JP4426634B1 - 加飾プラスチックシート - Google Patents

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Abstract

【課題】従来にはなかった和紙のような風合いと手触りを表現することができる、新たな加飾プラスチックシートを提供せんとする。
【解決手段】引張強度(JIS
K 6734)が40MPa以上である透明なプラスチックシートの表面に、一定方向に伸びる多数の筋を有し、且つ当該筋からプラスチックの毛が起毛してなる毛羽立ち加飾面を備えた加飾プラスチックシート。
透明なプラスチックシート表面に一定方向に伸びる多数の筋を有し、且つ当該筋からプラスチックの毛が起毛してなる毛羽立ち加飾面を備えた加飾プラスチックシートを提案する。
【選択図】図1

Description

本発明は、化粧品などの外箱として使用される包装ケースのシート材料として好適に使用できる加飾プラスチックシート、特に和紙のような風合いと手触りを備えた加飾プラスチックシートに関する。
化粧品や玩具等の各種商品を保護しつつ見栄えよく展示するため、透明度の高いプラスチックシートからなる包装ケースが使用されている。
この種の包装ケースは、透明性が良好で剛性もあるアモルファスポリエチレンテレフタレート(A―PET)等のプラスチックシートを所望の形状に打ち抜くと共に、折り曲げ箇所に罫線を入れてケース組立用プラスチックシートを形成した後、これを自動製函機等によって組み立てて商品を収納するのが一般的である。
この種の包装ケースにおいて、さらに意匠性を高めるために、プラスチックシート表面の加飾を施してなる様々な加飾プラスチックシートが提案されている。
例えば、プラスチックシートの表面にエンボス加工を施してシート表面を部分的に艶消ししてなる意匠性シートが開示されている(特許文献1)。
また、不織布を全面的に貼り合わせてなるプラスチックシートが開示されている(特許文献2、特許文献3)。
特開平9−300463号公報 特開2001−55225号公報 特開2002−205731号公報
本発明は、従来にはなかった風合いと手触りを表現することができる、新たな加飾プラスチックシートを提供せんとするものである。
本発明は、引張強度(JIS K 6734)が40MPa以上である透明なプラスチックシートの表面に、一定方向に伸びる多数の筋を有し、且つ当該筋からプラスチックの毛が起毛してなる毛羽立ち加飾面を備えた加飾プラスチックシートを提案する。
引張強度(JIS K 6734)が40MPa以上である透明なプラスチックシートの表面に、一定方向に伸びる多数の筋を設け、当該筋からプラスチックの毛を起毛させると、プラスチックシートの表面を和紙のような風合いと手触りに仕上げることができる。また、実際の和紙の場合には、透かして向こうが見えないが、本発明の加飾プラスチックシートの場合には、透かして向こうが見えるという特徴を備えている。よって、本発明の加飾プラスチックシートから包装ケースを形成すると、和紙からなるような風合いと手触りを表現することができ、しかも中身の商品を視認できるため、新たな包装ケース材料として特に優れている。
実施例1の表面状態の顕微鏡写真(50倍)である。 実施例2の表面状態の顕微鏡写真(50倍)である。 実施例5の表面状態の顕微鏡写真(50倍)である。 本発明の一例に係る加飾プラスチックシートの毛羽立ち加飾面における起毛の様子を示した部分断面視図である。
次に、実施形態に基づいて本発明を説明する。但し、以下に説明する実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明の範囲が以下の実施形態に制限されるものではない。
<加飾プラスチックシート>
