JP4427370B2 - クロム鉱石溶融還元炉スラグの改質方法 - Google Patents

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Description

本発明は、クロム鉱石溶融還元炉スラグの改質方法に係わり、特に、ステンレス鋼溶製前にクロム鉱石を炭材で溶融還元し、クロムを含有する溶銑を製造する鉄浴式反応炉で発生するクロム鉱石溶融還元炉スラグの粉化を抑制するように、該スラグを改質する技術に関する。
ステンレス鋼の溶製にあたって、その素材の製造方法の一つに、鉄浴式反応炉でクロム鉱石を炭材で溶融還元し、クロムを含有する溶銑(含クロム溶銑という)を製造する方法がある。その際、多量のスラグ(クロム鉱石溶融還元炉スラグと称されている)が発生する。このクロム鉱石溶融還元炉スラグ(以下、溶融還元炉スラグともいう)は、後に該含クロム溶銑を転炉や電気炉で脱炭等の所謂「ステンレス鋼精錬」を行う際に生じる「還元スラグ」と同様に、ダイカルシウム・シリケートを主な鉱物相としており、冷却・凝固後に著しく粉化する。つまり、この溶融還元炉スラグを路盤材に利用すると、粉状物が多いために締め固まらないという問題がある。路盤材には、粒度分布の規定があり、高炉からの徐冷スラグ等、他のスラグと混合して利用しても、溶融還元炉スラグを起因とする粉状物が多いと、その混合比率が制限される。また、粉状になると、冷却処理、粒度調整処理、混合処理や輸送時に粉塵を多量に発生するという別の問題もある。
この粉化現象は、ダイカルシウム・シリケートが凝固過程で相変態を起こし、変態前後のダイカルシウム・シリケート相の密度差により体積膨張することにより生じている。ダイカルシウム・シリケートの変態温度はα’型→γ型が850℃、α’型→β型が675℃と言われており、α’型→γ型に変態した場合に密度差に起因して大きく粉化する。β型かγ型のどちらに変態するかは、ダイカルシウム・シリケート相に固溶する成分の有無で決まる。例えば、脱炭精錬時に発生する転炉スラグもダイカルシウム・シリケートが主成分であるが、ダイカルシウム・シリケート中にPが固溶しているため、γ型にならずβ型になるため粉化が生じない。脱炭精錬のように酸化精錬の場合は、スラグ中のFeO濃度が高く、酸素ポテンシャルが高いため、メタル中のPは酸化されてP25になってスラグ中へ移行し、冷却時に晶出するダイカルシウム・シリケートに固溶する。一方、Cr鉱石の溶融還元のように還元精錬の場合は、炉内の酸素ポテンシャルが低いため、P25が生成せず、スラグ中のP濃度はほぼゼロとなるため、ダイカルシウム・シリケートにPが固溶しなくなる。そのため、溶融還元炉スラグは、冷却後に粉化するのである。
そこで、このようなスラグ中のダイカルシウム・シリケートの粉化防止技術の一つに、Pに変わってダイカルシウム・シリケートに固溶する元素を該スラグに添加し、それを改質する方法がある。これはダイカルシウム・シリケート内に、元素を固溶させてγ型への変態を防止するものである。
例えば、ダイカルシウム・シリケートを主体とする溶融状態にある転炉スラグに、結晶水を4〜12重量%に調整した含ホウ素化合物を添加するスラグの粉化防止改質方法が開示されている(特許文献1参照)。また、鉄浴式反応炉で鉄鉱石やCr鉱石を炭材で溶融還元精錬する際に、ホウ素化合物をBに還元されない浴温度1620℃以下で添加し、添加量がスラグ中B23濃度=0.10〜0.40wt%となるようにするスラグの粉化防止改質方法が開示されている(特許文献2参照)。これらの従来技術は、BがPと同様にダイカルシウム・シリケート相に固溶して、γ型への変態を防止する効果を持つことを利用しており、Bを含有するホウ素化合物を溶融スラグ中へ添加するものである。そして、それぞれホウ素化合物を添加した際に、スラグ中へBが均一に混合され、その添加歩留が向上する条件を提示している。このような溶融状態にあるスラグに、ホウ素化合物を添加し、ダイカルシウム・シリケートの粉化を防止する方法は、確かに還元精錬及びスラグの処理の工程、時間が増加することのない優れた技術であった。
