JP4429540B2 - 光ファイバの融着接続方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光ファイバの端面を対向させ、対向部分を加熱溶融して、対向端面同士を融着接続する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバの端面を対向させ、対向部分を加熱して溶融し、対向端面同士を融着接続する光ファイバの融着接続方法は従来からある。光ファイバには直径の異なるものがあり、現行の主流は80μmから150μm程度である。
【0003】
光ファイバの融着接続には融着接続機が使用されている。融着接続機は対向する二本の放電電極棒に放電電流を流して、放電電極棒間で気中放電させ、その放電の熱で光ファイバを溶融させて接続するものである。光ファイバを良好に融着接続するためには、光ファイバが受ける熱量が重要である。光ファイバを加熱溶融するのに最適な熱量は光ファイバの直径に依存する。直径の小さいものほど少ない熱量にしないと、気中放電で光ファイバの先端が溶融し過ぎて接続できない場合がある。
【0004】
従来の融着接続機では放電電極棒に流す放電電流が一定値であっても、放電電極棒の先端に付着物があったり幾何公差があったりすると、光ファイバが受ける熱量は一定にならず、適正な温度制御ができない。そこで従来は、放電検査により気中放電の最適値を求めて、温度制御しきれない部分を補正していた。この放電検査は図3の様に、二本の光ファイバAを所定間隔(例えば20μm)離して対向させ、対向する二つの放電電極棒Bに電流を流して両放電電極棒B間で気中放電させ、放電アークCの熱で光ファイバAの先端部を加熱溶融し、そのとき表面張力により後退する前記先端部の距離Dを測定し、その距離Dが所定値になるように放電電流値を加減しながら操作を繰り返す方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
気中放電の熱量は温度、湿度、気圧等の環境や、放電電極棒先端の劣化、不純物の付着等により変動する。そのため放電検査による熱量の最適化はほぼ毎日行う必要がある。同一直径の光ファイバを接続するのであれば、一日一回の放電検査で済むが、昨今のように、様々な直径の光ファイバを接続する場合は、光ファイバの直径が異なる度に放電検査を行って、気中放電の熱量を最適化させる必要があり、多くの手間と時間がかかるという課題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本件発明者は前記課題を解消するために種々研究を重ねて、放電検査が合格になる放電強度、即ち、最適な気中放電強度と光ファイバの直径との間に、図2のような関係があることを究明した。図2の縦軸の放電強度はデジタルビット(0-255)で、アナログ電流値では10.9〜20.8mAに相当する。
【0007】
本発明は前記関係と、画像処理装置を有する融着接続機は光ファイバの直径を測定することができること、を利用して開発された光ファイバの融着接続方法である。
【0008】
本件出願の第1の光ファイバ融着接続方法は、光ファイバの端面を対向させ、その対向部分を加熱溶融して、対向端面同士を融着接続する光ファイバ融着接続方法において、前記融着接続方法が、融着接続する光ファイバの直径に応じて加熱温度を自動的に補正するために、予め融着接続装置に記憶させてある直径と放電強度の相対的な関係を定めた近似式に基づいて、融着接続しようとする直径と基準になる直径の差分から放電強度補正値を算出するステップと、基準となる直径の光ファイバの放電強度を最適化するステップと、最適化された前記基準となる直径の光ファイバの放電強度と、前記放電強度補正値とから、融着接続する光ファイバの最適放電強度=最適化された前記基準となる直径の光ファイバの放電強度+前記放電強度補正値、として自動的に融着接続する光ファイバの最適放電強度を算出するステップとを含む方法である。
【0009】
本件出願の第2の光ファイバ融着接続方法は、前記第1の光ファイバの融着接続方法において、融着接続する光ファイバの直径を画像処理して測定し、自動的に前記最適放電強度を算出する方法である。本件出願の第3の光ファイバ融着接続方法は、前記光ファイバの直径の画像処理による測定を、CCDカメラにより行う方法である。本件出願の第4の光ファイバ融着接続方法は、前記光ファイバの直径の画像処理による測定を、ラインセンサにより行う方法である。
【0010】
【発明の実施形態】
(実施形態1)
本発明の光ファイバ融着接続方法は、画像処理装置で測定した光ファイバの直径(クラッド径)を、気中放電強度にフィードバックさせて、その直径に応じて自動的に気中放電強度を最適化させる方法である。図2のグラフで、最も一般的に用いられる直径125μmの光ファイバを融着接続する場合を基準とすれば、
放電強度補正値=2.154×(クラッド径[μm]−125.0)
となる補正を施すことになる。ここで、2.154は融着接続機の放電回路の放電強度の定数である。ちなみに、計測された光ファイバの直径が125μmの場合の放電強度補正値は前記式より、2.154×(125.0−125.0)=0となり、補正の必要がない。計測された光ファイバの直径が80μmの場合の放電強度補正値は前記式より、2.154×(80.0−125.0)=−96.93となる。計測された光ファイバの直径が150μmの場合の放電強度補正値は前記式より、2.154(150.0−125.0)=53.85となる。
【0011】
本発明では光ファイバの直径が自動的に計測されて、前記の様に放電強度補正値が自動的に求められるため、一旦、クラッド径125μmの光ファイバについて放電検査により放電強度を最適化させた後は、他の直径の光ファイバの最適放電強度は次式により自動的に求められる。
最適放電強度=直径125μmの光ファイバの最適放電強度+放電強度補正値