本実施形態に係る加飾プラスチックシート(以下「本加飾シート」という)は、透明なプラスチックシートからなる基材シートの表面に、一定方向に伸びる多数の筋を有し、且つ当該筋からプラスチックの毛が起毛してなる毛羽立ち加飾面を備えた加飾プラスチックシートである。
(基材シート)
基材シートは、透明なプラスチックシートであることが重要である。ただし、ここでいう透明とは、半透明を含む意味である。
透明なプラスチックシートとしては、例えばポリエチレンテレフタレートシート(PET)、アモルファスポリエチレンテレフタレートシート(A―PET)、ポリプロピレンシート(PP)、ポリエチレンシート(PE)、ポリスチレンシート(PS)、二軸延伸ポリスチレンシート(OPS)、ポリカーボネートシート(PC)およびポリ乳酸シート(PLA)などを例示することができる。
これらの中でも、和紙のような風合いと手触りを実現できる観点から、より具体的には、後述する実施例で検討したように、研磨布などによって繊維状(言い換えればヒゲ状)の毛を起毛させることができる観点から、引張強度(JIS K 6734)が40MPa以上である材料であることが必要であり、60MPa以上、その中でも60Mp〜80Mpの材料シートが好ましい。
引張強度40MPa以上を示す材料シートとしては、例えばポリエチレンテレフタレートシート(PET)、アモルファスポリエチレンテレフタレートシート(A―PET)、ポリプロピレンシート(PP)、ポリスチレンシート(PS)、二軸延伸ポリスチレンシート(OPS)、ポリカーボネートシート(PC)、アクリルシート、ポリ乳酸シート(PLA)などを例示することができる。他方、軟質塩ビ(軟質PVC)などのように、引張強度40MPa未満である材料の場合には、研磨布などによって繊維状の毛を起毛させることができず、和紙のような風合いと手触りを実現することができない。
引張強度60MPa以上を示す材料シートとしては、例えばポリエチレンテレフタレートシート(PET)、アモルファスポリエチレンテレフタレートシート(A―PET)、ポリスチレンシート(PS)、二軸延伸ポリスチレンシート(OPS)、ポリカーボネートシート(PC)、アクリルシート、ポリ乳酸シート(PLA)などを例示することができる。
中でも、引張強度60MPa〜80MPaを示す材料シートとしては、ポリエチレンテレフタレートシート(PET)、アモルファスポリエチレンテレフタレートシート(A―PET)、アクリルシート、ポリ乳酸シート(PLA)などを例示することができる。
但し、アクリルシートに関しては、引張強度が60MPa〜80MPaの範囲に入るものの、後述する材料試験の結果が示すように、起毛の繊維長さが足りないため、和紙のような手触りや風合いを得ることが難しいことが分かっている。
なお、基材シートは、上述した引張強度の条件を満たせば、延伸、未延伸のいずれのシートであってもよいし、また、2種類以上の層からなる積層シートであってもよい。
基材シートに厚みは、特に限定するものではないが、包装ケース材料としての用途を考慮すると、0.1mm〜1.0mmであるのが好ましい。
(毛羽立ち加飾面)
毛羽立ち加飾面は、透明なプラスチックシートの表面に、一定方向に伸びる多数乃至無数の筋を有し、且つ当該筋からプラスチックの毛が起毛してなる構成を備えている。
この際、多数乃至無数の筋が一定方向に伸びていることが重要であり、その方向は任意である。
また、プラスチックシート表面に設けられた筋から、詳しくは図4に示すように、筋溝の縁から、繊維状、言い換えればヒゲ状の毛が起毛していることが重要である。この起毛によって、和紙のような風合いと手触りを実現することができる。この起毛は、例えば筋を設けるためにスクラッチ傷をつけた際の削り残りが繊維状乃至ヒゲ状に起毛したものである。
なお、全ての筋から起毛していなくても、和紙のような風合いと手触りを実現することができるから、全ての筋からは起毛していない場合も包含する。
