JP2004136578A - 積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】廃棄物の減少に寄与する環境に優しい積層体を提供する。
【解決手段】リサイクル樹脂を3〜80重量%含有するリサイクル樹脂組成物からなる基材の少なくとも片面上に、熱可塑性樹脂層及び熱可塑性エラストマー層の少なくともいずれかの層が積層されている積層体。
【選択図】 なし
【解決手段】リサイクル樹脂を3〜80重量%含有するリサイクル樹脂組成物からなる基材の少なくとも片面上に、熱可塑性樹脂層及び熱可塑性エラストマー層の少なくともいずれかの層が積層されている積層体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リサイクル樹脂組成物からなる基材の少なくとも片面上に、熱可塑性樹脂層及び熱可塑性エラストマー層の少なくともいずれかの層が積層されている積層体に関する。別の観点からすれば、本発明は、廃棄物の減少に寄与する積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、樹脂基材に異種の樹脂層あるいはエラストマー層を積層して積層体とし、異なった機能を有する層を組み合わせて所望の機能を発現する複合体を形成することが行われてきた。
一方、廃棄物の増加に伴う地球環境の悪化を防止することが緊急の課題として認識され、廃棄物の減少が望まれている。樹脂の分野においても、一度の使用で燃焼処理するのではなく、繰り返し使用して廃棄物を減少することが要請されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、廃棄物の減少に寄与する環境に優しい積層体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、リサイクル樹脂を3〜80重量%含有するリサイクル樹脂組成物からなる基材の少なくとも片面上に、熱可塑性樹脂層及び熱可塑性エラストマー層の少なくともいずれかの層が積層されていることを特徴とする積層体が提供されて、本発明の上記目的が達成される。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の積層体についてより詳細に説明する。
まず基材について説明する。
本発明の積層体の基材は、リサイクル樹脂組成物からなる。リサイクル樹脂組成物に含有されるリサイクル樹脂の含有量は、3〜80重量%、好ましくは5〜75重量%、さらに好ましくは5〜70重量%である。リサイクル樹脂量が3重量%未満であるとリサイクル樹脂を用いることの利点が得られず、一方80重量%を超えると耐衝撃性が低下する。リサイクル樹脂組成物に用いられるリサイクル樹脂は、容器、フィルム、家電製品、工業製品、建築部材等の部品などのありとあらゆる成形品からリサイクルされたリサイクル樹脂、成形中に発生したリプロなどの屑からのリサイクル樹脂を包含する。また、リサイクル樹脂としては、熱可塑性樹脂および熱硬化樹脂のいずれでも良い。
【0006】
リサイクル樹脂及びリサイクル樹脂と併用するリサイクル品でない樹脂(以下、「未リサイクル樹脂」という)としての熱可塑性樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、EVA、EVOH、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリカーボネート/ABSアロイなどが挙げられる。好ましい熱可塑性樹脂は、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、AS樹脂、ABS樹脂、耐衝撃性ポリスチレン、AES樹脂、ASA樹脂、ポリエステルであり、特に好ましくはゴム強化スチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ゴム強化スチレン系樹脂とポリエステルとのアロイである。
【0007】
上記熱可塑性樹脂に、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラスビーズ、ワラストナイト、ガラスのミルドファイバー、ロックフィラー、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、カオリン、硫酸バリウム、黒鉛、木粉、二硫化モリブデン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、ガラスバルーン、セラミックバルーンなどの充填材を1種単独であるいは組み合わせて使用することができる。これらの充填材のうちガラス繊維、炭素繊維の形状としては、6〜60μmの繊維径と30μm以上の繊維長を有するものが好ましい。これらの充填材は、上記熱可塑性樹脂100重量部に対して、通常1〜200重量部、好ましくは5〜30重量部の範囲で用いられる。上記充填材の中で特に好ましいものは、タルク、炭酸カルシウム、木粉である。ここで使用される木粉としては、樹木の種類を特に限定するものではないが、例えばエゾマツ、トドマツ、カラマツなどのマツ類、ツガ、サクラ、スギ、ナラ、ヒノキ、シナノキ、ブナ、ラワン、モミなどが挙げられる。また、間伐材の木粉も用いることができる。木粉は好ましくは50メッシュ以上、さらに好ましくは40メッシュ以上である。また、これらの原木を裁断し製材する際に発生するノコくずやおがくずおよび細片などを粉砕したものが一般に使用される。また例えば紙、パルプ、もみがら、竹、バンガラ、とうもろこし、さとうきび、わら等の粉末も含まれる。これらの粉末は通常50メッシュ以上、好ましくは40メッシュ以上の粉末にしたものが使用される。
【0008】
熱可塑性樹脂には、上記充填材以外に、必要に応じて酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、難燃剤、難燃助剤などの通常熱可塑性樹脂に添加される添加剤を添加してもよい。
上記添加剤は熱可塑性樹脂と溶融混合される。この溶融混合は積層体を成形する工程前に予め行っておいてもよいし、積層体を成形する工程の一部として、例えば押出機などの混練装置で上記成分を溶融混合し、得られた溶融混合物を引き続き積層工程へ供給してもよい。
【0009】
上記基材は、熱可塑性樹脂に発泡剤を添加した発泡成形体でもよい。発泡倍率は、好ましくは1.05〜3.0倍、さらに好ましくは1.2〜2.0倍である。
【0010】
リサイクル樹脂、未リサイクル樹脂としての熱硬化樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
リサイクル樹脂としての熱硬化樹脂は硬化して熱可塑性でないので、機械粉砕して粒子状となし、充填材として熱可塑性樹脂あるいは未リサイクル樹脂としての未硬化の熱硬化樹脂に配合されて、基材に成形される。この際、熱可塑性樹脂はリサイクル品であっても、無くてもよい。該粒子の熱可塑性樹脂あるいは未リサイクル樹脂としての未硬化の熱硬化樹脂への配合量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1〜70重量部が好ましい。
【0011】
上記リサイクル樹脂は、必要に応じて酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、充填剤などの通常熱可塑性樹脂に添加される添加剤を含有することができる。
【0012】
リサイクル樹脂と未リサイクル樹脂との配合において、リサイクル樹脂と未リサイクル樹脂は同じ樹脂であってもよく、また異なってもよい。好ましくい組み合わせは、互いに相溶性のある樹脂である。
基材の形状は、積層体の用途に応じて各種の形状を取ることができるが、シート状(フィルム状も含む)、さらにはシート状より厚みのある成形体でもよい。基材としては、異型押出成形により成形した成形体が好ましい。
