JP4427303B2 - ローラ矯正方法 - Google Patents
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Description
なお、本明細書で単にロールという場合は、被矯正材に直接接触して、これに曲げを加える「ワークロール」を意味し、ワークロールを支持するバックアップロールと区別するときのみワークロールと呼ぶことにする。
ローラレベラは、下ロールに対し上ロールを押し込んだ状態で、被矯正材を通材し、被矯正材に繰り返し曲げを与えることによって、被矯正材の反りや波形状を平坦化する。このとき、ローラレベラの各ロール押込量は、被矯正材の寸法、材料定数やローラレベラの剛性(ゼロ点設定誤差を含む)、被矯正材の反り・波形状の変動範囲などを考慮して、所望の平坦度を得るために必要な値となるように設定される。ここで、ロール押込量δとは、該ロールの頂点と該ロールの上下流側に隣接するロールの頂点を結ぶ直線との距離をxとすると、このxを被矯正材の厚みhから差し引いたものであり、δ=h−xで表される。以下では、ロール押込量δは、該ロールの頂点と、該ロールの上下流側に隣接するロールの頂点を結ぶ直線との距離が被矯正材の厚みよりも小さくなる方向を正として説明する。
また、このようにして、ロール位置を所望の値に制御したとしても、被矯正材の材料定数の推定誤差により、所望の矯正効果が得られない場合がある。この対策の一つとして、ローラレベラ出側に配置した反り計による被矯正材の反り量から、最適なロール位置を演算し、このロール位置となるようにロール押込装置を作動させる方法が示されている(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、被矯正材に強い曲げを与える場合など、被矯正材の通材性を確保するために、被矯正材の先端がローラレベラを通過した後に、ロール押込装置を作動させる場合がある。この方法の一つとして、ローラレベラのロールを開放しておき、被矯正材の先端がローラレベラを通過した後にロール押込装置を作動させる方法が示されている(例えば、特許文献3参照。)。
通材中にロール押込装置を作動させてロール位置を変更した場合、あるロールと被矯正材との接触点と、該ロールに隣接するロールと被矯正材との接触点との距離が変化してしまう。これを図2および図3を用いて、より詳しく説明する。図2はロール押込量が0の状態、図3はロール押込量がδの状態を示す。ここでは、本発明の概念を理解し易くするため、ロール2〜4と被矯正材1とはそれぞれロール直下(直上)で接触すると仮定する。ロール2〜4の直径はD、ロールピッチはL、被矯正材1の板厚はhとする。以下では、ロール2とロール3および被矯正材1との位置関係に着目する。図2では、被矯正材1とロール2との接触位置の板厚中心Aと、被矯正材1とロール3との接触位置の板厚中心Bとの距離はLに等しい。ところが、図3では、被矯正材1とロール2との接触位置の板厚中心A′と、被矯正材1とロール3との接触位置の板厚中心B′との直線距離は、√(L2+δ2)になる。例えば、ロールピッチL=25mmの場合、ロール押込量δを0mmから5mmへと変化させることにより、約2%の伸びが生じることになる。実際には、被矯正材のロール間の変形形状は直線状ではなく、S字曲線状になるため、より大きな伸びが発生する。このような接触点間の距離の変化に応じて、被矯正材1とロール2もしくはロール3との間の摩擦係数が比較的大きい場合には、被矯正材1には軸力が発生してしまう。このようにして被矯正材1に作用した軸力は、操作者が意図して付与したものではなく、また、発生する軸力の大きさは、ロール押込量、被矯正材とロールとの摩擦状態等により変化するため、任意の被矯正材、あるいは、矯正条件に対して所望の矯正効果を直ちに得ることができず、それゆえ、試行錯誤を繰り返しながら所望の矯正効果が得られるロール押し込み条件を探索することになる。あるいは、被矯正材1とロール2もしくはロール3との間の摩擦係数が比較的小さい場合には、この軸力を緩和するために、被矯正材1とロール2もしくはロール3との間にすべりが発生し、被矯正材1の表面に疵が発生してしまう。
本発明は、以上の知見に基づくものであり、その要旨とするところは以下のとおりである。
(1) 複数本のロールを上下に千鳥状に配置し、そのロール間に被矯正材を通して平坦化するローラ矯正方法において、被矯正材をローラレベラに通材しつつ、ロール位置を変化させる際に、少なくとも1本以上のロールを無駆動状態とすることを特徴とするローラ矯正方法。
本発明によれば、例えば、矯正反力に伴うローラレベラの弾性変形や、被矯正材の材料定数の推定誤差、被矯正材の通材性の確保等の理由により、被矯正材を通材中にロール位置を変更する必要がある場合にも、被矯正材の表面品位を損なうことなく、また、迅速に所望の矯正効果を得ることができる。
また、比較例2として入側押込装置22を#2ロール(12)押込量が5mm、出側押込装置17を#10ロール(20)押込量が0mmとなるまで作動させた後に、被矯正材1をローラレベラ5に通材させた。このとき、被矯正材がローラレベラに噛み込まなかった。
以上のように、本発明では、従来法に比し、被矯正材の表面品位を損なうことなく、また、所望の矯正効果を迅速に得られることがわかる。
その結果、本実施例3・比較例4ともに通材トラブルは生じなかったものの、矯正の合格率に関しては、実施例3では100%を達成した一方、比較例4では表面品位や平坦度の観点で合格率が85%と悪化した。なお、実施例3と比較例4との間で、被矯正材の板厚・板幅・鋼種、さらには、平坦度や表面性状の合格基準に大きな偏りは見られなかった。また、実施例3と比較例4との間の合格率の差異にも、被矯正材の板厚・板幅・鋼種に対するきわだった差は見られなかった。
また、ロール径、ロールピッチ、ロール本数などのローラレベラの仕様、板厚、板幅、鋼種等の被矯正材の仕様についても、ここに掲げた実施例1〜3の範囲に限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々選択できる。
2 下ロール1
3 上ロール1
4 下ロール2
5 ローラレベラ
6 入側ローラテーブル
7 出側ローラテーブル
8 メインハウジング
9 上ロールハウジング
10 下ロールハウジング
11 #1ロール
12 #2ロール
13 #3ロール
14 #4ロール
15 #5ロール
16 #6ロール
17 #7ロール
18 #8ロール
19 #9ロール
20 #10ロール
21 #11ロール
22 入側押込装置
23 出側押込装置
Claims (1)
- 複数本のロールを上下に千鳥状に配置し、そのロール間に被矯正材を通して平坦化するローラ矯正方法において、被矯正材をローラレベラに通材しつつ、ロール位置を変化させる際に、少なくとも1本以上のロールを無駆動状態とすることを特徴とするローラ矯正方法。
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