JP4425156B2 - コンクリート材に頭部が埋め込まれた締結ボルトの交換方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄板や鋼板等の被締結材に穿設された貫通したボルト孔にネジ部が挿入されると共に、前記被締結材と密接するように施工されたコンクリート材に頭部が埋め込まれた締結ボルトの交換方法に関する。
従来から、鉄板や鋼板、形鋼等の被締結材を締結ボルトで締結して種々の構造物が作られている。その中で、被締結材と密接するようにコンクリート材が施工され、締結ボルトの頭部又はナットがコンクリート材に埋め込まれたものがある。具体例としては、鋼橋がある。かかる綱橋は、被締結材である鋼板から形成された分割桁(例えば、ボックス桁)と被締結材である連結板とを締結ボルトで締結することで、前記連結板を介して隣接する分割桁同士を連結して長距離な桁を構築した後に、該桁の天板上にコンクリート材(コンクリート床板)を施工して構築されている。そのため、綱橋は、分割桁の天板(被締結材)と連結板とを締結した締結ボルトの頭部又はネジ部に螺合されたナットがコンクリート材に埋め込まれた態様になっている。
ところで、上述のような構造物には、種々の荷重が作用するため、被締結材を締結した締結ボルトのネジ部が遅れ破壊してしまうことがあり、このようになると、被締結材に対する締結を維持することができず、構造物本来の強度を維持できなくなってしまうため、被締結材を再度締結する必要が生じる。
ナットがコンクリート材に埋め込まれている場合には、遅れ破壊した締結ボルトは、頭部が無くなってネジ部のみがナットが螺合された状態となっているので、ネジ部を軸心回りで回転させて該ネジ部を抜き取ることで、新たな締結ボルトに交換することができる。具体的には、ネジ部の中心に下孔を穿孔して該下孔に棒状のボルト除去具を挿入し、該ボルト除去具と残存するネジ部とを軸心回りのトルクを伝達可能に係合させる。その後、ボルト除去具を軸心回りで回転させることで、残存するネジ部とナットとの螺合を解除してネジ部を抜き取り、新たな締結ボルトをコンクリート内に埋め込まれたナットに螺合させることで被締結材に対する締結を行うことができる(特許文献1参照)。
特開2004−84170号公報
一方、締結ボルトの頭部がコンクリート材に埋め込まれている場合、被締結材側から残存する締結ボルトを抜き取ることができないため、コンクリート材を掘削して該締結ボルトを抜き取った後に新たな締結ボルトに交換しなければならなかった。特に、橋梁(鋼橋)においては、コンクリート材(コンクリート床板)を掘削して締結ボルトを交換するには、交通規制を行って作業を行わなければならず、締結ボルトの破損に対応して適宜交換作業を行うことは困難である。
また、構造物の構造によっては、コンクリート材を掘削できない場合もある。このような場合、締結ボルトを交換することができないため、遅れ破壊した締結ボルトがそのまま放置されてしまい、構造物本来の強度を維持することができないといった問題がある。
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、頭部がコンクリート材に埋め込まれた締結ボルトが遅れ破壊して被締結材に対する締結を維持できなくなっても、コンクリート材を掘削することなく、元の締結ボルトと同じ位置で被締結材を再度締結することができ、構造物の強度維持を図ることができるコンクリート材に頭部が埋め込まれた締結ボルトの交換方法を提供することを課題とする。
本発明に係るコンクリート材に頭部が埋め込まれた締結ボルトの交換方法は、被締結材に穿設された貫通したボルト孔にネジ部が挿入されると共に、被締結材と密接するように施工されたコンクリート材に頭部が埋め込まれた締結ボルトの交換方法であって、被締結材側から締結ボルトを貫通してコンクリート材を所定深さまで穿孔し、ネジ部よりも小径の下孔を締結ボルトと略同心で形成する下孔形成工程と、該下孔形成工程の後、被締結材側から軸状の係合部材を締結ボルトと略同心で挿入し、該係合部材の先端部を締結ボルトに対して軸心方向の力を伝達可能で且つ軸心回りのトルク伝達可能に係合させた後に、該係合部材を軸心回りで回転させつつ振動させ、締結ボルトを軸心方向の所定位置に押しやって該締結ボルトと被締結材との間に空間を形成する空間形成工程と、該空間形成工程の後、軸部の一端に大径部が連設されたコアピンを、前記大径部と該大径部に隣接するように軸部に外嵌された筒状のスリーブとが前記空間に到達するように挿入し、前記軸部の他端側にナットを螺合して空間内でスリーブを鍔状に圧縮変形させてバルビング部を形成し、該バルビング部とナットとの間で被締結材を締結する再締結工程とを備えていることを特徴とする。
上記方法によれば、下孔形成工程において、ネジ部と略同心の下孔が締結ボルトを貫通してコンクリート材の所定深さまで形成され、空間形成工程において、締結ボルトに対して軸状の係合部材の先端部を軸心方向の力を伝達可能で且つ軸心回りのトルク伝達可能に係合させた後に、該係合部材を軸心回りで回転させつつ振動させるようにしているので、係合部材の回転及び振動が締結ボルト(頭部)を介してコンクリート材に伝達される。
