると、結合遮蔽フィルム20を取り扱いにくくなる。
結合遮蔽層22の形成方法としては、磁性金属材料を何らかの方法で気化させ、近傍に置いた樹脂フィルム21の表面上に堆積させる物理蒸着法(PVD)を適用することができる。
また、電源層またはグランド層と、信号配線層との間に結合遮蔽層を設けてもよいが、信号配線層の近傍に結合遮蔽層を設けた場合、信号電流が減衰し、信号伝播に悪影響を及ぼすおそれがあるため、信号配線層の近傍に結合遮蔽層を設けないことが好ましい。
プリント配線基板10は、結合遮蔽フィルム20を、絶縁層17となるプリプレグを介して、電源層13、15およびグランド層12、14、16となる複数の金属箔の間に配置し、さらに信号配線層11となる金属箔を重ね、これらを加熱プレスすることによって製造される。
〔実施例1〕
樹脂フィルム21である厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、商品名「カプトン」)の片面に、対向ターゲット型マグネトロンスパッタリング法により、以下の条件で、磁性金属材料であるニッケルを物理的に蒸着させて、結合遮蔽層22を形成し、結合遮蔽フィルム20を得た。
(条件)樹脂フィルム21の温度:常温(25℃)、ニッケルの蒸着質量(膜厚換算):25nm、反応ガス雰囲気:アルゴンガス60sccmおよび窒素ガス20sccm、電力:2kW。
信号配線層11となる銅箔をあらかじめ信号配線のパターンに加工し、電源層13、15となる銅箔をあらかじめ電源配線のパターンに加工し、グランド層12、14となる金属箔にスルーホール18に対応した1.2mm穴をあらかじめ形成した。
また、結合遮蔽フィルム20には、炭酸ガスレーザー加工機を用いて、スルーホール18に対応した1.2mm穴をあらかじめ形成した。
これら銅箔の間に、ガラス布にエポキシ樹脂を含浸させた厚さ50μmのプリプレグを介して結合遮蔽フィルム20を挟み、これらを加熱プレスしてプリント配線基板10を得た。
ついで、信号配線層11上に、電源、信号発生用IC、およびアンプを、ハンダ付けによって実装し、電子部品が実装されたプリント配線基板10を得た。
結合遮蔽フィルム20を設けない以外は、実施例1と同様にして、電子部品が実装されたプリント配線基板を得た。
小型電波暗室内にて、プリント配線基板に0.1〜3GHzの高周波電流を流し、プリント配線基板の周端部から放出される電磁波を測定した。アンテナとしてログペリオディックアンテナを用い、測定器としてアジレントテクノロジー社製、EMCアナライザ「HP8594EM」を用い、3m法で測定を行った。
1GHzの周波数において、比較例1のプリント配線基板では51.16dBμVの電磁波が測定されたのに対し、実施例1の基板ではプリント配線基板では36.23dBμVにとどまり、約15dBの減衰効果が認められた。
11 信号配線層
12 グランド層
13 電源層
14 グランド層
15 電源層
16 グランド層
17 絶縁層
18 スルーホール
20 結合遮蔽フィルム
21 樹脂フィルム
22 結合遮蔽層
23 マイクロクラスター
Claims (4)
- 電源層とグランド層とを有するプリント配線基板において、
電源層とグランド層との間に、磁性金属材料を含む結合遮蔽層が設けられ、
前記電源層とグランド層との間に、さらに樹脂フィルムからなる層が設けられ、
前記結合遮蔽層が、磁性金属材料を前記樹脂フィルムの表面に、反応性ガス雰囲気下でスパッタリング法にて物理的に蒸着させて形成された層であることを特徴とするプリント配線基板。 - 前記磁性金属材料が、ニッケルまたはニッケルを含む合金であることを特徴とする請求項1記載のプリント配線基板。
- 磁性金属材料を含む結合遮蔽層が樹脂フィルムの表面に形成された結合遮蔽フィルムを、電源層およびグランド層となる複数の金属箔の間に配置する工程を有し、
前記結合遮蔽層が、磁性金属材料を前記樹脂フィルムの表面に、反応性ガス雰囲気下でスパッタリング法にて物理的に蒸着させて形成された層であることを特徴とするプリント配線基板の製造方法。 - 前記結合遮蔽フィルムの一部に、結合遮蔽層がない非結合遮蔽部をあらかじめ形成しておくことを特徴とする請求項3記載のプリント配線基板の製造方法。
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