【0013】
本発明の積層体は、リサイクル樹脂組成物からなる基材の片面上あるいは両面に、熱可塑性樹脂層及び熱可塑性エラストマー層の少なくともいずれかの層が積層されている。即ち、熱可塑性樹脂層及び熱可塑性エラストマー層は、いずれかの層のみが積層されていても良いし、両方の層が積層されていても良い。また、これらの層のいずれかあるいは両者が2層以上積層されていても良い。
基材に積層される熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂としては、基材に用いられるリサイクル熱可塑性樹脂の熱可塑性樹脂として例示した熱可塑性樹脂が挙げられる。
基材に積層される熱可塑性エラストマー層を構成する熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、1,2−ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系、部分架橋系、等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。なかでも、スチレン系やポリ塩化ビニル系の熱可塑性エラストマーが好ましい。
【0014】
以下、上記の熱可塑性樹脂層と熱可塑性エラストマー層を総称して、表層という。表層は一層であっても、二層以上で構成されていてもよい。
【0015】
本発明の好ましい態様として、基材に積層する層を熱可塑性樹脂層からなる透明樹脂層とし、
(イ)基材と透明樹脂層の間に加飾層を設けるか、あるいは
(ロ)基材表面そのものを加飾された状態とし、積層体の意匠性を向上させた態様が挙げられる。
尚、加飾層に熱可塑性樹脂を用いている場合は、該加飾層は表層に含まれる。
以下この態様について説明する。
透明樹脂層は、下記水添ゴム強化樹脂(A)及びアクリル系ゴム強化樹脂(B)から選択される透明樹脂からなることが好ましい。
水添ゴム強化樹脂(A):共役ジエン系ゴム質重合体の水素化物(水添ゴム)の存在下にアクリル系ビニル化合物またはアクリル系ビニル化合物およびアクリル系ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を重合して得られるグラフト重合体樹脂並びに該グラフト重合体樹脂にビニル単量体から選択される少なくとも1種の単量体の(共)重合体を混合したグラフト重合体樹脂組成物。
アクリル系ゴム強化樹脂(B):アクリル系ゴム質重合体の存在下にアクリル系ビニル化合物またはアクリル系ビニル化合物およびアクリル系ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を重合して得られるグラフト共重合体樹脂並びに該グラフト重合体樹脂にビニル単量体から選択される少なくとも1種の単量体の(共)重合体を混合したグラフト重合体樹脂組成物。
【0016】
上記水添ゴム強化樹脂(A)、アクリル系ゴム強化樹脂(B)について説明する。
これらゴム強化樹脂は、ゴム粒子がマトリックス樹脂中に分散している。
上記水添ゴム強化樹脂(A)の調製に用いられる共役ジエン系ゴム質重合体の水素化物(水添ゴム)としては、共役ジエン化合物の重合体の水素添加物、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物からなる重合体の水素添加物などが挙げられる。また、上記共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエンなどが挙げられ、好ましくはブタジエンである。水素添加前のジエン系重合体は、共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合体あるいはブロック共重合体、あるいはこれらの混合物、共役ジエンの単独重合体などである。なお、水添ジエン系重合体が種類の異なるジエン系重合体の混合物である場合、水素添加前に混合し、その後水素添加したものでもよく、また水添後混合してもよい。芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物の水素化ブロック共重合体には、AB型、ABA型、テーパー型、ラジカルテレブロック型の構造を有するものなどが含まれる。さらに、水素化ブタジエン系重合体は、上記ブロック共重合体のほかに、スチレンブロックとスチレン−ブタジエンランダム共重合体のブロック体の水素化物、ポリブタジエン中の1,2−ビニル結合含量が20重量%以下のブロックと1,2−ビニル結合含量が20重量%を超えるポリブタジエンブロックからなる重合体の水素化物などが含まれる。
水素添加前のジエン系重合体の数平均分子量は、好ましくは5,000〜1,000,000、さらに好ましくは30,000〜300,000である。
【0017】
上記アクリル系ゴム強化樹脂(B)の調製に用いられるアクリル系ゴム質重合体としては、アルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の(共)重合体、あるいはこの(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル系単量体との共重合体などが挙げられる。
【0018】
アルキル基の炭素数が1〜8のアクリル酸アルキルエステル単量体としては、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが好ましい。また、これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
また、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と共重合可能なビニル系単量体としては、例えば、多官能性ビニル単量体、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体等が挙げられる。
上記アクリル系ゴム質重合体の好ましい単量体単位の組成は、アルキル基の炭素数が1〜8である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位80〜99.99重量%(より好ましくは90〜99.5重量%)、多官能性ビニル単量体単位0.01〜5重量%(より好ましくは0.1〜2.5重量%)、及びこれと共重合可能な他のビニル単量体単位0〜20重量%(より好ましくは0〜10重量%である)である。但し、単量体組成は合計100重量%とする。
アクリル系ゴム質重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは10℃以下、より好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−10℃以下である。
【0020】
上記の共役ジエン系ゴム質重合体の水素化物の存在下、または上記のアクリル系ゴム質重合体の存在下で使用されるアクリル系ビニル化合物およびアクリル系ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては、以下のものが挙げられる。
上記アクリル系ビニル化合物としては、メチルメタクリレートが好ましい。
