JP4426786B2 - 排水分別装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家庭内の風呂、台所、洗面台等から排出される排水を水洗トイレの洗浄水や洗濯用水その他の水として再利用するにあたって、その排水が再利用可能かどうかを判別し分別する排水分別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
水資源の有効利用が求められるなか、家庭内等から排出される排水の再利用が検討されており、特許文献1には、風呂の残り水を洗濯用水及び水洗トイレの洗浄水として再利用するための装置が開示されている。
【0003】
また、本願出願人は、特願2003−78315において、残り水(排水)がなくなったときに、水道水への自動切換えを行うようにした排水再利用装置を提案した。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−204942号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の技術は、排水の性状にかかわらずすべての排水を再利用するものであり、排水の汚染がひどく濁度が高い場合であっても、その排水も再利用され、その結果、供給先の機器に悪影響を及ぼすことがあった。このように、排水の再利用にあたっては、その排水の濁度を判別し、許容される濁度以下の排水のみを再利用する必要がある。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、排水の濁度に応じてその排水が再利用可能かどうかを判別し、再利用可能と判断された排水のみを再利用することができる排水分別装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の排水分別装置は、排水管内の排水の濁度を検知する濁度センサと、排水管内の排水を吸い込んで供給先に供給するポンプと、排水管の排水出口を開閉する止水弁と、排水管内の排水の水位を検知する第1水位センサと、濁度センサ又は濁度センサの配置位置近傍の排水管の内面を洗浄する洗浄機と、濁度センサ、ポンプ、止水弁及び洗浄機の動作を制御する制御部とを備え、前記濁度センサによって排水の濁度が所定値以下であることが検知されると、前記制御部が前記ポンプを運転させるとともに前記止水弁を作動させて前記排水出口を閉止し、前記濁度センサによって排水の濁度が所定値を超えたことが検知されると、前記制御部が前記ポンプを停止させるとともに前記止水弁を作動させて前記排水出口を開放し、前記第1水位センサによって前記排水管内の排水が所定量以下になったことが検知されると、前記制御部が前記ポンプ及び前記濁度センサを停止させるとともに前記洗浄機を作動させることを特徴とする。
【0008】
これにより、濁度が所定値を超える排水は、再利用されることなく排水出口から排出され、濁度が所定値以下の排水のみをポンプによって供給先に供給できる。
【0009】
また、本発明の排水分別装置において洗浄機は、濁度センサが排水管内に配置されている場合はそれを直接洗浄し、濁度センサが排水管の外側に配置されている場合は濁度センサの配置位置近傍の排水管の内面を洗浄する。この洗浄機を備えることにより、濁度センサ又は濁度センサが配置位置近傍の排水管の内面を洗浄することができるので、汚れによる濁度センサの感度の低下を防止できる。しかも、洗浄機は、第1水位センサによって排水管内の排水が所定量以下になったことが検知されたときに作動し、このときポンプ及び濁度センサは停止されるので、装置の作動に悪影響を及ぼすことはない。
【0010】
さらに、本発明の排水分別装置は、ポンプ近傍の排水の水位を検知する第2水位センサをさらに備え、前記第2水位センサによって前記排水管内の排水が所定量以下になったことが検知されると、前記制御部が前記ポンプを停止させるようにすることができる。これにより、ポンプの空運転を防止できる。
【0011】
