JP4424643B2 - 抗真菌剤の製造方法 - Google Patents

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    • C12R2001/46Streptococcus ; Enterococcus; Lactococcus

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンテロコッカス(Enterococcus)属に属する微生物が産生する物質を含有する糸状菌に対する抗真菌剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンテロコッカス属に属する微生物の抗菌性については、これまでにいくつかの報告がなされている。例えば特開平5−97689号公報(特許文献1)には、有効成分としてエンテロコッカス属に属する微生物の菌体又はその処理物を含有する感染防御剤が記載されている。また、特開平9−263539号公報(特許文献2)には、乳酸菌及びその処理物を有効成分とする皮膚疾患治療剤が記載されている。これらの公報の実施例で具体的に使用されている菌株はエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)NF−1011であり、カンジダなどの真菌に対する抗菌剤として使用できる旨記載されている。当該公報には、菌の産生物ではなく菌体そのものを用いること、すなわち、死菌体又は生菌体、あるいは菌体に磨砕、水抽出などの処理を施したものを内服することが記載されている。
【0003】
また、特開2000−300284号公報(特許文献3)には、エンテロコッカス・フェカリスが産生するフェニル乳酸が抗菌性を有することが記載されている。当該フェニル乳酸は、出血性大腸菌O−157やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)などの有害菌に対して強い抗菌性を示すことが記載されている。さらに、エンテロコッカス・フェカリスTH−10の抗MRSA活性については酪農科学・食品の研究(Japanese Journal of Dairy and Food Science) vol. 45, No. 4, A93-A96 (1996)(非特許文献1)に、抗O−157活性についてはミルクサイエンス(Milk Science) vol. 49, No. 2, 81-86 (2000)(非特許文献2)に、それぞれ記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−97689号公報 (特許請求の範囲、0005欄、0007欄、0015欄)
【特許文献2】
特開平9−263539号公報 (特許請求の範囲、0011欄、0013欄)
【特許文献3】
特開2000−300284号公報 (特許請求の範囲)
【非特許文献1】
大平猪一朗、外4名、「マレーシア発酵食品Temphから単離された乳酸菌Enterococcus faecalis TH10の培養液中に産生される抗MRSA活性」、酪農科学・食品の研究、日本酪農科学会、平成8年、第45巻、第4号、p.A93−A96
【非特許文献2】
大平猪一朗、外5名、「マレーシア発酵食品tempehから単離された乳酸菌Enterococcus faecalis TH10が産生する抗E. coli O-157活性成分の精製」ミルクサイエンス、日本酪農科学会、平成12年、 第49巻、第2号、p.81−86
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記各公報には、エンテロコッカス・フェカリスが抗菌性を有することが記載されている。当該微生物がO−157やMRSAなどの細菌に対して有効であることや、真菌のうちでも酵母であるカンジダに対して有効であることは記載されているものの、糸状菌に分類される真菌に対して有効であることについては記載されていない。
【0006】
糸状菌、特に白癬菌は、白癬と称されるものに代表される多くの皮膚疾患の原因となる真菌であり、それに対する有効な抗真菌活性を有する薬剤が望まれているところである。白癬菌は、通常ヒトを含む哺乳動物の表皮角質層、毛、爪といったケラチン組織に感染する皮膚糸状菌である。白癬菌は、次の3属に分類される。トリコフィトン(Trichophyton:和名:白癬菌)、マイクロスポラム(Microsporum:和名:小胞子菌)、エピデルモフィトン(Epidermophyton:和名:表皮菌)である。日本医真菌学会疫学調査委員会によれば白癬の起因菌の頻度は、トリコフィトン・ルブラム(Trichophyton rubrum)(70.5%)とトリコフィトン・メンタグロファイト(Trichophyton mentagrophytes)(26.8%)の2菌種でほぼ100%を占め、マイクロスポラム・カニス(Microsporum canis)、エピデルモフィトン・フロコサム(Epidermophyton floccosum)、マイクロスポラム・ジプシウム(Microsporum gypseum)、トリコフィトン・グラブラム(Trichophyton glabrum)、トリコフィトン・ベルコサム(Trichophyton verrucosum)がこの順序で続くとされている。
【0007】
イミダゾール化合物やその他の抗生物質のような臨床的に有効な抗真菌剤の幅広い利用にもかかわらず、副作用のない有効で斬新な抗真菌剤への要求は現在も未だに続いている。白癬の治療においては、長期間に亘って連用する必要があることが多いこともあって、安全性の観点から合成医薬品を使用することを躊躇する患者が多いのも事実である。