上記他のビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、などの芳香族ビニル化合物;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和酸無水物;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和酸;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物;グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有不飽和化合物;アクリルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和カルボン酸アミド;アクリルアミン、メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸アミノエーテル、メタクリル酸アミノプロピル、アミノスチレンなどのアミノ基含有不飽和化合物;3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシスチレンなどの水酸基含有不飽和化合物;ビニルオキサゾリンなどのオキサゾリン基含有不飽和化合物などが挙げられる。なかでも、好ましい他のビニル単量体としてスチレン及びアクリロニトリルが挙げられる。
【0021】
特に好ましい透明樹脂は、共役ジエン化合物とスチレンからなる共重合体の水素化物またはアクリル系ゴム質重合体に、メタクリル酸メチルとスチレンを主成分とする単量体をグラフト重合したグラフト重合体樹脂またはこのグラフト重合樹脂と、メタクリル酸メチル単独重合体またはメタクリル酸メチルと他のビニル単量体(例えば、スチレン、アクリロニトリル、マレイミド系単量体から選ばれた少なくとも1種)の(共)重合体との混合物(グラフト重合体樹脂組成物)である。
【0022】
グラフト共重合体樹脂に混合されるビニル単量体の(共)重合体について説明する。ビニル単量体としては、上記したアクリル系ビニル化合物、ビニル単量体が挙げられ、これらの中から選ばれた少なくとも1種の単量体の(共)重合体である。好ましくは添加することで透明性を著しく低下させない(共)重合体である。(共)重合体として、好ましくはメタクリル酸エステルの重合体、メタクリル酸エステルとスチレン及び/又はアクリロニトリルとの共重合体が挙げられる。
【0023】
本発明で用いられる透明樹脂中のゴム量は、2〜50重量%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは5〜30重量%である。また本発明の目的を達成する上から、透明樹脂としてはゴムは共役ジエン系ゴム質重合体の水素化物を用いた水添ゴム強化樹脂(A)の方が好ましい。
【0024】
透明樹脂としての水添ゴム強化系樹脂(A)及びアクリル系ゴム強化樹脂(B)におけるグラフト重合体樹脂は、ゴムに単量体の(共)重合鎖が結合したグラフト重合体とゴムに結合していない単量体の(共)重合体との混合物である。
上記グラフト重合体のグラフト率は、10〜150重量%の範囲にあることが、本発明の目的を達成する上で好ましい。
また、透明樹脂としての水添ゴム強化樹脂(A)及びアクリル系ゴム強化樹脂(B)のメチルエチルケトン可溶分の固有粘度(メチルエチルケトンを溶媒として30℃測定)は、好ましくは0.2〜1.5dl/g、さらに好ましくは0.3〜1dl/gである。
透明樹脂として用いられるグラフト重合体樹脂は、公知の重合法である乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合などで得ることができる。水添ゴム強化樹脂(A)を得るための好ましい重合法は、溶液重合及び塊状重合である。一方、アクリル系ゴム強化樹脂(B)を得るための好ましい重合法は、乳化重合である。透明樹脂に分散したゴム粒子の平均粒子径は、2μm以下が好ましく、さらに好ましくは1μm以下、特に好ましくは0.05〜0.5μmである。
【0025】
また、水添ゴム強化樹脂(A)及びアクリル系ゴム強化樹脂(B)を透明とするには、これら樹脂に分散しているゴム粒子の屈折率とゴム粒子が分散しているマトリックス樹脂の屈折率を一致させるか、あるいは近似するように、ゴムと単量体との組み合わせを適切に選択することにより可能である。
【0026】
透明樹脂は、必要に応じて酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤などの通常熱可塑性樹脂に添加される添加剤を透明性を損なわない範囲で含有してもよい。本発明の透明樹脂層の透明とは、本発明の積層体において、透明樹脂層の下に位置する加飾層の加飾部分あるいは基材の加飾処理された部分が目視で見える状態を言う。
透明樹脂層の厚みは、0.01μm〜2mmが好ましく、より好ましくは0.02μm〜1mm、特に好ましくは0.03〜0.9mmである。
【0027】
基材の片面あるいは両面と透明樹脂層との間に加飾層が設ける場合、この加飾層により、本発明の積層体に意匠性が付与される。
加飾層は、加飾用樹脂組成物を溶融成形することにより形成することができる。加飾用樹脂組成物には、加飾の目的で薄片状粉末を含有させることが好ましい。薄片状粉末としては、具体的には、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母、アスベスト、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、グラファイトなどの薄片状の無機粉末、アルミナ、銅などの薄片状の金属粉末、熱硬化樹脂(エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など)などの薄片状の難溶融性合成樹脂粉末などが挙げられる。加飾用樹脂組成物に含有される薄片状粉末の種類を変えることにより、加飾層に種々の模様を発現させることができる。例えば、御影石調や大理石模様などの模様を現出するには有色無機粉末、あるいは薄片状、繊維状の難溶融性合成樹脂素材が挙げられ、またその組み合わせ方により、木目、エンボス柄などの立体的な模様を現出することができる。上記薄片状粉末は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0028】
上記薄片状粉末の粒径(重量平均粒径)は、好ましくは50〜1,800μm、より好ましくは150〜1,700μmである。50μm未満の場合には、積層体表面部に模様が十分に現出せず、成形上のトラブルが発生することがある。
【0029】
薄片状粉末の配合量は、加飾用樹脂組成物中に、通常0.05〜4重量%、好ましくは0.1〜3重量%である。0.05重量%未満の場合には、加飾層表面に所望の模様が得難く、一方、5重量%を超えると、加飾層が基材から剥離しやすくなるだけでなく、加飾用樹脂組成物のペレット化が困難となる。
【0030】
加飾用樹脂組成物に含有される熱可塑性樹脂としては、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂、AAS樹脂などのゴム強化樹脂、ポリスチレン、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレンの重合体および共重合体などのポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体などのメタクリル酸エステルの重合体および共重合体などのアクリル系樹脂などが挙げられる。好ましくは、メルトインデックス(200℃、5kg荷重)2〜30g/10分のポリスチレン系樹脂または同メルトインデックス1〜10g/10分のアクリル系樹脂であり、特に好ましくはポリスチレン系樹脂及びメチルメタクリレート−スチレン系共重合樹脂である。
上記熱可塑性樹脂は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0031】
他の加飾用樹脂組成物としては、例えば特開平11−43582号公報の木目模様を呈する樹脂組成物が挙げられる。
加飾層の厚みは、外観性、耐候性、コスト等の観点から、好ましくは0.05〜2mm、より好ましくは0.1〜0.8mmである。
【0032】
加飾層を設けない場合には、基材の片面あるいは両面が加飾されており、加飾された表面に透明樹脂層が積層される。