そうすると、下孔の形成によって脆弱になっている部分のコンクリート材が徐々に崩れ、軸心方向に付勢された締結ボルトは、軸心方向の所定位置に向けて徐々に押しやられる。その結果、締結ボルトが所定位置に到達し、締結ボルトと被締結材との間に空間が形成される。このように形成される空間は、締結ボルトの移動に対応して形成されるため、内径が締結ボルトの頭部の最大径と略同等の内径となっており、空間内には締結ボルトの頭部と密接していた面がドーナツ状に露呈することになる。
そして、空間形成工程の後の再締結工程において、軸部の一端に大径部が連設されたコアピンを、前記大径部と該大径部に隣接するように軸部に外嵌された筒状のスリーブとが前記空間に到達するように挿入し、前記軸部の他端側にナットを螺合する(締め付ける)と、空間内でスリーブが鍔状に圧縮変形してバルビング部が形成され、その結果、バルビング部とナットとの間で被締結材が締結されることになる。従って、コンクリート材を掘削して締結ボルトの頭部を露呈させるような作業を行うことなく、遅れ破壊した締結ボルトを容易に交換することができる。
本発明の一態様として、前記下孔形成工程は、残存する締結ボルトを全長に亘ってボルト穿孔用ドリルで穿孔する第一下孔形成工程と、該第一下孔形成工程の後、前記ボルト穿孔用ドリルと同径のコンクリートドリルでコンクリート材を所定深さまで穿孔する第二下孔形成工程とで前記下孔を形成するようにしてもよい。このようにすれば、下孔形成工程の各工程において、穿孔する対象に応じたドリルを選択することができ、下孔を穿孔するに際してドリルの刃こぼれ等を最大限に抑えることができる。
また、本発明の他態様として、前記空間形成工程の前に、前記頭部の被締結材側の端面の少なくとも一部が露呈するように被締結材を穿孔し、内径がネジ部の外径以上で且つ頭部よりも小径の大径孔をネジ部と略同心で形成する大径孔形成工程を更に備えてもよい。このように大径孔形成工程で大径孔を形成することで、ネジ部の全てが除去(切削)され、頭部の被締結材側の端面(下孔の形成された端面)の少なくとも一部が大径孔を介して露呈する。そうすると、次工程の空間形成工程で係合部材を締結ボルトと係合させるに際し、下孔が形成されて筒状をなすネジ部等との係合ではなく、ネジ部に比して強固な頭部との係合となり、係合部材の回転及び振動を締結ボルト(頭部)に確実に伝達できることになる。従って、空間形成工程においてコンクリート材を効率よく崩す(粉砕する)ことができる。
この場合、前記大径孔形成工程は、前記下孔形成工程で穿設した下孔にエンドミルを挿入し、頭部の端面が露呈するように前記エンドミルで下孔の内周面を切削して前記大径孔を形成するようにしてもよい。このようにエンドミルを用いれば、残存する頭部の端面を略平面状態にして大径孔を形成することができ、空間形成工程で係合部材を頭部に係合しやすくすることができる。即ち、エンドミルで前記大径孔を形成すれば、頭部におけるネジ部との連結部分であった部分についても平面状に切削されるので、頭部の端面が下穴の存在で環状平面として大径孔内に露呈することになる。これにより、係合部材の先端部と残存する頭部とを均一に係合させることができ、係合部材の軸心方向の力及び軸心回りの回転を頭部に対してバランス良く且つ確実に伝達することができる。従って、コンクリート材にも均一な力と振動を付与することができ、コンクリート材を効率よく崩して空間を形成することができる。
上述のような大径孔形成工程を備える場合には、前記大径孔形成工程の前に、頭部と被締結材との間に介設されたワッシャと被締結材とを連通させる小径孔を被締結材側から穿孔し、該小径孔にピンを嵌入してワッシャの回り止めを行うワッシャ回止工程を更に備えていることが好ましい。締結ボルト頭部と被締結材との間にワッシャが介設されている場合、大径孔を形成するに際し、ワッシャに対してもドリルやエンドミル等の工具で穿孔するとワッシャが孔心回りで回転して穿孔効率を低下させる虞があるが、ピンでワッシャの回り止めをすることで円滑な穿孔を行うことができる。
また、前記大径孔形成工程の前に、前記締結ボルトのネジ部を被締結材に対して回り止めを行うボルト回止工程を更に備えてもよい。ドリルやエンドミル等の工具を用いて締結ボルトを穿孔するに際し、締結ボルトが軸心回りで回転して穿孔効率を低下させる虞があるが、締結ボルトのネジ部を被締結材に対して回り止めを行うことで円滑な穿孔(切削)を行うことができる。
さらに、本発明の別の態様として、前記空間形成工程は、締結ボルトに形成された下孔と中空軸状の係合部材の貫通孔とを連通させると共に、締結ボルトに対して係合部材の先端部を軸心方向の力を伝達可能で且つ軸心回りのトルク伝達可能に係合させた後、係合部材を回転させつつ振動させるようにしてもよい。このようにすれば、空間を形成するに際して崩れ落ちるコンクリート材を締結ボルトに形成された下孔と係合部材の貫通孔とを介して外部に排出することができ、崩れ落ちたコンクリート材が締結ボルトの移動を阻害するのを防止することができる。
この場合、前記空間形成工程は、後端側がバキューム装置に流体的に接続された前記係合部材の先端部を締結ボルトと係合させ、バキューム装置を作動した状態で、係合部材を回転させつつ振動させることが好ましい。このようにすれば、バキューム装置の吸引によって崩れ落ちたコンクリート材を強制的に排出することができ、残存する締結ボルトを円滑且つ確実に所定位置まで押しやることができる。
以上のように、本発明のコンクリート材に頭部が埋め込まれた締結ボルトの交換方法によれば、頭部がコンクリート材に埋め込まれた締結ボルトが遅れ破壊して被締結材に対する締結を維持できなくなっても、コンクリート材を掘削することなく、元の締結ボルトと同じ位置で被締結材を再度締結することができ、構造物の強度維持を図ることができるという優れた効果を奏し得る。
