JP4427368B2 - 摩擦撹拌接合方法及びその装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シリンダスリーブ等の円弧状湾曲部の肉を塑性流動させて別部材に接合する摩擦撹拌接合方法及びその装置に関する。
図8に示されるクローズドデッキ型シリンダブロック1は、ウォータジャケット部2のガスケット面3側が閉塞されているために剛性が高く、自動車等の内燃機関を構成するシリンダブロックとして広汎に知られている。
この種のクローズドデッキ型シリンダブロック1は、通常、以下のようにして作製されている。すなわち、先ず、鋳造用金型でキャビティを形成し、崩壊性中子や、いわゆるFCスリーブ、メッキスリーブ、MMCスリーブ、ハイシリコン系アルミニウム製スリーブ等、耐摩耗性に優れるシリンダスリーブ4を該キャビティに配置する。そして、アルミニウム溶湯をキャビティに注湯し、該溶湯で崩壊性中子やシリンダスリーブ4等を囲繞する。
次に、溶湯を冷却固化することによってブロック本体5を設ける。この冷却固化に伴って、シリンダスリーブ4がブロック本体5に鋳包まれる。すなわち、穴部(シリンダボア)6にシリンダスリーブ4が配置されたシリンダブロック1が形成される。
その後、前記崩壊性中子を崩壊させる。この崩壊によって出現した中空部は、前記ウォータジャケット部2として使用される。図8から諒解されるように、ウォータジャケット部2は、ブロック本体5におけるシリンダボア6間の肉壁部を切り欠くような形態で設けられる。
ところで、近年、地球温暖化を防止する観点から、燃料の使用量を低減すること、換言すれば、自動車等の燃費を向上させることが希求されている。その方策として、内燃機関等を軽量化することにより、最終製品である自動車を軽量化することが提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特開昭59−3142号公報 特開昭58−74850号公報 特開昭59−79056号公報 特開昭60−94230号公報
クローズドデッキ型シリンダブロック1を軽量化するためには、例えば、シリンダボア6同士の間にウォータジャケット部2を設けることに代替し、ブロック本体5とシリンダスリーブ4との間にクリアランスを設け、該クリアランスをウォータジャケット部2として機能させることが想起される。これにより、ブロック本体5の体積が小さくなるからである。
これを達成するためには、ブロック本体5を鋳造成形した後、該ブロック本体5のシリンダボア6にシリンダスリーブ4を挿入し、両部材4、5を溶接すればよいとも考えられる。しかしながら、この場合、溶接時の熱によってブロック本体5ないしシリンダスリーブ4に歪が生じることがある。また、ブロック本体5が高圧鋳造(HPDC)によって作製されたものであると、シリンダスリーブ4を溶接すること自体が困難である。
そこで、ブロック本体5とシリンダスリーブ4とを摩擦撹拌接合によって接合することも考えられる。一般的な摩擦撹拌接合では、スピンドルに連結されて回転付勢された摩擦撹拌接合用工具のプローブがワークに押圧される。押圧されたプローブは、ワークに埋没した後に変位される。すなわち、スピンドルの軸方向と、プローブの押圧方向とが一致する。
しかしながら、シリンダスリーブ4の外周壁面とシリンダボア6の内周壁面とを接合するべくシリンダボア6に摩擦撹拌接合用工具を挿入した場合、摩擦撹拌接合用工具は、長尺であるためにシリンダボア6の開口付近でブロック本体5に干渉する。従って、該摩擦撹拌接合用工具を水平にすることが困難である。
そこで、摩擦撹拌接合用工具をシリンダボア6に挿入するべく、スピンドルに連結される第1回転体と、この第1回転体に連結されて前記スピンドルの軸方向に対して直交する方向に延在し、且つ第1回転体が回転付勢されることに追従して回転する第2回転体とを設け、この第2回転体にプローブを設けて摩擦撹拌接合用工具を構成することが想起される。