起毛の長さ(平均長さ)は、和紙のような風合いと手触りを実現する観点から、200μm以上、特に500μm以上、中でも特に1000μm以上であるのが好ましい。他方、上限としては、8000μm以下、特に4500μm以下、中でも特に2600μm以下、その中でも2000μm以下であるのが好ましい。
また、起毛の長さ(最大長さ)は、和紙のような風合いと手触りを実現する観点から、300μm以上、特に500μm以上、中でも特に800μm以上、その中でも特に2000μm以上、さらには3000μm以上であるのが好ましい。他方、上限としては、8000μm以下、特に4200μm以下であるのが好ましい。
毛羽立ち加飾面の表面状態は、算術平均粗さ(Ra)、十点平均粗さ(Rz)、最大高さ(最大高さと最大深さの距離)(Ry)、凹凸の平均間隔(Sm)などの表面粗さと、光沢度、ヘーズ、光線透過率などの光学特定とで示すことができ、これらの数値には、筋の密度、太さ、深さ、さらには起毛高さ等が影響している。中でも、算術平均粗さ(Ra)、最大高さ(最大高さと最大深さの距離)(Ry)および光沢度は、本加飾シートの毛羽立ち加飾面の表面状態の特徴を示すことができるパラメータである。
算術平均粗さ(Ra)は、0.20μm〜7.0μmが好ましい。Raは外観に大きく影響するため、Raをこの範囲に調整することは、和紙のような外観に仕上げるために好ましい。かかる観点から、特に0.40μm〜6.0μm、中でも特に0.60μm〜5.0μmが好ましい。
十点平均粗さ(Rz)は、2μm〜30μmが好ましく、特に3μm〜25μm、中でも特に8μm〜23μmが好ましい。
最大高さ(最大高さと最大深さの距離)(Ry)は、2μm〜35μmが好ましい。Ryが好ましい範囲であれば、特に肌触りを和紙のような感じに仕上げることができる。かかる観点から、特に4μm〜30μm、中でも特に10μm〜25μmが好ましい。
凹凸の平均間隔(Sm)は、0.05μm〜0.40μmが好ましく、特に0.10μm〜0.35μm、中でも特に0.20μm〜0.32μmが好ましい。
なお、一定方向に筋を設けるため、一定方向(TD)にはSmは測定されるが、これと直交する方向(MD)方向にはSmは測定されないという特徴を有している。
また、TDとMDにおけるRa及びRyの比率によって筋の方向性を規定することができる。すなわち、本加飾シートの毛羽立ち加飾面においては、Ra(TD方向)/Ra(MD方向)およびRy(TD方向)/Ry(MD方向)のいずれかの値が1.0以上であるのが好ましく、特に1.2以上であるのが好ましく、中でも特に1.5以上であるのが好ましい。TDとMDにおけるRa及びRyの比率がかかる範囲であれば、より一層和紙の風合いに仕上げることができる。
本加飾シートの毛羽立ち加飾面の光学特性に関しては、光沢度が、3〜20%であるのが好ましく、特に5〜16%、中でも特に5〜11%であるのが好ましい。
また、ヘーズが50〜95%であるのが好ましく、特に60〜95%、中でも特に70〜95%であるのが好ましい。
全光線透過率は、60〜90%であるのが好ましく、特に70〜85%、中でも特に75〜85%であるのが好ましい。
拡散光線透過率は、50〜80%であるのが好ましく、特に55〜70%、中でも特に60〜70%であるのが好ましい。
(製法)
本加飾シートの製造方法としては、例えば基材シートをベルトコンベア上に載せて搬送し、例えばベルトサンダーの研磨材付き研磨ベルトの回転方向を、基材シートの搬送方向(MD)と一致させ、基材シート表面に多数乃至無数のスクラッチ傷を一定方向に均一に付けて毛羽立ち加飾面を形成するのが好ましい。
ただし、プラスチックシートの表面をベルトサンダーを用いて研磨すれば、本発明の毛羽立ち加飾面が形成できるというものではない。プラスチックシートの種類に応じて、研磨材の粒度や材質、研磨ベルトの速度、シートの搬送速度などを調整する必要がある。
この際、研摩材の材質は特に限定するものではない。ダイヤモンド、コランダム、アランダム、カーボランダム、アルミニウムなど、公知の材料の中で適宜選択すればよい。