以下、本発明の一実施形態に係るコンクリート材に頭部が埋め込まれた締結ボルトの交換方法について、添付図面を参照しつつ説明する。
本実施形態に係る締結ボルトの交換方法の説明に先立って、その交換対象となる締結ボルトの使用態様、該締結ボルトと交換するワンサイドボルトの基本構成及び施工方法について説明する。
まず、締結ボルトの使用態様について説明する。締結ボルトは、橋梁(綱橋)や建築物等の構造物を構築するのに利用されているものである。そこで綱橋を一例にして説明すると、綱橋は、複数の鋼板を適宜溶接して箱状の分割桁(いわゆるボックス桁)を複数作製し、各ボックス桁を脚上に配置した後、各ボックス桁を鋼板からなる連結板を介して連結することで基本構成が構築される。
前記ボックス桁同士の連結について具体的に説明すると、ボックス桁同士の連結には、図1及び図2に示す如く、鋼板からなる被締結材としての連結板A3、連結板A3とボックス桁A1,A2とを締結する締結ボルトである高力ボルトB(例えば、F11T)及びナットNが用いられている。前記連結板A3は、脚(図示しない。)上に連続的に配置されて隣接するボックス桁A1,A2に跨るように配置され、高力ボルトBは、ネジ部SにワッシャWを外嵌した状態で、頭部Dが外側(ボックス桁A1,A2の表面側)に位置するように、各ボックス桁A1,A2を構成する被締結材である鋼板(天板P1,P2、側板、底板(採番しない。))及び連結板A3に穿設された貫通したボルト孔Hにネジ部Sが挿入される。そして、該高力ボルトBのネジ部SにナットNが螺合され、該ナットNと頭部Dとの間で連結板A3とボックス桁A1,A2(鋼板)とが締結され、隣接するボックス桁A1,A2同士が連結されることになる。即ち、高力ボルトBによってボックス桁A1,A2を構成する鋼板と連結板A3とが締結され、連結板A3を介して連結された複数のボックス桁A1,A2で連続した長距離の桁が構築されることになる。その後、高力ボルトBの頭部Dが埋め込まれるようにボックス桁A1,A2の天板P1,P2上にコンクリート材(コンクリート床板)Fが施工され、走行可能な綱橋が構築される。
このように構築された綱橋には、車輌の走行や地震の発生等によって繰り返し荷重が加わる。そうすると、ボックス桁A1,A2を連結している高力ボルトBが遅れ破壊し、該高力ボルトBが本実施形態の交換方法を用いて交換される対象ボルトとなる。即ち、本実施形態に係る交換方法の対象となる高力ボルトBは、ネジ部Sが破断してナットN及びネジ部Sの先端側の一部が欠落し、頭部Dがコンクリート床板Fに埋め込まれると共に、ネジ部Sの残存部分がボックス桁A1,A2の天板P1,P2及び連結板A3のボルト孔Hに残った状態となっている。なお、以下の説明において、コンクリート床板Fに頭部Dが埋め込まれた高力ボルトBによって締結されている天板P1,P2、及び連結板A3を総称して鋼板という。
次に、ワンサイドボルト100について説明する。該ワンサイドボルト100は、盲ボルト、或いは片側締込みリベット等ともよばれる軸状の盲止め具であり、図3に示す如く、軸部101aの一端に大径部101bが連設されたコアピン101、大径部101b側から順に前記軸部101aに外嵌される筒状のスリーブ102、シャー座金103、受座金104、及びナット105を備えている。
前記コアピン101の軸部101aは、前記大径部101bに連結した非ネジ部101a' と、該非ネジ部101a' に連続する雄ネジ部101a''と、該雄ネジ部101a''に連続するテール部101a''' とで構成されている。前記非ネジ部101a' は、段付き棒状に形成されており、前記大径部101b側が大径に設定されている。これにより、スリーブ102が外嵌された状態で、該スリーブ102(後述するバルブスリーブ102a)が非ネジ部101a' の大径部分と略密接状態になる一方、非ネジ部101a' の小径の部分との間に隙間が形成されるようになっている。前記雄ネジ部101a''の途中には、破断溝101gが設けられており、前記テール部101a''' の外径面は、滑り止め用として凹凸が形成されている。
本実施形態に係るスリーブ102は、コアピン101の大径部101b側に配置される筒状のバルブスリーブ102aと、該バルブスリーブ102aに隣接して配置される筒状のグリップスリーブ102bとで構成されている。前記バルブスリーブ102a及びグリップスリーブ102bは、何れも綱合金で構成されているが、バルブスリーブ102aは、グリップスリーブ102bよりも軟質な材料で形成されている。これにより、スリーブ102に軸方向の圧縮力が作用すると、バルブスリーブ102aが径方向の外方に突出するように塑性変形して鍔状のバルビング部102a' (図6(ニ)参照)が形成されるようになっている。
前記シャー座金103は、内径がスリーブ102の内径と略同一に設定されると共に、外径がスリーブ102の外径よりも大きく設定されている。前記受座金104には、シャー座金103が嵌入される円形状の凹部104aが形成されると共に、該凹部104aと略同心で貫通した穴が凹部104aよりも小径で且つスリーブ102の外径よりも大径で穿設されている。これにより、前記スリーブ102に所定以上の軸力が作用した際に、シャー座金103のスリーブ102と当接するドーナツ状の領域が剪断し、スリーブ102(グリップスリーブ102b)の端部が受座金104の凹部104aを介して穴に入り込むようになっている。