しかしながら、この場合、プローブの押圧方向は、スピンドルの軸方向に対して直交する方向である。すなわち、スピンドルの軸方向とプローブの押圧方向とが一致しない。このため、シリンダスリーブ4の外周壁面とシリンダボア6の内周壁面とを摩擦撹拌接合用装置のプローブでシリンダスリーブ4の内周壁面側から押圧する際、該プローブがシリンダスリーブ4の内周壁面から反作用力を受けることによって、該プローブがシリンダスリーブ4から離間する方向に若干変位することがある。このような変位が起こる結果、図9に示すように摩擦撹拌接合用装置に正又は負のたわみが生じ、このためにシリンダスリーブ4の内周壁面に対する押圧力を一定に保つことが容易でなくなる。このような状態で摩擦撹拌接合を続行すると、接合ムラが生じてしまうことが懸念される。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、接合ムラが生じる懸念を払拭し、摩擦撹拌接合された円弧状湾曲部の品質が略同等である製品を得ることが可能な摩擦撹拌接合方法及びその装置を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、第1回転軸と、前記第1回転軸の長手方向に対して垂直に交わる方向に延在するとともに前記第1回転軸が回転付勢されることに伴って回転動作する第2回転軸と、前記第2回転軸の先端部に設けられたプローブとを有する摩擦撹拌接合用装置を使用し、前記プローブを、円弧状湾曲部を有するワークの前記円弧状湾曲部の内壁面に埋没及び回転動作させることによって前記円弧状湾曲部の肉を塑性流動させる摩擦撹拌接合方法であって、
前記塑性流動が行われる間、前記プローブが前記内壁面を押圧する押圧力を一定に維持することを特徴とする。
このように、円弧状湾曲部の内壁面からの反作用力が作用してもプローブが変位することのない大きな押圧力をプローブに付与し、且つこの押圧力を一定に維持することにより、プローブが円弧状湾曲部の内壁面から離間する方向に変位することを回避することができる。これにより接合ムラが生じることが回避されるので、品質が略同等の製品を連続して製造することができる。
押圧力を一定に維持するには、例えば、プローブを前記内壁面に指向して押圧する押圧機構を摩擦撹拌接合用装置に設け、内壁面に埋没されたプローブを押圧機構によって押圧した状態で塑性流動を行うようにすればよい。
又は、内壁面に埋没されたプローブが内壁面から受ける反作用力を測定する測定手段と、第1回転軸の回転中心を変位させる変位機構とを設け、測定手段によって測定された反作用力に対応して第1回転軸の回転中心を変位させながら塑性流動を行うようにしてもよい。この場合、反作用力が大きくなり、このためにプローブが円弧状湾曲部の内壁面から離間するようであれば、第1回転体の回転中心が該内壁面に接近するように変位が行われる。また、反作用力が小さくなった結果としてプローブが円弧状湾曲部の内壁面に接近するようであれば、第1回転体の回転中心が該内壁面から離間するように変位が行われる。
なお、いずれの場合においても、円弧状湾曲部を有するワークの好適な例として、シリンダブロックの穴部に挿入されたシリンダスリーブを挙げることができる。
また、本発明に係る摩擦撹拌接合用装置は、第1回転軸と、前記第1回転軸の長手方向に対して垂直に交わる方向に延在するとともに前記第1回転軸が回転付勢されることに伴って回転動作する第2回転軸と、前記第2回転軸の先端部に設けられたプローブとを有し、
円弧状湾曲部を有するワークの前記円弧状湾曲部の内壁面に沿って前記第1回転軸が回転動作することに追従して、前記内壁面に埋没された前記プローブが回転動作することにより前記円弧状湾曲部の肉を塑性流動させ、
前記塑性流動が行われる間、前記プローブを前記内壁面に押圧する押圧力を一定に維持する押圧力維持手段を備えることを特徴とする。