上記特許文献2記載の技術で、ホウ素源を添加してB濃度≧0.1%にした溶融還元炉スラグを冷却すると、凝固後は、大部分が40mm以上の結晶質の塊となる。ところが、該スラグを路盤材に利用するには、この塊を破砕し、最大粒度を40mm以下又は25mm以下に調整する必要がある。しかしながら、この結晶は、緻密で非常に硬く、破砕に多大なエネルギーを必要とし、破砕機の磨耗が激しいばかりでなく、破砕処理コストが多大になるので、特許文献2記載の技術にも欠点があった。
また、最近の地球環境を取り巻く事情から、土壌環境基準の元素にBも加えられた。従って、そのようなスラグを路盤材等のように、地面の下に埋める場合には、Bの土壌への溶出を1.0mg/リットル以下に抑制する必要がある。そのため、溶融還元炉スラグへのホウ素化合物の添加量は、従来より一層制限する必要が生じている。
各種転炉及び/又は二次精錬装置を用いて溶鋼を溶製する際には、必ず精錬方法に応じた量のスラグが発生する。その後、得られた溶鋼は、取鍋に出鋼され、例えば連続鋳造工場へ搬送される。連続鋳造工場では、タンディッシュの上に該取鍋をセットし、該タンディッシュ、注入ノズルを介して該溶鋼を鋳型へ連続的に注入して凝固させ、鋼鋳片が製造される。一つの取鍋内の溶鋼の注入が終了すると、該取鍋内には、前記出鋼に際して溶鋼に伴われてきた前記スラグが残留する。一般に、この残留スラグのことを「取鍋スラグ」と総称している。
かかる「取鍋スラグ」は、その組成及び性状が一様でなく、精錬方法に応じて異なっている。例えば、転炉での溶銑の脱炭が終了した後のスラグ(転炉スラグという)に含まれる酸化鉄の量を低減して鉄歩留りを高めるため、該スラグにアルミ灰を投入し、スラグの還元を行うことがある。この場合には、Al23濃度が25質量%程度のAlに富んだ取鍋スラグになる。特に、各種転炉及び/又は二次精錬装置で発生する取鍋スラグは、クロム鉱石溶融還元炉スラグと同様に粉化するという問題がある。そのため路盤材には適していないとされている。さらに、Al還元した取鍋スラグの場合、Al23濃度が高いため、焼結鉱や高炉へのリサイクルにも適していない。
特公平4−15182号公報 特開平3−23243号公報
本発明は、かかる事情に鑑み、クロム鉱石溶融還元炉スラグが、その組成により冷却後に粉化するために、有効利用が困難であるという問題に対して、有効な改質方法を提供することを課題とし、さらに同時に、同様な粉化に関する問題のある各種転炉及び/又は二次精錬装置を用いて溶鋼を精錬する際に発生する取鍋スラグをも有効に活用することのできる改質方法を提供することを課題としている。
発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究を重ね、その成果を本発明に具現化した。
すなわち、本発明は、鉄浴式反応炉を用い、クロム鉱石を炭材で溶融還元し、クロムを含有する溶銑を溶製するクロム鉱石溶融還元製錬で生じるクロム鉱石溶融還元炉スラグを改質するに際し、前記溶融還元中に、溶融還元終了後の前記スラグの組成をCaO/SiO2=2.0〜3.0、MgO/CaO=0.42〜0.60に造滓剤で調整すると共に、溶鋼の精錬で別途発生し、ホウ素酸化物を添加して塊状に凝固した取鍋スラグを前記造滓剤の一部として添加して、添加後のスラグのホウ素濃度を0.010〜0.050質量%とすることを特徴とするクロム鉱石溶融還元炉スラグの改質方法である。ここでいう改質とは、路盤材として適正な粒度分布になり易いスラグに凝固すること、及び該スラグからのホウ素の溶出量が低減することを意味する。
