JP4426607B2 - 積層体 - Google Patents
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Description
しかしながら、これら表層用の樹脂は必ずしも耐衝撃性が十分でなく、成形品表面に衝撃が加わったときに、十分に衝撃を吸収しないために、表面が損傷したり、表面層が加飾層と剥離して意匠性が損なわれる等の不具合が生じる。
1.熱可塑性樹脂を含む基材の少なくとも片面上に、加飾層及び透明樹脂層がこの順序に積層されてなる積層体であって、
該透明樹脂層が、下記水添ゴム強化樹脂(A)及びアクリル系ゴム強化樹脂(B)から選択される透明樹脂からなり、その厚みが0.01μm〜2mmであることを特徴とする積層体(以下、「第1の態様の積層体」とも言う)。
水添ゴム強化樹脂(A):共役ジエン系ゴム質重合体の水素化物(以下、「水添ゴム」という)の存在下にアクリル系ビニル化合物またはアクリル系ビニル化合物およびアクリル系ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体(a)を重合して得られるグラフト重合体樹脂並びに該グラフト重合体樹脂にビニル単量体から選択される少なくとも1種の単量体の(共)重合体を混合したグラフト重合体樹脂組成物
アクリル系ゴム強化樹脂(B):アクリル系ゴム質重合体の存在下にアクリル系ビニル化合物またはアクリル系ビニル化合物およびアクリル系ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体(a)を重合して得られるグラフト重合体樹脂並びに該グラフト重合体樹脂にビニル単量体から選択される少なくとも1種の単量体の(共)重合体を混合したグラフト重合体樹脂組成物
2.熱可塑性樹脂を含む基材の少なくとも片面上に、透明樹脂層が積層されてなる積層体であって、
該透明樹脂層が積層している基材表面が加飾されており、かつ該透明樹脂層が上記1に記載の水添ゴム強化樹脂(A)及びアクリル系ゴム強化樹脂(B)から選択される透明樹脂からなり、その厚みが0.01μm〜2mmであることを特徴とする積層体(以下、「第2の態様の積層体」とも言う)。
まず基材について説明する。
上記添加剤は熱可塑性樹脂と溶融混合される。この溶融混合は積層体を成形する工程前に予め行っておいてもよいし、積層体を成形する工程の一部として、例えば押出機などの混練装置で上記成分を溶融混合し、得られた溶融混合物を引き続き積層工程へ供給してもよい。
基材の形状は、積層体の用途に応じて各種の形状を取ることができるが、シート状(フィルム状も含む)、さらにはシート状より厚みのある成形体でもよい。基材としては、異型押出成形により成形した成形体が好ましい。
透明樹脂層は、下記水添ゴム強化樹脂(A)及びアクリル系ゴム強化樹脂(B)から選択される透明樹脂からなる。
水添ゴム強化樹脂(A):共役ジエン系ゴム質重合体の水素化物(水添ゴム)の存在下にアクリル系ビニル化合物またはアクリル系ビニル化合物およびアクリル系ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体(a)を重合して得られるグラフト重合体樹脂並びに該グラフト重合体樹脂にビニル単量体から選択される少なくとも1種の単量体の(共)重合体を混合したグラフト重合体樹脂組成物
アクリル系ゴム強化樹脂(B):アクリル系ゴム質重合体の存在下にアクリル系ビニル化合物またはアクリル系ビニル化合物およびアクリル系ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体(a)を重合して得られるグラフト共重合体樹脂並びに該グラフト重合体樹脂にビニル単量体から選択される少なくとも1種の単量体の(共)重合体を混合したグラフト重合体樹脂組成物
これらゴム強化樹脂は、ゴム粒子がマトリックス樹脂中に分散している。
上記水添ゴム強化樹脂(A)の調製に用いられる共役ジエン系ゴム質重合体の水素化物(水添ゴム)としては、共役ジエン化合物の重合体の水素添加物、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物からなる重合体の水素添加物などが挙げられる。また、共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエンなどが挙げられ、好ましくはブタジエンである。水素添加前のジエン系重合体は、共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合体あるいはブロック共重合体、あるいはこれらの混合物、共役ジエンの単独重合体などである。なお、水添ジエン系重合体が種類の異なるジエン系重合体の混合物である場合、水素添加前に混合し、その後水素添加したものでもよく、また水添後混合してもよい。芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物の水素化ブロック共重合体には、AB型、ABA型、テーパー型、ラジカルテレブロック型の構造を有するものなどが含まれる。さらに、水素化ブタジエン系重合体は、上記ブロック共重合体のほかに、スチレンブロックとスチレン−ブタジエンランダム共重合体のブロック体の水素化物、ポリブタジエン中の1,2−ビニル結合含量が20重量%以下のブロックと1,2−ビニル結合含量が20重量%を超えるポリブタジエンブロックからなる重合体の水素化物などが含まれる。