研摩材の粒度は、プラスチックシートの種類と求める風合や手触りに応じて適宜調整するのが好ましい。基材シートを研磨する際の目安としては、JISR−6001で規定される粒度として、#80〜#400の範囲のものを用いるのが好ましい。研摩材の粒度が#80よりも粗い場合は、起毛状態が粗くなり過ぎる恐れがある。一方、粒度が#400よりも細かいと、起毛効果が不十分になる可能性がある。
研磨ベルトの速度は、速くすれば細かくなり、遅くすれば粗くなる傾向がある。好ましい研磨ベルトの速度は、プラスチックシートの種類と求める風合や手触りに応じて適宜調整するのが好ましい。基材シートを研磨する際の目安としては、600m/min〜1200m/minであるのが好ましい。
シートの搬送速度は、速くすれば粗くなり、遅くすれば細かくなる傾向がある。好ましいシートの搬送速度は、プラスチックシートの種類と求める風合や手触りに応じて適宜調整するのが好ましい。基材シートを研磨する際の目安としては、5m/min〜30m/minであるのが好ましい。
(加工)
本加飾シートは、そのまま利用することもできるが、例えば次のような加工を施して利用することもできる。
例えば毛羽立ち加飾面の一部に樹脂、インキ又はニスを塗布するか、或いは毛羽立ち加飾面の一部の樹脂を溶融するかして、当該毛羽立ち加飾面の筋及び起毛を消失させることによりその部分の透明度を高めて、毛羽立ち加飾面内に窓部を設けることができる。
この際、樹脂、インキ又はニスを塗布する方法は任意であり、コーター等で塗布してもよいし、各種印刷方法により塗布してもよい。
また、毛羽立ち加飾面の一部の樹脂を溶融する場合には、当該樹脂のガラス転移温度(Tg)以上に加熱された型を接触させるなどして、当該一部の樹脂を溶融させて毛羽立ち加飾面の筋及び起毛を消失させるようにすればよい。
また、毛羽立ち加飾面とは反対側のプラスチックシート面は、平坦面であるから、この面の一部或いは全部に印刷層を設けることもできる。
さらにまた、本加飾シートから組立包装ケースを作製する場合には、折り込み用の罫線を付設するのが好ましい。
また、加熱成形により毛羽立ち加飾面内に凹部又は凸部を設けることもできる。例えば圧空真空成形などすると、成形の際の延伸によってエンボス柄は消失してしまうが、毛羽立ち加飾面の筋及び起毛は消失しないことを確認している。
(用途)
本加飾シートは、透明なプラスチックシート表面に、一定方向に伸びる多数の筋を設け、且つ当該筋からプラスチックの毛を起毛させると、プラスチックシート表面の艶を消すことができ、しかも起毛によって柔らかな手触りを実現できるため、表面を和紙のような風合いと手触りに仕上げることができる。また、実際の和紙の場合には、透かして向こうが見えないが、本発明の加飾プラスチックシートの場合には、透かして向こうが見えるという特徴を備えている。また、透明なプラスチックシート表面そのままの状態に比べて、傷が目立たないという特徴も備えている。
よって、本加飾シートは、所謂クリアケースなどの包装ケースの材料として特に優れている。すなわち、本加飾シートを所望の形状に打ち抜くと共に、折り曲げ箇所に罫線を入れて包装ケース組立用プラスチックシートを形成した後、これを自動製函機等によって組み立て、商品を収納するのに適している。
ただし、このような用途に限定するものではない。
<用語の説明>
本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意であり、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であるのが好ましい」旨の意図も包含する。
一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(日本工業規格JISK6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、その厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