上記構成のワンサイドボルト100の施工には、テール部101a''' を係合させるインナーソケットTa(図6(ロ)参照)と、該インナーソケットTaに外嵌され且つ軸心回りで回転駆動可能なアウターソケットTb(図6(ロ)参照)とを備えた回転式の電動締付工具(シャーレンチ)が用いられる。ワンサイドボルト100の施工について具体的に説明すると、コアピン101が回転不能となるようにテール部101a''' を前記インナーソケットTaと係合させると共に、アウターソケットTbにナット105を係合させ、アウターソケットTbを介してナット105を締め付けることで、大径部101bとナット105との間で圧縮力が作用して受座金104、スリーブ102(バルブスリーブ102a、及びグリップスリーブ102b)が挟み付けられる。
そして、その圧縮力によってバルブスリーブ102aが塑性変形して外側に突出した鍔状のバルビング部102a' が形成される。さらにナット105を締め付けると、シャー座金103が剪断し、グリップスリーブ102bの端部が受座金104の凹部104aを介して穴に進入して軸力の導入が開始する。これにより、バルブスリーブ102aのバルビング部102a' が被締結材(本実施形態においてはワッシャW)の表面に当接し、受座金104を介してナット105とバルビング部102a' との間に締付軸力が作用する。そして、ナット105を更に締め付け、ネジ部Sの破断溝101gがナット105よりも外側に到達し、且つ軸部101aに所定以上の軸力が出たところで、破断溝101gで軸部101aが破断し、先端側の軸部101a(雄ネジ部101a''の一部及びテール部101a''' )が取り除かれて施工が完了する。
本実施形態で交換対象となる高力ボルトBの使用態様、該高力ボルトBと交換するワンサイドボルト100の基本構成及び施工方法は以上の通りである。次に、本実施形態に係る高力ボルトBの交換方法について説明する。
図4(イ)に示す如く、鋼板P1,P2,A3を締結していた高力ボルトBに遅れ破壊が生じ、ネジ部Sの先端側の一部及びナットNが欠落していることを前提すると、まず、図4(ロ)に示す如く、被締結材としての鋼板P1,P2,A3(天板及び連結板)のコンクリート床板Fが施工されていない面(以下、この面を表面という。)側からコンクリート床板Fに埋め込まれたワッシャWにかけて小径ドリル110で小径孔1を穿孔する。即ち、鋼板P1,P2,A3とワッシャWとを連通させる小径穴1を穿孔する。そして、図4(ハ)に示す如く、鋼板P1,P2,A3とワッシャWとに跨るように小径孔1にピン200を嵌入し、ワッシャWの回り止めを行う(ワッシャ回止工程)。また、鋼板P1,P2,A3のボルト孔H内に存在するネジ部Sの破断面の外周端縁部201と鋼板P1,P2,A3(図においては連結板A3)とを溶着(溶接)し、高力ボルトBの回り止めを行う(ボルト回止工程)。
そして、図4(ニ)及び図5(ロ)に示す如く、ネジ部S(高力ボルトB)と略同心となるように、ネジ部Sよりも小径(ネジ部Sの外径の0.5〜0.8倍程度の穴径)の下孔2を鋼板P1,P2,A3の表面側から高力ボルトBの頭部Dを貫通してコンクリート床板Fを所定深さまで穿孔する(下孔形成工程)。
該下孔2の穿孔(下孔形成工程)は、鋼板P1,P2,A3の表面側からコンクリート床板Fの所定深さまで連続して行ってもよいが、本実施形態においては、高力ボルトBの全長に亘ってボルト穿孔用ドリル111で穿孔して途中までの下穴2を形成した(第一下孔形成工程)後、途中まで穿孔した下孔2を延長するようにボルト穿孔用ドリル111と同径のコンクリートドリル113でコンクリート床板Fを所定深さまで穿孔して下孔2を完成させる(第二下孔形成工程)ようにしている。
具体的には、図4(ニ)に示す如く、高力ボルトBの全長に亘って(ネジ部S(破断面)から頭部Dにかけて)ボルト穿孔用ドリル111で穿孔して下穴2を途中まで形成する(第一下孔形成工程:下孔形成工程)。その後、図5(イ)に示す如く、頭部Dを残すように、内径が高力ボルトBのネジ部Sの外径以上、好ましくは、鋼板P1,P2,A3に穿設されたボルト孔Hの穴径よりも大径で、且つ高力ボルトBの頭部Dよりも小径の大径孔3を高力ボルトBと略同心で穿孔する(大径孔形成工程)。
この大径孔3の穿孔について具体的に説明すると、穿設した下孔2(本実施形態においては途中まで穿設した下孔2)にエンドミル112を挿入し、該下孔2の内周面を切削して前記大径孔3を形成する。この場合、エンドミル112の先端面がワッシャWと当接している頭部Dの端面(鋼板P3側の端面)と同一直線上に位置するようにエンドミル112を下孔2に挿入し、この配置位置で維持したまま下孔2の内周面(ワッシャW及びネジ部Sの一部の内周面)を切削してボルト孔Hの穴径以上にする。即ち、ワッシャW及びネジ部Sに対する切削に引き続き、ボルト孔Hの内周面を切削し、適正な穴径(ネジ部Sの外径の1.2〜1.3倍程度の穴径)にする。そして、エンドミル112を鋼板P1,P2,A3の表面側(コンクリート床板Fから離間する方向)に適宜移動させて下孔2の内周面を切削し、連結板(鋼板)A3の表面と頭部Dの端面との間にボルト孔Hの穴径以上(ネジ部Sの外径の1.2〜1.3倍程度の穴径)の大径孔3を形成する。このようにエンドミル112で切削を行うに際し、事前に高力ボルトB及びワッシャWが回り止めされているので、残存するネジ部S及びワッシャWが円滑に切削される。