【0008】
また、糸状菌の中には有用な植物の生育の障害になるものがある。例えば白紋羽菌(Rosellinia necatrix)や紫紋羽菌(Helicobasidium mompa)は、果樹等の植物の根付近の土壌中で繁殖し、その生育を妨害する。また、フザリウム菌(Fusarium oxysporum)やピシウム菌(Pythium graminicola)は、水稲の苗立枯病や、芝生が局所的に枯れる現象の原因菌であるし、イモチ病菌(Pyricularia oryzae)は、水稲におけるイモチ病の原因菌である。
【0009】
このように、植物の生育の障害になる糸状菌に対しても、合成化学物質に代表される各種の有効な抗真菌剤が知られている。しかしながら、このような合成化学物質は農産物へ残留して人体へ悪影響を及ぼすおそれがある。また、土壌や河川など、周辺環境を汚染するおそれもある。したがって、そのような問題のない安全な抗真菌剤が求められているところである。
【0010】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、安全かつ有効な糸状菌に対する抗真菌剤を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、炭水化物及び蛋白質を含む植物原料にエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)TH−10を接種する工程、及び、引き続き1週間以上発酵させて乳酸、酢酸、マロン酸及びシュウ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸を産生させる工程を有することを特徴とする糸状菌に対する抗真菌剤の製造方法を提供することによって達成される。このとき前記糸状菌が白癬菌であることが好適である。また、前記糸状菌が白紋羽菌(Rosellinia necatrix)、紫紋羽菌(Helicobasidium mompa)、フザリウム菌(Fusarium oxysporum)、ピシウム菌(Pythium graminicola)及びイモチ病菌(Pyricularia oryzae)からなる群から選択されるいずれかの菌である場合も好適である。
【0012】
本発明の方法で製造される抗真菌剤pHが6以下であること好ましい。本発明の方法で製造される抗真菌剤の好適な用途は、皮膚塗布用剤、農薬又は土壌改良剤である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の抗真菌剤は、エンテロコッカス属に属する微生物が産生する物質を含有することを特徴とする糸状菌に対する抗真菌剤である。本発明において、抗真菌活性を有する物質を産生させるのに用いられる微生物はエンテロコッカス属に属する微生物である。本属に属する微生物が産生する物質が糸状菌に対する抗真菌活性を有することを見出したものである。
【0015】
エンテロコッカス属に属する微生物としては、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシアム(Enterococcus faecium)などが例示されるが、これらのうちでも、エンテロコッカス・フェカリスであることが好適である。また、当該微生物が、培養あるいは発酵中に乳酸を産生する、いわゆる乳酸菌であることも好適である。このような微生物は、多くの場合、人間の腸内などに常在しても悪影響のない安全性の高い細菌であり、これらの産生する物質もまた安全性が高いことが多いものである。
【0016】
なかでも、本発明で使用することが最も好適な菌株はエンテロコッカス・フェカリスTH−10である。エンテロコッカス・フェカリスTH−10は、(独)産業技術総合研究所特許生物寄託センターでは受託拒否に該当するものであるが、本件出願人がその分譲について保証する。エンテロコッカス・フェカリスTH−10は、本発明者らがマレーシアの発酵食品であるテンペ(Tempeh)から単離したものである(酪農科学・食品の研究(Japanese Journal of Dairy and Food Science) vol. 39, No. 4, A115-A121 (1990))。食品中に含有される乳酸菌であることから、この細菌の人体に対する安全性は十分である。
【0017】
エンテロコッカス・フェカリスTH−10の菌学的性質は以下のとおりである。
Figure 0004424643
Figure 0004424643
【0018】
上記微生物の産生する物質が、糸状菌に対して有効な抗真菌活性を有するものである。本発明の抗真菌剤の対象となる糸状菌は特に限定されず、白癬菌、白紋羽菌(Rosellinia necatrix)、紫紋羽菌(Helicobasidium mompa)、フザリウム(Fusarium oxysporum)、ピシウム(Pythium graminicola)、イモチ病菌(Pyricularia oryzae)などが例示される。
【0019】
白癬菌は、皮膚疾患である白癬の起因菌であり、通常、表皮角質層、毛、爪などのケラチン組織に感染する。本発明の抗真菌剤は、このような白癬菌に対して有効である。白癬菌は、通常トリコフィトン(Trichophyton)属、マイクロスポラム(Microsporum)属及びエピデルモフィトン(Epidermophyton)属の3属に分類されるが、これらのうち、白癬の起因菌の頻度として特に高いトリコフィトン(Trichophyton)属に対して有効である。さらに具体的にはトリコフィトン・ルブラム(Trichophyton rubrum)及びトリコフィトン・メンタグロファイト(Trichophyton mentagrophytes)に対して特に有効である。