この摩擦撹拌接合用装置では、内壁面からの反作用力を上回る押圧力がプローブに付与される。このため、プローブが内壁面から離間する方向に変位することを回避することができ、結局、上記したように接合ムラがなく品質が略同等の製品を連続して得ることができる。
前記押圧力維持手段としては、例えば、前記プローブを前記第1回転軸の側壁部から突出する方向に指向して押圧する押圧機構を設ければよい。そして、プローブを押圧機構によって押圧しこの状態で円弧状湾曲部の肉を塑性流動させるようにすればよい。
又は、押圧力維持手段として、内壁面に埋没されたプローブが内壁面から受ける反作用力を測定する測定手段と、第1回転軸の回転中心を変位させる変位機構とを備えるものを構成するようにしてもよい。この場合、塑性流動の間、変位手段の作用下に、測定手段によって測定された反作用力に対応して第1回転軸の回転中心を変位させるようにすればよい。
本発明によれば、摩擦撹拌接合を行う間、円弧状湾曲部の内壁面に対するプローブの押圧力を一定に維持するようにしている。このため、摩擦撹拌接合された該円弧状湾曲部を有するワークと別部材とに接合ムラが生じることを回避することができる。従って、品質が略同等である製品を連続的に得ることができる。
以下、本発明に係る摩擦撹拌接合方法につきそれを実施する装置との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態では、ブロック本体とシリンダスリーブとを摩擦撹拌接合する場合を例示して説明する。
先ず、アルミニウムの溶湯を使用しての鋳造作業により、その概略斜視一部切欠図を図1に示すブロック本体10を作製する。鋳造作業に際しては、例えば、HPDCを採用すればよい。この場合、鋳造用金型のキャビティに崩壊性中子を配置する必要がないので、コストが低廉化するという利点がある。
図1から諒解されるように、ブロック本体10には、図2に示すシリンダスリーブ12a〜12dを挿入するための穴部14が設けられており、該穴部14の下方には、連環状段部16が設けられている。また、この穴部14には、直径方向に窪んだ段部18が設けられている。すなわち、穴部14と段部18は、同心円状に設けられている。なお、図1中、参照符号20、22は、それぞれ、ジャーナル部、ガスケット面を示す。
なお、段部18は、HPDCを行う際に穴部14と同時に設けるようにしてもよいし、HPDCで穴部14のみを形成した後、該穴部14の内周壁部の一部を切り欠くことによって設けるようにしてもよい。
その一方で、図2に示すシリンダスリーブ12a〜12dを作製する。このうち、シリンダスリーブ12a、12dは、例えば、ハイシリコン系アルミニウムからなるワークに対して押し出し成形や鋳造成形等の公知の成形法を施すことによって円筒体を設け、次に、該円筒体における側周壁部の一部を切り欠いて平坦面24a、24dをそれぞれ設けることによって作製される。
そして、平坦面24a、24dに、シリンダスリーブ12a、12dの各直径方向に窪んだ凹部26a、26dが設けられる。
残余のシリンダスリーブ12b、12cは、シリンダスリーブ12a、12dにおける平坦面24a、24dと同様の平坦面24b、24cが設けられた後、該平坦面24b、24cから180°周回した位置にさらに平坦面28b、28cが設けられることによって作製される。勿論、これら平坦面24b、24c、28b、28cにも、凹部26b、26c、30b、30cがそれぞれ設けられる。
次に、図3に示すように、これらシリンダスリーブ12a〜12dをブロック本体10の穴部14に挿入する。この際、挿入されたシリンダスリーブ12a〜12dの下端部が連環状段部16に載置され、これによりシリンダスリーブ12a〜12dが下方から堅牢に支持される。
穴部14に挿入されたシリンダスリーブ12a〜12dにおける長手方向各端部の外周壁部は、該穴部14の内周壁部に当接する。また、シリンダスリーブ12aの平坦面24aには、シリンダスリーブ12bの平坦面28bが当接する。同様に、シリンダスリーブ12bの平坦面24bにはシリンダスリーブ12cの平坦面28cが、シリンダスリーブ12cの平坦面24cにはシリンダスリーブ12dの平坦面24dがそれぞれ当接する。