また、本発明の排水分別装置は、前記ポンプによって供給された排水を貯める供給先の排水タンク内の排水の水位を検知する第3水位センサをさらに備え、前記第3水位センサによって前記排水タンク内の排水が所定量以上になったことが検知されると、前記制御部が前記ポンプを停止させるようにすることができる。これにより、供給先の排水タンクのオーバーフローを防止できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施例に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は、本発明の排水分別装置の構成図である。図2は図1における濁度センサの配置を示す概略平面図、図3は図1における濁度センサと洗浄機の配置関係を示す概略縦断面図である。
【0014】
図1において、排水管1には、風呂、台所、洗面台等からの排水が流入するようになっており、この排水管1には、その上流側から順に、フィルター2、濁度センサ3、ポンプ4及び止水弁5が配置されている。また、排水管1の本管内には第1水位センサ6が設けられ、ポンプ4の吸い込み口の近傍には第2水位センサ7が設けられている。そして、濁度センサ3の近傍には、洗浄機8が設けられている。なお、本実施例では、濁度センサ3を2個配置し、それぞれの近傍に洗浄機8を設けるようにしているが、図1では、一つの洗浄機8のみを示している。
【0015】
フィルター2は、排水中のゴミを除去するためのものであり、定期的に取り外して洗浄できるように、排水管1内に着脱可能に取り付けられている。
【0016】
濁度センサ3は、排水管1内の排水の濁度を検知するものであり、図2に示すように、近赤外線を発光する発光ダイオード(LED)である発光素子3aと、発光素子3aの指向方向と直交する方向に向けて配置され排水中の汚濁物質により反射された近赤外線を受光する受光素子3bとからなる。発光素子3aは、その指向方向から90°の範囲(図2の領域A)に近赤外線を発射し、受光素子は、その指向方向から90°の範囲(図2の領域B)からの近赤外線を受光するように構成されている。そして、この受光素子3bの受光量に基づいて排水の濁度を検知する。すなわち、受光素子3bの受光量が多いと濁度は高く、受光量が少ないと濁度は低いということになる。受光素子3bからの受光信号は演算処理機能を備えた制御部9に入力され、所定の演算を行って濁度値に変換される。実施例では、濁度センサ3を2個配置しているので、濁度値の演算にあたっては、2つの受光素子3bからの受光信号を平均して使用する。
また、実施例の濁度センサ3では、受光素子3bに光フィルター3cが取り付けられ、これによって発光素子3aから発光される近赤外線以外の光を排除するようにしている。さらに、外乱光による誤差を取り除くために、発光素子3aは点灯と点滅を繰り返し、点灯時の受光素子3bからの受光信号(V1)と点滅時の受光素子3bからの受光信号(V2)を使って、精度良く濁度を検出するようにしている。
【0017】
この濁度センサ3は、図2に示すように排水管1の外側に配置されている。このように、濁度センサ3を排水管1の外側に配置する場合、少なくとも濁度センサ3が配置されている部分の排水管1は透明アクリル等の透明素材で形成する。
【0018】
図1に戻って、水中ポンプ4は、排水管1内の排水を吸い込んで供給先の排水タンク10に供給するものであり、制御部9からの制御信号によって運転(作動)又は停止される。供給先の排水タンク10の上部には、図1に示すように、満水を検知するための第3水位センサ11が設けられており、また、水位センサ11が故障してもオーバーフローしないように排水口10aが設けられている。さらに、排水タンク10の底部には、制御部9からの制御信号によって運転(作動)又は停止するエアーブロワ12が設けられている。この排水タンク10内の排水は、ポンプユニット13によってトイレの洗浄水や洗濯用水として再利用される。
【0019】
止水弁5は、排水管1の排水出口1aを開閉するものであり、モーター5aによって駆動するモーター式弁である。止水弁5のモーター5aは制御部9からの制御信号によって駆動し止水弁本体5bを上下動させる。
【0020】
洗浄機8は、図3に示すように、排水管1の内面を洗浄するために洗浄ノズル8a及びワイパー8bを備えており、洗浄ノズル8aには水道管14からの上水が電磁弁8cを介して供給される。電磁弁8cは、制御部9からの制御信号によって開閉され、開の状態のときに洗浄ノズル8aから洗浄用の上水が吐出するようになっている。ワイパー8bも制御部9からの制御信号によって動作し、電磁弁8cが開となっている間、作動するようになっている。なお、電磁弁8cと洗浄ノズル8aとの間には洗浄剤供給タンク8dが連結されており、洗浄ノズル8aから吐出する上水に洗浄剤を混合できるようになっている。