【0020】
また、植物の生育の障害になる糸状菌に対しても本発明の抗真菌剤は有効である。そのような糸状菌としては、白紋羽菌(Rosellinia necatrix)、紫紋羽菌(Helicobasidium mompa)、フザリウム菌(Fusarium oxysporum)、ピシウム菌(Pythium graminicola)及びイモチ病菌(Pyricularia oryzae)が、代表的なものとして例示される。
【0021】
本発明の抗真菌剤は、エンテロコッカス属に属する微生物が産生する物質を含有するものであるが、微生物に当該物質を産生させる方法は特に限定されない。原料となる栄養源を与えて微生物を生育させる途中で微生物が菌体外に当該物質を放出しさえすればよい。無菌条件下で調製した培地中で培養しても良いし、開放条件下で発酵させても良い。
【0022】
無菌条件下で培養するために調製される培地に対しては、通常、糖やアミノ酸など、滅菌された高価な原料を使用する場合が多い。また、培地調製操作や培養操作も無菌条件下で行う必要があることから、長期間にわたる培養を行うのであれば、その設備費用も多大なものになる。したがって、これらの点からは開放条件下で発酵させる方が好ましい。
【0023】
発酵させる場合の原料は特に限定されるものではないが、天然物をその原料とすることが患者の要求に合致するし、生産コストの面からも有利である。具体的には炭素源及び窒素源となる成分、好適には炭水化物及び蛋白質を含有する原料にエンテロコッカス属に属する微生物を接種して発酵させる方法が好適である。炭水化物及び蛋白質を含む天然原料、特に植物原料としては、米、麦、とうもろこしなどの穀類や、さとうきび、豆類、種子類などが例示され、それらの加工品である米ヌカ、菜種油粕、糖蜜などを使用することもできる。
【0024】
上記原料に適宜水を加えた中にエンテロコッカス属に属する微生物を接種して発酵を開始させる。発酵の過程で発酵臭が発生して、製品の匂いが好ましくないものになる場合には、芳香性の植物原料を香りの調整のために原料として追加使用することが好ましい。このような植物原料は芳香成分を有しておれば特に限定されるものではないが、ラベンダー、レモンバーム、ヨモギなどが好適なものとして例示される。本発明の抗真菌剤の好適な実施態様のひとつは人体に対して使用されるものであり、例えば皮膚に塗布するのであれば、その匂いの良否は患者にとって重要である。特に白癬の治療においては長期に亘って塗布を継続する必要がある場合が多いことから、薬剤の匂いに抵抗があるようでは、長期連用の妨げとなってしまう。また、肌に優しい成分を含むとされているビワの葉などを原料として追加使用することも好ましい。ただし、農薬や土壌改良剤などとして使用される場合には、このような芳香性の植物原料や、ビワの葉などは特に必要ではない。
【0025】
発酵の条件は特に限定されるものではない。特に滅菌処理を施すことなく調製された原料に、エンテロコッカス属に属する微生物を接種して発酵させる。発酵温度は、15〜40℃とすることが好ましい。発酵時間は、用途や原料などによって適宜調整されるが、通常1週間以上、好適には1月以上、より好適には3月以上の期間をかけて発酵させる事が好ましい。発酵期間中、エンテロコッカス属に属する微生物以外の微生物が混入した状態で発酵が進行しても、当該微生物が優勢であれば特に問題はない。
【0026】
本発明の抗真菌剤は、上記発酵あるいは培養などによって得られるものであるが、それに含まれる抗真菌物質は、エンテロコッカス属に属する微生物が産生したものであって、発酵あるいは培養操作中に菌体外に放出されるものである。したがって、菌体そのものが有用であるということではなく、品質保持のために、抗真菌物質を産生させた後に加熱などによって殺菌しても良い。また、不要な固形物は品質の均質化の妨げになるし、例えば皮膚塗布用に使用するのであれば滑らかな塗布の妨げにもなることから、抗真菌物質を産生させた後に遠心分離や濾過などによって不溶物を除去することが好ましい。このとき同時に菌体を除去しても良い。
【0027】
こうして得られた抗真菌剤は、乳酸、酢酸、マロン酸及びシュウ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸を含有することが好ましい。これらのカルボン酸を含有することでpHが低く保たれることもあって抗真菌活性がより効果的に発揮される。本発明の抗真菌剤は、いわゆる乳酸発酵して得られたものが好適であり、乳酸に加えて更に他のカルボン酸を同時に含有することがより好ましい。また、抗真菌活性の点からは、酢酸又はマロン酸を含有することがより好ましい。乳酸、酢酸、マロン酸及びシュウ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸の好適な含有量は、用途によっても異なるが、通常、合計で1mM(mmol/l)以上、好適には10mM(mmol/l)以上である。
【0028】
また、本発明の抗真菌剤はpHが6以下であることが好ましい。後の実施例でも示すように、発酵液を重曹で中和してpHを6.65にしたものについては、抗真菌活性が低下している。前記カルボン酸を含有することにも関連し、酸性物質が抗真菌活性に関与している可能性が高いと考えられる。抗真菌剤のpHはより好適には5以下である。また、皮膚に塗布することを考慮するとあまりにも酸性度が高すぎると皮膚刺激が強すぎるので、通常pHは1以上、好適には2以上、より好適には3以上である。
