JP4429098B2 - 硬化膜形成方法および硬化膜 - Google Patents
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Description
このような硬化膜の形成方法として、例えば、数平均分子量が100〜5万のポリシラザンまたはこれらのポリシラザンを変成したものを(150℃以下の温度で)熱処理した後、水蒸気雰囲気にさらす、または触媒を含有した蒸留水中に浸す、またはこれらの両方を行う、または、ポリシラザンをPd2+イオンと水に接触させてなる、コーティング膜形成方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
本発明において、シラザン類は、−(SiH2NH)−を基本ユニットとする無機ポリマーであって、例えば、ペルヒドロポリシラザンである。
このようなシラザン類は、特に制限されず、各種の市販品を用いることができる。これらシラザン類は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
また、シラザン類の配合割合は、本発明における硬化膜形成成分(シラザン類、硬化触媒および溶媒)100重量部に対して、0.01〜15重量部、好ましくは、0.1〜5重量部である。シラザン類の配合割合が0.01重量部未満では、十分な防汚性を有する硬化膜を得ることができず、また、15重量部を超えると、塗布ムラが生じ、塗布面の外観を損ねる場合がある。
また、硬化触媒の配合割合は、本発明における硬化膜形成成分(シラザン類、硬化触媒および溶媒)100重量部に対して、0.001〜1重量部、好ましくは、0.002〜0.5重量部である。硬化触媒の配合割合が0.001重量部未満では、硬化膜形成速度が遅くなる場合があり、また、1重量部を超えると、硬化膜形成速度が速すぎて、親水化剤を塗布する最適段階を逸する場合がある。
また、このような溶媒としては、特に制限されず、例えば、飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、飽和脂環式炭化水素、不飽和脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル類、ケトン類など、公知の溶媒が用いられる。飽和脂肪族炭化水素としては、例えば、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−ノナン、i−ノナン、n−デカン、i−デカンなどが用いられる。不飽和脂肪族炭化水素としては、例えば、ジペンテンなどが用いられる。飽和脂環式炭化水素としては、例えば、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、p−メンタンなどが用いられる。不飽和脂環式炭化水素としては、例えば、シクロヘキセンなどが用いられる。芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼンなどが用いられる。エーテル類としては、例えば、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテルなどが用いられる。ケトン類としては、例えば、メチルイソブチルケトン(MIBK)などが用いられる。このような溶媒は、特に制限されず、各種の市販品(例えば、石油系溶剤など)を用いることができ、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
本発明において、シラザン類、硬化触媒および溶媒からなる硬化膜形成成分の固形分濃度は、0.01〜15重量%、好ましくは、0.1〜5重量%である。硬化膜形成成分の固形分濃度が、0.01重量%未満では、十分な防汚性を有する硬化膜を得ることができず、15重量%を超えると、塗布ムラが生じ、塗布面の外観を損ねる場合がある。
なお、塗布面としては、例えば、塗膜、ガラス、金属面、木材、石材などが挙げられる。
本発明において、親水化剤は、アルカリ水溶液に界面活性剤が混合されたものであって、pH8以上、好ましくは、pH8.5〜12.0の水溶液であれば、特に制限されない。アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などの無機アルカリ水溶液、アミン類などの有機アルカリ水溶液が用いられる。また、界面活性剤としては、特に制限されず、例えば、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが用いられる。これらのうち、好ましくは、アニオン性界面活性剤が用いられる。また、これら親水化剤は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