基材の表面が加飾された状態とするには、前記した加飾層用樹脂組成物に添加される薄片状粉末を、基材に好ましくは0.05〜4重量%、より好ましくは0.1〜3重量%添加する方法、特開平11−43582号公報の木目模様の成形品等の方法が挙げられる。なかでも、特開平11−43582号公報の成形品が好ましい。
以上、基材に透明樹脂層を積層して、加飾の手段により意匠性を向上させる態様を説明した。
【0033】
本発明の積層体は、基材に熱可塑性樹脂層または熱可塑性エラストマー層からなる表層、さらには所望によりこれらの中間に加飾層を積層することにより、形成することができる。
積層方法は積層体の用途によって適切な方法を選択することができる。具体的な積層方法として、基材を含めた各層を形成するための樹脂あるいは樹脂組成物を押出機から共押し出しして、各層を溶融融着して積層体を形成する方法;各層を別々に形成した後、各層を重ね合わせ加圧下に加熱する方法等が挙げられる。好ましくは押出機から2層あるいは3層(加飾層を設ける場合)を同時に共押出する方法である。
【0034】
本発明の積層体は、基材がリサイクル樹脂組成物から形成されているため、廃棄物の減少に寄与し、しかもリサイクル品でない新しい未リサイクル樹脂を用いた積層体と同等な性能示す。
また、透明樹脂を基材に積層し、かつ加飾を施した態様では、積層体それ自体で透明樹脂層を通して表面に大理石などの模様や木目やエンボス調などの模様が現れ、しかも衝撃強度、耐候性、耐薬品性などに優れているので、タイル、木材、金属板、石材などの代替品として種々の分野で使用することができる。即ち、この場合の本発明の積層体は、衝撃強度、耐候性、耐薬品性に優れることから建材住設関連を中心とした幅広い用途に使用することができる。例えば、床材、壁材、天井材、扉材、タンス部材などの家具部材、各種手摺り、テーブル部材、机部材、本箱、窓枠、瓦、雨樋、デッキ材、木口材、外装材、流し台、ベッド部材、階段部材、壁パネル、額縁、鉛筆、筆、幅木、回り縁、みきり縁、椅子材、サッシ部材、パラボラアンテナ部材、竹垣、エアコンダクトカバー、浴室部材、パネル水槽部材、事務用品関連分野、車両の内・外装、OA・家電各パーツなどに使用できる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、実施例に本発明が限定されることはいささかもない。
【0036】
〔実施例中の評価方法〕
・耐候性
積層体を下記条件のサンシャインウェザーメーター中で耐候劣化を行い、表面状態を目視評価した。
条件:ブラックパネル温度63℃、降雨サイクル18分/120分、耐候劣化時間1000時間
○:表面変化なしで、外観良好
×:表面に凸凹ができ、加飾層の意匠性が失われる
・耐衝撃度
1mの高さから重さ1kgの鉄球を垂直に落下させ、積層体の表面状態を目視評価した。
◎:○印より若干外観良好
○:表面変化なしで、外観良好
×:表面にクラック発生し、外観が損なわれる
・耐薬品性
積層体表面に5%塩酸を滴下し、24時間放置した後の表面状態を目視評価した。
○:表面変化なしで、外観良好
×:表面が膨潤し、外観不良
【0037】
〔積層体の成形方法〕
(その1)
表1に示す基材層、表層のそれぞれの樹脂を用いて、下記条件で基材層/表層1/表層2の構成からなる三層積層体を成形した。三層積層体の幅は50mm、基材層の厚さは30mm、表層1の厚さは0.2mm、表層2の厚さは0.2mmである。
三層共押出機:基材層用は40m/m押出機、加飾層用及び透明層用はそれぞれ20m/m押出機である。
押出温度条件:
基材層:170℃(押出温度)、20rpm(スクリュウ回転数)、0.85m/分(引取速度)
表層1:200℃(押出温度)、40rpm(スクリュウ回転数)、0.85m/分(引取速度)
表層2:220℃(押出温度)、30rpm(スクリュウ回転数)、0.85m/分(引取速度)
【0038】
(その2)
上記その1の成形方法で表層1を省略して、基材層と表層からなる二層積層体を成形した。
【0039】
〔成形材料の説明〕
1.基材層の成形材料
A−1:信越ポリマー(株)製 塩化ビニル樹脂
A−2:A&Mスチレン(株)製、ポリスチレン
A−3:日本ポリケム(株)製、ポリプロピレン
A−4:A−3/不飽和ポリエステル=99/1(重量比)からなる組成物
A−5:テクノポリマー製 ABS150
A−6:A−1/木粉=80/20(重量比)からなる組成物
A−7:A−1 50重量部とA−1成形品のリサイクル樹脂50重量部から なる樹脂組成物
A−8:A−2 50重量部とA−2成形品のリサイクル樹脂50重量部から なる樹脂組成物
A−9:A−3 70重量部とA−3成形品のリサイクル樹脂30重量部から なる樹脂組成物
A−10:A−4 70重量部とA−4成形品のリサイクル樹脂30重量部か らなる樹脂組成物
A−11:A−5 40重量部とA−5成形品のリサイクル樹脂60重量部か らなる樹脂組成物
A−12:A−6 70重量部とA−6成形品のリサイクル樹脂30重量部か らなる樹脂組成物
A−13:A−2 10重量部とA−2成形品のリサイクル樹脂90重量部か らなる樹脂組成物
A−14:A−3 10重量部とA−3成形品のリサイクル樹脂90重量部か らなる樹脂組成物
【0040】
2.表層の成形材料
B−1:下記の組成物(I)100重量部と下記の組成物(II)6重量部とからなる組成物
組成物(I):
(a−1)組成がゴム/ST/AN=40/45/15(重量%)であり、グラフト率が40%であるABS樹脂25重量部、(a−2)ST/AN=75/25(重量%)のAS樹脂70重量部、及び(a−3)100メッシュバスの木粉5重量部からなる組成物。
組成物(II):
(b−1)組成がα−メチルスチレン/AN=73/27(重量%)のAS樹脂100重量部、(b−2)カーボンブラック1重量部、(b−3)ベンガラ10重量部、(b−4)チタンイエロー2重量部、(b−5)エチレンビスアマイド1重量部、及び(b−6)シリコーンオイル0.2重量部からなる組成物。
B−2:水添ブロック共重合体ゴム30重量部の存在下に、メタクリル酸メチル50重量部、スチレン10重量部、アクリロニトリル10重量部を溶液重合して得られたグラフト率42%の透明性水添ゴム強化樹脂
B−3:n−ブチルアクリレート60重量%、1,3−ブタジエン20重量%、スチレン20重量%を乳化重合して得られたアクリル系ゴム26重量部(固形分)の存在下に、メタクリル酸メチル56重量部、アクリロニトリル7重量部、スチレン11重量部を乳化重合で得られる透明性アクリル系ゴム強化樹脂、グラフト率は35%
B−4(熱可塑性エラストマー):(株)クラレ製 セプトン
B−5(熱可塑性エラストマー):(株)三菱化学MKV製 サンプレン
B−6:上記のA−1である。
【0041】
【表1】
【0042】
なお、表1において、括弧内の評価結果は基材層にリサイクル樹脂を全く使用しなかった積層体に関する評価結果である。
上記表1に示される結果から、以下のことが明かである。
実施例1〜7の基材にリサイクル品を用いた本発明の積層体は、基材層として、リサイクル樹脂未混入の積層体に比べほぼ同等の性能を有している。
一方、比較例1、2は基材層の樹脂中のリサイクル樹脂の含有量が本発明の範囲を超えており、耐衝撃性に劣る。
【0043】
【発明の効果】
本発明の積層体は、基材にリサイクル材料を用いているので、廃棄物量の減少に寄与し、しかもその特性において劣る処がない。
【発明の属する技術分野】
本発明は、リサイクル樹脂組成物からなる基材の少なくとも片面上に、熱可塑性樹脂層及び熱可塑性エラストマー層の少なくともいずれかの層が積層されている積層体に関する。別の観点からすれば、本発明は、廃棄物の減少に寄与する積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、樹脂基材に異種の樹脂層あるいはエラストマー層を積層して積層体とし、異なった機能を有する層を組み合わせて所望の機能を発現する複合体を形成することが行われてきた。