【0021】
第1水位センサ6、第2水位センサ7及び第3水位センサ11は、何れも電極式の水位センサであり、第1水位センサ6は排水管1内の排水量(水位レベル)を、第2水位センサ7はポンプ4近傍の排水量を、第3水位センサ11は排水タンク10内の排水量を検知し、それぞれ、検知した水位信号を制御部9に送るようになっている。
【0022】
次に、図1〜3を参照して本発明の排水分別装置の動作について説明する。
【0023】
まず、排水分別装置の制御部9の電源がオフの状態では、止水弁5の止水弁本体5aは上昇し、排水出口1aが開いた状態となっており、排水管1内の排水は排水出口から排出されるようになっている。
【0024】
次いで、制御部9の電源をオンにすると、まず、第1水位センサ6、第2水位センサ7及び第3水位センサ11の各水位センサが作動し、そのうち少なくとも第1水位センサ6によって排水管1内の排水が所定量を超えていることが検知されると濁度センサ3も作動する。この濁度センサ3によって、上述のとおり排水管1内の排水の濁度が測定され、受光素子3bからの受光信号に基づいて制御部9により濁度が算出される。そして、この濁度が所定値以下(例えば2度以下)であることが検知されると、制御部9は、止水弁5のモーター5aを駆動して止水弁本体5bを下降させる制御信号をモーター5aに送る。これによって、排水管1の排水出口1aは止水弁本体5bによって閉止される。
【0025】
これと並行して、制御部9は、第1水位センサ6、第2水位センサ7及び第3水位センサ11からの水位信号を確認し、排水管1内及びポンプ4近傍の排水が所定量を超え、かつ、排水タンク10内の排水が所定量未満であることを検知した場合に、ポンプ4を作動させる制御信号をポンプ4に送る。これによって、濁度センサ3によって所定値以下の濁度であると検知された再利用可能な排水が、ポンプ4によって供給先の排水タンク10に供給される。
【0026】
このポンプ4の作動中、濁度センサ3は連続的に排水の濁度を測定しており、濁度センサ3によって排水の濁度が所定値を超えたことが検知されると、制御部9がポンプ4を停止させる制御信号をポンプ4に送るとともに、止水弁5のモーター5aを駆動して止水弁本体5bを上昇させる制御信号をモーター5aに送る。これによって、濁度が所定値を超える再利用不可能な排水は、再利用されることなく排水出口1aから排出される。
【0027】
一方、ポンプ4の作動中に、第1水位センサ6によって排水管1内の排水量が所定量以下になったことが検知されたとき、及び、第2水位センサ7によってポンプ4近傍の排水量が所定量以下になったことが検知されたときには、制御部9はポンプ4を停止させる制御信号をポンプ4に送る。これによって、ポンプ4の空運転が防止される。また、第3水位センサ11によって排水タンク10内の排水量が所定量以上になったことが検知されたときにも、制御部9はポンプ4を停止させる制御信号をポンプ4に送る。これによって、集水タンク10からの排水のオーバーフローが防止される。
【0028】
第1水位センサ6によって排水管1内の排水量が所定量以下になったことが検知されたときには、上述のように、制御部9はポンプ4を停止させる制御信号をポンプ4に送るとともに、濁度センサ3を停止させる制御信号を濁度センサ3に送る。これと同時に、制御部9は、洗浄機8の電磁弁8cを開にする制御信号を電磁弁8cに送るとともに、洗浄機8のワイパー8bを作動させる制御信号をワイパー8bに送る。これによって、先に図2によって説明したように、排水管1の内面に洗浄ノズル8aから上水が吐出されるとともに、ワイパー8bによる払拭作用で排水管1の内面が洗浄される。なお、電磁弁8c及びワイパー8bは、制御部9に内蔵されているタイマーの設定によって所定時間だけ作動し、その後、停止するようになっている。
【0029】
第1水位センサ6によって排水管1内の排水量が所定量以下になったことが検知されたときには、上述のように、ポンプ4が停止されるので排水タンク10への排水の供給が停止する。この状態が長時間続くと排水タンク10内の排水が腐敗するおそれがある。そこで、本実施例では、排水管1内の排水量が所定量以下になったことが検知されたときに、制御部9からエアーブロワ12を運転させる制御信号をエアーブロワ12に送るようにしている。これによって、エアーブロワ12から空気が供給され排水タンク12内の排水が撹拌されるので排水の腐敗を防止することができる。なお、エアーブロワ12は、制御部9に内蔵されているタイマーの設定によって所定時間だけ作動し、その後、停止するようになっている。