また、シリンダスリーブ12a、12dにおける中腹部の外周壁部と段部18とが離間するとともに、隣接するシリンダスリーブ12aと12b、12bと12c、12cと12dとの間に凹部26aと30b、26bと30c、26cと26dとが離間することにより、互いに連通する間隙が形成される。この間隙がウォータジャケット部32となる。
このように、本実施の形態においては、穴部14にシリンダスリーブ12a〜12dを挿入することに伴ってウォータジャケット部32が形成される。
次に、ブロック本体10と、穴部14に挿入されたシリンダスリーブ12a〜12dとを摩擦撹拌接合して両部材10、12a〜12dを接合一体化する。すなわち、穴部14の内周壁部と、シリンダスリーブ12a〜12dの外周壁部とを摩擦撹拌接合する。
この摩擦撹拌接合を行うために使用される摩擦撹拌接合用装置40は、図4に示すように、略円柱体形状の回転軸カバー42と、ケーシング44と、該ケーシング44の側壁部に配設された回転体46と、該回転体46に比して小径なプローブ48を備える。
ここで、図5に示すように、回転軸カバー42の先端部には凹部50が形成されており、中空体であるケーシング44における凹部50に嵌合された部位が図示しないボルトを介して回転軸カバー42に連結されることによって、ケーシング44が回転軸カバー42に取り付けられている。
回転軸カバー42の閉塞先端部52に設けられた貫通孔54からは、図示しないスピンドルに連結された第1回転軸56が若干突出している。なお、閉塞先端部52と第1回転軸56との間にはベアリング58が介装されているので、第1回転軸56の回転付勢に伴って回転軸カバー42が回転動作することはない。
そして、ケーシング44の内部に突出した第1回転軸56の先端部には、第1傘歯車60が固定されている。一方、ケーシング44の内周壁部には、対向する内周壁部に指向して突出した突出部62a〜62c、64a、64bが設けられており、このうちの突出部62a、62bには、中歯車66が嵌合された短軸体68が回転自在に支持されている。また、突出部62b、62cと突出部64a、64bには、長軸体70が回転自在に橋架されている。この長軸体70には、前記第1傘歯車60に噛合する第2傘歯車72と、前記中歯車66に噛合する第1歯車74とが嵌合されている。
さらに、ケーシング44の内部下方には、チューブを介して駆動源(ともに図示せず)に接続された油圧シリンダ76が配設されている。なお、この駆動源は、リード線を介して制御回路(ともに図示せず)に電気的に接続されている。ここで、前記駆動源及び前記制御回路は穴部14(図1及び図3参照)外に設置され、従って、前記チューブは穴部14の内部から外部へ導出されており、前記リード線は穴部14の外部で駆動源と制御回路とに電気的に接続されている。
油圧シリンダ76(図5参照)のロッド78には、ベアリング80を介して第2回転軸82が連結されている。この第2回転軸82には、ベアリング84、第2歯車86及びブッシュ88が回転体46側からこの順序で嵌合されており、このうち、第2歯車86は前記中歯車66が噛合している。すなわち、第2歯車86、中歯車66及び第1歯車74によってギアトレイン90が構成されている。
第2歯車86において、ベアリング84に臨む側の端面には、摺接板92が貼付されている。一方、ケーシング44の内壁面において、摺接板92に対向する箇所にはコイルスプリング94の一端面が着座しており、該コイルスプリング94の他端面は、摺接板92に接している。
第2回転軸82は、ケーシング44の側壁部に設けられた貫通孔96から突出しており、前記回転体46は、貫通孔96から突出した第2回転軸82の先端部に連結されている。
