JP4425412B2 - 超電導コイルの冷却方法とその構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は冷凍機冷却型超電導マグネット装置に関し、特に該マグネット装置の超電導コイルの冷却方法とその構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は従来の冷凍機冷却型超電導マグネット装置の超電導コイルの冷却手段の概略を示す縦断面図である。
胴部1aの両端にフランジ部1b、1b’を有するステンレス鋼製のコイル巻枠1の該胴部1aに超電導線材を巻回してなるコイルCの外周面を銅、銀、金、アルミニウム等高熱伝導率材料製の冷却板2で被覆し、コイル巻枠フランジ部1b、1b’に前記冷却板2と同様の高熱伝導率材料からなるコイル冷却フランジ3、3’をボルト付ないし溶接等により密着させ、同じく高熱伝導率材料からなる伝熱部材4を前記冷却板2に伝熱接触させるとともにその両端部を前記冷却フランジ3、3’に連結し、GM冷凍機Rの2段冷却フランジ5とコイル冷却フランジ3とを高熱伝導率材料からなる伝熱部材6で連結することによりコイルを冷却している。
【0003】
上記構造による超電導コイルの冷却手段では、コイルに励磁する際、最も強い磁場がかかるコイルCの内側部分が最も発熱するにもかかわらず冷却用の伝熱部材が無いために効率よく冷却され難い状態になっている。
一方、コイルCの外周面部は冷却板2で被覆され冷却されるため、コイルの冷却状態が場所によって異なりコイル内部で温度勾配が生じる。
【0004】
コイルCの内側部分で冷却状態が悪く常電導領域が発生すると、超電導状態に戻り難くなりコイル全体がクェンチを起こすようになる。加えて高速励磁を行なおうとするとさらに熱が多く発生するためクェンチが起こりやすく高速励磁が困難であるという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
クェンチを起こさせることなく、高速励磁が可能な超電導コイルを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
超電導コイルの外周面を被覆したコイル冷却板2およびコイル巻枠フランジ1b、1b’に密着せるコイル冷却フランジ3、3’からコイルを冷却する手段において、コイル冷却フランジ3、3’とコイル冷却板2を伝熱部材4で連結するとともに、コイル冷却フランジ3、3’、コイル巻枠フランジ部1b、1b’及びコイル巻枠胴部1aに円周方向に間隙をあけて軸線方向に複数の冷却部材7を埋設し、冷却フランジ3、伝熱部材4、コイル冷却板2からコイルを外面から冷却するとともに、コイル冷却フランジ3、3’、コイル巻枠フランジ部1b、1b’、コイル巻枠胴部1aに埋設した複数の冷却部材7によりコイルを内側面から冷却して、コイルの内外両面からコイルを冷却することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1および図2に本発明にかかる冷却方法により冷却される超電導コイルの第1実施例を示す。超電導コイルのコイルCの外周面部より冷却する手段は図4に示す従来のものと同一手段であるので説明を省略する。
本発明は従来のコイルCの外周面部より冷却する手段に加えてコイル内部からも冷却し、コイルを内外両面から冷却することを特徴とするものである。
【0008】
本発明ではコイル冷却フランジ3、3’の両面からコイル巻枠フランジ部1b、1b’、コイル巻枠胴部1aを貫通する貫通孔をコイル冷却フランジおよび、コイル巻枠の円周方向に間隔をあけて複数個穿設し、これらの貫通孔内に高熱伝導率材料(銅、銀、アルミニウム、金、等)からなる冷却部材7を埋設している。
【0009】
上記貫通孔の断面形状は長方形、円形、円弧形等任意であり、該貫通孔に埋設される冷却部材7は、板状体、粉体あるいは、これら両者の組合せの何れでもよく、板状体の場合は止めピン8、8’によりコイル冷却フランジ3、3’内に固定されている。なお、板状体が貫通孔に密嵌されている場合は止めピン8、8’での固定は不要である。
【0010】