一方、廃棄物の増加に伴う地球環境の悪化を防止することが緊急の課題として認識され、廃棄物の減少が望まれている。樹脂の分野においても、一度の使用で燃焼処理するのではなく、繰り返し使用して廃棄物を減少することが要請されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、廃棄物の減少に寄与する環境に優しい積層体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、リサイクル樹脂を3〜80重量%含有するリサイクル樹脂組成物からなる基材の少なくとも片面上に、熱可塑性樹脂層及び熱可塑性エラストマー層の少なくともいずれかの層が積層されていることを特徴とする積層体が提供されて、本発明の上記目的が達成される。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の積層体についてより詳細に説明する。
まず基材について説明する。
本発明の積層体の基材は、リサイクル樹脂組成物からなる。リサイクル樹脂組成物に含有されるリサイクル樹脂の含有量は、3〜80重量%、好ましくは5〜75重量%、さらに好ましくは5〜70重量%である。リサイクル樹脂量が3重量%未満であるとリサイクル樹脂を用いることの利点が得られず、一方80重量%を超えると耐衝撃性が低下する。リサイクル樹脂組成物に用いられるリサイクル樹脂は、容器、フィルム、家電製品、工業製品、建築部材等の部品などのありとあらゆる成形品からリサイクルされたリサイクル樹脂、成形中に発生したリプロなどの屑からのリサイクル樹脂を包含する。また、リサイクル樹脂としては、熱可塑性樹脂および熱硬化樹脂のいずれでも良い。
【0006】
リサイクル樹脂及びリサイクル樹脂と併用するリサイクル品でない樹脂(以下、「未リサイクル樹脂」という)としての熱可塑性樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、EVA、EVOH、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリカーボネート/ABSアロイなどが挙げられる。好ましい熱可塑性樹脂は、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、AS樹脂、ABS樹脂、耐衝撃性ポリスチレン、AES樹脂、ASA樹脂、ポリエステルであり、特に好ましくはゴム強化スチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ゴム強化スチレン系樹脂とポリエステルとのアロイである。
【0007】
上記熱可塑性樹脂に、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラスビーズ、ワラストナイト、ガラスのミルドファイバー、ロックフィラー、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、カオリン、硫酸バリウム、黒鉛、木粉、二硫化モリブデン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、ガラスバルーン、セラミックバルーンなどの充填材を1種単独であるいは組み合わせて使用することができる。これらの充填材のうちガラス繊維、炭素繊維の形状としては、6〜60μmの繊維径と30μm以上の繊維長を有するものが好ましい。これらの充填材は、上記熱可塑性樹脂100重量部に対して、通常1〜200重量部、好ましくは5〜30重量部の範囲で用いられる。上記充填材の中で特に好ましいものは、タルク、炭酸カルシウム、木粉である。ここで使用される木粉としては、樹木の種類を特に限定するものではないが、例えばエゾマツ、トドマツ、カラマツなどのマツ類、ツガ、サクラ、スギ、ナラ、ヒノキ、シナノキ、ブナ、ラワン、モミなどが挙げられる。また、間伐材の木粉も用いることができる。木粉は好ましくは50メッシュ以上、さらに好ましくは40メッシュ以上である。また、これらの原木を裁断し製材する際に発生するノコくずやおがくずおよび細片などを粉砕したものが一般に使用される。また例えば紙、パルプ、もみがら、竹、バンガラ、とうもろこし、さとうきび、わら等の粉末も含まれる。これらの粉末は通常50メッシュ以上、好ましくは40メッシュ以上の粉末にしたものが使用される。
【0008】
熱可塑性樹脂には、上記充填材以外に、必要に応じて酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、難燃剤、難燃助剤などの通常熱可塑性樹脂に添加される添加剤を添加してもよい。
上記添加剤は熱可塑性樹脂と溶融混合される。この溶融混合は積層体を成形する工程前に予め行っておいてもよいし、積層体を成形する工程の一部として、例えば押出機などの混練装置で上記成分を溶融混合し、得られた溶融混合物を引き続き積層工程へ供給してもよい。
【0009】
上記基材は、熱可塑性樹脂に発泡剤を添加した発泡成形体でもよい。発泡倍率は、好ましくは1.05〜3.0倍、さらに好ましくは1.2〜2.0倍である。
【0010】
リサイクル樹脂、未リサイクル樹脂としての熱硬化樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
リサイクル樹脂としての熱硬化樹脂は硬化して熱可塑性でないので、機械粉砕して粒子状となし、充填材として熱可塑性樹脂あるいは未リサイクル樹脂としての未硬化の熱硬化樹脂に配合されて、基材に成形される。この際、熱可塑性樹脂はリサイクル品であっても、無くてもよい。該粒子の熱可塑性樹脂あるいは未リサイクル樹脂としての未硬化の熱硬化樹脂への配合量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1〜70重量部が好ましい。
【0011】
上記リサイクル樹脂は、必要に応じて酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、充填剤などの通常熱可塑性樹脂に添加される添加剤を含有することができる。
【0012】
リサイクル樹脂と未リサイクル樹脂との配合において、リサイクル樹脂と未リサイクル樹脂は同じ樹脂であってもよく、また異なってもよい。好ましくい組み合わせは、互いに相溶性のある樹脂である。
基材の形状は、積層体の用途に応じて各種の形状を取ることができるが、シート状(フィルム状も含む)、さらにはシート状より厚みのある成形体でもよい。基材としては、異型押出成形により成形した成形体が好ましい。
【0013】
本発明の積層体は、リサイクル樹脂組成物からなる基材の片面上あるいは両面に、熱可塑性樹脂層及び熱可塑性エラストマー層の少なくともいずれかの層が積層されている。即ち、熱可塑性樹脂層及び熱可塑性エラストマー層は、いずれかの層のみが積層されていても良いし、両方の層が積層されていても良い。また、これらの層のいずれかあるいは両者が2層以上積層されていても良い。
基材に積層される熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂としては、基材に用いられるリサイクル熱可塑性樹脂の熱可塑性樹脂として例示した熱可塑性樹脂が挙げられる。
基材に積層される熱可塑性エラストマー層を構成する熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、1,2−ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系、部分架橋系、等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。なかでも、スチレン系やポリ塩化ビニル系の熱可塑性エラストマーが好ましい。
【0014】
以下、上記の熱可塑性樹脂層と熱可塑性エラストマー層を総称して、表層という。表層は一層であっても、二層以上で構成されていてもよい。