そして、図5(ロ)に示す如く、途中まで穿孔した下孔2を穴心方向に延長する(掘り下げる)ように、ボルト穿孔用ドリル111と同径のコンクリートドリル113で更にコンクリート床板Fを所定深さまで穿孔して下孔2を完成させる(第二下孔形成工程:下孔形成工程)。
その後、図5(ハ)に示す如く、前記大径孔3に軸状で下孔2よりも大径の係合部材114を挿入する。本実施形態に係る係合部材114は、中空軸状(筒状)に形成されており、先端部がテーパー状に形成されると共に、該先端部の外周面に滑り止めとして複数の凸条が周方向に間隔を有して軸心方向に延びるように形成されている。即ち、本実施形態に係る係合部材114の先端部は、先端が下孔2よりも小径で、後端側が下孔2よりも大径で且つ大径孔3よりも小径に設定され、先細りしたテーパー状に形成されると共に外周面がセレーション状に形成されている。これにより、大径孔3に係合部材114を略同心で挿入すると、該係合部材114の先端部の外周が、全周に亘って残存する頭部Dに形成された下孔2を画定する開口端縁部と係合し、軸心回りの回転トルク及び軸心方向の力を頭部Dに伝達できるようになっている。また、本実施形態に係る係合部材114は、後端部がバキューム装置(図示しない。)に流体的に接続されており、先端開口から被吸引物(後の工程で粉砕されるコンクリート材)を強制的に外部に排出できるようになっている。
そして、図5(ニ)に示す如く、大径孔3に挿入した係合部材114の先端部を、残存する頭部Dに対して軸心方向の力を伝達可能で且つ軸心回りのトルク伝達を可能に係合させ、係合部材114に振動を与えつつ、該係合部材114を軸心回りで回転させる。そうすると、残存する頭部Dを介してコンクリート床板Fに振動が伝達され、コンクリート床板Fは下孔2側から徐々に崩れていく(粉砕されていく)。また、残存する頭部Dが係合部材114と共に回転し、コンクリート床板Fが頭部Dの最大径に対応した円形状に削られる。なお、コンクリート床板Fの粉砕等に伴って、頭部Dも助序に摩耗している。
係合部材114(頭部D)の回転及び振動によって崩れ落ちたり削られたりしたコンクリート材は、バキューム装置の吸引によって係合部材114の先端開口から吸い取られ外部に排出される。そして、上述の如く、係合部材114は軸心方向の力を頭部Dに付与しているため、頭部Dが徐々に押しやられて該頭部Dが密接していた面(残存するワッシャWの表面)が露呈する。図6(イ)に示す如く、頭部Dが所定位置まで押しやられると、該頭部Dの端面とワッシャWとの間にワンサイドボルト100の挿入に必要とされる奥行き(例えば、コアピン101の頭部101b及びバルブスリーブ102aの殆どを挿入できる奥行き)で円柱状の空間4が形成される(空間形成工程)。なお、ワンサイドボルト100を機能させることのできる奥行きで空間4を形成すべく、前工程で穿設された下孔2は、頭部Dの厚みとワンサイドボルト100を挿入するのに必要な奥行きとの合計以上の深さでコンクリート床板Fを穿設して形成されている。
その後、図6(ロ)に示す如く、上述したワンサイドボルト100をコアピン101の大径部101b側から大径孔3に挿入する。この際、大径部101b及びバルブスリーブ102aが、頭部Dと連結板A3(実際には、ワッシャW)との間に形成された空間4内に到達するように、ワンサイドボルト100を挿入する。なお、本実施形態に係るワンサイドボルト100は、大径部101b及びスリーブ102(バルブスリーブ102a及びグリップスリーブ102b)の外径が大径孔3よりやや小径に設定されており、大径孔3に挿入した状態で、該大径孔3及び空間4と略同心になるようにしている。
そして、シャーレンチのインナーソケットTaとテール部101a''' とを係合させると共に、アウターソケットTbとナット105とを係合させた後、ナット105を締め付け、スリーブ102に圧縮力を作用させる。
そうすると、図6(ハ)に示す如く、バルブスリーブ102aが助序に塑性変形して鍔状のバルビング部102a' が形成されると共に、シャー座金103が剪断し、スリーブ102(グリップスリーブ102b)が受座金104内に進入して軸力(締結力)の導入が開始する。
さらにナット105を締め付け、軸部101aに所定以上のトルク(軸力)が作用すると、図6(ニ)に示す如く、軸部101aが破断溝101gで破断して先端側が分断されることになる。この状態で、ナット105とバルビング部102a' との間で鋼板(天板及び連結板)P1,P2,A3が再締結され(再締結工程)、一連の作業が終了する。
以上にように、本実施形態に係るコンクリート床板Fに頭部Dが埋め込まれた高力ボルトBの交換方法は、残存する高力ボルトBを貫通してコンクリート床板Fを所定深さまで穿孔して下孔2を形成した後、係合部材114の回転と振動によって頭部Dを押しやって空間4を形成し、ワンサイドボルト100で鋼板P1,P2,A3同士を再度締結するようにしたので、頭部Dがコンクリート床板Fに埋め込まれた状態で遅れ破壊した高力ボルトBと同じ場所で鋼板P1,P2,A3同士を再度締結することができ、橋梁(構造物)の強度維持を図ることができる。