【0029】
本発明の抗真菌剤の用途は、糸状菌に対抗すべき用途であれば特に限定されない。動物を宿主とする糸状菌によって引き起こされる疾患を治療するために用いることもできるし、植物を宿主とする糸状菌(例えば植物の根で繁殖する紋羽菌など)を駆除するために、農薬として、あるいは土壌改良剤などとして用いることもできる。
【0030】
なかでも白癬菌などの糸状菌によって引き起こされる皮膚疾患に対する皮膚塗布用剤であることが好適な実施態様である。皮膚塗布用剤としては、前述のようにして製造された発酵液をそのまま使用しても良いが、適宜濃縮又は希釈したり、他の成分を添加したりしても良い。添加される他の成分は特に限定されないが、オイルやワックスなどの各種基材、香料、ビタミン、安定剤などを配合することができる。
【0031】
また、植物を宿主とする糸状菌に対する農薬、例えば殺菌剤も好適な実施態様である。また、そのような糸状菌の悪影響を防止するための土壌改良剤も好適な実施態様である。
【0032】
白紋羽菌(Rosellinia necatrix)は、ブドウ、ナシ、ビワなどが感染して、白紋羽病を引き起こす原因菌であり、紫紋羽菌(Helicobasidium mompa)は、モモ、リンゴなどに感染して、紫紋羽病を引き起こす原因菌である。これらの糸状菌は果樹等の植物の根付近の土壌中で繁殖し、その生育を妨害する。これらの糸状菌に対して本発明の抗真菌剤は有効であるから、果樹用の農薬、あるいは果樹園の土壌に対する土壌改良剤として有用である。使用に際しては、必要に応じて適宜希釈した上で、果樹付近の土壌中に灌注する方法や、根の部分に直接塗布する方法が例示される。
【0033】
フザリウム菌(Fusarium oxysporum)は、イネ科の植物の主に根の部分に感染して、水稲の苗立枯病や芝生のフザリウムパッチ(ゴルフ場などで局所的に枯れた部分)を引き起こす原因菌であり、ピシウム菌(Pythium graminicola)も、イネ科の植物の主に根の部分に感染して、水稲の苗立枯病や根腐れ病、芝生のピシウムブライト(ゴルフ場などで局所的に枯れた部分)を引き起こす原因菌である。また、イモチ病菌(Pyricularia oryzae)は、水稲におけるイモチ病の原因菌である。したがって、これらイネ科の植物に対する農薬としても本発明の抗真菌剤は有用である。より具体的には水稲あるいは芝生用の、殺菌剤又は土壌改良剤として有用である。使用に際しては、必要に応じて適宜希釈した上で、対象植物に対して直接散布しても良いし、土壌に灌注しても良い。
【0034】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1で使用した発酵液は、(株)バイオバンクが「植物発酵液」という商品名で市販しているものである。これは、以下のようにして製造されたものである。
【0035】
発酵のための原料は、糖蜜(正友興業(株)製)、米ヌカ(精米店から入手)、菜種油粕(加藤製油(株)製)を主原料とし、ビワの葉、ラベンダー、レモンバーム、ヨモギを副原料としたものである。これらに水を加え、撹拌したものを原料とした。これに、エンテロコッカス・フェカリスTH−10をオキソイド社(Oxoid Ltd.)製液体MRS培地に接種して37℃で2日間培養したものをスターターとして上記原料に接種、撹拌して発酵を開始させた。
【0036】
上記原料の配合量を配合後の原料組成物の1リットル当たりの重量(g)で表現すると以下の通りである。
糖蜜 400.0g/リットル
米ヌカ 10.0g/リットル
菜種油粕 10.0g/リットル
ビワの葉 12.0g/リットル
ラベンダー 0.3g/リットル
レモンバーム 0.3g/リットル
ヨモギ 0.7g/リットル
スターター 40.0g/リットル
【0037】
ここで、糖蜜、米ヌカ、菜種油粕は、原料の大部分を占める成分であって、炭水化物、蛋白質及び脂質を微生物に提供するものである。特に、糖蜜は炭水化物を供給するのに、米ヌカ及び菜種油粕は蛋白質を供給するのに役立つものである。ラベンダー、レモンバーム、ヨモギは発酵液の香りを調整するために少量成分として添加されたものである。また、ビワの葉は、肌を保護するための成分として少量添加されたものである。
【0038】
開放条件下、室温で3ヶ月間発酵を行い、その間、1週間に2回の割合で撹拌した。発酵期間中、エンテロコッカス・フェカリスTH−10以外の乳酸菌も発酵液中に混じって存在していたが、顕微鏡観察したところでは、エンテロコッカス・フェカリスTH−10が終始優勢であった。
【0039】
「植物発酵液」は、このようにして得られた発酵液を濾過して、不溶物を分離除去して得られたものである。そのpHは3.7〜3.8であった。
【0040】
上記「植物発酵液」の中に含まれるカルボン酸を分析した。カルボン酸の分析は、オクタデシル基結合シリカゲル(ODS)カラムを装着した高速液体クロマトグラフィーを用い、UV検出器で214nmの吸光度を測定して行った。移動相には、10mM(mmol/l)のリン酸2水素カリウムを含みリン酸でpHを2.3に調整した水溶液を使用し、流速は0.7ml/minとした。移動相に使用した水溶液で10倍に希釈した試料を、0.22μmのメンブレンフィルターで濾過してから、10μl注入して測定した。各カルボン酸は標準物質の保持時間と比較することにより決定した。
【0041】