【0015】
本発明の好ましい態様として、基材に積層する層を熱可塑性樹脂層からなる透明樹脂層とし、
(イ)基材と透明樹脂層の間に加飾層を設けるか、あるいは
(ロ)基材表面そのものを加飾された状態とし、積層体の意匠性を向上させた態様が挙げられる。
尚、加飾層に熱可塑性樹脂を用いている場合は、該加飾層は表層に含まれる。
以下この態様について説明する。
透明樹脂層は、下記水添ゴム強化樹脂(A)及びアクリル系ゴム強化樹脂(B)から選択される透明樹脂からなることが好ましい。
水添ゴム強化樹脂(A):共役ジエン系ゴム質重合体の水素化物(水添ゴム)の存在下にアクリル系ビニル化合物またはアクリル系ビニル化合物およびアクリル系ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を重合して得られるグラフト重合体樹脂並びに該グラフト重合体樹脂にビニル単量体から選択される少なくとも1種の単量体の(共)重合体を混合したグラフト重合体樹脂組成物。
アクリル系ゴム強化樹脂(B):アクリル系ゴム質重合体の存在下にアクリル系ビニル化合物またはアクリル系ビニル化合物およびアクリル系ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を重合して得られるグラフト共重合体樹脂並びに該グラフト重合体樹脂にビニル単量体から選択される少なくとも1種の単量体の(共)重合体を混合したグラフト重合体樹脂組成物。
【0016】
上記水添ゴム強化樹脂(A)、アクリル系ゴム強化樹脂(B)について説明する。
これらゴム強化樹脂は、ゴム粒子がマトリックス樹脂中に分散している。
上記水添ゴム強化樹脂(A)の調製に用いられる共役ジエン系ゴム質重合体の水素化物(水添ゴム)としては、共役ジエン化合物の重合体の水素添加物、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物からなる重合体の水素添加物などが挙げられる。また、上記共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエンなどが挙げられ、好ましくはブタジエンである。水素添加前のジエン系重合体は、共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合体あるいはブロック共重合体、あるいはこれらの混合物、共役ジエンの単独重合体などである。なお、水添ジエン系重合体が種類の異なるジエン系重合体の混合物である場合、水素添加前に混合し、その後水素添加したものでもよく、また水添後混合してもよい。芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物の水素化ブロック共重合体には、AB型、ABA型、テーパー型、ラジカルテレブロック型の構造を有するものなどが含まれる。さらに、水素化ブタジエン系重合体は、上記ブロック共重合体のほかに、スチレンブロックとスチレン−ブタジエンランダム共重合体のブロック体の水素化物、ポリブタジエン中の1,2−ビニル結合含量が20重量%以下のブロックと1,2−ビニル結合含量が20重量%を超えるポリブタジエンブロックからなる重合体の水素化物などが含まれる。
水素添加前のジエン系重合体の数平均分子量は、好ましくは5,000〜1,000,000、さらに好ましくは30,000〜300,000である。
【0017】
上記アクリル系ゴム強化樹脂(B)の調製に用いられるアクリル系ゴム質重合体としては、アルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の(共)重合体、あるいはこの(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル系単量体との共重合体などが挙げられる。
【0018】
アルキル基の炭素数が1〜8のアクリル酸アルキルエステル単量体としては、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが好ましい。また、これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
また、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と共重合可能なビニル系単量体としては、例えば、多官能性ビニル単量体、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体等が挙げられる。
上記アクリル系ゴム質重合体の好ましい単量体単位の組成は、アルキル基の炭素数が1〜8である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位80〜99.99重量%(より好ましくは90〜99.5重量%)、多官能性ビニル単量体単位0.01〜5重量%(より好ましくは0.1〜2.5重量%)、及びこれと共重合可能な他のビニル単量体単位0〜20重量%(より好ましくは0〜10重量%である)である。但し、単量体組成は合計100重量%とする。
アクリル系ゴム質重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは10℃以下、より好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−10℃以下である。
【0020】
上記の共役ジエン系ゴム質重合体の水素化物の存在下、または上記のアクリル系ゴム質重合体の存在下で使用されるアクリル系ビニル化合物およびアクリル系ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては、以下のものが挙げられる。
上記アクリル系ビニル化合物としては、メチルメタクリレートが好ましい。
上記他のビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、などの芳香族ビニル化合物;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和酸無水物;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和酸;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物;グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有不飽和化合物;アクリルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和カルボン酸アミド;アクリルアミン、メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸アミノエーテル、メタクリル酸アミノプロピル、アミノスチレンなどのアミノ基含有不飽和化合物;3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシスチレンなどの水酸基含有不飽和化合物;ビニルオキサゾリンなどのオキサゾリン基含有不飽和化合物などが挙げられる。なかでも、好ましい他のビニル単量体としてスチレン及びアクリロニトリルが挙げられる。
【0021】
特に好ましい透明樹脂は、共役ジエン化合物とスチレンからなる共重合体の水素化物またはアクリル系ゴム質重合体に、メタクリル酸メチルとスチレンを主成分とする単量体をグラフト重合したグラフト重合体樹脂またはこのグラフト重合樹脂と、メタクリル酸メチル単独重合体またはメタクリル酸メチルと他のビニル単量体(例えば、スチレン、アクリロニトリル、マレイミド系単量体から選ばれた少なくとも1種)の(共)重合体との混合物(グラフト重合体樹脂組成物)である。
【0022】