また、下孔2を穿孔するのに、残存する高力ボルトBの全長に亘ってボルト穿孔用ドリル111で穿孔した後、ボルト穿孔用ドリル111と同径のコンクリートドリル113でコンクリート床板Fを所定深さまで穿孔して下孔2を完成させるようにしたので、穿孔する対象物に応じたドリルを選択することができ、所定深さの下孔2を形成するに際してドリルの刃こぼれ等を最大限に抑えることができる。
さらに、残存する高力ボルトBの頭部Dの端面が露呈するようにネジ部Sよりも大径の大径孔3を穿孔するようにしたので、ネジ部Sを略完全に除去することができ、後の工程において係合部材114を頭部Dに確実に係合させることができる上に、軸方向の力を頭部Dに確実に伝達することができ、空間4を円滑に形成することができる。
そして、該大径孔3を形成するに際し、下孔2にエンドミル112を挿入し、下孔2の内周面を切削して大径孔3を形成するようにしたので、残存する頭部Dの端面を略平面状態にして大径孔3を形成することができ、係合部材114と残存する頭部Dとの係合を確実なものにすることができる。即ち、エンドミル112で大径孔3を形成すれば、頭部Dの端面を略平面状にすることができるので、先端部をテーパー状にした係合部材114を採用すれば、該係合部材114の先端部を頭部Dの下孔2を画定した内周端縁とを全周に亘って係合させることができ、軸方向の力の伝達、振動、及び回転トルクとを均一且つ確実に頭部D乃至コンクリート床板Fに伝達することができる。
また、コンクリート床板Fに埋設されたワッシャWと鋼板P1,P2,A3とを連通させる小径孔1を穿孔し、鋼板P1,P2,A3とワッシャWとに跨るように小径孔1にピン200を嵌入してワッシャWの回り止めを行った後、下孔2及び大径孔3を穿孔するようにしたので、下孔2及び大径孔3を穿孔するに際しワッシャWが孔心回りで回転して穿孔効率が低下することがなく、円滑な穿孔を行うことができる。
また、高力ボルトBのネジ部Sと鋼板P1,P2,A3とを溶接した後に、下孔2及び大径孔3を穿孔するようにしたので、下孔2及び大径孔3を穿孔するに際し、高力ボルトBが軸心回りで回転して穿孔効率が低下することがなく、円滑な穿孔を行うことができる
また、係合部材114の貫通孔と下孔2とを連通させるように、係合部材114と頭部Dとを係合させるようにしたので、空間4を形成するに際して崩れたコンクリート材を外部に排出することができ、頭部Dの移動を円滑に行うことができる。特に、係合部材114にバキューム装置を流体的に接続し、バキューム装置を作動させつつ、残存する頭部Dに回転及び振動を与えるようにしているので、崩れ落ちたコンクリート材を強制的に排出することができる。これにより、よりいっそう円滑に頭部Dを移動させることができ、空間4を効率よく形成することができる。
また、鋼板P1,P2,A3の再締結にワンサイドボルト100を用いるようにしたので、コンクリート床板Fに対する路面側からの加工(例えば、掘削等)を必要とせず、鋼板P1,P2,A3同士の締結を確実且つ容易に行うことができる。
尚、本発明のコンクリート材に頭部が埋め込まれた締結ボルトの交換方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
上記実施形態において、橋梁を一例に挙げて説明したが、本発明のコンクリート材に頭部が埋め込まれた締結ボルトの交換方法は、橋梁における高力ボルトの交換に限定されるものではなく、コンクリート材に頭部が埋め込まれた締結ボルトの交換であれば適宜採用することができる。
上記実施形態において、ボルト穿孔用ドリル111で高力ボルトBに途中までの下孔2を穿孔した後に、更にコンクリートドリル113でコンクリート床板Fを所定深さまで穿孔して必要な深さの完全な下孔2にするようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、高力ボルトBとコンクリート床板Fの両方に対して共通のドリルを用いるのであれば、高力ボルトBとコンクリート床板Fとを連続的に穿孔して下孔2を形成するようにしてもよい。
また、ボルト穿孔用ドリル111で下孔2を途中まで穿孔した後に大径孔3を穿孔し、さらにコンクリートドリル113で所定深さまで穿孔して所定深さの下孔2を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、ボルト穿孔用ドリル111及びコンクリートドリル113で所定深さの下孔2を穿孔した後に、大径孔3を穿孔するようにしたり、段付きドリルを用いて所定深さの下孔2と大径孔3とを連続的に穿孔するようにしたりしてもよい。
上記実施形態において、エンドミル112で大径孔3を穿孔するようにしたが、これに限定されるものではなく、ボルト穿孔用ドリル111よりも大径のドリルで大径孔3を穿孔するようにしても勿論よい。但し、後工程でワンサイドボルト100の頭部101b側を挿入するための空間4を形成しなければならないので、係合部材114の振動及び回転をコンクリート床板Fに作用させる頭部101bを残すようにして大径孔3を穿孔することは勿論のことである。
上記実施形態において、大径孔3の内径をボルト孔Hの穴径以上(ネジ部Sの外径の1.2〜1.3倍程度の穴径)にしたが、これに限定されるものではなく、大径孔3の内径はネジ部Sの外径以上であればよい。即ち、下穴2がネジ部Sよりも小径であるので、内径がネジ部Sの外径以上の大径孔3を形成すれば、鋼板P1,P2,A3側の頭部Dの端面が大径孔3内に露呈することになり、係合部材114の先端部を係合することができる。従って、ネジ部Sと同径のドリルで穿孔すれば、当該ネジ部Sが除去されることになるので、該ネジ部Sが挿入されていたボルト孔Hを大径孔3として活用することができる。