本発明では、溶融状態の溶融還元炉スラグに前記取鍋スラグを添加して、凝固後のCr鉱石溶融還元炉スラグ中のB濃度を0.01〜0.05質量%に調整すると共に、溶融還元時にCaO源及びMgO源等の造滓剤を添加して、還元が終了して炉から排出する際のスラグ組成をCaO/SiO2=2.0〜3.0及びMgO/CaO=0.42〜0.60となるように調整する。その結果、散水冷却による凝固後に破砕を施すことなく、そのままの状態で路盤材に適した粒度分布を有する溶融還元炉スラグが得られる。また、該溶融還元炉スラグは、土壌へのBの溶出量が少なく、環境に優しい材料となる。さらに、取鍋スラグをリサイクルすることが容易となり、取鍋スラグの処理問題の解決も図ることができる。
以下、発明に至る経緯をまじえ、本発明の最良の実施形態を説明する。
発明者は、ダイカルシウム・シリケートを含有する溶融還元炉スラグのB含有量と粉化状況との関係を詳細に調査し、まず、該スラグ中のB濃度下限値を0.01質量%とする必要のあることを見出した。B濃度を0.01質量%以上とすれば、炉から排出された後に凝固したスラグに塊状の部分が一部生成するが、0.01質量%未満では、大部分が粉状になってしまうからである。なお、塊状部分の生成割合は、スラグの冷却速度によって異なるが、スラグ中B濃度が0.01質量%未満では、冷却速度を数百℃/minまで高めても、まだ粉化してしまう。これでは、該スラグを路盤材へ利用するとしても、砕石や高炉からの徐冷スラグ等、他の塊状材料への混合量は著しく少量に制限される。また、粉状になると、膨張が生じるという問題も発生する。
通常、この凝固後のスラグが膨張する原因の一つはフリーCaOの残存にあるので、Cr鉱石溶融還元炉では、造滓材としてのCaO源を添加してフリーCaOが発生しないよう、スラグ組成のうちのCaO/SiO2を2.0〜3.0に調整している。CaO/SiO2の下限を2.0としているのは、炉の内張り耐火物の溶損を低減するためであり、3.0を上限にしているのは、3.0あれば、Al23及びMgO濃度が高くてもフリーCaOが存在しなくなるからである。
もう一つの膨張原因は、フリーMgOの存在であるが、スラグのMgO濃度が低く過ぎると、炉内張り耐火物の溶損が大きくなり、炉の寿命が低下する。一方、MgO濃度が大き過ぎると、フリーMgOの存在量が多くなり過ぎ、溶融還元炉スラグを路盤材に利用した際に膨張の問題が避けられない。そのため、スラグ中のMgO濃度に関しては、通常、MgO/CaO=0.42〜0.60となるように、スラグ組成を調整しているので、本発明でもこの範囲を設定することにした。なお、この組成範囲においても、冷却、凝固後のスラグにフリーMgOは存在するが、塊状のスラグになっているので、表面積が小さく、フリーMgOと水との接触が著しく少ないため、JIS A5015 付属書2に規定された膨張試験で0.3%以下と低い膨張率となり、膨張の問題はない。しかしながら、粉化が起きると、スラグの表面積が著しく大きくなり、MgO相が直接水と接触し易くなる。そのため、スラグに微粒部分が増加するほど、膨張率が高くなる傾向にある。スラグ中B含有量が0.01質量%以下では、著しく微粒部分が多いため、膨張率がJISの基準を満たさなくなる。その意味でも、スラグの塊状部分を確保するため、スラグ中B濃度を0.01質量%以上にする必要がある。
本発明では、スラグ中B濃度の上限を、以下の2つの理由から、0.05質量%に設定する。