グラフト共重合体樹脂に混合されるビニル単量体の(共)重合体について説明する。ビニル単量体としては、上記したアクリル系ビニル化合物、ビニル単量体が挙げられ、これらの中から選ばれた少なくとも1種の単量体の(共)重合体である。好ましくは添加することで透明性を著しく低下させない(共)重合体である。(共)重合体として、好ましくはメタクリル酸エステルの重合体、メタクリル酸エステルとスチレン及び/又はアクリロニトリルとの共重合体が挙げられる。
【0023】
本発明で用いられる透明樹脂中のゴム量は、2〜50重量%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは5〜30重量%である。また本発明の目的を達成する上から、透明樹脂としてはゴムは共役ジエン系ゴム質重合体の水素化物を用いた水添ゴム強化樹脂(A)の方が好ましい。
【0024】
透明樹脂としての水添ゴム強化系樹脂(A)及びアクリル系ゴム強化樹脂(B)におけるグラフト重合体樹脂は、ゴムに単量体の(共)重合鎖が結合したグラフト重合体とゴムに結合していない単量体の(共)重合体との混合物である。
上記グラフト重合体のグラフト率は、10〜150重量%の範囲にあることが、本発明の目的を達成する上で好ましい。
また、透明樹脂としての水添ゴム強化樹脂(A)及びアクリル系ゴム強化樹脂(B)のメチルエチルケトン可溶分の固有粘度(メチルエチルケトンを溶媒として30℃測定)は、好ましくは0.2〜1.5dl/g、さらに好ましくは0.3〜1dl/gである。
透明樹脂として用いられるグラフト重合体樹脂は、公知の重合法である乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合などで得ることができる。水添ゴム強化樹脂(A)を得るための好ましい重合法は、溶液重合及び塊状重合である。一方、アクリル系ゴム強化樹脂(B)を得るための好ましい重合法は、乳化重合である。透明樹脂に分散したゴム粒子の平均粒子径は、2μm以下が好ましく、さらに好ましくは1μm以下、特に好ましくは0.05〜0.5μmである。
【0025】
また、水添ゴム強化樹脂(A)及びアクリル系ゴム強化樹脂(B)を透明とするには、これら樹脂に分散しているゴム粒子の屈折率とゴム粒子が分散しているマトリックス樹脂の屈折率を一致させるか、あるいは近似するように、ゴムと単量体との組み合わせを適切に選択することにより可能である。
【0026】
透明樹脂は、必要に応じて酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤などの通常熱可塑性樹脂に添加される添加剤を透明性を損なわない範囲で含有してもよい。本発明の透明樹脂層の透明とは、本発明の積層体において、透明樹脂層の下に位置する加飾層の加飾部分あるいは基材の加飾処理された部分が目視で見える状態を言う。
透明樹脂層の厚みは、0.01μm〜2mmが好ましく、より好ましくは0.02μm〜1mm、特に好ましくは0.03〜0.9mmである。
【0027】
基材の片面あるいは両面と透明樹脂層との間に加飾層が設ける場合、この加飾層により、本発明の積層体に意匠性が付与される。
加飾層は、加飾用樹脂組成物を溶融成形することにより形成することができる。加飾用樹脂組成物には、加飾の目的で薄片状粉末を含有させることが好ましい。薄片状粉末としては、具体的には、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母、アスベスト、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、グラファイトなどの薄片状の無機粉末、アルミナ、銅などの薄片状の金属粉末、熱硬化樹脂(エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など)などの薄片状の難溶融性合成樹脂粉末などが挙げられる。加飾用樹脂組成物に含有される薄片状粉末の種類を変えることにより、加飾層に種々の模様を発現させることができる。例えば、御影石調や大理石模様などの模様を現出するには有色無機粉末、あるいは薄片状、繊維状の難溶融性合成樹脂素材が挙げられ、またその組み合わせ方により、木目、エンボス柄などの立体的な模様を現出することができる。上記薄片状粉末は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0028】
上記薄片状粉末の粒径(重量平均粒径)は、好ましくは50〜1,800μm、より好ましくは150〜1,700μmである。50μm未満の場合には、積層体表面部に模様が十分に現出せず、成形上のトラブルが発生することがある。
【0029】
薄片状粉末の配合量は、加飾用樹脂組成物中に、通常0.05〜4重量%、好ましくは0.1〜3重量%である。0.05重量%未満の場合には、加飾層表面に所望の模様が得難く、一方、5重量%を超えると、加飾層が基材から剥離しやすくなるだけでなく、加飾用樹脂組成物のペレット化が困難となる。
【0030】
加飾用樹脂組成物に含有される熱可塑性樹脂としては、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂、AAS樹脂などのゴム強化樹脂、ポリスチレン、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレンの重合体および共重合体などのポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体などのメタクリル酸エステルの重合体および共重合体などのアクリル系樹脂などが挙げられる。好ましくは、メルトインデックス(200℃、5kg荷重)2〜30g/10分のポリスチレン系樹脂または同メルトインデックス1〜10g/10分のアクリル系樹脂であり、特に好ましくはポリスチレン系樹脂及びメチルメタクリレート−スチレン系共重合樹脂である。
上記熱可塑性樹脂は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0031】
他の加飾用樹脂組成物としては、例えば特開平11−43582号公報の木目模様を呈する樹脂組成物が挙げられる。
加飾層の厚みは、外観性、耐候性、コスト等の観点から、好ましくは0.05〜2mm、より好ましくは0.1〜0.8mmである。
【0032】
加飾層を設けない場合には、基材の片面あるいは両面が加飾されており、加飾された表面に透明樹脂層が積層される。
基材の表面が加飾された状態とするには、前記した加飾層用樹脂組成物に添加される薄片状粉末を、基材に好ましくは0.05〜4重量%、より好ましくは0.1〜3重量%添加する方法、特開平11−43582号公報の木目模様の成形品等の方法が挙げられる。なかでも、特開平11−43582号公報の成形品が好ましい。
以上、基材に透明樹脂層を積層して、加飾の手段により意匠性を向上させる態様を説明した。
【0033】
本発明の積層体は、基材に熱可塑性樹脂層または熱可塑性エラストマー層からなる表層、さらには所望によりこれらの中間に加飾層を積層することにより、形成することができる。
積層方法は積層体の用途によって適切な方法を選択することができる。具体的な積層方法として、基材を含めた各層を形成するための樹脂あるいは樹脂組成物を押出機から共押し出しして、各層を溶融融着して積層体を形成する方法;各層を別々に形成した後、各層を重ね合わせ加圧下に加熱する方法等が挙げられる。好ましくは押出機から2層あるいは3層(加飾層を設ける場合)を同時に共押出する方法である。
【0034】
本発明の積層体は、基材がリサイクル樹脂組成物から形成されているため、廃棄物の減少に寄与し、しかもリサイクル品でない新しい未リサイクル樹脂を用いた積層体と同等な性能示す。