以上の構成において、回転軸カバー42も図示しない回転付勢機構に連結されており、従って、回転軸カバー42は、該回転付勢機構の作用下に、第1回転軸56とは個別に回転動作可能である。
上記のように構成された摩擦撹拌接合用装置40を、シリンダスリーブ12a内に挿入する。その後、油圧シリンダ76を付勢してロッド78を前進動作させて第2回転軸82をケーシング44からさらに突出させるとともに、第2回転軸82に一定の押圧力を加える。これにより、プローブ48は、該シリンダスリーブ12aの内周壁部に反作用力を超える所定の押圧力で押接する。この際、プローブ48の位置をウォータジャケット部32よりも下方とする。また、第2歯車86の一端面に貼付された摺接板92にコイルスプリング94の一端面が当接するとともに、前進動作する第2歯車86によって該コイルスプリング94が圧縮される。
この状態で、前記スピンドルを回転付勢することによって第1回転軸56を回転動作させると、第1傘歯車60に噛合した第2傘歯車72が回転動作し、これに追従して長軸体70が回転動作することにより、ギアトレイン90が動作を開始する。すなわち、中歯車66及び短軸体68が回転動作することに伴って第2歯車86及び第2回転軸82が回転動作し、最終的に、回転体46及びプローブ48が図4に示す矢印A方向に回転動作する。
このようにして回転動作したプローブ48がシリンダスリーブ12aの内周壁部に摺接することに伴って摩擦熱が発生し、該内周壁部におけるプローブ48の当接箇所が軟化する。その結果、該プローブ48の先端部が埋没する。
埋没したプローブ48は、最終的に、シリンダスリーブ12aを通過して穴部14の内周壁部に到達し、これに伴ってシリンダスリーブ12aの外周壁部と穴部14の内周壁部とが摩擦熱によって軟化する。
次に、前記回転付勢機構を付勢して回転軸カバー42を矢印B方向に回転付勢すると、埋没したプローブ48がシリンダスリーブ12aの円周方向に沿って変位する。このようにしてプローブ48が変位することに伴い、軟化した肉が該プローブ48にて撹拌されて塑性流動した後、該プローブ48が離間することに伴って固相接合する。この現象が逐次的に繰り返されることにより、シリンダスリーブ12aの外周壁部と、穴部14の内周壁部とが接合一体化される。同時に、シリンダスリーブ12aの平坦面24aと、シリンダスリーブ12bの平坦面28bとも接合一体化されるに至る。
この変位の間、油圧シリンダ76の作用下にプローブ48の押圧力が一定に維持されているので、プローブ48が反作用力によってシリンダスリーブ12aの内周壁部から離間する方向に変位することがない。従って、シリンダスリーブ12aの外周壁部と穴部14の内周壁部、及び、シリンダスリーブ12aの平坦面24aとシリンダスリーブ12bの平坦面28bとを確実に接合一体化することができるので、接合ムラが生じることを回避することができる。このため、連続的に得られるクローズドデッキ型シリンダブロック100の品質を互いに略同等とすることができる。
また、図3に示すように、シリンダスリーブ12a、12bは、連環状段部16に載置されていることによって堅牢に支持されている。このため、摩擦撹拌接合を容易に遂行することができる。
摩擦撹拌接合用装置40が図4における矢印B方向に一回転した後、前記制御回路の制御作用下に油圧シリンダ76への油圧が低減され、最終的にコイルスプリング94の弾発付勢力が油圧を上回るようになると、コイルスプリング94の弾発付勢下に摺接板92を介して第2歯車86、ひいては第2回転軸82が後退動作し、元の位置に復帰する。
以下、残余のシリンダスリーブ12b〜12dに対して同様の操作を行えば、隣接するシリンダスリーブ12aと12b、12bと12c、12cと12dが互いに接合され、且つブロック本体10における穴部14の内周壁部とシリンダスリーブ12a〜12dの外周壁部とが接合された4気筒のクローズドデッキ型シリンダブロック100が得られる(図3参照)。このクローズドデッキ型シリンダブロック100は、図3から諒解されるように、ウォータジャケット部32におけるガスケット面22側が閉塞されている。