上記分析の結果、「植物発酵液」は4種類の主要なカルボン酸を含有することがわかった。そのカルボン酸は、得られたクロマトグラムの保持時間からシュウ酸、マロン酸、乳酸、酢酸であった。これらカルボン酸の濃度は、シュウ酸が35.7mM、マロン酸が266mM、乳酸が296mM、酢酸が300mMであった。なお、この濃度は、遊離のカルボン酸と塩を形成しているカルボン酸の合計の濃度である。また、以下の実施例1での試験培地中の濃度はこの濃度の1/10である。後述するように、実施例1の試験培地のpHが、4.01であるのに対し、単純に上記カルボン酸を同程度の量配合した培地(比較例9)のpHは2.70であり、その酸性度は大きく相違していた。したがって、「植物発酵液」中のカルボン酸のかなりの部分は塩を形成していることが示唆される。
【0042】
また、以下の実施例で使用した真菌は以下のようにして入手したものである。トリコフィトン・ルブラム(Trichophyton rubrum)は、大阪中央微生物検査所から購入したものを使用した。トリコフィトン・メンタグロファイト(Trichophyton mentagrophytes; IFO No.5466)は(財)発酵研究所から購入したものを使用した。カンジダ菌(Candida albicans; IFO No.1060)は、(財)発酵研究所から購入したものを使用した。白紋羽菌(Rosellinia necatrix)は、岡山県農業試験場から分譲していただいたものを使用した。紫紋羽菌(Helicobasidium mompa; IFO No.31651)は、(財)発酵研究所から購入したものを使用した。フザリウム菌(Fusarium oxysporum; IFO No.32203)は、(財)発酵研究所から購入したものを使用した。ピシウム菌(Pythium graminicola; IFO No.32330)は、(財)発酵研究所から購入したものを使用した。また、イモチ病菌(Pyricularia oryzae; IFO No.31175)は、(財)発酵研究所から購入したものを使用した。
【0043】
実施例1
試料の抗真菌活性は、平板希釈法により検討した。標準培地としてサブロー(Sabourand)寒天培地を調製した。培地の組成は、以下のとおりである。
ブドウ糖 40g
ポリペプトン 10g
寒天 15g
蒸留水 1000ml
【0044】
前述の「植物発酵液」を121℃、15分間オートクレーブ処理してから、遠心分離して沈殿を取り除き、上清を得た。得られた上清2mlを滅菌シャーレに入れ、そこにオートクレーブ処理した標準培地18mlを流し込み、すばやく穏やかに撹拌し、寒天が固まるまで放置して、試料培地を作製した。この試料培地のpHは4.01であった。
【0045】
前記2種類の白癬菌(Trichophyton rubrum及びTrichophyton mentagrophytes)は、別途標準培地に植菌し、28℃の培養器で10日間前培養した。こうして前培養した白癬菌を、それぞれ前記「植物培養液」を混合した試料培地に植菌した。植菌に際しては、5mmのコルクボーラーを火炎滅菌し、そのコルクボーラーで白い菌叢の周辺部分からディスク状の菌叢をくり抜き、この菌叢ディスクを注意深く扱って「植物培養液」を混合した寒天培地の中央に移した。このとき、菌糸が直接培地と接触するように逆さまにして植菌した。植菌後、28℃で12日間培養してから、菌叢の直径を測定した。結果を表1にまとめて示す。表中、抗真菌活性(%)の値は、以下の式によって求めた数値である。
抗真菌活性(%)=100−[(x−5)/(y−5)]×100
式中、xは試料培地で培養後の菌叢直径(mm)、yは標準培地で培養後の菌叢直径(mm)であり、5(mm)はコルクボーラーでくり抜いた菌叢の直径に相当する数値である。
【0046】
実施例2
実施例1において、「植物発酵液」をそのまま使用する代わりに、「植物発酵液」に重曹を添加して中和したものを使用し、これを実施例1と同様にオートクレーブ処理してから、遠心分離して沈殿を取り除き、上清を得た。この上清を使用して、実施例1と同様に作製した試料培地に対して、実施例1と同様にして2種類の白癬菌を植菌して培養した。この試料培地のpHは6.65であった。試験結果を表1にまとめて示す。
【0047】
比較例15
実施例1において、「植物発酵液」を使用する代わりに、エンテロコッカス・フェカリスTH−10を接種したMRS液体培地を37℃、2日間培養した後、菌体を含む固形分を遠心分離して除去した上清(TH-10-broth)を得た。TH-10-brothのpHは4.7であった。この上清を使用して、実施例1と同様に作製した試料培地に対して、実施例1と同様にして2種類の白癬菌を植菌して培養した。この試料培地のpHは4.92であった。試験結果を表1にまとめて示す。
【0048】
比較例1
実施例1で作製した試料培地の代わりに、オートクレーブ処理した標準培地(サブロー(Sabourand)寒天培地)20mlのみからなる培地を使用して、実施例1と同様にして2種類の白癬菌を植菌して培養した。試験結果を表1にまとめて示す。
【0049】
比較例2
実施例1で作製した試料培地の代わりに、0.22μmのメンブレンフィルターで滅菌濾過した50mMフタル酸水素カリウム緩衝液に1規定の塩酸を加えてpH調整したもの(pH1.50)2mlを標準培地18mlに配合して調製した培地を使用した以外は、実施例1と同様にして2種類の白癬菌を植菌して培養した。このときの培地のpHは3.80であった。試験結果を表1にまとめて示す。
【0050】
比較例3
実施例1で作製した試料培地の代わりに、0.22μmのメンブレンフィルターで滅菌濾過した100mMクエン酸−NaOH緩衝液(pH3.65)2mlを標準培地18mlに配合して調製した培地を使用した以外は、実施例1と同様にして2種類の白癬菌を植菌して培養した。このときの培地のpHは4.05であった。試験結果を表1にまとめて示す。