以下に実施例を示す。ただし、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
<評価>
次のようにして、実施例及び比較例で得られた加飾シートの評価を行った。
(手触り・風合い)
以下の基準で、手触り・風合いを評価した。
=手触り=
◎:和紙に非常に近い手触り
○:和紙に近い手触り
△:やや和紙に近い手触り
×:和紙の手触りではない(プラスチックの質感)
=風合い=
◎:和紙に非常に近い風合い
○:和紙に近い風合い
△:ややプラスチックの風合いが残る
×:和紙の風合いではない
(繊維長さ)
デジタルマイクロスコープ(キーエンス VHX−500F)にて研磨シートを50倍に拡大し、2点間距離を測定できる計測機能を利用して、起毛の長さ(最大長さ・平均長さ)を測定した。曲線状の毛羽については、複数の2点間距離をつなぎ合わせて毛羽とほぼ同形状の直線の集合体とし、その距離の和を測定した。
比較例1は研磨が浅く、研磨による毛羽が発生していないため、繊維長さの測定は行わなかった。また、比較例2及び3についても、毛羽が存在しないため、繊維長さの測定は行わなかった。
(表面粗さ)
表面状態を示すため、実施例及び比較例で得られた加飾シートについて、次のようにして表面粗さを測定した。
JIS B 0601に準拠し、(株)小坂研究所製表面粗さ測定器(SE−3F)を用い、算術平均粗さ(Ra)、十点平均粗さ(Rz)、最大高さ(最大高さと最大深さの距離)(Ry)、凹凸の平均間隔(Sm)などを測定した。
測定器の触針先端半径は2μm、荷重は30mgとし、測定長さは8mm、カットオフ波長0.8mm、波長長さ4mmで測定した。
なお、実施例8は、起毛が長く、且つ研磨が深いため、表面粗さの測定ができなかった。
(全光線透過率、拡散光線透過率、ヘーズ)
JIS K 7361に準じて日本電色工業社製積分球式濁度計「NDH−300A」により全光線透過率、拡散光線透過率、ヘーズを測定した。
(光沢度)
JIS Z 8741に準じて、入射角、受光角を60°に合わせて、フィルムの光沢度を測定した。測定には、「デジタル変角光沢計UGV−5DP型」(スガ試験機社製)を使用した。
<実施例1>
未延伸A−PETシートからなる厚さ0.3mmの基材シートを、ベルトコンベアで搬送速度:20m/minで搬送する一方、ベルトサンダー(菊川鉄工所 湿式ワイドベルトサンダー 型番T122MW)を使用して#120番の研磨布ベルトをシート搬送方向と同方向に研磨ベルト速度:1200m/minで回転させ、基材シートの片面を、前記ベルトに水をかけながら湿式研磨し、基材シートの片面を毛羽立ち加飾面に加工して加飾シート(サンプル)を得た。
<実施例2〜4>
表1に示したように、シートの搬送速度を変更した以外は、実施例1と同様に加飾シートを得た。
<実施例5〜8>
表1に示した番手の研磨布ベルトを使用した以外は、実施例5、6は実施例1と同様、実施例7は実施例2と同様、実施例8は実施例4と同様に加飾シートを得た。
<実施例9>
表1に示したように、研磨布ベルトの速度を変更した以外は、実施例3と同様に加飾シートを得た。
<比較例1>
3M社製「トライザクト」番手A6の研磨ベルトを使用して基材シート表面を研磨した以外は、実施例1と同様に加飾シートを得た。
<比較例2>
三菱化学製のA−PETシート「ノバクリアSG007」(厚み0.3mm)を、研磨しないでそのまま比較例2のサンプルとした。
<比較例3>
三菱樹脂製のエンボスポリエステルシート「ディアフィックスPG−CHI」(厚み0.1mm)を、研磨しないでそのまま比較例3のサンプルとした。
Figure 0004426634
(結果・考察)