【0030】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。例えば、実施例では、濁度センサを排水管の外側に配置したが、排水管内に配置してもよい。この場合、洗浄機については、濁度センサを直接洗浄するように、洗浄ノズル及びワイパーを配置した構成にする。また、実施例では、発光素子と受光素子からなる濁度センサを2個配置したが、その個数に限定はない。さらに、実施例では、止水弁としてモーター式弁を採用したが、電磁弁式のものとしてもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、濁度センサにて検知された濁度によってポンプ及び止水弁を制御するようにしたので、濁度の所定値を超える排水は、再利用されることなく排水出口から排出され、濁度が所定値以下の排水のみを供給先に供給できる。また、装置構成が簡単で低コストで提供できるので、一般家庭用としても利用可能である。
【0032】
また、濁度センサを洗浄する洗浄機を備えているので、濁度センサの感度の低下を防止でき、長期間の運転が可能となる。
【0033】
さらに、ポンプ近傍の排水の水位を検知する第2水位センサを備えたものでは、ポンプの空運転を防止できる。
【0034】
また、供給先の排水タンク内の排水の水位を検知する第3水位センサを備えたものでは、供給先の排水タンクのオーバーフローを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排水分別装置の構成図である。
【図2】図1における濁度センサの配置を示す概略平面図である。
【図3】図1における濁度センサと洗浄機の配置関係を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
1 排水管
1a 排水出口
2 フィルター
3 濁度センサ
3a 発光素子
3b 受光素子
3c 光フィルター
4 ポンプ
5 止水弁
5a モーター
5b 止水弁本体
6 第1水位センサ
7 第2水位センサ
8 洗浄機
8a 洗浄ノズル
8b ワイパー
8c 電磁弁
8d 洗浄剤供給タンク
9 制御部
10 排水タンク
10a 排水口
11 第3水位センサ
12 エアーブロワ
13 ポンプユニット
14 水道管
Claims (3)
- 排水管内の排水の濁度を検知する濁度センサと、排水管内の排水を吸い込んで供給先に供給するポンプと、排水管の排水出口を開閉する止水弁と、排水管内の排水の水位を検知する第1水位センサと、濁度センサ又は濁度センサの配置位置近傍の排水管の内面を洗浄する洗浄機と、濁度センサ、ポンプ、止水弁及び洗浄機の動作を制御する制御部とを備えた排水分別装置であって、
前記濁度センサによって排水の濁度が所定値以下であることが検知されると、前記制御部が前記ポンプを運転させるとともに前記止水弁を作動させて前記排水出口を閉止し、
前記濁度センサによって排水の濁度が所定値を超えたことが検知されると、前記制御部が前記ポンプを停止させるとともに前記止水弁を作動させて前記排水出口を開放し、
前記第1水位センサによって前記排水管内の排水が所定量以下になったことが検知されると、前記制御部が前記ポンプ及び前記濁度センサを停止させるとともに前記洗浄機を作動させることを特徴とする排水分別装置。 - 前記ポンプ近傍の排水の水位を検知する第2水位センサをさらに備え、
前記第2水位センサによって前記ポンプ近傍の排水が所定量以下になったことが検知されると、前記制御部が前記ポンプを停止させることを特徴とする請求項1に記載の排水分別装置。 - 前記ポンプによって供給された排水を貯める供給先の排水タンク内の排水の水位を検知する第3水位センサをさらに備え、
前記第3水位センサによって前記排水タンク内の排水が所定量以上になったことが検知されると、前記制御部が前記ポンプを停止させることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水分別装置。
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