【0051】
比較例4
実施例1で作製した試料培地の代わりに、0.22μmのメンブレンフィルターで滅菌濾過した大源製薬(株)製の水虫治療薬「エフゲン」2mlを標準培地18mlに配合して調製した培地を使用した以外は、実施例1と同様にして2種類の白癬菌を植菌して培養した。水虫治療薬「エフゲン」は、100ml中に有効成分として、ウンデシレン酸3.0g、サリチル酸4.0gを含有する液体である。試験結果を表1にまとめて示す。
【0052】
【表1】
Figure 0004424643
【0053】
以上の試験結果からわかるように、エンテロコッカス・フェカリスTH−10発酵液を使用した実施例1では、標準培地を使用した比較例1と比べて明白な抗真菌活性が認められる。カルボン酸を有効成分とする市販の水虫治療薬である「エフゲン」を使用した比較例4と比較してもほぼ同等の抗真菌活性が得られることが判明した。一方、当該発酵液を中和した実施例2では、実施例1に比べて抗真菌活性が部分的に低下したことから、酸性に保ったままで使用する方が有効であることがわかった。また、エンテロコッカス・フェカリスTH−10を短期間培養した上清を使用した比較例15では、効果が十分ではなく、抗真菌物質の産生には、長期間の発酵が有効であることがわかった。比較例2及び3に示すように、フタル酸やクエン酸の緩衝液でpHを同程度に調整しただけでは、実施例1に比べてその抗真菌活性は十分ではない。これは、単に酸性に保っていることで抗真菌活性を有しているのではなく、当該発酵液には独自の抗真菌物質が含まれている可能性を示唆するものである。なお、中和することで効果が低下することから、酸性基を有するものである可能性が高いものと推定される。
【0054】
実施例4
「植物発酵液」を121℃、15分間オートクレーブ処理した後で、滅菌水を用いて適宜希釈した液2mlを標準培地18mlと混合して、実施例1と同様にして1/200(固形分濃度1.73mg/ml)〜1/10(固形分濃度34.6mg/ml)の各濃度の試料培地を調製した。ここで、1/10は滅菌水で希釈していない実施例1と同じ濃度である。なお、「植物発酵液」の固形分濃度は凍結乾燥することにより測定したものであり、34.6重量%であった。これらの各濃度の試料培地を用いて、実施例1と同様にして2種類の白癬菌を植菌して培養した。試験結果を図1に図示する。
【0055】
図1に示されるように、「植物発酵液」中の固形分を34.6mg/ml(実施例1:10倍希釈に相当)含む培地の場合、トリコフィトン・ルブラム(Trichophyton rubrum)とトリコフィトン・メンタグロファイト(Trichophyton mentagrophytes)の両方で十分な抗真菌活性を認めた。「植物発酵液」を17.3mg/ml含む培地では、トリコフィトン・ルブラムに対しては約50%の抗真菌活性を示したが、トリコフィトン・メンタグロファイトに対しては有意な抗真菌活性を示さなかった。また、6.92mg/ml以下の濃度では、白癬菌の増殖に影響を及ぼすような有意な抗真菌活性は示さなかった。
【0056】
実施例5
実施例1で2種類の白癬菌を植菌して培養した後の菌叢を、標準培地に移植して、28℃で12日間培養した。その結果、菌叢の増殖が見られなかったので、「植物発酵液」の抗真菌活性は静菌性のものではなく、殺菌性のものであることが判明した。
【0057】
比較例5〜9
実施例1で作製した試料培地の代わりに、0.22μmのメンブレンフィルターで滅菌濾過した下記水溶液2mlを標準培地18mlに配合して調製した培地を使用した以外は、実施例1と同様にして2種類の白癬菌を植菌して培養した。試験結果を表2にまとめて示す。
比較例5: シュウ酸36mM
比較例6: マロン酸300mM
比較例7: 乳酸300mM
比較例8: 酢酸300mM
比較例9: シュウ酸36mM+マロン酸300mM+乳酸300mM+酢酸300mM
【0058】
【表2】
Figure 0004424643
【0059】
表2からわかるように、カルボン酸、特にマロン酸及び酢酸に抗真菌活性が認められる。このことから、本発明における抗真菌効果発現の理由の一つがこのようなカルボン酸を含有するためであることが示唆される。なお、比較例9は、実施例1の試料が含有するカルボン酸根とほぼ同モル数の遊離のカルボン酸を含有する培地であるが、そのpH(2.70)は実施例1のpH(4.01)に比べて大きく低下している。したがって、実施例1ではカルボン酸根の多くが塩を形成しており、遊離のカルボン酸の量は比較例9に比べるとかなり少ないものと思われる。
【0060】
実施例6
実施例1で使用した「植物発酵液」に1規定の塩酸を加えて、pHを3.5に調整してから、ペプシン(pepsin)を1mg/mlの濃度になるように添加し、35℃で1.5時間、酵素処理した。得られた液を121℃、15分間オートクレーブ処理してから、遠心分離して沈殿を取り除き、上清を得た。この上清2mlを標準培地18mlと混合する以外は実施例1と同様にして2種類の白癬菌を植菌して培養した。試験結果を表3にまとめて示す。
【0061】
実施例7
実施例6において、酵素としてペプシン(pepsin)を使用する代わりにトリプシン(trypsin)を使用する以外は実施例6と同様にして2種類の白癬菌を植菌して培養した。試験結果を表3にまとめて示す。
【0062】
【表3】
Figure 0004424643
【0063】