指で触ったときに毛羽が均一に存在する場合や、深く研磨されている場合に、手触りは和紙に近い感触となることが分かった。また、プラスチックのようなギラツキ感(光沢感)や透明感がなく、外観で表面が適度に粗さを感じると和紙のような風合いとなることが分かった。
そして、起毛の長さが、これら風合いと手触りに影響することが分かった。
かかる観点から、起毛の長さは、最大長さが300μm〜12000μm、特に300μm〜8000μm、中でも特に800μm〜4200μmであるのが好ましく、平均長さとしては、200μm〜8000μm、特に500μm〜4500μm、中でも特に500μm〜2600μmであるのが好ましいと考えれる。
ベルト番手を下げる(粗く)すると起毛の長さを長くすることができることも分かった。
和紙調の風合いを表現するためには、表面粗さが影響していることが分かった。特に算術平均粗さ(Ra)、最大高さ(最大高さと最大深さの距離)(Ry)および光沢度は、本加飾シートの毛羽立ち加飾面の表面状態の特徴を示すのに重要なパラメータであることが分かった。
かかる観点から、算術平均粗さ(Ra):0.20μm〜7.0μmが好ましく、特に0.4μm〜6.0μm、中でも特に0.6μm〜5.0μmが好ましいと考えられる。
十点平均粗さ(Rz):2μm〜30μmが好ましく、特に3μm〜25μm、中でも特に8μm〜23μmが好ましいと考えられる。
最大高さ(最大高さと最大深さの距離)(Ry):2μm〜35μmが好ましく、特に4μm〜30μm、中でも特に10μm〜25μmが好ましいと考えられる。
凹凸の平均間隔(Sm):0.05μm〜0.40μmが好ましく、特に0.10μm〜0.35μm、中でも特に0.20μm〜0.32μmが好ましいと考えられる。
なお、MDに筋を設けたため、TDにはSmは測定されたが、これと直交するMDにはSmは測定されなかった。
また、TDとMDにおけるRa及びRyの比率によって筋の方向性を規定することができ、かかる比率も和紙の風合いに影響することが分かった。
かかる観点から、Ra(TD方向)/Ra(MD方向)およびRy(TD方向)/Ry(MD方向)のいずれかの値が1.0以上であるのが好ましく、特に1.2以上であるのが好ましく、中でも特に1.5以上であるのが好ましいと考えられる。
また、和紙調の風合いを表現するためには、ヘーズ、光沢度、拡散光線透過率なども影響していることが分かった。
かかる観点から、光沢度は、3〜20%が好ましく、特に5〜16%、中でも特に5〜11%が好ましいと考えられる。
ヘーズは、50〜95%が好ましく、特に60〜95%、中でも特に70〜95%が好ましいと考えられる。
全光線透過率は、60〜90%が好ましく、特に70〜85%、中でも特に75〜85%が好ましいと考えられる。
拡散光線透過率は、50〜80%が好ましく、特に55〜70%、中でも特に60〜70%が好ましいと考えられる。
<材料試験>
異なる材質の基材シートに対して、上記実施例1と同様に表面研磨を行い、起毛の様子、手触り、風合いを検討した。
詳しくは、下記材質の基材シートに対して、実施例1と同様に表面研磨を行い、実施例と同様に、手触り、風合い、繊維長さ(最大長さ、平均長さ)を測定乃至評価し、結果を表2に示した。
なお、ポリプロピレンシート(PP)のみ、番手#240番の研磨布ベルトを使用した。
(基材シート)
ポリプロピレンシート(PP):龍田化学ST−500、厚さ0.3mm、未延伸
軟質塩化ビニルシート(軟質PVC):明和グラビアMGK401、厚さ0.45mm、未延伸
二軸延伸ポリスチレンシート(OPS):三菱樹脂 サントクリア、厚さ0.25mm
ポリカーボネートシート(PC):三菱ガス化学FE−2000、厚さ0.30mm、未延伸
アクリルシート:三菱レイヨン アクリライトL、厚さ1.5mm、未延伸
A−PET:三菱化学社 ノバクリアーSG007、厚さ0.3mm、未延伸
PETG:三菱樹脂社 ディフィックス、厚さ0.1mm、未延伸