また、透明樹脂を基材に積層し、かつ加飾を施した態様では、積層体それ自体で透明樹脂層を通して表面に大理石などの模様や木目やエンボス調などの模様が現れ、しかも衝撃強度、耐候性、耐薬品性などに優れているので、タイル、木材、金属板、石材などの代替品として種々の分野で使用することができる。即ち、この場合の本発明の積層体は、衝撃強度、耐候性、耐薬品性に優れることから建材住設関連を中心とした幅広い用途に使用することができる。例えば、床材、壁材、天井材、扉材、タンス部材などの家具部材、各種手摺り、テーブル部材、机部材、本箱、窓枠、瓦、雨樋、デッキ材、木口材、外装材、流し台、ベッド部材、階段部材、壁パネル、額縁、鉛筆、筆、幅木、回り縁、みきり縁、椅子材、サッシ部材、パラボラアンテナ部材、竹垣、エアコンダクトカバー、浴室部材、パネル水槽部材、事務用品関連分野、車両の内・外装、OA・家電各パーツなどに使用できる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、実施例に本発明が限定されることはいささかもない。
【0036】
〔実施例中の評価方法〕
・耐候性
積層体を下記条件のサンシャインウェザーメーター中で耐候劣化を行い、表面状態を目視評価した。
条件:ブラックパネル温度63℃、降雨サイクル18分/120分、耐候劣化時間1000時間
○:表面変化なしで、外観良好
×:表面に凸凹ができ、加飾層の意匠性が失われる
・耐衝撃度
1mの高さから重さ1kgの鉄球を垂直に落下させ、積層体の表面状態を目視評価した。
◎:○印より若干外観良好
○:表面変化なしで、外観良好
×:表面にクラック発生し、外観が損なわれる
・耐薬品性
積層体表面に5%塩酸を滴下し、24時間放置した後の表面状態を目視評価した。
○:表面変化なしで、外観良好
×:表面が膨潤し、外観不良
【0037】
〔積層体の成形方法〕
(その1)
表1に示す基材層、表層のそれぞれの樹脂を用いて、下記条件で基材層/表層1/表層2の構成からなる三層積層体を成形した。三層積層体の幅は50mm、基材層の厚さは30mm、表層1の厚さは0.2mm、表層2の厚さは0.2mmである。
三層共押出機:基材層用は40m/m押出機、加飾層用及び透明層用はそれぞれ20m/m押出機である。
押出温度条件:
基材層:170℃(押出温度)、20rpm(スクリュウ回転数)、0.85m/分(引取速度)
表層1:200℃(押出温度)、40rpm(スクリュウ回転数)、0.85m/分(引取速度)
表層2:220℃(押出温度)、30rpm(スクリュウ回転数)、0.85m/分(引取速度)
【0038】
(その2)
上記その1の成形方法で表層1を省略して、基材層と表層からなる二層積層体を成形した。
【0039】
〔成形材料の説明〕
1.基材層の成形材料
A−1:信越ポリマー(株)製 塩化ビニル樹脂
A−2:A&Mスチレン(株)製、ポリスチレン
A−3:日本ポリケム(株)製、ポリプロピレン
A−4:A−3/不飽和ポリエステル=99/1(重量比)からなる組成物
A−5:テクノポリマー製 ABS150
A−6:A−1/木粉=80/20(重量比)からなる組成物
A−7:A−1 50重量部とA−1成形品のリサイクル樹脂50重量部から なる樹脂組成物
A−8:A−2 50重量部とA−2成形品のリサイクル樹脂50重量部から なる樹脂組成物
A−9:A−3 70重量部とA−3成形品のリサイクル樹脂30重量部から なる樹脂組成物
A−10:A−4 70重量部とA−4成形品のリサイクル樹脂30重量部か らなる樹脂組成物
A−11:A−5 40重量部とA−5成形品のリサイクル樹脂60重量部か らなる樹脂組成物
A−12:A−6 70重量部とA−6成形品のリサイクル樹脂30重量部か らなる樹脂組成物
A−13:A−2 10重量部とA−2成形品のリサイクル樹脂90重量部か らなる樹脂組成物
A−14:A−3 10重量部とA−3成形品のリサイクル樹脂90重量部か らなる樹脂組成物
【0040】
2.表層の成形材料
B−1:下記の組成物(I)100重量部と下記の組成物(II)6重量部とからなる組成物
組成物(I):
(a−1)組成がゴム/ST/AN=40/45/15(重量%)であり、グラフト率が40%であるABS樹脂25重量部、(a−2)ST/AN=75/25(重量%)のAS樹脂70重量部、及び(a−3)100メッシュバスの木粉5重量部からなる組成物。
組成物(II):
(b−1)組成がα−メチルスチレン/AN=73/27(重量%)のAS樹脂100重量部、(b−2)カーボンブラック1重量部、(b−3)ベンガラ10重量部、(b−4)チタンイエロー2重量部、(b−5)エチレンビスアマイド1重量部、及び(b−6)シリコーンオイル0.2重量部からなる組成物。
B−2:水添ブロック共重合体ゴム30重量部の存在下に、メタクリル酸メチル50重量部、スチレン10重量部、アクリロニトリル10重量部を溶液重合して得られたグラフト率42%の透明性水添ゴム強化樹脂
B−3:n−ブチルアクリレート60重量%、1,3−ブタジエン20重量%、スチレン20重量%を乳化重合して得られたアクリル系ゴム26重量部(固形分)の存在下に、メタクリル酸メチル56重量部、アクリロニトリル7重量部、スチレン11重量部を乳化重合で得られる透明性アクリル系ゴム強化樹脂、グラフト率は35%
B−4(熱可塑性エラストマー):(株)クラレ製 セプトン
B−5(熱可塑性エラストマー):(株)三菱化学MKV製 サンプレン
B−6:上記のA−1である。
【0041】
【表1】
【0042】
なお、表1において、括弧内の評価結果は基材層にリサイクル樹脂を全く使用しなかった積層体に関する評価結果である。
上記表1に示される結果から、以下のことが明かである。
実施例1〜7の基材にリサイクル品を用いた本発明の積層体は、基材層として、リサイクル樹脂未混入の積層体に比べほぼ同等の性能を有している。
一方、比較例1、2は基材層の樹脂中のリサイクル樹脂の含有量が本発明の範囲を超えており、耐衝撃性に劣る。
【0043】
【発明の効果】
本発明の積層体は、基材にリサイクル材料を用いているので、廃棄物量の減少に寄与し、しかもその特性において劣る処がない。
Claims (1)
- リサイクル樹脂を3〜80重量%含有するリサイクル樹脂組成物からなる基材の少なくとも片面上に、熱可塑性樹脂層及び熱可塑性エラストマー層の少なくともいずれかの層が積層されていることを特徴とする積層体。
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JP2005324733A (ja) * | 2004-05-17 | 2005-11-24 | Mitsubishi Engineering Plastics Corp | 長繊維強化ポリアミド樹脂製自動車車体前部構造体 |
JP7430124B2 (ja) | 2020-08-21 | 2024-02-09 | アイカ工業株式会社 | リサイクル型熱転写システム、再生ポリビニルアルコール系樹脂フィルム、熱転写用加飾フィルム及び転写成形品 |
-
2002
- 2002-10-18 JP JP2002304254A patent/JP2004136578A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
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JP4535772B2 (ja) * | 2004-05-17 | 2010-09-01 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 長繊維強化ポリアミド樹脂製自動車車体前部構造体 |
JP7430124B2 (ja) | 2020-08-21 | 2024-02-09 | アイカ工業株式会社 | リサイクル型熱転写システム、再生ポリビニルアルコール系樹脂フィルム、熱転写用加飾フィルム及び転写成形品 |
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