なお、本実施の形態においては、図6に示すように、油圧シリンダ76のロッド78を垂直方向に沿って前進・後退動作するようにするとともに該ロッド78の先端部に傾斜面を設け、ロッド78とベアリング80との間に、前記傾斜面に合致する形状の傾斜面を有するカム102を介在するようにしてもよい。この場合、プローブ48に大きな反作用力が作用したとしても、カム102とロッド78とが互いに垂直な方向に交わっているため、ロッド78が後退動作することが著しく困難となる。このため、プローブ48に一定の押圧力を一層確実に付与することができる。
このクローズドデッキ型シリンダブロック100を構成するブロック本体10は、HPDCにて鋳造成形されているので、肉厚が薄い。しかも、図3から諒解されるように、ブロック本体10の段部18とシリンダスリーブ12a〜12dとの間の間隙がウォータジャケット部32となるので、一般的なクローズドデッキ型シリンダブロック(図8参照)のように、ウォータジャケット部をブロック本体の中空部として設ける必要はない。従って、ブロック本体10の肉厚を薄くすることができるので、クローズドデッキ型シリンダブロック100の体積を小さくすることができる。換言すれば、クローズドデッキ型シリンダブロック100を小型化することができるとともに、軽量化することができる。
また、本実施の形態によれば、シリンダスリーブ12a〜12dの外周壁部の一部を切断除去するのみであり、ブロック本体10やシリンダスリーブ12a〜12dを大幅に切削除去する必要は特にない。すなわち、廃材の量が著しく少ない。その上、この場合、ブロック本体10を安価なアルミニウムから構成するようにしている。以上の理由から、クローズドデッキ型シリンダブロック100の素材コスト、ひいては製造コストを一層低廉化することができる。
しかも、摩擦撹拌接合を採用しているので、クローズドデッキ型シリンダブロック100では、互いに異種の金属であるブロック本体10(アルミニウム)と、シリンダスリーブ12a〜12d(ハイシリコン系アルミニウム)とが堅牢に接合されている。このため、該クローズドデッキ型シリンダブロック100は、高い強度及び剛性を示す。
さらに、このクローズドデッキ型シリンダブロック100においては、耐摩耗性に優れるハイシリコン系アルミニウムからなるシリンダスリーブ12a〜12dを使用しているので、充分な耐久性が確保される。
プローブ48への一定押圧力の付与は、油圧シリンダ76によることに代替して、図7に示すように、測定手段としての歪ゲージ104を設け、該歪ゲージ104にて測定されたたわみ量に応じて第1回転軸56の回転中心を変位させることで行うようにしてもよい。なお、この場合、ベアリング84とブッシュ88を第2歯車86に近接させることによって、第2回転軸82がその長手方向に沿って変位することを回避する。
すなわち、この場合、前記スピンドルが図示しない変位機構に連結されるとともに、該変位機構と歪ゲージ104とが制御回路106にリード線108を介して電気的に接続される。歪ゲージ104は、プローブ48に反作用力が作用することに伴ってケーシング44に加わる負荷を測定し、その負荷を情報信号としてリード線108を介して制御回路106に伝達する。
この情報信号を受けた制御回路106は、ケーシング44に加わる負荷が一定となるようにスピンドルを変位させる。すなわち、負荷が大きく、このために第1回転軸56の回転中心がシリンダスリーブ12aの内周壁面から離間するようであれば、スピンドルをシリンダスリーブ12aの内周壁面に接近させる。これとは逆に、負荷が小さいために第1回転軸56の回転中心がシリンダスリーブ12aの内周壁面に接近するようであれば、スピンドルをシリンダスリーブ12aの内周壁面から離間させる。