また、研磨前の基材シートの引張強度、引張伸度、引張弾性率を次のように測定した。
(引張強度及び引張伸度)
試験片を一定の速度(50mm/min)で引っ張って変形させ、変形に抵抗する力(測定荷重)と変位(標線間及びチャック間の伸び量)を測定し(JIS K 6734)、引張強度と引張伸度を同時に測定した。
(引張弾性率)
試験片を一定の速度(5mm/min)で引っ張って、応力と歪みの直線関係が成立する領域を測定し、以下計算式にて弾性率(定数)を求めた(自社法)。
引張弾性率=引張応力/引張歪み
Figure 0004426634
なお、表中、軟質PVCの繊維長さを「−」で示したのは、研磨によって起毛が発生しなかったことを意味している。
表2の結果、和紙のような風合いと手触りを実現可能な観点からすると、基材シートは引張強度(JIS K 6734)が40MPa以上である必要があり、中でも60MPa以上、その中でも特に60Mp〜80Mpの材料シートがより好ましいことが分かった。
但し、アクリルシートに関しては、引張強度が60MPa〜80MPaの範囲に入るものの、起毛の繊維長さが不足するため、和紙のような手触りや風合いを得ることが難しいことが分かっている。
また、表1と表2の結果を合わせて検討すると、和紙のような風合いと手触りを実現する観点から、起毛の長さ(平均長さ)は、200μm以上、特に500μm以上、中でも特に1000μm以上であるのが好ましいことが分かった。
また、起毛の長さ(最大長さ)は、同じく和紙のような風合いと手触りを実現する観点から、300μm以上、特に500μm以上、中でも特に800μm以上、その中でも特に2000μm以上、さらには3000μm以上であるのが好ましいことが分かった。

Claims (8)

  1. 折り曲げ箇所に罫線を備えた包装ケース組立用プラスチックシートであって、引張強度(JIS K 6734)が40MPa以上である透明なプラスチックシートの表面に、一定方向に伸びる多数の筋を有し、且つ当該筋からプラスチックの毛が起毛してなる毛羽立ち加飾面を備えた、包装ケース組立用加飾プラスチックシート。
  2. 毛羽立ち加飾面における起毛の平均長さが200μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の包装ケース組立用加飾プラスチックシート
  3. 毛羽立ち加飾面における起毛の最大長さが300μm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装ケース組立用加飾プラスチックシート
  4. 毛羽立ち加飾面におけるRa(TD方向)/Ra(MD方向)およびRy(TD方向)/Ry(MD方向)のいずれかの値が1.2以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の包装ケース組立用加飾プラスチックシート
  5. 毛羽立ち加飾面の一部に樹脂、インキ又はニスを塗布するか、或いは毛羽立ち加飾面の一部の樹脂を溶融するかして、当該毛羽立ち加飾面の筋及び起毛を消失させることによりその部分の透明度を高めて毛羽立ち加飾面内に窓部を設けてなる構成を備えた請求項1〜4の何れかに記載の包装ケース組立用加飾プラスチックシート
  6. 毛羽立ち加飾面とは反対側のプラスチックシートの面の一部或いは全部に印刷層を設けた構成を備えてなる請求項1〜5の何れかに記載の包装ケース組立用加飾プラスチックシート
  7. 加熱成形により毛羽立ち加飾面内に凹部又は凸部を設けてなる構成を備えた請求項1〜6の何れかに記載の包装ケース組立用加飾プラスチックシート
  8. 請求項1〜7の何れかに記載の包装ケース組立用加飾プラスチックシートを、罫線に沿って折り曲げて組み立ててなる包装ケース。
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