表3からわかるように、トリコフィトン・ルブラム(Trichophyton rubrum)に対しては、実施例1と同様の抗真菌活性が認められた。しかしながら、トリコフィトン・メンタグロファイト(Trichophyton mentagrophytes)に対しては、ペプシン(pepsin)又はトリプシン(trypsin)のいずれのプロテアーゼで処理した場合にも抗真菌活性が低下した。このことから、本発明の抗真菌剤には、プロテアーゼで処理することによって分解されるポリペプチド(蛋白質あるいはオリゴペプチド)が含まれており、それが抗真菌活性を有していることが示唆されている。すなわち、本発明の抗真菌剤は、それが含有するカルボン酸とポリペプチドの相乗効果により糸状菌に対する抗真菌活性を発揮しているものと推定されるものである。
【0064】
比較例10
実施例1で使用した「植物発酵液」を用いて、糸状菌である白癬菌の代わりに、酵母であるカンジダ菌(Candida albicans)に対する抗真菌活性を評価した。標準培地としてYM培地を調整した。培地の組成は以下のとおりであり、そのpHは5.6であった。
グルコース 10g/リットル
ペプトン 5g/リットル
酵母エキス 3g/リットル
麦芽エキス 3g/リットル
寒天 15g/リットル
【0065】
「植物発酵液」を121℃、15分間オートクレーブ処理してから、遠心分離して沈殿を取り除き、上清を得た。得られた上清2mlを滅菌シャーレに入れ、そこにオートクレーブ処理した標準培地18mlを流し込み、すばやく穏やかに撹拌し、寒天が固まるまで放置して、試料培地を作製した。この試料培地のpHは4.05であった。
【0066】
カンジダ菌(Candida albicans)は、別途標準培地に植菌し、28℃の培養器で10日間前培養した。こうして前培養した白癬菌を、それぞれ前記「植物培養液」を混合した試料培地に植菌した。植菌に際しては、前培養した培地からコロニーを1白金耳採取し、生理食塩水9mlで希釈し、よく撹拌した後、滅菌した綿棒で前記試料培地と標準培地とに塗布し、24℃で24時間培養した。培養後に観察したところ、前記試料培地において、前記標準培地と同等の増殖を示した。この結果から、「植物発酵液」は、カンジダ菌に対しては、全く抗真菌活性を示さないことが明らかになった。
【0067】
実施例8
本実施例では、実施例1で使用した「植物発酵液」において、原料からビワの葉、ラベンダー、レモンバーム、ヨモギを除いた以外は同様の操作で発酵させた発酵液を使用した。本実施例の抗真菌剤が対象とする糸状菌は植物を宿主とするものであり、農薬や土壌改良剤として使用されるものであることから、上記成分の配合は不要だからである。
【0068】
試料の抗真菌活性は、平板希釈法により検討した。標準培地としてポテトグルコース寒天(Potato dextrose agar)培地を使用した。当該培地は、ディフコ(Difco)社製の「Potato dextrose broth」に、寒天を15g溶解させて調整した。培地の組成(1リットル中の含有量)は、以下のとおりである。
ジャガイモ浸出液 200g
D−グルコース 20g
寒天 15g
【0069】
前記発酵液を121℃、15分間オートクレーブ処理してから、遠心分離して沈殿を取り除き、上清を得た。得られた上清2mlを滅菌シャーレに入れ、そこにオートクレーブ処理した前記標準培地18mlを流し込み、すばやく穏やかに撹拌し、寒天が固まるまで放置して、試料培地を作製した。この試料培地のpHは3.89であった。
【0070】
2種類の白癬菌を使用する代わりに、白紋羽菌(Rosellinia necatrix)、紫紋羽菌(Helicobasidium mompa)、フザリウム菌(Fusarium oxysporum)、ピシウム菌(Pythium graminicola)及びイモチ病菌(Pyricularia oryzae)の5種類の糸状菌を使用して、実施例1と同様の操作で培養した。試験結果を表4にまとめて示す。
【0071】
実施例9
実施例8において使用した発酵液の代わりに、当該発酵液に重曹を添加して中和したものを使用し、これを実施例8と同様にオートクレーブ処理してから、遠心分離して沈殿を取り除き、上清を得た。この上清を使用して、実施例8と同様に作製した試料培地に対して、実施例8と同様にして5種類の糸状菌を植菌して培養した。この試料培地のpHは7.82であった。試験結果を表4にまとめて示す。
【0072】
比較例11
実施例8で作製した試料培地の代わりに、オートクレーブ処理した標準培地(ポテトグルコース寒天(Potato dextrose agar)培地)20mlのみからなる培地を使用して、実施例8と同様にして5種類の糸状菌を植菌して培養した。試験結果を表4にまとめて示す。
【0073】
比較例12
実施例8で作製した試料培地の代わりに、0.22μmのメンブレンフィルターで滅菌濾過した50mMフタル酸水素カリウム緩衝液(pH4.01)2mlを標準培地18mlに配合して調製した培地を使用した以外は、実施例8と同様にしてイモチ病菌(Pyricularia oryzae)を除く4種類の糸状菌を植菌して培養した。試験結果を表4にまとめて示す。
【0074】
比較例13
実施例8で作製した試料培地の代わりに、三共(株)製の殺菌剤「タチガレエース」を50倍に希釈したもの2mlを標準培地18mlに配合して調製した培地を使用した以外は、実施例8と同様にして5種類の糸状菌を植菌して培養した。農薬「タチガレエース」は、有効成分として、ヒドロキシイソキサゾール(3−ヒドロキシ−5−メチルイソオキサゾール)を30.0%、メタラキシル(メチル N−(2−メトキシアセチル)−N−(2,6−キシリル)−DL−アラニナート)を4.0%含有する液体である。「タチガレエース」は、水稲用の植物成長促進剤あるいは殺菌剤として使用されるものであり、ピシウム菌、フザリウム菌による苗立枯病に対して有効であるとされているものである。試験結果を表4にまとめて示す。