このような制御によってスピンドルの位置、換言すれば、第1回転軸56の回転中心が変位されることにより、プローブ48に付与される押圧力を一定に維持することができる。なお、この場合、歪ゲージ104による測定値と、ケーシング44への負荷との関係を予め求めておくようにすればよい。
なお、上記した実施の形態においては、シリンダスリーブ12aをブロック本体10に摩擦撹拌接合する場合を例示して説明したが、本発明に係る摩擦撹拌接合方法は特にこの場合に限定されるものではなく、円弧状湾曲部を有するワークを別部材に摩擦撹拌接合する場合であれば採用することができる。
また、本発明に係る摩擦撹拌接合用装置は、油圧シリンダ76と歪ゲージ104とがともに設けられたものであってもよい。
さらに、第2回転軸82を前進動作させる付勢手段は油圧シリンダ76に限定されるものではなく、モータ等であってもよい。同様に、歪ゲージ104に代替して加圧センサを設けるようにしてもよい。
クローズドデッキ型シリンダブロックを構成するブロック本体の概略斜視一部切欠図である。 クローズドデッキ型シリンダブロックを構成するシリンダスリーブの概略全体斜視図である。 ブロック本体の穴部にシリンダスリーブを挿入してシリンダブロックを構成した状態を示す要部概略縦断面図である。 シリンダスリーブに摩擦撹拌接合用装置のプローブを埋没させた状態を示す要部概略縦断面図である。 図4の摩擦撹拌接合用装置の要部縦断面拡大図である。 別の実施形態に係る摩擦撹拌接合用装置の要部縦断面拡大図である。 また別の実施形態に係る摩擦撹拌接合用装置の要部縦断面拡大図である。 一般的なクローズドデッキ型シリンダブロックの要部概略縦断面図である。 従来技術に係る摩擦撹拌接合方法において、摩擦撹拌接合用装置のたわみ量と荷重との関係を示すグラフである。
符号の説明
1、100…クローズドデッキ型シリンダブロック
2、32…ウォータジャケット部
4、12a〜12d…シリンダスリーブ
5、10…ブロック本体
14…穴部 16…連環状段部
18…段部 24a〜24d、28b、28c…平坦面
40…摩擦撹拌接合用装置 42…回転軸カバー
44…ケーシング 46…回転体
48…プローブ 56、82…回転軸
60、72…傘歯車 66、74、86…歯車
68、70…軸体 76…油圧シリンダ
90…ギアトレイン 94…コイルスプリング
102…カム 104…歪ゲージ

Claims (3)

  1. 第1回転軸と、前記第1回転軸の長手方向に対して垂直に交わる方向に延在するとともに前記第1回転軸が回転付勢されることに伴って回転動作する第2回転軸と、前記第2回転軸の先端部に設けられたプローブとを有する摩擦撹拌接合用装置を使用し、前記プローブを、円弧状湾曲部を有するワークの前記円弧状湾曲部の内壁面に埋没及び回転動作させることによって前記円弧状湾曲部の肉を塑性流動させる摩擦撹拌接合方法であって、
    前記塑性流動が行われる間、前記プローブが前記内壁面を押圧する押圧力を一定に維持することを特徴とする摩擦撹拌接合方法。
  2. 請求項1記載の接合方法において、前記プローブを前記内壁面に指向して押圧する押圧機構を前記摩擦撹拌接合用装置に設け、前記内壁面に埋没された前記プローブを前記押圧機構によって押圧した状態で前記塑性流動を行うことを特徴とする摩擦撹拌接合方法。
  3. 第1回転軸と、前記第1回転軸の長手方向に対して垂直に交わる方向に延在するとともに前記第1回転軸が回転付勢されることに伴って回転動作する第2回転軸と、前記第2回転軸の先端部に設けられたプローブとを有し、
    円弧状湾曲部を有するワークの前記円弧状湾曲部の内壁面に沿って前記第1回転軸が回転動作することに追従して、前記内壁面に埋没された前記プローブが回転動作することにより前記円弧状湾曲部の肉を塑性流動させ、
    前記塑性流動が行われる間、前記プローブを前記内壁面に押圧する押圧力を一定に維持する押圧力維持手段を備えることを特徴とする摩擦撹拌接合用装置。
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