また、本発明において、塗布した硬化膜形成成分の溶媒の乾燥途中とは、その塗布される硬化膜形成成分中のシラザン類、硬化触媒および溶媒の種類、さらには、温度や湿度にもよるが、塗布した硬化膜形成成分の溶媒が乾燥するまでに要する時間が55〜60分である場合には、5〜40分、好ましくは、10〜35分の間であり、溶媒が乾燥するまでに要する時間を100%とした場合に、20〜70%、好ましくは、20〜61%の段階に相当する。20%未満の段階で親水化剤を塗布すると、親水性の硬化膜を形成しない場合があり、また、70%を超えた段階で親水化剤を塗布すると、ムラを生じる場合がある。なお、溶媒が乾燥するときとは、目視により溶剤のない成膜状態が観察された時点をいう。
本発明の硬化膜は、上記の硬化膜形成方法、すなわち、シラザン類、硬化触媒および溶媒を含有し、その固形分濃度が0.01〜15重量%である硬化膜形成成分を調製し、硬化膜形成成分を塗布面に塗布し、塗布した硬化膜形成成分の溶媒の乾燥途中で、硬化膜形成成分が塗布された塗布面に、pH8以上の親水化剤を塗布することにより形成される硬化膜である。
そして、このような硬化膜は、例えば、自動車のボディなどの家庭用または産業用の各種製品の塗装面のコーティングに適用することができる。
実施例および比較例の調製
実施例1
アミン系の硬化触媒を含有したシラザン類(商品名:NP−310、クラリアント・ジャパン社製)を、溶媒(商品名:ペガゾール3040、モービル石油社製)に加え、撹拌しながら完全に溶解させて、固形分濃度2.0重量%に調整し、硬化膜形成成分を得た。得られた硬化膜形成成分を15cm×7.5cmの焼付け塗板(160℃で20分間焼き付けたアクリルポリエステルメラミン樹脂)に塗布した。塗布してから、5分後、0.1%水酸化ナトリウム水溶液(アニオン性界面活性剤3重量%含有)からなるpH12.3に調整された親水化剤を塗布した。その後、20分間放置後、水洗し、以下の方法により、接触角、塗布面のムラ、防汚性を評価した。その結果を表1に示す。
アミン系の硬化触媒を含有したシラザン類(商品名:NP−140、クラリアント・ジャパン社製)を、溶媒(商品名:シェルソルTK、シェルジャパン石油社製)に加え、撹拌しながら完全に溶解させて、固形分濃度0.5重量%に調整し、硬化膜形成成分を得た。得られた硬化膜形成成分を15cm×7.5cmの焼付け塗板(160℃で20分間焼き付けたアクリルポリエステルメラミン樹脂)に塗布した。塗布してから、10分後、0.1%水酸化ナトリウム水溶液(非イオン性界面活性剤0.5重量%含有)からなるpH12.3に調整された親水化剤を塗布した。その後、25分間放置後、水洗し、以下の方法により、接触角、塗布面のムラ、防汚性を評価した。その結果を表1に示す。
パラジウム系の硬化触媒を含有したシラザン類(商品名:NL−110A、クラリアント・ジャパン社製)を、溶媒(商品名:ダイナフレシアP−02、出光興産社製)に加え、撹拌しながら完全に溶解させて、固形分濃度0.5重量%に調整し、硬化膜形成成分を得た。得られた硬化膜形成成分を15cm×7.5cmの焼付け塗板(160℃で20分間焼き付けたアクリルポリエステルメラミン樹脂)に塗布した。塗布してから、25分後、1.0%トリエタノールアミン(両性界面活性剤2重量%含有)からなるpH10.2に調整された親水化剤を塗布した。その後、30分間放置後、水洗し、以下の方法により、接触角、塗布面のムラ、防汚性を評価した。その結果を表1に示す。
パラジウム系の硬化触媒を含有したシラザン類(商品名:NL−150A、クラリアント・ジャパン社製)を、溶媒(商品名:ペガゾール3040、モービル石油社製)に加え、撹拌しながら完全に溶解させて、固形分濃度1.5重量%に調整し、硬化膜形成成分を得た。得られた硬化膜形成成分を15cm×7.5cmの焼付け塗板(160℃で20分間焼き付けたアクリルポリエステルメラミン樹脂)に塗布した。塗布してから、8分後、1.0%トリエタノールアミン(0.5%カリ石鹸(アニオン性界面活性剤)含有)からなるpH9.8に調整された親水化剤を塗布した。その後、60分間放置後、水洗し、以下の方法により、接触角、塗布面のムラ、防汚性を評価した。その結果を表1に示す。
パラジウム系の硬化触媒を含有したシラザン類(商品名:NL−150A、クラリアント・ジャパン社製)を、溶媒(商品名:ペガゾール3040、モービル石油社製)に加え、撹拌しながら完全に溶解させて、固形分濃度1.5重量%に調整し、硬化膜形成成分を得た。得られた硬化膜形成成分を15cm×7.5cmの焼付け塗板(160℃で20分間焼き付けたアクリルポリエステルメラミン樹脂)に塗布した。塗布してから、3分後、0.1%水酸化ナトリウム水溶液(0.5%ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(非イオン性界面活性剤)含有)からなるpH9.5に調整された親水化剤を塗布した。その後、120分間放置後、水洗し、以下の方法により、接触角、塗布面のムラ、防汚性を評価した。その結果を表1に示す。