一つ目は、スラグからのBの溶出問題である。スラグからのBの溶出量を調査すると、スラグ中B濃度と比例関係にあり、スラグ中B濃度が増加すると、Bの溶出量も増加した。この場合の溶出試験は、環境省告示46号に規定された方法であり、凝固したスラグを破砕し、2mm以下に篩い分けたものを、10倍の水中で6時間振とうした後、水へ溶出したB濃度を定量するものである。スラグを完全に塊状化するためにコレマナイトを添加した従来の溶融還元炉スラグでは、Bの溶出量は、土壌環境基準値の1.0mg/lを超えていた。これに対して、スラグ中B濃度を0.05質量%以下にすれば、Bの溶出量は安定的に1.0mg/1以下にできることがわかった。
二つ目の理由は、スラグ中B濃度が0.05質量%より高くなると、凝固後のスラグの塊状部分割合が大きくなり過ぎるからである。コレマナイトを添加してスラグ中B濃度を0.1質量%以上にしたスラグは、冷却・凝固すると、強固に固まり、非常に硬い塊状スラグとなった。特に、鋳型内に鋳込んで、層厚800〜1000mm程度に固める方法では、ほぼ鋳込んだ厚みのまま凝固した。スラグを路盤材に利用するには、40mm以下や25mm以下に粒度を調整する必要がある。従って、前記コレマナイトを添加してスラグ中B濃度を0.1質量%以上にしたスラグでは、全量の破砕処理を行う必要があった。つまり、溶融還元炉スラグにBを0.1質量%以上添加すると、非常に硬く、破砕に多大なエネルギーを要していた。
B濃度が0.1質量%以下のスラグは、完全に塊状にはならずに、崩壊してバラバラになる。粉状のものもあれば、塊状のものもあり、細粒部分は筋い分けるだけで路盤材に利用できるようになる。節い分けるだけで利用できるようになると、破砕処理に要する費用も削減可能となる。しかしながら、スラグ中のB含有量が0.05質量%を超えると、40mm以上の塊の割合が50質量%を超え、破砕処理比率が多大となる。これらのことから、本発明では、スラグ中B含有量の上限を0.05質量%としたのである。
以上述べたように、溶融還元炉スラグに添加するB量は、0.01〜0.05質量%を目標にするのが良いことがわかった。この程度の量であれば、土壌環境基準のB溶出量1.0mg/リットル以下を十分に達成できる。なお、その添加に際しては、凝固後のスラグ膨張対策から、従来技術からも明らかなように、溶融還元中にスラグの組成をCaO/SiO2=2.0〜3.0、MgO/CaO=0.42〜0.60となるように、造滓材で調整しておく必要のあることもわかった。
そこで引き続き、発明者は、かかるBの添加を行うために最適なホウ素酸化物含有物質について検討することにした。そして、その検討中で、溶融還元炉スラグと同様に粉化の問題がある取鍋スラグを有効に利用できる可能性のあることに想到した。すなわち、取鍋スラグの粉化を防止する手段としてBを添加することにより、その取鍋スラグもB含有物質として利用できると考えた。
各種転炉及び/又は二次精錬で発生する取鍋スラグも、凝固過程でダイカルシウムシリケートの相変態により、クロム鉱石溶融還元炉スラグと同様に粉化が生じる。取鍋スラグの塩基度CaO/SiO2は、4〜5程度と、クロム鉱石溶融還元炉スラグの2〜3に比べて高い。したがって、取鍋スラグをクロム鉱石溶融還元炉スラグにリサイクルすると、CaO源の役割を果たすことができる。転炉方式のクロム鉱石溶融還元炉の場合、炉内での気流に吹き飛ばされるため、微粉原料の添加は困難である。取鍋スラグをリサイクルする際には、ある程度塊状化する必要がある。そこで、本発明者らは、取鍋スラグにホウ素酸化物含有物を添加して塊状化し、クロム鉱石溶融還元炉へリサイクルすることにした。この場合、取鍋スラグ中のB濃度は、塊状化を進めるために、0.1質量%以上としておくことが望ましい。