なお、放電強度を最適化させる際は、必ずしもクラッド径125μmのファイバを使用しなくとも良い。例えば、80μmのファイバを使用して最適化した場合は、基準となる最適放電強度からの補正値を計算する際に基準となるクラッド径を80μmとすればその他のクラッド径のファイバを接続するための補正値は容易に算出できる。
【0012】
0006段に記されているように、本発明の実施例ではデジタルビット0-255がアナログ電流値10.9〜20.8mAに相当するため、デジタルビット1ビットあたり下記の式1のようになる。
【式1】
Figure 0004429540
図2はクラッド径とその融着接続における最適放電強度(デジタルビット)を示したもので、近似直線の傾きは0010段に記されているように2.154となっている。
つまり、クラッド直径1μmあたりの最適放電強度の変化量が2.154であるから、デジタルビットをアナログ電流値に換算すれば、0.084(=2.154×0.0388)[mA/μm]となる。
従って、0011段と同様に直径125μmの光ファイバで最適放電強度に調整して基準をとれば、アナログ電流で表現した最適放電強度[mA]は、以下のように表せる。
最適放電強度[mA]=直径125μmの光ファイバの最適放電強度[mA]+2.154×(光ファイバの直径[μm]−125)
なお、ここである直径(ここでは125μm)の光ファイバの最適放電強度を基準にとったのは、図2のグラフの近似直線のY切片が、機械毎、電極棒の劣化、環境の変化等の要因により変化するためである。つまり最適な放電強度の絶対値はさまざまな要因によって変化するが、クラッド径に応じた最適な放電強度の相対的な変化は維持されることがわかっているため、ある直径での最適放電強度さえ求めておけば、上式のように直径に応じた差分を補正するだけで各々の状況に応じて最適な放電強度が求められることが本出願の特徴である。
【0013】
図1に本発明の光ファイバ融着接続方法を実現するためのシステムの構成を示す。図1では放電電極棒1の針間に、光ファイバ2が図示しない位置決め装置によって保持されて対向しており、その光ファイバ2の先端付近に、その付近を照射する照明器具3が配置されている。光ファイバ2を挟んで照明光源3の反対側には対物レンズ4が配置して、対物レンズ4により光ファイバ2の像(直径)が拡大されるようにしてある。拡大された光ファイバ2の像は対物レンズ4の軸上に配置されたCCDカメラ5によって撮影され、CCDカメラ5からの出力が画像処理装置6で数値化され、その数値と、予め記憶させてある光ファイバの直径と融着接続に必要な最適加熱温度との関係に基づいて、中央演算装置7において補正量(値)が算出され、その補正量が放電制御装置8にフィードバックされ、それに基づいて前記放電電極棒1への電力供給及び気中放電強度の制御が行われるようにしてある。
【0014】
(実施形態2)
図1のシステムは光ファイバ2の直径を認識するために、照明器具3、対物レンズ4、CCDカメラ5、画像処理装置6の組み合わせを用いたが、光ファイバ2の直径を認識するためのシステムは必ずしもこの構成でなくともよい。例えば光ファイバ2の直径測定にラインセンサを用いてもよく、対物レンズによって像を拡大することも必ずしも必要ではない。また、放電制御装置8へのフィードバックも中央演算装置7を介する必要はなく、画像処理装置6若しくは前記ラインセンサの出力で直接放電制御装置8をコントロールすることもできる。
【0015】
【発明の効果】
本発明の光ファイバの融着接続方法によれば、融着接続する光ファイバの直径に応じて加熱温度を自動的に補正するので、どのような直径の光ファイバであっても確実に安定した融着接続が可能となる。
【0016】
本発明の光ファイバの融着接続方法によれば、光ファイバの直径と融着接続に必要な最適加熱温度との関係を、予め、制御システムに記憶させてあるため、融着接続する光ファイバの直径を測定すれば、その直径と前記の記憶させた関係に基づいて最適加熱温度が自動的に算出され、その算出値に合わせて加熱温度が補正されるため、どのような直径の光ファイバであっても常に、確実に、安定した融着接続が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の融着接続方法に使用される融着接続装置の一例を示す説明図。
【図2】 光ファイバクラッド径とその接続に最適な放電強度を示す説明図。
【図3】 従来の放電検査の原理を示す説明図。
【符号の説明】
1 放電電極棒
2 光ファイバ
3 照明機器
4 対物レンズ
5 CCDカメラ
6 画像処理装置
7 中央演算装置
8 放電制御装置

Claims (4)

  1. 光ファイバの端面を対向させ、その対向部分を加熱溶融して、対向端面同士を融着接続する光ファイバ融着接続方法において、前記融着接続方法が、
    融着接続する光ファイバの直径に応じて加熱温度を自動的に補正するために、
    予め融着接続装置に記憶させてある直径と放電強度の相対的な関係を定めた近似式に基づいて、融着接続しようとする直径と基準になる直径の差分から放電強度補正値を算出するステップと、
    基準となる直径の光ファイバの放電強度を最適化するステップと、
    最適化された前記基準となる直径の光ファイバの放電強度と、前記放電強度補正値とから、融着接続する光ファイバの最適放電強度=最適化された前記基準となる直径の光ファイバの放電強度+前記放電強度補正値、として自動的に融着接続する光ファイバの最適放電強度を算出するステップと、
    を含むことを特徴とする光ファイバの融着接続方法。
  2. 請求項1記載の光ファイバの融着接続方法において、融着接続する光ファイバの直径を画像処理して測定し、自動的に前記最適放電強度を算出することを特徴とする光ファイバの融着接続方法。
  3. 前記光ファイバの直径の画像処理による測定は、CCDカメラにより行われることを特徴とする請求項2に記載の融着接続方法。
  4. 前記光ファイバの直径の画像処理による測定は、ラインセンサにより行われることを特徴とする請求項2に記載の融着接続方法。
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