【0075】
比較例14
実施例8で作製した試料培地の代わりに、石原産業(株)製の殺菌剤「石原フロンサイド」を100倍に希釈したもの2mlを標準培地18mlに配合して調製した培地を使用した以外は、実施例8と同様にして白紋羽菌(Rosellinia necatrix)とイモチ病菌(Pyricularia oryzae)の2種類の糸状菌を植菌して培養した。殺菌剤「石原フロンサイド」は、有効成分として、フルアジナム(3−クロロ−N−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)−α,α,α−トリフルオロ−2,6−ジニトロ−p−トルイジン)を50.0%含有する粉末である。殺菌剤「石原フロンサイド」は、果樹等の各種の農産物における糸状菌に対して殺菌効果を有するものである。試験結果を表4にまとめて示す。
【0076】
【表4】
Figure 0004424643
【0077】
表4からわかるように、エンテロコッカス・フェカリスTH−10発酵液を使用した実施例8では、標準培地を使用した比較例11と比べて明白な抗真菌活性が認められる。フザリウム菌(Fusarium oxysporum)に対する効果が若干劣ることを除けば、市販の農薬である「タチガレエース」や「石原フロンサイド」を使用した比較例13、14と比較してもほぼ同等の抗真菌活性が得られることが判明した。一方、当該発酵液を中和した実施例9では、実施例8に比べて白紋羽菌(Rosellinia necatrix)及び紫紋羽菌(Helicobasidium mompa)に対する抗真菌活性が部分的に低下し、フザリウム菌(Fusarium oxysporum)、ピシウム菌(Pythium graminicola)及びイモチ病菌(Pyricularia oryzae)に対する抗真菌活性が失われたことから、酸性に保ったままで使用する方が有効であることがわかった。比較例12に示すように、フタル酸の緩衝液でpHを同程度に調整しただけでは、実施例1に比べてその抗真菌活性は十分ではない。この点は白紋羽菌(Rosellinia necatrix)及びフザリウム菌(Fusarium oxysporum)において顕著であった。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の抗真菌剤は、微生物が産生した物質であり、なおかつ、市販の殺菌剤と同程度の抗真菌活性を得ることができる。本発明の抗真菌剤は、例えば、植物由来の天然成分を乳酸発酵することで製造することができるから、安全性と有効性を兼ね備えた抗真菌剤であると言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4で得られた、植物発酵液濃度に対する菌叢直径のグラフである。

Claims (7)

  1. 炭水化物及び蛋白質を含む植物原料にエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)TH−10を接種する工程、及び、引き続き1週間以上発酵させて乳酸、酢酸、マロン酸及びシュウ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸を産生させる工程を有することを特徴とする糸状菌に対する抗真菌剤の製造方法。
  2. 前記糸状菌が白癬菌である請求項1記載の抗真菌剤の製造方法。
  3. 前記糸状菌が白紋羽菌(Rosellinia necatrix)、紫紋羽菌(Helicobasidium mompa)、フザリウム菌(Fusarium oxysporum)、ピシウム菌(Pythium graminicola)及びイモチ病菌(Pyricularia oryzae)からなる群から選択されるいずれかの菌である請求項1記載の抗真菌剤の製造方法。
  4. 前記抗真菌剤のpHが6以下である請求項1〜3のいずれか記載の抗真菌剤の製造方法。
  5. 炭水化物及び蛋白質を含む植物原料にエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)TH−10を接種する工程、及び、引き続き1週間以上発酵させて乳酸、酢酸、マロン酸及びシュウ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸を産生させる工程を有することを特徴とする、糸状菌に対する抗真菌剤である皮膚塗布用剤の製造方法。
  6. 炭水化物及び蛋白質を含む植物原料にエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)TH−10を接種する工程、及び、引き続き1週間以上発酵させて乳酸、酢酸、マロン酸及びシュウ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸を産生させる工程を有することを特徴とする、糸状菌に対する抗真菌剤である農薬の製造方法。
  7. 炭水化物及び蛋白質を含む植物原料にエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)TH−10を接種する工程、及び、引き続き1週間以上発酵させて乳酸、酢酸、マロン酸及びシュウ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸を産生させる工程を有することを特徴とする、糸状菌に対する抗真菌剤である土壌改良剤の製造方法。
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