このホウ素酸化物含有物を添加してB濃度を高くした取鍋スラグをリサイクルし、クロム鉱石溶融還元炉スラグのB含有量を0.01〜0.05質量%に調整すれば、取鍋スラグの処理問題とクロム鉱石溶融還元炉スラグの改質が同時に達成できる。
そこで、発明者は、前記溶融還元炉スラグへのホウ素含有量及びスラグ組成に加えて、取鍋スラグの利用を要件にして、本発明を完成させたのである。
なお、本発明では、溶融還元炉スラグの凝固方法については、特に限定しない。図2に示すような一般に実施されているスラグヤードに放流しての大気放冷する方法、あるいは鋳型に流し込んで大塊状にする方法等の利用で十分である。ただし、冷却は、散水した方がスラグの粒度を粗目にできる。散水により粉状のスラグが疑似粒化し、塊状化するためである。その場合、散水量を過剰にすると、路盤材の粒度よりも粗い塊の割合が増え過ぎるので、散水量に留意する必要がある。本発明では、粒度調整のための余計な破砕処理をしないようにするのが利点だからである。
図1に示す転炉方式の溶融還元炉(鉄浴式反応炉)1にCr鉱石と炭材、石灰を投入し、溶融還元製錬を行い、ステンレス鋼の素材となる含Cr溶銑を多数チャージ溶製した。溶融還元中に投入原料の組成及び量に基づき、形成される溶融還元炉スラグ2の組成を推定し、溶融還元中に生石灰、MgO系レンガ屑等の造滓材を投入し、該スラグ2の組成をCaO/SiO2=2.0〜3.0、MgO/CaO=0.42〜0.60に調整した。
本発明の実施例として、この溶融還元炉スラグへ取鍋スラグを添加した。取鍋スラグは、取鍋内のステンレス溶鋼を真空脱ガス装置(この場合、VOD方式)で真空脱炭後、金属アルミ、アルミ滓、アルミ灰等を添加、還元して生成したスラグに、連続鋳造終了後、取鍋から排出する際にコレマナイト鉱石(B濃度:12質量%)を添加した。コレマナイト鉱石添加後のB濃度は、0.4質量%にした。取鍋スラグのその他の化学組成は、表1に示すような範囲であった。取鍋スラグは、粉化しないで塊状となるので、クロム溶融還元炉に添加できるように40mm以下に破砕した。なお、取鍋スラグの添加は、溶融還元中に、炉内へ所定量の取鍋スラグを投入筒12を介して添加することで行った。
比較例として、取鍋スラグの代わりにコレマナイト鉱石を添加した場合、炉内添加の代わりにスラグ鍋へ取鍋スラグやコレマナイト鉱石を前置きし、そこへ溶融還元炉スラグを流入した場合、及び何も添加せず、ホウ素含有量の小さい溶融還元炉スラグとした場合についても、冷却後の溶融還元炉スラグを用いて粒度、膨張率及びBの溶出量を調査した。
Cr鉱石溶融還元末期の最終的なスラグ組成の一例を表1に示す。転炉形式の炉を用いているが、普通鋼の脱炭精錬スラグ(前記転炉スラグに相当)、ステンレス鋼精錬スラグ(前記還元スラグ)と異なり、Cr鉱石を溶融還元製錬しているので、スラグ中のAl23、MgO濃度が高いのが特徴である。
Figure 0004427370
溶融スラグの冷却は、図2(a)に示す。輸送用のパレット5上に鋳鋼製の定盤6を置き、その上に鋳鋼製の枠7を置き、スラグ鍋4から溶融状態のCr鉱石溶融還元炉スラグ2をその枠7内に注ぎ、冷却・凝固する方法で行った。
実施結果を評価するため、冷却後の山積み状態のスラグの周囲4ヶ所から合計約100kgの試料を採取した。この試料を篩分け、2.36mm以下の比率を指標として粉化の程度を評価した。また、37.5mm以上の粒度の比率で、塊状物の多少を評価した。
スラグの膨張率は、JIS A5015;「道路用鉄鋼スラグ」附属書2「鉄鋼スラグの水浸膨張試験方法」に規定された方法で測定した。また、スラグからのB溶出量の評価は、環境省告示46号に規定された方法で測定した。