水素添加前のジエン系重合体の数平均分子量は、好ましくは5,000〜1,000,000、さらに好ましくは30,000〜300,000である。
上記アクリル系ゴム質重合体の好ましい単量体単位の組成は、アルキル基の炭素数が1〜8である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位80〜99.99重量%(より好ましくは90〜99.5重量%)、多官能性ビニル単量体単位0.01〜5重量%(より好ましくは0.1〜2.5重量%)、及びこれと共重合可能な他のビニル単量体単位0〜20重量%(より好ましくは0〜10重量%である)である。但し、単量体組成は合計100重量%とする。
アクリル系ゴム質重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは10℃以下、より好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−10℃以下である。
上記グラフト重合体のグラフト率は、10〜150重量%の範囲にあることが、本発明の目的を達成する上で好ましい。
また、透明樹脂としての水添ゴム強化樹脂(A)及びアクリル系ゴム強化樹脂(B)のメチルエチルケトン可溶分の固有粘度(メチルエチルケトンを溶媒として30℃測定)は、好ましくは0.2〜1.5dl/g、さらに好ましくは0.3〜1dl/gである。
透明樹脂として用いられるグラフト重合体樹脂は、公知の重合法である乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合などで得ることができる。水添ゴム強化樹脂(A)を得るための好ましい重合法は、溶液重合及び塊状重合である。一方、アクリル系ゴム強化樹脂(B)を得るための好ましい重合法は、乳化重合である。透明樹脂に分散したゴム粒子の平均粒子径は、2μm以下が好ましく、さらに好ましくは1μm以下、特に好ましくは0.05〜0.5μmである。
透明樹脂層の厚みは、0.01μm〜2mmが好ましく、より好ましくは0.02μm〜1mm、特に好ましくは0.03〜0.9mmである。
加飾層は、加飾用樹脂組成物を溶融成形することにより形成することができる。加飾用樹脂組成物には、加飾の目的で薄片状粉末を含有させることが好ましい。薄片状粉末としては、具体的には、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母、アスベスト、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、グラファイトなどの薄片状の無機粉末、アルミナ、銅などの薄片状の金属粉末、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など)などの薄片状の難溶融性合成樹脂粉末などが挙げられる。
加飾用樹脂組成物に含有される薄片状粉末の種類を変えることにより、加飾層に種々の模様を発現させることができる。例えば、御影石調や大理石模様などの模様を現出するには有色無機粉末、あるいは薄片状、繊維状の難溶融性合成樹脂素材が挙げられ、またその組み合わせ方により、木目、エンボス柄などの立体的な模様を現出することができる。上記薄片状粉末は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
上記熱可塑性樹脂は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
加飾層の厚みは、外観性、耐候性、コスト等の観点から、好ましくは0.05〜2μm、より好ましくは0.1〜0.8μmである。
基材の表面が加飾された状態とするには、第1の態様の加飾層用樹脂組成物に添加される薄片状粉末を、基材に好ましくは0.05〜4重量%、より好ましくは0.1〜3重量%添加する方法、特開平11−43582号公報の木目模様の成形品等の方法が挙げられる。なかでも、特開平11−43582号公報の成形品が好ましい。
積層方法は積層体の用途によって適切な方法を選択することができる。具体的な積層方法として、基材を含めた各層を形成するための樹脂あるいは樹脂組成物を押出機から共押し出しして、各層を溶融融着して積層体を形成する方法;各層を別々に形成した後、各層を重ね合わせ加圧下に加熱する方法等が挙げられる。好ましくは押出機から2層(第2の態様の場合)あるいは3層(第1の態様の場合)を同時に共押出する方法である。
本発明の積層体は、衝撃強度、耐候性、耐薬品性に優れることから建材住設関連を中心とした幅広い用途に使用することができる。例えば、床材、壁材、天井材、扉材、タンス部材などの家具部材、各種手摺り、テーブル部材、机部材、本箱、窓枠、瓦、雨樋、デッキ材、木口材、外装材、流し台、ベッド部材、階段部材、壁パネル、額縁、鉛筆、筆、幅木、回り縁、みきり縁、椅子材、サッシ部材、パラボラアンテナ部材、竹垣、エアコンダクトカバー、浴室部材、パネル水槽部材、事務用品関連分野、車両の内・外装、OA・家電各パーツなどに使用できる。
・耐候性
積層体を下記条件のサンシャインウェザーメーター中で耐候劣化を行い、表面状態を目視評価した。
条件:ブラックパネル温度63℃、降雨サイクル18分/120分、耐候劣化時間1000時間
○:表面変化なしで、外観良好
×:表面に凸凹ができ、加飾層の意匠性が失われる
・耐衝撃度