上記実施形態において、大径孔3を穿孔するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、高力ボルトBを貫通するように、ネジ部Sよりも小径の下孔2を穿孔した後、そのまま鋼板P1,P2,A3に穿設されたボルト孔Hに係合部材114を挿入し、該係合部材114の先端部と締結ボルトBとを係合させ、係合部材114を回転させつつ振動させるようにしてもよい。この場合、ネジ部Sが残存する場合には、係合部材114はネジ部Sと係合し、ネジ部Sが残存していない場合には、係合部材114は頭部Dと係合することになる。従って、締結ボルトBに係合した係合部材114を回転させつつ振動させると、該回転及び振動が頭部Dを介してコンクリート床板Fに伝達され、上記実施形態と同様に、下孔2側からコンクリート床板Fが崩れることになるので、残存する締結ボルトBを所定位置に押しやってワンサイドボルト100を挿入させるための空間4を形成することができる。但し、このようにすると、上述の如くボルト孔H内にネジ部Sが筒状になって残存する場合があり、係合部材114の付勢力や振動等を係合した筒状のネジ部Sに伝達すると、コンクリート床板Fに対する振動等の伝達効率が低下するので、作業効率を高めるのであれば、上記実施形態と同様に、大径孔3を穿孔して強固な頭部Dに振動等を伝達することが好ましい。
上記実施形態において、ワッシャWの回り止め及び高力ボルトBの回り止めを下孔2及び大径孔3の穿孔前にするようにしたが、これに限定されるものではなく、ワッシャWの回り止め及び高力ボルトBの回り止めは、例えば、必要に応じて行うようにすればよい。但し、一連の作業効率を鑑みれば、上記実施形態と同様に、ワッシャWの回り止め及び高力ボルトBの回り止めを行った後に、下孔2及び大径孔3の穿孔を行うことが好ましい。また、高力ボルトB(ネジ部S)の回り止めは、溶接に限定されるものではなく、例えば、高力ボルトBを鋼板P1,P2,A3に対して接着剤で固定したり、高力ボルトB(ネジ部S)とボルト孔Hとの間に楔を打ち込んで、高力ボルトBを鋼板P1,P2,A3に対して固定したりしてもよい。
上記実施形態において、係合部材114に中空軸状のものを採用し、頭部Dの下孔2と係合部材114の貫通孔とを連通させ、空間4を形成するに際して崩れ落ちたコンクリート材を外部に排出するようにしたが、これに限定されるものではなく、係合部材114を中実の軸状に構成し、該係合部材114の先端部を頭部D(高力ボルトB)に係合させ、係合部材114を回転させつつ振動させるようにしてもよい。この場合、下孔2側から崩れ落ちるコンクリート材を外部に排出することができないため、頭部Dの移動を阻害しないように、崩れ落ちたコンクリート材も収容できるスペースを確保できる深さで下孔2を穿孔することが好ましい。但し、下孔2の穿孔効率及び頭部Dの移動効率を鑑みれば、上記実施形態と同様に、頭部Dの下孔2と係合部材114の貫通孔とを介してコンクリート材を外部に排出することが好ましい。
また、上記実施形態において、係合部材114で高力ボルトBの頭部Dを所定位置まで押しやるに際し、バキューム装置によって崩れ落ちたコンクリート材を吸引するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、係合部材114の軸心方向の移動により、係合部材114の穴を介して崩れ落ちたコンクリート材を自然に排出するようにしてもよい。但し、頭部Dを垂直方向に移動させる場合には、自由落下によって崩れたコンクリート材が係合部材114内に入り込み、円滑に排出することができるが、頭部を水平方向に移動させる場合には、係合部材114の移動によってコンクリート材が貫通孔内に入り込むため、貫通孔内でコンクリート材が詰まるのを確実に防止するには、上記実施形態と同様に強制的に吸引することが好ましい。
破断した高力ボルトBと交換するワンサイドボルト100は、上記実施形態のものに限定されるものではなく、バルブスリーブ102aとグリップスリーブ102bとが一体化されたものや、二つの座金103,104が一体化されたもの等の周知のワンサイドボルトの何れを採用してもよい。
本発明の一実施形態に係るコンクリート床板に頭部が埋め込まれた高力ボルトの交換方法が採用される構造物の一例であって、高力ボルトでボックス桁と連結板とを締結した部分を示す。 図1の部分拡大断面図であって、頭部がコンクリート床板に埋設された高力ボルトでボックス桁と連結板とを締結した部分を示す。 同実施形態に係るコンクリート床板に頭部が埋め込まれた高力ボルトの交換方法に用いるワンサイドボルトの分解斜視図を示す。 同実施形態に係るコンクリート床板に頭部が埋め込まれた高力ボルトの交換方法の工程図であって、(イ)は、頭部がコンクリート床板に埋め込まれた状態で遅れ破壊した高力ボルトを示し、(ロ)は、ワッシャ用の回り止めピンを打ち込むための小径穴を穿孔している状態を示し、(ハ)は、小径穴にワッシャ用の回り止めピンと打ち込むと共に、残存する高力ボルトを鋼板に溶接した状態を示し、(ニ)は、残存する高力ボルトに下穴を穿孔する状態を示す。 