本発明例及び比較例の実施結果を表2に一括して示す。また、図3には、スラグ中B濃度と2.36mm以下の粒度比率((試料中の粒度が2.36mm以下の量/試料全体量)×100)との関係を、図4には、スラグ中B濃度と37.5mm以上の粒度比率((試料中の粒度が37.5mm以下の量/試料全体量)×100)との関係を示す。図3及び図4より、スラグ中B濃度が低くなると、2.36mm以下の比率が増加し、一方、40mm以上の塊の比率が低下することが明らかである。同様に、スラグ中B濃度が0.01%未満になると、粉状の2.36mm以下の比率が50%以上と著しく高くなり、スラグ中B濃度が0.05%を超えると、塊状の37.5mm以上の比率が50%以上と高くなる。
図5には、スラグ中B濃度と膨張率との関係を、図6には、スラグ中B濃度とB溶出量との関係を示す。図5より、スラグ中B濃度が0.01%未満になると、著しく膨張率が高くなり、JISの路盤材規格を満足しなくなることが明らかである。一方、図6より、B溶出量は、スラグ中B濃度と比例関係にあり、スラグ中B濃度が0.05質量%以下では、土壌環境基準の1.0mg/l以下の値となることが確認できた。
このように、スラグ中B濃度が0.01〜0.05質量%の本発明に係るスラグは、添加方法に依存せず、粉化せず、塊の割合も高くなく、膨張の問題がなく、B溶出量も土壌環境基準の1.0mg/1以下を満足している。従って、路盤材に配合する材料として適した性質を有している。
これに対して、比較例のスラグ中B濃度が0.01質量%未満のスラグは、粉化が生じて2.36mm以下が50質量%を超え、膨張率も路盤材の基準1.5%を超えるので、路盤材に配合する材料には適していない。また、比較例のスラグ中B濃度が0.05質量%を超えるスラグは、50mm以上の塊が50%と塊の比率が高く、半分以上が路盤材にするために破砕する必要がある。さらに、処理コストが高く、且つB溶出量が大きい。
Figure 0004427370
本発明に係る取鍋スラグの再利用方法を説明する図であり、(a)はCr鉱石溶融還元炉での取鍋スラグの添加状況を、(b)は炉からのスラグの排滓を示している。 溶融還元炉スラグの冷却・凝固方法を示す図であり、(a)は、パレット及び枠を利用、(b)は鋳型を利用する方法である。 スラグ中B濃度と2.36mm以下の粒度比率との関係を示す図である。 スラグ中B濃度と37.5mm以上の粒度比率との関係を示す図である。 でスラグ中B濃度と膨張率との関係を示す図ある。 スラグ中B濃度とB溶出量との関係を示す図である。
符号の説明
1 転炉型Cr鉱石溶融還元炉
2 溶融還元炉スラグ
3 含Cr溶銑
4 スラグ鍋
5 パレット
6 定盤
7 鋳さい枠
8 鋳型
9 ホウ素酸化物含有スラグ(取鍋スラグ、コレマナイト等)
10 羽口
11 ガス上吹き用ランス
12 投入筒
13 上吹き酸素ガス
14 底吹きガス

Claims (1)

  1. 鉄浴式反応炉を用い、クロム鉱石を炭材で溶融還元し、クロムを含有する溶銑を溶製するクロム鉱石溶融還元製錬で生じるクロム鉱石溶融還元炉スラグを改質するに際し、
    前記溶融還元中に、溶融還元終了後の前記スラグの組成をCaO/SiO2=2.0〜3.0、MgO/CaO=0.42〜0.60に造滓剤で調整すると共に、溶鋼の精錬で別途発生し、ホウ素酸化物を添加して塊状に凝固した取鍋スラグを前記造滓剤の一部として添加して、添加後のスラグのホウ素濃度を0.010〜0.050質量%とすることを特徴とするクロム鉱石溶融還元炉スラグの改質方法。
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