アミン系の硬化触媒を含有したシラザン類(商品名:NP−310、クラリアント・ジャパン社製)を、溶媒(商品名:ペガゾール3040、モービル石油社製)に加え、撹拌しながら完全に溶解させて、固形分濃度0.001重量%に調整し、硬化膜形成成分を得た。得られた硬化膜形成成分を15cm×7.5cmの焼付け塗板(160℃で20分間焼き付けたアクリルポリエステルメラミン樹脂)に塗布した。塗布してから、8分後、0.1%水酸化ナトリウム水溶液(アニオン性界面活性剤2重量%含有)からなるpH12.3に調整された親水化剤を塗布した。その後、20分間放置後、水洗し、以下の方法により、接触角、塗布面のムラ、防汚性を評価した。その結果を表1に示す。
アミン系の硬化触媒を含有したシラザン類(商品名:NP−110、クラリアント・ジャパン社製)を、溶媒(商品名:ペガゾール3040、モービル石油社製)に加え、撹拌しながら完全に溶解させて、固形分濃度20.0重量%に調整し、硬化膜形成成分を得た。得られた硬化膜形成成分を15cm×7.5cmの焼付け塗板(160℃で20分間焼き付けたアクリルポリエステルメラミン樹脂)に塗布した。塗布してから、8分後、0.1%水酸化ナトリウム水溶液(カチオン性界面活性剤2重量%含有)からなるpH12.3に調整された親水化剤を塗布した。その後、20分間放置後、水洗し、以下の方法により、接触角、塗布面のムラ、防汚性を評価した。その結果を表1に示す。
アミン系の硬化触媒を含有したシラザン類(商品名:NP−310、クラリアント・ジャパン社製)を、溶媒(商品名:ペガゾール3040、モービル石油社製)に加え、撹拌しながら完全に溶解させて、固形分濃度1.5重量%に調整し、硬化膜形成成分を得た。得られた硬化膜形成成分を15cm×7.5cmの焼付け塗板(160℃で20分間焼き付けたアクリルポリエステルメラミン樹脂)に塗布した。塗布してから、8分後、0.5%塩酸(非イオン性界面活性剤0.5重量%含有)からなるpH5.0に調整された親水化剤を塗布した。その後、20分間放置後、水洗し、以下の方法により、接触角、塗布面のムラ、防汚性を評価した。その結果を表1に示す。
アミン系の硬化触媒を含有したシラザン類(商品名:NP−310、クラリアント・ジャパン社製)を、溶媒(商品名:ペガゾール3040、モービル石油社製)に加え、撹拌しながら完全に溶解させて、固形分濃度2.0重量%に調整し、硬化膜形成成分を得た。得られた硬化膜形成成分を15cm×7.5cmの焼付け塗板(160℃で20分間焼き付けたアクリルポリエステルメラミン樹脂)に塗布した。塗布してから、17分間で完全に溶媒を乾燥させ、さらに43分間放置後、0.1%水酸化ナトリウム水溶液(アニオン性界面活性剤3重量%含有)からなるpH12.3に調整された親水化剤を塗布した。その後、20分間放置後、水洗し、以下の方法により、接触角、塗布面のムラ、防汚性を評価した。その結果を表1に示す。
パラジウム系の硬化触媒を含有したシラザン類(商品名:NL−110A、クラリアント・ジャパン社製)を、溶媒(商品名:シェルソルTK、シェルジャパン社製)に加え、撹拌しながら完全に溶解させて、固形分濃度1.0重量%に調整し、硬化膜形成成分を得た。得られた硬化膜形成成分を15cm×7.5cmの焼付け塗板(160℃で20分間焼き付けたアクリルポリエステルメラミン樹脂)に塗布した。塗布してから、20秒後、1.0%トリエタノールアミン水溶液(両性界面活性剤2重量%含有)からなるpH10.2に調整された親水化剤を塗布した。その後、25分間放置後、水洗し、以下の方法により、接触角、塗布面のムラ、防汚性を評価した。その結果を表1に示す。
(1)接触角の測定
接触角計(商品名:CA−S 150型、協和界面科学社製)を用いて、接触角を測定した。
(2)ムラの評価
上記の処理後、乾燥した焼付け塗板のムラを目視にて評価した。
◎:ムラがなかった。
○:よく見るとムラがあることがわかった。
×:明らかにムラがあった。
(3)防汚性の評価
上記の処理を行なって、屋外に1ヶ月間放置した後の焼付け塗板について、表面の汚れ状態を、上記の処理を行なわずに、屋外に1ヶ月間放置した後の焼付け塗板と目視にて比較し、防汚性を評価した。なお、SMカラーコンピューター(商品名:SM−5−IS−2B、スガ試験機社製)を用いて、色差を測定した。
○:少し汚れていると判断された(色差2〜3以下)。
△:汚れていると判断された(色差3〜4以下)。
×:明らかに汚れていると判断された(色差4より大きい)。
Claims (1)
- シラザン類、硬化触媒および溶媒を含有し、その固形分濃度が0.01〜15重量%である硬化膜形成成分を調製し、
前記硬化膜形成成分を塗布面に塗布し、
塗布した前記硬化膜形成成分の溶媒が乾燥するまでに要する時間を100%とした場合に、20〜70%の間の時間において、前記硬化膜形成成分が塗布された前記塗布面に、pH8以上の親水化剤を塗布することを特徴とする、硬化膜形成方法。
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