同実施形態に係るコンクリート床板に頭部が埋め込まれた高力ボルトの交換方法の工程図であって、(イ)は、図4(ニ)に示す工程で穿孔された下穴にエンドミルを挿入して大径孔3を穿孔する状態を示し、(ロ)は、大径孔3を穿孔した後に、コンクリート床板を所定深さまで穿孔して、図4(ニ)に示す工程で途中まで穿孔した下穴を完全な下穴に形成する状態を示し、(ホ)は、(イ)に示す工程で穿孔した大径孔3に係合部材を挿入して該係合部材と残存する頭部とを係合させた状態を示し、(ヘ)は、係合部材に振動を与えつつ該係合部材を回転させてコンクリート床板を下穴側から崩していく状態を示す。 同実施形態に係るコンクリート床板に頭部が埋め込まれた高力ボルトの交換方法の工程図であって、(イ)は、図5(ニ)の状態から更に頭部を押しやって、頭部とワッシャとの間に空間が形成された状態を示し、(ロ)は、ワンサイドボルトを大径孔3に挿入した状態を示し、(ハ)は、ワンサイドボルトのナットを回転させ、バルブスリーブが助序に塑性変形してバルビング部が形成されると共に、シャー座金が剪断してスリーブが受座金内に入り込んだ状態を示し、(二)は、破断溝でコアピンの先端側が分断してバルビング部とナットとの間で鋼板が締結された状態を示す。
符号の説明
1…小径孔、2…下孔、3…大径孔、4…空間、100…ワンサイドボルト、101…コアピン、101a…軸部、101a' …非ネジ部、101a''…雄ネジ部、101a''' …テール部、101b…大径部、102…スリーブ、102a…バルブスリーブ、102a' …バルビング部、102b…グリップスリーブ、103…シャー座金、104…受座金、105…ナット、110…小径ドリル、111…ボルト穿孔用ドリル、112…エンドミル、113…コンクリートドリル、114…係合部材、200…ピン、A1,A2…ボックス桁、A3…連結板(鋼板:被締結材)、P1,P2…天板(鋼板:被締結材)、B…高力ボルト、D…頭部、S…ネジ部、F…コンクリート床板、H…ボルト孔、N…ナット、W…ワッシャ

Claims (8)

  1. 被締結材に穿設された貫通したボルト孔にネジ部が挿入されると共に、被締結材と密接するように施工されたコンクリート材に頭部が埋め込まれた締結ボルトの交換方法であって、被締結材側から締結ボルトを貫通してコンクリート材を所定深さまで穿孔し、ネジ部よりも小径の下孔を締結ボルトと略同心で形成する下孔形成工程と、該下孔形成工程の後、被締結材側から軸状の係合部材を締結ボルトと略同心で挿入し、該係合部材の先端部を締結ボルトに対して軸心方向の力を伝達可能で且つ軸心回りのトルク伝達可能に係合させた後に、該係合部材を軸心回りで回転させつつ振動させ、締結ボルトを軸心方向の所定位置に押しやって該締結ボルトと被締結材との間に空間を形成する空間形成工程と、該空間形成工程の後、軸部の一端に大径部が連設されたコアピンを、前記大径部と該大径部に隣接するように軸部に外嵌された筒状のスリーブとが前記空間に到達するように挿入し、前記軸部の他端側にナットを螺合して空間内でスリーブを鍔状に圧縮変形させてバルビング部を形成し、該バルビング部とナットとの間で被締結材を締結する再締結工程とを備えていることを特徴とするコンクリート材に頭部が埋め込まれた締結ボルトの交換方法。
  2. 前記下孔形成工程は、残存する締結ボルトを全長に亘ってボルト穿孔用ドリルで穿孔する第一下孔形成工程と、該第一下孔形成工程の後、前記ボルト穿孔用ドリルと同径のコンクリートドリルでコンクリート材を所定深さまで穿孔する第二下孔形成工程とで前記下孔を形成するようにした請求項1記載のコンクリート材に頭部が埋め込まれた締結ボルトの交換方法。
  3. 前記空間形成工程の前に、前記頭部の被締結材側の端面の少なくとも一部が露呈するように被締結材を穿孔し、内径がネジ部の外径以上で且つ頭部よりも小径の大径孔をネジ部と略同心で形成する大径孔形成工程を更に備えている請求項1又は2記載のコンクリート材に頭部が埋め込まれた締結ボルトの交換方法。
  4. 前記大径孔形成工程は、前記下孔形成工程で穿設した下孔にエンドミルを挿入し、頭部の端面が露呈するように前記エンドミルで下孔の内周面を切削して前記大径孔を形成するようにした請求項3記載のコンクリート材に頭部が埋め込まれた締結ボルトの交換方法。
  5. 前記大径孔形成工程の前に、頭部と被締結材との間に介設されたワッシャと被締結材とを連通させる小径孔を被締結材側から穿孔し、該小径孔にピンを嵌入してワッシャの回り止めを行うワッシャ回止工程を更に備えている請求項3又は4記載のコンクリート材に頭部が埋め込まれた締結ボルトの交換方法。
  6. 前記大径孔形成工程の前に、前記締結ボルトのネジ部を被締結材に対して回り止めを行うボルト回止工程を更に備えている請求項3乃至5の何れかに記載のコンクリート材に頭部が埋め込まれた締結ボルトの交換方法。
  7. 前記空間形成工程は、締結ボルトに形成された下孔と中空軸状の係合部材の貫通孔とを連通させると共に、締結ボルトに対して係合部材の先端部を軸心方向の力を伝達可能で且つ軸心回りのトルク伝達可能に係合させた後、係合部材を回転させつつ振動させるようにした請求項1乃至6記載のコンクリート材に頭部が埋め込まれた締結ボルトの交換方法。
  8. 前記空間形成工程は、後端側がバキューム装置に流体的に接続された前記係合部材の先端部を締結ボルトと係合させ、バキューム装置を作動した状態で、係合部材を回転させつつ振動させるようにした請求項7記載のコンクリート材に頭部が埋め込まれた締結ボルトの交換方法。
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