図3は本発明にかかる第2の実施例を説明する要部の拡大図である。
この実施例では、前記貫通孔に挿入される冷却部材7は長さ方向に分割されて複数の板状体で形成されており、各板状冷却部材7、7’はコイル冷却フランジ3、3’からコイル巻枠フランジ部1b、1b’、巻枠胴部1aに挿入されピン8、8’でコイル冷却フランジ3、3’内に固定されている。
【0011】
本発明の超電導コイルは冷却フランジ3、伝熱部材4、コイル冷却板2からコイルCを外周面から冷却する従来の冷却手段に加えて、コイル冷却フランジ3、3’、コイル巻枠フランジ部1b、1b’、コイル巻枠胴部1aに埋設せる冷却部材7によりコイルCを内側面から冷却できるのでコイル内に大きな温度勾配が生じるのを抑制できクェンチを起こし難くすることができるものである。
【0012】
【発明の効果】
本発明では、コイル冷却フランジとコイル冷却板を伝熱部材で連結することにより冷却フランジ、伝熱部材、コイル冷却板からコイルを外面から冷却するとともに、コイル冷却フランジ、コイル巻枠フランジ部及びコイル巻枠胴部に円周方向に間隙をあけて軸線方向に高熱伝導率材料からなる複数の冷却部材を埋設することによりコイルを内側面から冷却して、コイルの内外両面からコイルを冷却することで、超電導コイルの急速励磁が可能となり、クエンチの起こしにくい超電導コイルを提供できる。また、冷却部材をコイル巻枠1内で円周方向に連続的ではなく間隔をあけて埋設したことによりコイル巻枠内に余計な渦電流が発生するのを抑制している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる冷却方法により冷却される超電導コイルの第1実施例の縦断面図。
【図2】図1におけるA−A断面図。
【図3】本発明にかかる冷却方法により冷却される超電導コイルの第2実施例の部分拡大縦断面図。
【図4】従来から公知の冷却方法により冷却される超電導コイルの縦断面図。
【符号の説明】
1 コイル巻枠
1a コイル巻枠胴部
1b、1b’ コイル巻枠フランジ
2 コイル冷却板
3、3’ コイル冷却フランジ
4 伝熱部材
5 第2冷却フランジ
6 伝熱部材
7 冷却部材
8、8’ 止めピン
C コイル
R GM冷凍機

Claims (5)

  1. コイルの外周面を被覆したコイル冷却板および、コイル巻枠フランジに密着せるコイル冷却フランジからコイルを冷却する超電導コイルの冷却方法において、コイル冷却フランジとコイル冷却板を伝熱部材で連結することにより冷却フランジ、伝熱部材、コイル冷却板からコイルを外面から冷却するとともに、コイル冷却フランジの両面からコイル巻枠フランジ部、コイル巻枠を軸線方向に貫通しかつ円周方向に間隙をあけて穿設された複数個の貫通孔に高熱伝導率材料からなる冷却部材を埋設することによりコイルを内側面から冷却して、コイルの内外両面からコイルを冷却することを特徴とする超電導コイルの冷却方法。
  2. コイルの外周面を被覆したコイル冷却板および、コイル巻枠フランジに密着せるコイル冷却フランジからコイルを冷却する超電導コイルの構造において、コイル冷却フランジとコイル冷却板を伝熱部材で連結するとともに、コイル冷却フランジの両面からコイル巻枠フランジ部、コイル巻枠を軸線方向に貫通しかつ円周方向に間隙をあけて穿設された複数個の貫通孔に高熱伝導率材料からなる冷却部材を埋設し、冷却フランジ、伝熱部材、コイル冷却板からコイルを外面から冷却するとともに、コイル冷却フランジ、コイル巻枠フランジ部及びコイル巻枠胴部に埋設した冷却部材によりコイルを内側面から冷却して、コイルの内外両面からコイルを冷却することを特徴とする超電導コイルの構造。
  3. 冷却部材は板状体または粉体またはこれらの両者からなることを特徴とする請求項2記載の超電導コイルの構造。
  4. 冷却部材は板状または棒体状から形成されており、コイル冷却フランジ部内にピンで固定されていることを特徴とする請求項2記載の超電導コイルの構造。
  5. 冷却部材は長さ方向に複数個に分割されていることを特徴とする請求項2または請求項4記載の超電導コイルの構造。
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