1mの高さから重さ1kgの鉄球を垂直に落下させ、積層体の表面状態を目視評価した。
◎:○印よりさらに外観良好
○:表面変化なしで、外観良好
×:表面にクラック発生し、外観が損なわれる
・耐薬品性
積層体表面に5%塩酸を滴下し、24時間放置した後の表面状態を目視評価した。
○:表面変化なしで、外観良好
×:表面が膨潤し、外観不良
表1に示す基材層、加飾層、透明層のそれぞれの樹脂を用いて、下記条件で三層積層体を成形した。三層積層体の幅は50mm、基材層の厚さは30mm、加飾層の厚さは0.2mm、透明層の厚さは0.2mmである。
三層共押出機:基材層用は40m/m押出機、加飾層用及び透明層用はそれぞれ20m/m押出機である。
押出温度条件:
基材層:170℃(押出温度)、20rpm(スクリュウ回転数)、0.85m/分(引取速度)
加飾層:200℃(押出温度)、40rpm(スクリュウ回転数)、0.85m/分(引取速度)
透明層:220℃(押出温度)、30rpm(スクリュウ回転数)、0.85m/分(引取速度)
1.基材層の成形材料
A−1:テクノポリマー製 「ABS150」
A−2:A−1/木粉=80/20(重量部)からなる組成物
A−3:下記のB−1組成物
A−4:A−1/発泡剤(アゾジカルボン酸アミド)=99.5/0.5(重量部)からなる組成物
2.加飾層(木目模様)の成形材料
B−1:下記の組成物(I)100重量部と下記の組成物(II)6重量部とからなる組成物
組成物(I):
(a−1)組成がゴム/ST/AN=40/45/15(重量%)であり、グラフト率が40%であるABS樹脂25重量部、(a−2)ST/AN=75/25(重量%)のAS樹脂70重量部、及び(a−3)100メッシュバスの木粉5重量部からなる組成物。
組成物(II):
(b−1)組成がα−メチルスチレン/AN=73/27(重量%)のAS樹脂100重量部、(b−2)カーボンブラック1重量部、(b−3)ベンガラ10重量部、(b−4)チタンイエロー2重量部、(b−5)エチレンビスアマイド1重量部、及び(b−6)シリコーンオイル0.2重量部からなる組成物。
3.透明層の成形材料
c−1:水添ブロック共重合体ゴム30重量部の存在下に、メタクリル酸メチル50重量部、スチレン10重量部、アクリロニトリル10重量部を溶液重合して得られたグラフト率42%の透明性水添ゴム強化樹脂
c−2:n−ブチルアクリレート60重量%、1,3−ブタジエン20重量%、スチレン20重量%を乳化重合して得られたアクリル系ゴム26重量部(固形分)の存在下に、メタクリル酸メチル56重量部、アクリロニトリル7重量部、スチレン11重量部を乳化重合で得られる透明性アクリル系ゴム強化樹脂、グラフト率は35%
c−3:ポリカーボネート樹脂
c−4:メタクリル酸メチル97重量%と、メタクリル酸3重量%の共重合体
本発明の積層体は、それから得られる成形品に安定して意匠性が付与され、かつ衝撃強度、耐候性、耐薬品性に優れる。
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂を含む基材の少なくとも片面上に、加飾層及び透明樹脂層がこの順序に積層されてなる積層体であって、
該透明樹脂層が、下記アクリル系ゴム強化樹脂(B)からなる透明樹脂からなり、その厚みが0.01μm〜2mmであり、
該加飾層が、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂、AAS樹脂、ポリスチレン、スチレン−メチルメタクリレート共重合体又はスチレン−ブタジエン共重合体を含んでなり、
該基材の熱可塑性樹脂が、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、耐衝撃性ポリスチレン、AES樹脂又はAAS樹脂を含むものである、
ことを特徴とする積層体。
アクリル系ゴム強化樹脂(B):アクリル系ゴム質重合体の存在下にアクリル系ビニル化合物とスチレンを主成分とするビニル単量体(a)を重合して得られるグラフト重合体樹脂又は該グラフト重合体樹脂にビニル単量体から選択される少なくとも1種の単量体の(共)重合体を混合したグラフト重合体樹脂組成物 - 前記基材の熱可塑性樹脂がABS樹脂を含むものである請求項1に記載の積層体。
- 前記加飾層がABS樹脂を含んでなる請求項1又は2に記載の積層体。
- 熱可塑性樹脂を含む基材の少なくとも片面上に、透明樹脂層が積層されてなる積層体であって、
該透明樹脂層が積層している基材表面が加飾されており、
該透明樹脂層が、下記アクリル系ゴム強化樹脂(B)からなる透明樹脂からなり、その厚みが0.01μm〜2mmであり、
該基材の熱可塑性樹脂が、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、耐衝撃性ポリスチレン、AES樹脂又はAAS樹脂を含むものである、
ことを特徴とする積層体。
アクリル系ゴム強化樹脂(B):アクリル系ゴム質重合体の存在下にアクリル系ビニル化合物とスチレンを主成分とするビニル単量体(a)を重合して得られるグラフト重合体樹脂又は該グラフト重合体樹脂にビニル単量体から選択される少なくとも1種の単量体の(共)重合体を混合したグラフト重合体樹脂組成物 - 前記基材の熱可塑性樹脂がABS樹脂を含むものである請求項4に記載の積層体。
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